特許拒絶査定不服審判
2022-009163
食品処理システム
- 審判番号
- 2022-009163
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-246367
- 請求日
- 2022年06月15日
- 審決日
- 2022年10月13日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】富士変速機株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 間中 耕治
- 審判官 槙原 進
- 審判官 平城 俊雅
- 分類
- P18 .121-WY (A21C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特願2017-246367「食品処理システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 7月11日出願公開、特開2019-110805、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年12月22日の出願であって、その手続の主な経緯は以下のとおりである。
令和3年9月30日付けで拒絶理由通知
令和3年12月2日に意見書及び手続補正書の提出
令和4年3月2日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。;令和4年3月15日送達)
令和4年6月15日に拒絶査定不服審判の請求
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願の請求項1~6に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1~3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2002-209766号公報
2.特開2009-23765号公報(周知技術を示す文献)
3.登録実用新案第3146556号公報(周知技術を示す文献)
第3 本願発明
本願の請求項1~6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明6」という。)は、令和3年12月2日にした手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
駆動力を入力するための入力部を備え、食品を処理するための食品処理装置と、
前記食品処理装置の前記入力部に接続され、前記食品処理装置を駆動するためのギヤードモータと、
前記食品処理装置及び前記ギヤードモータを制御するための制御部と、を備え、
前記ギヤードモータのハウジング外面には、食品及び周囲環境に使用されていない色を有する塗装膜が形成され、
前記塗装膜が前記ギヤードモータから剥がれ落ちて食品に異物が混入した場合において、前記異物の色を区別することで前記異物が前記ギヤードモータ起因であることの特定を可能とすることを特徴とする食品処理システム。
【請求項2】
前記塗装膜は、青色顔料を含有することを特徴とする請求項1に記載の食品処理システム。
【請求項3】
前記塗装膜は、ウレタン樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品処理システム。
【請求項4】
前記塗装膜は、抗菌剤を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の食品処理システム。
【請求項5】
前記ギヤードモータは、
外面に前記塗装膜を有する前記ハウジングと、
前記ハウジングに収容され、電力によって回転する回転駆動軸を有する駆動部と、
前記ハウジングの外部の前記食品処理装置に駆動力を出力する出力軸と、
前記ハウジングに収容され、前記回転駆動軸の回転を前記出力軸に減速して伝達する減速機構と、
前記ハウジングに収容され、前記駆動部の回転を選択的に制動するブレーキ機構と、を備え、
前記ブレーキ機構は、
前記回転駆動軸に連結されたブレーキ軸と、
前記ブレーキ軸とともに回転可能に前記ブレーキ軸に固定されたブレーキライニングと、
前記ブレーキライニングに圧接する制動位置と、前記ブレーキライニングと離隔する制動解除位置との間で移動可能に前記ハウジングに支持された制動プレートと、
前記制動プレートを前記ブレーキライニングに付勢する付勢バネと、
前記制動プレートに接続され、前記制動位置から前記制動解除位置に前記制動プレートを移動させるためのブレーキ開放ハンドルと、
を備え、
前記駆動部の非励磁状態で前記制動プレートが前記ブレーキライニングに圧接する制動位置をとり、前記ブレーキ開放ハンドルを傾動させることにより、前記制動プレートが前記ブレーキライニングと離隔し、ブレーキが手動で解除されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の食品処理システム。
【請求項6】
前記ブレーキ開放ハンドルの傾動角度は8度であることを特徴とする請求項5に記載の食品処理システム。」
