特許異議申立
2022-700676
曲げ機械用の工具マガジン
- 審判番号
- 2022-700676
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-533476
- 登録番号
- 7007382
- 請求日
- 2022年07月19日
- 審決日
- 2023年08月29日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】トルンプ マシーネン オーストリア ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
- 【権利者代理人】青木 篤
- 【権利者代理人】三橋 真二
- 【権利者代理人】鶴田 準一
- 【権利者代理人】南山 知広
- 【権利者代理人】渡辺 陽一
- 【権利者代理人】中村 和広
- 【異議申立人】株式会社 アマダ
- 【異議申立人代理人】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 刈間 宏信
- 審判官 鈴木 貴雄
- 審判官 大山 健
- 分類
- P1651.113-YAA(B21D) / P1651.121-YAA(B21D) / P1651.536-YAA(B21D) / P1651.537-YAA(B21D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第70条第1項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7007382号発明「曲げ機械用の工具マガジン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7007382号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~17〕について訂正することを認める。
特許第7007382号の請求項1~2、5~9、11~17に係る特許を維持する。
特許第7007382号の請求項3~4、10に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
1 特許掲載公報の発行までの経緯
特許第7007382号(以下「本件特許」という。)の請求項1~17に係る特許についての出願は、2017年(平成29年)12月19日を国際出願日とする特許出願(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2016年12月21日 (AT)オーストリア共和国)であって、令和4年1月11日にその特許権の設定登録がされ、令和4年1月24日に特許掲載公報が発行された。
2 特許異議の申立て以降の経緯
本件特許についての本件特許異議の申立ての主な経緯は、次のとおりである。
(1)令和4年7月19日
特許異議申立人 株式会社アマダ(以下「申立人」という。)による、本件特許の請求項1~17に係る特許に対する特許異議の申立て
(2)令和4年9月29日付け
取消理由の通知(以下「取消理由通知」という。)
(3)令和4年12月23日
特許権者による意見書(以下「権者意見書1」という。)及び訂正請求書の提出
(4)令和5年2月10日
申立人による意見書(以下「申立人意見書」という。)の提出
(5)令和5年3月1日付け
訂正拒絶理由の通知
(6)令和5年4月21日
特許権者による手続補正書及び意見書の提出
(7)令和5年5月23日付け
取消理由(決定の予告)の通知(以下「決定の予告」という。)
(8)令和5年7月28日
特許権者による意見書(以下「権者意見書3」という。)の提出
第2 本件訂正の適否
1 本件訂正の内容について
令和4年12月23日に提出され、令和5年4月21日提出の手続補正書により補正された訂正請求書(以下、第2欄では単に「訂正請求書」という。)による特許請求の範囲の訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(訂正箇所に下線を付して示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において
「曲げ機械(3)用の、特にプレスブレーキ用の工具マガジン(26)であって」を、
「曲げ機械(3)用の工具マガジン(26)であって」と、
「その場合に収納レール(28)が」を、
「収納レール(28)が」と、訂正する(また、訂正請求書に記載の「6 請求の趣旨」及び「7 請求の理由」の「(3)訂正の理由」の「ア 一群の請求項についての説明」、並びに、令和5年4月21日提出の手続補正書に添付された差し替え後の訂正特許請求の範囲(以下、単に「訂正特許請求の範囲」という。)からみて、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2、5~9、及び、11~17も同様に訂正するものと認める。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3及び4を削除する。
特許請求の範囲の請求項5において、
「請求項1から4のいずれか1項に記載の工具マガジン。」を、
「請求項1又は2に記載の工具マガジン。」と、訂正する(また、訂正請求書及び訂正特許請求の範囲からみて、請求項5の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6~9、及び、11~17も同様に訂正するものと認める。)。
また、訂正請求書及び訂正特許請求の範囲からみて、請求項3、4の削除に伴って、
特許請求の範囲の請求項7において、
「請求項1から6のいずれか1項に記載の工具マガジン。」を、
「請求項1、2、5から6のいずれか1項に記載の工具マガジン。」と、訂正し(また、請求項7の記載を直接的又は間接的に引用する請求項8~9、及び、11~17も同様に訂正する。)、
特許請求の範囲の請求項8において、
「請求項1から7のいずれか1項に記載の工具マガジン。」を、
「請求項1、2、5から7のいずれか1項に記載の工具マガジン。」と、訂正し(また、請求項8の記載を直接的又は間接的に引用する請求項9、及び、11~17も同様に訂正する。)、
特許請求の範囲の請求項9において、
「請求項1から8のいずれか1項に記載の工具マガジン。」を、
「請求項1、2、5から8のいずれか1項に記載の工具マガジン。」と、訂正する(また、請求項9の記載を直接的又は間接的に引用する請求項11~17も同様に訂正する。)ものと認める。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6において、
「収納レール(28)に収容されている第2のスライドレール(45)」を、
「収納レール(28)に保持されている第2のスライドレール(45)」と、訂正する(また、訂正請求書及び訂正特許請求の範囲からみて、請求項6の記載を直接的又は間接的に引用する請求項7~9、及び、11~17も同様に訂正するものと認める。)。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項10を削除する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項11において、
「底から60cmと170cmの間の高さ(43)」を、
「床面から60cmと170cmの間の高さ(43)」と、
「請求項1から10のいずれか1項に記載の工具マガジン。」を、
「請求項1、2、5から9のいずれか1項に記載の工具マガジン。」と、訂正する(また、訂正請求書及び訂正特許請求の範囲からみて、請求項11の記載を直接的又は間接的に引用する請求項12~17も同様に訂正するものと認める。)。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項12において、
「請求項1から11のいずれか1項に記載の工具マガジン。」を、
「請求項1、2、5から9、11のいずれか1項に記載の工具マガジン。」と、訂正する(また、訂正請求書及び訂正特許請求の範囲からみて、請求項12の記載を直接的又は間接的に引用する請求項13~17も同様に訂正するものと認める。)。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項13において、
「個々の収納レール(28)が、循環システムに配置されている」を、
「個々の収納レール(28)が、収納レ―ル搬送循環システムに配置されている」と、
「請求項1から12のいずれか1項に記載の工具マガジン。」を、
「請求項1、2、5から9、11、12のいずれか1項に記載の工具マガジン。」と、訂正する(また、訂正請求書及び訂正特許請求の範囲からみて、請求項13の記載を直接的又は間接的に引用する請求項14~17も同様に訂正するものと認める。)。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項14において、
「個々の収納レール(28)がロック装置(47)によって互いに対してロックされているので、1つの収納レール(28)が引き出された状態において、他の収納レール(28)は引き出すことができない」を、
「1つの収納レール(28)が引き出された状態において、他の収納レール(28)は引き出すことができないように、個々の収納レール(28)がロック装置(47)によって互いに対してロック可能である」と、
「請求項1から13のいずれか1項に記載の工具マガジン。」を、
「請求項1、2、5から9、11から13のいずれか1項に記載の工具マガジン。」と、
訂正する(また、訂正請求書及び訂正特許請求の範囲からみて、請求項14の記載を直接的又は間接的に引用する請求項15~17も同様に訂正するものと認める。)。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項15において、
「マガジンハウジング(27)内に収納レール(28)の他に工具引出し(38)が収容されており、かつその前側(29)から引き出し可能である」を、
「マガジンハウジング(27)内に収納レール(28)の他に工具引出し(38)が収容されており、かつマガジンハウジング(27)の前側(29)から引き出し可能である」と、
「請求項1から14のいずれか1項に記載の工具マガジン。」を、
「請求項1、2、5から9、11から14のいずれか1項に記載の工具マガジン。」と、訂正する(また、訂正請求書及び訂正特許請求の範囲からみて、請求項15の記載を直接的又は間接的に引用する請求項16~17も同様に訂正するものと認める。)。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項16において、
「収納レール(28)が、50cmと200cmの間の、特に80cmと150cmの間の長さ(36)を有している」を、
「収納レール(28)が、50cmと200cmの間の長さ(36)を有している」と、
「請求項1から15のいずれか1項に記載の工具マガジン。」を、
「請求項1、2、5から9、11から15のいずれか1項に記載の工具マガジン。」と、訂正する(また、訂正請求書及び訂正特許請求の範囲からみて、請求項16の記載を引用する請求項17も同様に訂正するものと認める。)。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項17において、
「工具マガジン(26)が請求項1から16のいずれか1項に従って形成されている、ことを特徴とする製造設備。」を、
「工具マガジン(26)が請求項1、2、5から9、11から16のいずれか1項に従って形成されている、ことを特徴とする製造設備。」と、訂正する(当審注:訂正請求書では欠落しているものの、訂正特許請求の範囲からみて、「~、ことを特徴とする製造設備。」と訂正するものと認める。)。
2 一群の請求項について
本件訂正前の請求項1~17は、請求項2~17が本件訂正前の請求項1の記載を引用する関係にあって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である請求項〔1~17〕について、請求されたものである。
3 独立特許要件
本件特許異議の申立ては、全ての請求項を対象としているので、訂正事項1~11に関して、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
4 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的の適否
