特許異議申立
2022-700333
水田作業機
- 審判番号
- 2022-700333
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-228455
- 登録番号
- 6995040
- 請求日
- 2022年04月25日
- 審決日
- 2022年12月16日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社クボタ
- 【権利者代理人】弁理士法人R&C
- 【異議申立人】堀内 志穂
- 審判長/審判官
- 審判長 前川 慎喜
- 審判官 住田 秀弘
- 審判官 土屋 真理子
- 分類
- P1651.121-Y (A01B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6995040号発明「水田作業機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6995040号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。
理由
理 由
1 手続の経緯
特許第6995040号の請求項1~4に係る特許についての出願は、平成26年6月26日に出願された特願2014-131496号の一部を平成30年12月5日に新たな特許出願としたものであって、令和3年12月16日にその特許権の設定登録がされ、令和4年1月14日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和4年4月25日に特許異議申立人堀内志穂(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
2 本件発明
特許第6995040号の請求項1~4の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
測位衛星からの電波信号を受信し、位置情報を取得する測位システムと、
前記位置情報に基づいて自動操舵による自動走行が可能な走行機体と、
前記走行機体に設けられた運転座席と、
前記運転座席の前方に設けられ、前記自動走行に関する情報が表示される表示装置とを備え、
前記表示装置が、当該表示装置の上端ほど前方に変位する傾斜姿勢で備えられ、
前記表示装置は、前記走行機体に連結する逆U字状の支持フレームに支持され、前記表示装置の下方に、前後方向に開口する空間が形成され、
前記表示装置には、前記自動走行に関する情報として、自動操舵状態であることを示す表示と、走行機体の走行方向のズレを示す表示とが表示される水田作業機。
【請求項2】
前記運転座席の前方に設けられたステアリングポストの下方にメータパネルが設けられ、前記メータパネルとは別に前記表示装置が設けられている請求項1に記載の水田作業機。
【請求項3】
前記自動走行に関する情報は、前記表示装置と前記メータパネルのうちの前記表示装置のみに表示される請求項2に記載の水田作業機。
【請求項4】
前記測位システムを支持する測位システム支持フレームを備え、
前記測位システム支持フレームが左右の縦フレーム部と左右の縦フレーム部の上端同士を連結する連結フレーム部とを有し、
走行機体の前後方向視で、前記支持フレーム及び前記表示装置が、左右の縦フレーム部及び連結フレーム部で囲われる空間の内側に位置する請求項1~3のいずれか1項に記載の水田作業機。」
3 申立理由の概要
申立人は、主たる証拠として甲第1号証を、従たる証拠として甲第2号証~甲第11号証を提出し、請求項1~4に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1~4に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
甲第1号証:特開2005-176741号公報
甲第2号証:実願平3-62113号(実開平5-45679号)のCD-ROM
甲第3号証:特開2008-92818号公報
甲第4号証:特開2005-65635号公報
甲第5号証:特開2012-157334号公報
甲第6号証:特開2001-97155号公報
甲第7号証:特開2001-358122号公報
甲第8号証:特開2003-250315号公報
甲第9号証:吉田剛 外1名、トプコンの農用車両ガイダンス技術、
農業機械学会誌第75巻第6号(2013)、農業食料
工学会、平成25年11月1日、
甲第10号証:System 110/150 Operator’s
Manual、TOPCON Precision Agriculture、
2010年6月、
甲第11号証:実願昭54-128305号(実開昭56-44939
号)のマイクロフィルム
(「甲第1号証」等を、「甲1」等と言うことがある。)
4 文献の記載
(1)甲1
ア 甲1の記載
甲1には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同様。)
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)と、方位センサや傾斜センサ、車速センサ等の内界センサと、ナビゲーションシステムと、を具備し、該ナビゲーションシステムにより生成した走行経路に沿って移動しつつ薬液散布作業を行う農業用作業車の技術に関する。より詳細には、当該ナビゲーションシステムが生成した走行経路の中途部において農業用作業車の薬液タンク内の薬液が無くなる薬液枯渇地点を予め算出し、薬液枯渇地点に到達する前に、薬液補充が容易な圃場の端部等で停車して薬液を補充する技術に関する。」
(イ)「【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下では、図1および図2を用いて、本発明の農業用作業車の実施の一形態である乗用管理機101の全体構成について説明する。
なお、本発明は本実施例の乗用管理機101に限定されるものではなく、圃場を走行しつつ薬液散布作業を行う農業用作業車に広く適用可能である。
また、図2においては説明の便宜上キャビン45を省略している。
【0013】
