特許無効審判
2019-800085
シート貼付構造体及びシート貼付構造体を用いて保護シートを貼付する貼付方法
- 審判番号
- 2019-800085
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 特願2012-267651
- 登録番号
- 5547792
- 請求日
- 2019年10月10日
- 審決日
- 2021年09月22日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 IDクリエイト
- 【請求人代理人】藤田 知美
- 【請求人代理人】溝上 武尊
- 【請求人代理人】飯島 歩
- 【請求人代理人】川上 桂子
- 【被請求人】株式会社 ホリ
- 【被請求人代理人】岩池 満
- 【被請求人代理人】小菅 一弘
- 【被請求人代理人】杉山 周平
- 【被請求人代理人】三浦 修
- 審判長/審判官
- 審判長 亀ヶ谷 明久
- 審判官 門前 浩一
- 審判官 川端 修
- 分類
- P1113.121-ZDA(G09F) / P1113.113-ZDA(G09F) / P1113.537-ZDA(G09F) / P1113.851-ZDA(G09F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法123条1項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第134条の2第9項、特許法第134条の2第1項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第123条第1項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第131条の2第2項、特許法第134条の2第3項、特許法第169条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の特許第5547792号発明「シート貼付構造体及びシート貼付構造体を用いて保護シートを貼付する貼付方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第5547792号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕、6について訂正することを認める。
特許第5547792号の請求項1、3、4、6に係る発明についての特許を無効とする。
特許第5547792号の請求項2、5に係る発明についての審判請求は、成り立たない。
審判費用は、その6分の2を請求人の負担とし、6分の4を被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 手続の経緯・補正の許否の決定
1 本件特許に係る出願は、平成24年12月6日(優先権主張 平成24年7月31日(以下「本件優先日」という。))に出願され、平成26年5月23日に特許第5547792号として設定登録がされたものである。
本件特許無効審判事件における手続の経緯は、以下のとおりである。
令和元年10月10日 本件無効審判請求(請求項1~6に係る特許に対して)
令和元年12月26日 答弁書及び訂正の請求
令和2年 3月 5日 弁駁書
令和2年 6月30日付 当審から書面審理通知
令和2年11月10日付 当審が補正許否の決定、第2答弁指令
令和2年12月14日 請求人から回答書
令和2年12月16日 被請求人から第2答弁書
令和3年 3月24日付 当審から審決の予告
令和3年 5月28日 訂正の請求
令和3年 6月18日 弁駁書
2 補正の許否の決定
(1)決定の結論
審判請求人が令和3年6月18日に提出した弁駁書による請求の理由の補正については、特許法第131条の2第2項の規定により、許可することを決定する。
(2)決定の理由
令和3年6月16日提出の弁駁書において、請求人は本件特許請求の範囲の請求項2、4についての無効理由を補正したが、これは令和3年5月28日にされた訂正の請求により必要になったものと認められる。
第2 本件訂正について
令和3年5月28日にされた訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、訂正の内容を「本件訂正」という。)について検討する。なお、令和元年12月26日にされた訂正の請求は取下げられたものとみなされる。
1 訂正事項
本件訂正は、以下の訂正事項からなるものである(下線は当審が付した。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記保護シートを前記装置の表面に仮止めするための仮止部と」と記載されているのを、「前記保護シートを前記装置の表面に仮止めするための前記第1剥離部より小さい1箇所の仮止部と」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2、請求項3、請求項4及び請求項5も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項6に「前記第1剥離部に重なって配置されると共に前記装置に貼り付け可能な仮止部と」と記載されているのを、「前記第1剥離部に重なって配置されると共に前記装置に貼り付け可能な前記第1剥離部より小さい1箇所の仮止部と」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項2に「前記前記仮止部は、前記第1剥離部における前記分離ライン寄りに配置される」と記載されているのを、「前記延出部は、前記第1剥離部及び前記第2剥離部の前記保護シート側の面につながる面が外側に配置されるように折り返され、前記仮止部は、前記第1剥離部における前記分離ライン寄りに配置される」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3、請求項4及び請求項5も同様に訂正する)。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「前記第1延出部は、前記第1剥離部における前記分離ライン寄りの部分から前記保護シートの外側に延びており、」と記載されているのを、「前記装置は携帯型であり、前記第1延出部は、前記第1剥離部における前記分離ライン寄りの部分から前記保護シートの外側に延びており、」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する)。
2 一群の請求項について
訂正事項1、3、4により訂正される訂正前の請求項1~5のうち請求項2~4は、いずれも、直接または間接的に請求項1を引用するものであるから、請求項1~5は、一群の請求項であり、訂正事項1、3、4は一群の請求項ごとにされたものであって、特許法第134条の2第3項の規定に適合する。
3 訂正の適否について
(1)訂正の目的の適否
ア 訂正事項1
訂正前の請求項1では、「仮止部」の大きさ、数について特定されていない。これに対して、訂正後の請求項1では、当該「仮止部」の大きさと数について、第1剥離部より小さいこと、1箇所であることを特定することでより具体的な構成を明らかにして特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項1は、特許法134条の2第1項ただし書第1号に規
定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
イ 訂正事項2
訂正前の請求項6では、「仮止部」の大きさ、数について特定されていない。これに対して、訂正後の請求項6では、当該「仮止部」の大きさと数について、第1剥離部より小さいこと、1箇所であることを特定することでより具体的な構成を明らかにして特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項2は、特許法134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
ウ 訂正事項3
訂正前の請求項2では、「延出部」の構成について特定されていない。これに対して、訂正後の請求項2では、当該「延出部」が第1剥離部及び第2剥離部の保護シート側の面につながる面が外側に配置されるように折り返された構成であることを特定して具体的な構成を明らかにして特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項2は、特許法134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
エ 訂正事項4
訂正前の請求項4では、「装置」の構成について具体的な特定はされていない。これに対して、訂正後の請求項4では、当該「装置」が携帯型であることを特定することでより具体的な構成を明らかにして特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項2は、特許法134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
(2)実質上拡張・変更の有無
ア 訂正事項1
前記(1)アのとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。また、訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載以外に、訂正前の請求項2、3、4及び5の記載について訂正するものではなく、請求項2、3、4及び5のカテゴリーや対象、目的を変更するものでもない。よって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものといえる。
イ 訂正事項2
前記(1)イのとおり、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。よって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法126条第6項の規定に適合する。
ウ 訂正事項3
前記(1)ウのとおり、訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。よって、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法126条第6項の規定に適合する。
エ 訂正事項4
前記(1)エのとおり、訂正事項4は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。よって、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法126条第6項の規定に適合する。
(3)新規事項の追加の有無
ア 訂正事項1
(ア)仮止部が「第1剥離部より小さい」ことについて、本件特許の願書に添付した明細書の段落【0068】に「仮止貼付部30の大きさは、第1剥離部21の大きさよりも小さい。そのため、保護シート10を位置決めする際のシート貼付構造体1の取り扱いが容易である。」と記載されており、また、同段落【0023】に「仮止貼付部30(仮止部)」と記載されていることから、仮止部が「第1剥離部より小さい」という特定を加える訂正は、本件特許の願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内の訂正といえる。
(イ)仮止部が「1箇所」に設けられることは、本件特許の願書に添付した明細書の段落【0100】に「仮止貼付部30を第1剥離部21の1箇所に設ける構成とした」と記載されており、仮止部を「1箇所」に設けるという訂正は本件特許の願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内の訂正といえる。
(ウ)以上から、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法特許法134条の2第9項で準用する特許法126条第5項の規定に適合するものといえる。
イ 訂正事項2
前記アと同様に、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものといえる。
ウ 訂正事項3
(ア)「延出部」が「前記第1剥離部及び前記第2剥離部の前記保護シート側の面につながる面が外側に配置されるように折り返され」る構成であることについて、本件特許の願書に添付した明細書の段落【0030】に「第1延出部211は、図2に示すように、第1剥離部21の保護シート10側の面21aにつながる面211aが外側に配置されるように折り返されている。」と記載され、同段落【0034】に「第2延出部221は、図2に示すように、第2剥離部22の保護シート10側の面22aにつながる面221aが外側に配置されるように折り返されている。」と記載されている。
(イ)また、後記第3、2(7)ウに摘記した本件特許明細書の図2を参照すると、第1延出部221が第1剥離部21の保護シート10側の面21aにつながる面211aを有することが読み取れ、また、その面211aが折り曲げ部において山折りとなるように、すなわち面211aが外側に配置されるように折り曲げられていることが読み取れる。また、第2延出部221についても同様である。
(ウ)以上から、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法特許法134条の2第9項で準用する特許法126条第5項の規定に適合するものといえる。
エ 訂正事項4
(ア)「装置」が「携帯型」であることについて、本件特許の願書に添付した明細書の段落【0002】には、「従来、ゲーム機(装置)」と記載されており、ゲーム機が装置に包含されていることが読み取れる。ここで、本件特許明細書の【図3】~【図6】を参照すると、そのゲーム機が両手で持ちながら操作可能な携帯型ゲーム機であることが読み取れる。
(イ)また、本件特許の願書に添付した明細書の【0094】には、「前記実施形態においては、被貼付部材の表示面をゲーム機8の表示面81としたが、これに制限されない。例えば、被貼付部材の表示面を、携帯電話機の表示面・・・に使用される表示面としてもよい。」と記載されており、「装置」が携帯電話機を包含することが記載されているから、携帯電話機すなわち「携帯型」の「装置」に用いることも開示されていることになる。
(ウ)以上から、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法特許法134条の2第9項で準用する特許法126条第5項の規定に適合するものといえる。
4 訂正についての小括
以上のように、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を訂正特許請求の範囲の記載のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕、6について訂正することを認める。
第3 本件発明
1 本件訂正後の請求項1~6に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明6」といい、まとめて「本件発明」ということもある。)は、以下のとおりの発明である。なお、分説のための記号(A~X)は当審が付した。
「【請求項1】
A 装置の表面に貼り付けられて前記表面を保護する保護シートであって、接着面を有する保護シートと、
B 前記接着面を覆うと共に、分離ラインを介して並んで配置される第1剥離部及び第2剥離部を有する剥離シートと、
C 前記第1剥離部及び前記第2剥離部それぞれから前記保護シートの外側に延びる延出部と、
D 前記第1剥離部における前記保護シートとは反対側の面に設けられる仮止部であって、
E 前記第1剥離部の外側にはみ出ないように前記第1剥離部に重なって配置され、前記装置に貼り付け可能であって、前記保護シートを前記装置の表面に仮止めするための前記第1剥離部より小さい1箇所の仮止部と、を備えることを特徴とする保護シート貼付用のシート貼付構造体。
【請求項2】
Q’ 前記延出部は、前記第1剥離部及び前記第2剥離部の前記保護シート側の面につながる面が外側に配置されるように折り返され、
Q 前記仮止部は、前記第1剥離部における前記分離ライン寄りに配置される
R ことを特徴とする請求項1に記載の保護シート貼付用のシート貼付構造体。
【請求項3】
F 前記延出部は、前記第1剥離部から前記保護シートの外側に延びる第1延出部と、前記第2剥離部から前記保護シートの外側に延びる第2延出部と、を有する
G ことを特徴とする請求項1又は2に記載の保護シート貼付用のシート貼付構造体。
【請求項4】
S’ 前記装置は携帯型であり、
S 前記第1延出部は、前記第1剥離部における前記分離ライン寄りの部分から前記保護シートの外側に延びており、
T 前記第2延出部は、前記第2剥離部における前記分離ライン寄りの部分から前記保護シートの外側に延びている
U ことを特徴とする請求項3に記載の保護シート貼付用のシート貼付構造体。
【請求項5】
V 前記第1延出部は、前記第1剥離部の前記保護シート側の面につながる面が外側に配置されるように折り返されると共に、前記分離ラインに交差する方向で且つ前記第2剥離部から遠ざかる方向に延びており、
W 前記第2延出部は、前記第2剥離部の前記保護シート側の面につながる面が外側に配置されるように折り返されると共に、前記分離ラインに交差する方向で且つ前記第1剥離部から遠ざかる方向に延びている
X ことを特徴とする請求項3又は4に記載の保護シート貼付用のシート貼付構造体。
【請求項6】
H 装置の表面に貼り付けられて前記表面を保護する保護シートであって接着面を有する保護シートと、
I 前記接着面を覆うと共に分離ラインを介して並んで配置される第1剥離部及び第2剥離部を有する剥離シートと、
J 前記第1剥離部における前記分離ライン寄りの部分から前記保護シートの外側に延びる第1延出部と、前記第2剥離部における前記分離ライン寄りの部分から前記保護シートの外側に延びる第2延出部と、
K 前記第1剥離部における前記保護シートとは反対側の面に設けられ且つ前記第1剥離部の外側にはみ出ないように前記第1剥離部に重なって配置されると共に前記装置に貼り付け可能な前記第1剥離部より小さい1箇所の仮止部と、
L を備える保護シート貼付用のシート貼付構造体を用いて保護シートを貼付する貼付方法であって、
M 前記仮止部を装置の表面に前記保護シートを仮止めする仮止工程と、
