特許異議申立
2022-700730
包被食品成形方法及び装置
- 審判番号
- 2022-700730
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-100513
- 登録番号
- 7029824
- 請求日
- 2022年07月28日
- 審決日
- 2022年11月16日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社コバード
- 【権利者代理人】弁理士法人大手門国際特許事務所
- 【異議申立人】レオン自動機 株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 西村 泰英
- 審判官 菅家 裕輔
- 審判官 平城 俊雅
- 分類
- P1651.121-Y (A21C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7029824号発明「包被食品成形方法及び装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7029824号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
1 手続の経緯
特許第7029824号の請求項1に係る特許についての出願は、令和2年6月9日に出願され、令和4年2月24日にその特許権の設定登録がされ、令和4年3月4日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和4年7月28日に特許異議申立人レオン自動機株式会社(以下、「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
2 本件発明
特許第7029824号の請求項1の特許に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
シート状の外皮材に内材を配置する配置工程と、シャッタ手段により前記内材を包み込むように前記外皮材の周縁部を寄せ集めてシャッタ手段を閉じ切らずに形成された隙間にこぶ状の突起を形成して周縁部を前記内材が露出しない程度に緩く封着する封着工程と、前記外皮材を支持手段により下方から支持しながら封着部分の前記突起を前記シャッタ手段に対して相対的に下方に移動させた後前記シャッタ手段を閉じ切るように動作させて封着部分の前記突起を横方向から押し均すように整形する整形工程とを備えている包被食品成形方法。」
3 申立理由の概要
申立人は、主たる証拠として甲第1号証(特開2019-71858号公報)並びに従たる証拠として甲第2号証(特開2002-335933号公報)、甲第3号証(特開2003-79356号公報)及び甲第4号証(特開2008-178391号公報)(以下、甲第1号証~甲第4号証をそれぞれ「甲1」~「甲4」という。)を提出し、請求項1に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
4 各甲号証
(1)甲1について
ア 甲1の記載
(ア)「【0001】
本発明は、塊状食材や流動性食材といった異なる特性の複数種類の内材を外皮材により包み込むように成形する包被食品成形装置及び方法に関する。」(下線は理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)
(イ)「【0040】
図9から図15は、包被食品成形装置の成形動作に関する説明図であり、装置の側面からみた動作過程における概略断面図を示している。図9では、搬入部7によりシート状の外皮材Fが受け部材82上に搬入される。吐出部5は、上方の待機位置に設定されており、開閉部材52は、吐出管50内を下降した状態に設定されている。そのため、開閉部材52により吐出管50の供給管12及び保持部材42bとの接続口は閉鎖されている。そして、供給管12内には、流動性食材Lが充填された状態となっており、保持部材42b内では、導入部材42cが退避位置に移動して塊状食材Bが投入された状態となっている。また、吐出管50の下端開口50aは、開閉部材52の先端面52aと面一となるように設定されて閉鎖されている。
・・・
【0046】
