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特許異議申立

2022-700082

表示装置および防犯支援プログラム

審判番号
2022-700082
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-174181
登録番号
6913334
請求日
2022年02月01日
審決日
2022年09月26日
公報発行日
2022年12月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社東京
  • 【権利者代理人】野中 啓孝
  • 【異議申立人】加藤 達人
審判長/審判官
  • 審判長 平田 信勝
  • 審判官 段 吉享
  • 審判官 尾崎 和寛
分類
P1652.121-YAA(B66B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6913334号発明「表示装置および防犯支援プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6913334号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2~4〕について訂正することを認める。 特許第6913334号の請求項2~4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6913334号の請求項1~8に係る特許についての出願は、平成30年3月1日に出願した特願2018-36635号の一部を令和元年9月25日に新たな特許出願としたものであって、令和3年 7月14日にその特許権の設定登録がされ、同年8月4日に特許掲載公報が発行された。 本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和 4年 2月 1日 :特許異議申立人加藤達人(以下、「申立人」 という。)による請求項2~4に係る特許に 対する特許異議の申立て 同年 4月 6日付け:取消理由通知書 同年 6月10日 :特許権者による意見書の提出及び訂正請求( 以下、この訂正請求を「本件訂正請求」とい い、この訂正請求による訂正を「本件訂正」 という。) 同年 7月12日 :申立人による意見書の提出 第2 本件訂正の適否 1 本件訂正の内容 本件訂正の内容は、訂正箇所に下線を付して示すと、以下のとおりである。 特許請求の範囲の請求項2に 「エレベーターの乗員に対して広告情報及び管理情報を表示する表示装置であって、 前記広告情報及び管理情報を表示する表示画面を有するCPU、メモリ、入出力デバイス及び携帯電話回線を備えるタブレット端末と、 前記タブレット端末を支持する支持部材と、 を備え、 前記支持部材は、前記表示画面が前記乗員側に向くように、かつ、前記乗員の視線の高さよりも上側になるように、前記エレベーターのかごの内壁面に設置され、 前記支持部材が設置された際に、前記表示画面の上辺が前記内壁面から離間するように、当該表示画面を前記内壁面に対して所定の角度で傾斜させることを特徴とする表示装置。」 と記載されているのを、 「エレベーターの乗員に対して広告情報及び管理情報を表示する表示装置であって、 前記広告情報及び管理情報を表示する表示画面を有するCPU、メモリ、入出力デバイス及び携帯電話回線を備えるタブレット端末と、 前記タブレット端末を支持する支持部材と、 を備え、 前記広告情報及び管理情報は、外部装置から、前記携帯電話回線を介して、前記メモリにダウンロードされ、 前記支持部材は、前記表示画面が前記乗員側に向くように、かつ、前記乗員の視線の高さよりも上側になるように、前記エレベーターのかごの内壁面に設置され、 前記支持部材が設置された際に、前記表示画面の上辺が前記内壁面から離間するように、当該表示画面を前記内壁面に対して所定の角度で傾斜させることを特徴とする表示装置。」 に訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3及び4も同様に訂正する)。 2 一群の請求項について 訂正前の請求項2ないし4について、訂正前の請求項3及び4は、訂正前の請求項2を直接的又は間接的に引用しているから、本件訂正は一群の請求項2ないし4について請求されている。 3 本件訂正の適否について ア 訂正の目的の適否 本件訂正は、訂正前の請求項2に記載されていた「広告情報及び管理情報」に関して、「前記広告情報及び管理情報は、外部装置から、前記携帯電話回線を介して、前記メモリにダウンロードされ」るものとして、「広告情報及び管理情報」を具体的に特定するものである。 