N 前記仮止工程により前記保護シートを前記仮止部で仮止めした後に、前記第2剥離部を前記第2延出部を引っ張ることにより前記保護シートから剥がして、前記保護シートを前記装置の表面に貼付する第1剥離貼付工程と、
O 前記第1剥離貼付工程の後に、前記仮止部が設けられる前記第1剥離部を前記第1延出部を引っ張ることにより前記保護シートから剥がすと共に前記仮止部を前記装置の表面から剥がして、前記保護シートを前記装置の表面に貼付する第2剥離貼付工程と、
P を備えるシート貼付構造体を用いて保護シートを貼付する貼付方法。」
2 本件明細書及び図面の記載
本件特許の願書に添付された明細書(以下「本件明細書」という。)及び図面には、次の記載がある。
(1)「【0006】
本発明は、保護シートの位置ずれを低減することができるシート貼付構造体及びシート貼付構造体を用いて保護シートを貼付する貼付方法を提供することを目的とする。」
(2)「【0021】
<第1実施形態>
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の第1実施形態のシート貼付構造体1及びシート貼付構造体1を用いて保護シート10を貼付する貼付方法について具体的に説明する。なお、シート貼付構造体1の説明において、シート貼付構造体1の保護シート10の長辺に沿う方向をX方向とし、X方向の一方側(図面の左方側)をX1側、X方向の他方側(図面の右方側)をX2側
とする。また、シート貼付構造体1の保護シート10の短辺に沿う方向をY方向とし、Y方向の一方側(図面の上方側)をY1側、Y方向の他方側(図面の下方側)をY2側とする。また、シート貼付構造体1の厚さ方向をZ方向とする。
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態に係るシート貼付構造体1の全体構成を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は、図1(a)のA-A線断面図である。図2は、図1に示すシート貼付構造体1の分解斜視図である。
【0023】
図1及び図2に示すように、第1実施形態におけるシート貼付構造体1は、図1及び図2に示すように、保護シート10と、剥離シート20と、仮止貼付部30(仮止部)と、仮止保護シート40と、を備える。
・・・
【0028】
第1剥離部21は、第1延出部211を有する。第2剥離部22は、第2延出部221を有する。
【0029】
第1延出部211は、図1及び図2に示すように、第1剥離部21のX方向における切断可能ライン23寄り(X2側)の部分において、第1剥離部21のY方向のY2側の端部から保護シート10のY方向のY2側(外側)に延びている。なお、第1延出部211は、第1剥離部21に接着して形成されていてもよい。
【0030】
第1延出部211は、図2に示すように、第1剥離部21の保護シート10側の面21aにつながる面211aが外側に配置されるように折り返されている。第1延出部211は、切断可能ライン23に略直交する(交差する)X方向で且つ第2剥離部22から遠ざかる方向(X1側)に延びている。第1延出部211のX方向のX1側の端部214は、第1延出部211を引っ張ることにより保護シート10から第1剥離部21を剥離させる際において、使用者により把持される把持部として構成される。
【0031】
詳述すると、第1延出部211は、図2に示すように、帯状に形成され、折り返される前の状態において、切断可能ライン23のY方向のY2側の端部から、切断可能ライン23が延びる方向に沿って、切断可能ライン23の延長線上に沿ってY方向に直線状に延びている(図2における二点鎖線参照)。第1延出部211の一辺212は、切断可能ライン23のY方向のY2側の端部から延びている。
そして、第1延出部211は、第1剥離部21の保護シート10側の面21aにつながる面211aが外側に配置されるように折り返されている。第1延出部211は、図2に示すように、折り返された状態において、第1延出部211の一辺212が第1剥離部21のY2側のX方向に延びる辺21bに沿うように、折り返し傾斜ライン213を介して折り返されている。
【0032】
このように構成される第1延出部211は、図1に示す状態において、保護シート10の上面側からシート貼付構造体1を押さえた状態でX方向のX1側に引っ張られることで、第1剥離部21を切断可能ライン23側から切断して、第1剥離部21を保護シート10から剥離させることができる。」
(3)「【0044】
まず、仮止工程において、図3及び図4に示すように、シート貼付構造体1を使用する使用者は、仮止貼付部30から仮止保護シート40を剥離させて仮止貼付部30の粘着面30aを露出した状態で、仮止貼付部30をゲーム機8の表示面81に貼付する。これにより、保護シート10をゲーム機8の表示面81に位置決めした状態で、保護シート10をゲーム機8の表示面81に仮止めする。ここで、仮止貼付部30の大きさは、第1剥離部21よりも小さい。そのため、保護シート10の接着面10aが露出していない状態で仮止貼付部30を表示面81に位置決めして貼り付けることで、保護シート10の位置決めを容易に行うことができる。
・・・
【0048】
また、第2延出部221は、切断可能ライン23寄りに配置されている。そのため、第2延出部221を引っ張ることにより、切断可能ライン23を容易に切断することができる。更に、本実施形態においては、第2延出部221の一辺222は、切断可能ライン23のY方向のY2側の端部から延びている。そのため、第2延出部221を引っ張るだけで、切断可能ライン23を一層容易に切断することができる。」
(4)「【0055】
以上に説明した第1実施形態のシート貼付構造体1によれば、例えば、次のような効果が奏される。
【0056】
第1実施形態においては、ゲーム機8の表示面81に貼り付けられてゲーム機8の表示面81を保護する保護シート10であって、接着面10aを有する保護シート10と、接着面10aを覆うと共に、分離ライン23を介して並んで配置される第1剥離部21及び第2剥離部22を有する剥離シート20と、第1剥離部21及び第2剥離部22から保護シート10の外側に延びる延出部211、221と、を備える。そのため、第1延出部211及び第2延出部221を引っ張るだけで、第1剥離部21及び第2剥離部22を保護シート10から容易に剥離させて、保護シート10をゲーム機8の表示面81に容易に貼付することができる。
【0057】
また、第1実施形態においては、第1剥離部21に設けられ、保護シート10をゲーム機8の表示面81に仮止めするための仮止貼付部30を更に備える。そのため、仮止貼付部30により保護シート10を位置決めした状態で仮止めすることで、保護シート10を容易に位置決めすることができる。これにより、保護シート10の位置ずれを低減することができる。また、仮
止貼付部30により保護シート10をゲーム機8に仮止めできるため、保護シート10をゲーム機8の表示面81に容易に貼付することができる。」
(5)「【0059】
また、第1実施形態においては、仮止貼付部30は、第1剥離部21における切断可能ライン23寄りに配置される。そのため、仮止貼付部30を切断可能ライン23側に貼り付けた安定した状態で、保護シート10から第2剥離部22を剥離させることができる。これにより、安定した状態で保護シート10を表示面81に貼付することができるため、保護シート10の位置ずれを低減することができる。
【0060】
また、第1実施形態においては、第1延出部211は、第1剥離部21における切断可能ライン23寄りの部分から保護シート10の外側に延びており、第2延出部221は、第2剥離部22における切断可能ライン23寄りの部分から保護シート10の外側に延びている。そのため、第1剥離部21及び第2剥離部22を、切断可能ライン23側から剥離することができる。これにより、保護シート10を端部側から貼り付けるよりも、保護シート10を安定した状態で貼り付けることができ、保護シート10とゲーム機8の表示面81との間に気泡やホコリが入ることを低減することができる。」
(6)「【0064】
また、第1延出部211は、第1剥離部21の保護シート10側の面21aにつながる面211aが外側に配置されるように折り返される。第2延出部221は、第2剥離部22の保護シート10側の面22aにつながる面221aが外側に配置されるように折り返される。そのため、第1延出部211及び第2延出部221をX方向のX1側又はX2側に引っ張った場合に、第1剥離部21及び第2剥離部22における保護シート10の接着面10a側の面21a,22aを折り返し傾斜ライン223を境に反転させながら、保護シート10から第2剥離部22を剥離するように移動させることができる。これにより、第1延出部211及び第2延出部221をX方向のX1側又はX2側に引っ張ることにより、第1剥離部21及び第2剥離部22を、保護シート10の接着面10aから容易に剥離させることができる。」
(7)図面関連
ア 「【符号の説明】
【0103】
1、1A、1B、1C シート貼付構造体
8 ゲーム機(装置、被貼付部材)
9 カメラ(装置)
10 保護シート
10a 接着面
20 剥離シート
21 第1剥離部
22 第2剥離部
23 切断可能ライン(分離ライン)
30 仮止貼付部(仮止部)
・・・」
イ 「【図1】
[図:0001391202000001.jpg]
[図:0001391202000002.jpg]
」
ウ 「【図2】
[図:0001391202000003.jpg]
」
(8)「延出部」の解釈について
ア 請求人の主張
(ア)本件発明1及び6における「延出部」について、請求人は、審判請求書の第54頁及び第55頁において、本件特許の審査段階での被請求人の主張などから、「水平方向に引っ張ることによってシート貼付構造体1全体には水平方向の力を加えつつ、剥離部を保護シートの接着面から容易に剥離させることができる構造を有する部位であり、具体的には、各剥離部の切断可能ライン寄りの部分において剥離部の端部から外側に延び、切断可能ラインに略直交する方向に折り返され、かつ、各他方の剥離部から遠ざかる方向に延び、把持部を構成する等の構造を有するもの」(本件発明5の構成要件)に限られると主張し、その解釈を前提としても本件発明1~6は、進歩性を欠如する旨主張する。
(イ)また、請求人は、本件発明6における「引っ張る」について、本件特許の審査段階での被請求人の主張などから、「引っ張る」とは、「延出部を保護シートの面に対して水平方向に引っ張ること」に限られると主張している。
イ 当審の判断
(ア)発明の要旨認定は、特許請求の範囲に記載された事項について、原則文言の持つ意味自体で解釈されることとなる。
(イ)本件特許1及び6の発明特定事項である「延出部」は、「前記第1剥離部及び前記第2剥離部それぞれから前記保護シートの外側に延びる延出部」と特定されているのみであるから、第1剥離部及び第2剥離部から外側に延びていれば足りるものである。
(ウ)また、本件発明6の構成N及びOにおける「引っ張る」とは、「延出部」を引くという意味であり、「延出部」に特定がない以上、どのように保護シートからはがすのかは特定されないから、保護シートの面に対して水平方向に引くという意味に解することはできない。
(エ)請求人の主張に対して
a 明細書の記載に基づく主張
甲12によれば、請求人は、前記第3、2(6)に摘記した本件明細書の段落【0064】に「・・・第1延出部211及び第2延出部221をX方向のX1側又はX2側に引っ張ることにより、第1剥離部21及び第2剥離部22を、保護シート10の接着面10aから容易に剥離させることができる。」と記載されていることから、「延出部」について水平方向(X方向)に引っ張ることにより剥離可能であることが、必須の構成であると主張していると解される。
しかしながら、本件明細書の段落【0064】に記載されているのは、本件発明に含まれる実施例を説明しているものである。また、本件発明における「延出部」を請求人主張の意味に定義する記載であるともいえない。そうすると、本件明細書の段落【0064】に記載の作用効果が本件発明の構成を解釈する上で必須のものであるということはできない。
b 審査経過に基づく主張
(a)甲12によれば、請求人は、本件発明に係る出願の拒絶査定後の拒絶査定不服審判請求書における被請求人の主張に基づいて「延出部」を限定解釈すべきと主張していると解される。
(b)具体的には、本件被請求人が拒絶査定不服審判請求書において「第1剥離部における仮止部による保護シートを仮止した状態で第2剥離部を水平方向に引っ張るように剥離しても、仮止部により仮止される垂直方向と第2剥離部が引っ張られる水平方向とが異なる方向であるため、保護シートの位置ずれを低減することができます。(本願発明1の効果(ア))。」と主張していることをもって、「延出部」について水平方向(X方向)に引っ張ることにより剥離可能であることが、必須の構成であると主張する。
(c)被請求人の前記(b)の主張は、本件発明1に包含される第1実施形態の効果を主張するものと解されるから、本件発明1の効果の主張としては、厳密には正しいものではないが、本件発明1に包含される前記aに記載された実施例による効果も本件発明1を前提とするものであるから、このような本件発明1の効果の主張によって、「延出部」を限定解釈しなければならないとすることはできない。
第4 請求人の主張の概要
1 証拠について
請求人の提示した証拠は、以下のとおりである。以下、甲第1号証を甲1などという。
(1)審判請求書に添付された証拠
甲1:韓国公開特許10-2010-0107652号公報
甲2:特開平6-220411号公報
甲3:国際公開2012/074802号
甲4:特開2006-168344号公報
甲5:特許第4887451号公報
甲6:特開2012-46713号公報
甲7:実用新案登録第3141815号公報
甲8:実用新案登録第3142562号公報
甲9:実用新案登録第3142328号公報
甲10:被請求人作成に係る平成31年4月25日付の訴状
甲11:被請求人作成に係る令和元年5月13日付の訴状訂正申立書
甲12:請求人作成に係る令和元年7月31日付の補助参加人準備書面(2)
甲13:被請求人作成に係る令和元年8月26日付の準備書面(1)
(2)審判事件弁駁書に添付された証拠
甲14:特開2000-299722号公報
甲15:特開2000-298434号公報
甲16:実用新案登録第3061870号公報
甲17:実用新案登録第3069314号公報
甲18:特開2006-206782号公報
甲19:特開2000-335200号公報
2 無効理由の概要
請求人が主張する無効理由は以下のとおりである。なお、令和2年11月10日付で、令和2年3月5日付けの審判事件弁駁書によってされた請求の理由の補正は許可されており、前記第1、2において令和3年6月18日付けの審判事件弁駁書によってされた請求の理由の補正は許可されているから、補正後の理由を示す。
(1)無効理由1
甲1に記載された発明に基づく本件発明1~4、6の新規性欠如(特許法第29条第1項第3号)。
(2)無効理由2
甲1に記載された発明及び甲2に記載された発明に基づく本件発明1~6の進歩性欠如(特許法第29条第2項)。
(3)無効理由3
甲3に記載された発明及び周知技術〔甲1、2、4~9、14~18〕に基づく本件発明1~4、6の進歩性欠如(特許法第29条第2項)。
(4)無効理由4
甲3に記載された発明並びに甲4に記載された発明及び周知技術〔甲14~18〕に基づく本件発明1~4、6の進歩性欠如(特許法第29条第2項)。
(5)無効理由5
甲3に記載された発明及び甲2に記載された発明に基づく本件発明1~6の進歩性欠如(特許法第29条第2項)。
(6)無効理由6
甲4に記載された発明及び甲3に記載された発明に基づく本件発明1~4、6の進歩性欠如(特許法第29条第2項)。
(7)無効理由7
甲4に記載された発明並びに甲3に記載された発明及び甲2に記載された発明に基づく本件発明1~6の進歩性欠如)
(8)無効理由8
請求項2の「分離ライン寄りに配置される」という記載に係る明確性要件違反(特許法第36条第6項第2号)。
(9)無効理由9
請求項4の「分離ライン寄りの部分から」という記載に係る明確性要件違反(特許法第36条第6項第2号)。
(10)無効理由10
請求項6の「分離ライン寄りの部分から」という記載に係る明確性要件違反(特許法第36条第6項第2号)。
(11)無効理由11
甲1に記載された発明及び設計事項に基づく本件発明1~4、6の進歩性欠如(特許法第29条第2項)。
(12)無効理由12
甲1に記載された発明及び甲3に記載された発明に基づく本件特許1~4、6の進歩性欠如(特許法第29条第2項)。
(13)無効理由13
甲1に記載された発明及び甲19に記載された発明に基づく本件発明1~4,6の進歩性欠如(特許法第29条第2項)。
(14)無効理由14
甲1に記載された発明(の設計変更)と甲2に記載された発明に基づく、本件発明1~6の進歩性欠如(特許法第29条第2項)。
(15)無効理由15
甲1に記載された発明と甲3に記載された発明と甲2に記載された発明に基づく本件発明1~6の進歩性欠如(特許法第29条第2項)
(16)無効理由16
甲1に記載された発明並びに甲19に記載された発明及び甲2に記載された発明に基づく本件発明1~6の進歩性欠如(特許法第29条第2項)。
第5 被請求人の主張の概要
被請求人は、「本審判の請求は成り立たない」「審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め、乙1号証(以下「乙1」という。)を証拠として提出するとともに、請求人の主張は何れも理由がないとして、以下の主張をしている。
乙1:令和2年12月7日作成の実験報告書
1 無効理由1について
甲1発明は、本件発明1の構成要件E及び本件発明6の構成要件Kを有しないから、本件発明1及び引用する本件発明2~4並びに本件発明6は新規性を欠如するものではない。
2 無効理由2、11~16について
(1)甲1に記載の発明は、本件発明1の構成E及び本件発明6の構成Kにおける「前記第1剥離部の外側にはみ出ないように前記第1剥離部に重なって配置」される「仮止部」の構成を開示しない。甲1の「取っ手(24)」は仮接着裏紙(21)の一部であって、仮接着裏紙(21)の裏面には全面に粘着剤層(22)が設けられているから、「取っ手(24)」の裏面にも粘着剤層(22)が設けられているのが自然であり、この場合、「第1剥離部の外側」にはみ出ることになるから、構成上の相違があり、この相違点に係る本件発明の構成が当業者において容易に想到するといえない。