図13では、開閉部材52が吐出管50内を下降して閉鎖位置に設定されて開閉部材52の先端面52aが吐出管50の下端開口50aと面一の状態となる。そのため、流動性部材L及び塊状食材Bが吐出管50の下端開口50aから押し出されるように外皮材Fに向かって吐出され、それに伴って外皮材Fは膨らんで両食材を収容するように窪んだ状態に変形する。開閉部材52は、塊状食材Bを流動性食材L内に押し込みながら下降していくため、外皮材F内に吐出された塊状食材Bは流動性食材Lと混在して両食材が所定量ずつ混ざり合った内材Gを充填した状態とすることができる。塊状食材Bが柔らかい食材の場合でも、形状を維持した状態で流動性食材L内に無理なく押し込むことができるので、様々な塊状食材を含む内材を充填することが可能となる。
【0047】
開閉部材52の先端面は塊状食材Bと接触しながら下降するため、流動性食材Lとほとんど接触することなく食材を吐出するようになり、両食材を合流させて確実に内材として外皮材F内に吐出することができる。また、保持部材42bの接続口が供給管12の接続口よりも高い位置に設定されているので、吐出管50内に導入された塊状食材Bが供給管12の接続口を通過する際に接続口近傍に滞留する流動性食材Lとともに移動して吐出するようになり、流動性食材Lの切れをよくすることができる。
【0048】
また、吐出管50の下端開口50aと開閉部材52の先端面52aがほぼ面一の状態となることで、大きいサイズの塊状部材の場合でも、下端開口50aより上方に突出することがなくなり、後述するシャッタによる封着の際に塊状食材Bが支障とならずにスムーズに封着することができる。さらに、流動性食材Lが漏出することなく確実に外皮材F内に収容した状態とすることが可能となる。
【0049】
また、支持部材94は、食材が外皮材Fに吐出されるのに合わせて上方に移動し、外皮材Fの下方に窪んだ部分に当接して支持する。一方、投入管42aには、次の塊状食材Bが所定量投入される。
【0050】
図14では、供給部4及び吐出部5全体が上昇して、吐出管50及び開閉部材52が外皮材Fから離間するとともに押え部材54が離間するようになる。そして、上段のシャッタ80が閉じる方向に動作して受け部材82に載置された外皮材Fの周縁部を中心に向かって寄せ集めるようにする。その際に、外皮材Fに配置された内材Gは、受け部材82の載置面とほぼ同じ高さまでに収容されており、塊状食材Bが突出していないので、外皮材Fの内側にほぼ隙間の無い状態で周縁部を寄せ集めることができる。シャッタ80は、完全に閉じることなく外皮材Fの周縁部が密着した状態となるまで閉じる方向に動作する。
【0051】
図15では、上段のシャッタ80の閉じる方向への動作に続いて下段のシャッタ81が閉じる方向に動作して、受け部材82の下方において寄せ集められた外皮材Fの周縁部をシャッタ片81dにより封着して成形品Hを得る。そして、支持部材94が下方に移動して、搬送ベルトを搬送制御して成形品Hを搬出する。また、供給部4では、導入部材42cが吐出管50から離間する方向に退避して、保持部材42b内に次の塊状食材Bが投入されるようになる。得られた成形品Hは、ひっくり返して封着部分を底面とすることで、外皮材Fの膨出面が表面となってきれいに仕上げることができる。また、内材Gについてもひっくり返ることで流動性食材Lが塊状食材Bの間を流下して全体にほぼ均一に混ざり合うようになる。」
(ウ)「
[図:0001392083000001.jpg]
」
(エ)「
[図:0001392083000002.jpg]
」
イ 甲1の記載から認められる事項
(ア)上記ア(イ)の段落【0050】及びア(エ)の図14から、シャッタ80により外皮材Fの周縁部を中心に向かって寄せ集めるようにする際に、内材Gは外皮材Fにより包み込むようにされていることが看取できる。
(イ)上記ア(イ)の段落【0050】及びア(エ)の図14から、シャッタ80により外皮材Fの周縁部を中心に向かって寄せ集めるようにし、シャッタ80が完全に閉じることなく外皮材Fの周縁部が密着した状態となるまで閉じる方向に動作した状態において、シャッタ80の隙間には、外皮材Fの周縁部が密着した突起が形成されることが看取できる。
