特許訂正審判
2020-390019
片手支持可能な表示装置
- 審判番号
- 2020-390019
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2002-196984
- 登録番号
- 3382936
- 請求日
- 2020年02月28日
- 審決日
- 2021年02月04日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】有限会社 コロンブスの卵たち
- 【請求人代理人】鯨田 雅信
- 審判長/審判官
- 審判長 岡田 吉美
- 審判官 濱野 隆
- 審判官 中塚 直樹
- 分類
- P141 .841-YC (G09F) / P141 .851-YC (G09F) / P141 .854-YC (G09F) / P141 .856-YC (G09F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 行政事件訴訟法46条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条、特許法第131条の2第1項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第3382936号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第3382936号の特許請求の範囲を、令和2年12月4日付けの手続補正により補正された訂正特許請求の範囲の請求項11及び請求項12のとおり、訂正後の請求項11及び請求項12について訂正することを認める。
一群の請求項[1~10]に係る訂正についての審判請求は成り立たない。
特許第3382936号の明細書を、令和2年12月4日付けの手続補正により補正された訂正明細書のとおり、訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
この訂正審判事件に係る特許第3382936号(以下「本件特許」という。)の請求項1から請求項12に係る発明は、平成14年12月20日にその特許権の設定の登録がされたものである。
なお、上記特許権は、平成23年8月30日に存続期間満了により消滅している。
1 分割の経緯
本件特許に係る特許出願は、いわゆる分割出願であって、分割の経緯は以下のとおりである。なお、括弧内は当該出願の提出日を示す。
原々々出願:特願平3-245262号 (平成 3年 8月30日)
原々出願 :特願平9-325299号 (平成 9年11月10日)
原出願 :特願2000-31495号 (平成12年 2月 9日)
本願 :特願2002-196984号(平成14年 7月 5日)
2 訂正の経緯
本件特許についての訂正の経緯は以下のとおりである。
1次訂正審判:訂正2010-390023号
平成22年 3月 2日:審判請求書の提出
平成22年 5月28日:訂正を認める審決の確定
2次訂正審判:訂正2010-390096号
平成22年 9月 9日:審判請求書の提出
平成22年11月29日:請求の取下げ
本件訂正審判:訂正2020-390019号
令和 2年 2月28日:審判請求書の提出
令和 2年 5月21日付け:手続補正指令書(方式)
令和 2年 6月25日:手続補正書の提出
令和 2年 7月17日:手続補正書、上申書の提出
令和 2年 9月30日:上申書の提出
令和 2年10月 6日:上申書の提出
令和 2年10月29日付け:訂正拒絶理由通知書
令和 2年11月10日:手続補正書、上申書の提出
令和 2年12月 4日:手続補正書、意見書の提出
以下、1次訂正審判である訂正2010-390023号の確定審決において認められた訂正を「1次訂正」という。
第2 請求の趣旨
令和2年6月25日、同年7月17日及び同年11月10日付けの審判請求書の補正は、請求の理由についての補正であり、請求の趣旨を補正するものではなく、当該補正は審判請求書の要旨を変更するものではないと認められるから、特許法131条の2第1項の規定に適合する。
令和2年12月4日付けの審判請求書の補正(以下「本件補正」という。)は、訂正事項の一部を削除する補正を含むものであり、本件補正は審判請求書の要旨を変更するものではないと認められるから、特許法131条の2第1項の規定に適合する。
したがって、本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲における一群の請求項である請求項1~12について、それぞれ、本件補正により補正された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲における請求項1~12のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。なお、本件補正により、請求項3~6についての訂正は、その訂正事項が全て削除されており、請求項3~6についての訂正事項はなく、請求人は、請求項1、2、7、8、9、10、11、12に係る訂正について「別の訂正単位とする求め」をしている。
以下、本件訂正審判に係る訂正を「本件訂正」という。
また、1次訂正により訂正することを認められた訂正明細書及び訂正特許請求の範囲を、それぞれ「本件訂正前の明細書」及び「本件訂正前の特許請求の範囲」といい、本件補正により補正された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲を、それぞれ「本件訂正後の明細書」及び「本件訂正後の特許請求の範囲」という。
第3 本件訂正について
1 本件訂正前の特許請求の範囲の記載
本件訂正前の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。
「【請求項1】
略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、
前記「2つの表示板」を、「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、
ユーザーから見て左右方向に見開きにされたときの前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、ストッパにより固定するための中間左右見開き固定手段であって、
前記「2つの表示板」の、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広げられて行く動作、をストップする機能と、
前記「2つの表示板」の、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「ユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態」から狭められて行く動作、をストップする機能と、を有する中間左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
【請求項2】
略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、
前記「2つの表示板」を、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、
前記「2つの表示板」を、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「それらが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態との間の角度であって、約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、固定するための中間左右見開き固定手段であって、
前記「2つの表示板」の、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広げられて行く動作、をストップする機能を有する中間左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
【請求項3】
略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、
前記「2つの表示板」を、「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、
前記「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開きにされたとき、前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、固定するための中間左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
【請求項4】
画面をそれぞれ表示できる「2つ以上の表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つ以上の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、
前記「2つ以上の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「それらが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態との間の角度であって、約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
【請求項5】
次の(a)~(d)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
(a)画面をそれぞれ出力する「複数の表示板」が、それぞれが表示する各画面がユーザーに対向することができるように、接続されている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさは、それをユーザーがその片手のみでも支持することができるような小型のサイズに構成されている、
(c)前記「複数の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段を備えている、
(d)前記「複数の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開きにされているとき、前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開き固定手段、を備えている。
【請求項6】
次の(a)~(d)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
(a)画面をそれぞれ出力する複数個の表示板が、それぞれが表示する各画面がユーザーに対向することができるように、接続されている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさは、それをユーザーがその片手のみでも支持することができるような小型のサイズに構成されている、
(c)ユーザーから見て縦方向の線を境にして、その右側部分と左側部分とを、互いに折り畳み可能で且つユーザーから見て左右方向に見開き可能に接続するための左右見開き接続手段を備えている、
(d)ユーザーから見て縦方向の線の右側部分と左側部分とを、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記右側部分と左側部分との間の見開き角度」が「約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開き固定手段、を備えている。
【請求項7】
請求項5又は6において、さらに、次の(e)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
(e)表示装置の前記見開き時の表示画面は、ユーザーから見て縦方向の線の右側部分の画面の形状と同左側部分の画面の形状とが、ユーザーから見てほぼ左右均等で且つほぼ左右対称となるように、構成されている。
【請求項8】
請求項5,6又は7において、さらに、次の(f)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
(f)表示装置の前記見開き時の全体の形状は、ユーザーから見て縦方向の線の右側部分の平面の面積と同左側部分の平面の面積とが、ハードウェアとしてほぼ左右均等となるように、構成されている。
【請求項9】
請求項5,6,7又は8において、さらに、次の(g)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
(g)表示装置は「偶数個の表示板」から構成されており、表示装置の前記見開き時の全体の形状は、ユーザーから見て縦方向の線の右側部分の平面の面積及び厚さと同左側部分の平面の面積及び厚さとが、ハードウェアとしてほぼ左右均等となるように、構成されている。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれかにおいて、さらに、
前記表示板に「ユーザーによるデータ入力のために使用される、データ入力用画面」を表示するためのデータ入力用手段、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
【請求項11】
請求項1から9までのいずれかにおいて、さらに、
テレビ放送局から電波又は有線により送信されるテレビ番組情報を無線を介して受信するためのテレビ番組情報無線受信手段と、
前記テレビ番組情報無線受信手段により受信されたテレビ番組情報を前記表示板に表示させるためのテレビ番組情報表示手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
【請求項12】
請求項1から9までのいずれかにおいて、さらに、
前記片手支持可能な表示装置から離れた場所に存在する外部の情報記録装置に記録されている外部情報を無線を介して受信するための外部情報無線受信手段と、
前記外部情報無線受信手段が受信した外部情報を前記表示板に表示させるための外部情報表示手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。」
2 本件訂正後の特許請求の範囲の記載
本件訂正後の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。
下線は訂正箇所である。
「【請求項1】
略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」であって、少なくともいずれか一方の表示板が「情報入力機能を有する画面」を表示させるものである「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、且つ前記2つの表示板の少なくともいずれか一方の表示板をユーザーが回動させたとき当該一方の表示板と他方の表示板とが「それらが互いに接続されている部分」を回動中心として相対的に回動するように、接続するための左右見開き接続手段と、
「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により「ユーザーの任意の角度」に変化させられたとき、摩擦力により、前記2つの表示板の間を前記「任意の角度」で保持する任意角度保持手段と、
前記「2つの表示板」を、「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、
「前記2つの表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの、前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により「約120度から約170度までの範囲内の予め決められた1つの角度」に変化させられたとき、前記回動をストップさせて、前記「2つの表示板」の間を前記「予め決められた1つの角度」で固定する中間左右見開きストッパであって、前記「2つの表示板」の、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広げられて行く動作、をストップする機能と、前記「2つの表示板」の、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が「ユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態」から狭められて行く動作、をストップする機能と、を有する中間左右見開きストッパと、を備え、
ユーザーが、「前記2つの表示板の前記各平面の間の見開き角度」が広がるように前記「2つの表示板」の少なくともいずれか一方を回動させて前記見開き角度を任意に変化させるとき、前記2つの表示板の間を「ユーザーの任意の角度」で摩擦力により保持するようにしながら、前記見開き角度が前記「予め決められた1つの角度」になったときは、前記中間左右見開きストッパにより、前記回動をストップさせて、前記2つの表示板のそれらが互いに接続されている部分及びその近傍部分の画面が表示される側に「谷状の部分」を、且つ前記2つの表示板のそれらが互いに接続されている部分及びその近傍部分の画面が表示されない側に「山状の部分」を固定的に形成する構成を備えた、
ことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
【請求項2】
略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」であって、少なくともいずれか一方の表示板が「情報入力機能を有する画面」を表示させるものである「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができる片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、且つ前記2つの表示板の少なくともいずれか一方の表示板をユーザーが回動させたとき当該一方の表示板と他方の表示板とが「それらが互いに接続されている部分」を回動中心として相対的に回動するように、接続するための左右見開き接続手段と、
前記「2つの表示板」を、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、
「前記2つの表示板の、ユーザーから見て縦方向の線を境としたときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により、「それらが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態との間の角度であって、約120度から約170度までの範囲内の予め決められた1つの角度」に変化させられたとき、前記回動をストップさせて、前記「2つの表示板」の間を前記「予め決められた1つの角度」で固定する中間左右見開きストッパであって、前記「2つの表示板」の、「ユーザーから見て縦方向の線を境としたときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広げられて行く動作、をストップする機能を有する中間左右見開きストッパと、を備え、
「電車の中で、戸外で、外出先で、又は立ったままで使用するのに適した、前記2つの表示板の使用」を可能にする構成であって、ユーザーが、「前記2つの表示板の前記各平面の間の見開き角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広がるように、前記「2つの表示板」の少なくともいずれか一方を回動させて、前記見開き角度を任意に変化させる場合において、前記見開き角度が前記「予め決められた1つの角度」になったとき、前記中間左右見開きストッパにより、前記回動をストップさせて、前記2つの表示板のそれぞれ画面が表示される側の各表示板の間を前記「予め決められた1つの角度」に固定する構成を備えた、
ことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
【請求項3】
略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、
前記「2つの表示板」を、「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、
前記「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開きにされたとき、前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、固定するための中間左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
【請求項4】
画面をそれぞれ表示できる「2つ以上の表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つ以上の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、
前記「2つ以上の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「それらが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態との間の角度であって、約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
【請求項5】
次の(a)~(d)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
(a)画面をそれぞれ出力する「複数の表示板」が、それぞれが表示する各画面がユーザーに対向することができるように、接続されている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさは、それをユーザーがその片手のみでも支持することができるような小型のサイズに構成されている、
(c)前記「複数の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段を備えている、
(d)前記「複数の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開きにされているとき、前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開き固定手段、を備えている。
【請求項6】
次の(a)~(d)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
(a)画面をそれぞれ出力する複数個の表示板が、それぞれが表示する各画面がユーザーに対向することができるように、接続されている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさは、それをユーザーがその片手のみでも支持することができるような小型のサイズに構成されている、
(c)ユーザーから見て縦方向の線を境にして、その右側部分と左側部分とを、互いに折り畳み可能で且つユーザーから見て左右方向に見開き可能に接続するための左右見開き接続手段を備えている、
(d)ユーザーから見て縦方向の線の右側部分と左側部分とを、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記右側部分と左側部分との間の見開き角度」が「約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開き固定手段、を備えている。
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
次の(a)~(f)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