本実施例の乗用管理機101は圃場に農薬や肥料を散布するものであり、乗用型の走行機体22と、薬液を散布するための複数のノズル23・23・・・を有するブーム40と、該ブーム40の昇降や展開を行うための機構よりなるブーム駆動部35と、エンジン9から動力を得て薬液タンク24内の薬液をノズル23・23・・・へ圧送する噴霧ポンプ4および該噴霧ポンプ4から吐出される薬液の制御に関わる散布量制御装置3等よりなるポンプ部36等で構成される。
なお、本実施例では、ブーム駆動部35は走行機体22の前部および側部に配設され、ポンプ部36は後部に配設されている。
走行機体22の機体前端より後方へ向けて、左右一対の機体フレーム6L・6Rが水平方向に延設されている。該機体フレーム6L・6Rの前部下方には前車輪7・7が支承され、後部下方に後車輪8・8が支承されている。
【0014】
また、走行機体22の前部において、機体フレーム6L・6R上にはエンジン9を被覆するボンネット10が配設されている。該ボンネット10後方のカバー上には操作パネル11が設けられ、該操作パネル11の上方には運転ハンドル12が設けられる。操作パネル11および運転ハンドル12等で乗用管理機101の操縦部を構成している。前記操作パネル11下方より後方に向けて、機体フレーム6L・6R上にはステップ13が設けられる。また機体フレーム6L・6R後部上には薬液タンク24が配設されており、該薬液タンク24の前部中央には運転席14が形成されて、該薬液タンク24によって側部と後部を取り囲まれるように載置されている。
また、乗用管理機101のフレームの各構成部材である機体フレーム6L・6R、サブフレーム52L・52Rはそれぞれ中空の四角または丸型のパイプまたはL型やH型等の鋼材が用いられ、軽量かつ高剛性に構成される。
【0015】
本実施例においては、操作パネル11や運転ハンドル12等からなる乗用管理機101の操縦部、および運転席14を覆うキャビン45が設けられる。
キャビン45は直射日光や風雨等に加えて、乗用管理機101により圃場に散布される薬剤(薬液)から作業者を保護するものである。
キャビン45はボンネット10の後端部左右に立設された一対の前フレーム46・46、薬液タンク24の上面に立設された左右一対の後フレーム47・47、前フレーム46・46および後フレーム47・47に支持されてキャビン45の上面を形成するルーフ48、透明な強化プラスチックや強化ガラスからなりキャビン45の前面を形成するフロントガラス49、透明な可撓性の樹脂製シートからなりキャビン45の左右側面を形成する側部被覆体50・50、透明な可撓性の樹脂製シートからなりキャビン45の後面を形成する後部被覆体(図示せず)等で構成される。
ルーフ48には外気をキャビン45の内部に送り込むためのファン51が設けられる。また、ファン51の外気吸引口には開放時に前方を遮蔽する蓋51aが設けられるとともに、薬液や塵埃等を除去するフィルタ53が設けられる。さらに、前記側部被覆体50・50はキャビン45の左右側面を全面に渡って被覆するのではなく、作業者の足元部を常に開放している。また、ルーフ48には後述する移動局ユニット103が設けられる。
外気は、薬液が到達することが少ない圃場表面から高い位置からフィルタ53により薬液等が除去された後、ファン51によりキャビン45内部に送り込まれ、下向きの気流を形成しつつ下方に移動し、キャビン45の左右側面の足元部より外部に排出される。このように構成することにより、キャビン45の内部への散布薬液の侵入を防止し、作業者を保護している。」
(ウ)「【0019】
図3に示す如く、本発明のGPSの実施の一形態であるGPSユニット102は、主に、乗用管理機101本体に搭載される移動局ユニット103と、水田などの圃場の近くに設置される基準局側ユニット104からなる。該基準局ユニット104は地面に固定された基準局の役割を果たし、移動局側ユニット103は位置を求めようとする移動局(観測点)として機能する。
【0020】
移動局ユニット103は、GPSアンテナ108の他、GPS受信部109、処理部110、操作部111、表示部112、無線部113等で構成される。
GPSアンテナ108で受信されたGPS衛星125・125・・・からの電波信号は、ケーブルでGPS受信部109を経て処理部110に送信される。操作部111は後述する自律走行およびナビゲーション走行の設定や、GPSの初期設定などを行うためのインターフェースであり、処理部110にケーブル接続されている。表示部112は処理部110にケーブル接続されており、処理部110におけるデータ処理の状況や、操作部111により入力された各種設定を表示する。
本実施例の場合、操作部111の機能と表示部112の機能とを兼ねるタッチパネル54がキャビン45の内部に配置される。
【0021】
処理部110はCPUやRAMやROM等を備える制御手段であり、その内部に自律走行プログラム121aやナビゲーション走行プログラム121bを格納し、GPSユニット102により得られた位置情報や、後述する内界センサ122や株倣いセンサ123からの信号に基づいて、当該圃場における自律走行経路を生成するとともに自律走行手段124に指令を出して乗用管理機101に自律走行をさせたり、ナビゲーション走行経路71(図)を生成して表示部112に表示するものである。
自律走行プログラム121aは、乗用管理機101に自律走行による散布作業を行わせるためのプログラムである。自律走行プログラム121aに基づく自律走行の詳細については後述する。
ナビゲーション走行プログラム121bは、乗用管理機101にナビゲーション走行による散布作業を行わせるためのプログラムである。ナビゲーション走行プログラム121bに基づくナビゲーション走行の詳細については後述する。
【0022】
無線部113は基準局ユニット104およびオペレータが携帯する無線操作手段133と、移動局ユニット103とが無線交信するためのものである。また、無線操作手段133からの制御信号を受信し、該無線操作手段133からの作動確認信号が途絶えたときは乗用管理機101の自律走行を停止させるための受信部107が設けられている。
なお、本実施例においては移動局ユニット103をキャビン45のルーフ48に設けているが、例えばGPSアンテナ108以外の移動局ユニット103を構成する他の部材はボンネット10に収納しても良い。