(ウ)上記ア(イ)の段落【0051】及びア(エ)の図15から、上段のシャッタ80の閉じる方向への動作に続いて下段のシャッタ81が閉じる方向に動作して、封着して成形品Hを得る際に、上段のシャッタ80及び下段のシャッタ81が閉じきるように動作していることが看取できる。
ウ 甲1発明
上記ア及びイから、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「流動性部材L及び塊状食材Bが吐出管50の下端開口50aから押し出されるようにシート状の外皮材Fに向かって吐出され、それに伴って外皮材Fは膨らんで両食材を収容するように窪んだ状態に変形し、
上段のシャッタ80が閉じる方向に動作して受け部材82に載置された外皮材Fの周縁部を中心に向かって寄せ集めるようにする際に、内材Gは外皮材Fにより包み込むようにされており、シャッタ80は、完全に閉じることなく外皮材Fの周縁部が密着した状態となるまで閉じる方向に動作し、その際に、シャッタ80の隙間には、外皮材Fの周縁部が密着した突起が形成され、
支持部材94は、外皮材Fの下方に窪んだ部分に当接して支持し、上段のシャッタ80の閉じる方向への動作に続いて下段のシャッタ81が閉じる方向に動作し、上段のシャッタ80及び下段のシャッタ81が閉じきるように動作して、受け部材82の下方において寄せ集められた外皮材Fの周縁部をシャッタ片81dにより封着して成形品Hを得る包被食品成形方法。」
(2)甲2について
ア 甲2の記載
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品成形方法とその装置、より詳しくは、パン生地、饅頭生地等の外皮材によって、餡、調理した肉・野菜等の内材を確実に包み込み成形することができる食品成形方法と食品成形装置に関するものである。」
(イ)「【0026】次に、第一シャッタ工程として、図9及び図10に示すように、第一シャッタ1を閉動作させることによって第二シャッタ2のシャッタ片20上に位置する外皮材Fの周縁部を内材Gを包むように集める。このように本実施形態では、複数のシャッタ片10・10…が外側から中央へ向かって水平に移動して外皮材Fの周縁部を内材Gに沿って中央に集めることができるので、外皮材Fと内材Gとの間の空気を逃がしながら外皮材Fで内材Gを包んでゆくことができる。
【0027】そして、第二シャッタ工程として、図11及び図12に示すように、第一シャッタ1を閉じた状態で、第二シャッタ2を閉動作させることによって、集めた外皮材Fの周縁部を確実に封着して外皮材Fで内材Gを包み込んだ成形品Hを得るのである。なお、外皮材Fの周縁部を第二シャッタ2で封着するとき、外皮材形成手段3を適宜に上下動させて第二シャッタ2との間隔を調整することにより成形品Hの形状を積極的に整形することも可能である。」
(ウ)「
[図:0001392083000003.jpg]
」
(エ)「
[図:0001392083000004.jpg]
」
イ 甲2の記載から認められる事項
(ア)上記ア(イ)の段落【0027】及びア(エ)の図12から、甲2では、成形品Hを得る際に、第二シャッタ2が閉じきっていることが看取できる。
ウ 甲2記載事項
上記ア及びイから、甲2には、次の事項(以下「甲2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「外皮材Fの周縁部を第二シャッタ2で封着するとき、外皮材形成手段3を適宜に上下動させて第二シャッタ2との間隔を調整することにより成形品Hの形状を積極的に整形するものであり、また、成形品Hを得る際に、第二シャッタ2は閉じきる食品成形方法。」
(3)甲3について
ア 甲3の記載
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品成形装置、より詳しくは、パン生地、饅頭生地等の外皮材によって、餡、調理した肉・野菜等の内材を確実に包み込み成形することができる食品成形装置に関するものである。」
(イ)「【0022】次に、図11(a)に示すように、予め設定された動作開始タイミングで第一シャッタ1を閉じる方向に動作させて、第二シャッタ2のシャッタ片上に位置する外皮材Fの周縁部を寄せ集める(図11(b)参照)。そして、図12に示すように、第一シャッタ1の動作開始後予め設定された動作開始タイミングで第二シャッタ2が閉じる方向に動作し、第一シャッタ1が寄せ集めた外皮材Fの周縁部をさらに寄せ集めるようにする。このとき、外皮材Fの周縁部を内材Gに沿って中央に集めることができるので、外皮材Fと内材Gとの間の空気を逃がしながら外皮材Fで内材Gを包んでゆくことができる。