よって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 本件訂正は、上記アのとおり、訂正前の請求項2に係る発明を減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 新規事項追加の有無 願書に添付した明細書の段落【0054】には「通信インタフェース609は、通信回線を通じて情報処理装置101と接続されるインタフェースである。通信インタフェース609には、たとえば、Wi-Fi(登録商標)による無線インタフェースであり、インターネットなどのネットワーク650に接続される。また、通信インタフェース609は、携帯電話回線、PHS、Bluetooth(登録商標)などの無線通信のインタフェースであってもよく、また、モデムやLANアダプタなどの有線通信のインタフェースを採用することができる。そして、通信インタフェース609は、ネットワークと内部のインタフェースをつかさどり、外部装置からのデータの入力および外部装置へのデータの出力を制御する。」と記載されており、段落【0056】には「画像情報受信部701は、図示を省略する管理サーバ(画像送信サーバ)から、画像に関する情報(画像情報)を無線通信によって受信する。画像情報受信部701は、具体的には、たとえば、図6に示した通信インタフェース609などによって、その機能を実現することができる。」と記載されており、段落【0057】には「画像情報記憶部702は、画像情報受信部701によって受信した画像情報を所定の記憶領域に記憶する。画像情報記憶部702は、具体的には、たとえば、図6に示したCPU601が、メモリ602などに記憶されたプログラムを実行することによって、また、図6に示したメモリ602などによって、その機能を実現することができる。また、図6に示した入出力デバイス608、より具体的には外部記録媒体などによって、その機能を実現することもできる。」と記載されており、段落【0108】には「また、この発明にかかる実施の形態の表示装置100は、画像が、広告情報または管理情報であるので、エレベーターの乗員に対して、効率的に広告活動をおこなうことができ、また、乗員においては有用な情報をエレベーター内において取得することができる。」と記載されている(下線は、当審で付した。以下同様。)。 そして、願書に添付した明細書の上記記載から、広告情報及び管理情報は外部装置から携帯電話回線を介して受信されてメモリ602に記憶されることが把握でき、広告情報及び管理情報は受信されてメモリに記憶されるのであるから、広告情報及び管理情報はメモリ602にダウンロードされるものであると理解できるため、願書に添付した明細書には、「前記広告情報及び管理情報は、外部装置から、前記携帯電話回線を介して、前記メモリにダウンロードされ」ることが記載されていると認められる。 よって、本件訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 4 むすび 上記3のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 そして、本件特許異議の申立てにおいては、訂正前の請求項2ないし4について特許異議の申立てがされているため、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 よって、本件訂正は、訂正の要件を満たしている。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2~4〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正後の発明 本件訂正請求により訂正された請求項2ないし4に係る発明(以下、各々「本件発明2」ないし「本件発明4」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項2ないし4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項2】 エレベーターの乗員に対して広告情報及び管理情報を表示する表示装置であって、 前記広告情報及び管理情報を表示する表示画面を有するCPU、メモリ、入出力デバイス及び携帯電話回線を備えるタブレット端末と、 前記タブレット端末を支持する支持部材と、 を備え、 前記広告情報及び管理情報は、外部装置から、前記携帯電話回線を介して、前記メモリにダウンロードされ、 前記支持部材は、前記表示画面が前記乗員側に向くように、かつ、前記乗員の視線の高さよりも上側になるように、前記エレベーターのかごの内壁面に設置され、 前記支持部材が設置された際に、前記表示画面の上辺が前記内壁面から離間するように、当該表示画面を前記内壁面に対して所定の角度で傾斜させることを特徴とする表示装置。 