また、操作部111はキーボードやスイッチ、レバー、押しボタン、ダイアルなどオペレータが操作可能であればよく、その形式は限定されない。さらに、処理部110、操作部111および表示部112として、既存のパソコンを使用してもよい。」
(エ)「【0028】
以下では、図3を用いて本実施例の無線操作手段133について説明する。無線操作手段133は作業者が携帯し、乗用管理機101から離れた位置から各種の操作をおこなうためのものである。より具体的には、後で詳述する乗用管理機101の自律走行の開始・停止、エンジンの停止、側方ブーム42L・42Rの開閉、ブーム40の昇降などを該無線操作手段133で操作可能に構成される。
【0029】
以下では、図3および図8を用いて本実施例のタッチパネル54について説明する。
本実施例におけるタッチパネル54はキャビン45内に設けられ、運転席14に着座した作業者が乗用管理機101の操作中においても視認容易な位置(例えば、運転席14の前方等)に配置される。タッチパネル54は操作部111と表示部112とを具備している。
【0030】
表示部112は液晶ディスプレイ等で構成され、ナビゲーション走行の設定条件、ナビゲーション走行時の機体の状態(圃場との位置関係、走行速度、薬液散布のオン・オフ等)、あるいはナビゲーション走行経路に沿って走行するための作業者への指示等を作業者が視認可能に表示する。」
(オ)「【0039】
ステップS107において、無線操作手段133の自律走行開始ボタンを押し、自律走行(および散布作業)を開始する。
または、タッチパネル54の表示部112にナビゲーション走行開始画面を表示させ、YESボタン111eを押してナビゲーション走行(および散布作業)を開始する。
【0040】
本実施例における自律走行は、作業者がタッチパネル54により入力した情報、内界センサ122により検出される信号、GPSユニット102により得られる測位データ(位置情報)、等を処理部110が取得し、該処理部110が自律走行プログラム121aに基づいて自律走行経路を生成し、処理部110が自律走行手段124に指令信号を送信して、該自律走行経路(図7中の太い矢印で示される経路)に沿って乗用管理機101を走行させつつ作業(散布作業)を行うことにより行われる。
【0041】
また、本実施例におけるナビゲーション走行は、作業者がタッチパネル54により入力した情報、内界センサ122により検出される信号、GPSユニット102により得られる測位データ(位置情報)、等を処理部110が取得し、該処理部110がナビゲーション走行プログラム121bに基づいてナビゲーション走行経路71を生成し、乗用管理機101に乗車している作業者が、該ナビゲーション走行経路71(図7中の太い矢印で示される経路)に沿って乗用管理機101を走行させつつ作業(散布作業)を行うことにより行われる。」
(カ)「【0052】
以下では、図13から図20を用いて、ナビゲーション走行時にタッチパネル54の表示部112に表示される画面の説明を行う。
【0053】
以下では、図13および図14を用いてメイン画面70の説明を行う。
メイン画面70は、ナビゲーション走行時において表示部112に主に表示される画面であり、本実施例におけるメイン画面70は、三つの上下に分割されたウインドウ70a・70b・70cで構成される。
【0054】
ウインドウ70aはメイン画面70の上部を成す画面であり、ウインドウ70bに表示される圃場56の方位や縮尺、ブーム40による薬液散布のオン・オフに関する情報が表示される。なお、本実施例においては、作業者への注意を喚起するために薬液散布のオン・オフを表示する部位の表示色が、薬液散布がオンのとき(ブーム40から薬液が散布されているとき)には反転するように構成している(図13および図14は薬液散布のオン・オフを表示する部位の表示色が反転している)。
【0055】
ウインドウ70bはメイン画面70の中央部を成す画面であり、圃場56の外形、圃場56の位置情報(測位データ)に基づいて生成されたナビゲーション走行経路71、乗用管理機101の圃場56内の位置を示すマーク72、乗用管理機101が実際に走行した経路である走行軌跡74等が表示される。
また、本実施例では圃場56において既に薬液散布が行われている領域(図13および図14において、斜線が施されている部分)は薬液散布がまだ行われていない領域(未散布領域)とは別の表示色で表示される。このように構成することにより、作業者が容易に薬液散布の状況を把握することが可能である。
このとき、ウインドウ70bの表示方法については、図13に示す「経路固定表示」(圃場56の全面をウインドウ70bに固定表示し、該表示された圃場56内において乗用管理機101を示すマーク72がウインドウ70b内を移動する表示方法)、または、図14に示す「自車固定表示」(乗用管理機101を示すマーク72をウインドウ70bの略中心に固定表示し、ウインドウ70bの上方を常に乗用管理機101の前方とする表示方法)のいずれかを選択することが可能である。具体的には、タッチパネル54の画面切替ボタン111bを押すことにより「経路固定表示」と「自車固定表示」とを切り替えることが可能である。
【0056】
ウインドウ70cはメイン画面70の下部を成す画面であり、乗用管理機101の周囲を拡大表示している。具体的には、ウインドウ70cの中央には現在の乗用管理機101が直上を通過すべきナビゲーション走行経路を示すライン73が表示され、該ライン773(当審注:「773」は「73」の誤記と認める。)に対する乗用管理機101の位置を示すマーク72aが表示される。
このように構成することにより、作業者は、ナビゲーション走行経路71に対する乗用管理機101の機体の左右方向の変位量X(図13および図14に図示)、および、ナビゲーション走行経路71の進行方向と乗用管理機101の機体の進行方向(前方)とが成す角度であるずれ角θ(図13および図14に図示)を容易に視認可能であり、ウインドウ70cの表示を見ながら、変位量Xおよびずれ角θが共にゼロに近づくように(乗用管理機101が常にナビゲーション走行経路71の直上を通過するように)乗用管理機101の操舵を行うこととなる。