(a)画面をそれぞれ出力する「2つの表示板」であって、少なくともいずれか一方の表示板に「ユーザーによるデータ入力のために使用される、データ入力用画面」を表示するためのデータ入力手段が備えられている「2つの表示板」が、それぞれが表示する各画面がユーザーに対向することができるように、接続されている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさは、それをユーザーがその片手のみでも支持することができるような小型のサイズに構成されている、
(c)前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、且つ前記2つの表示板の少なくともいずれか一方の表示板をユーザーが回動させたとき当該一方の表示板と他方の表示板とが「それらが互いに接続されている部分」を回動中心として相対的に回動するように、接続するための左右見開き接続手段を備えている、
(d)「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により、「ユーザーの任意の角度」に変化させられたとき、摩擦力により、前記2つの表示板の間を前記「任意の角度」で保持する任意角度保持手段、を備えている、
(e)「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が約180度になったとき、前記「2つの表示板」の間を前記角度で固定する完全見開き固定手段、を備えている、
(f)前記「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときであって、「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により「約120度から約170度までの範囲内の予め決められた1つの角度」に変化させられたとき、前記回動をストップさせて、前記「2つの表示板」の間を前記「予め決められた1つの角度」で固定する中間左右見開きストッパ、を備えている、
【請求項11】
(削除)
【請求項12】
(削除)」
3 本件訂正の内容
本件訂正の内容を、明細書の訂正事項と特許請求の範囲の訂正事項に分け、さらに、特許請求の範囲の訂正事項を請求項ごとに訂正事項として整理すると、以下のとおりである。
なお、各訂正事項の後に付した符号(1-1、1-3等)は、令和2年10月29日付けの訂正拒絶理由通知書において用いたものに対応しており、本件補正により訂正事項の一部が削除され、修正されたものがあっても、対応づけを容易にするため、そのまま採用している。
また、本件補正により、訂正事項1-2、1-11、2-2、2-8、3-1から3-8まで、4-1から4-7まで、5-1から5-6まで、6-1から6-6まで、10-7、13-1は削除されたため、各訂正事項の見出しに付した符号は全体を通してみると連続していないところがある。
(1)請求項1の訂正事項
ア 訂正事項1-1
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」」の次に、
「であって、少なくともいずれか一方の表示板が「情報入力機能を有する画面」を表示させるものである「2つの表示板」」
を挿入する。
イ 訂正事項1-3
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、」の次に、
「且つ前記2つの表示板の少なくともいずれか一方の表示板をユーザーが回動させたとき当該一方の表示板と他方の表示板とが「それらが互いに接続されている部分」を回動中心として相対的に回動するように、」
を挿入する。
ウ 訂正事項1-4
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「左右見開き接続手段と、」の次に、
「「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により「ユーザーの任意の角度」に変化させられたとき、摩擦力により、前記2つの表示板の間を前記「任意の角度」で保持する任意角度保持手段と、」
を挿入する。
エ 訂正事項1-5
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「前記「2つの表示板」を、「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、」中の
「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」を、
「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」
に訂正する。
オ 訂正事項1-6
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1における
「ユーザーから見て左右方向に見開きにされたときの前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、ストッパにより固定するための中間左右見開き固定手段」を、
「「前記2つの表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの、前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により「約120度から約170度までの範囲内の予め決められた1つの角度」に変化させられたとき、前記回動をストップさせて、前記「2つの表示板」の間を前記「予め決められた1つの角度」で固定する中間左右見開きストッパ」
に訂正する。
カ 訂正事項1-7
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1における
「「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から」中の「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」を、
「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」
に訂正する。
キ 訂正事項1-8
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1における
「「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「ユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態」から」中の「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」を、
「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」
に訂正する。
ク 訂正事項1-9
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1における
「中間左右見開き固定手段」を、
「中間左右見開きストッパ」
に訂正する。
ケ 訂正事項1-10
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「中間左右見開き固定手段と、を備え」の次に、
「、ユーザーが、「前記2つの表示板の前記各平面の間の見開き角度」が広がるように前記「2つの表示板」の少なくともいずれか一方を回動させて前記見開き角度を任意に変化させるとき、前記2つの表示板の間を「ユーザーの任意の角度」で摩擦力により保持するようにしながら、前記見開き角度が前記「予め決められた1つの角度」になったときは、前記中間左右見開きストッパにより、前記回動をストップさせて、前記2つの表示板のそれらが互いに接続されている部分及びその近傍部分の画面が表示される側に「谷状の部分」を、且つ前記2つの表示板のそれらが互いに接続されている部分及びその近傍部分の画面が表示されない側に「山状の部分」を固定的に形成する構成を備えた、」
を挿入する。
(2)請求項2の訂正事項
ア 訂正事項2-1
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項2における「略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」」の次に、
「であって、少なくともいずれか一方の表示板が「情報入力機能を有する画面」を表示させるものである「2つの表示板」」
を挿入する。
イ 訂正事項2-3
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項2における「それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、」の次に、
「且つ前記2つの表示板の少なくともいずれか一方の表示板をユーザーが回動させたとき当該一方の表示板と他方の表示板とが「それらが互いに接続されている部分」を回動中心として相対的に回動するように、」
を挿入する。
ウ 訂正事項2-4
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項2における
「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」中の「前記『2つの表示板』の間の見開き角度」を、
「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」
に訂正する。
エ 訂正事項2-5
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項2における
「前記「2つの表示板」を、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「それらが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態との間の角度であって、約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、固定するための中間左右見開き固定手段」を、
「「前記2つの表示板の、ユーザーから見て縦方向の線を境としたときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により、「それらが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態との間の角度であって、約120度から約170度までの範囲内の予め決められた1つの角度」に変化させられたとき、前記回動をストップさせて、前記「2つの表示板」の間を前記「予め決められた1つの角度」で固定する中間左右見開きストッパ」
に訂正する。
オ 訂正事項2-6
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項2における「広げられて行く動作、をストップする機能を有する中間左右見開き固定手段」中の
「中間左右見開き固定手段」を、
「中間左右見開きストッパ」
に訂正する。
カ 訂正事項2-7
1次訂正後の請求項2における「中間左右見開き固定手段と、を備え」の次に、
「、「電車の中で,戸外で,外出先で,又は立ったままで使用するのに適した、前記2つの表示板の使用」を可能にする構成であって、ユーザーが、「前記2つの表示板の前記各平面の間の見開き角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広がるように、前記「2つの表示板」の少なくともいずれか一方を回動させて、前記見開き角度を任意に変化させる場合において、前記見開き角度が前記「予め決められた1つの角度」になったとき、前記中間左右見開きストッパにより、前記回動をストップさせて、前記2つの表示板のそれぞれ画面が表示される側の各表示板の間を前記「予め決められた1つの角度」に固定する構成を備えた、」
を挿入する。
キ 訂正事項2-9
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項2における
「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」を、
「ユーザーから見て縦方向の線を境としたときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」
に訂正する。
(3)請求項7の訂正事項
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項7を削除する。
(4)請求項8の訂正事項
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項8を削除する。
(5)請求項9の訂正事項
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項9を削除する。
(6)請求項10の訂正事項
ア 訂正事項10-1
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項10について、これが請求項1~9の記載を引用するところ、請求項5の記載のみを引用するものに実体的な訂正をするとともに、さらに、請求項5の記載を引用しないもの(いわゆる「独立形式の請求項」の記載)に訂正する。
イ 訂正事項10-2
上記訂正事項10-1の訂正が認められた場合の請求項10における「次の(a)~(d)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示装置。」を、
「次の(a)~(f)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示装置。」
に訂正する。
ウ 訂正事項10-3
上記訂正事項10-1の訂正が認められた場合の請求項10における
「(a)画面をそれぞれ出力する「複数の表示板」」を、
「(a)画面をそれぞれ出力する「2つの表示板」であって、少なくともいずれか一方の表示板に「ユーザーによるデータ入力のために使用される、データ入力用画面」を表示するためのデータ入力手段が備えられている「2つの表示板」」
に訂正する。
エ 訂正事項10-4
上記訂正事項10-1の訂正が認められた場合の請求項10における「それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、」の次に、
「且つ前記2つの表示板の少なくともいずれか一方の表示板をユーザーが回動させたとき当該一方の表示板と他方の表示板とが「それらが互いに接続されている部分」を回動中心として相対的に回動するように、」
を挿入する。
オ 訂正事項10-5
上記訂正事項10-1の訂正が認められた場合の請求項10における「左右見開き接続手段を備えている、」の次に、
「(d)「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により、「ユーザーの任意の角度」に変化させられたとき、摩擦力により、前記2つの表示板の間を前記「任意の角度」で保持する任意角度保持手段、を備えている、
(e)「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が約180度になったとき、前記「2つの表示板」の間を前記角度で固定する完全見開き固定手段、を備えている、」
を挿入する。
カ 訂正事項10-6
上記訂正事項10-1の訂正が認められた場合の請求項10における
「(d)前記「複数の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開きにされているとき、前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開き固定手段、を備えている。」を、
「(f)前記「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときであって、「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により「約120度から約170度までの範囲内の予め決められた1つの角度」に変化させられたとき、前記回動をストップさせて、前記「2つの表示板」の間を前記「予め決められた1つの角度」で固定する中間左右見開きストッパ、を備えている、」
に訂正する。
(7)請求項11の訂正事項
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項11を削除する。
(8)請求項12の訂正事項
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項12を削除する。
(9)明細書の訂正事項
訂正事項13-2
本件訂正前の明細書中の段落0012の1行目の「(本発明の内容)」を「(本明細書中に含まれる複数の発明の概要)」に訂正する。
第4 訂正拒絶理由の概要
令和2年10月29日付けの訂正拒絶理由通知書で通知した訂正拒絶理由の概要は、次のとおりである。
本件訂正は、特許法126条1項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、また、同条5項及び6項の規定にも適合しない。
さらに、審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1~6、10に係る発明は、下記の引用文献1~3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件訂正は、同法126条7項の規定にも適合しない。
したがって、本件訂正は認められない。
記
引用文献1:国際公開第91/05327号
引用文献2:実願昭60-27223号(実開昭60-170858号)のマイクロフィルム
引用文献3:実願昭63-171245号(実開平2-91874号)のマイクロフィルム
第5 当審の判断
1 当審の判断の概要
当審は、本件補正の内容及び意見書の内容も踏まえて、本件訂正について、特許法126条に規定された訂正要件(同条1項ただし書各号に掲げる事項を目的とするか否か、同条5項から7項までの規定に適合するか否か)を審理したところ、次のとおり判断する。
まず、請求項11及び請求項12について、これらの請求項を削除する訂正事項は、本件補正により、訂正後の請求項11及び請求項12について「別の訂正単位とする求め」がされていることを考慮すると、明らかに上記訂正要件を満たしている。
次に、明細書についての訂正は、上記第3の(9)に示したように、本件訂正前の明細書中の段落0012の1行目の「(本発明の内容)」を「(本明細書中に含まれる複数の発明の概要)」に訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであり、いわゆる新規事項の追加をするものでもなく、特許請求の範囲を実質拡張、変更するものでもないから、上記訂正要件を満たしている。
なお、請求項3~6についての訂正は、本件補正により、その訂正事項が全て削除されており、訂正事項がない。
請求項1、2及び10についての訂正は、以下の2~5に示すとおり、上記訂正要件を満たしていない。
そして、訂正前の請求項10は、請求項1~9を引用しているから、請求項1~10は一群の請求項を構成しており、請求項10に係る訂正が認められない結果、請求項10についての別の訂正単位とする求めも認められないことになり、当該一群の請求項1~10については、訂正は認められない。
2 訂正の目的
(1)訂正事項1-5から1-8、2-4、2-5、2-9、10-5、10-6
ア 訂正事項1-5の訂正は、本件訂正前の請求項1における「前記「2つの表示板」を、「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、」中の「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」を、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」に訂正するものであり、請求人はこの訂正の目的が「特許請求の範囲の減縮」であると主張している。
イ しかしながら、「板」との表現には平面が存在することの意味を含んでおり、訂正前の「2つの表示板」は「それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできる」のであるから、訂正前の「2つの表示板」の「画面が表示される側」がそれぞれ平面を含むことは自明であるし、また、そもそも、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が定義できるためには、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側」には、それぞれ平面が存在する必要がある。したがって、訂正前の「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「各表示板」の「画面が表示される側」のそれぞれの平面の間の見開き角度を意味することは、自明な論理的帰結である。
ウ そうすると、訂正事項1-5の訂正は、当該訂正前の内容を単に言い換えたものにすぎず、訂正前の構成を限定したり下位概念で特定したりするものではないから、この訂正の目的は「特許請求の範囲の減縮」に該当するとはいえない。
エ また、訂正前の「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」に誤記や明瞭でない記載があるとは認められないから、この訂正が「誤記の訂正」や「明瞭でない記載の釈明」を目的とすると考えることもできないし、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」にも該当しない。
オ この点に関し、請求人は意見書において概略以下の点を主張している。
本件訂正前の「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」という文言には、(i)「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間、例えば画面が表示される側の各平面の間の、ユーザー側が2つの表示板の各平面を同時に見るときの角度」と、(ii)「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間、例えば画面が表示される側の各平面の間の、すなわち、ユーザーとは反対側(ユーザーからは見えない側・ユーザーと対向しない側)から2つの表示板の各平面を見るときの角度」の2つが含まれ得ると読み取ってしまう恐れ又は可能性があり、本件訂正前の「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」を、本件訂正後の「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の角度」に訂正することは、明瞭でない記載の釈明を目的とする。
カ 上記主張について検討すると、まず、本件訂正前の「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」は、「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているとき」の「角度」であるから、「ユーザー側から見た角度であって、ユーザーとは反対側(ユーザーからは見えない側・ユーザーと対向しない側)から見た角度ではないことは、文言上明らかである。
