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特許異議申立

2018-700713

給排型換気装置

審判番号
2018-700713
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2014-029224
登録番号
特許第6286665号(P6286665)
請求日
2018年09月05日
審決日
2019年02月28日
公報発行日
2019年07月26日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】パナソニックIPマネジメント株式会社
  • 【権利者代理人】鎌田 健司
  • 【権利者代理人】前田 浩夫
  • 【異議申立人】田中 貞嗣
  • 【異議申立人】小山 卓志
審判長/審判官
  • 審判長 高木 彰
  • 審判官 芦原 康裕
  • 審判官 船越 亮
分類
P1651.113-ZC (F24F) / P1651.121-ZC (F24F) / P1651.537-ZC (F24F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項、特許法第29条、特許法第113条第2号、特許法第113条第4号、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6286665号発明「給排型換気装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

特許第6286665号の請求項1に係る特許を維持する。 特許第6286665号の請求項2に係る特許を取り消す。

理由

第1 手続の経緯 特許第6286665号(以下、「本件特許」という。)の請求項1及び2に係る特許についての出願は、平成26年2月19日に出願され、平成30年2月16日にその特許権の設定登録がされ、平成30年3月7日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、平成30年9月5日に特許異議申立人田中貞嗣ほか1名(以下、「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。これに対し、請求項2に係る特許について、特許権者に対して平成30年11月22日付け(発送日:11月27日)取消理由を通知したが、その指定期間内に特許権者から応答がなかった。 第2 本件発明 本件特許の請求項1及び請求項2に係る発明(以下、「本件発明1」及び「本件発明2」といい、両者を併せて「本件発明」という。)は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。なお、本件特許異議申立書の記載にならって、各請求項に記載された事項を構成要件に分説し、AないしNの符号を付した。 「【請求項1】 A :室内側吸込口と室内側吐出口と、室外側吸込口と室外側吐出口を設けた本体を有し、 B1:この本体内に、 B2:室外の空気を前記室外側吸込口から前記室内側吐出口へ連通させる給気風路と、 B3:室内の空気を前記室内側吸込口から前記室外側吐出口へ連通させる排気風路と、 B4:前記給気風路と前記排気風路それぞれに配置した給気用ファンと排気用ファンと、 B5:前記給気用ファンを駆動する給気用モータと、 B6:前記排気用ファンを駆動する排気用モータを備えた C: 給排型換気装置であって、 D: 前記給気用モータ、前記排気用モータを制御する制御部を設け、 E: 前記給気風路と前記排気風路の交差部に配置して室外空気と室内空気の熱を交換させる熱交換素子を備え、 F: 運転停止時に、前記制御部が前記給気用モータを停止させた後、前記排気用モータを停止させるよう制御する G: 給排型換気装置。 【請求項2】 H :室内側吸込口と室内側吐出口と、室外側吸込口と室外側吐出口を設けた本体を有し、 I1:この本体内に、 I2:室外の空気を前記室外側吸込口から前記室内側吐出口へ連通させる給気風路と、 I3:室内の空気を前記室内側吸込口から前記室外側吐出口へ連通させる排気風路と、 I4:前記給気風路と前記排気風路それぞれに配置した給気用ファンと排気用ファンと、 I5:前記給気用ファンを駆動する給気用モータと、 I6:前記排気用ファンを駆動する排気用モータを備えた J :給排型換気装置であって、 K :前記給気用モータ、前記排気用モータを制御する制御部を設け、 L :前記給気風路と前記排気風路の交差部に配置して室外空気と室内空気の熱を交換させる熱交換素子を備え、 M :運転開始時に、前記制御部が前記排気用モータを起動させた後、前記給気用モータを起動させるよう制御する N :給排型換気装置。」 第3 取消理由の概要 取消理由の概要は、次のとおりである。 請求項2に係る発明は、甲第6号証(実願平2-34250号(実開平3-127144号)のマイクロフィルム)、甲第2号証(特開2001-280656号公報)、甲第3号証(特開2005-43035号公報)及び甲第5号証(特開2008-145017号公報)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 第4 甲各号証の記載 1 甲第1号証:特開2001-153417号公報(平成13年6月8日出願公開) 本件特許の出願日よりも前に頒布された文献である、甲第1号証には、図面とともに、次の記載がある。 「【0037】第2の実施形態 図2及び図3には、本願発明の第2の実施形態にかかる換気装置1を示している。この換気装置1は、給気と排気の間で熱回収を行う換気形態(以下、「全熱換気」という)とかかる熱回収を行わない換気形態(以下、「普通換気」という)とを選択できるようにした給気・排気式の換気装置であって、ケーシング2内には、隔壁6によって給気通路3と主排気通路4とが形成されとともに、該主排気通路4の速報にはさらに副排気通路5が設けられている。」 「【0038】上記給気通路3は、その一端に設けた給気導入口11が、直接に又は適宜のダクト(図示省略)を介して室外に臨ましめられている。また、この給気通路3の他端に設けた給気吹出口12は、直接に又は適宜のダクト(図示省略)を介して室内空間20に臨ましめられている。そして、この給気通路3の上記給気吹出口12寄り位置には給気用ファン7が備えられている。」 「【0039】上記主排気通路4は、その一端に設けた排気導入口13が、直接に又は適宜のダクト(図示省略)を介して上記室内空間20に臨ましめられている。