(2)甲1に記載された発明は、本件発明1の構成E及び本件発明6の構成Kにおける「前記装置に貼り付け可能な前記第1剥離部より小さい~仮止部」という構成を有しない。甲1に記載されたように粘着剤層(22)が全面に設けられていることにより、異物が除去できるのであるから、全面より小さい仮止部とすることには阻害要因がある。
(3)本件発明2について
本件発明2における「前記延出部は、前記第1剥離部及び前記第2剥離部の前記保護シート側の面につながる面が外側に配置されるように折り返され、」という発明特定事項は、甲1、3~5、14~19のいずれにも記載されていない。また、当該特定事項が記載されている甲2は、甲1と技術分野が相違する。
3 無効理由3について
(1)本件発明1、6と甲3発明とを対比すると、少なくとも相違点が2つある。いずれの相違点も容易に想到できるものではない。
(2)相違点3-1(延出部の有無)について
甲3発明は大型ディスプレイを対象として保護シールを貼り付けるものであるから、延出部を設けてそこから持ち上げることが困難であるので、相違点1は容易に想到できないことである。
(3)相違点3-2(1箇所か否か)について
甲3発明においては、仮止部に対応するPSA領域が4箇所設けられることが図面から読み取れる。甲3の4箇所を「1箇所」に変更することに動機付けがないから、相違点2は当業者が容易に想到できるものではない。
(4)本件発明2について
本件発明2における「前記延出部は、前記第1剥離部及び前記第2剥離部の前記保護シート側の面につながる面が外側に配置されるように折り返され、」という発明特定事項は、甲1、3~5、14~19のいずれにも記載されていない。また、当該特定事項が記載されている甲2は、甲1と技術分野が相違する。
(5)本件発明4について
本件発明4における「装置」は「携帯型」であるから、17インチ以上の電子ディスプレイパネルに関する甲3に記載された発明と相違する。
4 無効理由4について
(1)甲3発明との相違点は、前記3と同じである。そのうち、相違点3-2についての主張は、前記3(3)に記載したとおりである。
(2)相違点3-1に係る本件発明の構成が、甲4記載事項から容易想到と請求人は主張するが、甲3と甲4とは保護フィルムを貼り付ける主体が異なるから、適用には阻害事由が存在する。
(3)本件発明2について
本件発明2における「前記延出部は、前記第1剥離部及び前記第2剥離部の前記保護シート側の面につながる面が外側に配置されるように折り返され、」という発明特定事項は、甲1、3~5、14~19のいずれにも記載されていない。また、当該特定事項が記載されている甲2は、甲3と技術分野が相違する。
(4)本件発明4について
本件発明4における「装置」は「携帯型」であるから、17インチ以上の電子ディスプレイパネルに関する甲3に記載された発明と相違する。
5 無効理由5について
(1)甲3発明において、相違点3-1に係る「延出部」を設けることは甲3発明の成立自体を阻害するものである上、「延出部」を設ける必要もなく、延出部に相当するディスプレイ用のフィルム貼付構造体が存在したとしても、当業者が甲3発明を基に相違点3-1に係る構成を想到することができない。
(2)また、甲3発明のシート貼付構造体において、仮止部を1箇所とすることは不可能であり、仮に1箇所の仮止部を有するディスプレイ用のフィルム貼付構造体が存在したとしても、当業者が甲3発明を基に相違点3-2に係る構成を相当することはできない。
(3)本件発明2について
本件発明2における「前記延出部は、前記第1剥離部及び前記第2剥離部の前記保護シート側の面につながる面が外側に配置されるように折り返され、」という発明特定事項は、甲1、3~5、14~19のいずれにも記載されていない。また、当該特定事項が記載されている甲2は、甲3と技術分野が相違する。
(4)本件発明4について
本件発明4における「装置」は「携帯型」であるから、17インチ以上の電子ディスプレイパネルに関する甲3に記載された発明と相違する。
6 無効理由6について
(1)甲3発明には、仮止部に相当するPSA領域を82インチに適する少なくとも17インチ以上の大型電子ディスプレイデバイスの表面に貼り付けられて前記表面を保護する保護フィルム等の光学フィルムに備えた構成が示されているが、甲3発明でPSA領域は4箇所に設けられている。
本件発明1の仮止部は1箇所であるから、甲3発明を甲4発明に、仮に適用できたとしても、上記の相違点に係る構成を容易に想到することはできない。
(2)甲4発明は、1.5インチから7インチを超える7インチ以上のスクリーンに対し一般消費者がスクリーン保護シートを良好に貼り付けることができるようにするためになされた発明である。
これに対し、甲3発明は、82インチのような大型ディスプレイパネルへの保護フィルムに適するものであって、少なくとも17インチ以上の大型ディスプレイパネルを対象とした保護フィルムの貼り付けに関するものである。その貼り付けも、ディスプレイパネルの製造過程における貼り付けを主に想定したもので、仮に機器の購入後に貼り付けることが行われることがあったとしても、専門業者のような極めて技術に習熟した作業者が行うことを想定したものである。
しかも、甲3発明は17インチ以下のディスプレイパネルを貼り付けの対象として除外している。甲4には「大きなサイズのスクリーン保護膜」(【0027】)との記載はあるが、1.5インチから7インチという非常に小型のディスプレイパネルとの比較における7インチ以上の比較的大きなサイズのディスプレイパネルであるから、甲3発明と甲4発明とは、貼り付け対象であるディスプレイパネルの大きさの次元が異なるものであり、甲4発明のスクリーン保護シートが甲3発明の対象から除外されているのは明らかである。
したがって、貼り付けの対象とするディスプレイパネルも、貼り付け作業を行う実施主体も全く異なる前提の発明である。
よって、甲4発明に甲3発明を適用することはそもそもできない。
(3)本件発明2について
本件発明2における「前記延出部は、前記第1剥離部及び前記第2剥離部の前記保護シート側の面につながる面が外側に配置されるように折り返され、」という発明特定事項は、甲1、3~5、14~19のいずれにも記載されていない。また、当該特定事項が記載されている甲2は、甲3と技術分野が相違する。
(4)本件発明4について
本件発明4における「装置」は「携帯型」であるから、17インチ以上の電子ディスプレイパネルに関する甲3に記載された発明と相違する。
7 無効理由7について
(1)甲4発明と甲3発明を組み合わせることは出来ないこと、仮に組み合わせたとしても、本件特許発明の「仮止部」に関する構成を想到できないことは前記6で述べたとおりである。
したがって、甲2発明に請求人の主張するような「延出部」の構成が開示されていたとしても、本件発明1から6が無効とされることはない。
(2)本件発明2について
本件発明2における「前記延出部は、前記第1剥離部及び前記第2剥離部の前記保護シート側の面につながる面が外側に配置されるように折り返され、」という発明特定事項は、甲1、3~5、14~19のいずれにも記載されていない。また、当該特定事項が記載されている甲2は、甲3と技術分野が相違する。
(3)本件発明4について
本件発明4における「装置」は「携帯型」であるから、携帯型か否か明らかでない甲4に記載された発明と相違する。
8 無効理由8~10について
(1)前記第3、2(3)に摘記したように本件明細書の段落【0048】には、「第2延出部221は、切断可能ライン23寄りに配置されている。そのため、第2延出部221を引っ張ることにより、切断可能ライン23を容易に切断することができる。」と記載されている。延出部が分離ライン(切断可能ライン23)寄りの部分に配置されているのは、分離ラインを容易に切断することができるようにするためであり、そのような意義を有する構成である。
(2)しかしながら、少なくとも分離ライン寄りの部分であれば分離が困難になるような問題は生じないから、請求項2、4、6において当該位置に延出部を設けることを特定したものである。
(3)そのような意義を有する位置に延出部が設けられていると評価されるのであればこの要件を満たすのであるから、その意味は当業者にとって明確である。
第6 刊行物の記載事項
本件優先日前に頒布された刊行物である各甲号証には以下の記載がある。
1 甲1の記載事項
甲1には次の記載がある。また、翻訳文を併記する。
(1)段落[0001]~[0002]
「
[図:0001391202000004.jpg]
[図:0001391202000005.jpg]
」
「[0001] 本発明は、携帯電話やPDA(PDA:Personal Digital Assistants)、ノート型パソコン、電子辞典のような個人携帯用情報端末の画面や、胴体部表面(ケース)を保護するために貼り付ける保護フィルムに関し、
[0002] 特に、本発明は、個人携帯用情報端末のLCD(LCD:Liquid Crystal Display)画面上やキーボード又は外部表面に保護フィルムを定位置に正確かつ容易に貼り付けることのできる保護フィルム付着構造を有する。」
(2)段落[0004]
「
[図:0001391202000006.jpg]
」
「このような個人携帯用情報端末は、液晶画面やキー入力部(キーパッド)又は胴体部の表面に保護フィルムを貼り付けて機器を保護することが見られる。」
(3)段落[0008]~[0009]
「
[図:0001391202000007.jpg]
」
「[0008] 携帯用情報端末に保護フィルムを貼り付けることにおいて、貼り付ける前に保護フィルムを貼り付けようとする対象面を清潔に清掃し、貼り付ける時には保護フィルムの接着底面に指紋や指の跡が発生しないように注意し、
[0009] 貼り付けの過程においては保護フィルムが定位置で一回に貼り付けるように慎重に貼り付ける。」
(4)段落[0010]
「
[図:0001391202000008.jpg]
」
「もし、保護フィルムを定位置で一回に貼り付けることができない場合、ずれるように保護フィルムが貼り付けられ、ずれて貼り付けられた保護フィルムを取り外す場合、接着剤の面に異質物が流入したり指紋や指の跡によって接着剤の面が毀損されて透明度が低下し、接着剤の面が損傷する場合、接着力が低下するという問題点を抱えている。」
(5)段落[0021]
「
[図:0001391202000009.jpg]
」
「本発明は、携帯電話や、PDA、電子辞典、ゲーム機、ノート型パソコンのような個人携帯用情報端末の画面やキー入力部又は本体表面に貼り付けて機器を保護する保護フィルムにおいて、一般消費者である熟練されていない者であっても、保護フィルムを携帯用情報端末の対象表面に一回で正確に貼り付けられる構造を有する。」
(6)段落[0022]~[0023]
「
[図:0001391202000010.jpg]
」
「[0022] 前記個人携帯用情報端末の液晶画面やケースに貼り付けて画面又は機器を保護する保護フィルムはフィルム底面に強い接着剤を有しているため、一回で正確に保護フィルムを貼り付けることができない場合、保護フィルムはずれるように貼り付けられ、
[0023] ずれた保護フィルムを直すためにフィルムを取り外す、接着剤に異質物が投入したり、指紋や指の跡などにより保護フィルムが毀損される場合がある。」
(7)段落[0024]~[0027]
「
[図:0001391202000011.jpg]
[図:0001391202000012.jpg]
」
「[0024] 本発明は、このような問題点を解決して、熟練されていない一般消費者であっても、一回で正確に保護フィルムを情報端末に貼り付けることができるようにするものであって、本発明の構造を説明すると次のとおりである。
課題の解決手段
[0025] 個人携帯用情報端末の画面やキー入力部又は外部表面に貼り付けて機器を保護する保護フィルムで、
[0026] 合成樹脂材からなる保護フィルム(11)と、前記合成樹脂材からなる保護フィルム(11)の底面に接着剤層(12)を有し、前記接着剤層(12)を保護する裏紙(31)で構成されることにおいて、
[0027] 前記合成樹脂材からなる保護フィルム(11)と、裏紙(31)の間に透明な合成樹脂フィルム材からなる仮粘着裏紙(21)を有し、
前記仮粘着裏紙(21)は左右仮粘着裏紙(21A)(21B)に分離され、前記仮粘着裏紙(21)底面には粘着剤層(22)を有するようにしたものである。」
(8)段落[0030]
「
[図:0001391202000013.jpg]
」
「また、前記仮粘着裏紙(21)の左右仮粘着裏紙(21A)(21B)は、合成樹脂材からなる保護フィルム(11)のフレームの外側に突出する取っ手(24)を有する。」
(9)段落[0033]
「
[図:0001391202000014.jpg]
」
「このような構造を有する本発明は、透明な合成樹脂材からなる仮粘着裏紙(21)の底面の裏紙(31)を取り外した後、仮粘着裏紙(21)の底面の粘着剤層(22)を対象面に付け外しを繰り返しながら、定位置に粘着剤層(22)を粘着した後、仮粘着裏紙(21)の左右仮粘着裏紙(21A)(21B)を順次に取り外しながら合成樹脂材からなる保護フィルム(11)を対象面すなわち携帯用情報端末の画面や胴体部に貼り付ける。」
(10)段落[0034]~[0037]
「
[図:0001391202000015.jpg]
[図:0001391202000016.jpg]
[図:0001391202000017.jpg]
[図:0001391202000018.jpg]
」
「[0034] 本発明は、合成樹脂材からなる保護フィルム(11)を携帯用情報端末に正確に一回に貼り付けることによって、合成樹脂材からなる保護フィルム(11)の底面の接着剤層(12)と、裏紙(31)の間に透明な合成樹脂フィルム材からなる仮粘着裏紙(21)を有するものであって、前記仮粘着裏紙(21)を携帯用情報短期の対象表面すなわち、液晶画面又はキーパッド、又は本体に付け外しを繰り返し、仮粘着裏紙(21)を定位置に貼り付けてから、一側の仮粘着裏紙(21A)を携帯用情報端末に貼り付けた状態で、反対側の仮粘着裏紙(21B)を合成樹脂材からなる保護フィルム(11)から取り外した後、保護フィルム(11)の一側を携帯用情報端末に貼り付け、反対側の仮粘着裏紙(21A)を透明保護フィルム(11)の接着剤層(12)から取り外した後、残り半分側の合成樹脂材からなる保護フィルム(11)を携帯用情報端末表面に貼り付け、合成樹脂材からなる保護フィルム(11)を携帯用情報端末表面に貼り付ければ、合成樹脂材からなる保護フィルム(11)が正確に貼り付けられるという効果を有する。
発明を実施するための具体的な内容
[0035] 前記において、仮粘着裏紙(21)底面の粘着剤層(22)を携帯用情報端末の表面と付け外しを繰り返しながら表面に定位置を取ることと同時に、異質物を吸着除去して保護フィルムを貼り付けるとき、清潔な面を取得することができ、左右仮粘着裏紙(21A)(21B)を順にむき出した後、合成樹脂材からなる保護フィルム(11)を押しながら接合するため、内側に気泡を形成することなく、清潔かつ鮮明に、優れた透明度を有するように保護フィルム(11)を携帯用情報端末表面に貼り付けることのできる効果を有する。
[0036] 本発明は、通常、合成樹脂材からなる保護フィルム(11)と裏紙(31)の間に仮粘着裏紙(21)を介在したものであって、
[0037] 透明な合成樹脂フィルム材からなる仮粘着裏紙(21)の底面の粘着剤層(22)であって、貼り付けようとする携帯用情報端末の表面を付け外しを繰り返しながら、定位置に仮粘着裏紙(21)を対象表面に固定した後、左右2つの部分に分割される左右仮粘着裏紙(21A)(21B)のうち一つの仮粘着裏紙(21A)を先に取り外した後、その上の保護フィルム(11)を押しながら内側に気泡が発生しないするように携帯用情報端末の対象表面に貼り付けた後、前記反対側の仮粘着裏紙(21B)を保護フィルム(11)の底面から取り外した後、保護フィルム(11)を気泡が発生しないように押しながら接着剤層(12)を携帯用情報端末の対象表面の反対面に貼り付けることによって、保護フィルム(11)の貼り付けを完成することにある。」
(11)段落[0038]~[0039]
「
[図:0001391202000019.jpg]
[図:0001391202000020.jpg]
」
「[0038] 前記において、仮粘着裏紙(21)のフレームに突出した取っ手(24)を用いるとき、仮粘着裏紙(21)を保護フィルム(11)から容易に取り外すことができる。
[0039] また、仮粘着裏紙(21)を携帯用情報端末の表面に付け外しを繰り返しながら定位置を取ると同時に、異質物を吸着して清潔であり、透明度が向上され、仮粘着裏紙(21)に指示線(23)を形成して、前記指示線(23)を基準にして仮粘着裏紙(21)を携帯用移動端末機に貼り付けるとき、正確な位置に仮粘着裏紙(21)を貼り付ける(粘着)ことを可能にする。」
(12)段落[0040]~[0053]
「
[図:0001391202000021.jpg]
」
「[0040] 図1 本発明の分解斜視図である。
[0041] 図2 本発明の部分分解斜視図である。
[0042] 図3 本発明の断面図である。
[0043] 図4 本発明の分解断面の斜視図である。
[0044] 図5 本発明の使用状態の断面図であって、
[0045] 図5a 本発明における貼り付ける直前の断面図である。
[0046] 図5b 本発明における裏紙を取り外して情報端末に仮粘着裏紙を貼り付けたことを示す断面図である。
[0047] 図5c 本発明における情報端末に貼り付けた一側の仮粘着裏紙を持ち上げて取り外すことを示す断面図である。
[0048] 図5d 本発明における情報端末に取り外した仮粘着裏紙上の保護フィルムを貼り付けたことを示す断面図である。
[0049] 図5e 本発明の保護フィルム底面の他側の仮粘着裏紙を取り外しながら保護フィルムを貼り付けることを示す断面図である。
[0050] 図5f 本発明の保護フィルムを情報端末に貼り付けたことを示す断面図である。
[0051] 図6 従来における保護フィルムの部分分解斜視図である。
[0052] 図7 従来における保護フィルムの断面図である。
[0053] 図8 従来における保護フィルムの分解断面の斜視図である。」
(13)図面
甲1の図1~図5fは次のとおりである。なお、図6~8の摘記は省略した。
ア 図1
「
[図:0001391202000022.jpg]
