特許拒絶査定不服審判
2023-016622
折り畳み検知機構を有する変換機
- 審判番号
- 2023-016622
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-073316
- 請求日
- 2023年10月02日
- 審決日
- 2025年06月10日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】パックサイズ,エルエルシー
- 【請求人代理人】山本 修
- 【請求人代理人】宮前 徹
- 審判長/審判官
- 審判長 吉田 美彦
- 審判官 福西 章人
- 審判官 林 毅
- 分類
- P18 .03 -WY (B31B) / P18 .113-WY (B31B) / P18 .121-WY (B31B) / P18 .537-WY (B31B) / P18 .55 -WY (B31B) / P18 .56 -WY (B31B) / P18 .572-WY (B31B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第3項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条の2第5項第4号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022- 73316「折り畳み検知機構を有する変換機」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 7月20日出願公開、特開2022-106862、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)1月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年1月18日 米国、 2018年1月16日 米国)を国際出願日とする出願(特願2019-538341、以下、「原出願」という。)の一部を、令和4年4月27日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 5月 9日 :手続補正書の提出
令和5年 2月 7日付け:拒絶理由通知書
令和5年 5月 9日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 5月30日付け:拒絶査定(原査定)
令和5年10月 2日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和5年10月2日提出の手続補正書に係る手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年10月2日提出の手続補正書に係る手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項7の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「 シート材料をボックスまたは他の包装材に組み立てるための包装テンプレートに変換する方法であって、
2つ以上のセンサを使用して、前記シート材料が当該2つ以上のセンサに垂直に近づくまたは当該2つ以上のセンサから垂直に遠ざかる場合でも、前記シート材料のファンフォールド折り目の存在および位置を検出し、
前記ファンフォールド折り目を除去するために、前記シート材料の前端から所定の長さまたはユーザーが設定可能な長さを切断し、
残りのシート材料に対して1つ又は複数の変換機能を実行して、包装テンプレートを作成する、
ことを含む方法。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和5年5月9日提出の手続補正書に係る手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項7の記載は次のとおりである。
「シート材料をボックスまたは他の包装材に組み立てるための包装テンプレートに変換する方法であって、
2つ以上のセンサを使用して前記シート材料のファンフォールド折り目の存在および位置を検出し、
前記検出では、ファンフォールド折り目の存在および位置と、前記2つ以上のセンサに近づくまたは前記2つ以上のセンサから離れる前記シート材料の垂直な移動とを識別し、
前記ファンフォールド折り目が前記シート材料の前縁から所定の距離またはユーザーが設定可能な距離内にあることを判定し、
前記ファンフォールド折り目を除去するために、前記シート材料の前端から所定の長さまたはユーザーが設定可能な長さを切断し、
残りのシート材料に対して1つ又は複数の変換機能を実行して、包装テンプレートを作成する、
ことを含む方法。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項7に記載された「2つ以上のセンサを使用して前記シート材料のファンフォールド折り目の存在および位置を検出し」を「2つ以上のセンサを使用して、前記シート材料が当該2つ以上のセンサに垂直に近づくまたは当該2つ以上のセンサから垂直に遠ざかる場合でも、前記シート材料のファンフォールド折り目の存在および位置を検出し」とする補正(以下、「補正事項1」という。)と、本件補正前の請求項7に記載された「前記ファンフォールド折り目が前記シート材料の前縁から所定の距離またはユーザーが設定可能な距離内にあることを判定し、」との事項を削除する補正(以下、「補正事項2」という。)とを含む。