また、この主排気通路4の他端に設けた排気吹出口14は、直接に又は適宜のダクト(図示省略)を介して室外に臨ましめられている。そして、この主排気通路4の上記排気吹出口14寄り位置には排気用ファン8が備えられている。」 「【0040】さらに、上記給気通路3と上記主排気通路4との間には、これら両者に跨がって全熱交換器10が配置されており、該全熱交換器10の給気側通路部10Aを通る給気と排気側通路部10Bを通る排気との間における熱交換によって熱回収が行われる。」 「【0044】「全熱換気」による換気運転は、上記ダンパー9を第1の位置に設定した状態で、上記給気用ファン7と排気用ファン8とを共に正回転方向に運転することで行われる。」 「【0046】B:CO2センサ15の自己校正のための運転 上記CO2センサ15の自己校正のための運転は、通常の換気運転の終了時、例えば、昼間の業務を終えて室内空間20に人が居なくなり換気装置1の「全熱換気」又は「普通換気」を停止させた時に行われるものであって、特許請求の範囲の「終了時の運転」に該当する。」 「【0048】先ず、図2に示すように、上記給気用ファン7の運転を停止させた状態で、上記排気用ファン8のみを所定時間最大風量にて運転する。この排気用ファン8のみの最大風量運転によって、上記室内空間20の内圧は低下し大気圧以下となる。次に、所定時間経過後、上記排気用ファン8の運転を停止させる。」 ここで、【0044】及び【0048】に記載の給気用ファン7及び排気用ファン8の動作からみて、技術常識を踏まえると、甲第1号証に記載の換気装置1には、給気用ファン7及び排気用ファン8を制御する制御部が設けられていることは明らかである。 してみると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 「排気導入口(13)と給気吹出口(12)と、給気導入口(11)と排気吹出口(14)を設けたケーシング(2)を有し、 このケーシング(2)内に、 室外の空気を給気導入口(11)から給気吹出口(12)へ連通させる給気通路(3)と、 室内の空気を排気導入口(13)から排気吹出口(14)へ連通させる主排気通路(4)と、 給気通路(3)と主排気通路(4)それぞれに配置した給気用ファン(7)と排気用ファン(8)と、 給排型の換気装置(1)であって、 給気用ファン(7)、排気用ファン(8)を制御する制御部を設け、 給気通路(3)と主排気通路(4)に跨って配置して室外空気と室内空気の熱を交換させる全熱交換器(10)を備えた 給排型の換気装置。」 2 甲第2号証:特開2001-280656号公報(平成13年10月10日出願公開) 本件特許の出願日よりも前に頒布された文献である、甲第2号証には、図面とともに、次の記載がある。 「【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態における空調換気扇の要部断面図である。1は空調換気扇本体23のケーシングであり、このケーシング前部2(室内側)には給気出口3と排気入口4とが設けられ、ケーシング前部5(壁側)には給気入口6と排気出口7とが設けられて、ケーシング1内に室内と室外を結ぶ給気入口6から給気出口3を通る給気通風路8と、排気入口4から排気出口7を通る排気通風路9とを形成している。」 「【0009】給気通風路8と排気通風路9は、全熱交換器10で直角方向に立体的に交差し、給気通風路8の給気と排気通風路9の排気とが全熱交換器10内を通過する際に熱交換できるようになっている。」 「【0010】前記給気及び排気通風路8、9の出口側にはそれぞれ給気用送風機14、排気用送風機13が配置され、これら送風機13、14の上流側に全熱交換器10が設けられている。」 「【0013】排気通風路9に設けられた排気用送風機13は、排気用ファン13Fと排気用モータ13Mにより構成され、排気用モータ13Mには回転数を強・弱2段に切り替えて変更する切替スイッチ(図示せず)が備えられ、排気用ファン13Fは送風機取付板17にネジにより固定された排気用モータ13Mの軸に連結されている。給気通風路8に設けられた給気用送風機14は、給気用ファン14Fと給気用モータ14Mにより構成され、給気用モータ14Mには回転数を強・弱2段に切り替えて変更する切替スイッチ(図示せず)が備えられ、給気用ファン14Fは送風機取付板17にネジにより固定された給気用モータ14Mの軸に連結されている。」 「【0014】18は制御装置、22はリモコンである。制御装置18は排気用、給気用モータ13M、14M及びリモコン22と接続されており、排気用モータ13Mと給気用モータ14Mとを、連動して、運転・停止や強・弱の切替の制御をすることができる。」 図1には、全熱交換器10が給気通風路8と排気通風路9の交差部に配置される点が図示されている。 してみると、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2技術」という。)が記載されているといえる。 「ケーシング(1)内に、給気用ファン(14F)を駆動する給気用モータ(14M)と、排気用ファン(13F)を駆動する排気用モータ(13M)と、給気用モータ(14M)及び排気用モータ(13M)を制御する制御装置(18)と、給気通風路(8)と排気通風路(9)の交差部に配置して室外空気と室内空気の熱を交換させる全熱交換器(10)とを備えた給排型の空調換気扇(20)。」 3 甲第3号証:特開2005-43035号公報(平成17年2月17日出願公開) 本件特許の出願日よりも前に頒布された文献である、甲第3号証には、図面とともに、次の記載がある。 「【0033】 本発明に係る空気清浄システムは、室内と室外とを区画するための隔壁に固着される本体10を備える。本体10は、その内部に換気ユニットと空気清浄ユニットを含む。ここで、換気ユニットは人間の呼吸によって発生する二酸化炭素などから室内空気が汚染しないように室内空気を室外へ排出し、新鮮な室外空気を吸入して室内を換気させるための構成要素を総称するもので、空気清浄ユニットは空気中の粉塵や細菌、汚染物質などを濾し、浄化された清浄な空気を供給するための構成要素を総称するものである。」 「【0034】 本体の内部に室内空気を排出するための排気流路12、室外空気を室内に供給するための給気流路14、及び排気流路から排気される室内空気と給気流路から室内に供給される室外空気との熱交換を行うための伝熱交換機16が設けられる。」 