そうすると、本件訂正前の「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」に、(ii)「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間、例えば画面が表示される側の各平面の間の、すなわち、ユーザーとは反対側(ユーザーからは見えない側・ユーザーと対向しない側)から2つの表示板の各平面を見るときの角度」が含まれ得ると解する余地はなく、本件訂正前の「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」という文言に、(i)「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間、例えば画面が表示される側の各平面の間の、ユーザー側が2つの表示板の各平面を同時に見るときの角度」と、(ii)「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間、例えば画面が表示される側の各平面の間の、すなわち、ユーザーとは反対側(ユーザーからは見えない側・ユーザーと対向しない側)から2つの表示板の各平面を見るときの角度」の2つが含まれ得ると読み取ってしまう恐れ又は可能性はないというべきである。
仮に、請求人の主張に沿って検討しても、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」を、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の角度」に訂正したところで、上記(i)と(ii)の2つが含まれ得ることを解消したことにはならない。
したがって、いずれにせよ、請求人の上記主張を採用することはできない。
キ 訂正事項1-6、1-7、1-8、2-4、2-5、2-9、10-5、10-6についても、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」に訂正することを含むから、上述の指摘事項が同様に当てはまる。
したがって、訂正事項1-5から1-8、2-4、2-5、2-9、10-5、10-6の訂正は、特許法126条1項ただし書の規定に適合しない。
(2)訂正事項1-6、1-9、2-5、2-6
ア 訂正事項1-6の訂正は、本件訂正前の請求項1の「ユーザーから見て左右方向に見開きにされたときの前記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、ストッパにより固定するための中間左右見開き固定手段」を、「「前記2つの表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの、前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により「約120度から約170度までの範囲内の予め決められた1つの角度」に変化させられたとき、前記回動をストップさせて、前記「2つの表示板」の間を前記「予め決められた1つの角度」で固定する中間左右見開きストッパ」に訂正するものであり、請求人はこの訂正の目的が「特許請求の範囲の減縮」であると主張している。
イ しかしながら、本件訂正前の「中間左右見開き固定手段」は「ストッパにより固定するための中間左右見開き固定手段」であるから、当該「固定手段」は「ストッパ」そのものであると解するのが自然であり、本件訂正前の「中間左右見開き固定手段」を「中間左右見開きストッパ」とするのは、当該訂正前の内容を単に言い換えたものにすぎず、本件訂正前の構成を限定したり下位概念で特定したりするものではないから、この訂正の目的は「特許請求の範囲の減縮」に該当するとはいえない。
ウ また、本件訂正前の「ストッパにより固定するための中間左右見開き固定手段」に誤記や明瞭でない記載があるとは認められないから、この訂正が「誤記の訂正」や「明瞭でない記載の釈明」を目的とすると考えることもできないし、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」にも該当しない。
エ この点に関し、請求人は意見書において、概略以下の主張をしている。
「固定手段」と「ストッパ」は一般的な意味において異なっており、「ストッパにより固定するための固定手段」とは、「ストッパを手段・方法の1つとして用いて固定するが、さらに他の手段・方法をも併用して固定してもよい固定手段」という意味であるから、「ストッパ」と「ストッパにより(ストッパを手段・方法の1つとして用いて)固定するための固定手段」は同一のものではなく、本件訂正前の「ストッパにより固定するための」「固定手段」を「ストッパ」に訂正することは、用語の限定又は下位概念化に該当し、このような訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする。
オ 上記主張について検討すると、本件訂正前の請求項1には、「ストッパにより固定するための中間左右見開き固定手段」と記載されている一方で、本件訂正前の請求項4には、「摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開き固定手段」と記載されている(下線は当審が付与した。)。同様に本件訂正前の明細書の段落【0026】にも「固定できる(例えば摩擦力やストッパやチルト機構により)ようにしている。」との記載がある。
これらの記載を基に検討すると、「摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための」「固定手段」は、「固定手段」が行う「固定」が、「摩擦力により」行われること、「ストッパにより」行われること、「チルト機構により」行われること、又は、「その他の手段により」行われることを特定しているのと同様に、「ストッパにより固定するための」「固定手段」とは、「固定手段」が行う「固定」が、「ストッパにより」行われることを特定したものであると解するのが相当である。
すなわち、本件訂正前の請求項1の「ストッパにより固定するための」「固定手段」は、「固定手段」が行う「固定」が「ストッパにより」行われることを特定しているだけであって、請求人の主張するように「ストッパを手段・方法の1つとして用いて固定するが、さらに他の手段・方法をも併用して固定してもよい固定手段」ということまで意味していると考えるのは適当ではない。
また、仮に、請求人の主張するように「ストッパを手段・方法の1つとして用いて固定するが、さらに他の手段・方法をも併用して固定してもよい固定手段」ということを意味しており、本件訂正前の請求項1の「ストッパにより固定するための」「固定手段」を「ストッパ」に訂正することが、用語の限定又は下位概念化させたものであるとしても、本件訂正後の請求項1の記載は全体として、「ストッパ」以外の固定手段を設けることを何ら排除してはいないから、訂正事項1-9による訂正により、他の手段・方法を用いて固定する固定手段」を併せ備えることを排除することとはならず、訂正事項1-9は特許請求の範囲を減縮したことにはならない。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。
カ 訂正事項1-9、2-5、2-6についても、上述の指摘事項が同様に当てはまる。
したがって、訂正事項1-6、1-9、2-5、2-6の訂正は、特許法126条1項ただし書の規定に適合しない。
(3)訂正事項1-10
ア 訂正事項1-10の訂正は、本件訂正前の請求項1の「中間左右見開き固定手段と、を備え」の次に、「、ユーザーが、「前記2つの表示板の前記各平面の間の見開き角度」が広がるように前記「2つの表示板」の少なくともいずれか一方を回動させて前記見開き角度を任意に変化させるとき、前記2つの表示板の間を「ユーザーの任意の角度」で摩擦力により保持するようにしながら、前記見開き角度が前記「予め決められた1つの角度」になったときは、前記中間左右見開きストッパにより、前記回動をストップさせて、前記2つの表示板のそれらが互いに接続されている部分及びその近傍部分の画面が表示される側に「谷状の部分」を、且つ前記2つの表示板のそれらが互いに接続されている部分及びその近傍部分の画面が表示されない側に「山状の部分」を固定的に形成する構成を備えた、」を挿入するものであり、請求人はこの訂正の目的が「特許請求の範囲の減縮」であると主張している。
イ しかしながら、本件訂正前の明細書の段落【0045】には、「少なくとも2つ以上の表示板を見開き状態で使用するとき、ユーザーが、その片手の親指を、前記各表示板の左右見開き接続部分の表面側(ユーザー側)の断面略V字状の凹状部分(すなわち、約105度から約170度までの間のいずれかの角度に折り曲げられている”谷”状部分)に当てることにより、又は/及び、その片手の親指以外の指又は掌を、前記各表示板の見開き接続部分の裏面側(ユーザーに対向していない側)の”山”状の部分に当てることにより、ユーザーは、前記の表示板の全体を、ユーザーの片手だけで極めて容易且つ安定的に支持しながら使用することができる」(下線は当審が付した。)と記載されているから、かかる記載を参照すれば、訂正事項1-10に係る「画面が表示される側」の「谷状の部分」や、「画面が表示されない側」の「山状の部分」とは、断面略V字状の凹状部分(すなわち、約105度から約170度までの間のいずれかの角度に折り曲げられている部分)とその反対側の部分を指すと解するのが相当であり、2つの表示板を見開き状態で使用するときの、当該2つの表示板の折り曲げ角度によって規定されるものである。
そうすると、「前記2つの表示板のそれらが互いに接続されている部分及びその近傍部分の画面が表示される側に「谷状の部分」を、且つ前記2つの表示板のそれらが互いに接続されている部分及びその近傍部分の画面が表示されない側に「山状の部分」を固定的に形成する構成」とは、本件訂正前の「中間左右見開き固定手段」により「2つの表示板」を固定した場合の折り曲げられた状態を記述しているにすぎず、表示装置の手段として新たなものを特定していない。
ウ したがって、訂正事項1-10の訂正は、「表示装置」の手段として新たなものを特定していないから、この訂正の目的は「特許請求の範囲の減縮」に該当するとはいえない。
エ また、この訂正が「誤記の訂正」や「明瞭でない記載の釈明」を目的とすると考えることもできないし、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」にも該当しない。
オ この点に関し、請求人は意見書において、概略以下の主張をしている。
下図の(a)及び(b)に示すように「2つの表示板」の接続部分の近傍部分の画面が表示される側に凹部が形成されているときは「2つの表示板」を折り曲げ状態で固定した場合であっても、「2つの表示板」の画面が表示される側に必ず「谷状部分」が固定的に形成されるものではない。
[図:0001391278000001.jpg]
また、下図の(a)及び(b)に示すように「2つの表示板」の接続部分の近傍部分の画面が表示されない側に突部が形成されているときは「2つの表示板」を折り曲げ状態で固定した場合であっても、「2つの表示板」の画面が表示されない側に必ず「山状部分」が固定的に形成されるものではない。
[図:0001391278000002.jpg]
このように一般的には「2つの表示板」を折り曲げ状態で固定した場合には、
(i)「2つの表示板」を「予め決められた角度」で固定することにより、「2つの表示板」の接続部分の近傍部分に「谷状の部分」及び「山状の部分」が固定的に形成される場合と、
(ii)「2つの表示板」を「予め決められた角度」で固定することにより、「2つの表示板」の接続部分の近傍部分に「谷状の部分」及び「山状の部分」が固定的に形成されない場合、
の2つの場合があり得るところ、訂正事項1-10は、上記「「2つの表示板」を折り曲げ状態で固定した場合」における構成(訂正前の請求項1の構成)の中から、上記(ii)を排除し、上記(i)に限定する趣旨の訂正に他ならないから、訂正事項1-10は、訂正前の請求項1の構成を限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
カ 上記主張について検討すると、上記イにおいて述べたとおり、訂正事項1-10に係る「画面が表示される側」の「谷状の部分」や、「画面が表示されない側」の「山状の部分」とは、2つの表示板を見開き状態で使用するときの、当該2つの表示板の折り曲げ角度によって規定されるものであるから、本件訂正前の明細書及び図面の記載に沿って検討すれば、意見書において示された2つの図(凹部が形成されている場合及び突部が形成されている場合)のいずれの場合も、折り曲げ状態では、「画面が表示される側」に「谷状の部分」が形成され、「画面が表示されない側」に「山状の部分」が形成されていることに変わりがない。
したがって、意見書において示した上記2つの図を根拠として、本件訂正前の請求項1の「2つの表示板」を折り曲げ状態で固定したとき、
(i)「2つの表示板」を「予め決められた角度」で固定することにより、「2つの表示板」の接続部分の近傍部分に「谷状の部分」及び「山状の部分」が固定的に形成される場合と、
(ii)「2つの表示板」を「予め決められた角度」で固定することにより、「2つの表示板」の接続部分の近傍部分に「谷状の部分」及び「山状の部分」が固定的に形成されない場合、
の2つの場合があり得ると考えるのは適切ではなく、請求人の上記主張は、本件訂正前の明細書及び図面の記載に即したものではないから、採用することはできない。
「【図2】
[図:0001391278000003.jpg]
」
「【図8】
[図:0001391278000004.jpg]
」
「【図9】
[図:0001391278000005.jpg]
」
仮に請求人の主張に沿って、本件訂正前の図面【図2】、【図8】及び【図9】に開示された「2つの表示板」の折り曲げ状態を検討すると、例えば、【図2】の(b)から明らかなように、「2つの表示板」の接続部分の近傍部分の画面が表示される側には、局所的にみると「谷状の部分」が形成されるものの、「2つの表示板」の接続部分の近傍部分の画面が表示されない側には、局所的にみると「山状の部分」が形成されない(むしろ局所的にみれば「谷状の部分」が形成されることになる。)。すなわち、表示側に「谷状の部分」が形成され、その反対側に「山状の部分」が形成されるというのは、もとより対の概念として把握すべきであって、上述のように対の概念として把握できないような局所的な見方で「谷状」、「山状」を論ずるのは適当ではない。
以上のとおり、請求人の上記主張は、いずれにせよ採用することはできない。
キ したがって、訂正事項1-10の訂正は、特許法126条1項ただし書の規定に適合しない。
(4)訂正事項2-7
令和2年10月29日付けの訂正拒絶理由通知書においては、指摘が明確でなかったので、本審決の理由を構成するものではないが、同一の特許権について特許無効審判が請求されており、特許権者が訂正請求を考慮することに資すると考えられるので指摘すると、訂正事項2-7は、「電車の中で、戸外で若しくは外出先で使用する、立ったままで使用するのに適した、前記2つの表示板の使用」を可能にする構成」を挿入することも含むものであるが、「電車の中で」「使用するのに適した、前記2つの表示板の使用」、「戸外で」「使用するのに適した、前記2つの表示板の使用」、「外出先で」「使用するのに適した、前記2つの表示板の使用」、「立ったままで使用するのに適した、前記2つの表示板の使用」とは、いずれも具体的にどのような状況であれば「適した」「使用」であるといえるのか明らかではないから、このような構成を挿入する訂正は、特許法126条1項ただし書のいずれの目的にも該当しない。
(5)小括
以上(1)~(3)の検討内容をまとめると、請求項1についての訂正(訂正事項1-5から1-10)、請求項2についての訂正(訂正事項2-4から2-7、2-9)、請求項10についての訂正(訂正事項10-5、10-6)は、特許法126条1項ただし書各号に掲げる事項を目的とするものではない。
3 新規事項の追加の有無
訂正事項1-4の訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「左右見開き接続手段と、」の次に、「「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により「ユーザーの任意の角度」に変化させられたとき、摩擦力により、前記2つの表示板の間を前記「任意の角度」で保持する任意角度保持手段と、」を挿入するものであり、請求人は、この訂正が、本件訂正前の明細書の段落【0017】の次の記載を根拠として、新規事項を追加するものではない旨主張している(下線は当審が付与した。)。
「【0017】
また本実施例では,枠体1と枠体2との間は、蝶番9及び10を構成する部材間の摩擦力により、任意の角度で一時的に固定(半固定)でき、その一時的に固定(半固定)した状態(例えば図2の(b)に示す状態で固定(半固定)した状態)で使用できるようになっている。またこのような「任意の角度での固定(半固定)」が前述のように単に摩擦力によるものであるときは、ユーザーは、所定量以上の力を加えることにより自由にその「固定(半固定)の角度」を変化させることができるようになっている。なお本実施例での前記蝶番9及び10については、従来周知のもの(例えばノート型パソコンのキーボードとディスプレイとを折り畳み・折り曲げ自在に接続する蝶番であって、摩擦力などにより,前記のキーボードとディスプレイとが「両者間の角度が少し折れ曲がっている状態」となるように保持できるようになっている蝶番など)を使用できる。」
しかしながら、この訂正では、「ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により」「変化させられ」る「ユーザーの任意の角度」が、0度から180度の範囲を超えて、180度から360度までの範囲も含むことになるところ、上記段落【0017】のみならずその他の明細書の記載を参照しても、「ユーザーの任意の角度」が180度から360度までの範囲も含むことは明示的に記載されておらず、明細書等の記載から自明な事項でもない。
(請求項1の「約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段」の「完全」という文言は、左右見開き状態が完全に成立したこと(すなわち、2つの表示板が平行になること)を特定するのであって、左右見開きの角度の上限が180度であることを特定するものではないから、「完全」という文言があるからといって、訂正事項1-4の「ユーザーの任意の角度」が0度から180度の範囲に限られると解することはできない。)
この点に関し、請求人は意見書において、上記段落【0017】の記載に加えて、さらに以下に示す段落【0016】及び図面【図2】の記載も根拠として、訂正事項1-4の記載内容と段落【0016】及び【0017】の記載内容がほぼ同義であるから、訂正事項1-4の訂正は新規事項を追加するものではない旨主張をしている。
「【0016】また本実施例では、前記の枠体1と枠体2とは、図示のように、その端部同士が、3つの比較的小さい蝶番9と1つの比較的大きい蝶番10とにより、折り曲げ自在に接続(連結)されている。これにより、枠体1と枠体2とは、本実施例の平面図である図2に示すように、図2の(a)に示す約180度に見開かれた「左右完全見開き状態」から、図2(b)のような「左右半見開き状態」(図2(a)のように約180度に見開きにされた状態と、図2(c)のように各枠体1,2がそれぞれ画面が表示される側が互いに向き合うように折り畳まれた状態との間の状態)を経て、さらに図2(c)の「折り畳み状態」へと、自在に折り曲げることができるようになっている。また本実施例では、上記と逆に、図2(c)の状態から図2(b)の状態を経て図2(a)の状態にすることもできる。」
「【図2】
[図:0001391278000006.jpg]
」
上記主張について検討すると、まず、訂正事項1-4に係る「ユーザーの任意の角度」という表現は、請求人が根拠とする上記段落【0016】及び【0017】のいずれにも見出すことはできず、本件訂正前の明細書の他の箇所にもかかる表現は存在しないことから、訂正事項1-4に係る「ユーザーの任意の角度」については、本件訂正前の明細書において明示的に定義されておらず、本件訂正前の明細書及び図面の記載を参酌してもその意味を直ちに確定することはできない。
請求人は、「ユーザーの任意の角度」としてカギ括弧でくくることにより、この構成が特別に定義されたものであり、一般的な意味とは異なるものであるかのごとく表現しているが、上述のとおり、「ユーザーの任意の角度」がどのような角度を意味するかについては、本件訂正前の明細書において明示的に定義されてはいないのであるから、「ユーザーの任意の角度」とは、せいぜい「ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により」「ユーザー」が「任意」に「変化させ」ることのできる「角度」という程度の意味に解すべきものであり、このように解しても、本件訂正前の明細書及び図面の記載と何ら矛盾は生じない。
そして、「ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により」「ユーザー」が「任意」に「変化させ」ることのできる「角度」の任意性に着目すると、その角度は0度から360度までの範囲にあることになるから、0度から180度の範囲を超えて、180度から360度までの範囲も含むことになる。
しかしながら、上記段落【0016】、【0017】、【図2】のみならずその他の明細書及び図面の記載を参照しても、180度から360度まで回動可能であることは明示的に記載されておらず、明細書等の記載から自明な事項でもないから、訂正事項1-4の記載内容と段落【0016】及び【0017】の記載内容がほぼ同義であるとの請求人の主張を採用することはできない。
なお、「ユーザーの任意の角度」が約180度から約360度を含むと解釈しても、回動の途中で「谷状の部分」と「山状の部分」が「固定的に形成」されること(訂正事項1-10)を妨げるものではないから、本件訂正後の請求項1全体が意味不明になってしまうことはない。
したがって、「ユーザーの任意の角度」が、0度から180度の範囲を超えて、180度から360度までの範囲も含むような訂正は、本件訂正前の明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるとはいえず、いわゆる新規事項を追加する訂正である。
訂正事項10-5についても、上述の指摘内容が同様に当てはまる。
また、訂正事項1-10、2-7についても、「見開き角度を任意に変化させる」という構成を含むものであるから、上述の指摘内容が同様に当てはまる。
以上をまとめると、請求項1についての訂正(訂正事項1-4、1-10)、請求項2についての訂正(訂正事項2-7)、請求項10についての訂正(訂正事項10-5)は、特許法126条5項の規定に適合しない。
4 特許請求の範囲の実質拡張、変更の存否
訂正事項1-4の訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「左右見開き接続手段と、」の次に、「「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により「ユーザーの任意の角度」に変化させられたとき、摩擦力により、前記2つの表示板の間を前記「任意の角度」で保持する任意角度保持手段と、」を挿入するものであり、請求人は、この訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない旨主張している。
しかしながら、上記「2 新規事項の追加の有無」において述べたとおり、この訂正では、「ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により」「変化させられ」る「ユーザーの任意の角度」が、0度から180度の範囲を超えて、180度から360度までの範囲も含むことになるところ、そのような角度で2つの表示板を保持できる表示装置は、1次訂正後の特許発明の技術的範囲外のものも含むことになるから、訂正事項1-4の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものである。
この点に関する請求人の意見書における主張は、上記「2 新規事項の追加の有無」において述べたものと同旨のものであるから、上記検討したとおり、この主張を採用することはできない。
訂正事項1-10、2-7、10-5についても、上述の指摘内容が同様に当てはまる。
