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特許異議申立

2022-700774

ヘアドライヤー

審判番号
2022-700774
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-186601
登録番号
7022549
請求日
2022年08月08日
審決日
2023年05月26日
公報発行日
2023年08月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】テスコム電機株式会社
  • 【権利者代理人】稲葉 良幸
  • 【権利者代理人】江口 昭彦
  • 【権利者代理人】森川 剛一
  • 【権利者代理人】大貫 敏史
  • 【権利者代理人】内藤 和彦
  • 【異議申立人】足立 幸子
審判長/審判官
  • 審判長 佐々木 芳枝
  • 審判官 柿崎 拓
  • 審判官 長馬 望
分類
P1651.121-YAA(A45D) / P1651.537-YAA(A45D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7022549号発明「ヘアドライヤー」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7022549号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 特許第7022549号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7022549号の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成29年9月27日に出願され、令和4年2月9日にその特許権の設定登録がされ、令和4年2月18日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和 4年 8月 8日 : 特許異議申立人足立幸子(以下「特許異議申立人」という。)による請求項1~5に係る特許に対する特許異議の申立て 令和 4年 9月28日付け: 取消理由通知 令和 4年11月29日 : 特許権者テスコム電機株式会社(以下「特許権者」という。)による意見書及び訂正請求書の提出 令和 4年12月 9日付け: 通知書(訂正請求があった旨の通知) 令和 5年 1月13日 : 特許異議申立人による意見書の提出 令和 5年 2月27日付け: 取消理由通知(決定の予告) 令和 5年 4月27日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 なお、令和4年11月29日にされた訂正の請求(以下、この訂正請求による訂正を「先の訂正」という。)は、その後、令和5年4月27日に訂正の請求がされたことにより、取り下げられたものとみなされる(特許法第120条の5第7項)。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 特許権者が令和5年4月27日にした訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである(下線は、訂正箇所を示すため当審で付与した。)。 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に 「イオン発生部と、 使用時間を計時する計時部と、 前記計時部が計時する使用時間に基づいて、前記イオン発生部が発生するイオン量を調整する調整部と を備え、 前記イオン発生部は、同一極のイオンを発生させる電極を複数有し、 前記調整部は、前記計時部が計時する使用時間に基づいて、複数の前記電極からイオンを発生させる電極を少なくとも1つ選択するヘアドライヤー。」 とあるのを、 「イオン発生部と、 使用時間を計時する計時部と、 前記計時部が計時する使用時間に基づいて、前記イオン発生部が発生するイオン量を調整する調整部と を備え、 前記イオン発生部は、調整された空気流を吹き出す単一の吹出口から前記空気流と共に吹き出される同一極のイオンを発生させる、2つの絶縁基板のそれぞれに設けられた切欠きによって形成される単一の空間内にそれぞれが突出して設けられた電極を複数有し、 前記調整部は、前記計時部が計時する使用時間に基づいて、複数の前記電極から前記単一の空間内でイオンを発生させる電極を少なくとも1つ選択するヘアドライヤー。」 と訂正する(請求項1を引用する請求項2~5も同様に訂正する。)。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正の目的の適否 本件訂正は、本件訂正前の請求項1に記載された「同一極のイオン」について、「調整された空気流を吹き出す単一の吹出口から前記空気流と共に吹き出される」ものに限定し、同じく、本件訂正前の請求項1に記載された複数の「電極」について、「2つの絶縁基板のそれぞれに設けられた切欠きによって形成される単一の空間内にそれぞれが突出して設けられた」ものに限定し、さらに、本件訂正前の請求項1に記載された調整部が選択する「電極」について、「前記単一の空間内で」イオンを発生させるものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)新規事項の有無 本件特許の特許請求の範囲、明細書又は図面(以下「特許明細書等」という。)には、「【0015】本体ユニット110は、全体として円筒形状を成し、一端側の開口である吸入口111から外気を取り入れ、他端側の開口である吹出口112から調整された空気流を吹き出す。また、本体ユニット110は、グリップユニット180と接続する端部を有する。当該端部近傍には、後述する電熱線に通電して温風を送出させる温風モードと、電熱線への通電を遮断して冷風を送出させる冷風モードと切り替える温冷スイッチ171が設けられている。」(下線は当審で付加した。以下、同様である。)、「【0020】イオン電極150は、マイナスイオン電極151とプラスイオン電極152とを含み、それぞれ後述するイオン発生回路に接続されている。マイナスイオン電極151は水平絶縁板122に固定され、プラスイオン電極152は、垂直絶縁板121に固定される。具体的な配置関係等については後述する。【0021】吹出グリル160は、導電性素材のメッシュ面を有する円形状部材であり、異物が吹出口112から内部へ進入することを防ぐ役割を担う。同時に、イオン電極150がイオンを発生させる場合には、対向電極として機能する。吹出グリル160は、先端リング144を介して吹出口112の近傍に固定されている。吹出グリル160は、導電性素材で形成されており、好ましくは鉄などの金属素材が用いられる。」、「【0024】垂直絶縁板121は、吹出グリル160と対向する端面のうち中央部がコの字状に切り欠かれている。水平絶縁板122も、吹出グリル160と対向する端面のうち中央部がコの字状に切り欠かれている。これらの切欠部分は、吹出グリル160と絶縁部材120との間に切欠空間120cを形成する。プラスイオン電極152は、垂直絶縁板121の切欠部分の近傍に固定され、その先端部は、切欠空間120cに向かって突出している。また、マイナスイオン電極151は、水平絶縁板122の切欠部分の近傍に固定され、3つに分岐した第1電極151a、第2電極151b、第3電極151cの先端部は、それぞれ切欠空間120cに向かって突出している。」と記載されており、イオン電極150に含まれるマイナスイオン電極151がイオンを発生させる場合には、調整された空気流を吹き出す吹出口112の近傍に固定されている吹出グリル160が、マイナスイオン電極151を構成する第1電極151a、第2電極151b、第3電極151cの対向電極として機能すること、及び図1~図3の図示内容からみて、第1電極151a、第2電極151b、第3電極151cが発生させる同一極のマイナスイオンが、調整された空気流を吹き出す単一の吹出口112から空気流と共に吹き出されることが把握できる。 また、前記した段落【0024】及び図1~図3の図示内容によると、第1電極151a、第2電極151b、第3電極151cが、垂直絶縁板121及び水平絶縁板122のそれぞれに設けられた切欠部分によって形成される単一の切欠空間120c内にそれぞれ突出して設けられ、単一の切欠空間120c内でマイナスイオンを発生させていることは明らかである。 すると、本件訂正は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 (3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否 本件訂正は、前記(1)に示したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。 