【請求項3】 前記タブレット端末が、更にカメラを備えることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。 【請求項4】 前記タブレット端末が、更にスピーカを備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の表示装置。」 第4 取消理由の概要 当審が令和4年4月6日付けで特許権者に通知した取消理由(以下、単に「取消理由」という。)の概要は、次のとおりである。 理由(進歩性)本件発明2ないし4は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 <引用文献等一覧> 引用文献1:特開2003-199090号公報(申立人の提出した甲第2 号証) 引用文献2:特開2017-55373号公報(申立人の提出した甲第3号 証) 第5 当審の判断 1 引用文献に記載された事項及び引用発明 (1)引用文献1に記載された事項及び引用発明 引用文献1には、以下の事項が記載されている。 ア「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、画像情報配信システムに係わり、特に、商業施設、公共施設などで、不特定の人々に画像情報を表示するとき、効果的に表示および/または放音を行う画像情報配信システム及び画像情報表示端末並びに画像情報配信装置に関するものである。」 イ「【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記に示した従来の画像情報配信システムでは、見ている人の有無や、老若男女に関わらず、一方的にスケジュールに従って画像情報を表示するだけで、異常事態が発生してもその防犯対策がなされておらず、人の安全性の配慮に欠けていた。また、誰もいない場合には画像表示が無駄であり電力節減の配慮にも欠けていた。 【0005】本発明の目的は、防犯対策をして、人の安全性に配慮した画像情報配信システム及び画像情報表示端末並びに画像情報配信装置を提供することにある。」 ウ「【0018】 【発明の実施の形態】以下、本発明による画像情報配信システムの実施の形態である、エレベータの乗りかご監視システムについて、図1および図2に基づいて説明する。図1は本実施の形態のシステム構成を示し、図2は本実施の形態のシステムの信号ブロック構成を示す。 【0019】図1のシステム構成において、画像情報表示端末1は、画像表示を行う液晶モニター2、乗りかご内の状況を撮影するビデオカメラ3、音声を収録するマイク4を設けてなる。この画像情報表示端末1はエレベータの乗りかご5の上部に設置されている。またこの画像情報表示端末1は画像情報配信装置6と電話回線7で接続されている。 【0020】画像情報配信装置6は、電話回線7を介して図示していないインターネット等からの画像データを記憶し記憶した画像データを選択したり新たな画像データを作成する入力部8、前記画像データとともに画像情報表示端末1からの映像と音声を記録する記録部9、前記画像データを画像情報表示端末1に送信するとともに画像情報表示端末1からの映像や音声を受信する通信部10、画像情報表示端末1から送信されてきた映像を表示するモニター11及び音声を再現するスピーカ12、これらを制御する中央制御部13にて構成され、図1に示す画像情報表示端末1の他、図示していないが別なエレベータの乗りかごの画像情報表示端末と電話回線7で接続することも可能である。 【0021】図2の信号ブロック構成図において、画像情報表示端末1は、画像情報配信装置6から配信された画像データを受信する通信部14、配信された画像情報データを記憶する記憶部15、画像情報データを表示する液晶モニター2と、これを駆動する表示制御部16、更に、エレベータの乗りかご内を撮影するビデオカメラ3と、撮影した映像をMPEG2にエンコードし画像認識により情報を抽出する画像処理部17、エレベータ内の音声を収録するマイク4と、収録した音声をMPEG2にエンコードし画像認識により情報を抽出する音声処理部18、ビデオカメラ3の映像とマイク4の音声を送信する前記通信部14、これらを制御する中央制御部19で構成される。」 エ「【0023】この画像情報配信システムで表示される画像データ例としては、入力部8からエレベータのメンテナンス情報や、各階におけるイベント情報等を入力し、外部の入力端末20からはニュース、天気予報などの情報を取り込み、中央制御部13にて、これらの画像データを表示する日時、間隔、順番などを予めスケジュールを組み、記憶部9に画像データやスケジュールデータを記憶することができる。」 