「【0035】 本体の前面上方に上部ブレード11が設置され、その後方に排気ファン用モータ18と、モータ軸19を介してモータ18に連結される排気ファン20とが設置される。上部ブレードは常時開放され、排気ファン20によって排気口13から室内空気が室外へ排出できる状態を保つ。すなわち、排気ファン20が回転すると、吸入力が発生することにより、室内空気は排気流路12上に設置された伝熱交換機16を通過した後室外へ排出される。」 「【0040】 また、脱臭/殺菌フィルタ24の後方に給気ファン用モータ25と、モータ軸26を介して給気ファン用モータ25に連結される給気ファン27とが設置される。」 「【0043】 本発明は、空気清浄システムの全般的な動作を制御するコントローラ30を備える。コントローラの入力端には室内空気の二酸化炭素の濃度を検出するための室内汚染感知センサ21が連結され、コントローラの出力端には排気ファン用モータ18と給気ファン用モータ25を駆動するためのファン駆動部31、及びモード切換ダンパー15と吸入口開閉ダンパー22を駆動するためのダンパー駆動部32が連結される。」 「【0044】 コントローラ30は、室内汚染感知センサ21によって感知された二酸化炭素の濃度に応じて換気モード又は空気清浄モードを行うために換気ユニット又は空気清浄ユニットを制御する。」 図3には、伝熱交換機16が給気流路14と排気流路12の交差部に配置される点が図示されている。 してみると、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3技術」という。)が記載されているといえる。 「本体(10)内に、給気ファン(27)を駆動する給気ファン用モータ(25)と、排気ファン(20)を駆動する排気ファン用モータ(18)と、給気ファン用モータ(25)と排気ファン用モータ(18)を制御するコントローラ(30)と、給気流路(14)と排気流路(12)の交差部に配置して室外空気と室内空気の熱を交換させる伝熱交換機(16)とを備えた、給排型の換気ユニット。」 4 甲第4号証:特開2009-293880号公報(平成21年12月17日出願公開) 本件特許の出願日よりも前に頒布された文献である、甲第4号証には、図面とともに、次の記載がある。 「【0016】 実施の形態1. 図1は本発明にかかる熱交換換気装置の実施の形態を示す斜視図である。熱交換換気装置は、熱交換器112を内蔵している。そして、熱交換換気装置は、対向する側面の一方に室内側の吸込口104と吹出口106とを有し、他方に室外側の吸込口105と吹出口107とを有する箱体101内に、上記吸込口104、105と吹出口106、107との間に設けた熱交換器112において互いに交差し熱交換するよう設けられた給気通路109および排気通路108とを備えている。」 「【0017】 そして、箱体101に着脱可能に取り付けられた給気通路109と排気通路108に、それぞれ給気流又は排気流を形成する羽根121及び電動機126からそれぞれ構成される排気送風機110及び給気送風機111に対して、給気通路109と排気通路108に設けられた羽根ケーシング211と、本体の他の側面に設けた開口115から挿脱可能に設けられ、上記給気流と排気流との間で熱交換する熱交換器112とを備えている。」 「【0018】 次に、その動作について説明する。上記のように構成された熱交換換気装置において、熱交換器112を利用した空調換気については、それぞれの排気送風機110及び給気送風機111を運転することにより、室内空気は、ダクトを介して室内側吸込口104から矢印Aのように吸い込まれ、熱交換器112および排気通路108を矢印Bのように通り、排気送風機110により室外側吹出口107から矢印Cのように吹き出される。」 「【0019】 また、ダクトを介して室外側吸込口105から矢印Dのように吸い込まれ、熱交換器112および給気通路109を矢印Eにように通り、給気送風機111により室内側吹出口106から矢印Fのように吹き出され、ダクトを介して室内に給気される。このとき、熱交換器112では排気流と給気流との間で熱交換が行われ、排気熱を回収して冷暖房負荷を軽減するものである。なお、排気送風機110及び給気送風機111の運転は、図示しない制御部によりコントロールされる。」 「【0021】 給気Dの中に雨水および霧が含まれる場合、給気通路109に結露が発生する。本実施の形態の給気状態検出器つまり結露センサー1Aは、この結露を検出する。そして、制御部は、結露センサー1Aの検出結果により、外気の湿度が所定値以上に高いと判断したときに、外気が良好なものでないとして、給気送風機111を停止もしくは間欠運転させる。すなわち、本実施の形態では、給気Dが雨水および霧を含むものである場合、外気が良好なものでないと判断して、給気送風機111を停止もしくは間欠運転させる。以下に間欠運転をする場合の動作を説明する。」 「【0022】 給気Dの中に雨水および霧が含まれる場合、結露センサー1Aにより検知される。結露が検知された場合、図示しない制御部は、まず、給気送風機111を60分停止させて、次いで給気送風機111を運転させながら結露センサー1Aでセンシングするセンシング運転を5分間行う。そして、この5分間のセンシング中に再度結露を検知したらさらに給気送風機111を60分停止させ、この停止とセンシング運転とを交互に行う間欠運転を続ける。そして、5分間のセンシング運転中に結露が無いことを検知できた場合は、間欠運転を止めて通常の連続運転に復帰する。」 「【0023】 上記間欠運転を行う際のセンシング運転および停止の時間(間欠時間)は、使用者のニーズに応じて任意に設定できるものであるが、センシング運転時間としては、1~30分、停止時間としては、30~90分が適当である。」 図4には、熱交換器112が給気通路109と排気通路108の交差部に配置される点が図示されている。 してみると、甲第4号証には、次の発明(以下、「甲4技術」という。)が記載されているといえる。 「箱体(101)内に、給気送風機(111)の羽根(121)を駆動する電動機(126)と、排気送風機(110)の羽根(121)を駆動する電動機(126)と、給気送風機(111)及び排気送風機(110)を制御する制御部と、給気通路(109)と排気通路(108)を制御する制御部とを備えた給排型の熱交換換気装置。」 5 甲第5号証:特開2008-145017号公報(平成20年6月26日出願公開) 本件特許の出願日よりも前に頒布された文献である、甲第5号証には、図面とともに、次の記載がある。 