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特許異議申立

2022-700469

管継手を備えた搬送管、及び複数の搬送管を備えた製造ライン

審判番号
2022-700469
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2016-211642
登録番号
6979668
請求日
2022年05月31日
審決日
2023年01月19日
公報発行日
2023年04月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社トヨックス
  • 【権利者代理人】弁理士法人英知国際特許商標事務所
  • 【異議申立人】川端 隼輔
審判長/審判官
  • 審判長 間中 耕治
  • 審判官 平城 俊雅
  • 審判官 マキロイ 寛済
分類
P1651.113-YAA(F16L) / P1651.121-YAA(F16L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6979668号発明「管継手を備えた搬送管、及び複数の搬送管を備えた製造ライン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6979668号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕、〔6~8〕について訂正することを認める。 特許第6979668号の請求項2ないし8に係る特許を維持する。 特許第6979668号の請求項1に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許6979668号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成28年10月28日(優先権主張同年6月17日)の出願であって、令和3年11月18日にその特許権の設定登録がされ、同年12月15日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和4年 5月31日 :特許異議申立人川端隼輔(以下「異議申立人」という。)による請求項1~5に係る特許に対する特許異議の申立て 同年 9月14日付け:取消理由通知書 同年10月17日 :特許権者による訂正請求書及び意見書の提出 同年10月28日 :手続補正書の提出 同年12月 7日 :異議申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否についての判断 令和4年10月17日に提出され、同年10月28日の手続補正書により補正された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、以下のとおりである(下線は訂正箇所を示すため当審で付したものである。)。 1 訂正の内容 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「請求項1に記載の搬送管」とあるのを、独立項形式に改め、 「流体物が搬送される柔軟性を有する複数の管体と、 前記複数の管体の接続端部に対してそれぞれ個別に固定される複数の管継手と、を備え、 前記複数の管体は、透明もしくは半透明であり。 前記複数の管継手は、継手本体部と、前記継手本体部に対し前記複数の管体の前記接続端部を挟んで接続される露出した部材と、前記露出した部材の外周面に対して設けられ且つ前記複数の管体内を搬送される前記流体物毎に異なる情報が表示された表示部と、を有し、 前記表示部がメッキによる着色で表示されており、 このことによって、前記管体に前記管継手を取付けて構成した搬送管を、製造設備の適切な管接続部に対して取り付けられるようにしたことを特徴とする搬送管。」 に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「前記表示部が刻印により表示されていることを特徴とする請求項1または2に記載の搬送管」とあるのを、請求項1を引用しないものとし、 「前記表示部が刻印により表示されていることを特徴とする請求項2に記載の搬送管。」 に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に「前記表示部が、前記複数の管継手の継手本体部に対して着脱自在な交換部品に表示されることを特徴とする請求項1、2または3に記載の搬送管」とあるのを、請求項1を引用しないものとし、 「前記表示部が、前記複数の管継手の継手本体部に対して着脱自在な交換部品に表示されることを特徴とする請求項2または3に記載の搬送管。」 に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に「請求項1、2、3又は4に記載の搬送管により複数の製造設備の間が連絡され、前記搬送管として、それぞれ搬送する前記流体物の原材料毎に異なる前記複数の管体が用いられることを特徴とする製造ライン。」 とあるのを、請求項1を引用しないものとし、 「請求項2、3又は4に記載の搬送管により複数の製造設備の間が連絡され、前記搬送管として、それぞれ搬送する前記流体物の原材料毎に異なる前記複数の管体が用いられることを特徴とする製造ライン。」 