ここで、補正事項1は、特許法17条の2第5項2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
一方、補正事項2は、特許法第17条の2第5項第1号に規定する「請求項の削除」、同第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」、同第3号に規定する「誤記の訂正」のいずれをも目的としたものではない。また、令和5年2月7日付けの拒絶理由通知書、及び令和5年5月30日付けの拒絶査定(以下、「原査定」という。)のいずれにおいても、「前記ファンフォールド折り目が前記シート材料の前縁から所定の距離またはユーザーが設定可能な距離内にあることを判定し、」との事項について、明りょうでない旨の拒絶の理由は通知されておらず、かつ、明りょうでない旨の拒絶の理由が通知されるべきであったという事情も認められないから、補正事項2は、特許法第17条の2第5項第4号に規定する「明りょうでない記載の釈明」を目的としたものともいえない。
なお、請求人は、審判請求書において、
「請求項7について、「2つ以上のセンサを使用して、前記シート材料が当該2つ以上のセンサに垂直に近づくまたは当該2つ以上のセンサから垂直に遠ざかる場合でも、前記シート材料のファンフォールド折り目の存在および位置を検出」することを明確にしました。
この補正は、例えば明細書の段落0058、0059の記載などに基づくものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものです。」
と主張している(上記主張中の下線は、請求人が付したものである。)が、当該主張は、下線を引いた部分を追加する補正、すなわち、補正事項1についての主張であり、補正事項2についての主張とは認められない。すなわち、請求人は、補正事項2についての補正の適法性について何ら主張していない。
よって、本件補正は、補正事項2を含むところ、特許法第17条の2第5項の各号に規定するいずれの事項も目的とするものではない。
3 補正の却下の決定についてのむすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の各号に規定するいずれの事項も目的とするものではないため、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~15に係る発明は、令和5年5月9日提出の手続補正書に係る手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項7に係る発明(以下、「本願発明7」という。)は、その請求項7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(なお、請求項1~20に係る発明をまとめて「本願発明」という。)
(1)本願発明7(請求項7)
「 シート材料をボックスまたは他の包装材に組み立てるための包装テンプレートに変換する方法であって、
2つ以上のセンサを使用して前記シート材料のファンフォールド折り目の存在および位置を検出し、
前記検出では、ファンフォールド折り目の存在および位置と、前記2つ以上のセンサに近づくまたは前記2つ以上のセンサから離れる前記シート材料の垂直な移動とを識別し、
前記ファンフォールド折り目が前記シート材料の前縁から所定の距離またはユーザーが設定可能な距離内にあることを判定し、
前記ファンフォールド折り目を除去するために、前記シート材料の前端から所定の長さまたはユーザーが設定可能な長さを切断し、
残りのシート材料に対して1つ又は複数の変換機能を実行して、包装テンプレートを作成する、
ことを含む方法。」
2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりである。
「<出願日の認定>
…(中略)…
本願の令和5年5月9日付け手続き補正書により補正された請求項1、7、13では、2つ以上のセンサが「ファンフォールド折り目の存在および位置と、前記2つ以上のセンサに近づくまたは前記2つ以上のセンサから離れる前記シート材料の垂直な移動とを識別する」と記載されている。
しかし、原出願の明細書等に2つ以上のセンサが「ファンフォールド折り目の存在および位置と、前記2つ以上のセンサに近づくまたは2つ以上のセンサから離れる前記シート材料の垂直な移動とを識別する」ことが記載されているとは認められない。
したがって、分割出願の明細書等に記載された事項は、依然として、原出願の明細書等に記載された事項の範囲内ではない。
よって、本願の出願日は、もとの出願の出願日に遡及せず、本願が実際に出願された令和4年4月27日である。
…(中略)…
●理由1(特許法第17条の2第3項)について
・請求項 1-9、13-15