」
イ 図2
「
[図:0001391202000023.jpg]
」
ウ 図3
「
[図:0001391202000024.jpg]
」
エ 図4
「
[図:0001391202000025.jpg]
」
オ 図5a
「
[図:0001391202000026.jpg]
」
カ 図5b
「
[図:0001391202000027.jpg]
」
キ 図5c
「
[図:0001391202000028.jpg]
」
ク 図5d
「
[図:0001391202000029.jpg]
」
ケ 図5e
「
[図:0001391202000030.jpg]
」
コ 図5f
「
[図:0001391202000031.jpg]
」
(14)特許請求の範囲
「
[図:0001391202000032.jpg]
」
「【請求項1】
合成樹脂材からなる保護フィルム(11)と、前記合成樹脂材からなる保護フィルム(11)底面に接着剤層(12)を有し、前記接着剤層(12)を保護する裏紙(31)で構成される保護フィルムにおいて、
前記合成樹脂材からなる保護フィルム(11)と、裏紙(31)の間に透明な合成樹脂フィルム材からなる仮粘着裏紙(21)を有して、前記仮粘着裏紙(21)は左右仮粘着裏紙(21A)(21B)に分離され、前記仮粘着裏紙(21)の底面には粘着剤層(22)を有することを特徴とする携帯用情報端末保護フィルム
【請求項2】
仮粘着裏紙(21)は左右で分離しないで一体化された構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の携帯用情報端末保護フィルム
【請求項3】
仮粘着裏紙(21)の左右仮粘着裏紙(21A)(21B)には指示線(23)を有することを特徴とする、請求項1に記載の携帯用情報端末保護フィルム
【請求項4】
仮粘着裏紙(21)の左右仮粘着裏紙(21A)(21B)には、保護フィルム(11)のフレームの外側に突出する取っ手(24)を有することを特徴とする、請求項1に記載の携帯用情報端末保護フィルム」
2 甲2の記載事項
甲2には次の記載がある。
(1)「【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る接着体の剥離紙は、上記のような実状に基き創案されたものであって、接着物の接着面に接着剤を一体化して設けてなる接着体において、その接着面の接着剤を保護する剥離紙の周縁の少なくとも一部に、剥離紙の周縁外方向に延出部分を設けると共に、該延出部分を剥離紙側に折返した状態で、折返された延出部分の端が延出部分自身の辺、または隣り合う辺、或は対向する辺等で接着体の周縁の側方に現われるように構成したことを要旨とする。
【0008】
【作用】接着体の裏面と被接着物の表面とが接触している位置決めの状態のままで、片手で接着体を被接着物の表面に固定しながら、接着体の裏面と被接着物の表面との間から接着体の周縁の側方に現われている延出部分の端を手で掴み、接着体の裏面と被接着物の表面との間で剥離紙を延出部分の折返し方向に反転させながら滑らせて、剥離紙を接着面より徐々に剥し取り、接着体の裏面と被接着物の表面との間から剥離紙を抜き取り接着剤の接着面を顕して接着体を被接着物に接着する。」
(2)「【0009】
【実施例】本発明の構成を図面に示された実施例により説明する。図1には、室内外の壁面に張付けられ案内表示に使われるプラスチック板によるネームプレート1が図示されている。ネームプレート1の裏面2全体には接着剤3が所定厚さに塗布又は貼着されており、そして、紙、或はプラスチック等からなるフイルム状で、横側方斜めに延出部分4aを有する剥離紙4が、その接着剤3表面全体を覆って張付けられている。剥離紙4の延出部分4aはネームプレート1の横側方の辺1aに沿って折返されて横側方の辺1aに隣り合う上辺1bの隅に一端4a’を現している。
【0010】ネームプレート1を壁面5に装着する場合は、剥離紙4を付けたままのネームプレート1を所定の位置に当てがい位置調整を行ない最終的な位置決めをし、位置がズレることがないように剥離紙4の延出部分4aが現われている側と反対側のネームプレート1の表面1cを一方の手で押え、他方の手で折返されてネームプレート1の上辺1bの隅に現われている剥離紙4の延出部分4aの端4a’手で掴み、壁面5とネームプレート1との間を反転させながら滑らして剥離紙4を剥離方向Aに引き剥して行く、3分の1程度剥した段階で手を持ち替えて、接着剤3が現われた側のネームプレート1の表面1dを押えてネームプレート1を壁面5に仮固定し、残りの剥離紙4を引続いて剥離方向Aに反転させながら引き剥し、ネームプレート1と壁面5との間から剥離紙4を抜き取り、ネームプレート1を壁面5に押し付けて密着させ接着固定する。」
(3)「【0011】ネームプレート1の剥離紙4の延出部分4aは、剥離紙4の横側方上斜めに延出されているため、折返された状態で延出部分4aの端4a’がネームプレート1の上辺1bの隅に大きく現われるので延出部分4aの端4a’が掴み易く、剥離紙4を反転させ易くなる。また剥離紙4の横側方の辺全体を延出させているため、剥離紙4と延出部分4aとの境界に段差ができないので、剥離紙4を折返し方向に反転させる時に段差部で剥離紙4が裂けて剥離紙4の剥し残しを作る虞がなくなるものである。」
(4)「【0012】接着体の剥離紙は図2、図3、図4に示すように、分割されていても良い。図2に示すものは建物の壁面等に装着する大型の案内表示パネル6の例で、上下に二分割された剥離紙7、7’が案内表示パネル6の裏面の接着面8を覆っている。上下の剥離紙7、7’の延出部分7a、7’aはそれぞれ同一側方に設けられており、上側の剥離紙7の延出部分7aは横側方上斜めに延出しており、案内表示パネル6の側方6cで折返されて案内表示パネル6の上辺6aの隅に現われている。下側の剥離紙7’の延出部分7’aは横側方下斜めに延出しており、案内表示パネル6の側方6cで折返されて案内表示パネル6の下辺6bの隅に現われている。上下に分割された剥離紙7、7’は片側づつ剥すことができるので剥し易く、接着面8が大きくても効率良く作業することができるものである。」
(5)「【0019】
【発明の効果】上記したように本発明は、接着体の接着面の剥離紙を接着体と被接着物との間で挟まれた状態のまま剥すことができるので、接着体を被接着物の表面上に載せて、所定の位置に正確な位置決めをした状態のままで接着体を被接着物に接着することができる。そのため、従来のもののように一旦位置決めをした後で剥離紙を剥し取り、再度位置合せをするといった手間が省けると共に、所定の位置に合せる前に接着体の接着面が被接着物に接着して手間取ったり、接着位置が不正確になることがなくなるので、接着体の被接着物への接着が簡単に且つ正確に行なえるものである。
【0020】またその結果、貼り直しのために接着体の接着物が歪んだり破れたりすることも接着剤の接着面が荒れたりする不都合も無くなり、仕上がりを美しく保てて初期の接着能力を失うこともなくなる。そのうえ作業者の手が接着面に触れることがないので作業を容易にし能率を上げることができるものである。」
(6)図1関連
ア 【図面の簡単な説明】の記載
「【図1】(A)は側方に剥離紙の延出部分を設けたネームプレートの正面図である。(B)は(A)の剥離紙の剥離状態図である。(C)は(B)に於けるB位置での断面図である。」
イ 「【図1】
[図:0001391202000033.jpg]
[図:0001391202000034.jpg]
[図:0001391202000035.jpg]
」
(7)図2関連
ア 【図面の簡単な説明】の記載
「【図2】剥離紙を上下に2分割し、上下方向に延出部分が現われる案内表示パネルの正面図である。」
イ 「【図2】
[図:0001391202000036.jpg]
」
3 甲3の記載事項
甲3には次の記載がある。また、翻訳文を併記する。
(1)明細書2頁25行(行数には空行を含む。以下同じ。)~3頁7行
「Brief Description of Drawings
Advantages and features of the invention may be more completely understood by consideration of the following figures in connection with the detailed description provided below. The figures are schematic drawings and illustrations and are not necessarily drawn to scale.
FIG. 1 shows a schematic cross section of an exemplary laminate.
・・・
FIGS. 5-6 show schematic perspective views of exemplary laminates.
FIGS. 7a-7d show an embodiment of the method in which an optical film is applied to a large format display panel of an electronic device not in a vertical position.」
「図面の簡単な説明
本発明の利点および特徴は、以下に提供される詳細な説明に関連して以下の図面を考慮することによって、より完全に理解され得る。図面は概略図および例示であり、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。
図1は、例示的な積層体の概略断面図を示す。
・・・
図5~6は、例示的な積層体の概略斜視図を示す。
図7a~7dは、垂直位置にない電子デバイスの大型ディスプレイパネルに光学フィルムが貼り付けられる方法の実施形態を示す。」
(2)明細書3頁27行~4頁2行
「An optical film having an adhesive layer on one side can be applied to a display panel by simply contacting the two followed by smoothing the film down onto the panel either by hand or with a tool. This method can be difficult to perform, for example, because air can be easily trapped between the film and the panel, and it can be difficult to align the film and the panel. Some optical films can be removed and applied several times until an acceptable result is obtained. This method may be suitable for use with films that are easily handleable by virtue of their size, such as for covering small display panels of handheld devices, netbooks, laptops and some computer monitors.」
「片面に接着剤層を有する光学フィルムは、フィルムをパネルに単に接触させ、続いてフィルムをパネル上に手または工具のいずれかでなでつけることによって、ディスプレイパネルに貼り付けることができる。この方法は実施が困難な場合がある。例えば、フィルムとパネルとの間に空気が入り込みやすく、フィルムとパネルとを位置合わせすることが難しいからである。許容可能な結果が得られるまで、剥がして貼り付けることを数回繰り返すことができる光学フィルムもある。この方法は、手持ち式デバイス、ネットブック、ラップトップ、およびいくつかのコンピュータモニタの小型ディスプレイパネルを覆うためのフィルムなど、そのサイズのおかけで取扱いが容易なフィルムと共に使用するのに適しているかもしれない。」
(3)明細書4頁3~9行
「The method of using an optical film with an adhesive layer, however, is not suitable for use with optical films needed to cover large format display panels. An optical film used with a large format display panel has a large area which makes the film difficult to handle without creasing or wrinkling, especially when trying to minimize entrapment of air and accumulation of unwanted debris on the adhesive layer. Also, because these large optical films can be difficult to handle, it is nearly impossible to obtain acceptable alignment of the film and the panel if the film is pre-cut to the final size.」
「しかしながら、接着剤層を有する光学フィルムを使用する方法は、大型ディスプレイパネルを覆うために必要とされる光学フィルムと共に使用するのに適していない。大型ディスプレイパネルと共に使用される光学フィルムは面積が大きく、特に、空気の入り込み及び接着剤層上に望ましくない破片が付着することを最小限にしようとするときに、折り目又はしわを生じることなくフィルムを取り扱うことが困難である。また、これらの大きな光学フィルムは取り扱いが困難であり得るので、フィルムが最終サイズにプレカットされている場合、フィルムおよびパネルを許容可能な状態に位置合わせすることは、ほとんど不可能である。」
(4)明細書4頁10~18行
「The method disclosed herein is advantageous because it can be used to apply, with relative ease and success, large optical films to large format display panels. The method utilizes pre-cut optical film that has been sized to cover a particular area of a display panel. The method can be carried out without any type of liquid. In some embodiments, the method can be carried out without cutting the laminate or optical film once contact is made with the display panel. The method disclosed herein utilizes "dry-apply" adhesive in the form of an adhesive layer on an optical substrate. The dry-apply adhesive layer can be self-wetting and/or removable such that it can be completely or partially repositioned as desired.」
「本明細書に開示される方法は、大型光学フィルムを大型ディスプレイパネルに比較的容易かつうまく貼り付けるために使用できるという利点がある。本方法は、ディスプレイパネルの特定の領域を覆うようにサイズ決めされ、プレカットされた光学フィルムを利用する。この方法は、いかなる種類の液体も用いずに実施することができる。いくつかの実施形態では、本方法は、積層体または光学フィルムがディスプレイパネルと一旦接触した後に、積層体または光学フィルムを切断することなく実施することができる。本明細書に開示される方法は、光学基材上の接着剤層の形態の「ドライ貼り付け(dry-apply)」接着剤を利用する。ドライ貼り付け接着剤層は、所望されるとおりに完全にまたは部分的に再配置され得るように、自己湿潤性および/または除去可能であり得る。」
(5)明細書4頁24~32行
「The method disclosed herein is useful with any type of electronic display device such as devices having a liquid crystal display (LCD) panel or plasma display panel. A major surface of the panel (typically glass) forms an outermost surface of the device and makes up a viewable area of the panel. As used herein, the term "display panel" refers to this outermost surface of the panel and can also include any continuous, smooth surface that is co-parallel or in the same plane with the outermost surface. For example, the display panel may include only the viewable area, or the display panel may include the viewable area in addition to non-viewable area around the perimeter of the viewable area, which is often covered by a frame.」
