特許訂正審判
2022-390131
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- 審判番号
- 2022-390131
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2018-151626
- 登録番号
- 6747481
- 請求日
- 2022年07月19日
- 審決日
- 2022年09月22日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】AGC 株式会社
- 【請求人代理人】伊東 秀明
- 【請求人代理人】蜂谷 浩久
- 【請求人代理人】三橋 史生
- 【請求人代理人】上西 浩史
- 審判長/審判官
- 審判長 中塚 直樹
- 審判官 佐藤 久則
- 審判官 濱野 隆
- 分類
- P141 .851-Y (G09F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6747481号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6747481号の特許請求の範囲を、令和4年7月19日付けの本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~16〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6747481号(以下「本件特許」という。)は、平成30年8月10日に出願された特願2018-151626号の請求項1~16に係る発明について、令和2年8月11日に特許権の設定の登録がされたものである。
本件特許について、令和4年7月19日に訂正審判に係る審判請求書が提出された。以下、この訂正審判を「本件訂正審判」といい、本件訂正審判に係る訂正を「本件訂正」という。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~16について訂正することを認める、との審決を求めるというものである。
第3 本件訂正について
1 本件訂正前の特許請求の範囲の記載
本件訂正前の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。
「【請求項1】
表示パネルと、前記表示パネルをカバーするカバー部材とを有する表示装置であって、
前記カバー部材は、前記表示パネルに対面する第2主面と、前記第2主面とは反対側の第1主面と、前記第1主面と前記第2主面とに接続する端面とを有し、
前記カバー部材における前記第1主面と前記端面とが形成する角Eを通る仮想線をD線とし、nを2以上の整数としたときに、前記D線上には、前記カバー部材を第1層として、第n層までの部材が配置され、
前記カバー部材から前記第n層の部材までの間に隙間が設けられ、
前記隙間における前記D線が通る領域の前記カバー部材の厚さ方向の距離である隙間量を単位mmでGとしたときに、下記式(1)~(3)を満たす、表示装置。
(1)…B1=b1+b2<1.33
(2)…b1=(0.0982G+3.3083)K+0.1427G+0.3651
(3)…b2=0.1401G+0.5424
ただし、前記式(2)中のKは、前記カバー部材のヤング率を単位GPaでE1、前記カバー部材の厚さを単位mmでt1、前記第n層の部材のヤング率を単位GPaでEn、前記第n層の部材における前記D線が通る領域の前記カバー部材の厚さ方向の距離を単位mmでtnとしたときに、以下のように定義される。
K=E1t12/(E1t12+…+Entn2)
【請求項2】
仮想線Fに対する前記D線の角度が、30~90°である、請求項1に記載の表示装置。ただし、前記仮想線Fは、前記第1主面を通る、前記端面側に突出した仮想線である。
【請求項3】
前記仮想線Fに対する前記D線の角度が45°または60°である、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記B1に関して、さらに、下記式(4)を満たす、請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置。
(4)…B1=b1+b2<1.21
【請求項5】
前記カバー部材がガラスである、請求項1~4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記ガラスが化学強化ガラスである、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記化学強化ガラスは圧縮応力層を有し、前記圧縮応力層の厚さが10μm以上であり、かつ、前記圧縮応力層における表面圧縮応力が500MPa以上である、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記カバー部材の厚さt1が、0.5~3.0mmである、請求項1~7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記隙間は、前記カバー部材と第2層の部材との間に設けられている、請求項1~8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第2層の部材の材質が、ABS樹脂またはPC樹脂である、請求項1~9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
第3層の部材の材質が、ステンレス鋼、アルミニウムまたはマグネシウム合金である、請求項1~10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
第4層の部材の材質が、マグネシウム合金、ステンレス鋼またはアルミニウムである、請求項1~11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
第5層の部材の材質が、ABS樹脂またはPC樹脂である、請求項1~12のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記カバー部材の表面上に、機能層を有する、請求項1~13のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項15】
前記機能層は、反射防止層、防眩層および防汚層からなる群から選ばれる少なくとも1種の層を含む、請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
車載表示装置である、請求項1~15のいずれか1項に記載の表示装置。」
2 本件訂正後の特許請求の範囲の記載
本件訂正後の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。なお、下線部は訂正箇所を示す。
「 【請求項1】
表示パネルと、前記表示パネルをカバーするカバー部材とを有する表示装置であって、