補正後の請求項1、7、13の2つ以上のセンサが「ファンフォールド折り目の存在および位置と、前記2つ以上のセンサに近づくまたは前記2つ以上のセンサから離れる前記シート材料の垂直な移動とを識別する」点は、当初明細書等に記載されていない。
よって、補正後の請求項1-9、13-15に記載した事項は、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものでない。
●理由2(特許法第36条第6項第1号)について
・請求項 1-9、13-15
補正後の請求項1、7、13の2つ以上のセンサが「ファンフォールド折り目の存在および位置と、前記2つ以上のセンサに近づくまたは前記2つ以上のセンサから離れる前記シート材料の垂直な移動とを識別する」点は、発明の詳細な説明に記載されていない。
よって、請求項1-9、13-15に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
●理由4(新規性:特許法第29条第1項第3号),理由5(進歩性:特許法第29条第2項)について
・請求項 10-12
・引用文献等 1
・備考
引用文献1(原出願)には、請求項10-12に記載された発明が記載されている(全文、全図を参照のこと。)。
仮に、記載されていない点があるとしても、その点は、当業者が適宜なし得る事項である。
<引用文献等一覧>
1.特表2020-504038号公報
…(以下省略)」
3 当審の判断
(1)出願日の遡及について
ア 分割出願の出願日が原出願の出願日に遡及するための要件
上記第1のとおり、本願は、原出願の一部を新たな特許出願とした、いわゆる分割出願であるところ、分割出願が原出願の時にしたものとみなされる(分割出願の出願日が原出願の出願日に遡及する)ためには、少なくとも、分割出願の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「明細書等」という。)に記載された事項が、原出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であるとともに、原出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であることが要件である。(特許・実用新案審査基準第VI部第1章第1節「2.2 特許出願の分割の実体的要件」の要件2、要件3)
イ 原明細書等の記載
分割出願である本願について、本願発明7の「2つ以上のセンサを使用して前記シート材料のファンフォールド折り目の存在および位置を検出し、前記検出では、ファンフォールド折り目の存在および位置と、前記2つ以上のセンサに近づくまたは前記2つ以上のセンサから離れる前記シート材料の垂直な移動とを識別し」との構成(特に、下線部)が、原出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であるか否かについて検討する。
原出願の出願当初の明細書等(以下、「原明細書等」という。)には、「センサ」とその機能について、次のように記載されている。
「 【0041】
[0047]一例として、制御システムのフィルタまたはアルゴリズムは、センサ204、206の両方がファンフォールド折り目の存在可能性を検出したかどうかを判定してもよい。センサ204、206の両方がファンフォールド折り目の存在可能性を検出した場合、フィルタまたはアルゴリズムは、各センサ204、206が同じファンフォールド折り目の存在可能性を検出したかどうかを判定することができる。例えば、の(当審注:原文ママ)フィルタまたはアルゴリズムは、ファンフォールド折り目の存在可能性を示した各センサ204、206からの信号間の時間的変位(例えば、時間差)を判定してもよい。」
「【0045】
[0051]センサ204、206は、シート材料104のファンフォールド折り目の存在および/または位置を検出することもできる。シート材料104が梱102から展開されるとき、展開されたファンフォールド折り目は、シート材料104にて、またはシート材料104の表面にて、窪みまたは突起の形態を取り得る。シート材料104が変換機106に、特にガイドチャネル132を介して供給されると、センサ204、206は、シート材料104の表面上または表面内の窪みまたは突起を検出することができる。こうした窪みまたは突起は、シート材料104のファンフォールド折り目の存在および位置の指標を提供する。
【0046】
[0052]制御システムは、ファンフォールド折り目の検出された位置を使用して、今後のファンフォールド折り目の位置を予測することができる。典型的なシート材料梱102は、比較的一定の層寸法(例えば、層の対向する端部上のファンフォールド折り目間の距離)を有する。その結果、ファンフォールド折り目は比較的均等に間隔が空けられる。例えば、いくつかの梱102は、約47インチ(1.1938メートル)離れたファンフォールド折り目を有する。」
「【0055】
[0061]上述のように、検知機構200は、供給方向または長手方向に互いにオフセットされた2つのセンサ(すなわち、第1および第2のセンサ204、206)を含む。センサ204、206間の長手方向のオフセットにより、センサ204、206の読み取り値を互いに比較して、ファンフォールド折り目の存在および位置を判定することが可能になる。