「本明細書で開示される方法は、液晶ディスプレイ(LCD)パネルまたはプラズマディスプレイパネルを有するデバイスなど、任意のタイプの電子ディスプレイデバイスで有用である。パネルの主面(典型的にはガラス)はデバイスの最外面を形成し、パネルの可視領域を構成する。本明細書で使用されるとき、用語「ディスプレイパネル」はパネルのこの最も外側の表面を指し、また、最も外側の表面と同一平行または同一平面にある任意の連続した滑らかな表面を含むことができる。例えば、ディスプレイパネルは可視領域のみを含むことができる。あるいは、ディスプレイパネルは、可視領域に加えて、しばしばフレームによって覆われる非可視領域を、可視領域の周囲に含むことがある。」
(6)明細書5頁1~7行
「The method disclosed herein is useful with electronic display devices having large format display panels. The term "large format" refers to an area of the display panel to which the optical film is applied, wherein the area has a diagonal measurement of at least 432mm (17 inches) with some common aspect ratio, for example, 16:9 aspect ratio. Large format display panels can have viewable areas with diagonal measurements such as 432, 508, 610, 838, 914, 1016, 1067, 1168, 1219, 1270, 1397, 1524, 1575, or 2083mm (17, 20, 24, 33, 36, 40, 42, 46, 48, 50, 55, 60, 62, or 82 inches), with a 16:9 aspect ratio.」
「本明細書で開示される方法は、大型ディスプレイパネルを有する電子ディスプレイデバイスに有用である。「大型」とは、光学フィルムが貼り付けられるディスプレイパネルの面積を指す。その面積は、ある共通のアスペクト比、例えば、16:9のアスペクト比を有する、少なくとも432mm(17インチ)の対角測定値を有する。大型ディスプレイパネルは、16:9のアスペクト比において、432、508、610、838、914、1016、1067、1168、1219、1270、1397、1524、1575、または2083mm(17、20、24、33、36、40、42、46、48、50、55、60、62、または82インチ)などの対角測定値を有する可視領域を有することがある。」
(7)明細書5頁8~12行
「The method disclosed herein requires a pre-cut laminate. FIG. 1 shows a schematic cross section of laminate 10 which may or may not be in a pre-cut form. Laminate 10 comprises optical film 12 that includes optical substrate 16 and adhesive layer 14 disposed on the substrate. Laminate 10 includes release liner 18 disposed on adhesive layer 14 opposite optical substrate 16.」
「ここに開示された方法は、プレカット積層体を必要とする。図1は、プレカットフォームであってもなくてもよい積層体10の概略断面図を示す。積層体10は、光学基材16と基材上に配置された接着剤層14とを有する光学フィルム12を含む。積層体10は、光学基材16の反対側の接着剤層14上に配置された剥離ライナー18を含む。」
(8)明細書7頁25~32行
「FIG. 6 shows a schematic perspective view of an exemplary laminate which may or may not be in a pre-cut form. Laminate 30 comprises optical film 32 that includes an optical substrate and adhesive layer disposed on the substrate. Laminate 30 includes split release liner comprising first portion 38a and second portion 38b, the liner being disposed on the adhesive layer. Disposed on second portion 38b are regions 39 of pressure sensitive adhesive (PSA) wherein the regions are opposite the adhesive layer of optical film 32. Not shown in FIG. 6 is one or more release liners used to protect the regions of PSA until use.」
「図6は、プレカットフォームであってもなくてもよい例示的な積層体の概略斜視図を示す。積層体30は、光学基材と基材上に配置された接着剤層とを含む光学フィルム32を有する。積層体30は、第1の部分38aおよび第2の部分38bを有する分割剥離ライナーを含む。前記ライナーは、接着剤層上に配置される。第2の部分38b上には、感圧接着剤(PSA)の領域39が配置されている。これらの領域は、光学フィルム32の接着剤層の反対側にある。図6には、使用されるまでPSA領域を保護するために用いられる1つまたは複数の剥離ライナーは示されていない。」
(9)明細書8頁1~11行
「FIGS. 7a-7d show an embodiment of the method in which an optical film is applied to a large format display panel of an electronic device not in a vertical position. This embodiment employs exemplary laminate 30. As shown in FIG. 7a, laminate 30 is placed on the display panel with regions of PSA 39 in contact with the panel, the regions indicated with dotted lines to show that they are underneath optical film 32 as shown in the perspective view. The first and second portions 38a and 38b, respectively, are indicated with dotted line 38c to show where the portions meet. Second portion 30b (see FIG. 7b) of laminate 30 comprises that portion of the laminate which includes all or most of second portion 38b of release liner 38. Regions of PSA 39 adhere second portion 30b to the display panel such that the second portion does not move easily during the step shown in FIG. 7b.」
「図7a~7dは、垂直位置にない電子デバイスの大型ディスプレイパネルに光学フィルムが適用される方法の実施形態を示す。この実施形態は、例示的な積層体30を使用する。図7aに示すように、積層体30は、PSA領域39がパネルと接触した状態でディスプレイパネル上に配置される。これらの領域は、斜視図に示すように、光学フィルム32の下にあることを表すために点線で示されている。第1及び第2の部分38a、38bはそれぞれ、これらの部分がどこで当接するかを表すために、点線38cで示されている。積層体30の第2の部分30b(図7b参照)は、剥離ライナー38の第2の部分38bの全部または大部分を含む積層部を含む。PSA領域39は、第2の部分30bをディスプレイパネルに接着することで、図7bに示されるステップの間に第2の部分が容易に移動しないようにする。」
(10)明細書8頁12~22行
「As shown in FIG. 7b, first portion 38a of release liner 38 is separated from the adhesive layer to expose a portion of adhesive layer, for example, less than 25% or less than 10% of the total area of the adhesive layer as described above. After first portion 38a is removed, the exposed portion of the adhesive layer is contacted with a portion of the display panel which in this case is the viewable area of the panel. The step shown in FIG. 7b needs to be carried out such that acceptable alignment of the portion of the optical film with exposed adhesive layer, is obtained, as described above for FIG. 3b. In some embodiments, it may be acceptable to have a gap of less than about 3 mm between the edges of the portion of the optical film with exposed adhesive layer and the edges of the display panel to be covered. Preferably, the gap is as small as possible, and may be less than 5 mm or less than 1 mm.」
「図7bに示されるように、剥離ライナー38の第1の部分38aは、接着剤層から分離されて、接着剤層の一部、例えば、上記のように接着剤層の全面積の25%未満または10%未満を露出する。第1の部分38aが除去された後、接着剤層の露出部分は、この場合パネルの可視領域であるディスプレイパネルの一部と接触する。図7bに示すステップは、図3bについて上述したように、露出した接着剤層を有する光学フィルムの部分について許容可能なアライメントが得られるように実行される必要がある。いくつかの実施形態では、露出した接着剤層を有する光学フィルムの部分の縁部と、覆われるディスプレイパネルの縁部との間に、約3mm未満のギャップを有することが許容され得る。好ましくは、そのギャップは可能な限り小さく、5mm未満または1mm未満であってもよい。」
(11)明細書8頁23~9頁2行
「The next step is shown in FIG. 7c, wherein first portion 30b of laminate 30 is separated from the display panel (the PSA of regions 39 is a removable PSA as described below). First portion 30b is lifted up, and second portion 38b of release liner 38 is separated from the adhesive layer to expose a remaining portion of the adhesive layer, and the remaining portion of the adhesive layer is contacted with the display panel such that the optical film covers at least about 95% of the display panel. In some embodiments, it may be acceptable for the optical film to cover at least about 90%>, 92%, 95%, 98% or at least about 100% of the display panel. In some embodiments, it may be acceptable for the optical film to cover at from about 90% to at least about 100%, from about 92% to at least about 100%), or from about 95% to about 98% of the display panel. As shown in FIG. 7d, after second portion 38b of release liner 38 is removed from the adhesive layer, the remaining portion of optical film 32 is adhered to the
display panel.」
「次のステップが図7cに示されている。積層体30の第1の部分30bがディスプレイパネルから分離されている(PSA領域39は、以下に説明するように除去可能なPSA(感圧接着剤)である)。第1の部分30bを持ち上げ、剥離ライナー38の第2の部分38bを接着剤層から分離して接着剤層の残りの部分を露出させ、接着剤層の残りの部分をディスプレイパネルと接触させて、光学フィルムがディスプレイパネルの少なくとも約95%を覆うようにする。いくつかの実施形態では、光学フィルムがディスプレイパネルの少なくとも約90%、92%、95%、98%、または少なくとも約100%を覆うことが許容され得る。いくつかの実施形態では、光学フィルムがディスプレイパネルの約90%~少なくとも約100%、約92%~少なくとも約100%、または約95%~約98%を覆っていてもよい。図7dに示すように、剥離ライナー38の第2の部分38bが接着剤層から除去された後、光学フィルム32の残りの部分がディスプレイパネルに接着される。」
(12)図面
ア 「FIG.1
[図:0001391202000037.jpg]
」
イ 「FIG.6
[図:0001391202000038.jpg]
」
ウ 「FIG.7a
[図:0001391202000039.jpg]
」
エ 「FIG.7b
[図:0001391202000040.jpg]
」
オ 「FIG.7c
[図:0001391202000041.jpg]
」
カ 「FIG.7d
[図:0001391202000042.jpg]
」
4 甲4の記載事項
甲4には次の記載がある。
(1)「【請求項1】
スクリーン保護膜と、
前記スクリーン保護膜の表面上に設けられる粘着層と、
前記粘着層上に貼り付けられ、スリットを含む離型膜と、
を有する
スクリーン保護シート。
【請求項2】
前記離型膜のサイズは、前記スクリーン保護シートのサイズと同じであり、前記離型膜は突起部を含む
請求項1に記載のスクリーン保護シート。
【請求項3】
前記スリットは、前記離型膜を第一の離型膜と第二の保護膜に分割し、当該第一の離型膜は第一の突起部を含み、当該第二の離型膜は第二の突起部を含む
請求項2に記載のスクリーン保護シート。」
(2)「【0005】
しかし、上述した方法は一般的に小スクリーンに適する。例えば、スクリーンのサイズは1.5インチから7インチまでの場合、あまり問題が生じない。しかし、スクリーンのサイズは7インチ以上の場合、スクリーン全体の面積が大きくなり、対応するスクリーン保護シートが大きくなり、離型膜の面積も大きくなる。使用者は大きなサイズの離型膜を連続的に剥がした後に、スクリーン保護膜を直接スクリーンに貼り付けるときに、スクリーン保護膜に皺と泡が生じやすく、スクリーン膜の透光性と外観に影響することがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、使用者がスクリーンにスクリーン保護膜を貼り付ける時に、大きなサイズのスクリーン保護膜を一回に貼り付ける場合に、スクリーン保護膜に皺と泡が生じる欠点を克服することができるスクリーン保護シート及びその製作方法を提供することにある。」
(3)「【0024】
実施形態
図3は、本発明の実施形態に係る図であり、具体的に、本発明のスクリーン保護シート3がスクリーンに貼り付けられていない時の断面図である。図3に示すように、本発明のスクリーン保護シート3は、スクリーン保護膜30、粘着層32、第一の離型膜341及び第二の離型膜342を含む。スクリーン保護膜30は、従来技術のようにゴム類の材料から形成され、透光性と柔軟性を有する。スクリーン保護膜30の表面上に粘着層12を設け、スクリーン保護膜30に粘着性を持たせることにより、スクリーン保護膜30は、スクリーンに直接貼り付けることができる。また、スクリーン保護幕30がスクリーンに貼り付けられていないときには、スクリーン保護膜30の粘着層31上に第一の離型膜341と第二の離型膜342を有する。第一の離型膜341と第二の離型膜342との間にスリット35を有する。
【0025】