前記カバー部材は、前記表示パネルに対面する第2主面と、前記第2主面とは反対側の第1主面と、前記第1主面と前記第2主面とに接続する端面とを有し、
前記カバー部材における前記第1主面と前記端面とが形成する角Eを通る仮想線をD線とし、nを2以上の整数としたときに、前記D線上には、前記カバー部材を第1層として、第n層までの部材が配置され、
前記カバー部材と第2層の部材との間に隙間が設けられ、
前記隙間における前記D線が通る領域の前記カバー部材の厚さ方向の距離である隙間量を単位mmでGとしたときに、下記式(1)~(3)を満たす、表示装置。
(1)…B1=b1+b2<1.33
(2)…b1=(0.0982G+3.3083)K+0.1427G+0.3651
(3)…b2=0.1401G+0.5424
ただし、前記式(2)中のKは、前記カバー部材のヤング率を単位GPaでE1、前記カバー部材の厚さを単位mmでt1、前記第n層の部材のヤング率を単位GPaでEn、前記第n層の部材における前記D線が通る領域の前記カバー部材の厚さ方向の距離を単位mmでtnとしたときに、以下のように定義される。
K=E1t12/(E1t12+…+Entn2)
【請求項2】
仮想線Fに対する前記D線の角度が、30~90°である、請求項1に記載の表示装置。ただし、前記仮想線Fは、前記第1主面を通る、前記端面側に突出した仮想線である。
【請求項3】
前記仮想線Fに対する前記D線の角度が45°または60°である、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記B1に関して、さらに、下記式(4)を満たす、請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置。
(4)…B1=b1+b2<1.21
【請求項5】
前記カバー部材がガラスである、請求項1~4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記ガラスが化学強化ガラスである、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記化学強化ガラスは圧縮応力層を有し、前記圧縮応力層の厚さが10μm以上であり、かつ、前記圧縮応力層における表面圧縮応力が500MPa以上である、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記カバー部材の厚さt1が、0.5~3.0mmである、請求項1~7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
前記第2層の部材の材質が、ABS樹脂またはPC樹脂である、請求項1~8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
第3層の部材の材質が、ステンレス鋼、アルミニウムまたはマグネシウム合金である、請求項1~8および10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
第4層の部材の材質が、マグネシウム合金、ステンレス鋼またはアルミニウムである、請求項1~8および10~11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
第5層の部材の材質が、ABS樹脂またはPC樹脂である、請求項1~8および10~12のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記カバー部材の表面上に、機能層を有する、請求項1~8および10~13のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項15】
前記機能層は、反射防止層、防眩層および防汚層からなる群から選ばれる少なくとも1種の層を含む、請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
車載表示装置である、請求項1~8および10~15のいずれか1項に記載の表示装置。」
3 本件訂正の内容
(1) 一群の請求項
本件訂正は、請求項1を訂正することを含むものであり、本件訂正前の請求項2~16は直接又は間接的に請求項1の記載を引用するものであるから、本件訂正前の請求項2~16は、本件訂正によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~16は、特許法126条3項に規定される一群の請求項に該当するものであるから、本件訂正は、一群の請求項である請求項〔1~16〕に対して請求されたものである。
(2) 訂正事項
本件訂正の内容は、次のア~クに示すとおり、訂正事項1~8からなる。なお、下線部は訂正箇所を示す。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記カバー部材から前記第n層の部材までの間に隙間が設けられ」と記載されているのを、「前記カバー部材と第2層の部材との間に隙間が設けられ」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~8及び10~16も同様に訂正する。)。
なお、本件審判請求書の6.(2)アには「請求項1の記載を直接的に引用する請求項1~8及び10~16」と記載されているが、請求項3、6、7及び15は請求項1の記載を直接的に引用せず、請求項1は請求項1の記載を引用しないから、「請求項1の記載を直接的に引用する請求項1~8及び10~16」は「請求項1の記載を引用する請求項2~8及び10~16」を意味するものと解した。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項9を削除する。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項10に「請求項1~9」と記載されているのを、「請求項1~8」に訂正する。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項11に「請求項1~10」と記載されているのを、「請求項1~8および10」に訂正する。
オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項12に「請求項1~11」と記載されているのを、「請求項1~8および10~11」に訂正する。
カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項13に「請求項1~12」と記載されているのを、「請求項1~8および10~12」に訂正する。
キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項14に「請求項1~13」と記載されているのを、「請求項1~8および10~13」に訂正する。
ク 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項16に「請求項1~15」と記載されているのを、「請求項1~8および10~15」に訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正の目的について