3 一群の請求項について 本件訂正前の請求項1~5について、請求項2~5は請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、本件訂正によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項1~5は一群の請求項を構成する。 そして、本件訂正請求は、本件訂正により、訂正前の請求項1~5の記載を訂正しようとするものであり、一群の請求項1~5に対して請求されているから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 4 まとめ 前記のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。なお、本件においては、本件訂正前の全ての請求項1~5について特許異議の申立てがされているので、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の請求項1~5に係る発明 本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1~5に係る発明(以下「本件特許発明1」~「本件特許発明5」といい、これらをまとめて「本件特許発明」という。)は、訂正後の請求項1~5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 イオン発生部と、 使用時間を計時する計時部と、 前記計時部が計時する使用時間に基づいて、前記イオン発生部が発生するイオン量を調整する調整部と を備え、 前記イオン発生部は、調整された空気流を吹き出す単一の吹出口から前記空気流と共に吹き出される同一極のイオンを発生させる、2つの絶縁基板のそれぞれに設けられた切欠きによって形成される単一の空間内にそれぞれが突出して設けられた電極を複数有し、 前記調整部は、前記計時部が計時する使用時間に基づいて、複数の前記電極から前記単一の空間内でイオンを発生させる電極を少なくとも1つ選択するヘアドライヤー。 【請求項2】 前記イオン発生部は、プラスイオンを発生するプラスイオン発生部と、マイナスイオンを発生するマイナスイオン発生部を有し、 前記調整部は、前記計時部が計時する使用時間に基づいて、前記プラスイオン発生部が発生するプラスイオン量と前記マイナスイオン発生部が発生するマイナスイオン量を、それぞれ独立して調整する請求項1に記載のヘアドライヤー。 【請求項3】 マイナスイオンを単独で発生させるマイナスイオン発生モードを選択できる選択部材を備え、 前記調整部は、前記選択部材により前記マイナスイオン発生モードが選択されている場合に、前記計時部が予め定められた時間を計時したら、マイナスイオン量に対するプラスイオン量の割合を、それまでの割合よりも増加させる請求項2に記載のヘアドライヤー。 【請求項4】 プラスイオンを単独で発生させるプラスイオン発生モードを選択できる選択部材を備え、 前記調整部は、前記選択部材により前記プラスイオン発生モードが選択されている場合に、前記計時部が予め定められた時間を計時したら、プラスイオン量に対するマイナスイオン量の割合を、それまでの割合よりも増加させる請求項2または3に記載のヘアドライヤー。 【請求項5】 前記調整部は、温風を送風する場合と冷風を送風する場合で、前記イオン発生部が発生するイオン量を異ならせる請求項1から4のいずれか1項に記載のヘアドライヤー。」 第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 先の訂正後の請求項1~5に係る特許に対して、当審が令和5年2月27日付け取消理由通知(決定の予告)で特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 (1)(明確性)請求項1~5に係る特許は、その特許請求の範囲の記載が、以下のア~ウの点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 ア 請求項1には、「前記イオン発生部は、単一の吹出口から吹き出される同一極のイオンを発生させる、それぞれが単一の空間へ向かって突出して設けられた電極を複数有し」と記載されているが、該単一の空間に向かって突出するとは、空間と電極とがどのような関係にあることを意味しているのかが明確でない。特に、電極が当該空間内に突出していることを意味しているのか、電極が当該空間のある側に向かって突出していることを意味しているのかが明確でない。 イ 請求項1には、「前記イオン発生部は、単一の吹出口から吹き出される同一極のイオンを発生させる、それぞれが単一の空間へ向かって突出して設けられた電極を複数有し」と記載されているが、該記載では、単一の空間が、どのような空間を意味するのかが明確でない。特に、発明の詳細な説明の段落【0024】に記載された切欠空間120cを意味しているのか、それ以外の吹出口112より内側あるいは外側の空間を意味しているのかが明確でない。 ウ 請求項1には、「前記イオン発生部は、単一の吹出口から吹き出される同一極のイオンを発生させる、それぞれが単一の空間へ向かって突出して設けられた電極を複数有し」と記載されているが、該記載では、単一の吹出口が、どのような吹出口を意味するのかが明確でない。特に、発明の詳細な説明の段落【0015】に記載された調整された空気流(温風、冷風)を吹き出す吹出口112を意味しているのか、該空気流を吹き出さず、単に同一極のイオンのみを吹き出す吹出口を意味しているのかが明確でない。 (2)(進歩性)請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 請求項2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項及び引用文献3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 請求項3、4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項、引用文献3に記載された事項及び引用文献4に記載されるような周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項3、4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 請求項5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項、引用文献3に記載された事項、引用文献5に記載された事項及び引用文献4に記載されるような周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 引用文献1:特開2015-202129号公報(甲第1号証) 引用文献2:特開2010-40268号公報(甲第2号証) 引用文献3:特開2008-243821号公報(甲第3号証) 引用文献4:特開2014-231021号公報(甲第4号証) 引用文献5:特開2006-192075号公報(甲第6号証) 2 当審の判断 (1)特許法第36条第6項第2号(明確性)について ア 前記1(1)アに示した取消理由は、先の訂正後の請求項1における「前記イオン発生部は、単一の吹出口から吹き出される同一極のイオンを発生させる、それぞれが単一の空間へ向かって突出して設けられた電極を複数有し」という記載では、空間と電極とがどのような関係にあることを意味しているのかが明確でないというものである。これに対し、本件訂正後の請求項1には、「前記イオン発生部は、・・・単一の空間内にそれぞれが突出して設けられた電極を複数有し」と記載されているため、電極が空間内に突出して設けられていることが明確になり、その結果、空間と電極との関係は明確となった。 イ 前記1(1)イに示した取消理由は、先の訂正後の請求項1における「前記イオン発生部は、単一の吹出口から吹き出される同一極のイオンを発生させる、それぞれが単一の空間へ向かって突出して設けられた電極を複数有し」という記載では、単一の空間が、どのような空間を意味するのかが明確でないというものである。これに対し、本件訂正後の請求項1には、「前記イオン発生部は、・・・2つの絶縁基板のそれぞれに設けられた切欠きによって形成される単一の空間内にそれぞれが突出して設けられた電極を複数有し」と記載されているため、単一の空間が2つの絶縁基板のそれぞれに設けられた切欠きによって形成されるものであることが明確になり、その結果、単一の空間が、どのような空間を意味するのかが明確となった。 