【0023】そして、図13(a)及び図14(a)に示すように、第二シャッタ2をさらに閉じる方向に動作させることにより、集めた外皮材Fの周縁部を確実に封着して外皮材Fで内材Gを包み込んだ成形品Hを得るのである(図13(b)及び図14(b)参照)。その後、成形品Hを支える支持部材60が下降してベルト上に成形品Hが載置された状態となり、ベルトコンベア63を駆動して成形品Hをベルト搬送する。
【0024】このように本実施形態によれば、まず、第一シャッタ1が外皮材Fの周縁部を集め(図12(b)の符号A参照)、次いで下方の第二シャッタ2が、集めた部分(図12(b)の符号A参照)とは異なる外皮材Fの周辺部分(図12(b)の符号B参照)を更に集めて封着するので、外皮材Fの形状にばらつきがあったとしても、第一シャッタ1により外皮材の周縁部を寄せ集めてから第二シャッタ2の動作により封着するので、外皮材を両シャッタである程度引き伸ばして外皮材の周縁部を確実に封着することができる。
【0025】図15は、図6から図14までの第一シャッタ1及び第二シャッタ2の開閉動作と支持部材60の上下動作とについて時間を横軸にとってその時間的な動きを示したものである。初期状態は時刻t1の左側に示されているように、第一シャッタ1は開いた状態に、第二シャッタ2は閉じた状態にされており、支持部材60は下方の位置に配置されている。まず、時刻t1で外皮材Fが検知されて、第一シャッタ1が閉じる方向に動作し、中間位置まで閉じて外皮材Fの位置を調整し、元の開いた状態に戻る。支持部材60は上方に移動して第二シャッタ2との間隔を所定の間隔に調整する。第二シャッタ2は完全に閉じた状態のままである。時刻t2では、第一シャッタ1が元の開いた状態に戻ったタイミングで第二シャッタ2が開く方向に動作し、所定の開口領域になったときに停止し、時刻t3からt4の間に押込み手段3により外皮材Fが第二シャッタ2の開口領域に押込まれるとともに内材Gが供給される。時刻t4から第一シャッタ1の閉動作が開始され、外皮材Fの周縁部が寄せ集められ、時刻t5で完全に閉じた状態になり、時刻t5から第二シャッタ2が閉じる方向に動作開始し、外皮材Fの周縁部を封着して時刻t6で完全に閉じた状態になる。この際第一シャッタ1が閉じた後に第二シャッタ2が閉じるので、外皮材Fの封着動作の際に生じる第二シャッタ2上面への外皮材Fのはみ出しを防止することができる。支持部材60は時刻t5から第二シャッタ2の動作に合わせて下方に移動して第二シャッタ2の封着動作を助ける。すなわち、必要以上に第二シャッタ2により外皮材Fが寄せ集められないように調整される。時刻t6から第一シャッタ1及び第二シャッタ2はいったん開いた状態に動作した後、第二シャッタ2は閉じた状態に戻り時刻t7で初期状態になる。
【0026】以上が外皮材Fにより内材Gを包み込み成形するための一連の動作であるが、第一シャッタ1及び第二シャッタ2の動作タイミングと支持部材60の位置とを調整することで様々な場合に対応することができる。例えば、外皮材Fの封着が不完全な場合外皮材Fの寄せ集めを多くする必要があるが、図15に点線で示すように、時刻t5での第二シャッタ2の動作開始タイミングを時刻t’5に早くすることにより外皮材Fの寄せ集めを多くすることができる。これは、第一シャッタ1の動作中に第二シャッタ2を動作させることにより第一シャッタ1が寄せ集めた外皮材Fが戻らない間に第二シャッタ2がさらに寄せ集めて封着するため、確実な封着が可能となる。つまり、第二シャッタ2の動作開始タイミングが早くなるほど外皮材Fの寄せ集めを多くすることができる。逆に、外皮材Fの寄せ集めが多すぎる場合には時刻t5での支持部材60の下方移動開始タイミングを早くすることで、第二シャッタ2の封着動作の際に外皮材Fを下方に移動させ、外皮材Fの寄せ集め量を調整することができる。したがって、例えば、外皮材Fが伸張性に富む場合には、図16に示すように第二シャッタ2のみによる封着動作を行うこともできる。すなわち、図10において内材を押込み部材30から供給した後(図16(a))支持部材60を下方に移動させて外皮材Fの周縁部が第二シャッタ2上面より下に位置するように調整し(図16(b))第一シャッタ1が閉じた後(図16(c))第二シャッタ2を動作させて外皮材Fの周縁部を封着動作させる(図16(d))。この場合には、第一シャッタ1が閉じた状態で第二シャッタ2が閉じるので、第一シャッタ1は、第二シャッタ2から外皮材Fがはみ出すのを防止する。」