に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項4に「前記表示部が、前記複数の管継手の継手本体部に対して着脱自在な交換部品に表示されることを特徴とする請求項1、2または3に記載の搬送管」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立項形式に改め、新たな請求項6とし、 「流体物が搬送される柔軟性を有する複数の管体と、 前記複数の管体の接続端部に対してそれぞれ個別に固定される複数の管継手と、を備え、 前記複数の管体は、透明もしくは半透明であり、 前記複数の管継手は、継手本体部と、前記継手本体部に対し前記複数の管体の前記接続端部を挟んで接続される露出した部材と、前記露出した部材の外周面に対して設けられ且つ前記複数の管体内を搬送される前記流体物毎に異なる情報が表示された表示部と、を有し、 前記表示部が、前記複数の管継手の継手本体部に対して着脱自在な交換部品に表示されており、 このことによって、前記管体に前記管継手を取付けて構成した搬送管を、製造設備の適切な管接続部に対して取り付けられるようにしたことを特徴とする搬送管。」 に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項4に「前記表示部が、前記複数の管継手の継手本体部に対して着脱自在な交換部品に表示されることを特徴とする請求項1、2または3に記載の搬送管」とあるうち、請求項1を引用する請求項3をさらに引用するところの請求項4について、新たな請求項6を引用するものとした上で、新たな請求項7とし、 「前記表示部が刻印により表示されていることを特徴とする請求項6に記載の搬送管。」 に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項5に「請求項1、2、3又は4に記載の搬送管により複数の製造設備の間が連絡され、前記搬送管として、それぞれ搬送する前記流体物の原材料毎に異なる前記複数の管体が用いられることを特徴とする製造ライン。」とあるうち、請求項1を引用する請求項4をさらに引用するところの請求項5について、または、特許請求の範囲の請求項5に「請求項1、2、3又は4に記載の搬送管により」とあるうち、請求項1を引用する請求項3をさらに引用するところの請求項4をさらに引用するところの請求項5について、新たな請求項6または新たな請求項7を引用するものとした上で、新たな請求項8とし、 「請求項6または7に記載の搬送管により複数の製造設備の間か連絡され、前記搬送管として、それぞれ搬送する前記流体物の原材料毎に異なる前記複数の管体が用いられることを特徴とする製造ライン。」 に訂正する。 2 訂正の適否について (1)訂正事項1 ア 訂正の目的 訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、当該訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「願書に添付した明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 そして、訂正事項1は、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的 訂正事項2は、訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用する記載であるところ、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項2は、訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用する記載であるところ、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 そして、訂正事項2は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的 訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項1または2の記載を択一的に引用する記載であるところ、請求項1を引用しないよう訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項1または2の記載を択一的に引用する記載であるところ、請求項1を引用しないよう訂正するものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 そして、訂正事項3は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (4)訂正事項4 ア 訂正の目的について 訂正事項4は、訂正前の請求項4が請求項1、2または3の記載を択一的に引用する記載であるところ、請求項1を引用しないよう訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項4は、訂正前の請求項4が請求項1、2または3の記載を択一的に引用する記載であるところ、請求項1を引用しないよう訂正するものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 そして、訂正事項4は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (5)訂正事項5 ア 訂正の目的 訂正事項5は、訂正前の請求項5が請求項1、2、3又は4の記載を択一的に引用する記載であるところ、請求項1を引用しないよう訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項5は、訂正事項5は、訂正前の請求項5が請求項1、2、3又は4の記載を択一的に引用する記載であるところ、請求項1を引用しないよう訂正するものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 そして、訂正事項5は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (6)訂正事項6 