ウ 前記1(1)ウに示した取消理由は、先の訂正後の請求項1における「前記イオン発生部は、単一の吹出口から吹き出される同一極のイオンを発生させる、それぞれが単一の空間へ向かって突出して設けられた電極を複数有し」という記載では、単一の吹出口が、どのような吹出口を意味するのかが明確でないというものである。これに対し、本件訂正後の請求項1には、「前記イオン発生部は、調整された空気流を吹き出す単一の吹出口から前記空気流と共に吹き出される同一極のイオンを発生させる、・・・電極を複数有し」と記載されているため、単一の吹出口が調整された空気流を吹き出すものであることが明確になり、その結果、単一の吹出口が、どのような吹出口を意味するのかが明確となった。 エ 以上によると、本件特許発明1は明確であり、本件特許発明2~5についても同様であるから、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たすものである。 (2)特許法第29条第2項(進歩性)について ア 引用文献の記載及び引用発明 (ア)引用文献1 a 引用文献1の記載 取消理由通知(決定の予告)において引用した前記引用文献1には以下の事項が記載されている。 (a)「【0021】 これによって、毛髪の乾燥状態に合わせて生成するイオン発生量を減少させることとなり、発生する電荷による乾燥した毛髪における毛髪表面の過剰帯電を抑制し、毛髪のまとまりや指通りを向上することができる。」 (b)「【0030】 本実施の形態1にかかる加熱送風装置としてのヘアドライヤ1は、使用者が手で握る部分としての把持部1aと、把持部1aと交差する方向に結合された本体部1bとを備えている。そして、使用時には把持部1aと本体部1bとで略T字状あるいは略L字状(本実施の形態1では略T字状)の外観を呈するように折り畳み可能に構成されている。 ・・・(中略)・・・ 【0033】 本体部1bの内部には、その長手方向(図5の左右方向)の一方側(右側)の入口開口(吸入口)4aから出口開口(吐出口)4bに至る風洞(送風流路)4が形成されており、この風洞4内に収容された送風部としてのファン5を回転させることによって空気流W1が形成される。すなわち、空気流W1は、外部から入口開口4aを介して風洞4内に流入し、当該風洞4内を通って出口開口4bから外部に排出される。」 (c)「【0044】 本実施の形態1では、本体部1b内で、ハウジング3と内筒6との間に形成された空洞9に、2つ(複数)の金属微粒子生成部30,40および1つのミスト生成部50が配置されている。 【0045】 したがって、生成部(金属微粒子生成部30,40およびミスト生成部50)で生成された成分は、分岐流W2とともに吐出するようになっているが、出口開口(吐出口)4bから空気流W1とともに吐出させるようにしてもよい。また、生成部はヒータ(加熱部)8が設けられている内筒6内に設けてもよいが、本実施の形態1に示すように、ヒータ(加熱部)8で加熱されない部位に設けることが好ましい。 【0046】 金属微粒子生成部30,40では、金属微粒子、イオンおよび酸性成分が生成される。一方、ミスト生成部50では、帯電微粒子液体、イオンおよび酸性成分が生成される。 【0047】 このように、本実施の形態1では、金属微粒子生成部30,40が、イオン生成部および酸性成分生成部を兼ねている。そして、ミスト生成部50が、帯電微粒子液体生成部、イオン生成部および酸性成分生成部を兼ねている。 【0048】 したがって、本実施の形態1では、ハウジング3内に、イオンを生成するイオン生成部、酸性成分を生成する酸性成分生成部および帯電微粒子液体を生成する帯電微粒子液体生成部の3種類の生成部が設けられていることとなる。また、イオン生成部および酸性成分生成部はそれぞれ3箇所に設けられることとなり、帯電微粒子液体生成部は1箇所に設けられることとなる。」 (d)「【0062】 本実施の形態1では、操作子19を操作することで、温風と冷風の切り換えを行うことができるようになっている。なお、操作子19を操作する度に、温風、冷風、温風…と単に温冷2つのモードを切り替えるだけでなく、「HOT」「温冷」「COLD」「SCALP」の4つの風温モードを切り替えることができるようにすることも可能である。」 (e)「【0102】 ハウジング3には、空洞9の出口開口4b側となる位置に、略円弧状の貫通孔(開口)3bが形成されており、この貫通孔3bを絶縁性の合成樹脂材料からなるカバー20で塞いである。 【0103】 このように、本実施の形態1では、カバー20は、ハウジング3に形成された貫通孔(開口)3bを覆うようにして当該ハウジング3に取り付けられている。また、本実施の形態1では、カバー20は、ハウジング3に対して図5の左側から右側に移動させることで、ハウジング3に取り付けられている。 【0104】 したがって、本実施の形態1では、風洞(送風流路)4の下流側から上流側への方向が、カバー20のハウジング3への取り付け方向となっている。 【0105】 また、カバー20には、金属微粒子吹出口(イオン放出口)20a,20bとミスト吹出口(イオン放出口)20cとがそれぞれ独立して形成されている。 【0106】 なお、ミスト生成部(イオン発生部)50および金属微粒子生成部(イオン発生部)30,40の前方には、イオンが流れるイオン流路4cが形成されることとなるため、金属微粒子吹出口(イオン放出口)20a,20bおよびミスト吹出口(イオン放出口)20cは、イオン流路4cの下流側に設けられることとなる。 ・・・(中略)・・・ 【0119】 そして、ミスト生成部50と、当該ミスト生成部50と隣り合う金属微粒子生成部(マイナスイオン発生部)30、40との間には、遮蔽板(仕切部)6dが設けられている。 【0120】 そして、図6に示すように、遮蔽板6dを、ヘアドライヤ1の上下方向およびミストの吹き出し方向に延在するように配置することで、金属微粒子やミストが金属微粒子吹出口20a、20bおよびミスト吹出口20cから吹き出される前に混合してしまうのを抑制している。」 (f)「【0121】 金属微粒子生成部30,40は、導電性を有する金属材料によって形成される放電極(第1電極)31,41および放電対向電極(第2電極)32,42をそれぞれ有している。 【0122】 そして、これら放電極31,41と放電対向電極32,42との間に電圧印加回路(図示せず)によって高電圧(本実施の形態1では、-1kV~-3kV)を印加して放電(コロナ放電等)を生じさせ、その放電作用によって放電極31,41や放電対向電極32,42等から金属微粒子(金属の分子やマイナスイオン等)を放出させるものである。 ・・・(中略)・・・ 【0124】 金属微粒子生成装置30,40は、箱状の筐体33,43を備えており、放電極31,41は、根元部31b,41bが筐体33,43内部の支持部材としての基板34,44に固定されている。そして、放電対向電極32,42は、放電極31,41の先端部31a,41aと対向するように筐体33,43に支持されている。」 (g)「【0135】 ミスト生成部50は、導電性を有する金属材料によって形成される放電極(第1電極)51および放電対向電極(第2電極)52を有している。そして、これら放電極51と放電対向電極52との間に電圧印加回路12によって高電圧(本実施の形態1では、-3kV~-5kV)を印加することで放電(コロナ放電等)を生じさせるものである。 【0136】 本実施の形態1では、放電極51は針状に形成されており、放電対向電極52は放電極51の先端側に離間配置した板状の部材として形成されている。 【0137】 放電対向電極52は、略板状の基体部52aを有しており、基体部52aの略中央位置には、金属微粒子の放出口となる円形状の開口部52cが形成されている。放電極51は、正面視で開口部52cのほぼ中心に配置される。 ・・・(中略)・・・ 【0140】 そして、ミスト生成部50の上流側には、冷却板53bを冷却する際に発生する熱を放熱する放熱フィン54が設けられている。かかる構成では、供給された水、すなわち結露水が、放電作用によって微粒化され、ナノメータサイズの非常に細かいミスト(マイナスイオンを含むマイナスに帯電されたミスト:帯電微粒子液体)が生成される。なお、ミスト生成部50は、放電作用によってイオンや酸性成分も生じさせている。」 (h)「【0147】 具体的には、ハウジング3内に設けられた生成部で生成される成分の生成量を制御する制御部10によって、成分の生成量を調整するようにした。 【0148】 例えば、乾燥した毛髪にイオンを過剰に供給すると、乾燥した毛髪の表面に過剰の電荷が帯電してしまい、毛髪のまとまりが悪くなってしまったり、指通りが悪くなってしまったりする。 【0149】 また、乾燥した毛髪に酸性成分を過剰に供給すると、キューティクルが過度に引き締められて毛髪が過収縮により丸まってしまい、毛髪の矯正が難しくなってしまったり、手触りが悪化してしまったりする。 