(ウ)「
[図:0001392083000005.jpg]
」
(エ)「
[図:0001392083000006.jpg]
」
(オ)「
[図:0001392083000007.jpg]
」
イ 甲3の記載から認められる事項
(ア)上記アから、甲3には、食品成形方法が開示されていることが看取できる。
ウ 甲3記載事項
上記ア及びイから、甲3には、次の事項(以下「甲3記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「第一シャッタ1の動作開始後予め設定された動作開始タイミングで第二シャッタ2が閉じる方向に動作し、第一シャッタ1が寄せ集めた外皮材Fの周縁部をさらに寄せ集めるようにし、第二シャッタ2をさらに閉じる方向に動作させることにより、集めた外皮材Fの周縁部を確実に封着して外皮材Fで内材Gを包み込んだ成形品Hを得る際に、
時刻t4から第一シャッタ1の閉動作が開始され、外皮材Fの周縁部が寄せ集められ、時刻t5で完全に閉じた状態になり、時刻t5から第二シャッタ2が閉じる方向に動作開始し、外皮材Fの周縁部を封着して時刻t6で完全に閉じた状態になり、
支持部材60は、時刻t5から第二シャッタ2の動作に合わせて下方に移動して第二シャッタ2の封着動作を助ける食品成形方法であり、
また、外皮材Fの寄せ集めが多すぎる場合には時刻t5での支持部材60の下方移動開始タイミングを早くすることで、第二シャッタ2の封着動作の際に外皮材Fを下方に移動させ、外皮材Fの寄せ集め量を調整することができる食品成形方法。」
(4)甲4について
ア 甲4の記載
(ア)「【0001】
本発明は、例えばパン生地などの食品生地からなる外皮材でもって、例えば餡やジャムなどの食品からなる内材を包み込んだ構成の包被食品(製品)を連続的に製造できる包被食品の製造方法及び装置に関する。」
(イ)「【0047】
前記ノズル部材43の上昇が終了したA9位置から封着手段としての前記シャッタ開口部39の閉動作が再開され、前記シャッタ開口部39が縮径すると共に、前記シャッタ片37の側面37Bが前記外皮材3の周縁部3Aを中央部に寄せ集めて内材11を包み込むように封着して包被食品17を成形する。前記シャッタ開口部39の縮径は、図5で示すごとくシャッタ開口部39が完全に閉じる以前のA11位置にて停止される。中央部に寄せ集められた前記周縁部3Aは、一部が前記シャッタ片37の下方に移動すると共に、残りの部分が前記包被食品17の上部に突起状の封着部17Aとして成形される。このA11位置を突起状封着部成形位置と称す(図5参照)。
【0048】
また、前記支持部15Aは、前記シャッタ開口部39の閉動作が再開された後のA10位置から降下が開始され、ほぼA11位置にて停止される。この支持部15Aの降下は、前記シャッタ開口部39の縮径に伴う前記外皮材3の周縁部3Aの生地を前記シャッタ片37の下方に誘導する作用がある。
【0049】
さらに、A12位置において前記支持部15Aの降下が再開され、図6に示すごとく包被食品17が前記支持部15Aに支持されながら降下する。そして、A13位置にて前記支持部15Aの降下が停止されると共に、前記シャッタ開口部39が閉動作を再開して完全に閉口される。
【0050】
前記シャッタ開口部39が完全に閉口された後のA14位置において、前記支持部15Aの上昇が開始され前記A12位置の時とほぼ同じ位置まで上昇される。この上昇により、支持部15Aに支持された前記包被食品17の突起状の封着部17Aは、図7に示すごとく各シャッタ片37の下面により形成される平面に押し当てられ、前記突起状封着部17Aは、前記包被食品17の上部に埋没、没入するように押し潰されるので、前記突起状封着部17Aが包被食品17の上部に残ることなく確実に平坦に成形される。したがって、包被食品17の表面に不必要な凹凸がなく整った表面が成形される。また、包被食品17の突起状封着部17Aから内材11が漏出されることなく包被成形されているため、包被食品17の上部を閉口したシャッタ片37の下面に押し当ててもシャッタ片37が内材11で汚れるようなことはない。」