なお、本実施例においては、変位量Xが所定の許容値よりも大きくなると、作業者への注意を喚起するためにマーク72aの周囲の表示色が反転するように構成している(図13および図14はマーク72aの周囲の表示色が反転している)。」
(キ)図1、図8、図13は、以下のとおり。
「【図1】
[図:0001393103000001.jpg]
」
、
「【図8】
[図:0001393103000002.jpg]
」
、
「【図13】
[図:0001393103000003.jpg]
」
(ク)上記(キ)の図1から、タッチパネル54が、上端ほど前方に変位する傾斜姿勢であることが看取できる。
同じく図8から、タッチパネル54は、U字状の支持フレームに支持され、タッチパネル54の下方に、前後方向に開口する空間が形成されていることが、看取できる。
イ 甲1発明
上記アからみて、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認める。
「GPSと、方位センサや傾斜センサ、車速センサ等の内界センサと、ナビゲーションシステムと、を具備し、該ナビゲーションシステムにより生成した走行経路に沿って移動しつつ薬液散布作業を行う農業用作業車の一形態である乗用管理機101であって、
乗用型の走行機体22等で構成され、
走行機体22の前部において、機体フレーム6L・6R上にはエンジン9を被覆するボンネット10が配設され、該ボンネット10後方のカバー上には操作パネル11が設けられ、該操作パネル11の上方には運転ハンドル12が設けられており、
また機体フレーム6L・6R後部上には薬液タンク24が配設され、該薬液タンク24の前部中央には運転席14が形成されており、
操作パネル11や運転ハンドル12等からなる乗用管理機101の操縦部、および運転席14を覆うキャビン45が設けられ、
GPSの一形態であるGPSユニット102は、主に、乗用管理機101本体に搭載される移動局ユニット103と、水田などの圃場の近くに設置される基準局側ユニット104からなり、
移動局ユニット103は、GPSアンテナ108の他、GPS受信部109、処理部110、操作部111、表示部112、無線部113等で構成されており、
GPSアンテナ108で受信されたGPS衛星125・125・・・からの電波信号は、ケーブルでGPS受信部109を経て処理部110に送信され、
処理部110は、その内部に、乗用管理機101に自律走行による散布作業を行わせるためのプログラムである自律走行プログラム121aや、乗用管理機101にナビゲーション走行による散布作業を行わせるためのプログラムであるナビゲーション走行プログラム121bを格納し、GPSユニット102により得られた位置情報等に基づいて、当該圃場における自律走行経路を生成するとともに自律走行手段124に指令を出して乗用管理機101に自律走行をさせたり、ナビゲーション走行経路71を生成して表示部112に表示するものであり、
操作部111の機能と表示部112の機能とを兼ねるタッチパネル54がキャビン45の内部に配置され、
タッチパネル54は、U字状の支持フレームに上端ほど前方に変位する傾斜姿勢に支持され、タッチパネル54の下方に、前後方向に開口する空間が形成され、
ナビゲーション走行時にタッチパネル54の表示部112に表示されるメイン画面70は、三つの上下に分割されたウインドウ70a・70b・70cで構成され、
ウインドウ70bは、圃場56の外形、圃場56の位置情報(測位データ)に基づいて生成されたナビゲーション走行経路71、乗用管理機101の圃場56内の位置を示すマーク72、乗用管理機101が実際に走行した経路である走行軌跡74等が表示され、
ウインドウ70cは、中央には現在の乗用管理機101が直上を通過すべきナビゲーション走行経路を示すライン73が表示され、該ライン73に対する乗用管理機101の位置を示すマーク72aが表示され、
このように構成することにより、作業者は、ナビゲーション走行経路71に対する乗用管理機101の機体の左右方向の変位量X、および、ナビゲーション走行経路71の進行方向と乗用管理機101の機体の進行方向(前方)とが成す角度であるずれ角θを容易に視認可能であり、ウインドウ70cの表示を見ながら、変位量Xおよびずれ角θが共にゼロに近づくように(乗用管理機101が常にナビゲーション走行経路71の直上を通過するように)乗用管理機101の操舵を行うこととなる、
乗用管理機101。」
(2)甲2
ア 甲2の記載
甲2には以下の記載がある。
(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、カメラや単眼鏡、双眼鏡等の光学装置の使用時にこれら光学装置を所望の位置、向きに固定保持する光学装置の支持装置に関するものである。」
(イ)「【0009】
【実施例】
以下、本考案の実施例について図面に基づいて説明する。
図1は本考案の一実施例による光学装置の支持装置の概略構成を示すもので、図1(A)は正面図、図1(B)は同側面図である。
図1(A),(B)において、10は平面略矩形の基台であり、該基台10は、平板状の基板11と、該平板11の一側に立設した取付片12と、平板11の前記取付片12が立設された一側と対向する一側に立設した当接片13とから構成され、前記平板11の平面視略々中心位置には、その先端にねじ穴15が穿設された突起14が設けてある。
【0010】
また、図1(A),(B)中20は平面略矩形の蓋部であり、該蓋部20は、平板状の蓋板21と、該蓋板21の互いに対向する2辺に立設した一対の側板22,22とから構成され、これら各側板22,22の2つの隅部には各々通孔23,23、通孔24,24が形成してある。
前記側板22,22は前記通孔23,23に嵌挿された、第1の固定手段としての締め付けねじ31と軸33によって前記取付片12の両側縁に回動可能に取り付けられており、該締め付けねじ31の締め付けを緩めることにより前記蓋部20は前記基台10に対して締め付けねじ31及び軸33の回りに回動でき、反対に前記締め付けねじ31を締め付けることにより前記蓋部20は前記基台10に対して所望の回動角で位置決めされるようになっている。