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「特にプレスブレーキ用」及び「その場合に」との不要かつ不明確な記載を削除して記載を明確化するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項1は、不要な記載を削除して発明特定事項をより明確にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、発明特定事項をより明確にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的の適否
訂正事項2は、請求項3、4を削除するとともに、請求項3、4の削除に併せて請求項5、7~9における引用請求項を訂正するものであるから、請求項3、4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、請求項5、7~9に係る訂正は、同条同項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項2は、請求項を削除するもの(特許請求の範囲を減縮するもの)であり、また、請求項3、4の削除に伴い引用する請求項からそれらを削除して整合させるものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、請求項を削除するもの(特許請求の範囲を減縮するもの)であり、また、請求項3、4の削除に伴い引用する請求項からそれらを削除して整合させるものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(3)訂正事項3
ア 訂正の目的の適否
訂正事項3は、訂正前の請求項6の「収納レール(28)に収容されている第2のスライドレール(45)」の「収容されている」を、より明確な「保持されている」に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項3において、第2のスライドレール(45)が、収納レール(28)の側面に固定されて保持されていることは図3から明らかであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3は、発明特定事項をより明確にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
エ 申立人の主張について
申立人は、申立人意見書の4(1)イにおいて、訂正事項3に関して、次の(ア)及び(イ)の2点から、当該訂正が、特許請求の範囲の記載上の不備を訂正し、その本来の意を明らかにするものではないから、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正ではない、と主張する。
(ア)「保持」とは、単に「たもちつづけること。手放さずに持っていること。」(広辞苑第7版)を意味する用語であるため、当該「保持」との文言により、収納レール(28)と第2のスライドレール(45)との関係が明確になるものではなく、収納レール(28)及び第2のスライドレール(45)がそれぞれどのような構造や状態で配置されているかが依然として不明確であること。
(イ)「収納レール(28)に保持されている第2のスライドレール(45)」との文言では、第2のスライドレール(45)が収納レール(28)の内部に保持されている構成と、収納レール(28)の外部に保持されている構成との双方の構成が含まれているところ、第2のスライドレール(45)が収納レール(28)の内部に無持されている場合には、第1のスライドレール(44)と第2のスライドレール(45)との間に少なくとも1つの第3の他のスライドレール(46)を配置することは、物理的に困難であること。
異議申立人の上記主張を検討すると、「収納レール(28)に保持されている第2のスライドレール(45)」との記載から、収納レール(28)が第2のスライドレール(45)を持ち続ける、言い換えれば、第2のスライドレール(45)が収納レール(28)に固定される状態であることが文言上理解でき、明細書の段落【0064】にて説明される【図3】を参酌すれば、当該用語の意義を解釈することができないほど不明確であるともいえない。また、第1のスライドレール(44)と第2のスライドレール(45)との間に少なくとも1つの第3の他のスライドレール(46)を配置することが可能であることも明確である。
よって、申立人の主張については採用できない。
(4)訂正事項4
ア 訂正の目的の適否
訂正事項4は、請求項10を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項4は、請求項を削除するもの(特許請求の範囲を減縮するもの)であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4は、請求項を削除するもの(特許請求の範囲を減縮するもの)であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(5)訂正事項5
ア 訂正の目的の適否
訂正事項5は、訂正前の請求項11の「底から」をより明確な「床面から」と訂正し、また、訂正事項2、4の請求項3、4、10の削除に併せて引用請求項を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項5の訂正前の「底から60cmと170cmの間の高さ(43)」が「床面から60cmと170cmの間の高さ(43)」であること(すなわち「底」が「床面」であること)は、当初明細書等の記載(例えば段落【0059】「床に対して種々の高さ43に配置されている」、図2)から明らかであり、また、請求項3、4、10の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであるから、訂正事項5は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5は、発明特定事項をより明確にするとともに、請求項3、4、10の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
エ 申立人の主張について
申立人は、申立人意見書の4(1)ウにおいて、訂正事項5に関して、請求項11の「50%より多く」との文言に関する訂正がなされていないから、当該文言の明確性に係る不備が解消されず、訂正事項5の目的は明瞭でない記載の釈明に該当しない旨主張するが、訂正事項5は、訂正前の「底から」という記載を明確にするものであるから、申立人の主張については採用できない。
なお、「収納レール(28)の50%より多く」という文言は、段落【0019】の記載及び図1~2を参酌して、「複数の引き出し可能な収納レール(28)の全個数のうち、半数より多くの収納レール(28)」と解するのが相当であり、当該文言には、そもそも明確性に係る不備が存在しない。
よって、申立人の主張については採用できない。
(6)訂正事項6
ア 訂正の目的の適否
訂正事項6は、訂正事項2、4の請求項3、4、10の削除に併せて請求項12における引用請求項を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項6は、請求項3、4、10の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項6は、請求項3、4、10の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(7)訂正事項7
ア 訂正の目的の適否
訂正事項7は、訂正前の請求項13の「循環システム」をより明確な「収納レール搬送循環システム」と減縮する訂正をし、また、訂正事項2、4の請求項3、4、10の削除に併せて引用請求項を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」(「収納レール搬送循環システム」との訂正)、及び、同条同項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」(請求項3、4、10の削除に伴う訂正)を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項7は、「収納レール搬送循環システム」に関し、当初明細書等の記載(例えば段落【0021】)から、「循環システム」の「循環」の対象が「収納レール」であつて、「収納レールを人間工学的な高さにおいて準備する」ために「収納レール」を「搬送循環」させるものであると理解できるから、「循環システム」が「収納レール搬送循環システム」であることは自明といえる。また、請求項3、4、10の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであるから、訂正事項7は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項7は、「循環システム」との発明特定事項を「収納レール搬送循環システム」と減縮するとともに、請求項3、4、10の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
エ 申立人の主張について
申立人は、申立人意見書の4(1)エにおいて、訂正事項7に関して、請求項13の「収納レール搬送循環システム」との文言は、単に「循環システム」との文言に「収納レール搬送」との文言を付加したに過ぎず、これにより、循環システムの具体的な構成や長手方向に引き出し可能でかつ循環システムに配置された収納レール(28)の構造、マガジンハウジング(27)と循環システムとの関係が明らかになるものではない旨主張する。
しかし、「収納レール搬送循環システム」とは、収納レールを搬送するための「循環システム」であると文言上理解でき、また、当該訂正は、「収納レール搬送」との文言を付加することで「循環システム」の用語の定義を狭めるものであることから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるといえる。
なお、以下の第5の2(5)で説示するように、当業者であれば、「収納レール搬送循環システム」とは、例えば、収納レール(28)のみならず、その収納レールが配置される収納レールコンパートメント(32)を1つの単位として一体となって循環する構成を含むことを理解することができる。
よって、申立人の主張については採用できない。
(8)訂正事項8
ア 訂正の目的の適否
訂正事項8は、訂正前の請求項14の「個々の収納レール(28)がロック装置(47)によって互いに対してロックされているので、1つの収納レール(28)が引き出された状態において、他の収納レール(28)は引き出すことができない」をより明確な「1つの収納レール(28)が引き出された状態において、他の収納レール(28)は引き出すことができないように、個々の収納レール(28)がロック装置(47)によって互いに対してロック可能である」と訂正し、また、訂正事項2、4の請求項3、4、10の削除に併せて引用請求項を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項8は、発明特定事項をより明確にするものであって、また、請求項3、4、10の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであるから、訂正事項7は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項8は、発明特定事項をより明確にするとともに、請求項3、4、10の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(9)訂正事項9
ア 訂正の目的の適否
訂正事項9は、訂正前の請求項15の「その前側(29)」を「マガジンハウジング(27)の前側(29)」と、より明確となるように訂正し、また、訂正事項2、4の請求項3、4、10の削除に併せて引用請求項を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項9は、発明特定事項をより明確にするものであって、「その前側(29)」が「マガジンハウジング(27)の前側(29)」であることは請求項15の記載から明らかであり、また、請求項3、4、10の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであるから、訂正事項7は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項9は、発明特定事項をより明確にするとともに、請求項3、4、10の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(10)訂正事項10