(ウ)「
[図:0001392083000008.jpg]
」
(エ)「
[図:0001392083000009.jpg]
」
イ 甲4記載事項
上記アから、甲4には、次の事項(以下「甲4記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「外皮材3の周縁部3Aを中央部に寄せ集めて内材11を包み込むように封着して包被食品17を成形し、包被食品17が支持部15Aに支持されながら降下し、支持部15Aの降下が停止されると共に、シャッタ開口部39が閉動作を再開して完全に閉口され、
シャッタ開口部39が完全に閉口された後に、支持部15Aの上昇が開始され、
この上昇により、支持部15Aに支持された包被食品17の突起状の封着部17Aは、各シャッタ片37の下面により形成される平面に押し当てられ、突起状封着部17Aは、包被食品17の上部に埋没、没入するように押し潰される包被食品の製造方法。」
5 当審の判断
(1)請求項1に係る発明について
ア 対比
請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。)と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「シート状の外皮材」は本件発明1の「シート状の外皮材」に相当し、以下同様に、
「流動性部材L及び塊状食材B」は「内材」に、
「流動性部材L及び塊状食材Bが吐出管50の下端開口50aから押し出されるようにシート状の外皮材Fに向かって吐出され、それに伴って外皮材Fは膨らんで両食材を収容」することは「内材を配置」することにそれぞれ相当する。
してみると、甲1発明の「流動性部材L及び塊状食材Bが吐出管50の下端開口50aから押し出されるようにシート状の外皮材Fに向かって吐出され、それに伴って外皮材Fは膨らんで両食材を収容するように窪んだ状態に変形」する工程は、本件発明1の「シート状の外皮材に内材を配置する配置工程」に相当する。
(イ)甲1発明の「上段のシャッタ80が閉じる方向に動作して受け部材82に載置された外皮材Fの周縁部を中心に向かって寄せ集めるようにする際に、内材Gは外皮材Fにより包み込むようにされ」ることは本願発明1の「シャッタ手段により前記内材を包み込むように前記外皮材の周縁部を寄せ集め」ることに、以下同様に、
「シャッタ80は、完全に閉じることなく」された状態の「シャッタ80の隙間」は「シャッタ手段を閉じ切らずに形成された隙間」に、
「外皮材Fの周縁部が密着した突起」は「突起」にそれぞれ相当する。
また、甲1発明の「外皮材Fの周縁部を中心に向かって寄せ集めるようにする際に、内材Gは外皮材Fにより包み込むようにされており」、「外皮材Fの周縁部が密着した状態」とすることと、本件発明1の「周縁部を前記内材が露出しない程度に緩く封着する」こととは、「周縁部を接触させる」という限りにおいて一致する。
してみると、甲1発明の「上段のシャッタ80が閉じる方向に動作して受け部材82に載置された外皮材Fの周縁部を中心に向かって寄せ集めるようにする際に、内材Gは外皮材Fにより包み込むようにされており、シャッタ80は、完全に閉じることなく外皮材Fの周縁部が密着した状態となるまで閉じる方向に動作し、その際に、シャッタ80の隙間には、外皮材Fの周縁部が密着した突起が形成され」る工程と、本件発明1の「シャッタ手段により前記内材を包み込むように前記外皮材の周縁部を寄せ集めてシャッタ手段を閉じ切らずに形成された隙間にこぶ状の突起を形成して周縁部を前記内材が露出しない程度に緩く封着する封着工程」とは、「シャッタ手段により前記内材を包み込むように前記外皮材の周縁部を寄せ集めてシャッタ手段を閉じ切らずに形成された隙間に突起を形成して周縁部を接触させる工程」という限りにおいて一致する。
(ウ)甲1発明の「支持部材94は、外皮材Fの下方に窪んだ部分に当接して支持」することは、本件発明1の「前記外皮材を支持手段により下方から支持」することに相当し、以下同様に、