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献1には、次の記載がある。(なお、下線は理解の一助として当審において付したものである。以下、同様)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変速機を有する動力系統を備え、食品の加工・製造、攪拌、搬送、充填、梱包、検査等の作業を行う食品機械の動力系統の駆動装置に係る。
【0002】なお、本発明において、「食品」とは、食品工場、飲料工場等において取り扱われるものであって、人が口にすることを目的としたもの(いわゆる食料品のほか、清涼飲料、アルコール飲料、たばこ等のし好品、医薬品等を含む)を指すものとする。
【0003】又、本発明において「変速機」とは、減速機と増速機の双方を包含する概念として用いられており、減速比或いは増速比が「可変」であることは必ずしも要求されない。食品機械の駆動装置の場合、一般にはモータの回転を減速して用いるが、本発明は増速して用いる場合においても、適用可能である。
【0004】
【従来の技術】近年の食品の安全性に対するユーザの意識の高まりの中において、食品・飲料工場等において食品の加工・製造、攪拌、搬送、充填、梱包、検査等の作業を行う食品機械に関し、該食品機械の駆動系の変速機の潤滑剤に対し、注意を払う必要が出てきている。
【0005】もちろん、食品機械を製造する機械メーカーやこれを使用する食品メーカー等の配慮或いは工夫によって、通常の可動状態においてはこれら食品機械に用いられる潤滑剤が食品に接触したり混入したりすることはあり得ないようにはなっている。
【0006】例えば、食品機械の動力系統の中で特に潤滑剤が漏れる恐れのある駆動部位については、これを食品接触部から十分離した上で該食品接触部の下か横の位置で、且つ床から離した位置に位置決め・設定するようにしている。
【0007】具体例として、食品等を袋詰めしたような商品(検査対象物)の重量を検出する検査機械において、例えば特開平9-210753号公報に開示された食品機械には、図9に示されるような工夫が為されている。
【0008】この検査機械は、商品Cを助走・搬送可能な助走コンベア10と、助走された商品Cを検査エリヤA内で搬送可能な検査コンベア11と、検査された商品Cを検査結果に基づいて選別・搬送する選別コンベア12とを備える。助走コンベア10上を助走・搬送されてきた商品Cは検査コンベア11上に橋渡しされ、ベルトBの移動に沿って検査コンベア11のベルトB上(検査エリヤA上)を通過する。
【0009】図9から明らかなように、助走コンベア10、検査コンベア11、及び選別コンベア12の各駆動装置D1~D3は、食品接触部から十分離した上で該食品接触部の下の位置で、且つ床から離した位置に位置決め・設定するようにしている。
【0010】なお、検査コンベア11は、その全体が(基台18上にではなく)駆動装置Dごと図示せぬロードセルが内装された支柱14を介して計量器16上に半固定状態で(微小変位に可能に)載置されている。ロードセルから出力される信号は、商品Cの重量分だけ変動するため、この変動を監視することにより、商品Cの重量の異常を検査することができる。
【0011】図10は、これらのコンベア10、11、12を駆動するために一般に用いられている駆動装置D1~D3の中核となるギヤドモータ(歯車タイプの減速機付きモータ)GMを展開断面で示したものである。
【0012】このギヤドモータGMは、モータM及び歯車減速機Gが一体化されたものである。図示の例では、歯車減速機Gのタイプとしてピニオン8からの動力をヘリカルギヤを用いた3段の平行軸歯車減速機構によって減速する構造が採用されている。このギヤドモータGMは、その内部に保有している潤滑剤が漏れてこないように、歯車減速機Gの出力軸5と減速機ケーシング6の間だけでなく、モータMのモータ軸7とモータカバー9の間にもシール材Se1,Se2が配置され、万全なシール構造とすると共に、洗浄時に歯車減速機GとモータMとを分解したときに、モータ内の潤滑剤が漏れないようにように配慮されている。」
「
[図:0001390479000001.jpg]
[図:0001390479000002.jpg]
」
(2)引用発明
上記(1)から、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「食品等を袋詰めしたような商品Cを助走・搬送可能な助走コンベア10、ベルトBの移動に沿って助走された前記商品Cを検査エリアA内で搬送可能な検査コンベア11及び検査された前記商品Cを検査結果に基づいて選別・搬送する選別コンベア12と、
前記助走コンベア10、前記検査コンベア11及び前記選別コンベア12を駆動するためのギヤドモータGMを中核とする各駆動装置D1~D3と、を備え、
前記商品Cの重量の異常を検査することができる検査機械。」
2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献2には、次の記載がある。
「【0001】
本発明は、搬送装置用部材として使用される金属粉末含有弾性体に関する。
【背景技術】
【0002】