したがって、請求項1についての訂正(訂正事項1-4、1-10)、請求項2についての訂正(訂正事項2-7)、請求項10についての訂正(訂正事項10-5)は、特許法126条6項の規定に適合しない。
5 独立特許要件
上記「1 訂正の目的」において述べたとおり、本件訂正には、特許法126条1項ただし書1号又は2号に掲げる事項を目的としない訂正が含まれるが、仮に請求人の主張するように本件訂正が上記事項の訂正の目的に係る訂正要件を満たし、新規事項の追加禁止や特許請求の範囲の実質拡張・変更禁止の訂正要件を満たすものであるとしても、以下に示すとおり、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1、2及び10に記載されている事項により特定される発明(以下、各請求項の番号に従って「本件訂正発明1」などという。)は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(1)本件訂正発明
本件訂正発明1、2及び10は、それぞれ本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1、2及び10に記載されている以下の事項により特定されるとおりのものと認められる。
なお、本件訂正発明1については、その構成を分説するため符号A~Gを付した。
【請求項1】
A 略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」であって、少なくともいずれか一方の表示板が「情報入力機能を有する画面」を表示させるものである「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
B 前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、且つ前記2つの表示板の少なくともいずれか一方の表示板をユーザーが回動させたとき当該一方の表示板と他方の表示板とが「それらが互いに接続されている部分」を回動中心として相対的に回動するように、接続するための左右見開き接続手段と、
C 「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により「ユーザーの任意の角度」に変化させられたとき、摩擦力により、前記2つの表示板の間を前記「任意の角度」で保持する任意角度保持手段と、
D 前記「2つの表示板」を、「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、
E 「前記2つの表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの、前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により「約120度から約170度までの範囲内の予め決められた1つの角度」に変化させられたとき、前記回動をストップさせて、前記「2つの表示板」の間を前記「予め決められた1つの角度」で固定する中間左右見開きストッパであって、前記「2つの表示板」の、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広げられて行く動作、をストップする機能と、前記「2つの表示板」の、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が「ユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態」から狭められて行く動作、をストップする機能と、を有する中間左右見開きストッパと、を備え、
F ユーザーが、「前記2つの表示板の前記各平面の間の見開き角度」が広がるように前記「2つの表示板」の少なくともいずれか一方を回動させて前記見開き角度を任意に変化させるとき、前記2つの表示板の間を「ユーザーの任意の角度」で摩擦力により保持するようにしながら、前記見開き角度が前記「予め決められた1つの角度」になったときは、前記中間左右見開きストッパにより、前記回動をストップさせて、前記2つの表示板のそれらが互いに接続されている部分及びその近傍部分の画面が表示される側に「谷状の部分」を、且つ前記2つの表示板のそれらが互いに接続されている部分及びその近傍部分の画面が表示されない側に「山状の部分」を固定的に形成する構成を備えた、
G ことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
【請求項2】
略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」であって、少なくともいずれか一方の表示板が「情報入力機能を有する画面」を表示させるものである「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができる片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、且つ前記2つの表示板の少なくともいずれか一方の表示板をユーザーが回動させたとき当該一方の表示板と他方の表示板とが「それらが互いに接続されている部分」を回動中心として相対的に回動するように、接続するための左右見開き接続手段と、
前記「2つの表示板」を、「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、
「前記2つの表示板の、ユーザーから見て縦方向の線を境としたときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により、「それらが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態との間の角度であって、約120度から約170度までの範囲内の予め決められた1つの角度」に変化させられたとき、前記回動をストップさせて、前記「2つの表示板」の間を前記「予め決められた1つの角度」で固定する中間左右見開きストッパであって、前記「2つの表示板」の、「ユーザーから見て縦方向の線を境としたときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広げられて行く動作、をストップする機能を有する中間左右見開きストッパと、を備え、
「電車の中で、戸外で、外出先で、又は立ったままで使用するのに適した、前記2つの表示板の使用」を可能にする構成であって、ユーザーが、「前記2つの表示板の前記各平面の間の見開き角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広がるように、前記「2つの表示板」の少なくともいずれか一方を回動させて、前記見開き角度を任意に変化させる場合において、前記見開き角度が前記「予め決められた1つの角度」になったとき、前記中間左右見開きストッパにより、前記回動をストップさせて、前記2つの表示板のそれぞれ画面が表示される側の各表示板の間を前記「予め決められた1つの角度」に固定する構成を備えた、
ことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
【請求項10】
次の(a)~(f)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
(a)画面をそれぞれ出力する「2つの表示板」であって、少なくともいずれか一方の表示板に「ユーザーによるデータ入力のために使用される、データ入力用画面」を表示するためのデータ入力手段が備えられている「2つの表示板」が、それぞれが表示する各画面がユーザーに対向することができるように、接続されている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさは、それをユーザーがその片手のみでも支持することができるような小型のサイズに構成されている、
(c)前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、且つ前記2つの表示板の少なくともいずれか一方の表示板をユーザーが回動させたとき当該一方の表示板と他方の表示板とが「それらが互いに接続されている部分」を回動中心として相対的に回動するように、接続するための左右見開き接続手段を備えている、
(d)「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により、「ユーザーの任意の角度」に変化させられたとき、摩擦力により、前記2つの表示板の間を前記「任意の角度」で保持する任意角度保持手段、を備えている、
(e)「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が約180度になったとき、前記「2つの表示板」の間を前記角度で固定する完全見開き固定手段、を備えている、
(f)前記「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときであって、「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により「約120度から約170度までの範囲内の予め決められた1つの角度」に変化させられたとき、前記回動をストップさせて、前記「2つの表示板」の間を前記「予め決められた1つの角度」で固定する中間左右見開きストッパ、を備えている、
(2)引用発明の認定
ア 引用文献1に記載された事項
訂正拒絶理由通知書で引用した引用文献1(国際公開第91/05327号)は、本件特許の原々々出願(特願平3-245262号)の出願日(平成3年8月30日)(以下、単に「出願日」という。)より前に頒布された刊行物である。
引用文献1には、図面とともに以下の記載がある。
下線は当審が付与した。日本語訳は引用文献1の日本語ファミリー文献である特表平5-501023号公報(甲第20号証の1)を参考にして、当審が作成した。
(ア)3頁21~28行
「Another objective of the present invention is to provide a system that allows one digitizer to be rotated with respect to the second so that the computer aided notebook can be opened to a variety of selected positions and where one of such positions allows a user to hold the computer in one hand while data is entered with the other while the user is in a sitting, standing or walking position.」
(日本語訳)
「この発明の別の目的は、コンピュータ援助ノートブックが様々な選択された位置に開かれ得るように1つのデジタイザが第2のデジタイザを基準にして回転することを許容し、かつこのような位置の1つは、ユーザが座ったり、立ったり、又は、歩いたりする位置にあるときに、片手でコンピュータを保持し、もう片方の手でデータを入力することを許容するシステムを提供することである。」
(イ)5頁10行~6頁6行
「Brief Description of the Drawings:
Fig.1 illustrates a portable computer according to the invention in a flat open position;
Fig. 2 is a perspective view of a portable computer according to the invention in a closed position;
Fig. 3 is a perspective view of a portable computer according to the invention in a compact open position folded back to back having a screen orientation upside down as compared to Fig. 1;
Fig. 4 is a perspective view of a port吐le computer according to the invention in a partially folded open position having a screen orientation oriented sideways as compared to Fig. l;
Fig. 5 is a top plan view of a portable computer according to the invention in a position separated at the hinge;
Fig. 6A is an exploded illustration of a hinge in accordance with the invention;
Fig. 6B is an exploded illustration of the hinge showing the primary axis in accordance with the invention;
Fig. 6C is another exploded illustration of the hinge showing the primary axis in accordance with the invention;
Fig. 6D is an exploded illustration of the hinge showing the secondary axis in accordance with the invention;
Fig. 6E is an exploded illustration of the hinge showing the anchoring means in accordance with the invention;」
(日本語訳)
「図面の簡単な説明
図1は平坦な開いた位置におけるこの発明に従った携帯用コンピュータを示す。
図2は閉じた位置におけるこの発明に従った携帯用コンピュータの斜視図である。
図3は図1と比較するとスクリーンの配向が逆さまである、背中合わせで折畳まれたコンパクトな開いた位置にあるこの発明に従った携帯用コンピュークの斜視図である。
図4は、図1と比較すると横に配向されたスクリーン配向を有する部分的に折畳まれた開いた位置におけるこの発明に従った携帯用コンピュータの斜視図である。
図5は蝶番で分離された位置におけるこの発明に従った携帯用コンピュータの上面図である。
図6Aはこの発明に従った蝶番の分解図である。
図6Bはこの発明に従った第1の軸を示す蝶番の分解された図である。
図6Cはこの発明に従った第1の軸を示す蝶番の別の展開された図である。
図6Dはこの発明に従った第2の軸を示す蝶番の分解図である。
図6Eはこの発明に従った保留手段を示す蝶番の分解図である。」
(ウ)6頁32行~7頁4行
「Description of the Specific Embodiments:
Fig. 1 shows a perspective view of a computer notebook 10 according to the present invention. Notebook 10 includes a first panel 12, a second panel 14 connected to first panel 12 by a hinge means 16 that allows both first panel 12 and second panel 14 to orient in a multitude of angles about hinge means 16, and a stylus 18 for writing on first panel 12 and second panel 14.」
(日本語訳)
「好ましい実施例の説明
図1はこの発明に従ったコンピュータノートブック10の斜視図を示す。ノートブック10は第1のパネル12と、第1のパネル12及び第2のパネル14の両方が蝶番手段16を中心とした多数の角度において配向することを許容する蝶番手段16によって第1のパネル12に接続される第2のパネル14と、第1のパネル12及び第2のパネル14上に書くためのスタイラス18を含む。」
(エ)7頁5~16行
「First panel 12 has a first flat surface 20 with an opaque first digitizer tablet 22 and allows placement of standard templates, pads of single-sheet hard copy forms or a thin pad of forms. A digitizer tablet includes a digitizer and the backing for mounting the digitizer; hereinafter, "digitizer" will be used instead of digitizer tablet. First panel 12 also has selected liquid-crystal displays for acknowledging data entered upon first digitizer 22. Second panel 14 includes a second flat surface 24 with a liquid crystal display and includes a transparent second digitizer 26 overlaying the liquid crystal display.」
(日本語訳)
「第1のパネル12は不透明な第1のデジタイザタブレット22を有する第1の平坦な表面20を有し、かつ標準のテンプレート、単一シートハードコピーフォームのパッド又は書式の薄いパッドの配置を許容する。デジタイザタブレットはデジタイザとデジタイザを装着するための裏当てとを含み、これ以降、「デジタイザ」がデジタイザタブレットの代わりに使用されるであろう。
第1のパネル12はまた第1のデジタイザ22上へ入力されるデータに応答するための選択された液晶ディスプレイを有する。第2のパネル14は液晶ディスプレイを有する第2平坦な表面24と液晶ディスプレイの上に置かれる透明な第2のデジタイザ26を含む。」
(オ)7頁17行~8頁5行
「First panel 12 is primarily the data entry panel and houses the major electronics of the invention, namely the logic, memory, and power supply, as well as peripheral ports for a printer, modem, and other like peripheral devices. Second panel 14 serves primarily as a display panel and doubles as a secondary data entry panel. Each panel is connected to the other by means of hinge 16. Hinge 16 allows one panel to be set at any angle position relative to the other. In one specific embodiment, the panels will have at least four distinct settings including closed (Fig. 2), initial or partially opened (Fig. 4), flat (Fig, 1), and folded (Fig. 3) positions that will allow each panel to support a nominal amount of torque without movement. The configuration shown in Fig. 1 may also be rotated 180° in the plane of the figure, and the paper form the display correspondingly inverted with respect to the frame of the computer, for the convenience of left-handed, users. Also included is means to allow electrical communication between the two panels, where the first panel 12 has the logic, memory, and power supply and second panel 14 provides a display and secondary data entry device. One such means of communication is a ribbon computer cable and is well known in the art.」
(日本語訳)
「第1のパネル12は主にデータ入カパネルであり、かつこの発明の主要な電子回路、すなわち、論理と、メモリと、電源と、プリンタ、モデム、他の同様な周辺装置のための周辺ポートとを収容する。第2のパネル14は主にディスプレイパネルとして役立ち、かつ第2のデータ入力パネルとしても兼務する。各パネルは蝶番16によって他方に接続される。蝶番16は1つのパネルが他方に対していかなる角度位置においても設定されることを許容する。1つの特定の実施例では、パネルは、各パネルが動かずに定格のトルク量を支えることを許容するであろう、閉じられた(図2)、最初の又は部分的に開かれた(図4)、平坦な(図1)、かつ閉じられた(図3)位置を含む少なくとも4つの明確な設定を有するであろう。図1において示されている構成は図の平面において180度回転されてもよく、かつ左利きのユーザの便宜のために、コンピュータのフレームに対してディスプレイ書式が相応して反転される。また、2つのパネル間の電気通信を許容する手段も含み、第1のパネル12は論理、メモリ、電源を有するし、かつ第2のパネル14はディスプレイ及び第2のデータ入力装置を傭える。1つのこのような通信の手段はリボンコンピュータケーブルであり、技術においてよく知られている。」
(カ)8頁6~31行
「Referring to Fig. 6A, hinge 16 includes a first hinge bracket 28, a second hinge bracket 30, a third hinge bracket 32 and a fourth hinge bracket 34 through which are threaded a primary axis 36 and a secondary axis 38 for holding first panel 12 and second panel 14 together. The primary axis 36 provides the axis about which first panel 12 revolves and secondary axis 38 provides the axis about which second panel 14 revolves. Each axis has a distinctly different locking mechanism with secondary axis 38 locking system permitting greater ease of movement than that of primary axis 36.