「【0043】 〔第1実施形態〕 以下、本発明に係る空調装置の第1実施形態を説明する。 図1に示すように、前記空調装置としてのデシカント空調装置は、外気OAを装置内に吸い込むための外気吸込口1、その装置内に吸い込んだ外気OAを供給用空気SAとして空調対象空間としての複数の空調対象室に供給するための給気送出口2、住宅内の空気(以下、内気と称する)RAを装置内に吸い込むための内気吸込口3及びその装置内に吸い込んだ内気RAを排出用空気EAとして屋外に排出するための排気送出口4を備えたケーシング5を用いて組み付けて構成してあり、図示は省略するが、住宅の天井裏等に配置する。」 「【0045】 この空調装置は加湿タイプであり、図1に示すように、空調対象室に供給する供給用空気SAの給気風路6に通風作用する給気送風手段としての給気送風機7と、空調対象室外に排出する排出用空気EAの排気風路8に通風作用する排気送風手段としての排気送風機9と、一部を前記給気風路6に位置させ且つ他の一部を前記排気風路8に位置させるように配置される調湿体10及びその調湿体10における前記給気風路6に位置させる部分及び前記排気風路8に位置させる部分を回転に伴って変更させるように前記調湿体10を駆動回転する駆動手段としての電動モータ11を備えた調湿ロータLと、前記給気風路6における前記調湿体10よりも通風方向上手側箇所を通流する空気と前記排気風路8における前記調湿体10よりも通風方向下手側箇所を通流する空気とを熱交換させる顕熱交換器25と、前記給気風路6における前記顕熱交換器25と前記調湿体10との間の箇所を通流する空気に対して加熱作用する加熱手段としての加湿用加熱器40と、この空調装置の運転を制御する運転制御手段としての運転制御部13と、その運転制御部13に各種制御情報を指令する遠隔操作式の操作部14等を備えて構成してある。」 「【0051】 図1に示すように、前記顕熱交換器25は、第1熱交換流路(図示省略)及び第2熱交換流路(図示省略)を直交する状態で且つ夫々の熱交換流路を通流する流体同士で熱交換される状態で備えた静止型の顕熱交換器にて構成され、この顕熱交換器25が、前記給気風路6を通流する空気と前記排気風路8を通流する空気とを熱交換させる顕熱交換部Sを構成する。 説明を加えると、この顕熱交換器25は、厚さ方向視の形状が略正方形状の直方体又は立方体状であり、図示は省略するが、厚さ方向に複数の第1熱交換流路及び複数の第2熱交換流路が隔壁を隔てて交互に並ぶ形態でアルミニウム等の熱伝導率の高い材料にて形成してある。」 「【0052】 そして、この顕熱交換器25における厚さ方向視での4つの側面のうちの1つの側面25aには、前記複数の第1熱交換流路の入口側開口部が形成され、その側面25aとは反対側の側面25bには、前記複数の第1熱交換流路の出口側開口部が形成され、残りの2つの側面のうちの1つの側面25cには、前記複数の第2熱交換流路の入口側開口部が形成され、その側面25cとは反対側の側面25dには、前記複数の第2熱交換流路の出口側開口部が形成されている。」 「【0063】 前記運転制御部13は、運転モードとして、前記給気送風機7及び前記排気送風機9を作動させ、前記調湿体10を調湿用設定速度で回転駆動し、前記除臭用加熱器43を加熱停止状態にし、前記加湿用加熱器40を加熱作用状態にする空調運転としての加湿運転を実行する加湿モード、前記給気送風機7及び前記排気送風機9を作動させ、前記調湿体10を停止させ、前記加湿用加熱器40及び前記除臭用加熱器43を加熱停止状態にする通常換気運転を実行する通常換気モード、及び、前記給気送風機7及び前記排気送風機9を作動停止させ、前記調湿体10を停止させ、前記加湿用加熱器40及び前記除臭用加熱器43を加熱停止状態にする、すなわち運転停止状態となる運転停止モードを備えるように構成してある。」 「【0064】 そして、前記運転制御部13は、前記除臭用加熱器43を加熱作用状態にして、前記給気送風機7の通風作動を停止させて前記排気送風機9を作動させ、且つ、乾燥用設定時間が経過する間だけ調湿体10の回転を停止させる処理と調湿体10における排気風路に位置させる部分のうちの一部が他の部分と入れ替わる形態で調湿体10を設定角度だけ回転させる処理とを繰り返して実行するように電動モータ11を作動させて、調湿体10に吸収されている水分を前記排出用空気に放出させて除去する除臭運転を実行する構成となっている。又、前記運転制御部13は、前記除臭運転において、前記加湿運転を実行するときに比べて排気送風機9による通風量を少なくするように構成してある。」 「【0065】 前記運転制御部13は、空調運転としての加湿運転の開始が指令されると、前記除臭運転を実行したのちに前記加湿運転を実行する構成となっており、且つ、前記加湿運転の開始が指令されたときに、前回の前記除臭運転の実行を終了してから判別用設定時間以上経過していなければ、前記除臭運転を実行することなく、前記加湿運転を実行する構成となっている。」 「【0071】 次に、前記除臭運転について説明する。 図6に示すように、この除臭運転においては、給気送風機7の作動を停止し、前記加湿用加熱器40を加熱停止状態にして、電動モータ11を停止させて調湿体10の回転を停止させる(ステップ10,11)。そして、除臭用熱動弁45を開弁して除臭用加熱器43を加熱作用状態にして、排気送風機9を通風作動させる(ステップ12,13)。このとき、排気送風機9の通風量としては、前記空調運転としての加湿運転を実行するときに比べて少ない少風量になるように設定している。」 「【0072】 そして、その後、乾燥用設定時間(例えば数分間)が経過すると、調湿体10における排気風路に位置させる部分のうちの一部が他の部分と入れ替わるように調湿体10を設定角度としての1/3回転(約120°)だけ回転させて停止させる(ステップ14,15)(図7(イ)(ロ)参照)。そのように回転を停止させた状態で前記乾燥用設定時間が経過すると、再度、調湿体10を設定角度としての1/3回転(約120°)だけ回転させて停止させる(ステップ16,17)(図7(ハ)参照)。さらに、そのように回転を停止させた状態で前記乾燥用設定時間が経過すると除臭運転を終了する(ステップ18)。」 ここで、給気送風機7及び排気送風機9が、ファンと、ファンを駆動するモータから構成されることは、技術常識を踏まえれば明らかである。 してみると、甲第5号証には、次の発明(以下、「甲5発明」という。)が記載されているといえる。 