【0056】
[0062]より具体的には、シート材料104が検知機構200を通過して進むと、センサ204、206のそれぞれは、シート材料104の表面に関する読み取り値を取得する。例えば、読み取り値は、センサとシート材料104の表面との間の距離を示し得る。図7に示すように、シート材料104の実質的に平坦な部分(例えば、ファンフォールド折り目がない部分)がセンサ204、206を通過して進むと、センサ204、206は同一または所定の許容範囲内である測定値を提供する。
【0057】
[0063]対照的に、ファンフォールド折り目がセンサ204、206を通過して進むと、センサ204、206はシート材料104の表面の変化を検出する。例えば、図8に示すように、ファンフォールド折り目がセンサ204の下を進むと、センサ204は第1の読み取り値を提供し、センサ206は第1の読み取り値とは異なる第2の読み取り値を提供する。異なる読み取り値は、ファンフォールド折り目の存在を示す。
【0058】
[0064]図9に示すように、シート材料104が前進し続けると、センサ206は、第1のセンサの読み取り値とは異なる読み取り値を提供する。いくつかの実施形態では、これは、ファンフォールド折り目の位置の検証を提供することができる。他の実施形態では、2つのセンサからの読み取りにより、シート材料104の垂直移動を可能にすることができる。シート材料104がガイドチャネル132を通って進むと、上部および下部ガイドプレート132a、132bがシート材料104の厚さよりも大きな距離だけ離間しているため、シート材料104はわずかに上下に移動することがある。2つのオフセットしたセンサ204、206を使用することにより、シート材料104が垂直に移動してもファンフォールド折り目を検出することができる。
【0059】
[0065]より具体的には、シート材料104を垂直位置に維持し、その位置を読み取り値のベースラインとして使用するのではなく、一方のセンサ204、206は、シート材料104の平面を反映するベースライン読み取り値を提供し、他方のセンサ204、206は、ファンフォールド折り目に関する読み取り値を提供する。例えば、図8に示すように、センサ206は、シート材料104の垂直位置に関係なく、シート材料104の平坦な表面の読み取り値を提供する。図8に示すように、センサ204は、ファンフォールド折り目の読み取り値を提供する。2つの読み取り値の違いは、ファンフォールド折り目が存在することを示す。
【0060】
[0066]加えて、ファンフォールド折り目の位置は、シート材料108の供給位置を追跡するエンコーダまたは同様の装置を使用して判定されてもよい。センサ204、206がファンフォールド折り目の存在を検出すると、制御システムは、(エンコーダで判定された)現在の供給位置を使用してファンフォールド折り目の位置を判定する。
【0061】
[0067]シート材料104が図9に示す位置まで進み続けると、センサ204はシート材料の平坦な表面に基づいてベースラインの読み取りを提供する(繰り返しとなるが、シート材料104の垂直位置に関係なく)。ここで、センサ206は、ファンフォールド折り目の読み取りを提供する。繰り返しとなるが、2つの読み取り値の違いは、ファンフォールド折り目の存在と位置を示す。
【0062】
[0068]センサ204、206は、様々な形態を取り得る。例えば、いくつかの実施形態では、センサ204、206は、シート材料104の表面までの距離を検出することができるレーザーの形態をとる。他の実施形態では、センサ204、206は、シート材料104の表面の変化を検出することができる機械装置の形態をとることができる。例えば、機械式センサは、シート材料104の表面に接触し、機械式センサの位置の増減などによりシート材料104の表面の変化(例えば、ファンフォールド折り目の窪み/突起)を検出し得る。さらに他の実施形態では、センサ204、206は、光学式センサまたは視覚(カメラ)システムの形態をとってもよい。」
「【図1】
[図:0001422993000001.jpg]
」
「【図7】
[図:0001422993000002.jpg]
」
「【図8】
[図:0001422993000003.jpg]
」
「【図9】
[図:0001422993000004.jpg]
」
ウ 判断
原明細書等の【0062】には、「センサ204」及び「センサ206」が、機械式センサ、光学式センサ、視覚(カメラ)センサ等であり、レーザーの形態(光学式センサ)の場合、「シート材料104の表面までの距離」を検出し、機械装置の形態(機械式センサ)の場合、「シート材料104の表面の変化」を検出するものであることが記載されている。そして、「シート材料104の表面の変化」を検出することは、具体的には、「機械式センサは、シート材料104の表面に接触し、機械式センサの位置の増減などによりシート材料104の表面の変化(例えば、ファンフォールド折り目の窪み/突起)を検出し得る。」との記載によれば、結局は、「シート材料104の表面までの距離」を検出することに他ならない。