The locking mechanism of primary axis 36 includes a shaft 37 threaded at one end, and flared at the other. Primary axis 36 fits the flared end 39 of shaft 37 in first hinge bracket 28 (Fig. 6B) and its threaded end 41 through fourth hinge bracket 34 as fastening knob 42 mounts thereon (Fig. 6C). Fastening knob 42 turns to selectively fasten primary axis 36 and the increased tension tightens the fit of the flared end 39 on first hinge bracket 28 and first panel 12. In addition, a ceramic jacket 40 is used as a spacer at both ends 39 and 41 of primary axis 36 where in contact with first hinge bracket 28 and fourth hinge bracket 34 to provide improved friction to allow the first panel 12 to support a nominal amount of torque without movement and to reduce wear on the plastic parts.」
(日本語訳)
「図6Aを参照して、蝶番16は第1の蝶番ブラケット28、第2の蝶番ブラケット30、第3の蝶番ブラケット32及び第4の蝶番ブラケット34を含み、第1のパネル12及び第2のパネル14をともに保持するための第1の軸36及び第2の軸38がそれらを介して通る。第1の軸36は第1のパネル12が回転する軸を提供し、かつ第2の軸38は第2のパネル14が回転する軸を提供する。各軸は、第2の軸38のロッキングシステムが第1の軸36のそれよりもより大きい動きのゆとりを許容して、明らかに異なったロッキング機構を有する。第1の軸36のロッキング機構は一方がねじ切りされ、かつ他方が拡開されたシャフト37を含む。第1の軸36は、第1の蝶番ブラケット28にシャフト37の拡開端39を嵌合させ(図6B)、ねじ切りされた端部41を第4の蝶番ブラケット34に通して、締着つまみ42を装着して嵌合する(図6C)。締着つまみ42は選択的に第1の軸36を締めるために回され、かつ増加された引張りが、第1の蝶番ブラケット28に接している拡開端39と第1のパネル12との嵌合をきつくする。さらに、セラミックジャケット40が第1の蝶番ブラケット28と第4の蝶番ブラケット34とに接触する第1の軸36の両端39及び41におけるスペーサとして使用され、第1のパネル12が動かずに定格のトルク量を支持することを許容する改良された摩擦を提供するため、かつ、プラスチック部分における摩耗を減少させるために用いられる。」
(キ)8頁32行~9頁7行
「The locking mechanism of second panel 14 includes a threaded shaft secondary axis 38 which interacts with second hinge bracket 30 and third hinge bracket 32 and is secured by another fastening knob 42(Fig. 6D). Third hinge bracket 32 is also threaded so that as fastening knob 42 is turned clockwise, the tension between second hinge bracket 30 and third hinge bracket 32 exerted on second panel 14 can hold second panel 14 as rigidly as desired. Each hinge bracket 30 and 32 uses a semi-hard rubber washer 46・to increase the friction needed to hold the panels 12 and 14.」
(日本語訳)
「第2のパネル14のロッキング機構は、第2の蝶番ブラケット30及び第3の蝶番ブラケット32と相互作用するねじ切りされたシャフトの第2の軸38を含み、かつ別の締着つまみ42によって固定する(図6D)。第3の蝶番ブラケット32もまた、締着つまみ42が時計回りに回転して、第2の蝶番ブラケット30と第3の蝶番ブラケット32との間の第2のパネル14にかかる引張りが第2のパネル14を所望されるほど堅く保持し得るようにねじ切りされる。各蝶番ブラケット30及び32はパネル12及び14を保持するのに必要とされる摩擦を増加するために半硬のゴム座金46を使用する。」
(ク)9頁32行~10頁13行
「This embodiment of the hinge 16 provides for first panel 12 and second panel 14 to be oriented in any position within a 360° arc about hinge 16. Ideally, four main positions will be preset to allow functionability. These four positions are: closed, initial or partially opened, flat and folded. The closed position is shown in Fig. 2 and occurs when the first panel 12 and the second panel 14 are juxtaposed face to face providing protection 5 to the panel surfaces when the apparatus is not in use. The initial position is illustrated in Fig. 4 and has one panel approximately perpendicular to the other, much like a conventional laptop portable computer. The flat position has both panels lying in the same plane side by 10 side. In a folded position shown in Fig. 3 the first panel 12 and second panel 14 are juxtaposed back to back in order to facilitate carrying the apparatus in one hand and entering data with the other.」
(日本語訳)
「蝶番16のこの実施例は蝶番16のまわりの360度の弧内のいかなる位置においても第1のパネル12及び第2のパネル14が配向されるために備えられる。理想的には、4つの主たる位置が機能性を許容するために予め設定されるであろう。これらの4つの位置は閉じられたもの、最初の、又は部分的に開かれたもの、平坦なもの及び折畳まれたものである。閉じられた位置は、図2において示されており、装置が使用されていないときパネルの表面を保護するために第1のパネル12及び第2のパネル14が面を合わせて並置されるときに起こる。最初の位置は図4に示され、かつかなり従来のラップトップ携帯用コンピュータに似たような、一方のパネルがほぼ他方に対して垂直になるようになる。平坦な位置は同一の面において並んで横たわる両方のパネルを有する。図3において示されている折畳まれた位置では、片手で装置を運び、もう片方の手でデータを入力することを容易にするために第1のパネル12と第2のパネル14が背中合わせて並置される。」
[図:0001391278000007.jpg]
[図:0001391278000008.jpg]
[図:0001391278000009.jpg]
[図:0001391278000010.jpg]
[図:0001391278000011.jpg]
[図:0001391278000012.jpg]
[図:0001391278000013.jpg]
[図:0001391278000014.jpg]
イ 引用発明の認定
上記記載事項及び図面の図示内容を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「主にデータ入カパネルである第1のパネル12と、主にディスプレイパネルとして役立ち、かつ第2のデータ入力パネルとしても兼務する第2のパネル14と、第1のパネル12及び第2のパネル14上の書くためのスタイラス18を含むコンピュータノートブック10であって(摘記事項(ウ)、(オ))、
ユーザーが座ったり、立ったり、又は、歩いたりする位置にあるときに、片手でコンピュータを保持し、もう片方の手でデータを入力することを許容するものであり(摘記事項(ア))、
第1のパネル12と第2のパネル14は蝶番手段16によって接続されており、蝶番手段16は1つのパネルが他方に対していかなる角度位置においても設定されることを許容するものであり、パネルは、各パネルが動かずに定格のトルク量を支えることを許容するであろう少なくとも4つの明確な設定を有するものであり(摘記事項(オ))、
第1のパネル12及び第2のパネル14の両方が蝶番手段16を中心とした多数の角度において配向することが許容されており(摘記事項(ウ))、
第1のパネル12は、不透明な第1のデジタイザ22を有する第1の平坦な表面20を有し、第1のデジタイザ22上へ入力されるデータに応答するための選択された液晶ディスプレイを有するものであり(摘記事項(エ))、
第2のパネル14は、液晶ディスプレイを有する第2平坦な表面24と液晶ディスプレイの上に置かれる透明な第2のデジタイザ26を含み(摘記事項(エ))、
蝶番手段16は第1の蝶番ブラケット28、第2の蝶番ブラケット30、第3の蝶番ブラケット32及び第4の蝶番ブラケット34を含み、
第1のパネル12及び第2のパネル14をともに保持するための第1の軸36及び第2の軸38がそれらを介して通り、
第1の軸36は第1のパネル12が回転する軸を提供し、
第2の軸38は第2のパネル14が回転する軸を提供し(摘記事項(カ))、
第1の軸36のロッキング機構は、一方がねじ切りされ、かつ他方が拡開されたシャフト37を含み、
第1の軸36は、第1の蝶番ブラケット28にシャフト37の拡開端39を嵌合させ(図6B)、
ねじ切りされた端部41を第4の蝶番ブラケット34に通して、締着つまみ42を装着して嵌合し(図6C)、
締着つまみ42は選択的に第1の軸36を締めるために回され、かつ増加された引張りが、第1の蝶番ブラケット28に接している拡開端39と第1のパネル12との嵌合をきつくするようにされ、
セラミックジャケット40が第1の蝶番ブラケット28と第4の蝶番ブラケット34とに接触する第1の軸36の両端39及び41におけるスペーサとして使用され、第1のパネル12が動かずに定格のトルク量を支持することを許容する改良された摩擦を提供するため、かつ、プラスチック部分における摩耗を減少させるために用いられ(摘記事項(カ))、
第2のパネル14のロッキング機構は、第2の蝶番ブラケット30及び第3の蝶番ブラケット32と相互作用するねじ切りされたシャフトの第2の軸38を含み、別の締着つまみ42によって固定されるものであり(図6D)、第3の蝶番ブラケット32は、締着つまみ42が時計回りに回転して、第2の蝶番ブラケット30と第3の蝶番ブラケット32との間の第2のパネル14にかかる引張りが第2のパネル14を所望されるほど堅く保持し得るようにねじ切りされ、各蝶番ブラケット30及び32にはパネル12及び14を保持するのに必要とされる摩擦を増加するために半硬のゴム座金46が使用され(摘記事項(キ))、
蝶番手段16は、蝶番手段16のまわりの360度の弧内のいかなる位置においても第1のパネル12及び第2のパネル14が配向されるために備えられ(摘記事項(ク))、
4つの主たる位置(閉じられた位置(図2)、一方が他方に対してほぼ垂直になる位置(図4)、平坦な位置(図1)、背中合わせで折畳まれた位置(図3))が、機能性を許容するために予め設定され、背中合わせで折畳まれた位置では、片手で装置を運び、もう片方の手でデータを入力することが容易になる(摘記事項(ク))、
コンピュータノートブック10。」
(3)周知技術1の認定
ア 引用文献2に記載された事項
訂正拒絶理由通知書で引用した引用文献2(実願昭60-27223号(実開昭60-170858号)のマイクロフィルム)は、出願日より前に頒布された刊行物であり、図面とともに以下の記載がある。下線は当審が付与した。
明細書1頁12~14行
「本発明は開閉体に係り、更に詳しくは蓋体を回動自在に取付けた構造を有する小型電子機器等に用いられる開閉体に関するものである。」
明細書2頁16行~3頁17行
「第1図~第3図は本考案の一実施例を説明するもので、図において、全体を符号1で示す小型電子機器は本体2と蓋体3とからなる。本考案においては、本体2は第1の蓋体を、また蓋体3は第2の蓋体を構成する。本体2側には本体側キーボード部4、表示部5が形成されており、電源スイッチ6が取付けられている。そして、この本体2の一方の側緑の両端部には環状の軸受部7がそれぞれ一体的に形成されている。
一方、蓋体3側にもキーボード部8が形成され、その一方の側縁には円筒部9が一体的に形成されている。この円筒部9の外径は前記軸受部7の外径と同一であり、その長さは軸受部7、7間の長さに等しい。従って、円筒部9は軸受部7、7間に位置させることができる。そして、円筒部9を軸受7、7間に位置させた状態で円筒10を軸受部7の外側から円筒部9内に回転自在に嵌合させると共に、円筒10と軸受部7とをねじ11によって一体的に固定する。円筒10に代えて円柱を使用してもよいことはもちろんである。この状態では本体2と蓋体3とは相対的に自由に回動させ、折畳むことができる。」
[図:0001391278000015.jpg]
[図:0001391278000016.jpg]
イ 周知技術1の認定
(ア)上記引用文献2には、蓋体3の円筒部9を本体2の軸受部7、7の間に位置させた状態で、円筒10を軸受部7の外側から円筒部9内に回転自在に嵌合させると共に、円筒10と軸受部7とをねじ11によって一体的に固定することにより、本体2と蓋体3とが相対的に自由に回動させ、折畳むことができる小型電子機器が開示されている。
(イ)この小型電子機器の本体2と蓋体3は、左右に見開くものであり(第3図参照)、円筒10を介して互いに接続されており、蓋体3を本体2に対して回動させたとき、円筒10を回動中心として相対的に回動するものであるといえる。
(ウ)そうすると、小型の電子機器において、相対的に自由に回動させ、折畳むことができる2つの部材の少なくともいずれか一方をユーザーが回動させたとき、当該一方の部材と他方の部材とが「それらが互いに接続されている部分」を回動中心として相対的に回動するように、接続するための左右見開き接続手段を設けることは、引用文献2に記載されているように周知の技術である(以下「周知技術1」という。)。
(引用文献2の他にも、例えば、実願昭56-185981号(実開昭58-90437号)のマイクロフィルム、特開昭59-221725号公報、特開昭62-92025号公報、特開平1-282587号公報、特開平2-230360号公報、実願昭58-14518号(実開昭59-122524号)のマイクロフィルム、実願昭59-132022号(実開昭61-46640号)のマイクロフィルムなど、上記周知技術1を示す多数の文献が挙げられる。)
(4)周知技術2の認定
ア 引用文献3に記載された事項
訂正拒絶理由通知書で引用した引用文献3(実願昭63-171245号(実開平2-91874号)のマイクロフィルム)は、出願日より前に頒布された刊行物であり、図面とともに以下の記載がある。下線は当審が付与した。
明細書1頁14行~2頁7行
「(考案の属する技術分野)
本考案は、小型電子機器等に用いられるチルト機構に関し、特にポップアップ機構を備えたものである。
(従来の技術)
ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ等の小型電子機器等においては、全体を小体積とするため、表示パネル部(表示板と略す)と入カキーボード部(操作板と略す)のカバー構成を折畳み式にしている。そして、使用時に表示板を見易い傾斜角度に開いたり、或いは開いた状態でスライドしうるようにして、機器全体の小型化をはかっている。」
明細書4頁8~20行
「本考案は、ロック機構を外し、操作板上に折畳まれた表示板を引き起こすと、これに取付けられた可動部固定用ブラケットとともに回転軸が回転し、この回転軸に刻まれた最初の溝に沿って回転軸止め用シャフトが摺動し、その凹みのところで弾性部材により圧接され、このポップアップ機構によりある傾斜角度で一旦止まる。さらに表示板を引き起こすと、例えば等間隔に刻まれた任意の回転軸の溝に回転軸止め用シャフトが弾性部材の圧接力で圧接され、クリック感を持たせて固定される。つまり、表示板は見易い傾斜角度を持った位置に確実に固定保持され、外部からの衝撃や振動により位置がずれることがない。」
明細書5頁1行~7頁18行
「(実施例)