オ「【0028】ここで、例えば、マイク4で収録する音量が通常より異常に大きく、エレベータの乗りかご5で犯罪等の異常事態が発生している危険がある場合は、通常の場合に比べ大きな音声情報であることを、音声処理部18における音声認識により抽出する。すると中央制御部19では、その音声情報より犯罪等の異常事態が発生している危険があると判断し、記憶部9から出力していた画像データを、今までのスケジュールに沿った画像データから、記憶部9に記憶の警告画面データに切り換えて出力する。この警告画面データが表示駆動部16により液晶モニター2に表示され、脅威を与えた人に警告を自動的に与え、脅威を受けた人に安心を与えることができる。 【0029】また同時に中央制御部19で、犯罪等の異常事態が発生している危険があると判断した場合は、異常事態発生の画面及びメッセージを通信部14、電話回線7を介して画像情報配信装置6に送信する。 【0030】画像情報配信装置6では、その異常事態発生危険の画面及びメッセージを通信部10で受信し、中央制御部13によりモニター11に供給して表示する。したがって画像情報配信装置6では、即座に監視や必要な対策をうつことができる。」 カ「【図1】 [図:0001392044000001.jpg] 」 キ 摘記事項ウ、エから、画像情報表示端末1の液晶モニター2は、エレベータの乗員に対して各階におけるイベント情報及びエレベータのメンテナンス情報を表示すると認められる。 ク 摘記事項ウの段落【0019】の「画像情報表示端末1はエレベータの乗りかご5の上部に設置されている。」との記載及び摘記事項エ、カから、エレベータの乗りかご5は内壁面を有し、画像情報表示端末1はエレベータの乗りかご5の上部の内壁面の近傍に設置されていると認められる。そして、画像情報表示端末1をエレベータの乗りかご5の内壁面に対して支持する支持部材が無ければ、画像情報表示端末1は落下してしまうことを考慮すると、エレベータの乗りかご5の内壁面に画像情報表示端末1を支持する支持部材が設置されており、当該支持部材が画像情報表示端末1を支持していると認められる。 ケ 摘記事項ウの段落【0019】の「画像情報表示端末1はエレベータの乗りかご5の上部に設置されている。」との記載及び摘記事項エ、カから、画像情報表示端末1の液晶モニター2は、乗員側に向くように、かつ、乗員の視線の高さよりも上側になるように、上辺が内壁面から離間するように、エレベータの乗りかご5の内壁面に対して所定の角度で傾斜させられて支持されていると認められる。 そして、認定事項クから、エレベータの乗りかご5の内壁面に画像情報表示端末1を支持する支持部材が設置されており、当該支持部材が画像情報表示端末1を支持していると認められるため、当該支持部材は、液晶モニター2が乗員側に向くように、かつ、乗員の視線の高さよりも上側になるように、エレベータの乗りかご5の内壁面に設置され、画像情報表示端末1を支持する部材が設置された際に、液晶モニター2の上辺が内壁面から離間するように、液晶モニター2を内壁面に対して所定の角度で傾斜させるように画像情報表示端末1を支持していると認められる。 コ 摘記事項ウ、オから、ビデオカメラ3は、モニター11に表示する映像を撮影するものであり、エレベータの乗りかご5を監視する用途を有すると認められる。 引用文献1の上記ア~カの摘記事項、並びに、上記キ~コの認定事項からみて、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 【引用発明】 「エレベータの乗員に対して各階におけるイベント情報及びエレベータのメンテナンス情報を表示する画像情報表示端末1及び画像情報表示端末1を支持する支持部材とからなる装置であって、 各階におけるイベント情報及びエレベータのメンテナンス情報を表示する液晶モニター2を有する中央制御部19、記憶部15及び画像情報配信装置6のモニター11に表示する映像を撮影する監視用のビデオカメラ3を備える画像情報表示端末1と、 画像情報表示端末1を支持する支持部材と、 を備え、 イベント情報及びエレベータのメンテナンス情報は、画像情報配信装置6から配信され、記憶部15に記憶され、 支持部材は、液晶モニター2が乗員側に向くように、かつ、乗員の視線の高さよりも上側になるように、エレベータの乗りかご5の内壁面に設置され、 支持部材が設置された際に、液晶モニター2の上辺が前記内壁面から離間するように、液晶モニター2を前記内壁面に対して所定の角度で傾斜させる画像情報表示端末1及び画像情報表示端末1を支持する支持部材とからなる装置。」 (2)引用文献2に記載された事項 引用文献2には、以下の事項が記載されている。 ア「【0002】 従来の売場防犯システムでは、店内の天井付近に設けた監視カメラにより売場を撮影し、撮影した売場の映像をレジ付近のモニタに映し出す(例えば、特許文献1)。売場が撮影されていることをモニタで知らしめることにより、売場における犯罪が防止される。