(1) 訂正事項1
訂正事項1による訂正は、本件訂正前の請求項1に「前記カバー部材から前記第n層の部材までの間に隙間が設けられ」と記載されているのを、「前記カバー部材と第2層の部材との間に隙間が設けられ」に訂正するものであるから、訂正事項1による訂正は、本件訂正前の請求項1において、隙間が設けられた場所が「前記カバー部材から前記第n層の部材までの間」のいずれであるのかが特定されていなかったところ、隙間が設けられた場所が「前記カバー部材から前記第n層の部材までの間」のうちの「前記カバー部材と第2層の部材との間」であることに特定するものである。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法126条1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(2) 訂正事項2
訂正事項2による訂正は、請求項9の削除を行うものであるから、特許法126条1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(3) 訂正事項3~8
訂正事項3~8による訂正は、いずれも、請求項9の削除に伴い、多数項を引用する形式で記載された請求項10~14、16の引用請求項数の削減を行うものであるから、特許法126条1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
2 新規事項の追加の有無について
(1) 訂正事項1
訂正事項1による訂正は、本件訂正前の請求項1に「前記カバー部材から前記第n層の部材までの間に隙間が設けられ」と記載されているのを、「前記カバー部材と第2層の部材との間に隙間が設けられ」に訂正するものであるところ、願書に添付した特許請求の範囲の請求項9には「前記隙間は、前記カバー部材と第2層の部材との間に設けられている」と記載され、また、願書に添付した明細書の段落【0035】には「第1層であるカバー部材1と、第2層である部材106aとの間には、カバー部材1の厚さ方向に、粘着部材108の厚さ相当の隙間109が設けられている。」「このように、本発明の表示装置においては、カバー部材から第n層の部材までの間に、隙間が設けられている。この隙間は、カバー部材と第2層の部材との間に設けられていることが好ましい。」と記載されているから、訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(2) 訂正事項2
訂正事項2による訂正は、請求項9の削除を行うものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(3) 訂正事項3~8
訂正事項3~8による訂正は、いずれも、請求項9の削除に伴い、多数項を引用する形式で記載された請求項10~14、16の引用請求項数の削減を行うものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
3 実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
(1) 訂正事項1
前記1(1)に示したとおり、訂正事項1による訂正は、本件訂正前の請求項1において、隙間が設けられた場所が「前記カバー部材から前記第n層の部材までの間」のいずれであるのかが特定されていなかったところ、隙間が設けられた場所が「前記カバー部材から前記第n層の部材までの間」のうちの「前記カバー部材と第2層の部材との間」であることに特定するものである。
よって、訂正事項1による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2) 訂正事項2
訂正事項2による訂正は、請求項9の削除を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3) 訂正事項3~8
訂正事項3~8による訂正は、いずれも、請求項9の削除に伴い、多数項を引用する形式で記載された請求項10~14、16の引用請求項数の削減を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
4 独立特許要件について
(1) 訂正事項1
前記1(1)に示したとおり、訂正事項1による訂正は、本件訂正前の請求項1において、隙間が設けられた場所が「前記カバー部材から前記第n層の部材までの間」のいずれであるのかが特定されていなかったところ、隙間が設けられた場所が「前記カバー部材から前記第n層の部材までの間」のうちの「前記カバー部材と第2層の部材との間」であることに特定するものである。
一方、本件訂正前の請求項9には「前記隙間は、前記カバー部材と第2層の部材との間に設けられている」と記載されているから、本件訂正後の請求項1に係る発明は、本件訂正前の請求項9に係る発明と実質的に同一である。
したがって、訂正事項1による訂正は、本件訂正後の請求項1に係る発明に、特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を新たに生じさせるものではない。
また、訂正事項1による訂正後の請求項1~8、10~16に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。
(2) 訂正事項2
訂正事項2による訂正は、請求項9の削除を行うものであるから、本件訂正後の請求項10~16に係る発明に、特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を新たに生じさせるものではない。
また、訂正事項2による訂正後の請求項1~8、10~16に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。
(3) 訂正事項3~8
訂正事項3~8による訂正は、いずれも、請求項9の削除に伴い、多数項を引用する形式で記載された請求項10~14、16の引用請求項数の削減を行うものであるから、本件訂正後の請求項10~16に係る発明に、特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を新たに生じさせるものではない。
また、訂正事項3~8による訂正後の請求項1~8、10~16に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。
第5 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法126条1項ただし書1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条5項から7項の規定に適合するものである。
よって、上記結論のとおり審決する。
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