好ましくは、図4に示すように、第一の離型膜341は第一の突起部343を含む。第一の突起部343は第一の離型膜341の所定位置から延伸されるものであり、当該所定位置は、使用者が手で第一の突起部343を持って、第一の離型膜341を便利に剥がせることができれば、どこでも良い。第一の突起部343と第一の離型膜341とは、材料が同じであり、且つ互いに連接し、製作プロセスにおいては、一体成型により形成される。また、第一の突起部343と第一の離型膜341とは、それぞれの材料が異なっても良い。しかし、この場合、一の突起部343は第一の離型膜341と異なり、粘着層32上に貼り付けられないので、使用者は手で第一の突起部343を持って便利に剥すことができる。
同様に、第二の離型膜342は第二の突起部344を含み、第二の突起部344の機能と形成方法は第一の突起部343の機能と形成方法と同じである。」
(4)「【0026】
図5と図6は、本発明のスクリーン保護シート3の使用方法を詳細に説明するための図である。本発明のスクリーン保護シート3は、第一の離型膜341と第二の離型膜342を含む。使用時に、使用者はまず第一の離型膜341を一辺から剥す。好ましくは、使用者は手で第一の突起部343を剥してから第一の離型膜341を一辺から剥す。これにより、スクリーン保護膜30の一辺の粘着層32を露出させ、スクリーン保護膜30の当該一辺を電子デバイス4のスクリーン40の一辺と合わせて、スクリーン保護膜30を直接スクリーン40の当該一辺に貼り付ける。そして、図5に示すように、使用者は徐々に第一の離型膜341を剥しながら、スクリーン保護膜30を伸ばして平らにすることで、スクリーン保護膜341の一部の貼り付け作業を完成する。続いて、使用者は手で第二の離型膜342を剥す。より好ましくは、使用者は手で第二の突起部344を剥してから第二の離型膜342を一辺から剥す。その後、図6に示すように、私用者は徐々に第二の離型膜342を剥しながら、スクリーン保護膜30を伸ばして平らにすることで、スクリーン保護膜30の全体の貼り付け作業を完成する。これにより、スクリーン保護膜30は、完全に電子デバイス4のスクリーン40に貼り付けられる。
【0027】
本発明の実施形態は、例えば、上述した方法でスクリーン保護膜30を電子デバイス4のスクリーン40に貼り付ける。前記方法は、順番に第一の離型膜341と第二の離型膜342を剥すことにより、元々大きなサイズのスクリーン保護膜を段階にスクリーン40に貼り付ける。これにより、大きなサイズのスクリーン保護膜の貼り付け作業の欠点(例えば、皺と泡等が生じる)を克服し、従来技術のような問題が生じない。また、本実施形態に開示された技術特徴は、二つ以上の離型膜を含むスクリーン保護シートにおいて用いられることが可能であり、スクリーン保護シートのサイズの増大により生じる欠点を克服することが可能である。」
(5)図面
ア 「【図3】
[図:0001391202000043.jpg]
」
イ 「【図4】
[図:0001391202000044.jpg]
」
ウ 「【図5】
[図:0001391202000045.jpg]
」
エ 「【図6】
[図:0001391202000046.jpg]
」
5 甲5の記載事項
甲5には次の記載がある。
(1)「【0010】
以上の課題を解決するために、本発明は、片面をディスプレイ面に対する接着面として利用する保護シート本体と、保護シート本体をディスプレイ面に接着する前に前記接着面を保護する剥離シートと、からなるシート貼付構造体であって、剥離シートは、ディスプレイ端領域に最初に貼り付けるべき接着面の領域であるイニシャル領域に配置される第一シートと、第一シートとは別体で、前記ディスプレイ端領域に続くディスプレイ残領域に貼り付けるべき接着面の領域であるメイン領域に配置され、第一シートとの境界付近で折り返されて接着面に密着する密着部分と、この密着部分に重ねられることが可能で、重ねられた状態でその一部が前記保護シート本体からはみ出す大きさであるフリー部分とからなる第二シートと、を備えたシート貼付構造体を提供する。」
(2)「【発明の効果】
【0013】
以上のような構成をとる本発明によって、イニシャル領域や仮止片を足場として保護シートとディスプレイ面との位置関係を固定した後、保護シート本体の外側にはみ出したフリー部分を掴むことができるので、保護シート本体とディスプレイ面の間に手を入れるための空間をつくる必要が無い。そして、そのようにして掴んだフリー部分を引っ張って剥離シートを剥がしながら徐々に接着面をディスプレイ面に貼り付けていくことで、より接着面の露出時間を短くし、したがって埃の混入量を抑えて保護シート本体をディスプレイに貼り付けることができる。」
(3)「【0019】
<貼付方法>
図1および図2は、本実施例のシート貼付構造体による、保護シートのディスプレイへの貼り付け作業の一例を表す模式図である。なお、これらの図は接着面側を下に、保護シート本体側を上にしてシート貼付構造体を見た場合の斜視図である。まず、クリーニングクロスなどでディスプレイ表面の汚れや埃を除去する。つづいて、この図1(a)にあるように、第一の剥離シートαを矢印で示すようにめくって剥がし、接着面のイニシャル領域Aを露出させる。そして軽く保護シートをディスプレイ面の上に置いて位置合わせをした後、図1(b)にあるように、露出したイニシャル領域Aを、デジタルガジェットのディスプレイ面にゆっくり貼り付ける。
【0020】
それから、図2(a)にあるように、例えばヘラなどで保護シートを上から押さえつけながら、保護シートの右側から飛び出ているフリー部分βを手で持ち、それを右側に引っ張りながら接着面のメイン領域を徐々に露出させていく。またフリー部分の引っ張り動作と協調するようヘラでの押さえつけ位置を右側にずらしながら移動させ、メイン領域の露出した部分から順次ディスプレイ面に保護シートを貼り付けていく。なお、図2(b)は、上記の貼付工程を横から見た場合の模式図である。
【0021】
そして、保護シート全体をディスプレイ面に貼り付け終えると、図2(c)にあるように、保護シート表面に取り付けられた保護シート表面の保護用フィルムを剥がし、取り付けが完了する。」
(4)「【0022】
<基本構成>
図3は、本実施例のシート貼付構造体における基本構成の一例を表す模式図である。なお、図3(a)は保護シート本体側を上にした場合の斜視図、図3(b)は側面図を示す。
【0023】
そして、この図3にあるように、本実施例の「シート貼付構造体」(0300)は、「保護シート本体」(0301)と、「剥離シート」(0302)と、を備え、かつ、その剥離シートが「第一シート」(0303)と、「第二シート」(0304)と、備えていることを特徴とする。」
(5)図面
ア 「【図1】
[図:0001391202000047.jpg]
[図:0001391202000048.jpg]
」
イ 「【図3】
[図:0001391202000049.jpg]
[図:0001391202000050.jpg]
」
6 甲6の記載事項
甲6には次の記載がある。
(1)「【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話や液晶テレビなどの電子機器の表示画面には、さまざまな目的でフィルムシートを貼り付ける傾向にある。フィルムシートの種類としては、偏光シート、位相差シート、光学補償シート、輝度向上シート等、さまざまなもの存在する。プライバシーフィルム等の特殊な目的で利用される着色フィルムシート以外は、複数層の透明なシートが用いられている。
図20に示す従来のフィルムシートAは、電子機器の表示画面に貼付後に露出する図示しない露出面と表示画面に装着する貼付面とからなる基材シート10と、基材シート10の前記貼付面に粘着剤(接着剤)を塗布して形成する粘着層20と、フィルムシートAを表示画面に装着する前の粘着層20を一時的にカバーする剥離シート30とで構成するのが一般的である(特許文献1)。
【0003】
このようなフィルムシートAは、光学シートとして、例えば、表示画面に貼り付ける場合に、その全体を一挙に貼り付けようとすると焦点が外れたりして位置決めが難しい。また、中央部に気泡が封じ込まれ易く熟練を要する。
【0004】
これらの問題を解決するために、剥離シート30にスリット加工(背割れスリット)を施した剥離シート30を採用し、左半分を位置決めして貼り付け、その後、右半分を貼り付ける方法を採用している。すなわち図20に示すように、スリット加工を利用して、剥離シート30を横断するハーフカットHを施した剥離シート30を利用している。しかし、ハーフカットHを施す距離が長くなる欠点がある。そして、ハーフカットHを施す距離が長くなると剥離シート30の切りカスが発生し粘着面20に付着する可能性も高くなる
【0005】
また、ハーフカットHを施す際、粘着層20までナイフが入って気泡が混ざる結果、剥離シート30を剥がした後に白濁ラインJが生じることもある(図21参照)
更に、ハーフカットHを施す際、粘着層20を突き抜けるまで深くナイフが入って、基材シート10が傷つくことが多い(図20の拡大部の状態からさらに深く基材シート10にまでナイフが入る)。極端には、フィルムシートAを横断するハーフカットHの全長に渡って基材シート10にナイフ跡が入る場合があり、品質に大きく影響する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-156066号公報」
(2)「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題点を背景に開発されたものである。すなわち、本発明の目的は、基材シートと該基材シートの裏面に形成された粘着層と該粘着層に仮付着され剥離シートとを有するフィルムシートにおいて、剥離シートに強い引き裂き方向性のあるシートを用いることで、任意部分の粘着層 の露出を可能とし、表示画面等への貼り付け位置の設定と貼り付け作業を容易にすることである。また、基材シートに傷が付くことなく、また切りカスも粘着層に付着せず、且つほぼ真っ直ぐに正確に裂き易いフィルムシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、剥離シートの分子の配向性に着目することで、引き裂きの方向性を定めることを見出し、この知見に基づいてなされたものであり、本発明に係るフィルムシートは、基材シートと、該基材シートの裏面に形成された粘着層と、該粘着層に仮付着され剥離シートと、を有するフィルムシートであって、該剥離シートが強い引き裂き方向性のあるシートよりなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るフィルムシートは、上記の構成に加え、粘着層に仮付着した剥離シートの反対面上に積層した第2粘着層と、第2粘着層上に仮付着する第2剥離シートとを加えても良い。」
(3)「【0018】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態のフィルムシートAの斜視図を示し、図2は第1実施形態のフィルムシートAのY-Y断面図を示す。
この実施例におけるフィルムシートAは、矩形状であり、基材シート10、粘着層20、剥離シート30(通常「セパ」)という)よりなる。
基材シート10の一方の面(裏面)には粘着層20が形成されており、その粘着層20には剥離シート30が仮付着されている。
【0019】
ここで基材シート10としては、例えば、反射シート、偏光シート、装飾シート、半透過シート、位相差シート、輝度向上シート、保護シート、反射防止シート、電磁波シールドシート、光学補償シート、近赤外線カットシート、調色シート等が採用可能である。
【0020】
一方、剥離シート30の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂シートを用いることができる。特に、本発明の剥離シート30としては、強い引き裂き方向性のあるシート、例えば、一軸延伸シート(一方方向に多く延伸させたもの)が好ましい。剥離シート30は、延伸方向には配向されるためその方向に裂き易くなる。本実施例において、後述するように切り込みSは、引き裂き易い方向に、すなわち、一軸延伸シートの配向方向に沿って形成されている。剥離シート30は透明であることが望ましく、また粘着層20から剥離し易くするため、シリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの剥離処理をすることが好ましい。剥離シート30の厚さは、特に限定するものではないが、例えば一般的に5μm以上、200μm以下、好ましくは20μm以上、200μm以下のものが使用される。
【0021】
粘着層20の材質としては、特に限定するものではないが、例えば、アクリル系接着材、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が使用される。コスト、透明性、耐久性等の観点から、特にアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。粘着層2の厚さは、特に限定するものではないが、例えば10μm以上、1mm以下のものが使用される。
【0022】
ところで、この実施形態ではフィルムシートAの1つの辺縁の中央位置に切り込み長が短い切り込みS(いわゆるスリット)が形成されており、この切り込みSは、深さ方向でいうと、剥離シート30にのみに施されている。そして切り込みSは剥離シート3の引き裂き易い方向に沿って形成される。例えば、一軸延伸シートの配向方向に沿って形成されている。
因みに、フィルムシートAの製造時に、切り込みSを入れるためには、例えば、トムソンプレス刃型などを用いるが、端面の仕上がりの良好さの観点からはレーザーカッターが採用される。
【0023】
図3は第1実施形態のフィルムシートにおける左半分の剥離シート30を剥がす状態を示し、図4は左半分の剥離シート30が剥がれた状態を示す図である。
まず、貼り付け操作としては、図3に示すように左半分の剥離シート30を切り裂いて剥がす。この剥離シート30は、その横断する方向(図でいう上下方向矢印参照)に配向方向をあわせているので、切り込みSから簡単に引き裂くことができる。すなわち剥離シート30の切り込みS部付近を指で摘んで引き剥がすと、切り込みSから裂き目が次々に伝達していきほぼ真っ直ぐに且つ正確に切断され、粘着剤から離脱される。
剥離シート30の切断は、ほぼ真っ直ぐであることが望ましいが、図における剥離シート30の切り込みS部から垂直方向に引き裂き、対辺に到達する前に剥離シート30の左右の辺で切り終えない程度に真っ直ぐである必要がある。
【0024】
この場合、剥離シート30には、基材シート10の裏面に積層された粘着層20が付着しているので、左半分を切り裂いて基材シート10から離して行く際、右半分の粘着層20の粘着剤は基材シート10の裏面に付着している状態なので、剪断力が効率よく働いてより正確に引き裂き易い
これで剥離シート30が取り除かれて左半分の粘着層20が露出する(図4参照)。そして露出した左半分の粘着層20の面を対象となる表示画面に貼り付ける。
次に右半分の剥離シート30を剥がす(図5参照)。これで残りの右半分の粘着層20が露出するので(図6参照)、この面を表示画面に貼り付ける。
以上でフィルムシート全面が液晶画面に貼り付けられる。
【0025】
このような貼り付け方であるので、貼り付ける際、位置決めがし易く、貼り付け操作も簡単である。
しかも、切り込み長(スリット長)が短いので、フィルムシートA製造工程で切り込みSを施す際、基材シート10に至るまでナイフが深く入っても、局部的であり基材シート10の殆どの部分は傷が付かない。
また切りカスが粘着剤に付着することもほとんど無い。
また切り込み長(スリット長)は短くても、その方向が一軸延伸シートの配向方向に沿って形成されているので、剥離シート30は簡単に引き裂けるのである。」
(4)「【0032】
〔第7実施形態〕
図18は本発明の第7実施形態のフィルムシートAの斜視図を示し、図19は第7実施形態のフィルムシートAのY-Y断面図を示す。
この第7実施形態のフィルムシートAは、前述の実施例の剥離シート30の粘着層20(第1粘着層)と接する面の裏側の面に第2粘着層40を積層し、その上に第2剥離シート50を仮付着してなる。本実施例の切り込みSの深さは、第2剥離シート50から第2粘着層40、第一剥離シート30まで達している。その他の構成は第1実施形態と同様である
【0033】
本実施形態のフィルムシートAの貼り方は、左半分の第2剥離シート50を切り裂いて剥がす。この第2剥離シート50は、その横断する方向(図でいう上下方向矢印参照)に配向方向をあわせているので、切り込みSから簡単に引き裂くことができる。すなわち第2剥離シート50の切り込みS部付近を指で摘んで引き剥がすと、切り込みSから裂き目が次々に伝達していき
ほぼ真っ直ぐに且つ正確に切断され、粘着剤から離脱される。
この場合、第2剥離シート50には、第1剥離シート30の裏面に積層された第2粘着層40が付着しているので、左半分を切り裂いて第1剥離シート30から離して行く際、右半分の第2粘着層40の粘着剤は第1剥離シート30の裏面に付着している状態なので、剪断力が効率よく働いてより正確に引き裂き易い。
これで第2剥離シート50が取り除かれて左半分の第2粘着層40が露出する。そして露出した左半分の第2粘着層40の面を対象となる表示画面に貼り付ける。
次に右半分の第2剥離シート50を剥がす。これで残りの右半分の第2粘着層40が露出するので、この面を表示画面に貼り付ける。これで第2粘着層40が表示画面全体を覆った状態になる。
次に左半分の表示画面上のフィルムシートAを再び表示画面上から剥がし、左半分の第1剥離シート30を切り込みSから切り裂いて剥がし、左半分の第1粘着層20が露出した状態で表示画面に張り付ける。右半分のフィルムシートAも左半分と同様の工程を経て表示画面上に貼る。第2粘着層が表示画面に接触する前に表示画面上にほこりや塵が残っていたとしても、第2粘着層を表示画面に仮付着させ、表示画面から剥がす際に、ほこりや塵を第2粘着層とともに取り除く、クリーニング機能を発揮する。以上でフィルムシート全面が液晶画面に貼り付けられる。」
(5)「【0034】
〔第8実施形態〕
図22は本発明の第8実施形態のフィルムシートAの斜視図を示し、図23は第8実施形態のフィルムシートAのX-X断面図を示す。本実施例では剥離シート30を基材シート10より大きめに形成し、図22に示すようにスリットSを剥離シート30の上辺に切り込む。本実施例では剥離シート30のスリットSから左右何れかの部分を切り離し、表示画面に貼付、残りの半分の剥離シート30を剥がし、残りの表示画面部分に貼りつける。」