食品加工工場内等において、原材料、製品および物品等の搬送に用いられる搬送装置用部材には、弾性体が用いられる。例えば、ベルトコンベアに用いられるベルト、ローラ、シュート、搬送装置の清掃に使用されるスクレーパ、搬送物の出入り口に設けられるのれんあるいはベルトコンベアの両脇から搬送物が落ちないように両脇に設置される整流板等には、衝撃を吸収する等の目的で弾性体が用いられている。
【0003】
しかし、食品の加工工場では、高温若しくは高湿な状況下に装置が晒されることにより、弾性体の劣化速度が加速するという問題がある。その結果、水蒸気などに頻繁に晒される部位では、弾性体が劣化して、亀裂が発生する。さらに、亀裂を有する弾性体から破断片等が欠け落ち、その破断片が搬送物である食品材料等に異物として混入するという問題がある。
【0004】
さらに、弾性体の色が、運送物の色に溶け込んでしまう際には、上述のように欠け落ちた弾性体の破断片を、目視により除去しにくいという問題がある。
【0005】
このような問題に対応するために、搬送装置に用いる樹脂に、磁性体を混練することにより、磁選機にて破断片等を選別するという技術が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】 特開2006-273528号公報 (特許請求の範囲等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の方法には以下の問題がある。すなわち、磁性体は、食品加工業において弊害が多いため、適用できないという問題がある。弊害としては、例えば、安価な磁性体である鉄は、錆を生じて搬送物に付着しやすい。また、他の磁性体である、フェライト等は、それらの有する色が搬送物に付着するという問題がある。
【0007】
また、その破断片が生じた部分は、再び破断片が生じやすいので、交換の必要がある。そこで、磁選機にて破断片が検出されると、搬送装置の経路すべてにわたり、破断片の発生箇所を探す時間および労力が必要となるという問題がある。さらに、搬送物に破断片が混入した際に、目視にてその混入を検知するのが好ましい。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題を解決すること、すなわち、搬送物の錆あるいは色の付着を防止し、かつ破断片の発生部位およびその混入を容易に発見することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、搬送装置用部材に用いられる弾性体であって、全体の質量に対して5質量%以上90質量%以下の非磁性金属粉末を含み、かつ搬送物の色に対して視認性を有する金属粉末含有弾性体としている。
【0010】
このような弾性体を搬送装置用部材に採用すると、弾性体が劣化して破断片が搬送物中に混入しても、金属検知器および目視の両方で、その破断片を検出することができる。なぜなら、金属探知機は、弾性体中に含まれる非磁性金属粉末を検出することができ、さらに、弾性体は、搬送物の有する色に対して視認性を有する色相に着色されているからである。」
「【0016】
搬送装置は、大別するとベルトコンベア1、のれん2、シュート3および金属探知機6を備える。搬送物10は、のれん2をくぐり、下方へ滑り落ちるためのシュート3からベルトコンベア1へと供給される。ベルトコンベア1の最後部には、金属探知機6が設置されている。ベルトコンベア1は、コンベアベルト4、整流板5、ローラ7を備える。・・・
【0017】
のれん2は、前工程の熱あるいは蒸気が次工程へ流入することを防ぐために設置される。のれん2は、ショアー硬度で30度以下の弾性体から構成される。・・・
【0018】
シュート3では、搬送物10が落下してくるため、搬送物10の落下の衝撃を吸収できるような柔軟な材質がシュート3の材料として好適に用いられる。例えば、シュート3の材料として、ショアー硬度で30度程度の非磁性金属粉末含有弾性体が好適に用いられる。
【0019】
整流板5は、搬送物10がシュート3あるいはベルトコンベア1の外へはじき出されて
落下することを防ぐために備えられる。整流板5に用いられる非磁性金属粉末含有弾性体の硬度は、ショアー硬度で60~90度程度である。・・・
【0020】
また、上述の部品以外にも、ベルトコンベア1のコンベアベルト4、ローラ7、あるいはベルトコンベア1への付着物を除去するためのスクレーパ(不図示)等にも、非磁性金属粉末含有弾性体が好適に用いられる。特に、スクレーパは、高硬度のものが好ましく、例えば、ショアー硬度で90前後の材料が好適に用いられる。」
「【0028】
次に、顔料を弾性体の原料に混合する。顔料としては、例えば、二酸化チタン、炭酸マグネシウム、カーボンブラック、マグネタイト、ベンガラ、シエナあるいはコバルト等を着色用の顔料を用いることができる。
【0029】
また、顔料としては、搬送物10の色に対して、視目性を有する色相の顔料を選択する。例えば、搬送物10の色が黄色であれば、黄色の顔料は使用せず、緑色、赤色、黒色等の色相の顔料を選択すると、破断片が搬送物10に混入した場合に、目視にて発見できる。」
「【0036】
また、搬送物10に対して視認性を有する色相の弾性体を用いた各部材は、それぞれ個別の顔料により各色に着色されている。例えば、のれん2は赤、シュート3は青、整流板5は緑、スクレーパは黒に着色されている。
【0037】