以上によると、原明細書等には、「2つ以上のセンサ」といい得る「センサ204」及び「センサ206」の各々が、「シート材料104の表面までの距離」を検出するものであることが記載されているといえる。
原明細書等の【0046】の記載「ファンフォールド折り目は比較的均等に間隔が空けられる」及び図1、図7~図9の記載によると、「ファンフォールド折り目」は、シート材料104の供給方向(図7~図9において、矢印Aが示す方向、すなわち、図7~図9において、左から右へ向かう水平方向)に、所定の間隔を空けて設けられるものと解される。
そうすると、原明細書等の【0045】に記載の「センサ204、206は、シート材料104のファンフォールド折り目の存在および/または位置を検出する」と記載されているところ、「センサ204、206」が検出する「ファンフォールド折り目」の「位置」は、シート材料104の供給方向における「位置」といえる。すなわち、原明細書等には、「センサ204、206」が、「ファンフォールド折り目」の「存在」と、シート材料104の「ファンフォールド折り目」の水平方向における「位置」とを検出する機能を有することが記載されている。
そして、原明細書等の【0055】の記載「検知機構200は、供給方向または長手方向に互いにオフセットされた2つのセンサ(すなわち、第1および第2のセンサ204、206)を含む。センサ204、206間の長手方向のオフセットにより、センサ204、206の読み取り値を互いに比較して、ファンフォールド折り目の存在および位置を判定することが可能になる。」、【0057】の記載「ファンフォールド折り目がセンサ204の下を進むと、センサ204は第1の読み取り値を提供し、センサ206は第1の読み取り値とは異なる第2の読み取り値を提供する。異なる読み取り値は、ファンフォールド折り目の存在を示す。」、【0058】の記載「シート材料104が前進し続けると、センサ206は、第1のセンサの読み取り値とは異なる読み取り値を提供する。いくつかの実施形態では、これは、ファンフォールド折り目の位置の検証を提供することができる。」、及び図7~図9の記載によれば、原明細書等には、基本的な実施例として、「センサ204」と「センサ206」とが、シート材料104の供給方向に互いに前後にオフセットして設けられ(具体的には、「センサ206」が「センサ204」よりもシート材料104の供給方向に対して前方に配置され)、「センサ204」の読み取り値と「センサ206」の読み取り値とを比較して、両者が異なる場合に「ファンフォールド折り目」の存在を検出することが記載されているといえる。
一方、原明細書等の【0058】の第3文~【0061】には、「他の実施形態」として、「2つのセンサからの読み取りにより、シート材料104の垂直移動を可能にすることができる。」ための構成が記載されている。そして、当該構成は、具体的には、原明細書等の【0058】の記載によれば、「シート材料104がガイドチャネル132を通って進むと、上部および下部ガイドプレート132a、132bがシート材料104の厚さよりも大きな距離だけ離間しているため、シート材料104はわずかに上下に移動することがある。」との事情を前提として、「2つのオフセットしたセンサ204、206を使用することにより、シート材料104が垂直に移動してもファンフォールド折り目を検出することができる。」ための構成(以下、「他実施形態構成」という。)といえる。なお、他実施形態構成において、「上下」及び「垂直」はいずれも、シート材料104の供給方向に対して、垂直の方向(図7~図9における上下方向)といえる。
そして、他実施形態構成は、具体的には、原明細書等の【0041】の記載「センサ204、206の両方がファンフォールド折り目の存在可能性を検出した場合、フィルタまたはアルゴリズムは、各センサ204、206が同じファンフォールド折り目の存在可能性を検出したかどうかを判定することができる。例えば、のフィルタまたはアルゴリズムは、ファンフォールド折り目の存在可能性を示した各センサ204、206からの信号間の時間的変位(例えば、時間差)を判定してもよい。」、【0059】の記載「図8に示すように、センサ206は、シート材料104の垂直位置に関係なく、シート材料104の平坦な表面の読み取り値を提供する。図8に示すように、センサ204は、ファンフォールド折り目の読み取り値を提供する。2つの読み取り値の違いは、ファンフォールド折り目が存在することを示す。」、【0061】の記載「シート材料104が図9に示す位置まで進み続けると、センサ204はシート材料の平坦な表面に基づいてベースラインの読み取りを提供する(繰り返しとなるが、シート材料104の垂直位置に関係なく)。ここで、センサ206は、ファンフォールド折り目の読み取りを提供する。繰り返しとなるが、2つの読み取り値の違いは、ファンフォールド折り目の存在と位置を示す。」