(6)「【0038】
以上、本発明を説明してきたが、本発明は上述の発明の実施の形態に限らず、種々の変形例が可能である。例えば、非使用領域P2の形状は上記の実施例に限定されるものではない。切り込みSはミシン目のような切り込みとすることもでき、それが断面方向の全部切り込みSの場合は、V字溝形とすることも可能である。境界スリットDもミシン目とすることも可能である。また例えば、第7実施形態で説明したフィルムシートAが、第2-6実施例に記載の形態を採用することも勿論可能である。
また、粘着層としている層は、粘着剤のほかに接着剤の層を含むことはいうまでもない。
また、例えば基材シートの粘着層面に貼る剥離シート30に、貼り付け対象となる液晶画面の縁に合わせた案内部を設けてもよい。
また、これまで第一剥離シート30と第二剥離シート50を引き裂き分離する実施例を説明してきたが、剥離シート30,40には引き裂き方向性のあるシートを採用せず、実施例7に記載した第2粘着層のクリーニング機能のみを採用することもできる。」
(7)図1~図6関連
ア 段落【0016】の説明
「【図1】図1は、本発明の第1実施形態のフィルムシートの斜視図を示す。
【図2】図2は、第1実施形態のフィルムシートのY-Y断面図を示す。
【図3】図3は、第1実施形態のフィルムシートにおける左半分の剥離シート3を剥がす状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、第1実施形態のフィルムシートにおける左半分の剥離シート3を剥がした後を示す斜視図である。
【図5】図5は、第1実施形態のフィルムシートにおける右半分の剥離シート3を剥がす状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、第1実施形態のフィルムシートにおける右半分の剥離シート3を剥がした後を示す斜視図である。」
イ 「【図1】
[図:0001391202000051.jpg]
」
ウ 「【図2】
[図:0001391202000052.jpg]
」
エ 「【図3】
[図:0001391202000053.jpg]
」
オ 「【図4】
[図:0001391202000054.jpg]
」
カ 「【図5】
[図:0001391202000055.jpg]
」
キ 「【図6】
[図:0001391202000056.jpg]
」
(8)図20~21関連
ア 段落【0016】の説明
「【図20】図20は、従来のフィルムシートの斜視図を示す。
【図21】図21は、図20の剥離シート剥がす図を示す。」
イ 「【図20】
[図:0001391202000057.jpg]
」
ウ 「【図21】
[図:0001391202000058.jpg]
」
(9)図22~23関連
ア 段落【0016】の説明
「【図22】図22は、第8実施形態のフィルムシートの斜視図を示す。
【図23】図23は、第8実施形態のフィルムシートのY-Y断面図を示す。」
イ 「【図22】
[図:0001391202000059.jpg]
」
ウ 「【図23】
[図:0001391202000060.jpg]
」
7 甲7の記載事項
甲7には次の記載がある。
(1)「【考案が解決しようとする課題】
【0003】
本考案は、液晶画面等に保護フィルムを貼り付ける際の埃除去と位置設定を容易にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本考案は保護フィルムの粘着層面に分割したセパレータを貼り、該セパレータの裏面にも粘着層を設ける事で、保護フィルムを貼り付ける際の埃除去を解決し、また貼り付け位置の設定を容易に行うという課題を解決する。」
(2)「【考案の効果】
【0005】
上記のように本考案の保護フィルムとセパレータはセパレータにも粘着層が設けられている。従ってセパレータの粘着層には剥離シートが貼られ、3層のフィルム構造になっている。使用者は分割された最下層の剥離シートを一部剥がし、粘着材付きセパレータを液晶画面等に位置設定しながら貼り付ける。一度に全面に貼る必要がないので、この段階で貼り付け位置を調整しながら作業する。次に最下層の剥離シートの残りを剥がす。こうして貼り終えた粘着材付きセパレータにも切れ目が入れてあるので、さらに粘着材付きセパレータを保護フィルムから一部剥がす。このとき埃は該セパレータの粘着層面に付着して除去される。次に残った粘着材付きセパレータを保護フィルムから剥がす。半分又は一部を残しながらの作業になり保護フィルムと液晶画面の位置関係は保たれる。このように保護フィルムと剥離シートの間に粘着材付きセパレータを加えることで、保護フィルム貼り付け時の埃付着を防止し、また容易に正確な位置決めを行うことが可能になる。」
(3)「【0007】
以下、添付図面に基づいて実施例を説明する。
図1は本考案の粘着セパレータ付き保護フィルムの断面図である。1は保護フィルム、1aは粘着層、2及び3はセパレータ、2a及び3aはセパレータの粘着層を示す。4は該粘着材付きセパレータの分離部分を示す。5はセパレータの粘着面に貼る剥離シートを示す。
【0008】
図2は保護フィルムと粘着材付きセパレータと剥離シートの構成を示す平面図である。図3は保護フィルムと同じ大きさの粘着材付きセパレータ、剥離シートとし、一部をそれぞれの剥離の為のガイドとして外側に張り出した形状の断面図である。2b、3b、5b、6bはそれぞれガイドを示す。実施例では剥離シートも分割して、剥離が容易に出来る形態にある。4,7はセパレータと剥離シートのそれぞれの分離部分を示す。
【0009】
図4は図3の実施例の平面図である。セパレータを剥がす位置が明確になり、また液晶画面への位置決めも正確に行える。」
(4)図1~図2関連
ア 段落【0013】の説明
「【図1】粘着セパレータ付き保護フィルムの断面図である。
【図2】粘着セパレータ付き保護フィルムの平面図である。」
イ 「【図1】
[図:0001391202000061.jpg]
」
ウ 「【図2】
[図:0001391202000062.jpg]
」
(5)図3~図4関連
ア 段落【0013】の説明
「【図3】ガイド付き粘着セパレータ付き保護フィルムの断面図である。
【図4】ガイド付き粘着セパレータ付き保護フィルムの平面図である。」
イ 「【図3】
[図:0001391202000063.jpg]
」
ウ 「【図4】
[図:0001391202000064.jpg]
」
8 甲8の記載事項
甲8には次の記載がある。
(1)「【考案が解決しようとする課題】
【0003】
本考案は、液晶画面等に保護フィルムを貼り付ける際の貼り付け位置設定を容易にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本考案は保護フィルムの粘着層面に貼るセパレータにセパレータ自体を分割、分離するための分割溝を設け、該分割溝部分からセパレータを分割して一部を剥がし貼り付けることで、液晶画面等の保護面へ保護フィルムを貼り付ける際の貼り付け位置の設定を容易に行うという課題を解決する。」
(2)「【考案の効果】
【0005】
液晶画面の縁に合わせて保護フィルムを貼る場合、従来はセパレータを全て剥がして貼り付ける作業を行っていた。この場合、保護フィルムの粘着層面に手の汚れが付着しやすく、また大まかな位置合わせしか出来なかった。本考案では、セパレータに分割溝を設けることで該分割溝から容易にセパレータを複数に分離、分割することが出来る。セパレータの中央部を複数の分割溝に沿って分割して剥がし、残ったセパレータを該液晶画面の縁に合わせて位置決めを行い、粘着層面の露出した保護フィルム中央部を該液晶画面に貼り付ける。その後で残ったセパレータを剥がし、粘着層面を該液晶画面に貼り付ける。こうして位置決めの際に粘着層面に指が触れないため粘着層面が汚れることもなく、容易に正確な位置に保護フィルムを貼り付けることが可能になる。」
(3)「【考案を実施するための最良の形態】
【0006】
保護フィルムの粘着層面に貼るセパレータの中央付近に複数の分割溝を設け、該分割溝からセパレータを分離、分割可能にする。セパレータには貼り付け対象となる液晶画面の縁に合わせた案内部を設ける。セパレータを剥がす際の手がかりとして、セパレータの分割溝部分付近にガイドを貼り付けるか、又はセパレータの一部をガイド形状に形成する。」
(4)「【0007】
以下、添付図面に基づいて実施例を説明する。
図1は本考案の分割セパレータ付き保護フィルムの断面図である。1は保護フィルム、1aは保護フィルムの粘着層、2はセパレータ、2aは案内部、3はセパレータを分離、分割するために設けた分割溝3を示す。
【0008】
図2は実施例の平面図である。貼り付け対象となる液晶画面の縁に合わせた案内部2aより、保護フィルム1は一回り小さい形状とする。また案内部の一部を抜き穴2bの形状で形成している。セパレータの中央付近にセパレータを分離、分割するために設けた分割溝3を配置し、その周辺にセパレータを剥がす為のガイド2cを該セパレータに貼付している。」
(5)図面
ア 「【図1】
[図:0001391202000065.jpg]
」
イ 「【図2】
[図:0001391202000066.jpg]
」
9 甲9の記載事項
甲9には次の記載がある。
(1)「【0005】
液晶画面の縁に合わせて保護フィルムを貼る場合、本考案の保護フィルムとセパレータに於いて、セパレータは貼り付け対象となる液晶画面の縁に合わせた形状に形成され、また分割されている事が特徴である。通常保護フィルムの形状は対象となる液晶画面より一回り小さく形成される。その為、該液晶画面に対して上下左右均等な逃幅で保護フィルムを貼ることが非常に困難であった。
【0006】
本考案ではセパレータを液晶画面の縁に合わせた形状に形成することで、均等な逃幅を確保することが可能になる。分割されているセパレータの中央部を剥がし、残ったセパレータを該液晶画面の縁に合わせて位置決めを行い、糊面の露出した保護フィルムを該液晶画面に貼り付ける。その後で残ったセパレータを剥がし、糊面を該液晶画面に貼り付ける。こうして位置決めの際に糊面に指が触れないため糊面が汚れることもなく、容易に正確な位置に保護フィルムを貼り付けることが可能になる。」
(2)「【0009】
以下、添付図面に基づいて実施例を説明する。
図1は本考案の分割セパレータ付き保護フィルムの平面図である。1は保護フィルム、2及び3はセパレータ、2a及び3aは案内部、2b及び3bはセパレータに貼り付けたセパレータを剥がすガイド、4はセパレータの分離部分を示す。図1のようにセパレータが2枚の場合1枚を剥がし、残った他の1枚の案内部を液晶画面の縁に合わせて位置決めをする。
【0010】
図2は図1と同じ構成であるが案内部を穴形状とし、画面の縁に2a及び3aの案内部を合わせる。2c及び3cはセパレータの一部をセパレータを剥がすガイド形状に形成した実施例である。」
(3)「【図1】
[図:0001391202000067.jpg]
」
(4)「【図2】
[図:0001391202000068.jpg]
」
10 甲14の記載事項
甲14には次の記載がある。
(1)第1頁、(31)欄
「優先権主張番号 実願平11-567」
(2)「【0016】
【発明の実施の形態】本発明の携帯電話機用装飾装飾粘着シール(以下、装飾粘着シールと記す)は、表面に装飾用の印刷層を設け、裏面に粘着剤層を設けた粘着フィルムまたはシートの粘着剤層の面に透明剥離材を接着してなり、該粘着フィルムまたはシートに外周縁の内側の周囲に切断線を設けて形成した外周剥離領域と、携帯電話機の表面に設けられた各機能部分の位置に相当する各部分の周囲に切断線を設けて形成した機能部分表示領域とを有し、かつ該透明剥離材の一部に端縁と少なくとも2本の一方の端縁から他方の端縁にかけて設けた切断線とにより囲まれた位置決め用剥離領域を有することを特徴とする。
【0017】図1は本発明の装飾粘着シールの一例を示す概略平面図、図2は図1のAA’線断面図を示す。同図1は、透明剥離材を用いた装飾粘着シールを示す。
【0018】同図1に示す様に、本発明の装飾粘着シール10は、フィルムまたはシート8の表面に文字、記号、色彩、図形または模様を印刷した印刷層7を設け、また裏面に粘着剤層2を設けて粘着フィルムまたはシート1を形成し、該粘着フィルムまたはシート1の粘着剤層2の面に透明剥離材33を接着してなる。また、粘着フィルムまたはシート1の外周縁15の内側の周囲に切断線12を設けて外周剥離領域14を形成し、また粘着フィルムまたはシート1の切断線12の内側には、携帯電話機の表面に設けられたディスプレイ表示部42、各操作用ボタン43、受話口41、送話口44からなる各機能部分46の位置に相当する各部分16の周囲に切断線13を設けて機能部分表示領域17が形成されている。また、透明剥離材33の一部に、2本の一方の端縁9aから他方の端縁9bにかけて設けた切断線11a、11bと、該切断線11a、11b間の端縁19a、19bにより囲まれた位置決め用剥離領域4が設けられている。
【0019】前記位置決め用剥離領域4は、装飾粘着シールを貼り付ける際に、透明剥離材33から独立して剥離し、指定位置に位置合わせした後、露出した粘着フィルムまたはシートの粘着剤層の粘着面2aを携帯電話機に仮止めして位置決めを行なうために用いられる。」
(3)「【0020】次に、前記構成より成る本発明の装飾粘着シールの貼り付け方法について説明する。図3~図6は本発明の装飾粘着シールの貼り付け方法の工程を示す工程図である。
【0021】先ず、上記の図1,2に示す装飾粘着シールを用意する。次に、図3に示す様に、粘着フィルムまたはシート1の外周縁15に設けられた切断線12で囲まれた外周剥離領域14を剥離する。また、携帯電話機の各機能部分46を露出するために設けられた切断線13で囲まれた機能部分表示領域17を剥離する。この場合、外周剥離領域14と機能部分表示領域17は手で一つずつ剥離してもよいが、粘着性のあるメンディングテープ等を用いて複数個を同時に剥離してもよい。
【0022】次に、透明剥離材33の位置決め用剥離領域4を剥離し、露出した粘着フィルムまたはシート1の粘着剤層の粘着面2aを露出させる。次に、携帯電話機の表面に、透明剥離材33を透して、携帯電話機の各機能部分46の位置に、相当する機能部分表示領域17の穴が合う様に装飾粘着シールを移動して携帯電話機の指定位置に合わせ全体の位置合わせを行う。
【0023】前記全体の位置合わせを行った後、前記露出した粘着面2aを粘着フィルムまたはシート1の上より軽く押さ、粘着面2aを携帯電話機5に仮止めして指定位置に位置決めする。
【0024】そして、図4に示すように、前記仮止め後に左右に分割された一方の側の透明剥離材33aを前記位置決め用剥離領域4側から徐々に剥がしつつ、携帯電話機の表面に設けられた各機能部分を露出する様に、指または押さえローラーで圧着して接着する。
【0025】その後、図5に示すように、他方の側の透明剥離材33bを前記と同様方法で徐々に剥がしつつ、携帯電話機の表面に設けられた各機能部分を露出する様に、接着する。最後に全体を手または押さえローラーで圧着して、装飾粘着シールの貼り付け作業が完了する。
【0026】図6に装飾粘着シールを貼り付けた後の携帯電話機を示す。同図6に示す様に、装飾粘着シールは携帯電話機の表面に設けられた各機能部分を露出する様に貼り付けられている。」
(4)「【0027】本発明において、位置決め用剥離領域4は仮止めできる大きさであればよく、また切断線11a、11bは、通常の方法で透明剥離材3をカッティングすることにより形成することができる。切断線は、少なくとも2本以上あればよく、切断線の数また引き方により位置決め用剥離領域の幅、形状は任意に形成することができる。図1に示す位置決め用剥離領域は、端縁と2本の切断線により囲まれた帯状の領域からなる例を示したが、例えば、4本の切断線を用いて、平行な2本の切断線とそれに直交した平行な2本の切断線と剥離材の端縁により囲まれた2つの位置決め用剥離領域からなるものでもよい。また、交差した2本の切断線と剥離材の端縁により囲まれた2つの領域からなるものでもよい。」
(5)「【図1】
[図:0001391202000069.jpg]
」
(6)「【図2】
[図:0001391202000070.jpg]
」
(7)「【図3】
[図:0001391202000071.jpg]
」
(8)「【図4】
[図:0001391202000072.jpg]
」
(9)「【図5】
[図:0001391202000073.jpg]
」
(10)「【図6】
[図:0001391202000074.jpg]
」
11 甲15の記載事項
甲15には次の記載がある。
(1)第1頁、(31)欄
「優先権主張番号 実願平11-566」
(2)「【0014】
【発明の実施の形態】本発明の指定位置接着用粘着シール(以下、位置用粘着シールと記す)は、一方の面に粘着剤層を設けた粘着フィルムまたはシートの粘着剤層の面に剥離材を接着してなる粘着シールにおいて、該剥離材の一部に少なくとも2本の一方の端縁から他方の端縁にかけて設けた切断線と該切断線間の端縁により囲まれた位置決め用剥離領域を有することを特徴とする。
【0015】図1は本発明の位置用粘着シールの一例を示す概略図であり、図1(a)は平面図、図1(b)はAA′線断面図を示す。同図1に示す様に、本発明の位置用粘着シール10は、フィルムまたはシート8の表面に文字、記号、色彩、図形または模様を印刷した印刷層7を設け、また裏面に粘着剤層2を設けて粘着フィルムまたはシート1を形成し、該粘着フィルムまたはシート1の粘着剤層2の下面に剥離材3を接着してなり、該剥離材3の一部に、2本の一方の端縁9aから他方の端縁9bにかけて設けた切断線11a、11bと、該切断線11a、11b間の端縁19a、19bにより囲まれた位置決め用剥離領域4を有することを特徴とする。
【0016】前記位置決め用剥離領域4は、位置用粘着シールを貼り付ける際に、剥離材3から独立して剥離し、指定位置に位置合わせした後、露出した粘着フィルムまたはシートの粘着剤層の粘着面2aを被粘着物に仮止めして位置決めを行なうために用いられる。」
(3)「【0017】次に、前記構成より成る本発明の位置用粘着シールの貼り付け方法につき説明する。図2は本発明の位置用粘着シールの貼り付け方法の前半の工程を示す工程図であり、図3は貼り付け方法の後半の工程を示す工程図である。