非磁性金属粉末含有弾性体の破断片が搬送物10に混入した場合には、破断片の色が搬送物10と異なる色であるため、目視によって、その破断片を確認できる。したがって、目視と金属探知機6により、破断片の混入の確認を行うことができる。」
「
[図:0001390479000003.jpg]
」
(2)引用文献2の技術的事項
上記(1)から、上記引用文献2には、次の技術的事項(以下、「引用文献2の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「食品材料等の搬送物を搬送する搬送装置において、のれん2、シュート3、整流板5、さらにベルトコンベア1のコンベアベルト4、ローラ7あるいはスクレーパなどの搬送装置用部材に用いられる弾性体を、搬送物である食品材料等の有する色に対して視認性を有する色相に着色すること。」
3 引用文献3について
(1)引用文献3の記載
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献3には、次の記載がある。
「【0001】
本考案は、丸ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品工場内で用いられるコンベアは、モータからの駆動力を複数のコンベアローラに伝えるために、駆動力を発生させるモータの駆動軸とコンベアローラの従動軸とが、当該軸に設けられた溝に丸ベルトが巻回されることにより連結され、隣接するコンベアローラとコンベアローラの従動軸同士が、直接または当該軸に設けられた溝を介して丸ベルトが巻回されることにより連結されている。この丸ベルトには、ウレタンゴム製のものが用いられており、モータが発生した駆動力を各コンベアローラに伝達している。このような丸ベルトは、工場の生産ラインの稼動中は、動力を伝達するために、常時回転しており、過酷な使用状況において、丸ベルトに無理な力がかかったり、寿命が近づいてくると、破損してしまうおそれがある。丸ベルトの破損により生じた破片や破砕粉は、生産ライン中の食品中に混入してしまうおそれがある。
【0003】
一方、食品内への異物の混入が大きな問題となっている昨今、工場内では、仮に部品が一部なくなっただけでも、食品内への異物混入の可能性がある限りは、生産ラインをストップし、一日中、掃除や点検をしなければならない。また、掃除や点検をするために、生産ラインをストップし続けるわけにもいかず、異物混入の疑いが完全に晴れない状況で、生産ラインを再稼動せざるを得ない。異物が混入されて回収できずに出荷され、製品に異物が混入されていたことがわかった場合には、全製品を回収しなければならず、食品工場の異物混入に対するリスクを減らすことができる、食品の衛生上、安全性の高いコンベア連結用の丸ベルトを提供することが、食品業界の長年の未解決の課題であった。
【0004】
このようなリスクを減らすために、丸ベルトの色を白などの目立つ色にして、製品への異物の混入を察知しやすくするという工夫がされているが、目立つ色にした場合であっても、結局工場内の従業員が、目視により異物を識別しなければならず、完全に探し出すことは不可能に近く、丸ベルトの破片や破砕粉が混入したこと自体に気付かない場合が多いので、リスクをそれほど減らすことができていないのが現状である。」
「
[図:0001390479000004.jpg]
」
(2)引用文献3の技術的事項
上記(1)から、上記引用文献3には、次の技術的事項(以下、「引用文献3の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「食品を搬送するコンベアにおいて、モータからの駆動力を複数のコンベアローラに伝えるためのウレタンゴム製の丸ベルトを、製品への異物の混入を察知しやすくするために白などの目立つ色にすること。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
ア 後者の「食品等を袋詰めしたような商品C」は、前者の「食品」に相当する。
そして、後者の「商品Cを助走・搬送可能な助走コンベア10」、「ベルトBの移動に沿って助走された前記商品Cを検査エリアA内で搬送可能な検査コンベア11」及び「検査された前記商品Cを検査結果に基づいて選別・搬送する選別コンベア12」は、いずれも商品Cに対して助走、搬送、選別といった処理を行っているから、前者の「食品を処理するための食品処理装置」に相当する。
イ 後者の「ギヤドモータGMを中核とする各駆動装置D1~D3」は、前者の「ギヤードモータ」に相当する。
そして、後者の「前記助走コンベア10、前記検査コンベア11及び前記選別コンベア12を駆動するためのギヤドモータGMを中核とする各駆動装置D1~D3」は、前者の「前記食品処理装置を駆動するためのギヤードモータ」に相当する。
ウ 後者の「助走コンベア10」、「検査コンベア11」及び「選別コンベア12」は、「ギヤドモータGMを中核とする各駆動装置D1~D3」により駆動されるから、前者の「駆動力を入力するための入力部」に相当する構成を備えていることが明らかであると共に、後者の「ギヤドモータGMを中核とする各駆動装置D1~D3」が前者の「前記食品処理装置の前記入力部に接続され」る構成に相当する構成を備えることは、明らかである。