しかし、従来のシステムでは、監視カメラとモニタとを別個に設置して接続しなければならず、大掛かりな導入作業とコストとが店舗へのシステム導入の促進を妨げている。」 イ「【0005】 この課題を解決するため、本願は、表示装置が装備された面と同じ面にフロントカメラを備えたタブレット端末用の売場防犯プログラムを提供する。本発明の売場防犯プログラムは、タブレット端末の情報処理部に、フロントカメラから入力される売場の映像を表示装置にリアルタイムに表示する処理を実行させる。これによると、天井付近に監視カメラを設置し、レジ付近にモニタを設置する従来の防犯カメラシステムとは異なり、単体のタブレット端末で撮影及び表示が可能となる。」 ウ「【0009】 図2は、タブレット端末10のハードウェア構成の概略を示している。タブレット端末10は、プロセッサ、チップセット及びRAM(主記憶装置)を含む情報処理部4を備えている。また、上記のフロントカメラ1と、上記の表示装置2と、この表示装置2の上で機能するタッチパネル3とを有する。更に、内蔵ストレージ5(補助記憶装置)、外部メモリ6(補助記憶装置)及びWi-Fi等の通信装置を備えている。一般的なタブレット端末に装備されているその他の装備(オーディオ等)は図示を省略する。」 エ「【0013】 売場の陳列棚に防犯カメラアプリを実行するタブレット端末10を設置するだけで、上記の防犯効果を得ることができる。従来のように、監視カメラの天井付近への設置作業、別途の監視モニタの設置作業や、監視カメラと監視モニタとの接続作業は不要である。大掛かりな導入作業を不要としコストダウンも図れるため、店舗への売場防犯システムの導入を従来よりも容易に行うことができる。」 オ「【0021】 [POP表示機能] 情報処理部4は、表示装置2にPOP動画(広告画面)を表示すべきモードになると、外部メモリ6に予め格納されたPOP動画を表示装置2に表示する。情報処理部4は、POP動画表示中に、図3のS2からS5の処理を繰り返し実行してもよい。 【0022】 本発明は、以上の実施形態に限定されない。例えば、防犯効果を得るに当たっては、撮影静止画の内蔵ストレージ5への記録は必ずしも必要ではない。タブレット端末10の設置場所は必ずしも商品陳列棚に限らない。情報処理部は、POP表示機能の実行時等にタブレット端末から音声を出力してもよい。情報処理部は、防犯処理実行時等にタブレット端末のマイクから周囲の音声を取得して内蔵ストレージに保存してもよい。情報処理部は、内蔵ストレージに保存するとした各種情報を内蔵ストレージに代えて外部メモリに保存してもよい。」 カ「【図2】 [図:0001392044000002.jpg] 」 2 対比・判断 (1)本件発明2について ア 対比 本件発明2と引用発明とを対比する。 引用発明の「エレベータ」は、本件発明2の「エレベーター」に相当し、引用発明の「各階におけるイベント情報」は、本件発明2の「広告情報」に相当し、引用発明の「エレベータのメンテナンス情報」は、本件発明2の「管理情報」に相当し、本件発明2の「表示装置」は、「タブレット端末」及び「前記タブレット端末を支持する支持部材」とを備えるものであるため、引用発明の「画像情報表示端末1及び画像情報表示端末1を支持する支持部材とからなる装置」は、本件発明2の「表示装置」との関係において、「情報表示端末及び情報表示端末を支持する支持部材とからなる装置」である限りにおいて一致する。 引用発明の「液晶モニター2」は、本件発明2の「表示画面」に相当し、引用発明の「中央制御部19」は、本件発明2の「CPU」に相当し、引用発明の「記憶部15」は、本件発明2の「メモリ」に相当し、引用発明の「各階におけるイベント情報及びエレベータのメンテナンス情報を表示する液晶モニター2を有する中央制御部19、記憶部15及び画像情報配信装置6のモニター11に表示する映像を撮影する監視用のビデオカメラ3を備える画像情報表示端末1」は、本件発明2の「前記広告情報及び管理情報を表示する表示画面を有するCPU、メモリ、入出力デバイス及び携帯電話回線を備えるタブレット端末」との関係において、「前記広告情報及び管理情報を表示する表示画面を有するCPU及びメモリを備える情報表示端末」である限りにおいて一致する。 引用発明の「画像情報表示端末1を支持する支持部材」は、本件発明2の「前記タブレット端末を支持する支持部材」との関係において、「情報表示端末を支持する支持部材」である限りにおいて一致する。 引用発明の「支持部材は、液晶モニター2が乗員側に向くように、かつ、乗員の視線の高さよりも上側になるように、エレベータの乗りかご5の内壁面に設置され」ることは、本件発明2の「前記支持部材は、前記表示画面が前記乗員側に向くように、かつ、前記乗員の視線の高さよりも上側になるように、前記エレベーターのかごの内壁面に設置され」ることに相当する。 