「内気吸込口(3)と給気送出口(2)と、外気吸込口(1)と排気送出口(4)を設けたケーシング(5)を有し、 このケーシング(5)内に、 室外の空気を外気吸込口(1)から給気送出口(2)へ連通させる給気風路(6)と、 室内の空気を内気吸込口(3)から排気送出口(4)へ連通させる排気風路(8)と、 給気風路(6)と排気風路(8)それぞれに配置した給気送風機(7)のファンと排気送風機(9)のファンと、 給気送風機(7)のファンを駆動する給気用モータと、 排気送風機(9)のファンを駆動する排気用モータを備えた 給排型の空調装置であって、 給気送風機(7)、排気送風機(9)を制御する運転制御部(13)を設け、 給気風路(6)と排気風路(8)の交差部に配置して室外空気と室内空気の熱を交換させる顕熱交換器(25)を備え、 運転開始時に、運転制御部(13)が、除臭運転を実行した後、加湿運転を実行するよう制御する給排型の空調装置。」 6 甲第6号証:実願平2-34250号(実開平3-127144号)のマイクロフィルム(平成3年12月20日出願公開) 本件特許の出願日よりも前に頒布された文献である、甲第6号証には、図面とともに、次の記載がある。【追記予定】 (1)4ページ13行ないし6ページ9行 「第1図において、円筒状の通風筒(1)を畜舎(H)の天井板(C)及び屋根板(R)を貫通して垂直に取付け、該通風筒(1)は、その下端部周壁に舎内に開口する内気導人口(2)、(2)を開設すると共に、開口下端に椀状の水受け皿(3)を取付け、該水受け皿(3)中心部の排水口(4)に排水ホース(5)を接続してあり、又通風筒(1)の上端に舎外に開口する内気排出口(6)を開設すると共に、その適宜下位の通風筒内に、畜舎内の内気を上記内気導入口(2)、(2)から通風筒(1)内を通して上記内気排出口(6)から畜舎外八排出する内気排出用ファン(7)を内装してあり、このような通風筒(1)の中間部すなわち上記内気導入口(2)、(2)と内気排出用ファン(7)との間の通風筒内に熱交換装置を設けてある。 熱交換装置の構造は次のようである。第1、2図において通風筒(1)内における上記内気導入口(2)、(2)のやや上方及び上記内気排出用ファン(7)の適宜下方に下部仕切板(8)及び上部仕切板(9)をそれぞれ固定して、両仕切板(8)、(9)間に円筒状熱交換室(10)を区画形成し、該熱交換室(10)内に多数本の熱交換パイプ(11)…を互に小間隔をあけて熱交換室軸心と平行に縦通した状態で、各熱交換パイプ(11)…両端部を上記両仕切板(8)、(9)に支持させると共に、各パイプの下端を下部仕切板(8)を貫通して上記内気導入口(2)、(2)がわに、各パイプ上端を上部仕切板(9)を貫通して上記内気排出口(6)がわにそれぞれ開通させ、このような熱交換室(10)の上端部周壁に、上記天井板(C)と屋根板(R)の間の屋根裏に開口して外気を間接的に導入すべき外気導入口(12)を、熱交換室の下端部周壁に畜舎内に開口する外気供給口(13)をそれぞれ開設すると共に、上記外気供給口(13)内に、外気を上記外気導入口(12)から熱交換室(10)内の多数熱交換パイプ(11)…の外周間を通して上記外気供給口(13)より畜舎内へ供給する外気供給用ファン(14)を内装してある。」 (2)7ページ9行ないし20行 「冬期等において、まず内気排出用ファン(7)を始動すると、畜舎内の暖気が内気導入口(2)、(2)から通風筒(1)内に導入されて多数の熱交換パイプ(11)…内を上方へ流通し、その間に各熱交換パイプ(11)…を温め、ついで内気排出口(6)から舎外へ排出される。その状態で外気供給用ファン(14)を始動すると、畜舎外の寒気が外気導入口(12)から熱交換室(10)内に導入されて多数の熱交換パイプ(11)…の外周間を通過しつつ下方へ流れ、その間に熱交換を行って温められ、ついで外気供給口(13)から舎内へ暖気となって供給される。」 (3)第1図 上記の記載事項、及び、第1図の図示事項からみて、甲第6号証には、次の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されているといえる。 ここで、畜舎外の外気を畜舎内へ供給するための、外気導入口(12)から熱交換室(10)内の多数熱交換パイプ(11)の外周間を通して外気供給口(13)へ連通させる風路を「給気用風路」といい、畜舎内の内気を畜舎外に排出するための、内気導入口(2)から熱交換室(10)内の多数本の熱交換パイプ(11)の内部空間及び通風筒(1)内を通して内気排出口(6)へ連通させる風路を「排気用風路」という。 「内気導入口(2)と外気供給口(13)と、外気導入口(12)と内気排出口(6)を設けた、熱交換室(10)を区画形成した通風筒(1)を有し、 この通風筒(10)内に、 外気を前記外気導入口(12)から前記外気供給口(13)へ連通させる給気用風路と、 内気を前記内気導入口(2)から前記内気排出口(6)へ連通させる排気用風路と、 前記給気用風路と前記排気用風路それぞれに内装した外気供給用ファン(14)と内気排出用ファン(7)とを備えた熱交換装置つき換気装置であって、 前記熱交換室内に配置して外気と内気の熱を交換させる多数本の熱交換パイプを備え、 運転開始時に、まず内気排出用ファンを始動させた後、外気供給ファンを始動する熱交換装置つき換気装置。」 7 甲第7号証:特開平10-14720号公報(平成10年5月29日出願公開) 本件特許の出願日よりも前に頒布された文献である、甲第7号証には、利用者による換気の指示を急速換気の要請として捉え、効果的かつ効率的にその要請に応じることができる換気制御装置についての記載がある。 8 甲第8号証:特開2003-74937号公報(平成15年3月12日出願公開) 本件特許の出願日よりも前に頒布された文献である、甲第8号証には、排気風量の低下と装置の外表面への結露水の付着を防止できる換気装置についての記載がある。 第5 当審の判断 1 請求項2に係る発明(以下、「本件発明2」という。)について (1)対比 本件発明2と甲6発明とを対比するに、引用発明6の「内気導入口(2)」は、その作用及び機能からみて、本件発明2の「室内側吸込口」に、以下同様に、「外気供給口(13)」は「室内側吐出口」に、「外気導入口(12)」は「室外側吸込口」に、「内気排出口(6)」は「室外側吐出口」に、「熱交換室(10)を区画形成した通風筒(1)」は「本体」に、「外気」は「室外の空気」に、「給気用風路」は「給気風路」に、「内気」は「室内の空気」に、「排気用風路」は「排気風路」に、「内装」は「配置」に、「外気供給用ファン(14)」は「給気用ファン」に、「内気排出用ファン(7)」は「排気用ファン」に、「熱交換装置つき換気装置」は「給排型換気装置」に、「多数本の熱交換パイプ」は「熱交換素子」に、それぞれ相当する。 