ア 訂正の目的の適否
訂正事項10は、訂正前の請求項16の「特に80cmと150cmの間の長さ(36)」を削除して明確化するとともに、訂正事項2、4の請求項3、4、10の削除に併せて引用請求項を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項10は、発明特定事項をより明確にするものであり、また、請求項3、4、10の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであるから、訂正事項7は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項10は、発明特定事項をより明確にするとともに、請求項3、4、10の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(11)訂正事項11
ア 訂正の目的の適否
訂正事項11は、訂正事項2、4の請求項3、4、10の削除に併せて請求項17における引用請求項を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項11は、請求項3、4、10の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項11は、請求項3、4、10の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
5 小括
上記4(1)~(11)のとおり、訂正事項1~11に係る本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1、3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔1~17〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
本件特許の請求項1~17に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明17」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~17に記載された、以下の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
曲げ機械(3)用の工具マガジン(26)であって、工具マガジン(26)が複数の収納レール(28)を有し、前記収納レールがマガジンハウジング(27)内に配置されており、かつ曲げ工具(4)を収容するために用いられ、収納レール(28)が、その長手方向の延び(30)内に複数の曲げ工具(4)が相前後して列をなして場所を占めるように形成されており、収納レール(28)がその長手方向の延び(30)の方向においてマガジンハウジング(27)の前側(29)から引き出し可能である、ものにおいて、
引き出し可能な収納レール(28)の少なくとも1つが、それぞれ曲げパンチ(5)と曲げダイ(6)を収容するように形成されており、この引き出し可能な収納レール(28)内に、曲げパンチ(5)を収容するための下方の収容溝(39)が形成されており、かつこの引き出し可能な収納レール(28)内に、曲げダイ(6)を収容するための上方の収容溝(40)が形成されている、ことを特徴とする工具マガジン。
【請求項2】
収納レール(28)が個々に、かつ互いに独立してマガジンハウジング(27)から引き出し可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の工具マガジン。
【請求項3】(削除)
【請求項4】(削除)
【請求項5】
収納レール(28)が伸縮レールシステム(31)によってマガジンハウジング(27)内に収容されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の工具マガジン。
【請求項6】
伸縮レールシステム(31)が、マガジンハウジング(27)に収容されている第1のスライドレール(44)、収納レール(28)に保持されている第2のスライドレール(45)及び、前記2つのスライドレール(44、45)の間に配置されている少なくとも1つの第3の他のスライドレール(46)を有し、個々のスライドレール(44、45、46)が滑りガイドによって、あるいは軸受ボールによって、互いに結合されている、ことを特徴とする請求項5に記載の工具マガジン。
【請求項7】
個々の収納レール(28)の前側に、保持グリップ(34)が配置されている、ことを特徴とする請求項1、2、5から6のいずれか1項に記載の工具マガジン。
【請求項8】
個々の収納レール(28)の前側に、フェースプレート部(35)が配置されている、ことを特徴とする請求項1、2、5から7のいずれか1項に記載の工具マガジン。
【請求項9】
マガジンハウジング(27)内に、複数の収納レールコンパートメント(32)が並べて配置されており、収納レールコンパートメント(32)の各々の中に複数の収納レール(28)が重なり合って配置されている、ことを特徴とする請求項1、2、5から8のいずれか1項に記載の工具マガジン。
【請求項10】(削除)
【請求項11】
収納レール(28)の50%より多くが、床面から60cmと170cmの間の高さ(43)に配置されている、ことを特徴とする請求項1、2、5から9のいずれか1項に記載の工具マガジン。
【請求項12】
収納レール(28)の各々が、その高さ(43)において変位可能である、ことを特徴とする請求項1、2、5から9、11のいずれか1項に記載の工具マガジン。
【請求項13】
個々の収納レール(28)が、収納レール搬送循環システムに配置されている、ことを特徴とする請求項1、2、5から9、11、12のいずれか1項に記載の工具マガジン。
【請求項14】
1つの収納レール(28)が引き出された状態において、他の収納レール(28)は引き出すことができないように、個々の収納レール(28)がロック装置(47)によって互いに対してロック可能である、ことを特徴とする請求項1、2、5から9、11から13のいずれか1項に記載の工具マガジン。
【請求項15】
マガジンハウジング(27)内に収納レール(28)の他に工具引出し(38)が収容されており、かつマガジンハウジング(27)の前側(29)から引き出し可能である、ことを特徴とする請求項1、2、5から9、11から14のいずれか1項に記載の工具マガジン。
【請求項16】
収納レール(28)が、50cmと200cmの間の長さ(36)を有している、ことを特徴とする請求項1、2、5から9、11から15のいずれか1項に記載の工具マガジン。
【請求項17】
曲げ機械(3)と、曲げ機械(3)の側壁(9、10)の隣に配置された工具マガジン(26)とを有する製造設備において、
工具マガジン(26)が請求項1、2、5から9、11から16のいずれか1項に従って形成されている、ことを特徴とする製造設備。」
第4 当審より通知した取消理由について
本件訂正後の請求項1~17に係る特許に対して、当審が令和5年5月23日付け決定の予告にて特許権者に通知した取消理由1~2は、次のとおりである。
1 取消理由1(明確性)本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(1)請求項9
(2)請求項11~17(請求項9の記載を引用するもの)
2 取消理由2(実施可能要件)本件特許は、発明の詳細な説明の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(1)請求項9
(2)請求項11~17(請求項9の記載を引用するもの)
(3)請求項12
(4)請求項13~17(請求項12の記載を引用するもの)
(5)請求項13
(6)請求項14~17(請求項13の記載を引用するもの)
第5 当審の判断
権者意見書3の主張を参照し、上記第4の取消理由1~2について、以下のとおり再度の判断をする。
1 取消理由1(特許法第36条第6項第2号:明確性)
(1)請求項9について
ア 決定の予告にて通知した取消理由
請求項9は、「複数の収納レール(28)が重なり合って配置されている」と特定されるところ、「重なり合って」とは、複数の収納レールがどのような状態で配置されていることを特定しようとしているのか不明である。
すなわち、一般に「重なり合う」とは「二つ以上のものが互いに重なる(広辞苑第6版)」ことを意味し、また「重なる」とは「物の上に別の同じような物が乗る(広辞苑第6版)」ことを意味するところ、請求項9における上記記載は、収納レールの上に別の収納レールが乗ることを特定しようとしているのか(その場合、請求項9が引用する請求項1にて特定される「曲げダイ」と「曲げパンチ」がどのように「収納レール」に収容されるのか)不明であり、結果として本件発明9がどのような権利範囲であるか、不明である。
イ 権者意見書3での主張
権者意見書3おいて、上記アに対し、用語の一般的意義を、広辞苑第7版の「重なり合う」「重なる」「のる」「上」の各語を参照し、「重なる(重なり合う)」とは、「物」と「別の同じようなもの」との位置関係(上下の位置関係)を意味するものであって、必ずしも「接触した状態で乗る(載る)こと(直接載置されていること)」(英語の「on:・・の上に」に相当)との意味に限定されるものではなく、「接触しないもの」(英語の「over:・・の上に」に相当)を含むと理解される、と説明する。そのうえで、特許請求の範囲の解釈に関しては、特許法第70条第1項及び同条第2項の規定、並びに、審査基準(第I部第2章第1節2.本願発明の認定)にしたがい、本件明細書等の段落0050の記載を図2と合わせてみれば、「収納レールコンパートメント32内に重なり合って配置された複数の収納レール28」(すなわち、上述の「接触しないもの」)が看取されるとともに、請求項9が引用する請求項1にて特定される収納レール28に曲げパンチ5及び曲げダイ6を収容する態様を鑑みれば、収納レール28同士が接触して直接載置されていることを意味するものではないと合理的に理解できる旨、主張する。
ウ 当審による再度の判断
請求項9の「複数の収納レール(28)が重なり合って配置されている」との意味は、本件明細書等を参照すれば、上記イにて申立人が主張するように、収納レール28同士が接触して直接載置されていることを意味するものではなく、接触せずに上下の位置関係にあるものを意味すると解釈することが合理的であるといえる。
よって、本件発明9は明確である、と判断する。
(2)請求項11~17について
上記(1)と同様のことが、請求項9の記載を引用する請求項11~17についてもいえる。
よって、本件発明11~17は、明確である。
(3)取消理由1の小括
よって、本件特許に係る本件発明9、11~17は明確であるから、本件特許に係る請求項9、11~17の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。
2 取消理由2(特許法第36条第4項第1号:実施可能要件)
(1)請求項9について
ア 決定の予告にて通知した取消理由
上記1(1)アに関連し、請求項9における「複数の収納レール(28)が重なり合って配置されている」との発明特定事項が、仮に、その記載のとおりに、「収納レールの上に別の収納レールが物理的に重なって乗っている」ことを特定しようとしている場合、「収納レール」が物理的に接触した状態で、請求項9が引用する請求項1にて特定される「曲げダイ」と「曲げパンチ」とをどのように「収納レール」に収容するのか、当業者が実施することができる程度に発明の詳細な説明に明確かつ十分に記載されたものでない。
イ 当審による再度の判断
上記1(1)ウのとおり、請求項9の「複数の収納レール(28)が重なり合って配置されている」との意味は、本件明細書等を参照すれば、収納レール28同士が接触して直接載置されていることを意味するものではなく、接触せずに上下の位置関係にあるものを意味すると解釈することが合理的であるといえる。
そして、本件の【図1】~【図2】の記載からみて、当業者は、収納レール28同士が接触せずに上下の位置関係にある場合、請求項1に特定されているとおり、収納レール28に対して「曲げダイ」と「曲げパンチ」が収容できる(上に位置する収納レールの曲げパンチ5と、下に位置する収納レールの曲げダイ6を、お互いに干渉しないように上下に間隔をあけて収容できる)と理解するといえる。