引用発明の「支持部材が設置された際に、液晶モニター2の上辺が前記内壁面から離間するように、液晶モニター2を前記内壁面に対して所定の角度で傾斜させる」ことは、本件発明2の「前記支持部材が設置された際に、前記表示画面の上辺が前記内壁面から離間するように、当該表示画面を前記内壁面に対して所定の角度で傾斜させる」ことに相当する。 以上のとおりであるから、本件発明2と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。 【一致点1】 「エレベーターの乗員に対して広告情報及び管理情報を表示する情報表示端末及び情報表示端末を支持する支持部材とからなる装置であって、 前記広告情報及び管理情報を表示する表示画面を有するCPU及びメモリを備える情報表示端末と、 前記情報表示端末を支持する支持部材と、 を備え、 前記支持部材は、前記表示画面が前記乗員側に向くように、かつ、前記乗員の視線の高さよりも上側になるように、前記エレベーターのかごの内壁面に設置され、 前記支持部材が設置された際に、前記表示画面の上辺が前記内壁面から離間するように、当該表示画面を前記内壁面に対して所定の角度で傾斜させる情報表示端末及び情報表示端末を支持する支持部材とからなる装置。」 【相違点1】 広告情報及び管理情報を表示する表示画面を有するCPU及びメモリを備える情報表示端末が、本件発明2では、「タブレット端末」であり、さらに入出力デバイス及び携帯電話回線を備え、「前記広告情報及び管理情報は、外部装置から、前記携帯電話回線を介して、前記メモリにダウンロードされ」るのに対し、引用発明では、「画像情報表示端末1」であり、入出力デバイス及び携帯電話回線を備えず、「イベント情報及びエレベータのメンテナンス情報は、画像情報配信装置6から配信され、記憶部15に記憶され」る点。 イ 判断 上記相違点1について検討する。 引用文献2には、上記第2 2.(2)の摘記事項ア~カから、大掛かりな導入作業を不要としコストダウンを図るため、別個に監視カメラ及びモニタを設置することに代えて、表示装置2を有するプロセッサ、RAM、タッチパネル、Wi-Fi等の通信装置7及びフロントカメラ1を備えるタブレット端末を使用することが記載されている。 ここで、引用発明は、上記1(1)の摘記事項ア、イ、オから、「防犯対策をして、人の安全性に配慮した画像情報配信システム及び画像情報表示端末並びに画像情報配信装置を提供すること」を目的としており、当該目的を達成するため、エレベータの乗りかごで犯罪等の異常事態が発生している危険がある場合に、画像情報表示端末1の液晶モニター2に警告画面データを表示して「脅威を与えた人に警告を自動的に与え、脅威を受けた人に安心を与え」、同時に、異常事態発生の画面及びメッセージを画像情報配信装置6のモニター11に表示して「画像情報配信装置6では、即座に監視や必要な対策をうつこと」ができるものである。 そして、引用発明は、監視用のビデオカメラ3で撮影した映像をモニター11に表示するものであり、さらに、大掛かりな導入作業を不要としコストダウンを図ることは一般的な課題であり、引用発明においても考慮すべき事項であるといえるものの、仮に引用発明に引用文献2に記載された事項を適用した場合、引用発明の監視用のビデオカメラ3を備える画像情報表示端末1及びモニター11を備える画像情報配信装置6に代えて、1つのタブレット端末を使用することとなり、「画像情報配信装置6」は無くなるのであるから、画像情報表示端末1の液晶モニター2に警告画面データを表示して「脅威を与えた人に警告を自動的に与え、脅威を受けた人に安心を与え」、同時に、異常事態発生の画面及びメッセージを画像情報配信装置6のモニター11に表示して「画像情報配信装置6では、即座に監視や必要な対策をうつこと」ができなくなるといえるため、引用発明の目的に照らすと、引用発明に引用文献2に記載された事項を適用し、引用発明の監視用のビデオカメラ3を備える画像情報表示端末1及びモニター11を備える画像情報配信装置6に代えて、1つのタブレット端末を使用する動機付けがあったとまではいえない。 してみれば、上記相違点1に係る本件発明2の構成は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて当業者が容易に想到し得たとはいえない。 ウ 結論 したがって、本件発明2は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2)本件発明3及び4について 本件発明3及び4は、本件発明2の発明特定事項のすべてをその構成の一部とするものであるから、上記(1)の理由と同様の理由により、本件発明3及び4は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 3 申立人の意見について (1)申立人の主張 申立人は、令和4年7月12日に意見書を提出した上で、当該意見書において、参考資料1(特開2017-16310号公報;以下、「意見書言及公報」という。)