そして、前記蓋板21の平面視略々中心位置には通孔25が設けてあり、該通孔25は、蓋部20を前記締め付けねじ31及び軸33の回りに回動させて前記基台10に略々重なるような位置とした状態において、前記基台10の突起14に臨むようになっている。
【0011】
一方、図1(A),(B)中40は平面略矩形の搭載台であり、その一辺の両側縁には前記側板22,22の通孔24,24に嵌挿された第2の固定手段としての締め付けねじ32と軸34を取り付けてある。そして、該締め付けねじ32の締め付けを緩めることにより前記搭載台40は前記蓋部20に対して締め付けねじ32及び軸34の回りに回動でき、反対に前記締め付けねじ32を締め付けることにより前記搭載台40は前記蓋部20に対して所望の回動角で位置決めされるようになっている。
また、前記搭載台40の平面視略々中心位置にはカメラC(図3)を固定するための固定ねじ41が設けてあり、該固定ねじ41は、搭載台40を前記締め付けねじ32及び軸34の回りに回動させて前記蓋部20に略々重なるような位置とした状態において、前記蓋部20の通孔25及び前記基台10の突起14に臨むようになっている。
さらにこの状態において、前記固定ねじ41は前記基台10の突起14に穿設されたねじ穴15に螺合できるようになっており、前記搭載台40は前記締め付けねじ32及び軸34の取付側において前記基台10の当接片13の先端に当接するようになっている。
尚、前記固定ねじ41の頭部41aの大きさは、前記蓋部20の通孔25の大きさよりも若干小さめとしてある。
【0012】
さらに、図1(A),(B)中50,50は支持片であり、前記基台10の取付片12及び当接片13が立設された辺と直交する2辺から延出させてある。
これら各支持片50,50は、ある程度の外圧が加わったときにその延出方向中央部50cと前記基台10側基部50dとにおいて折曲可能な2つの板部50a,50bからなっており、各支持片50,50を前記基台10の突起14の立設方向とは反対の方向に折曲した状態で、各支持片50,50の互いに対向する側、即ち内側の面には各板部50a,50b毎に、磁着手段としての薄板状の磁石51,51が貼設してあると共に、さらに、該磁石51,51の露出面にはこれを覆うように弾性材料としてのメッシュ状のゴムラバー52,52が貼設してある。
また、該各板部50a,50bの平面視略々中心位置には通孔53,53が設けてあり、各支持片50,50をその中央部50cと基部50dとにおいて基台10側に折曲して各板部50a,50bが基台10に略々重なるような位置とした状態において、基台10の突起14、前記蓋部20の通孔25、及び前記搭載台40の固定ねじ41に臨むようになっている。
尚、前記通孔53,53の大きさは、前記基台10の突起14の大きさよりも若干大きめとしてある。
【0013】
このように構成された本実施例の支持装置を使用する際には、図3乃至図5に示すように、カメラCを固定する対象となる自動二輪車Bの燃料タンクT(図3)、鉄柱K(図4)、自動車Mの車体S(図5)等の金属製物品の形状に合わせて前記支持片50,50を折曲し、前記ゴムラバー52,52に被覆された磁石51,51を前記各金属製物品に当接させて、該磁石51,51の磁力により支持片50,50を各金属製物品上に固定する。
そして、前記基台10乃至搭載台40の平面方向の向きが所望の向きとなるように調整し、続いて、前記搭載台40の上下方向の向きが所望の向きとなるように前記蓋部20,20と搭載台40とを回動させてその向きを調整して、この状態で前記蓋部20,20と搭載台40とが前記基台10に対して位置決めされるように前記締め付けねじ31,32を締め付ける。
最後に、前記搭載台40の固定ねじ41をカメラCの底部に既設の三脚取付用めねじ部(図示せず)に螺着させてカメラCを搭載台40上に固定し、これにより前記カメラCが前記各金属製物品上に所望のアングルで固定される。
【0014】
尚、上述した本実施例の支持装置を携帯する際には、図1(B)に想像線で示すように前記蓋部20及び搭載台40を基台10側に折畳み、さらに前記支持片50,50を基台10側に折畳んで、これらを図1(B)に示す、基台10と蓋部20との間に形成される空間P内に収納し、図2(A),(B)に示すような状態にする。
【0015】
このように本実施例の光学装置の支持装置によれば、不使用時には搭載台40や支持片50,50を基台10と蓋部20との間に折畳んで収納することができるので、従来の三脚等に比べて大きさや重量を小さくすることができ、携帯性を向上させることができる。
また、前記一対の支持片50,50を基台10に折曲可能に取り付けたので、該支持片50,50を固定する燃料タンクT、鉄柱K、シャーシS等の金属製物品の形状に合わせて折曲することができ、自動二輪車B、鉄柱K、自動車M等の身近な物品を固定対象物として使用することができるようになる。
さらに、前記一対の支持片50,50の内面に磁石51,51を貼設したので、対象が金属製物品であれば磁石51,51の磁力により強固に固定することができる。
加えて、前記磁石51,51の露出面にゴムラバー52,52を被覆したので、磁石51,51が直接各金属製物品面に当接して該各金属製物品面に傷が入るのを防止することができると共に、各金属製物品が曲面を有するものであってもこれに柔軟に対応することができる。
【0016】
尚、本実施例では前記支持片50,50の内面に磁石51,51を貼設し、さらに該磁石51,51にゴムラバー52,52を被覆させる構成としたが、前記磁石51,51及びゴムラバー52,52を省略してもよく、ゴムラバー52,52のみを省略してもよい。
また磁石51,51を省略して支持片50,50の内面にゴムラバーを直接貼設する構成としてもよく、支持片50,50の内面に弾性材料からなる磁石を貼設する構成としてもよい。
さらに、本実施例では基台10と搭載台40とを蓋部20に対して締め付けねじ31,32と軸33,34により回動可能に取り付けた構成について説明したが、例えば蓋部20の両側板22,22とも締め付けねじによって基台10と搭載台40とに回動可能に取り付ける構成としてもよい。