よって、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明9を実施することができる程度に発明の詳細な説明に明確かつ十分に記載されたものである。
(2)請求項11~17について
上記(1)と同様のことが、請求項9の記載を引用する請求項11~17についてもいえる。
よって、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明11~17を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものである。
(3)請求項12について
ア 決定の予告にて通知した取消理由
本件訂正後の請求項12においては、「収納レール(28)の各々が、その高さ(43)において変位可能である」と発明を特定しているところ、「収納レール(28)」がどのような構造を有することで、「高さ(43)」において「変位可能」となるのか、例えば、発明の詳細な説明の段落【0020】を参酌しても、その構造等が一切開示されておらず、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。
特に、請求項12が引用する請求項1においては「収納レール(28)」が「その長手方向の延び(30)の方向においてマガジンハウジング(27)の前側(29)から引き出し可能である」と発明を特定しているところ、長手方向に引き出し可能でかつ高さ方向に変位可能な「収納レール(28)」(または、当該「収納レール(28)」が配置される「マガジンハウジング(27)」)がどのような構造を有しているのか、発明の詳細な説明を参酌しても不明である。
イ 権者意見書3での主張
権者意見書3おいて、上記アに対し、次のように主張している。
「収納レール(28)」が「長手方向に引き出し可能」な構成は、本件特許明細書及び図面に明確に開示されており、かつ、「高さを上下方向に調整可能」とするための手段は文献等を提示するまでもなく周知の技術的手段であるから、当業者が有している設計能力、技術常識に基づいて単に周知技術を採用(付加)するだけである。「長手方向に引き出し可能」と「高さ方向に変位可能」との2つの機能を採用することに阻害要因や、技術的に困難と判断できる根拠は存在せず、一般的に製品等において適宜機能を追加する程度のことは当業者が有する通常の創作能力の発揮といえるから、具体的な周知例を発明の詳細な説明に説明しなくとも、実施することが困難であるはずはない。
ウ 当審による再度の判断
(ア)請求項12の「収納レール(28)の各々が、その高さ(43)において変位可能である」との発明特定事項に関連する、本件特許明細書の記載は次の点のみである。
「【0020】
さらに、収納レールのいくつかがその高さにおいて変位可能である。その場合に好ましくは、この措置によって収納レールは、個々の曲げ工具を簡単かつ人間工学的に工具マガジンから取り出すことができる高さへ移動させることができる。」
すなわち、請求項12の上記発明特定事項として記載された以上のことは、発明の詳細な説明に何ら具体的な説明はない。
(イ)そして、本件発明12は、請求項1の記載を引用するものであるから、本件発明12の「収納レール(28)」は、その各々が、
(a)「その高さ(43)において変位可能である」構造、及び、
(b)「長手方向に引き出し可能である」構造
を備えている必要がある。
さらにいえば、本件発明12は、請求項1のみならず、請求項2、5~9、11のいずれか1項を引用するものであるから、例えば、請求項2に特定される
(c)「個々に、かつ互いに独立してマガジンハウジング(27)から引き出し可能である」構造、
請求項5を引用する請求項6に特定される
(d)「マガジンハウジング(27)に収容されている第1のスライドレール(44)、収納レール(28)に保持されている第2のスライドレール(45)及び、前記2つのスライドレール(44、45)の間に配置されている少なくとも1つの第3の他のスライドレール(46)を有し、個々のスライドレール(44、45、46)が滑りガイドによって、あるいは軸受ボールによって、互いに結合されている」「伸縮レールシステム(31)によってマガジンハウジング(27)内に収容されている」構造、
請求項7に特定される
(e)「個々の収納レール(28)の前側に、保持グリップ(34)が配置されている」構造、及び、
請求項8に特定される
(f)「個々の収納レール(28)の前側に、フェースプレート部(35)が配置されている」構造
請求項9に特定される
(g)「マガジンハウジング(27)内に、複数の収納レールコンパートメント(32)が並べて配置されており、収納レールコンパートメント(32)の各々の中に複数の収納レール(28)が重なり合って配置されている」構造
とも、それぞれ整合するものでなければならない。
すなわち、例えば(a)と(d)との関係では、本件明細書等の図3に示されるスライドレール(44、45、46)にて結合される「伸縮レールシステム(31)」が存在するにもかかわらず、「収納レール(28)」が高さ(43)において変位可能であること、(a)と(e)及び(f)との関係では、「収納レール(28)」の前側に「保持グリップ(34)」や「フェースプレート部(35)」が配置されているにもかかわらず、「収納レール(28)」が高さ(43)において変位可能であることが必要である。
(ウ)一方、上記(a)~(g)の構造を総合的に考慮した当業者であれば、本件発明12における「収納レール(28)の各々が、その高さ(43)において変位可能である」態様が、例えば以下の参照図のように、少なくとも上下に2つの収納レール(28)を配置した収納レールコンパートメント(32)を1つの単位として、各収納レールコンパートメント(32)が、上下に複数の収納レール(28)のほか、スライドレール(44、45、46)、保持グリップ(34)及びフェースプレート(35)等を含むようにユニット化され、マガジンハウジング(27)の内部で一体となって循環するように高さが変位するものであれば、上記(a)~(g)の各構造・機能を同時に満足し、技術常識に鑑みて実施可能である、と理解するといえる(この場合、第1のスライドレール(44)は、マガジンハウジング(27)の側壁(37)に直付けされる図3と異なり、マガジンハウジング(27)内の収納レールコンパートメント(32)としてユニット化される部材に取り付けられることは、当業者であれば技術常識に鑑みて設計変更し得ることである。)。
<参照図>本件図1の右側に図示される工具マガジン26を元に作図
[図:0001403632000001.jpg]
(エ)してみると、本件発明12は、発明の詳細な説明に具体的な実施の形態が示されているとはいえないものの、技術常識に基づいてどのように実施するかを理解できないとまではいえない。よって、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明12を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものである、と判断する。
(4)請求項13~17について
上記(3)と同様のことが、請求項12の記載を引用する請求項13~17についてもいえる。
よって、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明13~17を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものである。
(5)請求項13について
ア 決定の予告にて通知した取消理由
請求項13においては、「個々の収納レール(28)が、収納レール搬送循環システムに配置されている」と発明を特定しているところ、「収納レール搬送循環システム」が如何にして収納レールを搬送するように循環しているのか、また、請求項13は請求項1の記載を引用するところ、「長手方向に引き出し可能」でかつ「循環する」「収納レール(28)」が、「マガジンハウジング(27)」にどのように配置されているのか、また、どのような構造を有しているのか、例えば、発明の詳細な説明の段落【0021】を参酌しても、具体的な実施の形態が示されておらず、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。
イ 権者意見書3での主張
権者意見書3おいて、上記アに対し、次のように主張している。
「収納レールが循環するシステム」が本件特許出願前において当業者に知られており、かつ、「長手方向に引き出し可能」な「収納レール(28)」が本件特許明細書及び図面に明確に開示されている以上、当業者であれば、本件特許明細書及び図面の記載並びに技術常識に基づき、「長手方向に引き出し可能」でかつ「循環する」「収納レール(28)」を実施することができることは明らかである。
ウ 当審による再度の判断
(ア)本件訂正後の請求項13の「個々の収納レール(28)が、収納レール搬送循環システムに配置されている」との発明特定事項に関連する、本件特許明細書の記載は次の点のみである。
「【0021】
さらに、個々の収納レールを循環システムに配置することができる。その場合に好ましくは、大きな数の収納レールを工具マガジン内に収容することができ、かつ収納レールから曲げ工具を取り出すために、収納レールを人間工学的な高さにおいて準備することができる。」
すなわち、請求項13の上記発明特定事項として記載された以上のことは、発明の詳細な説明に何ら具体的な説明はない。
(イ)そして、本件発明13は、請求項1の記載を引用するものであるから、本件発明13の「収納レール(28)」は、その各々が、
(a)「収納レール搬送循環システムに配置されている」構造、及び、
(b)「長手方向に引き出し可能である」構造
を備えている必要がある。
さらにいえば、本件発明13は、請求項1のみならず、請求項2、5~9、11、12のいずれか1項を引用するものであるから、例えば、上記(3)ウ(イ)に示した上記(c)~(g)の構造とも、それぞれ整合するものでなければならない。
(ウ)他方、本件発明13における「収納レール搬送循環システムに配置されている」態様が、例えば上記(3)ウ(ウ)に示した参照図のように、少なくとも上下に2つの収納レール(28)を配置した収納レールコンパートメントを1つの単位として、各収納レールコンパートメント(32)が、上下に複数の収納レール(28)のほか、スライドレール(44、45、46)、保持グリップ(34)及びフェースプレート(35)等を含むようにユニット化され、マガジンハウジング(27)の内部で一体となって循環するものであれば、上記(3)ウ(イ)(a)~(g)の各構造・機能を同時に満足し、技術常識に鑑みて当業者であれば実施可能である、ともいえる。
(エ)してみると、本件発明13は、発明の詳細な説明に具体的な実施の形態が示されているとはいえないものの、技術常識に基づいてどのように実施するかを理解できないとまではいえない。よって、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明13を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものである、と判断する。
(6)請求項14~17について
上記(5)と同様のことが、請求項13の記載を引用する請求項14~17についてもいえる。
よって、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明14~17を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものである。
(7)取消理由2の小括
よって、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明9、11~17を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものであるから、本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしている。
第6 申立人が特許異議申立書にて申し立てた取消しの理由
1 申立ての理由
申立人が、令和4年7月19日に提出した特許異議申立書(以下「申立書」という。)にて申し立てる取消しの理由の概要は次のとおりである。
(1)取消理由1(特許法第29条第1項第3号)
請求項1~3、7、9、11~13、16及び17
証拠 甲第1号証:欧州特許第2138247号明細書
(申立書第18~22ページ)