ア 訂正の目的 訂正事項6は、訂正前の請求項4が請求項1、2または3の記載を択一的に引用する記載であるところ、請求項2及び3を引用しないものとした上で、その中の請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」、及び特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項6は、訂正前の請求項4が請求項1、2または3の記載を択一的に引用する記載であるところ、請求項2及び3を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 そして、訂正事項6は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (7)訂正事項7 ア 訂正の目的 訂正事項7は、訂正前の請求項4が請求項1、2または3の記載を択一的に引用する記載であり、かつ、訂正前の請求項3が請求項1または2の記載を択一的に引用する記載であるところ、訂正前の請求項4が、請求項1を引用する請求項3を引用するよう訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項7は、訂正前の請求項4が請求項1、2または3の記載を択一的に引用する記載であり、かつ、訂正前の請求項3が請求項1または2の記載を択一的に引用する記載であるところ、訂正前の請求項4が、請求項1を引用する請求項3を引用するよう訂正するものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 そして、訂正事項7は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (8)訂正事項8 ア 訂正の目的について 訂正事項8は、訂正前の請求項5が請求項1、2、3又は4の記載を択一的に引用する記載であり、訂正前の請求項4が請求項1、2または3の記載を択一的に引用する記載であり、かつ、訂正前の請求項3が請求項1または2の記載を択一的に引用する記載であるところ、訂正前の請求項5が、請求項1を引用する請求項4、若しくは、請求項1を引用する請求項3をさらに引用する請求項4を引用するように訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項8は、訂正前の請求項5が請求項1、2、3又は4の記載を択一的に引用する記載であり、訂正前の請求項4が請求項1、2または3の記載を択一的に引用する記載であり、かつ、訂正前の請求項3が請求項1または2の記載を択一的に引用する記載であるところ、訂正前の請求項5が、請求項1を引用する請求項4、若しくは、請求項1を引用する請求項3をさらに引用する請求項4を引用するように訂正するものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 そして、訂正事項8は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 3 一群の請求項について 訂正前の請求項1~5について、請求項2~5はそれぞれ請求項1を直接または間接的に引用するものであって、訂正事項1~8によって連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1~5に対応する訂正後の請求項1~8は、特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項である。 4 別の訂正単位とする求めについて 特許権者は、訂正後の請求項1~5及び6~8について、当該請求項について訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とすることを求めている。 5 小括 したがって、本件訂正の訂正事項1~8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 そして、特許権者は、訂正後の請求項1~5及び6~8について、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とすることを求めているから、訂正事項6~8については、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位として扱う。 よって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕、〔6~8〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 本件訂正により訂正された請求項1~8に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明8」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 (削除) 【請求項2】 流体物が搬送される柔軟性を有する複数の管体と、 前記複数の管体の接続端部に対してそれぞれ個別に固定される複数の管継手と、を備え、 前記複数の管体は、透明もしくは半透明であり、 前記複数の管継手は、継手本体部と、前記継手本体部に対し前記複数の管体の前記接続端部を挟んで接続される露出した部材と、前記露出した部材の外周面に対して設けられ且つ前記複数の管体内を搬送される前記流体物毎に異なる情報が表示された表示部と、を有し、 前記表示部がメッキによる着色で表示されており、 このことによって、前記管体に前記管継手を取付けて構成した搬送管を、製造設備の適切な管接続部に対して取り付けられるようにしたことを特徴とする搬送管。 【請求項3】 前記表示部が刻印により表示されていることを特徴とする請求項2に記載の搬送管。 