また、本実施例ではカメラCを搭載する場合について説明したが、本考案は例えば単眼鏡、双眼鏡等の光学装置全体に適用されるものである。
【0017】
【考案の効果】
上述したように本考案の光学装置の支持装置によれば、基台に対して蓋部及び支持片を回動可能に取り付け、さらに前記蓋部に搭載台を回動可能に取り付けたので、不使用時には前記蓋部を基台に重なるように折畳み、さらに、前記搭載台及び支持片を折畳んで該搭載台及び支持片を前記基台と支持板との間に形成される空間に収納することができるので、従来の三脚等に比べて大きさや重量を小さくすることができ、携帯性を向上させることができる。
また、前記支持片を基台に折曲可能に取り付けたので、該支持片が固定される対象物の形状に合わせて、支持片を基台に対して折曲することができ、身近な物品を固定対象物として使用することができるようになる。
さらに、本考案の光学装置の支持装置によれば、前記支持片の一面に磁着手段を貼設したので、該磁着手段の磁力により身近な金属製物品を固定対象として使用できると共に、前記磁着手段の露出面を滑り止め部材で被覆したので、前記金属製物品に磁着手段が直接当接して金属製物品面に傷が入るのを防止することができる。」
(ウ)図1、図3、図4、図5は以下のとおり。
「【図1】
[図:0001393103000004.jpg]
」
、
「【図3】
[図:0001393103000005.jpg]
」
、
「【図4】
[図:0001393103000006.jpg]
」
、
「【図5】
[図:0001393103000007.jpg]
」
イ 上記アからみて、甲2には次の技術事項(以下「甲2技術事項」という。)が記載されているものと認める。
「カメラや単眼鏡、双眼鏡等の光学装置の使用時にこれら光学装置を所望の位置、向きに固定保持する光学装置の支持装置において、
基台10の取付片12及び当接片13が立設された辺と直交する2辺から支持片50を延出させてあり、
これら各支持片50,50は、ある程度の外圧が加わったときにその延出方向中央部50cと前記基台10側基部50dとにおいて折曲可能な2つの板部50a,50bからなっており、
カメラCを固定する対象となる金属製物品の形状に合わせて前記支持片50,50を折曲し、ゴムラバー52,52に被覆された磁石51,51を前記各金属製物品に当接させて、該磁石51,51の磁力により支持片50,50を各金属製物品上に固定すること。」
(3)甲11
ア 甲11の記載
甲11には、以下の記載がある。
(ア)「この考案は、トラクターにラジオを取り付ける際に、トラクターの大小、ボンネツトの開閉の如何にかかわらず、メータパネルの前方かつボンネツトの上方位置にラジオを装着することができ、必要に応じ容易に脱着できることを目的としたラジオ取付装置に関するものである。」(明細書1頁下から5行~2頁1行)
(イ)「以下考案の構成を図示の1実施例にもとづいて説明する。第1図(イ)に示すようにトラクター(1)の左右のボンネツトサイド(2R)(2L)に、ソケツト(4R)(4L)を備えたホルダー(3R)(3L)を取り付け、1対のフレーム(5R)(5L)のストツパ(5B)(5B)が左右のソケツト(4R)(4L)の上端にかかるまで挿入する。次に第2図に示すように、左右よりボンネツト(11)の上方で両フレーム(5R)(5L)を重ね、ボンネツト(11)の巾に応じて調節し、更にその上にブラケツト(6)をボンネツト(11)の中央部に位置するように重ねる。この三つ重ね状態でボルト(9a)(9a)・・・をブラケツト(6)の穴(6a)(6a)・・・及びフレーム(5R)(5L)のそれぞれに設けられた長穴(10)(10)・・・を通し下よりワツシヤナツト(9b)(9b)・・・にて締結し固定する。ラジオ(15)はブラケツト(6)に左右からボルト(7)(7)でラジオ(15)の両側に設けられたネジ穴(8)(8)に回動自在に装着される。また、ブラケツト(6)の両上端部には把手(12)がそれぞれ設けられている。なお、ボンネツトサイド(2R)(2L)が設けられていない小型トラクター等には、第1図(ロ)に示すようなリヤフレーム(14)をメータパネル(13)の前方に位置するように設け、これをメインフレームとして強度をもたせ、このリヤフレーム(14)にホルダ(3R)(3L)を取り付け、該ホルダ(3R)(3L)のソケツト(4R)(4L)にフレーム(5R)(5L)を挿入し、前述のラジオ取付装置を組み立てることもできる。また第1図(ハ)に示すようにホルダー(3R)(3L)に設けられたソケツト(4R)(4L)にフレーム(5R)(5L)が挿入されたとき、蝶ボルト(4b)(4b)でフレーム(5R)(5L)を締め付け固定するようにしてもよい。
この考案は、前述せる如き構成に係るから、ボンネツト(11)の幅が種々異なる場合でも左右ソケツト(4R)(4L)の取付部の位置及びソケツト(4R)(4L)に挿入した左右のフレーム(5R)(5L)がボンネツト(11)の上方で相互に重なつた重ね合せ部をボンネツト(11)の幅に応じて調節できるようになつているので、小型から大型まで如何なる仕様のトラクターに対しても本ラジオ取付装置を取り付けることが可能である。ラジオ(15)をブラケツト(6)に装着するとメータパネル(13)の前方でボンネツト(11)の上方に位置することになるので、八方の見通しが良好であり従来に比べ操縦性が向上し、しかも、給油点検等のためボンネツト(11)を開閉する際は、ブラケツト(6)に設けられた把手(8)を用いてフレーム(5R)(5L)ごと持ち上げることにより、ソケット(4R)(4L)から簡単に脱着ができ、第3図に示すように左右いずれかのソケツト(4)で片支えの状態で作業ができるので、整備性については、特に問題はない。又、ラジオの操作は、操縦姿勢で容易にでき、運転作業効率の向上も期待できる等実用的で多大な効果を奏しうるものである。」(明細書2頁下から4行~5頁7行)
(ウ)第2図及び第3図は以下のとおり。
「
[図:0001393103000008.jpg]
」
、
「
[図:0001393103000009.jpg]
」
(エ)上記(イ)の記載を踏まえて、第2図及び第3図をみると、1対のフレーム(5R)(5L)は、それぞれL字型であって、一方の片をストッパ(5B)(5B)が左右のソケツト(4R)(4L)の上端にかかるまで挿入し、他方の片を左右よりボンネット(11)の上方で両フレーム(5R)(5L)を重ねていることが看取できる。