に言及し、以下のように主張している。 ア「ここで、本件発明2と、特許権者の意見書のP.16に記載の「技術常識2」との関係についての異議申立人の見解を申し述べます。特許権者は当該意見書において、『技術常識2:エレベータかご内は、携帯電話による通信が困難であることが技術常識』と主張しています。一方、本件発明2は、かごの内壁面に設置された支持部材に支持された(すなわち、かご内に設置されている)タブレット端末を備える表示装置が携帯電話回線を介して情報をメモリにダウンロードすることが、その構成(訂正の要点)となっています。もし特許権者が主張する「技術常識2」が正しいとすると、本件発明2のかご内に設置されているタブレット端末は“通信が困難”であるにもかかわらず、どのようにして広告情報及び管理情報を携帯電話回線を介して受信しているのか、その技術構成については(「技術常識3」も参酌すると益々)理解の範疇を超えております。本件発明2(ないしは発明の詳細な説明等)においてこの「技術常識2」を突破する新たな技術思想が存在しておらず、両者は技術的観点において相矛盾(相反)しており、「技術常識2」を前提とした場合には、本件発明2はそもそも成立しないものと思料します。甲第1号証に記載の発明(甲1発明)、添付の参考資料1等も考慮すると、この「技術常識2」及びそれを根拠とする意見書のP.20~の「阻害要因の存在1、3」についての特許権者の主張は、おそらく失当ではないかと思われます。」(第2頁第1~18行) イ「甲1発明には、「・・・小型電話14を用いたインターネット等の情報インフラの活用によってより一層付加価値の高いサービスを提供することもできる(【0033】)」、「・・・操作盤に組み込んだ小型電話若しくは乗客が所持している携帯電話を、インターネット通信網等の情報インフラに接続することができるから、乗りかご内の乗客に対してより一層付加価値の高い情報を提供することができる(【0044】)」等の記載があり、小型電話による“情報インフラの活用(接続)”、それによる“一層付加価値の高い情報等の提供”とは、携帯電話回線を介した情報のダウンロードに他ならず、当該相違点は、甲1発明と甲2発明との組み合わせから当業者が容易になし得たことであると思料します。」(第2頁第20~29行) ウ「また参考資料1(特開2017-16310号公報)には、以下のように記載されています。図2に示されているように、エレベータを含む移動体(【0045】)に設置される、スマートフォン1、さらにはタブレット型コンピュータやウェアラブル端末といった移動携帯端末からなる停止態様判定装置(【0036】)が、通信インタフェース部101を備え、外部装置であるコンテンツサーバ6から、情報提示部118が提示するためのコンテンツを受信し(【0053】)、コンテンツ記憶部118mに記憶します(【0052)】。また停止態様判定装置は、各種情報を、「この外部装置又は移動体自体から有線又は無線の通信網を介して(例えば無線LAN、近距離無線通信やインターネット及びアクセスネットワークを介して)、又はCD-ROMや固定メモリ等の媒体を介して、受け取ってもよい。(【0047】)」と記載されています。このように無線LAN、近距離無線通信やインターネット及びアクセスネットワークが並列に記載されていることから、スマートフォン1は、無線LAN、近距離無線通信とは異なる通信によりインターネットに接続可能であることが明らかです。したがってスマートフォン1は“実質的に”携帯電話回線によりインターネットに接続可能であることが記載ないしは示唆されているものと思料します。これらのことから、参考資料1には、エレベータに設置される停止態様判定装置であって、情報(天気予報、経済ニュース、セールの案内(【0045】)を表示する表示画面(タッチパネル・ディスプレイ(【0051】)を有するCPU(プロセッサ・メモリ)、メモリ、入出力デバイス及び携帯電話回線を備えるタブレット端末(スマートフォン1)を備える停止態様判定装置の発明が記載されているものと思料します。また各種情報は、外部装置(コンテンツサーバ6)から、携帯電話回線(のインタフェース)を介して、メモリ(コンテンツ記憶部118m)にダウンロードされることが記載されているものと思料します。」(第2頁第30行~第3頁第17行) エ「そして甲1発明と、甲2発明と、周知技術である参考資料1に記載された発明は、いずれもエレベータに設けられた端末であって、情報を表示する表示画面を有する端末の技術である点で技術分野の関連性を有しており、セールの案内などの広告・管理情報を表示する機能、作用において共通しています。