及び図7~図9の記載によれば、当初(図7)は、「センサ204」及び「センサ206」のいずれも「ファンフォールド折り目の読み取り値」を提供せず、シート材料104の供給方向に対して前方にある「センサ206」が、シート材料104の垂直位置に関係なく「平坦な表面の読み取り値」(ベースラインの読み取り)を提供するものと仮定して、その後(図8)、「センサ204」が「センサ206」とは異なる読み取り値を提供したことをもって、「センサ204」が「ファンフォールド折り目の読み取り値」を提供していることを検出し、次に、シート材料104の供給方向に対して後方にある「センサ204」がシート材料104の垂直位置に関係なく「平坦な表面の読み取り値」(ベースラインの読み取り)を提供するものと仮定して、その後(図9)、「センサ206」が「センサ204」とは異なる読み取り値を提供したことをもって、「センサ206」が「ファンフォールド折り目の読み取り値」を提供していることを検出するよう構成されている。すなわち、他実施形態構成においては、供給方向の前後に互いにオフセットして配置される「センサ204」及び「センサ206」のうち、前方に配置される「センサ206」が提供する「平坦な表面の読み取り値」をベースラインとして、「センサ204」が提供する読み取り値が前記「平坦な表面の読み取り値」とは異なり、かつ、その後「センサ204」が提供する「平坦な表面の読み取り値」をベースラインとして、「センサ206」が提供する読み取り値が前記「平坦な表面の読み取り値」とは異なる場合に、シート材料104がわずかに垂直方向に移動したとしても「ファンフォールド折り目」を検出するように構成されているものと解される。
そして、上述したように、原明細書等には、「2つ以上のセンサ」といい得る「センサ204」及び「センサ206」の各々が、「シート材料104の表面までの距離」を検出するものであることが記載されているところ、シート材料104がわずかに垂直方向に移動するとの前提の下では、1つのセンサ単独(「センサ204」又は「センサ206」のいずれか一方)により「シート材料104の表面までの距離」の変化を「検出」した場合、当該「検出」が、「ファンフォールド折り目」によるものであるのか、又は「シート材料104」の垂直の移動によるものであるのかを「識別」することはできないことは明らかである。他方、他実施形態構成のように、「2つ以上のセンサ」を使用すれば、シート材料104がわずかに垂直方向に移動しても、これを「ファンフォールド折り目」の存在及び位置として「検出」することはなく、いずれか1つのセンサが他方のセンサとは異なる読み取り値を提供したときにのみ「ファンフォールド折り目」の存在及び位置を「検出」するように構成されているといえるところ、原明細書等には、本願発明7の「2つ以上のセンサを使用して前記シート材料のファンフォールド折り目の存在および位置を検出し、前記検出では、ファンフォールド折り目の存在および位置と、前記2つ以上のセンサに近づくまたは前記2つ以上のセンサから離れる前記シート材料の垂直な移動とを識別し」との構成が記載されているといえる。
また、本願発明7の他の構成についても、原明細書等に記載された事項の範囲内のものであるから、本願発明7は全体としても、原明細書等に記載された事項の範囲内のものである。
請求項7以外の請求項も含め、本願の特許請求の範囲、明細書及び図面も、原明細書等に記載された事項の範囲内のものと認められる。
また、他の分割要件について検討しても、本願が分割要件を満たさない理由を発見しない。
以上のとおりであり、本願は、分割要件を満たしているので、本願の出願日は、原出願の出願日に遡及する。
(2)特許法第17条の2第3項について
本願の出願当初の明細書及び図面は、原出願の出願当初の明細書及び図面と同一である。よって、上記(1)を参酌すれば、本願の特許請求の範囲、明細書及び図面は、出願当初の明細書及び図面に記載した事項の範囲内のものである。
よって、令和5年5月9日に提出された手続補正書に係る手続補正(以下、「本件補正2」という。)は、出願当初の明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、本件補正2は、出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内でしたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしている。
(3)特許法第36条第6項第1号について
本願の明細書及び図面は、出願当初から補正されていないので、上記(2)を参酌すれば、本願発明は、発明の詳細な説明に記載したものであることは明らかである。
(4)特許法第29条第1項第3号及び第2項について
原査定において引用された引用文献1(特表2020-504038号公報)は、令和2年2月9日に公表されたものであり、本願の遡及出願日(平成30年1月18日)より後に日本国内において頒布された刊行物に該当するため、特許法第29条第1項第3号に規定する「特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物」に該当しない。
よって、本願発明はいずれも、引用文献1によっては新規性及び進歩性のいずれも否定することはできず、よって、引用文献1に記載された発明により、特許法第29条第1項第3号又は特許法第29条第2項に基づいて特許を受けることができないものではない。
第4 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-016622