(2)取消理由2(特許法第29条第2項)
請求項1~17
証拠 甲第1号証:欧州特許第2138247号明細書
甲第2号証:特開平10-71499号公報
甲第3号証:特開2014-4604号公報
甲第4号証:特開2001-150032号公報
甲第5号証:特開2014-83541号公報
甲第6号証:国際公開第00/41824号
甲第7号証:国際公開第2016/055906号
甲第8号証:特開2016-83673号公報
(以下「甲第1号証」等を「甲1」等という。)
(申立書第22~54ページ、申立人意見書第13~16ページ)
(3)取消理由3(特許法第36条第6項第1号)
ア 請求項3(及び、請求項3の記載を引用する請求項4~17)
イ 請求項6(及び、請求項6の記載を引用する請求項7~17)
ウ 請求項9(及び、請求項9の記載を引用する請求項10~17)
エ 請求項12(及び、請求項12の記載を引用する請求項13~17)
オ 請求項13(及び、請求項13の記載を引用する請求項14~17)
(申立書第54~57ページ)
(4)取消理由4(特許法第36条第4項第1号)
ア 請求項3(及び、請求項3の記載を引用する請求項4~17)
イ 請求項6(及び、請求項6の記載を引用する請求項7~17)
ウ 請求項9(及び、請求項9の記載を引用する請求項10~17)
エ 請求項12(及び、請求項12の記載を引用する請求項13~17)
オ 請求項13(及び、請求項13の記載を引用する請求項14~17)
(申立書第57~58ページ、申立人意見書第10~13ページ)
(5)取消理由5(特許法第36条第6項第2号)
ア 請求項1(及び、請求項1の記載を引用する請求項2~17)
イ 請求項3(及び、請求項3の記載を引用する請求項4~17)
ウ 請求項6(及び、請求項6の記載を引用する請求項7~17)
エ 請求項9(及び、請求項9の記載を引用する請求項10~17)
オ 請求項11(及び、請求項11の記載を引用する請求項12~17)
カ 請求項12(及び、請求項12の記載を引用する請求項13~17)
キ 請求項13(及び、請求項13の記載を引用する請求項14~17)
ク 請求項14(及び、請求項14の記載を引用する請求項15~17)
ケ 請求項15(及び、請求項15の記載を引用する請求項16~17)
コ 請求項16(及び、請求項16の記載を引用する請求項17)
(申立書第58~64ページ、申立人意見書第5~10ページ)
2 当審の判断
しかしながら、上記1(1)~(5)の取消理由1~5は、以下のとおり、いずれも理由がない。なお、請求項3~4、10は、本件訂正により削除された。
(1)取消理由1(特許法第29条第1項第3号)
ア 請求項1について
(ア)甲1発明の認定
甲1に記載された事項を、本件発明1の発明特定事項に合わせて整理すると、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。」が記載されているといえる(括弧内に、甲1に記載された事項に対応する本件発明1の事項、又は、甲1の記載箇所を示す。甲1に記載された事項は、当審による日本語訳にて記載する。)。
「曲げプレス2用(曲げ機械(3)用)の工具トレイ4(工具マガジン(26))であって(段落[0018]、図1及び図2等)、
工具トレイ4が複数の受け入れセグメント31(収納レール(28))を有し、受け入れセグメント31が工具トレイ4の領域内に配置されており、かつ曲げ工具(曲げ工具(4))を収容するために用いられ(段落[0024]、図1及び図2等)、
受け入れセグメント31が、その長手方向の延び内(延び(30)内)に複数の曲げ工具が並べて配置される(相前後して列をなして場所を占める)ように形成されており(段落[0003]、[0004]、[0024]、図1及び図2等)、
受け入れセグメント31がその長手方向の延びの方向において工具トレイ4の受け入れセグメント31を収容する領域の前側から、収納連結ユニット26のフォーク状の支持体29との係合を取り外し可能である、ものにおいて(段落[0024]~[0028]、図1及び図2等)、
取り外し可能な受け入れセグメント31の少なくとも1つが、それぞれ上曲げ工具10(曲げパンチ(5))と下曲げ工具11(曲げダイ(6))を収容するように形成されており(段落[0024]等)、
この取り外し可能な受け入れセグメント31内に、上曲げ工具10を収容するための下側受け溝34(下方の収容溝(39))が形成されており(段落[0024]及び図2等)、
かつこの取り外し可能な受け入れセグメント31内に、下曲げ工具11を収容するための上側受け溝33(上方の収容溝(40))が形成されている(段落[0024]及び図2等)、工具トレイ4。」
(イ)本件発明1と甲1発明との対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、以下の一致点1で一致し、相違点1で相違する。
<一致点1>
「曲げ機械用の工具マガジンであって、工具マガジンが複数の収納レールを有し、前記収納レールが工具マガジンの領域内に配置されており、かつ曲げ工具を収容するために用いられ、収納レールが、その長手方向の延び内に複数の曲げ工具が相前後して列をなして場所を占めるように形成されている、ものにおいて、
収納レールの少なくとも1つが、それぞれ曲げパンチと曲げダイを収容するように形成されており、この収納レール内に、曲げパンチを収容するための下方の収容溝が形成されており、かつこの収納レール内に、曲げダイを収容するための上方の収容溝が形成されている、工具マガジン。」
<相違点1>
収納レールに関し、本件発明1においては、収納レール(28)が「マガジンハウジング(27)内」に配置され、マガジンハウジング(27)の前側から「引き出し可能」であるのに対し、
甲1発明においては、受け入れセグメント31が配置される工具トレイ4の領域が「ハウジング」の形態を有しておらず、また、受け入れセグメント31が「ハウジング」の前側から「引き出し可能」なものではなく、トレイ連結ユニット26のフォーク状の支持体29と領域の前側から取り外し可能に係合されるものである点。
(ウ)判断
本件発明1と甲1発明とは、上記相違点1で相違する上に、以下の(2)イ(イ)で説示するように、甲1発明において受け入れセグメント31を工具トレイ4の領域の前側から取り外し可能とすることは、受け入れセグメント31を、工具トレイ4と曲げプレス2との間で移動させるという技術的な意義があり、上記相違点1は実質的な相違点といえるから、本件発明1は、甲1発明ではない。
(エ)小括
よって、本件発明1は、甲1発明でないから、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当しない。
イ 請求項2、7、9、11~13、16及び17
本件発明2、7、9、11~13、16及び17は、請求項1の記載を引用する発明であることから、少なくとも上記ア(イ)の相違点1を有するため、甲1発明ではなく、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当しない。
ウ 申立書における主張について
申立人は、申立書の4(4)エ(ア)(第18~20ページ)において、本件発明1と甲1発明とを対比したうえで、本件発明1は甲1発明である旨、主張する。
しかしながら、上記アのとおり、両者の間には、相違点1が存在することから、本件発明1は甲1発明であるとはいえない。
エ 取消理由1のまとめ
よって、本件発明1、2、7、9、11~13、16及び17は、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当しないから、請求項1、2、7、9、11~13、16及び17に係る特許は、同法第29条第1項の規定に違反してされたとはいえず、同法第113条第2号に該当するとして取り消すことはできない。
(2)取消理由2(特許法第29条第2項)
ア 甲1~8に記載された発明、技術的事項
(ア)甲1発明
甲1には、上記(1)ア(ア)に示した甲1発明が記載されているといえる。
(イ)甲2発明
甲2に記載された事項を、本件発明1の発明特定事項に合わせて整理すると、甲2には、以下の発明(以下「甲2発明」という。」が記載されているといえる(括弧内に、甲2に記載された事項に対応する本件発明1の事項、又は、甲2の記載箇所を示す。)。
「プレス曲げ機用の曲げ型ツールボックス(曲げ機械(3)用の工具マガジン(26))であって(段落【0001】、【0020】、図1)、
曲げ型ツールボックスが複数のスライド棚30、40(収納レール(28))を有し(段落【0020】、図1)、スライド棚30、40がツールボックス本体10(マガジンハウジング(27))内に配置されており(段落【0020】、図1)、かつ曲げ型(曲げ工具(4))を収納(収容)するために用いられ(段落【0001】~【0002】、【0030】、図1)、
スライド棚30、40が、その前後方向(長手方向の延び(30))内に複数の曲げ型が相前後して列をなして場所を占めるように形成されており(段落【0030】、【0036】)、
スライド棚30、40がその前後方向(長手方向の延び(30)の方向)においてツールボックス本体10の前方(前側(29))から引き出し可能である(段落【0024】~【0029】、【0033】、図1)、ものにおいて、
引き出し可能なスライド棚30、40(収納レール(28)の少なくとも1つ)が、パンチ80(曲げパンチ(5))またはダイ90(曲げダイ(6))を収納(収容)するように形成されており(段落【0030】)、
この引き出し可能なスライド棚30(収納レール(28))内に、パンチ80を収納(収容)するための上方の収納溝部39(収容溝(39))が形成されており、
また引き出し可能なスライド棚40(収納レール(28))内に、ダイ90を収納(収容)するための上方の収納溝部49(収容溝(40))が形成されている、曲げ型ツールボックス。」
(ウ)甲3発明
甲3に記載された事項を、本件発明1の発明特定事項に合わせて整理すると、甲3には、以下の発明(以下「甲3発明」という。」が記載されているといえる(括弧内に、甲3に記載された事項に対応する本件発明1の事項、又は、甲3の記載箇所を示す。)。
「プレスブレーキ1用の金型格納装置2(曲げ機械(3)用の工具マガジン(26))であって(段落【0029】及び図1等)、
金型格納装置2が複数の金型搭載用ストッカS1~S8(収納レール(28))を有し、金型搭載用ストッカS1~S8が金型格納装置2(マガジンハウジング(27))内に配置されており、かつ曲げ工具(曲げ工具(4))を収容するために用いられ(段落【0030】及び図1等)、
金型搭載用ストッカS1~S8が、その長手方向の延び内(延び(30)内)に複数の曲げ工具が並べて配置されるように形成されている(図1及び図4等)、
ものにおいて、
金型搭載用ストッカS1~S8の少なくとも1つが、それぞれパンチP(曲げパンチ(5))とダイD(曲げダイ(6))を収容するように形成されており(段落【0030】、図1及び図4等)、
この金型搭載用ストッカS1~S8内に、パンチPを収容するための下方の収容溝(収容溝(30))が形成されており(段落【0030】~【0033】及び図4等)、
かつこの金型搭載用ストッカS1~S8内に、ダイDを収容するための上方の収容溝(収容溝(40))が形成されている(段落【0030】~【0033】及び図4等)、金型格納装置2。」
(エ)甲4発明
甲4に記載された事項(特に、申立人が主張する段落【0058】~【0072】、図5~11の実施態様)を、本件発明1の発明特定事項に合わせて整理すると、甲4には、以下の発明(以下「甲4発明」という。」が記載されているといえる(括弧内に、甲4に記載された事項に対応する本件発明1の事項、又は、甲4の記載箇所を示す。)。
「プレスブレーキPB用の金型交換装置31L及び31R(曲げ機械(3)用の工具マガジン(26))であって(段落【0059】、図5等)、
金型交換装置31L及び31Rがパンチ保持部37U及びダイ保持部37Lで構成される複数の収納レール(収納レール(28))を有し、収納レールが金型収納棚33L及び33R(マガジンハウジング(27))内に配置されており、かつ曲げ工具(曲げ工具(4))を収容するために用いられ(段落【0059】、【0060】、図7及び図8等)、
収納レールが、その長手方向の延び内に複数の曲げ工具がプレスブレーキPBの幅方向に並べて、奥行方向に5列配置されるように形成されており(段落【0058】~【0060】及び図5~図8等)、
収納レールがその長手方向の延び(30)と直交する方向において金型収納棚33L及び33Rの前側(前側(29))から引き出し可能である、ものにおいて(段落【0060】、図7、図8及び図10等)、