第1図は本考案の一実施例の斜視外観図を示し、図において、8は回転軸で、第2図の側面略図に示すように、回転軸の相対向する周緑に溝a~eが軸方向へ数条刻まれている。この溝a~eは、この回転軸を支軸に回転する表示板を見易い位置(傾斜角度)になるように複数刻まれている。9は該回転軸受けベースで、その凹形突縁部が回転軸止め用シャフト10を保持するため、弾性部材でなる圧接部9Aを形成し、また、底面部の切り起こしプレートが回転軸8の両端支持部9Bを形成する。上記圧接部9Aで保持される回転軸止めシャフト10の高さ位置は、第2図の側面略図に示すように、回転軸8の軸心8Aとほぼ同じ高さにあって、回転軸8の対向周縁部から軸心に向って挟むようにA矢印方向から圧接するよう凹形突縁部が形成されている。11は脚部が二又状の可動部固定用ブラケットで、ネジ穴11Aを有し、ここにネジ等を通して表示板2が固定される。
第3図は、回転軸8に可動部固定用ブラケット11を取付ける一例の拡大斜視図を示し、回転軸8の軸心に突起した角軸80に可動部固定用ブラケット11の脚部角穴11Bを嵌込み、両端支持部9Bの丸穴9bに段付ネジ12を挿入し、前記角軸80のネジ穴に螺定することで、可動部固定用ブラケット11の脚部が固定される。
このような取付機構により、表示板2が取付けられた可動部固定用ブラケット11は、回転軸8を支軸に回転が可能であり、回転軸止め用シャフト10は、圧接部9Aにより回転軸8の溝a~eに弾性的に圧入される。上記において、回転軸止め用シャフト10は、回転軸受けベース9と別体で形成された場合を例にとって示しているが、一体に成形しても同じ機能を持たせることができる。
第4図は、上記第1図ないし第3図に説明したチルト機構を操作板1と表示板2に実施した要部の斜視外観図である。図面に示すように、操作板1(アンダーカバー)上の突起1Aに、回転軸受けベース9のネジ穴9Cを通してネジ13で螺着固定される。また、表示板2(アンダーカバー)上の突起2Aに、可動部固定用ブラケット11のネジ穴11Aを通してネジ14で螺着固定される。
次に、表示板の開閉動作を説明すると、例えば第5図に示すように、操作板1上に折畳まれた状態の表示板2を矢印方向へ引き起こす時、図示せざるロック機構を外すと、回転軸8の溝aに沿って表示板2はIの位置までポップアップ回動する。以後、表示板2を見易い傾斜位置まで手で回転軸8を支軸に回転すると、該回転軸の各溝b、c、d、eの任意のところで夫々クリック音を感触させながらII、III、IV、Vの位置で停止し、確実に固定させることができる。
上記実施例は、小型電子機器の操作板と表示板のチルト機構について述べたが、これに限定されるものでなく、他の部材間の結合機構部にも実施可能である。また、回転軸に刻む溝の間隔、数等は、開閉する部材の使用目的により任意に選定すればよい。」
[図:0001391278000017.jpg]
[図:0001391278000018.jpg]
[図:0001391278000019.jpg]
イ 周知技術2の認定
(ア)引用文献3には、使用時に表示板2を見易い傾斜角度に開くことができる折畳み式の小型電子機器において、表示板2を手で回転させると、回転軸8の溝a~eに回転軸止め用シャフト10が弾性的に圧入され、例えば回転軸8の溝d、eのところでは、夫々クリック音を感触させながら位置IV、Vで停止し表示板2を固定させることが開示されている。
(イ)ここで、引用文献3の第5図からみて、位置IVや位置Vは、それぞれ傾斜角度が約120度から約170度までの範囲内の予め決められた1つの傾斜角度に対応した位置であると認められる。
(ウ)そうすると、折り畳み式の小型電子機器において、表示板2を含む2つの部材のなす角度が、ユーザーによる表示板2の回動により約120度から約170度までの範囲内の予め決められた1つの角度に変化させられたとき、前記回動をストップさせて、前記2つの部材の間を前記予め決められた1つの角度で固定する中間ストッパであって、前記2つの部材のなす角度が折り畳まれた状態から広げられて行く動作をストップする機能と、広げられた状態から角度を狭めて行く動作をストップする機能を有する中間ストッパを設けることは、引用文献3に記載されているように周知の技術である(以下「周知技術2」という。)。
(引用文献2の他にも、例えば、実願昭59-104166号(実開昭61-19832号)のマイクロフィルムなどが上記周知技術2を示す文献として挙げられる。)
(5)周知技術3の認定
ア 特開昭63-40957号公報に記載された事項
この審決において新たに引用する特開昭63-40957号公報(以下「引用文献4」という。)は、出願日より前に頒布された刊行物であり、図面とともに以下の記載がある。下線は当審が付与した。
3頁左上欄13行~同頁左下欄13行
「〔発明の実施例〕
第1図は本発明の原理を具現する構造の携帯用計算機1を示す。計算機1は2つのケース半部2と3を含む折たたみ式ケースを備えている。それぞれのケース半部2と3の上にはキイパッド4と5がそれぞれ配置されている。2つのキイパッド4と5はキーの押下げに応答し、デイスプレイ6に情報を提示する処理装置(図示せず)と電気的に接続されている。その際の1つの問題は、処理装置により単一のキィパッドとしてみなされるように、2つのキィパッド4と5の間に電気的接続を確立することである。この問題をより一般的に述べると、1つのケース半部に位置する何かを、別のケース半部に位置する何かに如何に電気的に接続するかということである。このことは第1図の中空の関節継手7と連携して、第4図に示す弾性薄膜キィボード集合体16を用いることにより達成される。
前述のとうり、「関節継手」という用語の意味するところは、2つの平行な回転軸を有するちょうつがいである。第2図は2つのケース半部2と3の間に関節継手がもたらす動作の種類を示す。
第2図Aはケース半部2と3が閉じた位置にある時の計算機1の端側面図である。第2図Bは計算機を平面に置いて通常の完全に開いた状態を示す。第2図Cと第2図Dは関節継手の動作により得られる別の完全に開いた状態を示す。第2図Eはケース半分3をケース半分2の裏側に向って完全に1回転させて使用できるよう計算機が開かれる態様を示す。このことによって計算機を片手で保持し、もう1方の手はキイパッド4上のキイを操作できるという利便さが得られる。キイパッド4は簡単な計算を実行するために必要なキイのほとんどを含んでいる。
第3図は更に関節継手7の特定の詳細部分を示す。第3図は第1図の線A-A部分より見た断面図である。関節継手7は(本実施例では)一般に中空部材であり、だ円形の断面と、2つの回転軸14,15が同一平面上に存在しなくなる原因である不都合なねじれを防止するに十分な長さとを有する。」
4頁左上欄11行~同頁右上欄17行
「 第3図に示すように、関節継手部材7はケース半部2と心合わせされた中心位置から時計回り方向に約45°、軸14を中心として回転される。このような心合わせ状態では線AとBは一致するであろう。同様にして、ケース半部3は、関節継手部材7と心合わせされた中心位置に対して、軸15を中心として、逆時計回り方向に約70°回転するように図示されている。ケース半部3が部材7と心合わせされている場合は線CとDは一致するであろう。前節で述べた回転停止機構は以下の結果をもたらすように動作する。関節継手部材7上のポイントを表わす線Bはケース半部2の表面上のポイントを表わす線EとFにより限界を定められた範囲内を回転するように拘束される。軸15を中心としたちょうつがい回転の場合も同様に、線Dは線GとHによって示される範囲内に拘束される。ここに記述した制限は大体でよく、第3図が示すような正確な180°である必要はないことが理解されよう。重要な点は、ちょうつがい接合される部品の自然の干渉によっては制限が得られない場合、または上記の自然の干渉が望ましくないか、防護上不適切である場合(例えば、塗料の剥離を生じたり、指をはさんだりすること)にこのような制限が必要であるということである。第1図に示す計算機においては、このような捕足的な回転拘束はちょうつがいによってもたらされ、FからEおよびGからHへの変位角度は約190°である。」
「第1図
[図:0001391278000020.jpg]
」
「第2図
[図:0001391278000021.jpg]
」
「第3図
[図:0001391278000022.jpg]
」
イ 実願昭58-64558号(実開昭59-169654号)のマイクロフィルムに記載された事項
この審決において新たに引用する実願昭58-64558号(実開昭59-169654号)のマイクロフィルム(以下「引用文献5」という。)は、出願日より前に頒布された刊行物であり、図面とともに以下の記載がある。下線は当審が付与した。
明細書2頁10行~3頁13行
「<実施例>
第1図は本考案に係る折り畳電卓の平面図である。
図において、1は上面にキーボード2、表示部3を具えるとともに、電子回路を内蔵した電卓本体、4はキーボード及び表示部を覆う開閉蓋である。
5は直方体状に形成されたヒンジを示し、このヒンジの一端はピン6により電卓本体1の端部に180度回転しうるように取付られ、同様に他端はピン7により開閉蓋4の端部に180度回転しうるように取付られている。依って開閉蓋4は電卓本体1に対して360度回転しうる構成となっている。
かかる構成によれば、第2図の如く矢印(イ)方向ヘ開閉蓋4を折り畳むことにより、該開閉蓋によって電卓本体1のキーボード及び表示部を覆うことが出来る。
また、開閉蓋4を第3図の如く矢印(口)方向へ折り畳むことにより、図示の如く該開閉蓋4を電卓本体の底面に当接することが出来る。
したがって、電卓使用時には第3図の如く開閉蓋4を邪魔にならないように折り畳んで使用することが出来る。」
「第1図
[図:0001391278000023.jpg]
」
「第2図
[図:0001391278000024.jpg]
」
「第3図
[図:0001391278000025.jpg]
」
ウ 周知技術3の認定
上記引用文献4に記載された事項や、引用文献5に記載された事項から、次の周知技術が認定できる(以下「周知技術3」という。)。
「小型電子機器の折り畳み見開き可能な2つの部材を、2つの回動軸を有するヒンジを用いて、それぞれの回動軸のまわりに回動させることにより、背中合わせに折り畳み可能にすること。」
(6)周知技術4の認定
ア 特開平2-257364号公報に記載された事項
この審決において新たに引用する特開平2-257364号公報(以下「引用文献6」という。)は、出願日より前に頒布された刊行物であり、図面とともに以下の記載がある。下線は当審が付与した。
5頁右上欄18行~同頁左下欄14行
「(実施例)
以下、図面にしたがって本発明の実施例を示す。
第1図は、電子ブックを開いた状態を示す。第2図は、電子ブックを閉じた状態を示す。第3図は、第2図の電子ブックにストラップをつけ持ち運びしやすくしたものを示す。第4図は、第1図のように開いた状態において、開き面が平らになるように設けたミシン丁番を示す。第5図は、第1図のハードウェアのシステムブロック図を示す。第6図は、格納した情報を更新する手段を示す概念図である。第7図~第9図は、第6図以外の更新手段を概念図である。
第1図に示すように、電子ブック1の表示面2は、液晶ディスプレイあるいはプラズマディスプレイ又は扁平形ブラウン管のような薄形のものが採用される。」
5頁右下欄6~19行
「 この実施例において、記憶装置はフロッピーディスケットであり、このフロッピーディスケットは複数のものがフロッピーディスケットストックホール4に収納できるようになっている。また表示を行いたいフロッピーディスケットはフロッピーディスク駆動装置5に挿入される。挿入の後、オンオフスイッチ6によって表示が開始される。電子ブック1を閉じると、節度感のあるパチンという音がしてフック9が係止し、第2図の状態となる。また第1図のように開いた状態においては、第4図に示すミシン丁番7の働きにより、表示面が左右平らになる。また、第2図の電子ブック1にストラップ8を設け、第3図の状態にすることが可能である。」
6頁左上欄18行~同頁右上欄3行
「 CPUバス21には、さらに液晶コントロールIC22を介して、ドライバ23、及び液晶ディスプレイの表示面2、2が接続している。尚、液晶ディスプレイは2台存在し、見開き本のように表示したり、ときには1台は文章、他の1台は目次等を表わすようにすることができる。」
「第1図
[図:0001391278000026.jpg]
」
「第2図
[図:0001391278000027.jpg]
」
「第4図
[図:0001391278000028.jpg]
」
イ 特開平2-268311号公報に記載された事項
この審決において新たに引用する特開平2-268311号公報(以下「引用文献7」という。)は、出願日より前に頒布された刊行物であり、図面とともに以下の記載がある。下線は当審が付与した。
2頁右下欄16行~3頁左上欄18行
「[実施例]
以下、第1図~第6図を参照して、この発明を小型電子計算機に適用した場合の一実施例につき説明する。
まず、第6図はいわゆる折畳みタイプの小型電子計算機の外観を示したものである。
この小型電子計算機では、キー入力用ケース1と表示用ケース2とからなる機器ケース3が備えられ、キー入力用ケース1と表示用ケース2との連結部分にそれぞれ設けられたヒンジ収納部4、5に長尺で幅広のヒンジ部材6が配置され、後で説明するように、各ケース1、2がヒンジ部材6に対してそれぞれ異なる中心軸を中心にして回動可能に連結された構造となっている。キー入力用ケース1の表示用ケース2との対向面には、計算データ等の情報を入力するためのキー入力部7が設けられている。表示用ケース2のキー入力用ケース1との対向面の上部には、キー入力部7で入力された計算データやその演算結果等を表示するための液晶表示パネル等からなる表示パネル8が設けられている。」
3頁右上欄5行~同頁左下欄20行
「次に、第1図~第5図はこの小型電子計算機の内部構造の要部を示したものである。
キー入力用ケース1は、図示しないビスによって結合された外部ケース11と内部ケース12とからなり、その一端部の両側を除く部分には既に説明したヒンジ収納部4が設けられている。表示用ケース2は、図示しないビスによって結合された外部ケース13と内部ケース14とからなり、その一端部の両側を除く部分には既に説明したヒンジ収納部5が設けられている。
ヒンジ部材6は、ほぼ対称的な形状の外部ヒンジ半体21と内部ヒンジ半体22とを備えている。両ヒンジ半体21、22は、その各幅方向両端にそれぞれフランジ23a、23b、24a、24bが設けられ、互いに対向するフランジ23aと24a及び23bと24bがそれぞれ重ね合わされた状態で図示しないビスによって結合されていることにより、ほぼ断面長円形の筒状をなした構造となっている。このように結合された両ヒンジ半体(以下、単に両ヒンジ半体という)21、22の一方のフランジ23a、24a側はキー入力用ケース1のヒンジ収納部4に配置され、その長手方向両端部にそれぞれ設けられた一方のピン25を介してキー入力用ケース1に回動自在に取り付けられている。両ヒンジ半体21、22の他方のフランジ23b、24b側は表示用ケース2のヒンジ収納部5に配置され、その長手方向両端部にそれぞれ設けられた他方のピン26を介して表示用ケース2に回動自在に取り付けられている。これにより、キー入力用ケース1と表示用ケース2とは、両ヒンジ半体21、22に対してそれぞれ異なる中心軸すなわち一方のピン25と他方のピン26を中心にして回動可能に連結されている。なお、一方のピン25及び他方のピン26は、各2本ずつではなく、連続する各1本のピンであってもよい。」
4頁左上欄15行~5頁左上欄14行
「次に、この小型電子計算機における表示用ケース2の開閉動作について説明する。
まず、第1図はキー入力用ケース1に対して表示用ケース2を閉じた状態を示したものである。
この状態では、キー入力用ケース1の上部に表示用ケース2が重ね合わされ、また両ヒンジ半体21、22がほぼ垂直に起立する状態にあり、またカム部材36は通常の位置にあり、更にフレキシブルフィルム28の両ヒンジ半体21、22からそれぞれ突出した部分における折れ角が共にほぼ90°となっている。
この状態からキー入力用ケース1に対して表示用ケース2を開けていくと、表示用ケース2が他方のピン26を中心に回動され、第2図に示すように、表示用ケース2が他方のピン26を中心にしてほぼ45°回動された位置では、表示用ケース2と共に移動するカム部材36のカム面38が内部ヒンジ半体22の他方のフランジ24bと係合する。この間、両ヒンジ半体21、22とキー入力用ケース1とは、一方のピン25を中心に相対的に回動するので、キー入力用ケース1と表示用ケース2の回動角度は、第2図に示す如く、はぼ90°となっている。この状態では、カム部材36のカム面38は内部ヒンジ半体22の他方のフランジ24bにただ単に当接しているだけであり、表示用ケース2はフリーの状態にある。
この状態からキー入力用ケース1に対して表示用ケース2を更に開けていくと、第3図に示すように、内部ヒンジ半体22の他方のフランジ24bはカム部材36のカム面38に当接しているため、両ヒンジ半体21、22が一方のピン25を中心にして更に回動され、内部ヒンジ半体22の一方のフランジ24aがキー入力用ケース1の内部ケース12のヒンジ収納部4の近傍における内面に当接する。この状態になると、カム部材36のカム面38は内部ヒンジ半体22の他方のフランジ24bに当接し、しかも、内部ヒンジ半体22の一方のフランジ24aがキー入力用ケース1の内部ケース12の内面に当接するため、両ヒンジ半体21、22の回動が阻止される。このため、表示用ケース2の回動が一時的に阻止される。すなわち、この状態では、表示用ケース2から手を離しても、表示用ケース2が第3図に示す傾斜位置つまりキー入力用ケース1に対して90°よりも少し大きい角度に回動された位置に係止されることになる。
この状態からキー入力用ケース1に対して表示用ケース2を更に開けていくと、第4図に示すように、カム部材36のカム面39がまず、内部ヒンジ半体22の他方のフランジ24bの端面に、続いて外部ヒンジ半体21の他方のフランジ23bの端面に当接して押圧され、これに伴いカム部材36がピン34と共に圧縮コイルスプリング37の力に抗して矢印B方向に適宜に移動する。
この場合には、圧縮コイルスプリング37の力に抗して表示用ケース2を開けることになるので、表示用ケース2の回動に適度の負荷が付与されることになる。