また、本件発明2の「排気用モータ」及び「給気用モータ」をそれぞれ起動させることで、「排気用ファン」及び「給気用ファン」をそれぞれ始動するものであることは明らかであるから、甲6発明の「運転開始時に、まず内気排出用ファンを始動させた後、外気供給ファンを始動する」は、本件発明2の「運転開始時に、前記制御部が前記排気用モータを起動させた後、前記給気用モータを起動させるよう制御する」と、「運転開始時に、前記排気用ファンを始動させた後、前記給気用ファンを始動させる」である点で共通する。 (2)一致点及び相違点 以上のとおりであるから、本件発明2と甲6発明の一致点及び相違点は、次のとおりとなる。 (一致点) 「室内側吸込口と室内側吐出口と、室外側吸込口と室外側吐出口を設けた本体を有し、 この本体内に、 室外の空気を前記室外側吸込口から前記室内側吐出口へ連通させる給気風路と、 室内の空気を前記室内側吸込口から前記室外側吐出口へ連通させる排気風路と、 前記給気風路と前記排気風路それぞれに配置した給気用ファンと排気用ファンとを備えた給排型換気装置であって、 室外空気と室内空気の熱を交換させる熱交換素子を備え、 運転開始時に、前記排気用ファンを始動させた後、前記給気用ファンを始動させる給排型換気装置。」 (相違点1-1) 室外空気と室内空気の熱を交換させる熱交換素子について、本件発明2においては、給気風路と排気風路の交差部に配置しているのに対して、甲6発明においては、熱交換室内に配置しているものの、そのような構成を有するか明らかでない点。 (相違点1-2) 本件発明2においては、給気用ファンを駆動する給気用モータと、排気用ファンを駆動する排気用モータとを備えるとともに、給気用モータ、排気用モータを制御する制御部を設けているのに対して、甲6発明においては、そのような構成を有するか明らかでない点。 (3)判断 ア 相違点1-1について 甲6発明の熱交換室について検討するに、熱交換室内には多数本の熱交換パイプを備えており、当該熱交換パイプの外周間部分は給気用風路を構成するとともに外気が連通し、また、当該熱交換パイプの内部空間は排気用風路を構成するとともに内気が連通して、当該熱交換パイプを介して外気と内気の熱が交換する構成となっている。さらに、第1図からみて、内気の連通する方向は、当該熱交換パイプの内部空間を下から上方向、つまり熱交換パイプに並行する方向に、そして、外気の連通する方向は、当該熱交換パイプの外周間を右上から左下の方向、つまり熱交換パイプと交差する方向に、それぞれ流れるよう構成されるものである。してみれば、甲6発明の多数本の熱交換パイプは、熱交換室内において、給気用風路と排気用風路が交差するように配置されているということができる。そうすると、相違点1-1に係る本件発明2の構成は実質的な相違点ではないということになる。 また、仮に、相違点であったとしても、給気と排気を熱交換する給排型の換気装置において、熱交換器を給気風路と排気風路の交差部に配置して室外空気と室内空気の熱を交換させることは周知の技術である(必要とあらば、甲第2号証の段落【0008】ないし【0010】及び【図1】、甲第3号証の段落【0034】及び【図1】、甲第5号証の段落【0051】、段落【0052】及び【図1】を参照のこと。)ことから、甲6発明の多数本の熱交換パイプを給気用風路と排気用風路の交差部に配置して、上記相違点1に係る本件発明2の構成とすることは、同一技術分野に属する技術を単に置換したに過ぎないので、当業者にとって何ら困難性はない。 イ 相違点1-2について 給気と排気を熱交換する給排型の換気装置において、給気用ファン及び排気用ファンのそれぞれにモータを備えるとともに、各モータの動作やその切り替えを制御する制御器を備えることは周知の技術である(必要とあらば、甲第2号証の段落【0013】、段落【0014】、【図1】、及び、甲第3号証の段落【0035】、段落【0040】、段落【0043】、段落【0044】、図1、図3を参照のこと。)ことから、甲6発明のそれぞれのファンを運転するために上記周知の技術を適用して、相違点1-2に係る本件発明2の構成とすることは、同一技術分野に属する技術を単に付加したに過ぎないので、当業者にとって何ら困難性はない。 ウ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件発明2の奏する作用効果は、甲6発明及び上記周知の技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものに過ぎず、格別顕著なものということはできない。 エ したがって、本件発明2は、甲6発明及び上記周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1)異議申立人は、特許異議申立書において、請求項1に係る特許について、概ね次のとおり主張する。 ア 本件発明1は、甲1発明に甲第2号証ないし甲第4号証で示される周知技術を適用することにより当業者が容易に想到できたものである。よって、本件発明1に係る特許は、特許法第29条2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当するので、取り消されるべきである。 イ 本件発明1は、特許法第36条第6項第1項に規定する要件を満たしていない。よって、本件発明1に係る特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第113条第4号に該当するので、取り消されるべきである。 (2)上記(1)アについて ア 対比 本件発明1と甲1発明を対比するに、甲1発明の「排気導入口(13)」は、その機能及び作用からみて、本件発明1の「室内側吸込口」に相当し、以下同様に、「給気吹出口(12)」は「室内側吐出口」に、「給気導入口(11)」は「室外側吸込口」に、「排気吹出口(14)」は「室外側吐出口」に、「ケーシング(2)」は「本体」に、「給気通路(3)」は「給気風路」に、「主排気通路(4)」は「排気風路」に、「給気用ファン(7)」は「給気用ファン」に、「排気用ファン(8)」は「排気用ファン」に、「給排型の換気装置(1)」は「給排型換気装置」に、「全熱交換器(10)」は「熱交換素子」に、それぞれ相当する。 