また、ブラケット(6)はU字状であることも看取できる。
イ 上記アからみて、甲11には次の技術事項(以下「甲11技術事項」という。)が記載されているものと認める。
「トラクターの大小、ボンネットの開閉の如何にかかわらず、メータパネルの前方かつボンネツトの上方位置にラジオを装着することかでき、必要に応じ容易に脱着できるラジオ取付装置において、
トラクター(1)の左右のボンネツトサイド(2R)(2L)に、ソケツト(4R)(4L)を備えたホルダー(3R)(3L)を取り付け、1対のL字型のフレーム(5R)(5L)の一方の片をストツパ(5B)(5B)が左右のソケツト(4R)(4L)の上端にかかるまで挿入し、左右よりボンネット(11)の上方で両フレーム(5R)(5L)の他方の片を重ね、ボンネット(11)の巾に応じて調節し、更にその上にU字状のブラケツト(6)をボンネツト(11)の中央部に位置するように重ね、この三つ重ね状態でボルト(9a)(9a)・・・をブラケツト(6)の穴(6a)(6a)・・・及びフレーム(5R)(5L)のそれぞれに設けられた長穴(10)(10)・・・を通し下よりワツシヤナツト(9b)(9b)・・・にて締結し固定し、ラジオ(15)はブラケツト(6)に左右からボルト(7)(7)でラジオ(15)の両側に設けられたネジ穴(8)(8)に回動自在に装着されること。」
5 当審の判断
(1)請求項1に係る発明について
ア 対比
請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。)と甲1発明を対比する。
(ア)甲1発明の「GPSアンテナ108で受信されたGPS衛星125・125・・・からの電波信号は、ケーブルでGPS受信部109を経て処理部110に送信され、処理部110は、その内部に、乗用管理機101に自律走行による散布作業を行わせるためのプログラムである自律走行プログラム121a」「を格納し、GPSユニット102により得られた位置情報等に基づいて、当該圃場における自律走行経路を生成するとともに自律走行手段124に指令を出して乗用管理機101に自律走行をさせ」る「走行機体22」は、本件発明1の「測位衛星からの電波信号を受信し、位置情報を取得する測位システムと、 前記位置情報に基づいて自動操舵による自動走行が可能な走行機体」に相当する。
(イ)甲1発明の「機体フレーム6L・6R後部上には薬液タンク24が配設され、該薬液タンク24の前部中央に」「形成され」た「運転席14」は、本件発明1の「前記走行機体に設けられた運転座席」に相当する。
(ウ)甲1発明の「操作パネル11や運転ハンドル12等からなる乗用管理機101の操縦部、および運転席14を覆うキャビン45が設けられ、」「操作部111の機能と表示部112の機能とを兼ねるタッチパネル54がキャビン45の内部に配置され」ることにおいて、農業用作業車は、通常、前方を向いて操縦等を行うものであるから、キャビン45内において、タッチパネル54は、運転席14の前方に設けられていることは明らかである。
また、甲1発明において、「ナビゲーション走行時にタッチパネル54の表示部112に表示されるメイン画面70は、三つの上下に分割されたウインドウ70a・70b・70cで構成され、
ウインドウ70bは、圃場56の外形、圃場56の位置情報(測位データ)に基づいて生成されたナビゲーション走行経路71、乗用管理機101の圃場56内の位置を示すマーク72、乗用管理機101が実際に走行した経路である走行軌跡74等が表示され、
ウインドウ70cは、中央には現在の乗用管理機101が直上を通過すべきナビゲーション走行経路を示すライン73が表示され、該ライン773に対する乗用管理機101の位置を示すマーク72aが表示され」ることからみて、タッチパネル54は、情報を表示しているといえる。
これらのことから、本件発明1の「前記運転座席の前方に設けられ、前記自動走行に関する情報が表示される表示装置」と、甲1発明の「タッチパネル54」とは、「前記運転座席の前方に設けられ、情報が表示される表示装置」で共通している。
(エ)甲1発明の「タッチパネル54は、U字状の支持フレームに上端ほど前方に変位する傾斜姿勢に支持され」ていることは、本件発明1の「前記表示装置が、当該表示装置の上端ほど前方に変位する傾斜姿勢で備えられ」ていることに、相当する。
本件発明1の「前記表示装置は、前記走行機体に連結する逆U字状の支持フレームに支持され、前記表示装置の下方に、前後方向に開口する空間が形成され」ることと、甲1発明の「キャビン45の内部に配置され」た「タッチパネル54は、U字状の支持フレームに上端ほど前方に変位する傾斜姿勢に支持され、タッチパネル54の下方に、前後方向に開口する空間が形成され」ていることとは、「前記表示装置は、前記走行機体に連結する」「支持フレームに支持され、前記表示装置の下方に、前後方向に開口する空間が形成され」ることで共通する。
(オ)本件発明1の「前記表示装置には、前記自動走行に関する情報として、自動操舵状態であることを示す表示と、走行機体の走行方向のズレを示す表示とが表示される」ことと、
甲1発明の「ナビゲーション走行時にタッチパネル54の表示部112に表示されるメイン画面70は、三つの上下に分割されたウインドウ70a・70b・70cで構成され、
ウインドウ70bは、圃場56の外形、圃場56の位置情報(測位データ)に基づいて生成されたナビゲーション走行経路71、乗用管理機101の圃場56内の位置を示すマーク72、乗用管理機101が実際に走行した経路である走行軌跡74等が表示され、
ウインドウ70cは、中央には現在の乗用管理機101が直上を通過すべきナビゲーション走行経路を示すライン73が表示され、該ライン773に対する乗用管理機101の位置を示すマーク72aが表示され、
このように構成することにより、作業者は、ナビゲーション走行経路71に対する乗用管理機101の機体の左右方向の変位量X、および、ナビゲーション走行経路71の進行方向と乗用管理機101の機体の進行方向(前方)とが成す角度であるずれ角θを容易に視認可能であ」ることとは、