「上段のシャッタ80の閉じる方向への動作に続いて下段のシャッタ81が閉じる方向に動作し、上段のシャッタ80及び下段のシャッタ81が閉じきるように動作」させることは、「前記シャッタ手段を閉じ切るように動作」させることに相当する。
してみると、甲1発明の「支持部材94は、外皮材Fの下方に窪んだ部分に当接して支持し、上段のシャッタ80の閉じる方向への動作に続いて下段のシャッタ81が閉じる方向に動作し、上段のシャッタ80及び下段のシャッタ81が閉じきるように動作して、受け部材82の下方において寄せ集められた外皮材Fの周縁部をシャッタ片81dにより封着して成形品Hを得る」工程は、本件発明1の「前記外皮材を支持手段により下方から支持」し「前記シャッタ手段を閉じ切るように動作」させる工程に相当する。
(エ)甲1発明の「包被食品成形方法」と本件発明1の「包被食品成形方法」とは、「シート状の外皮材に内材を配置する配置工程と、シャッタ手段により前記内材を包み込むように前記外皮材の周縁部を寄せ集めてシャッタ手段を閉じ切らずに形成された隙間に突起を形成して周縁部を接触させる工程と、前記外皮材を支持手段により下方から支持し、前記シャッタ手段を閉じ切るように動作させる工程とを備えている」という限りにおいて一致する。
以上まとめると、本願発明1と甲1発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。
[一致点]
「シート状の外皮材に内材を配置する配置工程と、シャッタ手段により前記内材を包み込むように前記外皮材の周縁部を寄せ集めてシャッタ手段を閉じ切らずに形成された隙間に突起を形成して周縁部を接触させる工程と、前記外皮材を支持手段により下方から支持し、前記シャッタ手段を閉じ切るように動作させる工程とを備えている包被食品成形方法。」
[相違点1]
「突起」に関して、本願発明1では、「こぶ状」のものであるのに対し、甲1発明では、「こぶ状」のものであるのか定かでない点。
[相違点2]
外皮材の「周縁部を接触させる工程」に関して、本願発明1では、外皮材の「周縁部を前記内材が露出しない程度に緩く封着する封着工程」であるのに対し、甲1発明では、「外皮材Fの周縁部を中心に向かって寄せ集めるようにする際に、内材Gは外皮材Fにより包み込むようにされており」、「外皮材Fの周縁部が密着した状態」とする工程であるものの、「内材が露出しない程度に緩く封着する封着工程」であるのか定かでない点。
[相違点3]
本願発明1では、「前記外皮材を支持手段により下方から支持しながら封着部分の前記突起を前記シャッタ手段に対して相対的に下方に移動させた後前記シャッタ手段を閉じ切るように動作させて封着部分の前記突起を横方向から押し均すように整形する整形工程」であるのに対して、甲1発明では、外皮材Fを支持部材94により下方から支持し、上段のシャッタ80及び下段のシャッタ81が閉じきるように動作するものの、「封着部分の前記突起を前記シャッタ手段に対して相対的に下方に移動させた後前記シャッタ手段を閉じ切るように動作させて封着部分の前記突起を横方向から押し均すように整形する整形工程」であるのか定かでない点。
イ 判断
事案に鑑みて、上記相違点3について先に検討する。
甲2記載事項は、「外皮材Fの周縁部を第二シャッタ2で封着するとき、外皮材形成手段3を適宜に上下動させて第二シャッタ2との間隔を調整することにより成形品Hの形状を積極的に整形するものであり、また、成形品Hを得る際に、第二シャッタ2は閉じきる食品成形方法。」であり、外皮材形成手段3を下方に移動させた「後」に、第二シャッタ2を閉じきっているとはいえない。また、「封着部分の前記突起を横方向から押し均すように整形」しているともいえない。
甲3記載事項は、時刻t5から第二シャッタ2が閉じる方向に動作開始し、支持部材60は時刻t5または時刻t5より早いタイミングで下方に移動する食品成形方法であるものの、図15を参照すると、支持部材が下方に移動して停止するタイミングは、第二シャッタ2が閉じた後であることが図示されており、「封着部分の前記突起を前記シャッタ手段に対して相対的に下方に移動させた後前記シャッタ手段を閉じ切るように動作させて」いるとはいえない。