【請求項4】 前記表示部が、前記複数の管継手の継手本体部に対して着脱自在な交換部品に表示されることを特徴とする請求項2または3に記載の搬送管。 【請求項5】 請求項2、3又は4に記載の搬送管により複数の製造設備の間が連絡され、前記搬送管として、それぞれ搬送する前記流体物の原材料毎に異なる前記複数の管体が用いられることを特徴とする製造ライン。 【請求項6】 流体物が搬送される柔軟性を有する複数の管体と、 前記複数の管体の接続端部に対してそれぞれ個別に固定される複数の管継手と、を備え、 前記複数の管体は、透明もしくは半透明であり、 前記複数の管継手は、継手本体部と、前記継手本体部に対し前記複数の管体の前記接続端部を挟んで接続される露出した部材と、前記露出した部材の外周面に対して設けられ且つ前記複数の管体内を搬送される前記流体物毎に異なる情報が表示された表示部と、を有し、 前記表示部が、前記複数の管継手の継手本体部に対して着脱自在な交換部品に表示されており、 このことによって、前記管体に前記管継手を取付けて構成した搬送管を、製造設備の適切な管接続部に対して取り付けられるようにしたことを特徴とする搬送管。 【請求項7】 前記表示部が刻印により表示されていることを特徴とする請求項6に記載の搬送管。 【請求項8】 請求項6または7に記載の搬送管により複数の製造設備の間が連絡され、前記搬送管として、それぞれ搬送する前記流体物の原材料毎に異なる前記複数の管体が用いられることを特徴とする製造ライン。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 訂正前の請求項1、3~5に係る特許に対して、当審が令和4年9月14日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。(なお、訂正前の請求項2に係る特許については取消理由を通知していない。) 本件特許の請求項1、3~5に係る発明(以下「本件発明1」などという。)は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1、3~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 記 甲第1号証:ゴムタイムス 第3299号第6頁 (発行日:2013年(平成25年)12月16日) 甲第2号証:実願昭58-061375号(実開昭59-166089号)のマイクロフイルム 甲第3号証:特開2003-202096号公報 第5 甲各号証の記載 (1) 甲1 異議申立人が提出した証拠であり、取消理由通知で引用した甲第1号証には以下の事項が記載されている(以下、甲第1号証~甲第4号証をそれぞれ「甲1」~「甲4」という。下線は当審にて付したものである。)。 ア「 [図:0001396281000001.jpg] 」(右下写真入り広告) イ 「 [図:0001396281000002.jpg] 」 (右下写真入り広告の左側中央図の拡大図) ウ 「現在の注力商品は、「柔軟フッ素ホースシリーズフェルール継手加締品」だ。」 「同製品の継手はレーザーマーカーで印字が可能であり、ホースに使用する流体名や設置日などがひと目で認識できる利点がある。この印字は「顧客の要望を取り入れて実現した」(同社)もので、維持管理がしやすいと好評だ。」(右欄第2段目(八興)の記事) エ 上記アには、「柔軟フッ素ホースシリーズフェルール継手加締品」と記載され、複数のホースが図示されている。そして、ホースにより流体が搬送されることは明らかである。 よって、甲1には、流体物が搬送される柔軟性を有する複数のホースが記載されているといえる。 オ 上記イには、ホースの接続端部に個別に固定される継手ニップルと継手カバーからなるフェルール継手が図示されている。また、特長として、柔軟フッ素ホースシリーズは透明性が高いことが記載されている。そして、上記アには、複数のフェルール継手が図示されている。 よって、甲1には、複数のホースの接続端部に対してそれぞれ個別に固定される複数のフェルール継手を備える点、及び複数のホースは透明である点が記載されているといえる。 カ 上記アには、フェルール継手は、加締品であることが示され、上記イには、継手ニップルに対しホースの接続端部を挟んで接続される継手カバーが図示されている。また、上記ウには、同製品の継手はレーザーマーカーで印字が可能であり、ホースに使用する流体名や設置日などがひと目で認識できることが記載されている。 よって、甲1には、複数のフェルール継手は、加締品であり、継手ニップルと、継手ニップルに対しホースの接続端部を挟んで接続される継手カバーと、複数のフェルール継手にホースに使用できる流体名がひと目で認識できる印字部を有する点が記載されているといえる。 キ 上記アには、「食品から製品・溶射など幅広い分野に対応できる柔軟フッ素ホースシリーズ」(左上)と記載されており、上記アに示すような「ホース」と「フェルール継手」とを備えるものを「搬送管」ということができる。 よって、甲1には、食品から製品・溶射など幅広い分野に対応できる搬送管が記載されているといえる。 したがって、上記ア~キの事項を総合すると、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「流体物が搬送される柔軟性を有する複数のホースと、 前記複数のホースの接続端部に対してそれぞれ個別に固定される複数のフェルール継手とを備え、 前記複数のホースは透明であり、 前記複数のフェルール継手は、加締品であり、継手ニップルと、前記継手ニップルに対しホースの接続端部を挟んで接続される継手カバーと、複数のフェルール継手にホースに使用できる流体名がひと目で認識できる印字部を有し、 食品から製品・溶射など幅広い分野に対応できる搬送管。」 (2)甲2 異議申立人が提出した証拠であり、取消理由通知で引用した甲2には、以下の事項が記載されている。 「本考案はホース継手に関するものであり、詳細には、ホースの一端を単に挿入することにより、ホースを水密または気密に逆止的に継ぎ、カラーのフランジを手動にて押圧することにより、前記逆止を解除し、簡単に抜き取り得るようにしたホース継手において、前記カラーのフランジ外面に、このホース継手の配管系続、形式、サイズ等を識別表示するプラスチック板等製の表示リングを適宜取付けることによって、該表示リングを見ることにより、直ちにことホース配管系統等を判別できて、間違いのない正しい接続を敏速に行いうるようにしたことを特徴とするものである。」(明細書第2頁第2~13行) (3)甲3 異議申立人が提出した証拠であり、取消理由通知で引用した甲3には、以下の事項が記載されている。 「【0029】 【発明の効果】この発明は、上記のようにスリーブを、ロックボールを押圧する固定リングと、この固定リングを抑えるカバースリーブとに分割して構成したので、以下のような優れた効果を奏するものである。 (a).金属製の固定リングは、形状が単純な円筒形状であるので、従来の複雑なスリーブに比べて安価に製造出来る。 (b).金属製の固定リングは、熱処理を施す際にも従来のスリーブによりも質量が少ないので、施行時間も少なくすることが出来る。 (c).金属製の固定リングを使用することで、従来の鉄鋼材製のスリーブでは出来なかった複雑な形状が、樹脂材料をカバースリーブの材質に用いることで製作が可能となる。 (d).樹脂材料製のカバースリーブを使用することで、従来の鉄鋼材製のスリーブよりも軽量化を図ることができ、操作性が良くなる。 (e).カバースリーブを着色した樹脂材料で製作することが可能であり、配管の使用用途別の識別に色を着色し、配管継手の接合時における接合誤認を防止することが出来る。」 (4)甲4 異議申立人が提出した甲4(特開2011-52772号公報)には、以下の事項が記載されている。 ア「【請求項1】 ニップル(1)の外周面に沿ってホース(H)が挿入され、その外側に設けられた締め付け具(2)の軸方向移動により、前記ホース(H)の内周面(H1)が前記ニップル(1)の外周面に密着されるホース継手であって、 ・・・」 イ「【0029】 この実施例1は、図1(a)~(d),図2(a)~(d),図3及び図4(a)(b)に示すように、ニップル1のスライド手段1fとして外ネジ部を刻設し、これと対向する締め付け具2のスライド手段2aとして内ネジ部を刻設し、これら外ネジ部1f及び内ネジ部2aを螺合させ、ニップル1に対し締め付け具2を回転操作してホース挿入方向へ移動させることにより、締め付け具2の内周面に一体形成した押圧面部2bが、拡縮スリーブ3の入口部3aを押圧して縮径変形させるようにしている。」 ウ「 [図:0001396281000003.jpg] 」 第6 当審の判断 1 取消理由通知に記載した取消理由について (1)本件発明6について 本件発明6と甲1発明とを対比する。 ア 甲1発明の「ホース」は、本件発明6の「管体」に相当する。 よって、甲1発明の「流体物が搬送される柔軟性を有する複数のホース」は、本件発明6の「流体物が搬送される柔軟性を有する複数の管体」に相当する。 イ 甲1発明の「フェルール継手」は、本件発明6の「管継手」に相当する。 よって、甲1発明の「前記複数のホースの接続端部に対してそれぞれ個別に固定される複数のフェルール継手」は、本件発明6の「前記複数の管体の接続端部に対してそれぞれ個別に固定される複数の管継手」に相当する。 ウ 甲1発明の「前記複数のホースは透明」である点は、本件発明6の「前記複数の管体は、透明もしくは半透明」である点に相当する。 エ 甲1発明の「継手ニップル」、「前記継手ニップルに対しホースの接続端部を挟んで接続される継手カバー」、「ホースに使用できる流体名がひと目で認識できる印字部」は、それぞれ、本件発明6の「継手本体部」、「前記継手本体部に対し前記複数の管体の前記接続端部を挟んで接続される露出した部材」、「流体物毎に異なる情報が表示された表示部」に相当する。 しかしながら、甲1発明の「印字部」は、フェルール継手に有するものの、「継手カバー」(露出した部材)の外周面に設けたかどうかは明示されていない。 よって、甲1発明の「前記複数のフェルール継手は、加締品であり、継手ニップルと、前記継手ニップルに対しホースの接続端部を挟んで接続される継手カバーと、複数のフェルール継手にホースに使用できる流体名がひと目で認識できる印字部を有」する点と、 本件発明6の「前記複数の管継手は、継手本体部と、前記継手本体部に対し前記複数の管体の前記接続端部を挟んで接続される露出した部材と、前記露出した部材の外周面に対して設けられ且つ前記複数の管体内を搬送される前記流体物毎に異なる情報が表示された表示部と、を有」する点とは、 「前記複数の管継手は、継手本体部と、前記継手本体部に対し前記複数の管体の前記接続端部を挟んで接続される露出した部材と、前記複数の管体内を搬送される前記流体物毎に異なる情報が表示された表示部と、を有」するという限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明6と甲1発明とは、 「流体物が搬送される柔軟性を有する複数の管体と、 前記複数の管体の接続端部に対してそれぞれ個別に固定される複数の管継手と、を備え、 前記複数の管体は、透明もしくは半透明であり、 前記複数の管継手は、継手本体部と、前記継手本体部に対し前記複数の管体の前記接続端部を挟んで接続される露出した部材と、前記複数の管体内を搬送される前記流体物毎に異なる情報が表示された表示部と、を有する搬送管。