そうすると、甲1発明、甲2発明に、参考資料1に記載された発明を適用して、端末を、携帯電話回線を備えるタブレット端末とする動機付けがあるといえます。したがって当該携帯電話回線を介して外部装置から情報をメモリにダウンロードするという相違点は、単なる“周知の技術”に過ぎず、当該周知の技術により当業者が容易になし得たことであると思料します。」(第3頁第18行~第3頁第26行) (2)申立人の主張についての検討 仮に、上記ア~エの申立人の主張のとおり、特許権者の意見書に記載の「技術常識2」及び「阻害要因の存在1、3」についての特許権者の主張が失当であり、「携帯電話回線を介して外部装置から情報をメモリにダウンロードするという相違点は、単なる“周知の技術”に過ぎず、当該周知の技術により当業者が容易になし得たこと」であるとしても、上記2(1)イに記載したように、引用発明(甲第2号証に記載された発明)に引用文献2(甲第3号証)に記載された事項を適用し、引用発明の監視用のビデオカメラ3を備える画像情報表示端末1及びモニター11を備える画像情報配信装置6に代えて、1つのタブレット端末を使用する動機付けがあったとはいえない。 してみれば、本件発明2~4は、引用発明、引用文献2に記載された事項、甲第1号証に記載された事項、及び意見書言及公報に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 4 決定の予告において採用しなかった特許異議申立理由について 申立人は、特許異議申立書において、甲第1~4号証を提示して、訂正前の特許請求の範囲に関し、請求項2~4に係る発明は、主引用発明である甲第1号証に記載された発明に副引用発明である甲第2~4号証に記載された発明又は周知技術を適用して当業者が容易に想到し得たものであると主張する。 ここで、甲第1号証には、段落【0001】、【0008】、【0022】~【0033】、【0044】及び【図1】~【図3】から、液晶画面13及び非常連絡ボタン17を有する小型電話14と、小型電話14を支持する支持部材と、階床ボタン11と、ドア開閉ボタン12と、を備えたエレベータの操作盤10が記載されていると認められるが、非常連絡ボタン17、階床ボタン11及びドア開閉ボタン12は、エレベータの乗客が手で操作するものであるから、エレベータのかごの内において乗客が手で操作しやすい場所に配置するのが自然である。 他方で、甲第1~4号証には、エレベータの乗客が手で操作するものを、「前記表示画面が前記乗員側に向くように、かつ、前記乗員の視線の高さよりも上側になるように、前記エレベーターのかごの内壁面に」配置し「前記表示画面の上辺が前記内壁面から離間するように、当該表示画面を前記内壁面に対して所定の角度で傾斜させる」ことは記載されておらず、エレベータの乗客が手で操作するものを、「前記表示画面が前記乗員側に向くように、かつ、前記乗員の視線の高さよりも上側になるように、前記エレベーターのかごの内壁面に」配置し「前記表示画面の上辺が前記内壁面から離間するように、当該表示画面を前記内壁面に対して所定の角度で傾斜させる」ことが周知技術又は技術常識であったとする証拠もない。 そうすると、エレベータの乗客が手で操作するものは、エレベータのかごの内において乗客が手で操作しやすい場所に配置するのが自然であることを考慮すると、甲第1号証に記載された、エレベータの操作盤10における、液晶画面13及び非常連絡ボタン17を有する小型電話14を、「前記表示画面が前記乗員側に向くように、かつ、前記乗員の視線の高さよりも上側になるように、前記エレベーターのかごの内壁面に」配置し「前記表示画面の上辺が前記内壁面から離間するように、当該表示画面を前記内壁面に対して所定の角度で傾斜させる」動機付けがあったとはいえない。 したがって、本件発明2~4は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~4号証に記載された発明又は周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 よって、上記申立人の主張を採用することはできない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、請求項2~4に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。 また、他に請求項2~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700082

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