引き出し可能な収納レールの少なくとも1つが、パンチ保持部37UにパンチP(曲げパンチ(5))を又はダイ保持部37LにダイD(曲げダイ(6))をそれぞれ収容するように形成されており(段落【0060】、図7及び図8等)、
この引き出し可能な収納レールのパンチ保持部37U内に、パンチPを収容するための下方の収容溝(収容溝(39))が形成されており(段落【0065】、【0072】及び図11等)、
この引き出し可能な収納レールのダイ保持部37L内に、ダイDを収容するための上方の収容溝(収容溝(40))が形成されている(段落【0065】、【0072】及び図11等)、金型交換装置31L及び31R。」
(オ)甲5記載の技術的事項
甲5の、段落【0016】~【0022】、【0050】、【0051】、図3、図7及び図8等には、本件訂正前の請求項4に関連する、以下の技術的事項(以下「甲5記載の技術的事項」という。)が記載されているといえる(申立書第17ページ)。
「下方の金型装着溝11内に係止溝21が配置されており、係止溝21内ヘパンチPの係止突起19Aが嵌入すること。」
(カ)甲6記載の技術的事項
甲6の、明細書第29~38ページ及び図24~図37等には、本件発明2に関連する、以下の技術的事項(以下「甲6記載の技術的事項1」という。)が記載されているといえる(申立書第17~18ページから当審にて認定。)。
「分割金型P、Dを搭載する複数の交換上型支持部材129、交換下型支持部材193が個々に、かつ互いに独立して格納フレーム123、スライド枠185から引き出し可能なこと。」
また、甲6の明細書第18~20ページ、図7及び図8等には、本件訂正前の請求項4に関連する、以下の技術的事項(以下「甲6記載の技術的事項2」という。)が記載されているといえる(申立書第18ページ)。
「下方の装着溝13U及び13L内に係止溝19U及び19Lが配置されており、係止溝19U及び19L内へ分割金型Pの係止片(係止部)27が嵌入すること。」
(キ)甲7記載の技術的事項
甲7の、第10ページ第27~30行、図2及び図3等には、本件発明8に関連する、以下の技術的事項(以下「甲7記載の技術的事項1」という。)が記載されているといえる(申立書第18ページ)。
「個々の曲げ工具収容ユニット36の前側に、フェースプレート部が配置されていること。」
また、甲7の、第11ページ第11~14行及び図4等には、本件訂正前の請求項10に関連する、以下の技術的事項(以下「甲7記載の技術的事項2」という。)が記載されているといえる。
「曲げ工具収容ユニット36が、長手方向の延びに対して横方向に引き出し可能であること。」
さらに、甲7の、第10ページ第25~26行及び図1等には、本件発明14に関連する、以下の技術的事項(以下「甲7記載の技術的事項3」という。)が記載されているといえる。
「曲げ工具収容ユニット36がロック35によってロックされること。」
加えて、甲7の、第11ページ第24~33行、図2及び図3等には、本件発明15に関連する、以下の技術的事項(以下「甲7記載の技術的事項4」という。)が記載されているといえる。
「収容領域32内に曲げ工具収容ユニット36の他に部品収容ユニット33が収容されており、かつその前側から引き出し可能であること。」
(ク)甲8記載の技術的事項
甲8の、段落【0064】、図16及び図17等には、本件発明2に関連する、以下の技術的事項(以下「甲8記載の技術的事項」という。)が記載されているといえる(申立書第18ページから当審にて認定。)。
「下型103を搭載する下型ホルダ105が下型ホルダ支持部材33L、33Rから取り出し可能なこと。」
イ 甲1発明を主発明とする請求項1の進歩性欠如の有無について
(ア)本件発明1と甲1発明との対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、上記(1)ア(イ)に示した一致点1で一致し、相違点1で相違する。
(イ)相違点1に対する判断
曲げ機械用の曲げ工具を収容するための工具マガジンにおいて、その曲げ工具を収容した収納レールをマガジンハウジング内に収納すること自体は、甲2発明~甲4発明に記載されるように、本件出願前において周知の技術であったといえる。
また、甲2発明には、パンチ80又はダイ90を収納するスライド棚30、40を、ツールボックス本体10の前方から引き出し可能とする技術的事項が含まれ、甲4発明には、パンチP又はダイDを収容するパンチ保持部37U及びダイ保持部37Lを、金型収納棚33L、33Rの前側から引き出し可能とする技術的事項が含まれている。
しかしながら、甲1発明において、当該周知のハウジングを設けたうえで、そのハウジングの前側から受入れセグメント31を引き出し可能とすること、又は、甲2発明及び甲4発明に含まれる上記技術的事項を適用することには、以下のとおり、動機付けがなく、むしろ阻害要因が存在する。
すなわち、甲1発明における受け入れセグメント31は、甲1の段落[0024]~[0028]の記載及び図1~3からみて、一端が工具トレイ4の収納連結ユニット26又は曲げプレス2の機械連結ユニット28と選択的に係合するように形成され、他端がマニピュレータ3のグリッパ連結ユニット27と係合するように形成されているものである。そして、曲げプレス2に曲げ工具10、11を装填したり、曲げプレス2の曲げ工具10、11を取り外したりする場合には、受け入れセグメント31の他端をマニピュレータ3の工具グリッパ19に結合されるグリッパ連結ユニット27によって把持し、受け入れセグメント31を、工具トレイ4の収納連結ユニット26と、曲げプレス2の上側工具ホルダ8の機械連結ユニット28又は下側工具ホルダ9の機械連結ユニット28との間で移動させ、受け入れセグメント31の一端を、収納連結ユニット26から取り外して、機械連結ユニット28へ係合させたり、その逆に、機械連結ユニット28から取り外して、収納連結ユニット26へ係合させるような態様で行われる。
甲1のマニピュレータ3によって曲げ工具10、11を交換する上述の態様からみて、仮に、甲1発明の受け入れセグメント31の構成を、トレイ連結ユニット26のフォーク状の支持体29と領域の前側から取り外し可能に係合する構成から、工具トレイ4から単に引き出し可能な構成に変更すれば、受け入れセグメント31を工具トレイ4から取り外して、曲げプレス2へと移動させることができなくなるから、そのような変更を当業者が容易に想到し得たことということはできないし、むしろ、阻害要因が存在するというべきである。
また、甲1発明に、甲5~8記載の技術的事項を適用し、上記相違点1に係る本件発明1を想到することが容易である、ということもできない。
(ウ)小括
よって、本件発明1は、甲1発明に、甲2~4発明及び甲5~8記載の技術的事項を適用することで、当業者が容易に発明をすることができたものである、とはいえない。
ウ 甲2発明を主発明とする請求項1の進歩性欠如の有無について
(ア)本件発明1と甲1発明との対比
本件発明1と甲2発明とを対比すると、以下の一致点2で一致し、相違点2で相違する。
<一致点2>
「曲げ機械用の工具マガジンであって、工具マガジンが複数の収納レールを有し、前記収納レールがマガジンハウジング内に配置されており、かつ曲げ工具を収容するために用いられ、収納レールが、その長手方向の延び内に複数の曲げ工具が相前後して列をなして場所を占めるように形成されており、収納レールがその長手方向の延びの方向においてマガジンハウジングの前側から引き出し可能である、ものにおいて、
引き出し可能な収納レールの少なくとも1つが、曲げパンチまたは曲げダイを収容するように形成されており、この引き出し可能な収納レール内に、曲げパンチを収容するための収容溝が形成されており、またはこの引き出し可能な収納レール内に、曲げダイを収容するための上方の収容溝が形成されている、工具マガジン。」
<相違点2>
「収納レール」に関して、本件発明1においては、「収納レール(28)の少なくとも1つ」が、「曲げパンチ(5)と曲げダイ(6)を収容するように形成」され、収納レール(28)内に「曲げパンチ(5)を収容するための下方の収容溝(39)」かつ「曲げダイ(6)を収容するための上方の収容溝(40)」が形成されているのに対し、
甲2発明においては、スライド棚30、40内にパンチ80又はダイ90を収納するための上方の収納溝部39、49が形成されているものの、1つのスライド棚がパンチ80とダイ90を収納するように形成されておらず、また、スライド棚には上方の収納溝部のみで下方の収納溝部が形成されていない点。
(イ)相違点2に対する判断
甲3発明には、プレスブレーキ1用の金型格納装置2において、パンチP及びダイDを搭載する金型搭載用ストッカS1~S8内に、パンチPを搭載するための下方の溝、及びダイDを搭載するための上方の溝をそれぞれ形成した技術的事項が含まれている。
しかしながら、甲2発明におけるスライド棚30、40に、甲3発明に含まれる技術的事項を適用し、上方に加えてその下方にパンチ80を収納するための収納溝部を形成することには、以下のとおり、動機付けがなく、むしろ阻害要因が存在する。
すなわち、甲2の段落【0026】には、スライドレール32、32、及び、42、42の各々前方及び後方を連結プレートで連結し、スライド棚30、40の下面に形成されたストッパが前方の連結プレートに引っ掛かる構造が記載されることから、仮に、甲2発明のスライド棚30、40にパンチ80を収納するための下方の収納溝部を形成するように変更して、パンチ80をスライド棚の下方に収納すれば、収納されたパンチ80が前方の連結プレートに引っ掛かって、スライド棚を引き出すことは困難であるから、そのような変更は、甲2発明においてスライド棚が引き出し可能であることを阻害するといえる。
しかも、甲2発明においては、スライド棚30にパンチ80を、スライド棚40にダイ90をそれぞれ収納できるから、当該2つのスライド棚を上下に配置することで、組として使用したいパンチとダイとをスライド棚の上下位置に配置することができ、わざわざ、甲3発明のように、1つのスライド棚の上下にそれぞれ収納溝部を形成して、上下にパンチとダイとを収納するように変更する動機があるとはいえない。また、仮に、1つのスライド棚の上下にパンチとダイとを収納するように変更すれば、スライド棚にはより大きな強度が求められ、また、引き出した際のツールボックス本体10の安定性の確保、さらには、スライド棚を引き出す際に作業者への過大な負担の発生が予測されることなど、あえて甲3発明の態様を甲2発明に採用することの積極的な要因が見受けられない。
また、甲2発明に、甲1発明、甲4発明又は甲5~8記載の技術的事項を適用し、上記相違点2に係る本件発明1を想到することが容易である、ということもできない。
(ウ)小括
よって、本件発明1は、甲2発明に、甲1及び3~4発明、並びに甲5~8記載の技術的事項を適用することで、当業者が容易に発明をすることができたものである、とはいえない。
エ 甲3発明を主発明とする請求項1の進歩性欠如の有無について
(ア)本件発明1と甲3発明との対比
本件発明1と甲3発明とを対比すると、以下の相違点3で相違し、その余の点で一致する。
<相違点3>
本件発明1においては、収納レール(28)がその長手方向の延び(30)の方向においてマガジンハウジング(27)の前側(29)から引き出し可能であるのに対して、
甲3発明においては、金型搭載用ストッカS1~S8がその長手方向の延びの方向において金型格納装置2の前側から引き出し可能であるとはいえない点。
(イ)相違点3に対する判断
甲2発明には、パンチ80又はダイ90を収納するスライド棚30、40を、ツールボックス本体10の前方から引き出し可能とする技術的事項が含まれ、甲4発明には、パンチP又はダイDを収容するパンチ保持部37U及びダイ保持部37Lを、金型収納棚33L、33Rの前側から引き出し可能とする技術的事項が含まれている。
しかしながら、甲3発明において、甲2発明や甲4発明に含まれる技術的事項を適用し、金型搭載用ストッカS1~S8を、その長手方向の延びの方向において金型格納装置2の前側から引き出し可能とすることには、以下のとおり、動機付けがない。
すなわち、甲3発明における金型搭載用ストッカS1~S8は、無端ベルト8、9で支持され、金型格納装置2内を循環するものであって、当該構造により、プレスブレーキ1と金型格納装置2との間での金型交換が円滑に行われるよう、金型搭載用ストッカS1~S8のうちの該当するストッカのパスラインPLの位置をプレスブレーキ1側の金型ホルダ30、31のパスラインPLの位置へ循環させて位置決めするものである(段落【0043】、図7等)。当該構造において、金型搭載用ストッカS1~S8を、その長手方向の延びの方向において金型格納装置2の前側から引き出し可能とする必要性がないことは、明らかである。