【0150】 また、乾燥した毛髪に帯電微粒子液体を過剰に供給すると、毛髪が過度にしっとりとしてべたついてしまう。 【0151】 そこで、本実施の形態1では、制御部10が、ハウジング3内に設けられた生成部が駆動されてから所定の時間が経過した際、または、時間の経過とともに、ハウジング3内に設けられた生成部で生成される成分の生成量を減少させるように制御するようにした。 【0152】 生成量を減少させる制御としては、図8に示すように、生成部が駆動されてから所定時間t1が経過するまでは、ほぼ一定量で生成し、所定時間t1が経過する際に、成分の生成量を減少させるように制御する方法がある。 【0153】 なお、図8では、所定時間t1経過後少なくとも所定時間t2までは、ほぼ一定量で生成している。また、図8では、最初の生成量を100とした場合、減少後の生成量が40となるように制御したものを例示している。この減少割合は適宜に設定可能である。 【0154】 また、図8では、ハウジング3内に設けられた生成部としてイオンを生成するイオン生成部を例示している。 【0155】 制御部10によるイオン生成量、酸性成分生成量、帯電微粒子液体生成量の制御方法は、生成量を変更させることのできる手段であればよい。例えば、第2電極の形状を変更する方法や、第1電極と第2電極の距離を変更する方法、第1電極と第2電極の間に印可する高圧電圧を変更することによる放電電流を変更する方法がある。」 (i)「【0251】 また、プラスイオンを生成するイオン生成装置にあっても、本発明を適用することができる。このように、プラスイオンを生成すると、ウィッグなどの人工毛をつけた毛髪に使用する場合に有効である。ウィッグなどの人工毛はマイナスに帯電しやすいので、プラスイオンを供給することで、静電気が生じてしまうのを抑制することができるためである。」 (j)図2、図5、図6、図7及び図17には、次の事項が図示されている。 [図:0001400461000001.jpg] [図:0001400461000002.jpg] 【図6】 [図:0001400461000003.jpg] [図:0001400461000004.jpg] [図:0001400461000005.jpg] (k)前記(c)及び(f)によると、金属微粒子生成部30,40は、マイナスイオンを生成するものといえ、前記(c)及び(g)によると、ミスト生成部50は、マイナスイオンを含むマイナスに帯電されたミストを生成するものであるから、マイナスイオンを生成するものといえる。すると、金属微粒子生成部30,40及びミスト生成部50は、マイナスイオンを生成するといえる。 (l)前記(h)によると、制御部10は、生成部が駆動されてから所定の時間が経過した際、生成部で生成される成分の生成量を減少させるように制御するものであり、前記(c)、(f)及び(g)によると、生成部とは、金属微粒子生成部30,40及びミスト生成部50を意味し、生成部で生成される成分には、金属微粒子生成部30,40及びミスト生成部50で生成されるマイナスイオンが含まれるから、制御部10は、金属微粒子生成部30,40及びミスト生成部50が駆動されてから所定の時間が経過した際、金属微粒子生成部30,40及びミスト生成部50で生成されるマイナスイオンの生成量を減少させるように制御するものといえる。 (m)前記(f)によると、金属微粒子生成部30,40は、マイナスイオンを放出する放電極31,41および放電対向電極32,42をそれぞれ有し、前記(e)によると、金属微粒子生成部30,40の前方にはイオンの流れるイオン流路4cが形成されているといえる。そして、前記(j)に示した図6によると、放電対向電極32,42が金属微粒子生成部30,40の前方に図示されているから、該放電対向電極32,42に先端部31a,31bが対向する放電極31,41(前記(f)参照。)は、同じく図7及び図17の図示内容も踏まえると、イオン流路4cに向かって突出して設けられているといえる。 また、前記(g)によると、ミスト生成部50は、マイナスイオンを含むマイナスに帯電されたミストを生成するための放電極51および放電対向電極52を有し、前記(e)によると、ミスト生成部50の前方にはイオンの流れるイオン流路4cが形成されているといえる。そして、前記(j)に示した図6によると、放電対向電極52がミスト生成部50の前方に図示されているから、正面視で該放電対向電極52の開口部52cのほぼ中心に配置される放電極51(前記(g)参照。)は、同じく図7の図示内容も踏まえると、イオン流路4cに向かって突出して設けられているといえる。 さらに、前記(c)には、金属微粒子生成部30,40およびミスト生成部50で生成された成分は、出口開口4bから空気流W1とともに吐出させるようにしてもよいと記載されているが、この態様においては、イオン流路4cの下流側に設けられた金属微粒子吹出口20a,20bおよびミスト吹出口20c(前記(e)参照。)に代えて、出口開口4bから前記の成分を吐出するものと解されるから、金属微粒子生成部30,40の放電極31,41および放電対向電極32,42から放出されるマイナスイオン、及びミスト生成部50の放電極51および放電対向電極52から生成されるマイナスイオンを含むマイナスに帯電されたミストは、イオン流路4cの下流側に設けられた出口開口4bから空気流W1とともに吐出されると把握できる。 そして、前記(b)によると、出口開口4bは、空気流W1を排出するものであり、空気流W1は、ファン5を回転させることによって形成されるものであるから、前記の態様において、金属微粒子生成部30,40は、ファン5を回転させることによって形成される空気流W1を排出する出口開口4bから空気流W1とともに吐出されるマイナスイオンを放出する、イオン流路4cに向かって突出して設けられた放電極31,41をそれぞれ有し、ミスト生成部50は、前記出口開口4bから空気流W1とともに吐出されるマイナスイオンを含むマイナスに帯電されたミストを生成するための、イオン流路4cに向かって突出して設けられた放電極51を有するといえる。 b 引用発明 前記a(a)~(m)によれば、引用文献1には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「マイナスイオンを生成する金属微粒子生成部30,40及びミスト生成部50と、 前記金属微粒子生成部30,40及び前記ミスト生成部50が駆動されてから所定の時間が経過した際、前記金属微粒子生成部30,40及び前記ミスト生成部50で生成されるマイナスイオンの生成量を減少させるように制御する制御部10と を備え、 前記金属微粒子生成部30,40は、ファン5を回転させることによって形成される空気流W1を排出する出口開口4bから前記空気流W1とともに吐出されるマイナスイオンを放出する、イオン流路4cに向かって突出して設けられた放電極31,41をそれぞれ有し、前記ミスト生成部50は、前記出口開口4bから前記空気流W1とともに吐出されるマイナスイオンを含むマイナスに帯電されたミストを生成するための、前記イオン流路4cに向かって突出して設けられた放電極51を有するヘアドライヤ1。」 (イ)引用文献2 取消理由通知において引用した前記引用文献2には以下の事項が記載されている。 a 「【0007】 本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、起動時に空間内のイオン濃度を所定濃度まで速やかに上昇させることができるとともに、所定のイオン濃度を維持しつつ長寿命化を図ることができるイオン発生ユニット及び該イオン発生ユニットを備える照明装置を提供することを目的とする。」 b 「【0029】 本体ベース3の対向する1組の側壁は、開口の側が広がるように傾斜させてあり、これらの側壁の内面には、矩形板状を有し、イオンを発生するイオン発生部としてのイオン発生素子A31及びイオン発生素子B32が固定板34,34により着脱可能に夫々取付けてある。 【0030】 イオン発生素子A31は、放電電極としての針電極と、誘導電極としての板電極とを備えており、誘導電極に設けた貫通孔の内側に該貫通孔と略同心をなして放電電極を設け、放電電極と誘導電極との間に高電圧を印加することにより、放電を生ぜしめるように構成してある。イオン発生素子A31の一端側には、放電によりマイナスイオンを発生させるマイナスイオン発生電極部31a,31bが適長離隔して設けてあり、他端側には、放電によりプラスイオンを発生させるプラスイオン発生電極部31c,31dが適長離隔して設けてある。イオン発生素子B32は、イオン発生素子A31と同様の構成をなす。