この状態からキー入力用ケース1に対して表示用ケース2を更に開けると、第5図に示すように、カム部材36のカム面39が両ヒンジ半体21、22の他方のフランジ24b、23bの端面から離脱し、これに伴いカム部材36がピン34と共に圧縮コイルスプリング37の力によって元の通常の位置に戻され、また表示用ケース2の内部ケース14のヒンジ収納部5の近傍における内面が内部ヒンジ半体22の他方のフランジ24bに当接する。この状態では、表示用ケース2の内部ケース14のヒンジ収納部5の近傍における内面が内部ヒンジ半体22の他方のフランジ24bと当接することにより、表示用ケース2のそれ以上の回動が阻止され、また元の通常の位置に戻されたカム部材36と外部ヒンジ半体21の他方のフランジ23bとが互いに対向することにより、表示用ケース2の逆の方向への回動つまり閉じられる方向への回動が一時的に阻止されることになる。したがって、この状態では、表示用ケース2がキー入力用ケース1に対して最大につまり180°回動された位置に係止されることになる。」
5頁左下欄5行~同頁右下欄2行
「このように、この小型電子計算機では、キー入力用ケース1に対して表示用ケース2を第3図に示すように90°よりも少し大きい角度に開けると、この開放位置に表示用ケース2を停止することができ、表示用ケース2が第6図に示す傾斜位置に保持される。また、この開放位置から表示用ケース2を第5図に示す最大に開けた位置では、表示用ケース2は開閉いずれかの方向に対しても回動が規制されるように係止される。このため、表示用ケース2の安定がよく、この状態でのキー入力等の操作が容易となる。なお、カム部材36のカム面38を段階状とし、表示用ケース2を段階的に係止するようにしてもよい、また、キー入力用ケース1に対して表示用ケース2を第3図に示すように90°よりも少し大きい角度の範囲で開閉する場合には、回動阻止機構31による負荷の付与が行われないので、表示用ケース2の開閉を比較的弱い操作力で行うことができる。」
「第1図
[図:0001391278000029.jpg]
」
「第2図
[図:0001391278000030.jpg]
」
「第3図
[図:0001391278000031.jpg]
」
「第4図
[図:0001391278000032.jpg]
」
「第5図
[図:0001391278000033.jpg]
」
「第6図
[図:0001391278000034.jpg]
」
ウ 実願昭63-110579号(実開平2-32161号)のマイクロフィルム
この審決において新たに引用する実願昭63-110579号(実開平2-32161号)のマイクロフィルム(以下「引用文献8」という。)は、出願日より前に頒布された刊行物であり、図面とともに以下の記載がある。下線は当審が付与した。
明細書8頁8行~11頁16行
「[実施例]
以下、この考案を図面に示す一実施例に基づいて更に具体的かつ詳細に説明する。
第1図はこの考案が適用された小型文書作成装置の分解斜視図、第2図は同小型文書作成装置のヒンジ結合部分を示した縦断面図、第3図は同小型文書作成装置の電気的接続部分を示した縦断面である。
この小型文書作成装置は、情報を入力するキーボード1や各種電子部品(図示せず)等を収納してなる本体ケース(第1のケース体)2と、入力された情報を表示する液晶表示パネル3や回路(図示せず)等を収納してなる表示ケース(第2のケース体)4とで構成されている。この場合、表示ケース4はその下端中央部を本体ケース2に対して1個の長尺なヒンジ部材5で回動可能に結合されていて、本体ケース2に対して開閉(折畳み)可能となっている。そして、本体ケース2の接続端子と表示ケース4の接続端子間を電気的に接続するフレキシブルな接続シート6はヒンジ部材5内を通されている。
上記ヒンジ部材5は、楕円筒状に形成された長尺の本体(上下の分割体7a、7bからなり、図示しないボルト等で一体化されている)7の両端面にそれぞれ第1の支持軸8と第2の支持軸9とが並設された構造になっている。例示の場合では、両端の第1の支持軸8、8は合成樹脂製の本体ケース2の上面に設けられたヒンジ取付用窪み部10の両端面に一体形成されていて、本体7の両端面に形成された穴11、11(一方は図示せず)に本体7が自由回動を可能とするように嵌め込まれている。また、両端の第2の支持軸9、9は合成樹脂製の表示ケース4の内面に設けられたヒンジ取付用窪み部12の両端面に一体形成されていて、本体7の両端面に形成された穴13、13(一方は図示せず)に本体7が自由回動を可能とするように嵌め込まれている。
しかして、上記ヒンジ部材5は、本体7の両端面の穴11、11を第1の支持軸8、8に嵌め込むことによって本体ケース2を回動可能に支持し、本体7の両端面の穴13、13を第2の支持軸9、9に嵌め込むことによって表示ケース4を回動可能に支持している。このように第2の支持軸9、9でヒンジ部材5に回動可能に支持された表示ケース4は、ヒンジ部材5との間に設けられた2個の抑制手段14、14によって第2の支持軸9、9を支点とする回動が抑制されている。抑制手段14、14は表示ケース4に所定以上の回動力が加えられない限り表示ケース4を第2の支持軸9、9を支点として回動させない抑制力を有している.このような抑制手段14は第4図および第5図に示すように蝶番形をなしたヒンジ構造、すなわち、軸(ビス)15で回動可能に結合された第1のヒンジ要素16と第2のヒンジ要素17とで構成されていて、軸15の端部に螺着されるナット18の締め付けによって軸力を高めて第1のヒンジ要素16と第2のヒンジ要素17は所定以上の回動力を加えないと軸15を支点として回動しないようにしている。そして、このような抑制手段14の第1のヒンジ要素16をヒンジ部材5側に固定し、第2のヒンジ要素17を表示ケース4側に固定している。この場合軸15はヒンジ部材5の第2の支持軸9、9の軸線上に配置されて第1のヒンジ要素16はヒンジ部材5に対して接着等で固定され、第2のヒンジ要素17は表示ケース4のヒンジ取付用窪み部12に形成されたスリット19に嵌め込んで表示ケース4に対して固定されている。」
明細書12頁3行~13頁20行
「次に、上記の如く構成された小型文書作成装置の、考案部分に関する動作を説明する。
第2図(a)はキーボード1等を収納した本体ケース2に対して、液晶表示パネル3等を収納した表示ケース4が閉じられた(すなわち折畳まれた)状態を示している。このとき、ヒンジ部材5の本体7は垂直状態にある。しかして、このような状態にある表示ケース4を本体ケース2から開くべく操作すると、第2図(b)に示すように表示ケース4はヒンジ部材5の本体7がヒンジ取付用窪み部10の底部に当接して水平状態となるまで、第1の支持軸8、8を支点として自由回動する。このようにして略垂直の位置までに開かれた表示ケース4に所定以上の回動力を加えると、ヒンジ取付用窪み部10の底部に回動を規制されているヒンジ部材5に対して表示ケース4は各抑制手段14、14の軸15、15を支点として回動するようになるので、表示ケース4は更に各抑制手段14、14の第2のヒンジ要素17、17が本体7に回動を許容される詭囲、すなわち第2図(c)に示す後方に傾斜する位置まで開く。従って、表示ケース4は第2図(b)の略垂直位置から第2図(c)の傾斜位置の回動角度範囲において任意の角度で傾斜保持できる。また、このように開いた状態にある表示ケース4を閉じるべく操作すると、第2図(d)に示すように表示ケース4はヒンジ部材5の本体7がヒンジ取付用窪み部10の側部に当接して垂直状態となるまで第1の支持軸8、8を支点として自由回動する。このようにして前方に傾斜する位置まで閉じられた表示ケース4に所定以上の回動力を加えると、ヒンジ取付用窪み部10の側部に当接して回動を規制されているヒンジ部材5の本体7に対して表示ケース4は各抑制手段14、14の軸15、15を支点として回動するようになるので、表示ケース4は更にその内面(表示面)が本体ケース2の上面にほぼ接触する水平位置まで閉じられて本体ケース2に対して折畳み状態となる。」
明細書15頁14~17行
「更に、上記実施例はこの考案を小型文書作成装置に適用した場合を示したが、この考案は卓上電子計算機、電子ゲーム機等の他の折畳型の電子機器にも巾広く適用することが可能である。」
「第1図
[図:0001391278000035.jpg]
」
「第2図
[図:0001391278000036.jpg]
」
「第4、5図
[図:0001391278000037.jpg]
」
エ 周知技術4の認定
上記アの記載事項の「ミシン丁番7」は、第4図から明らかなように2つの回動軸を有するヒンジであると認められる。
そうすると、上記引用文献6~8の各文献に記載された事項から次の周知技術が認定できる(以下「周知技術4」という。)。
「小型電子機器の折り畳み見開き可能な2つの部材を、2つの回動軸を有するヒンジを用いて、それぞれの回動軸のまわりに回動させることにより、見開き面を左右平らにすることが可能であること。」
(7)本件訂正発明1と引用発明の対比
本件訂正発明1と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「主にデータ入カパネルである第1のパネル12」は、「不透明な第1のデジタイザ22を有する第1の平坦な表面20を有し、第1のデジタイザ22上へ入力されるデータに応答するための選択された液晶ディスプレイを有するものであり」、「主にディスプレイパネルとして役立ち、かつ第2のデータ入力パネルとしても兼務する第2のパネル14」は、「液晶ディスプレイを有する第2平坦な表面24と液晶ディスプレイの上に置かれる透明な第2のデジタイザ26を含」むものである。
そうすると、引用発明の「第1のパネル12」と「第2のパネル14」は、本件訂正発明1の「略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」であって、少なくともいずれか一方の表示板が「情報入力機能を有する画面」を表示させるものである「2つの表示板」」に相当する。
また、引用発明の「コンピュータノートブック10」は、「ユーザーが座ったり、立ったり、又は、歩いたりする位置にあるときに、片手でコンピュータを保持し、もう片方の手でデータを入力することを許容する」ものであるから、本件訂正発明1の「ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置」に相当する。
したがって、引用発明は、本件訂正発明1の構成Aに相当する構成を備えている。
イ 引用発明では、「第1のパネル12と第2のパネル14は蝶番手段16によって接続されており、蝶番手段16は1つのパネルが他方に対していかなる角度位置においても設定されることを許容するものであり、第1のパネル12及び第2のパネル14の両方が蝶番手段16を中心とした多数の角度において配向することが許容されており」、「蝶番手段16は、蝶番手段16のまわりの360度の弧内のいかなる位置においても第1のパネル12及び第2のパネル14が配向されるために備えられ、4つの主たる位置(図2の閉じられた位置、図4の一方が他方に対してほぼ垂直になる位置、図1の平坦な位置、図3の背中合わせで折畳まれた位置)が、機能性を許容するために予め設定され」ているから、本件訂正発明1と引用発明は、「前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、且つ前記2つの表示板の少なくともいずれか一方の表示板をユーザーが回動させたとき当該一方の表示板と他方の表示板とが相対的に回動するように、接続するための左右見開き接続手段」を備える点で共通する。
ウ 引用発明では、「蝶番手段16は1つのパネルが他方に対していかなる角度位置においても設定されることを許容するものであり、第1のパネル12及び第2のパネル14の両方が蝶番手段16を中心とした多数の角度において配向することが許容されており」、「蝶番手段16は、蝶番手段16のまわりの360度の弧内のいかなる位置においても第1のパネル12及び第2のパネル14が配向されるために備えられ」るから、「360度の弧内」に含まれる0度から180度までの範囲の「いかなる位置においても」「配向される」ことは当然可能であって、このことは、本件訂正発明1の構成Cの「「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により「ユーザーの任意の角度」に変化させられ」ることに相当する。
引用発明の「第1のパネル12」の「ロッキング機構」では、「締着つまみ42」が「第1の軸36を締めるために回され、かつ増加された引張りが、第1の蝶番ブラケット28に接している拡開端39と第1のパネル12との嵌合をきつくするようにされ」、「セラミックジャケット40」が「スペーサとして使用され、第1のパネル12が動かずに定格のトルク量を支持することを許容する改良された摩擦を提供するため」に「用いられ」る。
また、引用発明の「第2のパネル14」の「ロッキング機構」では、「締着つまみ42によって固定されるものであり」、「締着つまみ42が時計回りに回転して、第2の蝶番ブラケット30と第3の蝶番ブラケット32との間の第2のパネル14にかかる引張りが第2のパネル14を所望されるほど堅く保持し得るように」され、「パネル12及び14を保持するのに必要とされる摩擦を増加するために半硬のゴム座金46が使用され」る。
そうすると、引用発明においても、摩擦力により、第1のパネル12と第2のパネル14の間をユーザーの設定する任意の角度で保持しているといえる。
したがって、引用発明の「第1のパネル12」の「ロッキング機構」及び「第2のパネル14」の「ロッキング機構」は、本件訂正発明1の構成Cの「「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により「ユーザーの任意の角度」に変化させられたとき、摩擦力により、前記2つの表示板の間を前記「任意の角度」で保持する任意角度保持手段」に相当する。
この点に関し、請求人は意見書において、「(3)しかしながら、このような「乙1発明(当審注:引用文献1記載の発明)の「つまみ42」を人間がうまく(コツをつかんで)回すことによりもし「ちょうどよい摩擦力」を生じさせることができたらならば任意角度での保持が可能になる」という構成は、「野球のフォークボールの投げ方」と同様に、再現性がなく、そもそも発明にも該当しないから、引用発明としての的確性がない。上記「野球のフォークボールの投げ方」とのアナロジーでいうと、乙1発明の「つまみ42」が「野球のボール」に該当する。いくら「野球のボール」を与えられても、コツが分からなければフォークボールを投げられないのと同様に、いくら乙1発明の「つまみ42」を与えられても、コツが分からなければ、「「つまみ42を人間が回すことによりもし「ちょうどよい摩擦力を生じさせることができたらならば任意角度での保持が可能になる」ことは不可能である。
(4)仮に上記(3)を措くとしても、すなわち、仮に乙1発明の「つまみ42」を人間が回すことによりもし「ちょうどよい摩擦力」を生じさせることができたらならば任意角度での保持が可能になるための機構なるものが、発明に該当するとしても、そのような発明なるものは、第三者にとって再現可能でなく、実施可能でないから、引用発明としての適格性をかく。」と主張している。
しかしながら、引用発明の「第1のパネル12」の「ロッキング機構」にしても、「第2のパネル14」の「ロッキング機構」にしても、「締着つまみ42」を回して固定するために、ユーザーが「コツ」をつかんで「ちょうどよい摩擦力」で回さなければユーザーが固定することができない程度の複雑なものであるとは考え難く(単に固定されるまでつまみを回し続ければよい)、再現性を欠くとの上記主張は採用できない。
エ 引用発明は、「蝶番手段16は、蝶番手段16のまわりの360度の弧内のいかなる位置においても第1のパネル12及び第2のパネル14が配向されるために備えられ、4つの主たる位置(図2の閉じられた位置、図4の一方が他方に対してほぼ垂直になる位置、図1の平坦な位置、図3の背中合わせで折畳まれた位置)が、機能性を許容するために予め設定され」るものであり、「予め設定され」る「図1の平坦な位置」での「第1のパネル12及び第2のパネル14」の「配向」は、本件訂正発明1の構成Dの「前記「2つの表示板」を、「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が約180度となる」ことに相当する。
そして、引用発明では、「図1の平坦な位置」に「設定」したとき、「第1のパネル12」の「ロッキング機構」及び「第2のパネル14」の「ロッキング機構」を用いて、その設定位置を固定することが可能であるから、このような設定位置を固定可能な「第1のパネル12」の「ロッキング機構」及び「第2のパネル14」の「ロッキング機構」は、本件訂正発明1の構成Dの「前記「2つの表示板」を、「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段」に相当する。
オ 上記アにおける検討内容を踏まえると、引用発明の「コンピュータノートブック10」は、本件訂正発明1の構成Gの「片手支持可能な表示装置」に相当する。
上記ア~オの対比内容をまとめると、本件訂正発明1と引用発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点1~3で相違する。
[一致点]
略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」であって、少なくともいずれか一方の表示板が「情報入力機能を有する画面」を表示させるものである「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、且つ前記2つの表示板の少なくともいずれか一方の表示板をユーザーが回動させたとき当該一方の表示板と他方の表示板とが相対的に回動するように、接続するための左右見開き接続手段と、
「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により「ユーザーの任意の角度」に変化させられたとき、摩擦力により、前記2つの表示板の間を前記「任意の角度」で保持する任意角度保持手段と、