また、甲3発明に、甲1発明又は甲5~8記載の技術的事項を適用し、上記相違点3に係る本件発明1を想到することが容易である、ということもできない。
(ウ)小括
よって、本件発明1は、甲3発明に、甲1~2及び4発明、並びに甲5~8記載の技術的事項を適用することで、当業者が容易に発明をすることができたものである、とはいえない。
オ 甲4発明を主発明とする請求項1の進歩性欠如の有無について
(ア)本件発明1と甲4発明との対比
本件発明1と甲4発明とを対比すると、以下の相違点4の点で相違し、その余の点で一致する。
<相違点4>
本件発明1においては、収納レール(28)が、その長手方向の延び(30)内に複数の曲げ工具(4)が相前後して列をなして場所を占めるように形成されており、その長手方向の延び(30)の方向においてマガジンハウジング(27)の前側(29)から引き出し可能であって、曲げパンチ(5)と曲げダイ(6)を収容するように形成されているのに対し、
甲4発明においては、収納レールが、その長手方向の延び内に複数の曲げ工具がプレスブレーキPBの幅方向に並べて、奥行方向に5列配置され、その長手方向の延びと直交する方向において金型収納棚33L及び33Rの前側から引き出し可能であって、パンチ保持部37Uとダイ保持部37LとによってそれぞれパンチPとダイDとを収容するように形成されている点。
(イ)相違点4に対する判断
甲2発明には、パンチ80又はダイ90を収納するスライド棚30、40を、ツールボックス本体10の前方から引き出し可能とする技術的事項が含まれる。また、甲3発明には、プレスブレーキ1用の金型格納装置2において、パンチP及びダイDを搭載する金型搭載用ストッカS1~S8内に、パンチPを搭載するための下方の溝、及びダイDを搭載するための上方の溝をそれぞれ形成した技術的事項が含まれている。
しかしながら、甲4発明において、甲2発明及び甲3発明に含まれる技術的事項を適用し、パンチ保持部37Uとダイ保持部37Lとを1つの収納レールとしてその上下でパンチPとダイDとを収容すること、及び、収納レールの長手方向の延びの方向において金型収納棚33L及び33Rの前側から引き出し可能とすることには、以下のとおり、動機付けがない。
すなわち、甲4の段落【0058】~【0072】の記載及び図5~11からみて、甲4発明のパンチ保持部37Uとダイ保持部37Lは、金型収納棚33R、33LのプレスブレーキPBの幅方向(図5の左右方向)に延びるものであって、奥行方向(図7の左右方向)に5列、高さ方向に5段配置され(ただし3段目の棚を除く)、所望のパンチPやダイDを取り出し、搬送するために、金型ラック35L、35Rに引き出され、プレスブレーキPBにおけるパンチPおよびダイDのパスライン位置である金型交換ラインPL位置に位置決めされることで、パンチPおよびダイDをプレスブレーキPBにセットすることが可能となるものである。
そのため、甲4発明では、金型交換ラインPLは、プレスブレーキPBに装着されているパンチPおよびダイDのラインと一致するものである(段落【0064】)ところ、仮に、甲4発明のパンチ保持部37Uとダイ保持部37Lに、甲3発明における、金型搭載用ストッカS1~S8内にパンチPを搭載するための下方の溝及びダイDを搭載するための上方の溝をそれぞれ形成した技術的事項を適用すると、パンチPおよびダイDのラインが不一致となり、その作業効率は落ちるものとなるから、当業者がそのような適用を試みるとはいえない。
また、甲4発明における、パンチ保持部37Uとダイ保持部37Lとを引き出す方向についても、パンチPおよびダイDをプレスブレーキPBにセットする際に作業しやすい方向に引き出されるように設計されているところ、仮に、甲2発明に基づいて、パンチ保持部37Uとダイ保持部37Lとを長手方向の延びの方向に引き出すように変更することは、かえって装置の複雑化を招くこととなることは明らかであるから、当業者がそのような変更をする動機があるとはいえない。
また、甲4発明に、甲1発明又は甲5~8記載の技術的事項を適用し、上記相違点4に係る本件発明1を想到することが容易である、ということもできない。
(ウ)小括
よって、本件発明1は、甲4発明に、甲1~3発明及び甲5~8記載の技術的事項を適用することで、当業者が容易に発明をすることができたものである、とはいえない。
カ 請求項2、5~9、11~17
本件発明2、5~9、11~17は、請求項1の記載を引用する発明であることから、上記ア~オと同様に、甲1~4発明のいずれか、並びに、甲1~4発明及び甲5~8記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
キ 申立書における主張について
申立人は、申立書の4(4)エ(ア)(第22~54ページ)、申立人意見書の4(4)(第13~16ページ)において、本件発明1は、甲1発明~甲4発明のいずれかを主引用発明として、甲1発明~甲4発明及び甲5~8記載の技術的事項を適用することで、容易に発明をすることができたものである旨、主張する。
しかしながら、上記イ~オのとおり、甲1発明~甲4発明のいずれを主発明とした場合であっても、本件発明1を想到することは容易であるとはいえない。
ク 取消理由2のまとめ
よって、請求項1、2、5~9、11~17に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたとはいえず、同法第113条第2号に該当するとして取り消すことはできない。
(3)取消理由3(特許法第36条第6項第1号)
ア 請求項3(及び、請求項3の記載を引用する請求項4~17)
(ア)申立ての理由の概要(申立書第54ページ、4(4)カ(ア))
請求項3の「個々の収納レール(28)が互いに重なり合ってマガジンハウジング(27)内に配置されている」という構成は、発明の詳細な説明に記載されていない。
(イ)当審の判断
請求項3は削除されている。
(ウ)小括
よって、当該理由の対象が存在しない。
イ 請求項6(及び、請求項6の記載を引用する請求項7~17)
(ア)申立ての理由の概要(申立書第54~55ページ、4(4)カ(イ)及び(ウ))
請求項6の「第2のスライドレール(45)」及び「第3のスライドレール(46)は、発明の詳細な説明に記載されていない。
(イ)当審の判断
請求項6は、上記第2の4(3)イ及びエのとおり、本件明細書等の段落【0064】及び【図3】に記載されているといえる。
(ウ)小括
よって、本件発明6は発明の詳細な説明に記載されたものであるから、請求項6の記載は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。
ウ 請求項9(及び、請求項9の記載を引用する請求項10~17)
(ア)申立ての理由の概要(申立書第55~56ページ、4(4)カ(エ))
請求項9の「複数の収納レール(28)が互いに重なり合って配置されている」という構成は、発明の詳細な説明に記載されていない。
(イ)当審の判断
上記第5の1(1)ウのとおり、請求項9の当該記載は、複数の収納レール(28)が接触せずに上下の位置関係にあるものを意味すると解釈することが合理的であって、本件明細書等の【図1】~【図2】から看取されるといえる。
(ウ)小括
よって、本件発明9は発明の詳細な説明に記載されたものであるから、請求項9の記載は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。
エ 請求項12(及び、請求項12の記載を引用する請求項13~17)
(ア)申立ての理由の概要(申立書第56ページ、4(4)カ(オ))
請求項12の「収納レール(28)の各々が、その高さ(43)において変位可能である」という構成は、発明の詳細な説明に記載されていない。
(イ)当審の判断
上記第5の2(3)ウのとおり、請求項12の当該記載は、本件明細書等の段落【0020】に記載されているといえる。
(ウ)小括
よって、本件発明12は発明の詳細な説明に記載されたものであるから、請求項12の記載は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。
オ 請求項13(及び、請求項13の記載を引用する請求項14~17)
(ア)申立ての理由の概要(申立書第56~57ページ、4(4)カ(カ))
請求項13の「個々の収納レール(28)が、収納レール搬送循環システムに配置されている」という構成は、発明の詳細な説明に記載されていない。
(イ)当審の判断
上記第5の2(5)ウのとおり、請求項13の当該記載は、本件明細書等の段落【0021】に記載されているといえる。
(ウ)小括
よって、本件発明13は発明の詳細な説明に記載されたものであるから、請求項13の記載は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。
カ 取消理由3のまとめ
よって、請求項3、4及び10は削除され、請求項6~9、11~17に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたとはいえないから、同法第113条第4号に該当するとして取り消すことはできない。
(4)取消理由4(特許法第36条第4項第1号)
ア 請求項3(及び、請求項3の記載を引用する請求項4~17)
(ア)申立ての理由の概要(申立書第57~58ページ、4(4)キ(1)、なお、丸付き数字を(1)等と記載する。申立人意見書第10~11ページ、4(3)ア)
本件明細書等の発明の詳細な説明は、請求項3の「個々の収納レール(28)が互いに重なり合ってマガジンハウジング(27)内に配置されている」という構成を、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。
(イ)当審の判断
請求項3は削除されている。
(ウ)小括
よって、当該理由の対象が存在しない。
イ 請求項6(及び、請求項6の記載を引用する請求項7~17)
(ア)申立ての理由の概要(申立書第57~58ページ、4(4)キ(2)~(3)、申立人意見書第11~12ページ、4(3)イ)
本件明細書等の発明の詳細な説明は、請求項6の「第2のスライドレール(45)」及び「第3のスライドレール(46)」についての構成を、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。
(イ)当審の判断
上記第2の4(3)イ及びエのとおり、本件明細書等の段落【0064】の記載及び【図3】からみて、第1のスライドレール(44)と第2のスライドレール(45)との間に少なくとも1つの第3の他のスライドレール(46)を配置することが可能であるといえるから、本件発明6は、本件明細書等において、当業者であれば実施可能な程度に明確かつ十分に記載したものであるといえる。
(ウ)小括
よって、本件明細書等の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明6を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしている。
ウ 請求項9(及び、請求項9の記載を引用する請求項10~17)
(ア)申立ての理由の概要(申立書第57~58ページ、4(4)キ(4) 、申立人意見書第12ページ、4(3)ウ)
本件明細書等の発明の詳細な説明は、請求項9の「複数の収納レール(28)が互いに重なり合って配置されている」という構成を、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。
(イ)当審の判断
上記第5の2(1)のとおり、【図1】~【図2】の記載からみて、本件明細書等の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明9を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものである。
(ウ)小括
よって、本件明細書等の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明9を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしている。
エ 請求項12(及び、請求項12の記載を引用する請求項13~17)
(ア)申立ての理由の概要(申立書第57~58ページ、4(4)キ(5) 、申立人意見書第12ページ、4(3)エ)