なお、イオン発生素子B32は、プラスイオン発生電極部がイオン発生素子A31のマイナスイオン発生電極部31a,31bに、マイナスイオン発生電極部がイオン発生素子A31のプラスイオン発生電極部31c,31dに夫々対向するように本体ベース3に取付けてある。」 c 「【0048】 図4は、イオン発生部であるイオン発生素子A31及びイオン発生素子B32の駆動制御の処理手順の一例を示すフローチャートである。マイコン52bは、イオン発生ユニット100の電源投入後、タイマをスタートさせる(ステップS1)とともに、イオン発生素子A31及びイオン発生素子B32を駆動する(ステップS2)。図5は、イオン発生素子A31及びイオン発生素子B32の駆動状態(オン/オフ)を示すタイミングチャートである。図5(a)は、イオン発生素子A31及びイオン発生素子B32を同時に連続的に駆動する連続駆動を示すタイミングチャートであり、図5(b)及び(c)は、イオン発生素子A31及びイオン発生素子B32を断続的に駆動し、イオン発生素子A31及びイオン発生素子B32の駆動が交互に(交番的に)なるように順次駆動する交互駆動(交番駆動)を示すタイミングチャートである。ステップS2において、マイコン52bは、図5(a)に示すように、イオン発生素子A31及びイオン発生素子B32を同時に駆動し、連続駆動する。 【0049】 次に、イオン発生素子A31及びイオン発生素子B32を駆動してからの経過時間Tが所定時間T1以上であるか否かを判定する(ステップS3)。経過時間Tは、ステップS1においてスタートしたタイマにより計時される。なお、所定時間T1は、例えば、1時間であり、使用される部屋の容積、イオン発生素子のイオン発生能力、部屋に設置されるイオン発生ユニットの数量等に応じて適切に設定される。 【0050】 ステップS3において、経過時間Tが所定時間T1以上であると判定された場合(ステップS3:YES)、マイコン52bは、イオン発生素子A31及びイオン発生素子B32を交互駆動(順次駆動)する(ステップS4)一方、経過時間Tが所定時間T1未満であると判定された場合(ステップS3:NO)、ステップS3に戻って動作を繰り返す。なお、交互駆動は、例えば、図5(b)に示すように行われる。このとき、イオン発生ユニット100から吹き出されるイオン量は、イオン発生素子A31及びイオン発生素子B32の一方のみを連続して駆動したときと同量となる。」 d 「【0057】 以上のように、イオン発生ユニット100の起動時に複数のイオン発生部であるイオン発生素子A31及びイオン発生素子B32を駆動し、所定時間T1連続的に駆動するように構成してあるから、起動時に空間内のイオン濃度を所定濃度(例えば、設定面積10m2に対して7,000個以上の濃度)まで速やかに上昇させることができる。そして所定時間T1経過した後に、イオン発生素子A31及びイオン発生素子B32の駆動時間を略均一になるように駆動しているから、一方のイオン発生素子のみが寿命に達することがないので、イオン発生ユニット100全体として所定のイオン濃度を維持することができる期間を長くすることができ、結果として、イオン発生ユニット100の全体としての長寿命化を図ることができる。また、所定時間T1経過した後に、イオン発生素子A31及びイオン発生素子B32を断続的に駆動するとともに該イオン発生素子A31及びイオン発生素子B32を交互に駆動するように構成してあり、発生したイオンは消滅するまでに時間を要するから、所定のイオン濃度を維持しつつ、イオン発生素子A31及びイオン発生素子B32の駆動時間を短くすることにより該イオン発生素子A31及びイオン発生素子B32を構成する放電電極等の部品の消耗を抑え、長寿命化を図ることができる。」 e 「【0097】 また、以上の実施の形態においては、本発明に係るイオン発生ユニットとして空気清浄ユニットを例に説明したが、これに限定されず、例えば、空気調和機(エアコンディショナー)等の外部に空気を排出することができる機器に適用可能である。」 f 図2及び図5には、次の事項が図示されている。 [図:0001400461000006.jpg] [図:0001400461000007.jpg] (ウ)引用文献3 取消理由通知において引用した前記引用文献3には以下の事項が記載されている。 a 「【0005】 かかる要望に対して本発明者等は研究を行った結果、マイナスイオンの生成を間欠的に行うことにより、髪や皮膚の様なマイナスイオンの供給対象が過剰に帯電するのを可及的に防止し、生成されるマイナスイオンが有効に活用されて無駄なく髪に送給されることを知見した。 ・・・(中略)・・・ 【0007】 本発明は更に、放電手段の駆動直後から設定時間は連続的な放電あるいは休止時間をできるだけ短く設定する一方、設定時間経過後は休止時間の方を放電時間よりも長く設定することにより、マイナスイオンの供給対象周辺位置におけるイオンの影響の大小に適切に対応した放電制御が行われ、特に駆動初期におけるマイナスイオンの送給を増大させることができるイオン発生器具を提供することを目的とする。」 b 「【0015】 また、図9(a)の如く、マイナス極性の高電圧の印加休止期間中の一部または全部において、プラス極性の高電圧を放電電極16に対して印加してもよい。 【0016】 この場合にあっては、放電電極16に対してマイナス極性とプラス極性の高電圧を交互に印加することも可能であるし、図8の様にマイナス極性の高電圧が印加される第1放電電極16aと、プラス極性の高電圧が印加される第2放電電極16bの少なくとも2つあって、両者が異なった時期に放電動作を行うものであってもよい。 【0017】 放電手段12の駆動開始時期を規制するスイッチ手段15を備え、そのスイッチ手段15のオン直後からの時間経過に対応して、放電電極16に対するマイナス極性の高電圧の印加時間とプラス極性の高電圧の印加時間の割合を変化させる。そして、スイッチ手段15のオン直後は、図9(b)の様な放電電極16に対してマイナス極性の高電圧を連続的に印加するが、設定時間の経過後には、前記したプラス極性の高電圧の印加時間が設定値以上に維持される。また、プラス極性の高電圧の放電電極に対する印加時間の増加は、スイッチ手段15のオンから設定時間経過毎に段階的に行うことも可能であるし、所定の変更割合で連続的に行うこともできる。」 c 「【0022】 更に、放電手段12の駆動直後はマイナスイオンによる帯電はないので、連続的な放電をするか或いは休止時間をできるだけ短く設定する一方、設定時間経過後は休止時間の方を放電時間よりも長く設定することにより、駆動時間の大小に適切に対応したマイナスイオンの送給が行われる。特に、プラスに帯電しやすい髪の様な対象物にあっては、マイナスイオンの送給が開始されてから中和され、更にマイナスに帯電するまでに時間を要するので連続運転とすることが好ましく、その後は間欠運転によりマイナスイオンが過剰になるのを防止しながらマイナスイオンを供給できる。逆に長時間の駆動を持続した場合は、マイナスイオンの滞留による影響が大きくなるので、生成の休止時間の方を長く設定することにより、滞留の影響を軽減できる。 【0023】 また、上記したマイナスイオンを発生させるための放電の休止中に対応してプラスイオンを発生することにより、過剰なマイナスイオンはプラスイオンによって積極的に中和され、対象物(髪、皮膚)に過剰に滞留したマイナスイオンを自然消滅させる場合よりも強力に除去できる。また、プラスイオンにも水分が付着しているので、単に放電を休止させた場合より多くの水分を対象物(髪、皮膚)に補給でき、対象物に対する潤い効果を増大させることができる。」 d 「【0029】 以下、本発明にかかるイオン発生器具を図2~図5に示すヘアドライヤ32に実施した一例に基づいて更に詳細に説明する。ここでヘアドライヤ32は、図2にその全体的な構成を概略的に示す如く、横長筒状の本体ケース26と、その本体ケース26における基端側に揺動自在に取り付けたハンドル28とを備える。」 e 「【0068】 図8は、放電部46の他の実施例であって、マイナスイオンに加えて、プラスイオンも発生可能とする。プラスイオンを発生する方法としては、昇圧コイル76と電極部94を2組備え、プラスイオン発生用はダイオード88bの向きを反対にするとともに、スイッチング素子8aの切換動作と連動して、パルス電圧を印加する昇圧トランス76a・76bを切り換えることが可能である。 【0069】 その他、電極部94のみをマイナスイオン用とプラスイオン用とに2組設け、例えば高電圧の休止期間中に、スイッチング素子8の切換動作で高電圧を印加する電極部94を切り換えることも可能である。また、電極部94が1組の場合は、放電電極16に印加する高電圧の極性を変更する制御を行うことにより対応できる。 【0070】 上記した放電の休止期間を設ける方法にあっては、髪周囲に滞留した過剰なマイナスイオンが自然に放電して消滅することを利用したものであったが、この実施例にあっては、プラスイオンを発生することにより、過剰なマイナスイオンを積極的に消滅させようとするものである。