前記「2つの表示板」を、「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、
を備えた片手支持可能な表示装置。
[相違点1]
「左右見開き接続手段」により「前記2つの表示板の少なくともいずれか一方の表示板をユーザーが回動させたとき」、本件訂正発明1では、「当該一方の表示板と他方の表示板とが「それらが互いに接続されている部分」を回動中心として相対的に回動する」(構成B)のに対して、引用発明では、「第1の軸36」を回動中心として「第1のパネル12が回転」し、「第2の軸38」を回動中心として「第2のパネル14が回転」する点。
[相違点2]
本件訂正発明1は、「前記2つの表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの、前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により「約120度から約170度までの範囲内の予め決められた1つの角度」に変化させられたとき、前記回動をストップさせて、前記「2つの表示板」の間を前記「予め決められた1つの角度」で固定する中間左右見開きストッパであって、前記「2つの表示板」の、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広げられて行く動作、をストップする機能と、前記「2つの表示板」の、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が「ユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態」から狭められて行く動作、をストップする機能と、を有する中間左右見開きストッパ」(構成E)を備えているのに対して、引用発明は、そのような構成を備えていない点。
[相違点3]
本件訂正発明1では、「ユーザーが、「前記2つの表示板の前記各平面の間の見開き角度」が広がるように前記「2つの表示板」の少なくともいずれか一方を回動させて前記見開き角度を任意に変化させるとき、前記2つの表示板の間を「ユーザーの任意の角度」で摩擦力により保持するようにしながら、前記見開き角度が前記「予め決められた1つの角度」になったときは、前記中間左右見開きストッパにより、前記回動をストップさせて、前記2つの表示板のそれらが互いに接続されている部分及びその近傍部分の画面が表示される側に「谷状の部分」を、且つ前記2つの表示板のそれらが互いに接続されている部分及びその近傍部分の画面が表示されない側に「山状の部分」を固定的に形成する構成」(構成F)を備えているのに対して、引用発明では、第1のパネル12と第2のパネル14が「図3の背中合わせで折畳まれた位置では、片手で装置を運び、もう片方の手でデータを入力することが容易になる」としている点。
(8)本件訂正発明1についての独立特許要件の判断
ア 相違点1について
(ア)小型の電子機器において、相対的に自由に回動させ、折畳むことができる2つの部材の少なくともいずれか一方をユーザーが回動させたとき、当該一方の部材と他方の部材とが「それらが互いに接続されている部分」を回動中心として相対的に回動するように、接続するための左右見開き接続手段を設けることは、周知の技術である(前記(3)イ(ウ)の「周知技術1」を参照)。
また、小型電子機器の折り畳み見開き可能な2つの部材を、2つの回動軸を有するヒンジを用いて、それぞれの回動軸のまわりに回動させることにより、背中合わせに折り畳み可能にすることや、見開き面を左右平らにすることは、いずれも、周知の技術である(前記(5)ウの「周知技術3」及び(6)エの「周知技術4」を参照)。
このように小型電子機器の折り畳み見開き可能な2つの部材を、折り畳み状態から見開き状態へと回動させるにあたり、その見開き角度を背中合わせ状態(360度状態)まで可能とするか、それとも、左右平らな状態(180度状態)まで可能とするか、また、その回動軸を1軸とするか、それとも、2軸とするかは、いずれも当業者には自明の選択肢であるから、回動軸と見開き角度をどのように構成するかは、小型電子機器の使用形態や見開き可能な2つの部材の寸法(厚み等)に応じて当業者が適宜選択すべき設計事項にすぎないものである。
そうすると、周知技術3に示されたような2つの回動軸で360度までの見開き構成の代わりに、周知技術1に示されたような1つの回動軸で180度までの見開き構成とすることは、単なる周知技術の置き換えにすぎないというべきである。
(イ)すなわち、引用発明は「ユーザーが座ったり、立ったり、又は、歩いたりする位置にあるときに、片手でコンピュータを保持し、もう片方の手でデータを入力することを許容するコンピュータノートブック10」であり、小型の電子機器であるといえる点で引用文献2に開示された技術と共通するから、引用発明において、「第1のパネル12」と「第2のパネル14」をそれぞれ回動させる「第1の軸36」と「第2の軸38」を有する「蝶番手段16」(2つの回動軸で360度までの見開き構成)に代えて、上記周知技術1(1つの回動軸で180度までの見開き構成)を採用することにより、上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者ならば容易に想到し得たことである。
(ウ)この点に関し、請求人は意見書において、「しかしながら、乙1発明(当審注:引用文献1記載の発明)では、そもそも、2つの表示板のそれぞれについて回転軸があるから、甲68(当審注:引用文献2)を、乙1発明に適用するときは、甲68のヒンジ部を2つも用意して、乙1発明に適用しなければならない。その際には、甲68の「筒状のヒンジ部」を2つ横に並べて互いに溶接などで固定したりする必要もある。このような甲68の「筒状のヒンジ部」を2つ横に並べて互いに溶接などで固定したりすることを含む組み合わせのためには、多大な試行錯誤が必要となる。よって、組み合わせの動機付けがない。」と主張している。
しかしながら、引用発明に上記周知技術1を採用する際には、上述のとおり、「第1のパネル12」と「第2のパネル14」をそれぞれ回動させる「第1の軸36」と「第2の軸38」を有する「蝶番手段16」に代えて、「第1のパネル12」と「第2のパネル14」を回動させる軸を1つの軸として構成するのであり、当業者ならば、そうすることに格別の困難性はないというべきであるから、請求人の上記主張を採用することはできない。
イ 相違点2について
(ア)折り畳み式の小型電子機器において、表示板2を含む2つの部材のなす角度が、ユーザーによる表示板2の回動により約120度から約170度までの範囲内の予め決められた1つの角度に変化させられたとき、前記回動をストップさせて、前記2つの部材の間を前記予め決められた1つの角度で固定する中間ストッパであって、前記2つの部材のなす角度が折り畳まれた状態から広げられて行く動作をストップする機能と、広げられた状態から角度を狭めて行く動作をストップする機能を有する中間ストッパを設けることは、周知の技術である(前記(4)イ(ウ)の「周知技術2」を参照)。
(イ)そして、引用発明は「ユーザーが座ったり、立ったり、又は、歩いたりする位置にあるときに、片手でコンピュータを保持し、もう片方の手でデータを入力することを許容するコンピュータノートブック10」であり、小型の電子機器であるといえる点で引用文献3に開示された技術と共通するから、引用発明において、「第1のパネル12及び第2のパネル14の両方が蝶番手段16を中心とした多数の角度において配向する」に際し、上記周知技術2を採用することにより、上記相違点2に係る本件訂正発明1の構成とすることは当業者ならば容易になし得たことである。
(ウ)この点に関し、請求人は意見書において、「乙4発明(当審注:引用文献3記載の発明)は、「フリーストップ型(無段階型)チルト機構」の欠点を解消するための「ポップアップ型チルト機構」として提案されたものであり、「チルト機構」である以上は「ユーザーの任意の角度」での保持を目的とする機構である。よって、乙4発明は、相違点2(当審注:この審決における「相違点2」とは異なる。)に係る「任意角度保持手段」に相当することはあるとしても、「所定の角度で、ユーザーの任意によらずに、回動をストップさせて固定する中間ストッパ」に相当するものではない。」と主張している。
しかしながら、引用文献3の明細書7頁3~12行には、「次に、表示板の開閉動作を説明すると、例えば第5図に示すように、操作板1上に折畳まれた状態の表示板2を矢印方向へ引き起こす時、図示せざるロック機構を外すと、回転軸8の溝aに沿って表示板2はIの位置までポップアップ回動する。以後、表示板2を見易い傾斜位置まで手で回転軸8を支軸に回転すると、該回転軸の各溝b、c、d、eの任意のところで夫々クリック音を感触させながらII、III、IV、Vの位置で停止し、確実に固定させることができる。」(下線は当審が付与した。)と記載されているから、「回転軸の各溝b、c、d、e」に対応する「II、III、IV、Vの位置」で「固定」させるものであり、所定の角度で、ユーザーの任意によらずに、回動をストップさせて固定する中間ストッパに相当するから、請求人の上記主張を採用することはできない。
また、請求人は意見書において、上記周知技術2が、乙4発明(引用文献3)の一部と甲66発明(実願昭59-104166号(実開昭61-19832号)のマイクロフィルム)の一部とを適宜寄せ集め組み合わせて1つの発明を周知技術として認定したものである旨主張しているが、上記(4)イ(ウ)において示したとおり、そのような認定は行っておらず、この主張も採用することはできない。
さらに、請求人は意見書において、上記周知技術2を引用発明に適用するのには、組み合わせの阻害要因があり、動機付けもない旨主張している。
しかしながら、回動軸をどのようなものとし見開き角度をどのように設定するかということと、見開きの途中で半固定可能にすることは、それぞれ独立した観点のものであって両立し得るものであるから、引用発明に上記周知技術1を適用することと並行して上記周知技術2を適用して上記相違点2に係る本件訂正発明1の構成とすることは可能であり、組み合わせの阻害要因があるとはいえない。
したがって、請求人の上記主張も採用することはできない。
ウ 相違点3について
(ア)前記「2 訂正の目的」「(3)訂正事項1-10」のイにおいて検討したとおり、本件訂正前の明細書の段落【0045】の記載を参照すれば、「画面が表示される側」の「谷状の部分」や、「画面が表示されない側」の「山状の部分」とは、断面略V字状の凹状部分(すなわち、約105度から約170度までの間のいずれかの角度に折り曲げられている部分)とその反対側の部分を指すと解するのが相当であり、2つの表示板を見開き状態で使用するときの、当該2つの表示板の折り曲げ角度によって規定されるものである。
引用発明において、上記周知技術1を採用することにより上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成とするとともに、上記周知技術2を採用することにより上記相違点2に係る本件訂正発明1の構成とした場合には、引用発明の「第1のパネル12」と「第2のパネル14」の見開き角度が約120度から約170度までの範囲内の予め決められた1つの角度において回動がストップし固定されることになるから、そのような場合には、「第1のパネル12」と「第2のパネル14」が互いに接続されている部分及びその近傍部分には、ユーザー側(画面表示側)からみて「谷状の部分」、その反対側からみて「山状の部分」が固定的に形成されることは明らかである。
(イ)また、引用発明の「第1のパネル12」の「ロッキング機構」及び「第2のパネル14」の「ロッキング機構」は、摩擦力により、「第1のパネル12」と「第2のパネル14」の間をユーザーの設定する任意の角度で保持しており、「締着つまみ42」の回転の度合いを調節することにより、この摩擦力の大きさを加減することが可能であるから(必要ならば、特開昭59-221725号公報(上記(3)において既に引用。)の6頁左上欄11~13行の「したがって、そのナットとスクリューが締め付けられる度合いに依って、上記の部分A1とA2が互に回転するに要する力の量が決まる。」との記載も参照のこと。)、上記(ア)のような場合に、「第1のパネル12」と「第2のパネル14」の間を摩擦力により保持するようにしながら、回動をストップさせる角度まで回動させることが可能であることも明らかである。
(ウ)そうすると、「ユーザーが、「前記2つの表示板の前記各平面の間の見開き角度」が広がるように前記「2つの表示板」の少なくともいずれか一方を回動させて前記見開き角度を任意に変化させるとき、前記2つの表示板の間を「ユーザーの任意の角度」で摩擦力により保持するようにしながら、前記見開き角度が前記「予め決められた1つの角度」になったときは、前記中間左右見開きストッパにより、前記回動をストップさせて、前記2つの表示板のそれらが互いに接続されている部分及びその近傍部分の画面が表示される側に「谷状の部分」を、且つ前記2つの表示板のそれらが互いに接続されている部分及びその近傍部分の画面が表示されない側に「山状の部分」を固定的に形成する構成」は、引用発明において、上記周知技術1及び2を採用することにより、上記相違点1及び2に係る本件訂正発明1の構成とした結果、当然得られる構成にすぎない。
(エ)そして、引用発明では、「第1のパネル12」と「第2のパネル14」が「図3の背中合わせで折畳まれた位置では、片手で装置を運び、もう片方の手でデータを入力することが容易になる」としているが、「第1のパネル12」と「第2のパネル14」の見開き角度が約120度から約170度までの範囲内の予め決められた1つの角度において回動がストップし固定された状態にあるときでも、「コンピュータノートブック10」を片手で保持し、もう片方の手でデータを入力することは可能である。
(オ)したがって、上記相違点3に係る本件訂正発明1の構成は、引用発明において、上記周知技術1及び2を採用することにより、上記相違点1及び2に係る本件訂正発明1の構成とした結果、当然得られるものにすぎない。
(カ)請求人は、意見書において、上記周知技術1及び2を引用発明に適用すると、引用発明における2つの表示板が互いに180度回動して全体として360度回動することにより「互いに背中合わせ」に設定できるとする引用発明の課題解決手段としての本質的要素を失わせることになるから、組み合わせの阻害要因がある旨主張している。
しかしながら、前記ア(ア)において説示したとおり、2軸で180度までの開き角度とすることは、周知で当業者に自明の選択肢であるから、引用発明に接した当業者が360度の状態を可能とすることに束縛されるとはいえないし、引用文献1の図3に示された360度の状態は一使用形態を示したにすぎないものである。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
エ まとめ
上記ア~ウの検討のとおり、相違点1から相違点3は、引用発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて当業者が容易に想到し得たものであり、また、本件訂正発明1の効果として、当業者の予測を超える格別顕著な効果は認められないから、本件訂正発明1は、引用発明及び周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。
(9)本件訂正発明2、10についての独立特許要件の判断
本件訂正発明2、10についても、上記(3)及び(4)において検討した対比・判断の内容がほぼ同様に当てはまるから、本件訂正発明2、10は、引用発明及び周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。
(10)小括
上記(1)~(9)の検討内容をまとめると、本件訂正発明1、2及び10は、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、請求項1、2及び10についての訂正は、同法126条7項の規定に適合しない。
(11)令和2年12月21日に提出された意見書について
当審の審判長は、期間(通知の発送の日である令和2年11月4日から30日以内)を指定して令和2年10月29日付けで訂正拒絶理由通知書を通知したところ、請求人より、令和2年12月4日に意見書(以下「意見書(1)」という。)が提出された。
その後、上記期間を大幅に経過した後の令和2年12月21日に意見書(以下「意見書(2)」という。)が新たに提出された。
上記意見書(2)の提出にあたり、請求人から期間の延長の請求はされておらず、また、請求人の責めに帰することができない理由によって期間内に手続をすることができない等の特別の事情があったとも認められない。
したがって、指定期間を大幅に徒過して提出された意見書(2)の主張内容は、採用しない。なお、上記意見書(2)の内容は、前記当審の判断を左右するものでもない。
第6 むすび
以上検討した内容を総合すると以下のとおりである。
前記検討のとおり、請求項11及び請求項12についての訂正は、適法であり、本件補正により補正された訂正特許請求の範囲の請求項11及び請求項12のとおり、訂正することを認める。
前記検討のとおり、請求項1、2及び10についての訂正は不適法であり、請求項1、2及び10に係る訂正は認められない。
ここで、請求項10に係る訂正が認められない結果、請求項10についての「別の訂正単位とする求め」は認められない。そして、訂正前の請求項10は請求項1~9を引用しているから、請求項1~10は一群の請求項を構成することとなり、請求項1、2、7~9についての「別の訂正単位とする求め」も認められないことになり、当該一群の請求項1~10については、訂正は認められない。
前記検討のとおり、本件特許の明細書の訂正は適法であるから、本件特許の明細書を、本件補正により補正された訂正明細書のとおり、訂正することを認める。
よって、上記結論のとおり審決する。
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2020-390019