「前記表示装置には、」「走行機体の走行方向のズレを示す表示」「が表示される」ことで共通する。
(カ)甲1発明において、「GPSの一形態であるGPSユニット102は、主に、乗用管理機101本体に搭載される移動局ユニット103と、水田などの圃場の近くに設置される基準局側ユニット104からな」ることは、甲1発明の乗用管理機101は水田で使用されるものであることが理解できるから、甲1発明の「乗用管理機101」は、本件発明1の「水田作業機」に相当する。
(キ)以上のことから、本件発明1と甲1発明とは、
「測位衛星からの電波信号を受信し、位置情報を取得する測位システムと、
前記位置情報に基づいて自動操舵による自動走行が可能な走行機体と、
前記走行機体に設けられた運転座席と、
前記運転座席の前方に設けられ、情報が表示される表示装置とを備え、
前記表示装置が、当該表示装置の上端ほど前方に変位する傾斜姿勢で備えられ、
前記表示装置は、前記走行機体に連結する支持フレームに支持され、前記表示装置の下方に、前後方向に開口する空間が形成され、
前記表示装置には、走行機体の走行方向のズレを示す表示が表示される水田作業機。」で一致するものの、以下の2点で相違する。
〔相違点1〕表示装置を支持する支持フレームについて、本件発明1は、「逆U字状」であるのに対し、甲1発明はU字状である点。
〔相違点2〕表示装置が表示するものについて、本件発明1は、「自動走行に関する情報であって、該情報として、自動操舵状態であることを示す表示と、走行機体の走行方向のズレを示す表示とを表示する」のに対し、甲1発明は、自律走行において、タッチパネル54の表示部112がどのような情報を表示するのかの特定がない点。
イ 判断
(ア)まず、上記相違点1について検討する。
a 申立人は、逆U字状の支持フレームは、甲2及び甲11に記載されているように、周知慣用技術である旨主張しており、この甲2及び甲11について確認する。
b 甲2には、上記4(2)イで示した甲2技術事項が記載されており、この甲2技術事項の「基台10」と、「基台10の取付片12及び当接片13が立設された辺と直交する2辺から」「延出させ」た「支持片50」とにより形成される形状についてみると、「各支持片50,50は、ある程度の外圧が加わったときにその延出方向中央部50cと前記基台10側基部50dとにおいて折曲可能な2つの板部50a,50bからなっており、カメラCを固定する対象となる金属製物品の形状に合わせて前記支持片50,50を折曲」することから、「基台10」と「支持片50」とは、逆U字状をなすものとは認められない。
よって、甲2には、水田作業機の表示装置の支持フレームを逆U字状とすることは記載されていない。
c 続いて、甲11には、上記4(3)イで示した甲11技術事項が記載されており、この甲11技術事項において、「ラジオ(15)」が「装着される」「ブラケット(6)」は「U字状」である。また、「ブラケット(6)」と「三つ重ね状態」となる「他方の片」は、「L字型のフレーム(5R)(5L)」の一部であるところ、「1対のL字型のフレーム(5R)(5L)の一方の片をストツパ(5B)(5B)が左右のソケツト(4R)(4L)の上端にかかるまで挿入し、左右よりボンネット(11)の上方で両フレーム(5R)(5L)の他方の片を重ね」ていることから、「一対のL字型のフレーム(5R)(5L)」は、「他方の片」を重ねた状態だけをみると、「逆U字状」に見えるかもしれない。しかしながら、「ラジオ(15)」を支持している「ブラケット6」及び「一対のL字型のフレーム(5R)(5L)」を合わせたものは、「逆U字状」とはいえないから、甲11には、水田作業機の表示装置の支持フレームを逆U字状とすることは記載されていない。
なお、仮に、甲11技術事項から「一対のL字型のフレーム(5R)(5L)」を「他方の片」を重ねた状態だけを取り出したとしても、上記4(3)ア(イ)に、「前述せる如き構成に係るから、ボンネツト(11)の幅が種々異なる場合でも左右ソケツト(4R)(4L)の取付部の位置及びソケツト(4R)(4L)に挿入した左右のフレーム(5R)(5L)がボンネツト(11)の上方で相互に重なつた重ね合せ部をボンネツト(11)の幅に応じて調節できるようになつているので、小型から大型まで如何なる仕様のトラクターに対しても本ラジオ取付装置を取り付けることが可能である。」と記載されているように、甲11技術事項の「一対のL字型のフレーム(5R)(5L)」は、ボンネツト(11)の幅に対応するための構成であるから、そのような課題を備えていない甲1発明に対して、甲11技術事項から「一対のL字型のフレーム(5R)(5L)」に係る構成のみを取りだして適用する動機付けは存在しない。
d 以上のとおりであるから、甲2及び甲11からみて、水田作業機の表示装置の支持フレームを逆U字状とすることは、本件特許の出願前に公知慣用技術であったとはいえないし、仮に公知であったとしても、甲1発明に適用する動機付けは存在しないから、甲2及び甲11に記載の技術事項に基いて、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。
e また、申立人が提示するその他の証拠についても、水田作業機の表示装置の支持フレームを逆U字状とすることは、記載も示唆もされていない。
よって、相違点2を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲11に記載の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)請求項2ないし4に係る発明について
請求項2ないし4に係る発明は、請求項1に係る発明の発明特定事項をすべて含み、さらに技術的事項を追加した発明であるから、上記(1)に示した理由と同様の理由により、請求項2ないし4に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2ないし甲11に記載された技術的事項又は周知技術に基いて当業者が容易になし得るものではない。
6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700333