本件明細書等の発明の詳細な説明は、請求項12の「収納レール(28)の各々が、その高さ(43)において変位可能である」という構成を、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。
(イ)当審の判断
上記第5の2(3)のとおり、段落【0020】の記載及び技術常識からみて、本件明細書等の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明12を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものである。
(ウ)小括
よって、本件明細書等の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明12を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしている。
オ 請求項13(及び、請求項13の記載を引用する請求項14~17)
(ア)申立ての理由の概要(申立書第57~58ページ、4(4)キ(6)、申立人意見書第12~13ページ、4(3)オ)
本件明細書等の発明の詳細な説明は、請求項13の「個々の収納レール(28)が、収納レール搬送循環システムに配置されている」という構成を、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。
(イ)当審の判断
上記第5の2(5)のとおり、段落【0021】の記載及び技術常識からみて、本件明細書等の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明13を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものである。
(ウ)小括
よって、本件明細書等の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明13を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしている。
カ 取消理由4のまとめ
よって、請求項3、4及び10は削除され、請求項6~9、11~17に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたとはいえないから、同法第113条第4号に該当するとして取り消すことはできない。
(5)取消理由5(特許法第36条第6項第2号)
ア 請求項1(及び、請求項1の記載を引用する請求項2~17)
(ア)申立ての理由の概要(申立書第58~59ページ、4(4)ク(ア)~(エ)、申立人意見書第5~7ページ、4(2)イ~ウ)
本件訂正前の請求項1の「特にプレスブレーキ用の」及び「その場合に」、並びに、本件訂正後の請求項1にも記載される「相前後して列をなして場所を占める」及び「引き出し可能な収納レール(28)の少なくとも1つが、それぞれ曲げパンチ(5)と曲げダイを収容する」との記載により、具体的にどのような発明を特定しようとしているか理解できないため、本件発明1は明確でない。
(イ)当審の判断
請求項1には、「特にプレスブレーキ用の」及び「その場合に」との記載は存在しない。
また、「相前後して列をなして場所を占める」との記載は、「複数の曲げ工具(4)」が「収納レール(28)の長手方向の延び(30)」内に前後に列をなして収容されることで、収納レール(28)における曲げ工具(4)の収容場所を曲げ工具(4)にて占めることが可能なように、「収納レール(28)」が形成されていることを特定するものであると認められる(取消理由通知の第1の1(3)、権者意見書1の第3~4ページ、5(4)ア)。
さらに、「引き出し可能な収納レール(28)の少なくとも1つが、それぞれ曲げパンチ(5)と曲げダイを収容する」との記載は、「引き出し可能な複数の収納レール(28)のうち1つが、曲げパンチ(5)と曲げダイ(6)を収容する」こと、または、「引き出し可能な複数の収納レール(28)のうち2つ以上が、それぞれ曲げパンチ(5)と曲げダイ(6)を収容する」ことを特定するものであると認められる(取消理由通知の第1の1(4)、権者意見書1の第4ページ、5(4)イ)。
(ウ)小括
よって、本件発明1は明確であるから、請求項1の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。
イ 請求項3(及び、請求項3の記載を引用する請求項4~17)
(ア)申立ての理由の概要(申立書第59ページ、4(4)ク(オ))
本件訂正前の請求項3の「個々の収納レール(28)が互いに重なり合ってマガジンハウジング(27)内に配置されている」との記載からは、具体的にどのような構造を有しているか理解できないため、本件訂正前の請求項3に係る発明は明確でない。
(イ)当審の判断
請求項3は削除されている。
(ウ)小括
よって、当該理由の対象が存在しない。
ウ 請求項6(及び、請求項6の記載を引用する請求項7~17)
(ア)申立ての理由の概要(申立書第59~60ページ、4(4)ク(カ)~(キ)、申立人意見書第7~8ページ、4(2)エ)
請求項6の「第2のスライドレール(45)」及び「第3のスライドレール(46)」が具体的にどのような構造を有しているか理解できないため、本件発明6は、明確でない。
(イ)当審の判断
請求項6は、上記第2の4(3)イ及びエのとおり、第2のスライドレール(45)が収納レール(28)に固定される状態であることが文言上理解でき、また、本件明細書等の段落【0064】の記載及び【図3】を参照することで、当業者は、第1のスライドレール(44)と第2のスライドレール(45)との間に少なくとも1つの第3の他のスライドレール(46)を配置することが可能であると理解するから、本件発明6は明確であるといえる。
(ウ)小括
よって、本件発明6は明確であるから、請求項6の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。
エ 請求項9(及び、請求項9の記載を引用する請求項10~17)
(ア)申立ての理由の概要(申立書第60ページ、4(4)ク(ク)、申立人意見書第8~9ページ、4(2)オ)
請求項9の「複数の収納レール(28)が互いに重なり合って配置されている」点が具体的にどのような構造を有しているか理解できないため、本件発明9は、明確でない。
(イ)当審の判断
上記第5の1(1)ウのとおり、請求項9の当該記載は、複数の収納レール(28)が接触せずに上下の位置関係にあるものを意味すると解釈することが合理的であって、本件発明9は明確であるといえる。
(ウ)小括
よって、本件発明9は明確であるから、請求項9の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。
オ 請求項11(及び、請求項11の記載を引用する請求項12~17)
(ア)申立ての理由の概要(申立書第60~61ページ、4(4)ク(ケ)~(コ))
本件訂正前の請求項11の「収納レール(28)の50%より多く」及び「底から」との記載が具体的にどのような割合や場所を示しているか理解できないため、本件訂正前の請求項11に係る発明は、明確でない。
(イ)当審の判断
上記第2の4(5)エのとおり、本件明細書等の段落【0019】の記載及び【図1】~【図2】を参照することで、本件発明11は明確であるといえる。
(ウ)小括
よって、本件発明11は明確であるから、請求項11の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。
カ 請求項12(及び、請求項12の記載を引用する請求項13~17)
(ア)申立ての理由の概要(申立書第61ページ、4(4)ク(サ)、申立人意見書第9~10ページ、4(2)カ)
請求項12の「収納レール(28)の各々が、その高さ(43)において変位可能である」との記載が具体的にどのような構造を示しているか理解できないため、本件発明12は、明確でない。
(イ)当審の判断
請求項12の当該記載は、文言上明確であり、また、上記第5の2(3)のとおり、段落【0020】の記載及び技術常識を参照すれば、「変位可能」との構成についても理解できる。
(ウ)小括
よって、本件発明12は明確であるから、請求項12の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。
キ 請求項13(及び、請求項13の記載を引用する請求項14~17)
(ア)申立ての理由の概要(申立書第62ページ、4(4)ク(シ))
請求項13の「個々の収納レール(28)が、収納レール搬送循環システムに配置されている」との記載が具体的にどのような構造を示しているか理解できないため、本件発明13は、明確でない。
(イ)当審の判断
上記第5の2(5)のとおり、段落【0021】の記載及び技術常識を参照すれば、「収納レール」が「循環システム」により循環するとの構成について理解できる。
(ウ)小括
よって、本件発明13は明確であるから、請求項13の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。
ク 請求項14(及び、請求項14の記載を引用する請求項15~17)
(ア)申立ての理由の概要(申立書第62~63ページ、4(4)ク(ス)~(セ))
本件訂正前の請求項14の「ロックされているので」及び「1つの収納レール(28)が引き出された状態」との記載が具体的にどのような状態等を示しているか理解できないため、本件訂正前の請求項14に係る発明は、明確でない。
(イ)当審の判断
上記第2の4(8)アのとおり、本件発明14には、「1つの収納レール(28)が引き出された状態において、他の収納レール(28)は引き出すことができないように、個々の収納レール(28)がロック装置(47)によって互いに対してロック可能である」ことが記載され、当該記載は文言上明確である。
(ウ)小括
よって、本件発明14は明確であるから、請求項14の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。
ケ 請求項15(及び、請求項15の記載を引用する請求項16~17)
(ア)申立ての理由の概要(申立書第63ページ、4(4)ク(ソ))
本件訂正前の請求項15の「その前側(29)」が何の前側を示しているか理解できないため、本件訂正前の請求項15に係る発明は、明確でない。
(イ)当審の判断
上記第2の4(9)アのとおり、本件発明15には「マガジンハウジング(27)の前側(29)」と記載され、当該記載は文言上明確である。
(ウ)小括
よって、本件発明15は明確であるから、請求項15の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。
コ 請求項16(及び、請求項16の記載を引用する請求項17)
(ア)申立ての理由の概要(申立書第63~64ページ、4(4)ク(タ))
本件訂正前の請求項16の「特に80cmと150cmの間の長さ(36)」との記載によりどのような発明が特定されるか理解できないため、本件訂正前の請求項16に係る発明は、明確でない。
(イ)当審の判断
本件発明16には「特に80cmと150cmの間の長さ(36)」という記載は存在しないから、本件発明16に係る記載は明確である。
(ウ)小括
よって、本件発明16は明確であるから、請求項16の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。
サ 取消理由5のまとめ
よって、請求項3、4及び10は削除され、請求項1~2、6~9、11~17に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたとはいえないから、同法第113条第4号に該当するとして取り消すことはできない。
第7 むすび
したがって、本件発明1~2、5~9、11~17に係る特許は、決定の予告にて通知した取消しの理由(上記第5)、及び、特許異議申立書にて申し立てられた取消しの理由(上記第6)によっては取り消すことはできない。また、他に本件請求項1~2、5~9、11~17に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、請求項3~4、10に係る特許は、上記第2のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による請求項3~4、10に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-700676