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 流体物毎に異なる情報が表示された表示部に関して、本件発明6では、「露出した部材の外周面に対して設けられ」、「前記表示部が、前記複数の管継手の継手本体部に対して着脱自在な交換部品に表示されて」るのに対し、甲1発明では、「継手カバー」(露出した部材)の外周面に設けたかどうかは不明であるとともに、「フェルール継手」(管継手)は、加締品である点。 [相違点2] 本件発明6は、「このことによって、前記管体に前記管継手を取付けて構成した搬送管を、製造設備の適切な管接続部に対して取り付けられるようにした」のに対して、甲1発明は、「食品から製品・溶射など幅広い分野に対応できる」ものであるが、製造設備との関係は不明である点。 上記相違点について検討する。 相違点1について 甲1発明の「フェルール継手」は、加締品であるから、当該「フェルール継手」を構成する「継手カバー」を加締めて縮径変形することで「継手ニップル」と「ホース」を締め付けて固定するものと理解できる。 そして、一般的に、加締品に用いられる加締め部品や加締め金具を一旦、加締めてしまうと加締めた金具をそのままきれいに外すことはほぼできないものであるから、甲1発明の「継手カバー」を「継手ニップル」に対して着脱自在に設けることは、阻害要因があるというべきである。 さらに、甲2、甲3には、表示部が、複数の管継手の継手本体部に対して着脱自在な交換部品に表示される点に関する記載はない。 したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明6は、甲1発明、甲2、3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明7、8について 本件発明7、8は、本件発明6を引用するものであるから、上記(1)と同様の理由により、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1)本件発明2~5について 異議申立人は、本件発明2について、甲2、甲3に記載されているように、配管の誤接続を防止するために、継手に着色を施すことは、従来公知の技術であり、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の乾式メッキ法によって金属などの表面を有色メッキで被覆することも従来公知の技術であるから、甲1発明のフェルール継手に印字される流体名に代えて、メッキによる着色で表示することは、当業者が容易に想到し得ることである旨主張する(特許異議申立書第11頁第18行~第12頁第7行)。 しかしながら、金属などの表面を有色メッキで被覆すること従来公知の技術であっても、このような有色メッキは、金属で構成される管体内を流れる流体物とは無関係に着色されるものであり、流体物毎に異なるものではないから、甲1発明の「流体名がひと目で認識できる印字部」と置換する動機がない。 したがって、本件発明2は、甲1発明、甲2、3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、本件発明3~5は、本件発明2を引用するものであるから、上記と同様の理由により、甲1発明、甲2、3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 さらに、異議申立人は、本件発明3について、甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない旨主張する(特許異議申立書第10頁第15行~20行)。 しかしながら、本件発明3は、本件発明2を引用するものであるから、甲1発明ではないことは明らかである。 (2)本件発明6~8について 異議申立人は、管体の接続端部に挿入するニップル部を有する継手本体部と、管体が移動自在に挿入されると共に継手本体部に対して螺合することで往復自在に設けられる着脱自在な締め付け部材(袋ナット部材)とを含む管継手は従来知られているから(甲4)、甲1発明において、管体(ホース)に接続される継手の着脱可能な交換部材に、ホースに使用する流体名を印字して「流体物毎に異なる情報が表示された表示部」とすることは、当業者が容易になし得たことである旨主張する(特許異議申立書第12頁第8~第13頁第4行)。 しかしながら、甲1発明の「フェルール継手」は、加締品であるから、甲1発明において「継手カバー」により加締めることに代えて、甲4に記載されるような着脱自在な締め付け部材(袋ナット部材)を採用する動機がない。 また、甲1発明において、仮に「継手カバー」に代えて、締め付け部材(袋ナット部材)を採用できたとしても、その上でさらに、当該締め付け部材(袋ナット部材)にホースに使用する流体名を印字して「流体物毎に異なる情報が表示された表示部」とすることは、いわゆる容易の容易となるものであり、当業者が容易になし得たことではない。 したがって、本件発明6は、甲1発明、甲4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、本件発明7、8は、本件発明6引用するものであるから、上記と同様の理由により、甲1発明、甲4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項2~8に係る特許を取り消すことはできない。 また、請求項1に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、異議申立人による特許異議の申立てについて、請求項1に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700469

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