そうすると、後者の「食品等を袋詰めしたような商品Cを助走・搬送可能な助走コンベア10、ベルトBの移動に沿って助走された前記商品Cを検査エリアA内で搬送可能な検査コンベア11及び検査された前記商品Cを検査結果に基づいて選別・搬送する選別コンベア12」は、前者の「駆動力を入力するための入力部を備え、食品を処理するための食品処理装置」に相当する。
また、後者の「前記助走コンベア10、前記検査コンベア11及び前記選別コンベア12を駆動するためのギヤドモータGMを中核とする各駆動装置D1~D3」は、前者の「前記食品処理装置の前記入力部に接続され、前記食品処理装置を駆動するためのギヤードモータ」に相当する。
エ 後者の「前記商品Cの重量の異常を検査することができる検査機械」は、前者の「食品処理システム」に相当する。
そして、後者の「検査機械」は、商品Cの重量の異常を検査するために、「助走コンベア10」によって「商品Cを助走・搬送」し、「検査コンベア11」によって「商品Cを検査エリアA内で搬送」し、「選別コンベア12」によって「商品Cを検査結果に基づいて選別・搬送する」ものであり、助走コンベア10、検査コンベア11及び選別コンベア12、並びに、これらを駆動するギヤドモータGMを中核とする各駆動装置D1~D3を制御しているから、前者の「前記食品処理装置及び前記ギヤードモータを制御するための制御部」に相当する構成を備えることは、明らかである。
以上のことから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「駆動力を入力するための入力部を備え、食品を処理するための食品処理装置と、
前記食品処理装置の前記入力部に接続され、前記食品処理装置を駆動するためのギヤードモータと、
前記食品処理装置及び前記ギヤードモータを制御するための制御部と、を備えた、
食品処理システム。」
[相違点1]
本願発明1では「ギヤードモータのハウジング外面には、食品及び周囲環境に使用されていない色を有する塗装膜が形成され」ており、「前記塗装膜が前記ギヤードモータから剥がれ落ちて食品に異物が混入した場合において、前記異物の色を区別することで前記異物が前記ギヤードモータ起因であることの特定を可能とする」のに対して、引用発明では、そのような特定はされていない点。
(2)判断
上記相違点1について検討すると、ギヤードモータのハウジング外面に塗装膜を形成することは、本願の出願前に技術常識であったといえるから、引用発明のギヤードモータについても、ハウジング外面に塗装膜を形成しているものと解される。
また、引用文献2の技術的事項及び引用文献3の技術的事項によれば、食品を搬送する搬送装置において、当該搬送装置に用いられる弾性部材の色を、食品に使用されていない色にすることは、本願の出願前に周知の技術(以下、「引用文献2と引用文献3に係る周知技術」という。)であったと認められる。
しかしながら、食品の搬送装置に用いられる弾性部材の色を食品に使用されていない色にすることが周知技術であったとしても、ギヤードモータのハウジング外面に形成される塗装膜を、食品及び周囲環境に使用されていない色とすることまでは、本願の出願前に周知の技術であったとまでは認めることができない。
そうすると、引用発明に、引用文献2と引用文献3に係る周知技術を適用したとしても、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項とすることはできないものである。
そして、本願発明1は、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を備えることにより、「本発明の一形態の食品処理システムによれば、駆動装置の外面には、食品及び周囲環境に使用されていない色を有する塗装膜が形成されていることにより、駆動装置から塗装膜が剥がれ落ちた場合、異物の色を区別することにより、即座に駆動装置起因の異物であることを特定することができる。また、異物の色と食品の色と容易に区別することができるので、駆動装置起因の異物の発見も容易となる。これにより、本発明の食品処理システムは、駆動装置起因の異物の発見や異物の発生箇所特定を容易とする。」(本願明細書の段落【0013】)という所期の効果を奏するものである。
したがって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2と引用文献3に係る周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本願発明2~6について
本願発明2~6も、本願発明1の全ての発明特定事項を置き換えることなく備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用文献2と引用文献3に係る周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1~6は、引用発明及び引用文献2と引用文献3に係る周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定に違反するものとはいえない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-009163