甲4記載事項は、「支持部15Aの降下が停止されると共に、シャッタ開口部39が閉動作を再開して完全に閉口され」る方法であり、支持部15Aの下降の停止と、シャッタ開口部39が完全に閉口されることは「共に」行われるものであり、支持部15Aの下降の停止の「後に」シャッタ開口部39が完全に閉口されるものとはいえない。また、甲4記載事項は、「包被食品17の突起状の封着部17Aは、各シャッタ片37の下面により形成される平面に押し当てられ、突起状封着部17Aは、包被食品17の上部に埋没、没入するように押し潰される包被食品の製造方法。」であり、「封着部分の前記突起を横方向から押し均すように整形」する方法ではない。
そして、甲3記載事項及び甲4記載事項から、包被食品成形方法において、成形する一連の工程の中で支持手段を動作させることは従来周知であるものの、「封着部分の前記突起を前記シャッタ手段に対して相対的に下方に移動させた後前記シャッタ手段を閉じ切るように動作させて封着部分の前記突起を横方向から押し均すように整形する整形工程」は周知技術とはいえない。
そして、甲1発明に甲2記載事項を適用した場合に、「外皮材Fの周縁部を第二シャッタ2で封着するとき、外皮材形成手段3を適宜に上下動させて第二シャッタ2との間隔を調整することにより成形品Hの形状を積極的に整形する」ことが行われるとしても、甲2記載事項は、外皮材形成手段3を下方に移動させた「後」に、第二シャッタ2を閉じきっているのものではなく、甲1発明に甲2記載事項を適用した方法は、「封着部分の前記突起を前記シャッタ手段に対して相対的に下方に移動させた後前記シャッタ手段を閉じ切るように動作」させるものとはいえない。また、甲1発明に、甲2記載事項及び上述の周知技術を適用したとしても、「封着部分の前記突起を前記シャッタ手段に対して相対的に下方に移動させた後前記シャッタ手段を閉じ切るように動作させて封着部分の前記突起を横方向から押し均すように整形する整形工程」を当業者が容易に想到できたとはいえない。
よって、本件発明1は、上記相違点1及び2について検討するまでもなく、甲1発明、甲2記載事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
なお、申立人は、甲3及び甲4を例示して、「成形品(H)の形状を積極的に整形するために、整形工程において支持手段を上下動させることは従来周知」と主張しているものの、上述の周知技術の認定のとおり、「整形工程において支持手段を上下動させること」まで従来周知とはいえない。さらに、仮に、申立人が主張するように、「成形品(H)の形状を積極的に整形するために、整形工程において支持手段を上下動させることは従来周知」であるとして、当該周知技術を基に、甲1発明に、甲2記載事項及び周知技術を適用したとしても、「封着部分の前記突起を前記シャッタ手段に対して相対的に下方に移動させた後前記シャッタ手段を閉じ切るように動作させて封着部分の前記突起を横方向から押し均すように整形する整形工程」を導きだすことはできない。
加えて、申立人は、「甲第1発明においても、成形品(H)の形状を積極的に整形するために、甲2記載事項のように、前記整形工程において前記支持手段を上下させることは当業者にとって容易である。特に、甲第1発明においては、・・・押し均すように整形する。これらの工程において、上段のシャッタ(80)でこぶ状の突起を挟持した状態を維持したまま、あるいは、こぶ状の突起を受け部材(82)の上方に位置した状態を維持したままで上段のシャッタ(80)を閉じる方向へ動作させ、続いて下段のシャッタ(81)を閉じきるように動作させると、下段のシャッタ(81)では封着部分の突起を切断し外皮材(F)の残渣が発生することは当業者であれば容易に理解できることからみて、前記整形工程において前記支持手段を上下させる際に、封着部分の前記突起を受け部材(82)の下方に位置させるために前記シャッタ手段(80、81)に対して相対的に下方に移動するよう当該支持手段を下方に移動させた後、下段のシャッタ(81)を閉じきるように動作させることは当業者が容易に想到し得ることである。」と主張する。当該主張について検討するに、相違点3で説示したとおりであるので、申立人の主張は採用できない。
6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700730