したがって、プラスイオンの発生時期は、基本的には前記した休止期間に対応するものであるが、プラスイオンの生成位置やケースの構造等に応じて、プラスイオンの発生量や発生時間等が変更されることは勿論である。また、休止期間を設けるのと組み合わせることも可能である。」 f 図8及び図9には、次の事項が図示されている。 [図:0001400461000008.jpg] [図:0001400461000009.jpg] (エ)引用文献4 取消理由通知において引用した前記引用文献4には以下の事項が記載されている。 a 「【0026】 イオン発生器7は、プラスイオン発生部50と、マイナスイオン発生部60とを有し、プラスイオン発生部50は、イオン発生器7を凹部に配置したとき、ドライヤの筺体1の幅方向にマイナスイオン発生部60に間隔をおいて位置している。上記プラスイオン発生部50は、プラスイオンを発生する一方、マイナスイオン発生部60は、マイナスイオンを発生するようになっている。」 b 「【0033】 このドライヤでは、ユーザは、操作部17を介して、プラスイオンのみが排出されるプラスイオン排出モードを選択でき、プラスイオン排出モードが選択されると、マイコンが、プラスイオン発生部50のみを通電するようになっており、ドライヤから吐出される風(熱風や冷風)にプラスイオンのみが混合されるようになっている。 【0034】 また、ユーザは、操作部17を介して、マイナスイオンのみが排出されるマイナスイオン排出モードを選択でき、マイナスイオン排出モードが選択されると、マイコンが、マイナスイオン発生部60のみを通電するようになっており、ドライヤから吐出される風(熱風や冷風)にマイナスイオンのみが混合されるようになっている。 【0035】 また、ユーザは、操作部17を介して、筺体1内から、上記プラスイオンと、マイナスイオンとが同時に排出される両イオン排出モードを選択でき、両イオン排出モードが選択されると、マイコンが、プラスイオン発生部50およびマイナスイオン発生部60の両方を通電するようになっており、ドライヤから吐出される風(熱風や冷風)にプラスイオンとマイナスイオンの両方が混合されるようになっている。」 (オ)引用文献5 取消理由通知において引用した前記引用文献5には以下の事項が記載されている。 a 「【0053】 次に、本実施形態に係るドライヤの動作について説明する。 送風モードの場合には、第3のスイッチ69が投入されず、ヒータ・放電制御回路82は第5のスイッチ73に制御信号を手動でなく自動的に出力しない。第6のスイッチ79は投入され、第7のスイッチ81には電流が流れ込み、ヒータ・放電制御回路82は経過時刻に関係なく、スライドノブ41がスライドして第1段階目に位置した時からオフ位置までスライドされるまでの間、出力期間の制御信号を手動でなく自動的に第7のスイッチ81に出力する。したがって、送風モードの場合には、冷風が吹出口2から送出され始めて終了するまでの間は、放電電極51及び対向電極55に電圧が印加されてマイナスイオンを風に乗せて放出する。このマイナスイオンが放出されている間は、前記したように発光ダイオード85が発光する。ここで、冷風の場合には、温風と比べマイナスイオンにエネルギーを与えて蒸発することはないが、髪に対してマイナスイオンを供給し過ぎて髪がマイナスに帯電し、後続の送出された新鮮なマイナスイオンが同極性であるため髪から反発して髪に付着・浸透することができない。したがって、ヒータ・放電制御回路82が送風モードにおいても、手動でなく自動的に間欠的に出力期間及び出力停止期間の制御信号を第7のスイッチ81に出力し、放電電極51及び対向電極55の電圧印加が間欠的となって送出される風に伴うマイナスイオンも間欠的に放出される構成とし、過剰なマイナスイオンによる帯電を防止することもできる。 【0054】 スライドノブ41が2段階目にスライドされ、小温風モードになった場合には、第3のスイッチ69が投入され、スライドノブ41がスライドされたことをヒータ・放電制御回路82が検出した時刻(t3-1)になると手動でなく自動的にヒータ・放電制御回路82から第5のスイッチ73に出力期間の制御信号が出力されヒータ線21が加熱する一方、手動でなく自動的にヒータ・放電制御回路82から第7のスイッチ81に出力停止期間の制御信号が出力され放電電極51及び対向電極55に電圧が印加されない。時刻(t3-1)から所定時間経過した時刻(t3-2)になると、逆に、手動でなく自動的にヒータ・放電制御回路82から第5のスイッチ73に出力停止期間の制御信号が出力されヒータ線21が加熱しない一方、手動でなく自動的にヒータ・放電制御回路82から第7のスイッチ81に出力期間の制御信号が出力され放電電極51及び対向電極55に電圧が印加されマイナスイオンを生成して吹出口2から放出する。時刻(t3-3)になると、時刻(t3-1)のように手動でなく自動的にヒータ・放電制御回路82から制御信号が第5のスイッチ73及び第7のスイッチ81に出力する。時刻(t3-4)以降は、時刻(t3-2)ないし時刻(t3-4)までのヒータ・放電制御回路82からの制御信号に基づいてヒータ線21並びに放電電極51及び対向電極55に電圧が印加される。時刻(t3-1)ないし時刻(t3-2)までの間、時刻(t3-3)ないし時刻(t3-4)までの間、時刻(t3-4)以降で時刻(t3-3)ないし時刻(t3-4)までの間に相当する間には、ヒータ線21にも電流が供給されるため発光ダイオード77の発光がなされる。時刻(t3-2)ないし時刻(t3-3)までの間、時刻(t3-4)以降で時刻(t3-2)ないし時刻(t3-3)までの間に相当する間には、トランス52にも電圧が印加されるため発光ダイオード85の発光がなされる。したがって、発光ダイオード77と発光ダイオード85は、ヒータ・放電制御回路82の制御信号に基づいて交互に発光することとなる。大温風モードの場合もこの小温風モードに準じて動作し、異なる動作としては、第2のスイッチ64及び第4のスイッチ71が投入状態となって、モータ10及びヒータ線21がより高い出力なって動作する点である。 【0055】 このように本実施形態に係るドライヤによれば、前記ヒータ線21の加熱を手動でなく自動的に間欠的に行うだけでなく、放電電極51及び対向電極55への電圧印加が手動でなく自動的に間欠的になされるので、ヒータ線21の加熱の間欠周期の加熱停止期間があることで、放電により生成されたマイナスイオンが大量に利用者の髪に供給されマイナスに帯電し、後続のマイナスイオンがこの帯電により反発し新鮮で蒸発エネルギーのないマイナスイオンを髪に供給することができないという状況を回避することができ、適量なマイナスイオンを供給して帯電することなく効率的にマイナスイオンを髪に浸透させることができる。また、前記ヒータ線21による間欠的な加熱は加熱期間と加熱停止期間があり、加熱期間で放電を行わずにマイナスイオンを供給しないことで前記過剰なマイナスイオンによる帯電を防止しつつ、水分子に対して温風によってエネルギーを与えて蒸発させ不要なマイナスイオンを蒸発をもって離反させ、加熱停止期間で放電を行って大量のマイナスイオンを前記温風にて付着し易い状態にある髪に対して供給しており、不要なマイナスイオンが生成されず効率的な動作を行うことができる。また、前記発光ダイオード85を備えて前記放電電極51及び対向電極55の電圧印加期間に発光するので、利用者が発光ダイオード77の発光にて前記加熱期間を視覚で確認するだけでなく、放電期間をも発光ダイオード85の発光により視覚で確認することができ、特に放電期間中であっても人はマイナスイオンの放出を受けても体感することができないため、視覚的にマイナスイオンが放出することを知った上で効率的な使用が可能となる。」 b 図7及び図8には、次の事項が図示されている。 【図7】 [図:0001400461000010.jpg] [図:0001400461000011.jpg] イ 本件特許発明1について (ア)本件特許発明1と引用発明の対比 以下、本件特許発明1と引用発明とを対比する。 a 引用発明の「金属微粒子生成部30,40及びミスト生成部50」は、「マイナスイオンを生成する」ものであるから、本件特許発明1の「イオン発生部」に相当する。 b 引用発明の「制御部10」は、本件特許発明1の「調整部」に相当する。また、引用発明の「制御部10」は、「前記金属微粒子生成部30,40及び前記ミスト生成部50が駆動されてから所定の時間が経過した際、前記金属微粒子生成部30,40及び前記ミスト生成部50で生成されるマイナスイオンの生成量を減少させるように制御する」ものであり、ヘアドライヤ1に備えられた、何らかの計時手段が計時する「前記金属微粒子生成部30,40及び前記ミスト生成部50が駆動されてから」の「時間」に基づいて、「前記金属微粒子生成部30,40及び前記ミスト生成部50で生成されるマイナスイオンの生成量を減少させるように制御」しているといえる。