また、甲1発明の「給気用ファン(7)、排気用ファン(8)を制御する制御部を設け」と本件発明1の「前記給気用モータ、前記排気用モータを制御する制御部」とは、「制御部を設け」た点で共通する。 さらに、甲1発明の「給気通路(3)と主排気通路(4)に跨って配置して室外空気と室内空気の熱を交換させる全熱交換器(10)を備え」と本件発明1の「前記給気風路と前記排気風路の交差部に配置して室外空気と室内空気の熱を交換させる熱交換素子を備え」とは、「室外空気と室内空気の熱を交換させる熱交換素子を備え」た点で共通する。 イ 一致点・相違点 以上のとおりであるから、本件発明1と甲1発明の一致点及び相違点は、次のとおりとなる。 (一致点) 「室内側吸込口と室内側吐出口と、室外側吸込口と室外側吐出口を設けた本体を有し、 この本体内に、 室外の空気を前記室外側吸込口から前記室内側吐出口へ連通させる給気風路と、 室内の空気を前記室内側吸込口から前記室外側吐出口へ連通させる排気風路と、 前記給気風路と前記排気風路それぞれに配置した給気用ファンと排気用ファンと、を備えた 給排型換気装置であって、 制御部を設け、 室外空気と室内空気の熱を交換させる熱交換素子を備えた給排型換気装置。」 (相違点2-1) 本件発明1では、給排型換気装置が、「前記給気用ファンを駆動する給気用モータと、前記排気用ファンを駆動する排気用モータを備え」るとともに、制御部の制御対象が、「前記給気用モータ、前記排気用モータ」であるのに対して、甲1発明では、そのような構成を有するか明らかでない点。 (相違点2-2) 熱交換素子について、本件発明1では、「前記給気風路と前記排気風路の交差部に配置して」いるのに対し、甲1発明では、「給気通路(3)と主排気通路(4)に跨って配置して」いる点。 (相違点2-3) 制御について、本件発明1では、「運転停止時に、前記制御部が前記給気用モータを停止させた後、前記排気用モータを停止させるよう制御する」のに対して、甲1発明では、そのような構成を有するか明らかでない点。 ウ 判断 (ア)相違点2-1について 甲2技術ないし甲4技術に示されるように、換気装置においてファンがモータを備え、そのモータを制御するための制御部を備えることは周知技術である。 してみると、甲1発明の給気用ファン(7)、排気用ファン(8)をモータによって駆動し、制御部によってそのモータを制御して、相違点2-1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって何ら困難性はない。 (イ)相違点2-2について 甲2技術ないし甲4技術に示されるように、換気装置の熱交換素子を給気通路と排気通路の交差部に配置することは周知技術である。 してみると、甲1発明において、熱交換素子を給気風路と排気風路の交差部に配置して、相違点2-2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって何ら困難性はない。 (ウ)相違点2-3について 甲第1号証には、給気用ファン(7)と排気用ファン(8)の制御に関し、【0046】には「CO2センサの自己校正のための運転は、通常の換気運転の終了時、例えば、室内空間20に人がいなくなり換気装置1の「全熱換気」又は「普通換気」を停止させた時に行われるもの」と、【0048】には「上記給気用ファンの運転を停止させた状態で、上記排気用ファン8のみを所定時間最大風量に運転する。」と記載されているところ、甲1号証には、給気用ファンの運転を停止させた状態で、排気用ファン8のみを運転するということが記載されているに過ぎない。 したがって、甲第1号証には、本件発明1の相違点2-3に係る発明特定事項についての記載も示唆もない。 この点について、異議申立人は、甲第1号証の【0046】及び【0048】の上記記載を挙げて、甲第1号証には「F’運転停止時に、制御部が給気用ファン(7)を停止させた後、排気用ファン(8)を停止させるよう制御する」ことが記載されていると主張する。 しかしながら、甲第1号証の上記記載をみても、排気用ファン(8)を停止させることなく給気用ファン(7)のみを停止させることについては、記載も示唆もない。 一方、【0046】の「「全熱換気」又は「普通換気」を停止させた時」とは、換気動作つまり給気ファン及び排気ファンの運転をすべて停止させた時と解するのが自然であるといえる。そして、「普通換気」を停止させる時とは、排気用ファンはもともと停止していることから、給気ファンのみを停止させる時を指し、給気用ファンと排気用ファンの両方を停止させた状態となっている。これを踏まえると「全熱換気」を停止させた時においても、給気用ファン及び排気ファンの両方を停止させた状態となっている蓋然性が高いともいえる。 さらに、本件発明1において、給気用モータと排気用モータのどちらか一方ずつを起動/停止する技術的意義は、給気用及び排気用の2つのモータを同時に停止又は起動を行う場合、モータによる振動が顕著となることから、その振動を低減するところにあるが、甲第1号証には当該技術的意義に係る記載も示唆もないことから、本件発明1と甲1発明とは、その技術的課題や技術的意義においてまったく異なるものであるといわざるを得ない。 よって、異議申立人の主張は、採用することができない。 さらに、甲第2号証ないし甲第8号証をみても、相違点2-3に係る本件発明1の構成については記載も示唆もない。 してみると、相違点2-3に係る本件発明1の構成は、甲1発明、甲第2号証ないし甲第8号証に記載の技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。 エ 小括 以上のとおり、本件発明1は、甲1発明に甲第2号証ないし甲第8号証に記載の技術に基づいて当業者が容易に想到できたものであるとはいえないので、異議申立人が主張する上記(1)アの主張によっては、本件発明1に係る特許を取り消すことができない。 (3)上記(1)イについて 特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に係る規定(いわゆる「明細書のサポート要件」)に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである(知財高裁特別部平成17年(行ケ)第10042号参照)。 これを踏まえ、本件特許の特許請求の範囲の記載が、上記規定に適合するか否かについて検討する。 本件特許明細書の【0024】には「図2(a)は、本実施の形態における運転停止時の動作を示すフローチャートである。