すると、引用発明の「前記金属微粒子生成部30,40及び前記ミスト生成部50が駆動されてから」の「時間」は、本件特許発明1の「使用時間」に相当し、また、引用発明の「生成される」、「マイナスイオンの生成量」及び「減少させるように制御する」は、それぞれ本件特許発明1の「発生する」、「イオン量」及び「調整する」に相当するから、引用発明の「前記金属微粒子生成部30,40及び前記ミスト生成部50が駆動されてから所定の時間が経過した際、前記金属微粒子生成部30,40及び前記ミスト生成部50で生成されるマイナスイオンの生成量を減少させるように制御する制御部10」を備えるという事項は、本件特許発明1の「使用時間を計時する計時部と、前記計時部が計時する使用時間に基づいて、前記イオン発生部が発生するイオン量を調整する調整部と」を備えるという事項に相当する。 c 引用発明の「空気流W1」及び「排出する」は、それぞれ本件特許発明1の「空気流」及び「吹き出す」に相当し、引用発明の「ファン5を回転させることによって形成される空気流W1」は、ファン5の回転が何らかの手段により制御されて形成されていることが明らかであるから、本件特許発明1の「調整された空気流」に相当する。また、引用発明の「出口開口4b」は、空気流W1とともにマイナスイオンが吐出される単一の開口といえるから、本件特許発明1の「単一の吹出口」に相当し、引用発明の「吐出される」は、本件特許発明1の「吹き出される」に相当する。また、引用発明の「マイナスイオン」、及び「マイナスに帯電されたミスト」に含まれる「マイナスイオン」は、いずれも本件特許発明1の「同一極のイオン」に相当し、引用発明の「マイナスイオンを放出する」という事項、及び「マイナスイオンを含むマイナスに帯電されたミストを生成する」という事項は、いずれも本件特許発明1の「同一極のイオンを発生させる」という事項に相当する。さらに、引用発明の「放電極31,41」及び「放電極51」は、いずれも本件特許発明1の「電極」に相当し、引用発明の「イオン流路4c」は、前記ア(ア)a(m)に示した事項を踏まえると、金属微粒子生成部30,40から放出されるマイナスイオン、及びミスト生成部50から生成されるマイナスイオンを含むミストを、その下流側に設けられた出口開口4bから吐出させる際の流路であり、少なくとも出口開口4bに至る経路のいずれかで単一の空間を形成しているといえるから、引用発明の「イオン流路4cに向かって突出して設けられた放電極31,41をそれぞれ有し」、「前記イオン流路4cに向かって突出して設けられた放電極51を有する」という事項と、本件特許発明1の「2つの絶縁基板のそれぞれに設けられた切欠きによって形成される単一の空間内にそれぞれが突出して設けられた電極を複数有」するという事項とは、「単一の空間に向かってそれぞれが突出して設けられた電極を複数有」する点において共通する。以上を踏まえると、引用発明の「前記金属微粒子生成部30,40は、ファン5を回転させることによって形成される空気流W1を排出する出口開口4bから前記空気流W1とともに吐出されるマイナスイオンを放出する、イオン流路4cに向かって突出して設けられた放電極31,41をそれぞれ有し、前記ミスト生成部50は、前記出口開口4bから前記空気流W1とともに吐出されるマイナスイオンを含むマイナスに帯電されたミストを生成するための、前記イオン流路4cに向かって突出して設けられた放電極51を有する」という事項と、本件特許発明1の「前記イオン発生部は、調整された空気流を吹き出す単一の吹出口から前記空気流と共に吹き出される同一極のイオンを発生させる、2つの絶縁基板のそれぞれに設けられた切欠きによって形成される単一の空間内にそれぞれが突出して設けられた電極を複数有」するという事項とは、「前記イオン発生部は、調整された空気流を吹き出す単一の吹出口から前記空気流と共に吹き出される同一極のイオンを発生させる、単一の空間に向かってそれぞれが突出して設けられた電極を複数有」する点において共通する。 d 引用発明の「ヘアドライヤ1」は、本件特許発明1の「ヘアドライヤー」に相当する。 e そうすると、本件特許発明1と引用発明とは、以下の[一致点]で一致し、[相違点1]及び「相違点2」で相違する。 [一致点] 「イオン発生部と、 使用時間を計時する計時部と、 前記計時部が計時する使用時間に基づいて、前記イオン発生部が発生するイオン量を調整する調整部と を備え、 前記イオン発生部は、調整された空気流を吹き出す単一の吹出口から前記空気流と共に吹き出される同一極のイオンを発生させる、単一の空間に向かってそれぞれが突出して設けられた電極を複数有する、 ヘアドライヤー。」 [相違点1] イオン発生部が有する複数の電極について、本件特許発明1は、「2つの絶縁基板のそれぞれに設けられた切欠きによって形成される単一の空間内にそれぞれが突出して設けられ」、「前記単一の空間内で」イオンを発生させるのに対し、引用発明は、「イオン流路4cに向かって突出して設けられ」ているものの、前記のような切欠きによって形成される単一の空間内に突出して設けられているとはいえず、該単一の空間内でマイナスイオンを発生させているともいえない点。 [相違点2] 本件特許発明1は、「前記調整部は、前記計時部が計時する使用時間に基づいて、複数の前記電極から」「イオンを発生させる電極を少なくとも1つ選択する」のに対し、引用発明は、「制御部10」が「前記金属微粒子生成部30,40及び前記ミスト生成部50が駆動されてから所定の時間が経過した際、前記金属微粒子生成部30,40及び前記ミスト生成部50で生成されるマイナスイオンの生成量を減少させるように制御する」ものの、金属微粒子生成部30,40の放電極31,41や、ミスト生成部50の放電極51からマイナスイオンを生成する電極を少なくとも1つ選択するものとはいえない点。 (イ)判断 a 相違点についての検討 以下、[相違点1]について検討する。 引用発明は、金属微粒子生成部30,40に放電極31,41をそれぞれ有し、ミスト生成部50に放電極51を有するものであるが、引用文献1の前記ア(ア)a(e)に示した段落【0119】、【0120】には、ミスト生成部50と、当該ミスト生成部50と隣り合う金属微粒子生成部30,40との間に、遮蔽板(仕切部)6dを配置することで、金属微粒子やミストが混合してしまうのを抑制することが記載されている。 すると、引用発明の金属微粒子生成部30,40におけるマイナスイオンを放出する放電極31,41や、ミスト生成部50におけるミストを生成する放電極51は、放出されたマイナスイオンや、生成されたミストが、少なくとも放出あるいは生成直後に混合しないように、互いに別の空間に設けられていると解される。そして、該互いに別の空間に設けられている放電極31,41及び放電極51を、あえて単一の空間内にそれぞれが突出するように設けることの動機となるような事項は、引用文献1に何ら記載されていない。 また、引用文献1には、2つの絶縁基板のそれぞれに設けられた切欠きにより単一の空間を形成することについても何ら記載されていない。 そして、引用文献2~引用文献5の記載をみても、引用発明の放電極31,41及び放電極51を単一の空間内にそれぞれが突出するように設けることの動機となるような事項や、2つの絶縁基板のそれぞれに設けられた切欠きにより単一の空間を形成することについて、何ら記載されていない。また、これらの事項は、特許異議申立人が提出した甲第5号証(特開2003-59622号公報)、甲第7号証(特開2015-19854号公報)、甲第8号証(特許第5800772号公報)にも、何ら記載されていない。 すると、引用発明において、当業者が引用文献1に記載された事項、引用文献2~5に記載された事項及び甲第5、7、8号証に記載された事項を考慮したとしても、互いに別の空間に設けられていると解される放電極31,41及び放電極51を、あえて単一の空間内、しかも2つの絶縁基板のそれぞれに設けられた切欠きにより形成された単一の空間内にそれぞれが突出するように設ける動機付けはないといえ、本件特許発明1の前記相違点1に係る発明特定事項とすることは、当業者といえども容易に想到し得るものではない。 b 特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、令和5年1月13日に提出した意見書の3.2(2)において、引用文献1には、生成部(金属微粒子生成部30,40及びミスト生成部50)で生成された成分は、出口開口(吐出口)4bから空気流W1とともに吐出させるようにしてもよいことが記載されているから、先の訂正後の請求項1に係る発明と引用発明とに新たな相違点は生じない旨を主張しているが、本件訂正により、本件特許発明1と引用発明とは、新たに前記相違点1で相違することとなった。そして、引用発明が、空気流W1を排出する出口開口4bから空気流W1とともにマイナスイオン、及びマイナスイオンを含むマイナスに帯電されたミストを吐出するものだとしても、前記aに示したように、引用発明において、互いに別の空間に設けられていると解される放電極31,41及び放電極51を、あえて単一の空間内、しかも2つの絶縁基板のそれぞれに設けられた切欠きにより形成された単一の空間内にそれぞれが突出するように設ける動機付けはないといえる。 したがって、特許異議申立人の前記主張は採用できない。 (ウ)まとめ したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件特許発明1は、引用発明、引用文献1に記載された事項、引用文献2~5に記載された事項及び甲第5、7、8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件特許発明2~本件特許発明5について 本件特許発明2~本件特許発明5は、本件特許発明1の発明特定事項を全て含む発明であり、本件特許発明1の前記相違点1に係る発明特定事項を備えるものであるから、前記イに示した理由と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第5 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について 1 特許法第36条第6項第2号(明確性)について (1)特許異議申立人は、特許異議申立書の3.4.4(1)において、本件訂正前の請求項1~請求項5に係る発明における「前記イオン発生部が発生するイオン量を調整する」とは、複数の電極のうちの選択された電極の数により、イオン発生部が発生するイオン量を調整していると理解されるが、電極の数によらずに個々の電極から発生させるイオン量を調整する場合も含むと解されることから、「前記イオン発生部が発生するイオン量を調整する」とは具体的にどのような構成を意味しているのかが不明である旨を主張している。 しかしながら、本件訂正後の請求項1には、「前記計時部が計時する使用時間に基づいて、前記イオン発生部が発生するイオン量を調整する調整部」及び「前記調整部は、前記計時部が計時する使用時間に基づいて、複数の前記電極から前記単一の空間内でイオンを発生させる電極を少なくとも1つ選択する」と記載されているから、「前記イオン発生部が発生するイオン量を調整する」とは、計時部が計時する使用時間に基づいて、複数の電極からイオンを発生させる電極を少なくとも1つ選択することにより、イオン発生部が発生するイオン量を調整することを意味していることは明らかである。すると、本件特許発明1は明確であり、本件特許発明2~5についても同様であるから、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たすものである。 したがって、特許異議申立人の前記主張は、採用することができない。 (2)特許異議申立人は、特許異議申立書の3.4.4(2)において、本件訂正前の請求項1及び請求項5に係る発明における「前記イオン発生部は、同一極のイオンを発生させる電極を複数有し」という事項について、マイナスイオンとプラスイオンの2極性のイオンを発生することが明確でない旨を主張している。 しかしながら、本件訂正後の請求項1には、電極が発生させるイオンの極性について、「同一極のイオンを発生させる、・・・(中略)・・・電極を複数有し」と記載されているのみであるから、本件特許発明1において、複数の電極が発生させるイオンは同一極性であればよいこと、つまり複数の電極が発生させるイオンはマイナスイオンか、プラスイオンのどちらかでよいことは明らかである。すると、本件特許発明1は明確であり、本件特許発明5についても同様であるから、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たすものである。 したがって、特許異議申立人の前記主張は、採用することができない。 2 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について (1)特許異議申立人は、特許異議申立書の3.4.5(1)において、本件訂正前の請求項1~請求項5に係る発明における「前記イオン発生部が発生するイオン量を調整する」との構成では、具体的にどのようにして、「前記イオン発生部が発生するイオン量を調整する」のかが特定されていないため、電極の数によらずにイオン量を調整する場合も含むとも解され、「空気流の周辺部にマイナスイオンを分布させることができ、ユーザは毛髪を整えやすくなる」(段落【0054】)という課題が達成されないことになる旨を主張している。 しかしながら、前記1(1)に示したように、「前記イオン発生部が発生するイオン量を調整する」とは、計時部が計時する使用時間に基づいて、複数の電極からイオンを発生させる電極を少なくとも1つ選択することにより、イオン発生部が発生するイオン量を調整することを意味するものであり、このようにイオン発生部が発生するイオン量を調整することにより、本件特許の明細書の段落【0005】に記載された「ユーザの意志を尊重しつつも、毛髪にとって好ましいイオン量を発生させるヘアドライヤーを提供する」という課題を解決できることは明らかである。すると、本件特許発明1は、発明の詳細な説明において、段落【0005】の記載から把握される前記の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲のものであって、発明の詳細な説明に記載されたものといえ、本件特許発明2~5についても同様であるから、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号の要件を満たすものである。 したがって、特許異議申立人の前記主張は、採用することができない。 (2)特許異議申立人は、特許異議申立書の3.4.5(2)において、本件訂正前の請求項1の記載では、「前記イオン発生部は、同一極のイオンを発生させる電極を複数有し」と、マイナスイオンとプラスイオンの2極性のイオンを発生することが明確ではなく、マイナスイオンとプラスイオンのうち、どちらかの極性のイオンしか発生しないヘアドライヤーをも包含しているから、本件特許発明1及び本件特許発明5は、発明の詳細な説明において、「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を越えている旨を主張している。 まず、前記1(2)に示したように、本件特許発明1において、複数の電極が発生させるイオンは同一極性であればよく、つまり複数の電極が発生させるイオンはマイナスイオンか、プラスイオンのどちらかでよいことは明らかである。そして、本件特許発明の解決しようとする課題は、前記(1)に示したように、「ユーザの意志を尊重しつつも、毛髪にとって好ましいイオン量を発生させるヘアドライヤーを提供する」ことであると把握されるところ、該課題を解決し、好ましいイオン量を発生させるための手段として、プラスイオンの量を調整することなくマイナスイオンの量のみを調整すること、又はマイナスイオンの量を調整することなくプラスイオンの量のみを調整することは、本件特許の明細書の段落【0039】、【0040】、【0054】等に記載されている。すると、本件特許発明1において、複数の電極が発生させるイオンがマイナスイオンか、プラスイオンのどちらかでよいことをもって、本件特許発明1が前記の課題を解決できないとはいえない。よって、本件特許発明1は、発明の詳細な説明において、段落【0005】の記載から把握される前記の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲のものであって、発明の詳細な説明に記載されたものといえ、本件特許発明5についても同様であるから、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号の要件を満たすものである。 したがって、特許異議申立人の前記主張は、採用することができない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件の請求項1~請求項5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件の請求項1~請求項5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700774

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