図2(a)に示すように、運転停止要求があった場合に、給気用モータ14と排気用モータ15を制御する制御部17は、まず、STEP11において給気用モータ14を減速又は停止させる。」と、【0025】には「次に、制御部17はSTEP12において給気用モータ14が停止した事を確認する。給気用モータ14が停止したことを確認した後、制御部17は、STEP13で排気用モータ15を減速又は停止させる。または、STEP12では、給気用モータ14が任意の閾値回転速度まで減速したことを確認し、STEP13で、排気用モータ15を減速又は停止させても良い。」と、【0026】には「STEP14において排気用モータ15が停止したことを確認した後、制御部17を停止させることで運転が停止する。」と記載されている。 してみると、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、運転停止要求があった場合に、給気モータ14が停止した後に排気モータ15を停止させることにより、給気用及び排気用の2つのモータを同時に停止又は起動を行う場合に生じるモータによる振動を低減することが記載されている。 よって、構成要件F、すなわち「運転停止時に、前記制御部が前記給気用モータを停止させた後、前記排気用モータを停止させるよう制御する」は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載された事項にほかならない。 異議申立人は、構成要件Fが、「前記制御部が前記給気用モータのみを停止させた後」となっていないことから、例えば、(I)給気用モータ及び排気用モータを同時に停止、(II)排気用モータのみを起動、(III)排気用モータを再度停止という一連の制御からなる構成を含み得るものとなっているが、このような構成は本件特許明細書に記載されておらず、本件発明1はサポート要件を満たさないと主張する。 しかしながら、本件特許発明の技術的課題が、給気用モータと排気用モータを同時に停止又は起動を行う際の振動を低減するであることを踏まえると、上記(I)ないし(III)に係る一連の制御のような給気用モータ及び排気用モータを同時に停止するような態様は本件発明1の構成にそもそも含まないことは明らかである。 よって、異議申立人の主張は採用することができない。 また、異議申立人は、構成要件Fが、給気用モータを停止させてから排気用モータを停止させるまでの時間について記載されていないので、例えば数分から数十分といった比較的長い時間である場合も含み得ることになるが、このような場合は本件特許明細書に記載されておらず、本件発明2はサポート要件を満たさないと主張する。 しかしながら、給気用モータの停止から排気用モータの停止までの時間間隔をどのようにするかは、給気用モータと排気用モータを同時に停止又は起動を行う際の振動を低減するという本件特許発明の技術的課題を踏まえつつ、当業者であれば適切に設定するものであると解するのが妥当であるし、本件特許明細書にそのような設定をすべて記載しなければならないとする理由もない。 よって、異議申立人の主張は採用することができない。 以上のとおり、本件発明1は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載したものであるので、異議申立人が主張する上記(1)イの主張によっては、本件発明1に係る特許を取り消すことができない。 第6 むすび したがって、本件発明1に係る特許は、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。さらに、他に、本件発明1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、本件発明2に係る発明は、取消理由通知に記載した取消理由のとおり、甲6発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。よって、本件発明2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2018-700713

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決1,003件(パナソニックIPマネジメント株式会社、小山 卓志、田中 貞嗣)
  • 2022-700502異議申立 / 2023-02-27 / 訂正認容熱交換形換気装置
    同じ当事者: パナソニックIPマネジメント株式会社、小山 卓志、田中 貞嗣
  • 2017-701144異議申立 / 2018-05-17 / 訂正認容炊飯器
    同じ当事者: パナソニックIPマネジメント株式会社、小山 卓志、田中 貞嗣
  • 2024-700550異議申立 / 2024-11-28 / 維持駆動装置、および、これを用いた電動パワーステアリング装置
    同じ当事者: 小山 卓志、田中 貞嗣
  • 2024-700290異議申立 / 2024-06-18 / 維持状態監視装置及び状態監視プログラム
    同じ当事者: 小山 卓志、田中 貞嗣
  • 2023-700355異議申立 / 2024-05-29 / 訂正認容脈波測定装置および脈波測定プログラム
    同じ当事者: 小山 卓志、田中 貞嗣
同じ論点・分野の審決(審決分類)561件(113・F24F、121・F24F、537・F24F)
  • 2022-701246異議申立 / 2023-03-24 / 維持空気調和システム
    共通の審決分類: 113・F24F、121・F24F、537・F24F
  • 2022-700502異議申立 / 2023-02-27 / 訂正認容熱交換形換気装置
    共通の審決分類: 113・F24F、121・F24F、537・F24F
  • 2022-700435異議申立 / 2022-08-24 / 維持空気調和機
    共通の審決分類: 113・F24F、121・F24F、537・F24F
  • 2021-700866異議申立 / 2022-05-19 / 訂正認容空気調和機
    共通の審決分類: 113・F24F、121・F24F、537・F24F
  • 2021-700826異議申立 / 2022-04-06 / 訂正認容空気調和機
    共通の審決分類: 113・F24F、121・F24F、537・F24F

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