【0018】先ず、図2(a),(b)に示すように、位置用粘着シール10の位置決め用剥離領域4を剥がし、露出した粘着フィルムまたはシート1の粘着剤層の粘着面2aを露出させる。なお、図中では印刷層は省略してある。次に、図2(c)に示すように、剥離材3の端縁9を被粘着物5の指定位置に合わせ全体の位置合わせを行う。
【0019】前記全体の位置合わせを行った後、図2(d)に示すように、前記露出した粘着面2aを粘着フィルムまたはシート1の上より軽く押さ、粘着面2aを被粘着物5に仮止めして指定位置に位置決めする。そして、図2(e)に示すように、前記仮止め後に左右に分割された一方の側の剥離材3aを前記位置決め用剥離領域4側から徐々に剥がしつつ、図3(f)に示すように、指または押さえローラー6で圧着して接着する。
【0020】その後、図3(g)に示すように、他方の側の剥離材3bを前記と同様方法で徐々に剥がしつつ接着し、図3(h)に示すように、最後に全体を手または押さえローラー6で圧着して、位置用粘着シールの貼り付け作業が完了する。」
(4)「【0021】本発明において、切断線11a、11bは、通常の方法で剥離材3をカッティングすることにより形成することができる。切断線は、少なくとも2本以上あればよく、切断線の数また引き方により位置決め用剥離領域の形状は任意に形成することができる。図1に示す位置決め用剥離領域は、端縁と2本の切断線により囲まれた帯状の領域からなる例を示したが、例えば図4に示す様に、4本の切断線と剥離材の端縁により囲まれた2つの位置決め用剥離領域4a、4bからなるものでもよい。また、図5に示す様に、2本の切断線が交差して剥離材の端縁により囲まれた2つの領域4c、4dからなるものでもよい。」
(5)「【図1】
[図:0001391202000075.jpg]
[図:0001391202000076.jpg]
」
(6)「【図2】
[図:0001391202000077.jpg]
[図:0001391202000078.jpg]
[図:0001391202000079.jpg]
」
(7)「【図3】
[図:0001391202000080.jpg]
[図:0001391202000081.jpg]
[図:0001391202000082.jpg]
」
(8)「【図4】
[図:0001391202000083.jpg]
」
(9)「【図5】
[図:0001391202000084.jpg]
」
12 甲16について
甲16は、実願平11-566号に係る登録実用新案公報であり、前記11(1)に摘記したように、甲16を優先権の基礎として出願された甲15に記載されているため摘記を省略する。
13 甲17について
甲17は、実願平11-567号に係る登録実用新案公報であり、前記10(1)に摘記したように、甲17を優先権の基礎として出願された甲15に記載されているため摘記を省略する。
14 甲18の記載事項
甲18には次の記載がある。
(1)「【0006】
そこで、本発明の目的とするところは、貼付作業性が良好で、貼付位置の位置決め精度が良く、しかも空気の入り込みを抑制することができる平面ディスプレイ貼付用機能性フィルム及びその貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明における第1の発明の平面ディスプレイ貼付用機能性フィルムは、被着体としての平面ディスプレイの貼付面に貼付されて機能を発現する平面ディスプレイ貼付用機能性フィルムであって、基材フィルム層の一方の面に機能層を設け、他方の面に第1粘着剤層を設けるとともに、その第1粘着剤層上に剥離層を備え、前記第1粘着剤層を仮止め用粘着剤層と本止め用粘着剤層とに区分し、前記仮止め用粘着剤層上に仮止め用剥離層を設け、本止め用粘着剤層上に本止め用剥離層を備えることを特徴とするものである。」
(2)「【0016】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
まず、本実施形態の平面ディスプレイ貼付用機能性フィルムについて述べる。
本実施形態の平面ディスプレイ貼付用機能性フィルムは、被着体の貼付面に貼付されて光反射防止、紫外線吸収、電磁波シールド等の機能を発現するためのフィルムである。図1(a)、(b)及び(c)に示すように、平面ディスプレイ貼付用機能性フィルム(以下、単に機能性フィルムともいう)10は平面矩形状をなし、基材フィルム層11の一方の面(上面)に機能層12が設けられ、機能層12上には第2粘着剤層13を介して保護層14が設けられている。基材フィルム層の他方の面(下面)には第1粘着剤層15が設けられ、その第1粘着剤層15上には剥離層16が設けられている。第1粘着剤層15は仮止め用粘着剤層15aと本止め用粘着剤層15bとに区分されている。そして、仮止め用粘着剤層15a上に仮止め用剥離層16a、本止め用粘着剤層15b上に本止め用剥離層16bが設けられている。仮止め用剥離層16aと本止め用剥離層16bとの間には切り込み17が設けられ、仮止め用剥離層16aと本止め用剥離層16bとをそれぞれ単独で引き剥がしできるようになっている。なお、機能性フィルム10は、各図において理解を容易にするために、厚さを実際より厚く誇張して描かれている。
【0017】
そして、機能性フィルム10を被着体としての平面ディスプレイ19の貼付面20へ貼付する際に、剥離層16側を貼付面20上に置いて位置決めを行い、その後仮止め用剥離層16aを仮止め用粘着剤層15aから剥離し、それを平面ディスプレイ19へ貼付して仮止めする。その後、本止め用剥離層16bを本止め用粘着剤層15aから剥離し、貼付面20へ貼付する2段階の貼付方法をとることにより所望の位置へ貼付けることができる。従って、機能性フィルム10の仮止め用粘着剤層15a側が仮止め部10aとなり、本止め用粘着剤層15b側が本止め部10bとなっている。」
(3)「【0022】
剥離層16は、従来からこの種の機能性フィルム10で使用されているものと同様のものを何れも使用することができる。例えば、シリコーン、ワックス、フッ素樹脂等の公知の離型剤で処理した離型性が良好な紙、プラスチック、繊維、金属等のフィルムやそれ自体剥離可能な合成樹脂フィルム等が使用できる。その厚さは、通常5~300μm、好ましくは10~200μmである。
【0023】
また、剥離層16には前述のように仮止め用剥離層16aと本止め用剥離層16bとに2分割されるように切り込み17が設けられている。そして、機能性フィルム10を平面ディスプレイ19の貼付面20へ貼付する際に、位置決めを行い、手等で機能性フィルム10を押さえてずれないようにしながら、仮止め用剥離層16aを第1粘着剤層15から剥離し、それを貼付面20へ貼付することで貼り付け位置が決定されるようになっている。この分割された仮止め用剥離層16aの大きさは、上記した作業を満足するものであれば良いが、仮止め用剥離層16aの幅は、好ましくは1mm以上、より好ましくは3mm以上、さらに好ましくは5mm以上である。その幅が1mm未満では決められた位置を保持する粘着力としては不十分となり、例えば次の本止め用剥離層16bを剥離した後の貼付作業時に機能性フィルム10が剥がれてしまう可能性が高くなる傾向にある。
【0024】
また、その上限は次の点を考慮して決められる。つまり、仮止め用粘着剤層15aと本止め用粘着剤層15bの面積比において仮止め用粘着剤層15aの貼付けは仮止めであることから貼付の位置決めが不適切であった場合の張り直しや、本止め用粘着剤層15b側の貼付まで終えた機能性フィルム10の貼付面20内における気泡の残留を抑制する観点より決定される。従って、仮止め用粘着剤層15aは本止め用粘着剤層15bよりも面積が小さい方が好ましく、具体的には上記好ましい幅を満たす中で、本止め用粘着剤層15bと仮止め用粘着剤層15aとの合計面積に対する仮止め用粘着剤層15aの面積の割合が好ましくは1~40%、より好ましくは1~30%、さらに好ましくは1~20%である。その割合が40%を越えると、仮止め用剥離層16a側の貼付の位置決めが不適切であった場合に貼り直しが困難となり、また機能性フィルム10貼付終了時の貼付面20内において気泡が残留する確率がより高まる傾向にある。仮止め用剥離層16a及び本止め用剥離層16bのそれぞれには、各層を剥がし易くするためのタブを装着したり、切り込みを入れるなどの加工がなされていても良い。」
(4)「【0034】
平面ディスプレイ貼付用機能性フィルム10は、以下に示す手順により平面ディスプレイ19の貼付面20に貼付される。
(1)機能性フィルム10の剥離層16を平面ディスプレイ19の貼付面(画面)20上に置いて位置決めする。
(2)続いて、その位置を固定して仮止め用剥離層16aを剥離し、それにより出現した仮止め用粘着剤層15aを平面ディスプレイ19の貼付面20に貼付して仮止めする。
(3)次いで、その仮止め部10aを固定して本止め用剥離層16bを剥離し、それにより出現した本止め用粘着剤層15bを(2)の手順にて貼付した仮止め部10aに近い側から遠い側に向けて順に貼付する。
【0035】
係る貼付作業を容易かつ迅速に行うためにヘラ等の道具を使用しても良い。そのような道具としては、貼付作業を容易にするものであれば特に限定されず、何れの道具も使用できる。ヘラに代わる道具としては、例えば紙、プラスチック、布類等が挙げられる。また、それらの形状については、上記貼付作業を補助できるような形状であれば何れの形状でも良い。」
(4)「【0045】
・・・
(実施例1)
縦246mm、横185mmに裁断された日本油脂(株)製 ReaLook7702UV-Sの剥離層16に切り込み17(キスカット、剥離層16のみをカット)を入れて仮止め用剥離層16aと本止め用剥離層16bとして分離させた。そして、タブレットPC((株)東芝製 Daynabook SS 3500 DSIEP/2)への貼付を次の通りに行った。
【0046】
まず、仮止め用剥離層16a側を貼付面(液晶画面)20の周辺部21の長辺に沿うように貼付面20上に置いて位置決めした。その位置が動かないように手で固定して仮止め用剥離層16aを剥離し、出現した仮止め用粘着剤層15aを貼付面に貼付した。次に、仮止め部10aを手で押さえながら残りの本止め用剥離層16bを剥離し、出現した本止め用粘着剤層15bを先ほど貼付した仮止め部10aに近い側から遠い側に向けて順に貼付した。その後、保護層14を剥離した。」
(5)「【0054】
・ 仮止め用剥離層16aと本止め用剥離層16bとの境界部分に、ミシン目を設けたり、その部分を薄く形成したりして切り離し可能に構成することもできる。
・ 仮止め用剥離層16aを機能性フィルム10からはみ出すようにした把持部や折り曲げるようにした把持部等を設けることもできる。その場合、仮止め前に仮止め用剥離層16aを把持部を持って簡単に剥がすことができる。」
(6)「【図1】
[図:0001391202000085.jpg]
[図:0001391202000086.jpg]
」
(7)「【図2】
[図:0001391202000087.jpg]
[図:0001391202000088.jpg]
」
(8)「【図3】
[図:0001391202000089.jpg]
[図:0001391202000090.jpg]
」
15 甲19の記載事項
甲19には次の記載がある。
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、パソコンで作成された印刷物、写真、文字が書かれた紙、絵画の複製物やポスターなどのシート状物をパネル化して、装飾物としての価値や保存性などを高めるために使用される装飾用パネル材に関する。」
(2)「【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態について図1ないし図4を参照しながら説明する。
【0011】図1および図2は、この発明の1実施形態を示し、図1は、装飾用パネル材を裏面側から見た斜視図であり、図2は、図1のII-II矢視縦断面を一部省略化して示す図である。この装飾用パネル材10は、図5に示した従来のパネル材1と同様に、矩形状のアクリル板等の透明樹脂板11の裏面側の全面に透明な接着剤を塗布して接着剤層12を形成し、その接着剤層12の表面に剥離紙または剥離フィルムの剥離性シート材13を被着して構成されている。透明樹脂板11の厚みは、目的に応じて0.1mm~20mm程度の範囲で適宜選定される。なお、透明樹脂板11の裏面側に接着剤を塗布して接着剤層12を形成する代わりに、透明樹脂板11の裏面側に透明な両面粘着フィルムを貼着して接着剤層を設けるようにしてもよい。
【0012】剥離性シート材13には、1つの端辺縁部に端辺に沿って切れ目14が入っており、切れ目14で画された細帯状の端辺縁部15が部分的に剥離可能になっている。また、このパネル材10では、剥離性シート材13の表面の、切れ目14が入れられた端辺縁部とは反対側の端縁部に、左右一対の仮留め部16、16が設けられている。仮留め部16は、剥離性シート材13の表面に貼着された両面粘着フィルムからなる接着部17の表面を剥離紙(または剥離フィルム)18で被覆して形成されている。仮留め部16の接着部17は、このパネル材10を使用してパネル化しようとするシート状装飾物、例えばパソコンで作成された印刷物を剥離性シート材13上に保持して移動しないように位置固定するとともに容易に引き剥がすことができる程度の弱い接着力を有している。なお、剥離性シート材13の表面に両面粘着フィルムを貼着して接着部17を形成する代わりに、剥離性シート材13の表面に粘着剤を塗布して接着部を設けるようにしてもよい。」
(3)「【0013】次に、図1および図2に示した装飾用パネル材10を使用して印刷物をパネル化する手順を図3に基づいて説明する。
【0014】まず、図3の(a)に示すように、パネル材10の裏面側を上向きにしてから、剥離性シート材13の表面の仮留め部16の接着部17から剥離紙18を剥離させて接着部17を露出させる。次に、図3の(b)に示すように、剥離性シート材13の表面に印刷物19の印刷面が向き合うようにして剥離性シート材13上に印刷物19を載置する。印刷物19は、透明樹脂板11と同一の形状および同等の大きさを有しており、印刷物19の4辺が透明樹脂板11の4辺と完全に合致するように透明樹脂板11に対して印刷物19を正確に位置決めする。この際、剥離性シート材13の表面の接着部17は、弱い接着力しか有していないので、剥離性シート材13上の接着部17に印刷物19の一部がくっ付いても、透明樹脂板11に対する印刷物19の位置の修正に支障を生じるようなことは無く、また、印刷物19の印刷面が部分的に剥がれる心配も無い。
【0015】透明樹脂板11に対する印刷物19の位置決めが終わると、図3の(c)に示すように、印刷物19の一端縁部が剥離性シート材13表面の接着部17に接着されて透明樹脂板に対する印刷物19の位置が保持された状態で、印刷物19の他端側を剥離性シート材13の表面から浮かせ、剥離性シート材13の切れ目14で画された端辺縁部15だけを透明樹脂板11から剥離させて、接着剤層12を透明樹脂板11の端辺縁部だけで部分的に露呈させる。次に、印刷物19の、剥離性シート材13上の接着部17に保持された端縁部とは反対側の端辺縁部を透明樹脂板11の端辺縁部に部分的に接着させる。このとき、印刷物19は、透明樹脂板11に対して正確に位置決めされた状態を保ったままで剥離性シート材13の表面上に保持されているので、印刷物19の端辺縁部は、透明樹脂板11の端辺縁部に正確に位置決めされて接着される。
【0016】図3の(d)に示すように、印刷物19の端辺縁部が透明樹脂板11の端辺縁部に正確に位置決めされて接着されると、印刷物19の一端縁部を剥離性シート材13上の接着部17から引き剥がして印刷物19の一端側を剥離性シート材13の表面から浮かせる。続いて、図3の(e)に示すように、剥離性シート材の端辺縁部15以外の部分を透明樹脂板11から剥離させ、図3の(f)に示すように、印刷物19の裏面側からローラ等を押し当てるなどして印刷物19と透明樹脂板との間に空気が入られないように注意しながら、印刷物19を透明樹脂板11に徐々に接着させていく。そして、透明樹脂板11の裏面側の全面に印刷物19を貼り付ける。この貼付けの際には、印刷物19の端辺縁部が透明樹脂板11の端辺縁部に正確に位置決めされて接着されているため、透明樹脂板11の裏面側の全面に対して印刷物19の全体が正確に位置決めされて貼り付けられる。このようにして、図3の(g)に示すように、透明樹脂板11の表面側から透明樹脂板11および透明な接着剤層12を透過して印刷物19の絵柄等を鮮明に見ることができる装飾パネル20が完成する。
【0017】出来上がった装飾パネル20は、スタンドなどを用いて卓上に飾ったり、小孔をあけて紐に吊し、また両面粘着テープなどを用いて壁面に飾ったり、額縁を用いて飾ったりされる。この装飾パネル20は、長期間飾っていても表面が汚れたり褪色したりすることが無く、印刷物に皺が寄る心配も無い。また、装飾パネル20の裏面側に、片面に粘着剤が塗布された樹脂シートを貼り付けることにより、装飾パネル20に耐水性を持たせることもできる。」
(4)「【0020】
・・・
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の1実施形態を示し、装飾用パネル材を裏面側から見た斜視図である。
【図2】図1のII-II矢視縦断面を一部省略化して示す図である。
【図3】図1および図2に示した装飾用パネル材を使用して印刷物をパネル化する手順について説明するための図である。
・・・」
(5)「【図1】
[図:0001391202000091.jpg]
」
(6)「【図2】
[図:0001391202000092.jpg]
」
(7)「【図3】
[図:0001391202000093.jpg]
」
第7 無効理由8~10についての当審の判断
事案に鑑み、まず無効理由8~10について判断する。
1 無効理由9についての判断
(1)無効理由9は、本件発明4における「前記第1延出部は、前記第1剥離部における前記分離ライン寄りの部分から前記保護シートの外側に延びており」、「前記第2延出部は、前記第2剥離部における前記分離ライン寄りの部分から前記保護シートの外側に延びている」という発明特定事項のうち、「分離ライン寄りの部分」が何を指すかが明確でなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないというものである。
(2)ここで、延出部とは、剥離部から保護シートの外側に延びているものであるが、どの部分から延出部が延びているのかが明確かどうかの問題となっている。
(3)通常の文言の意味として、分離ライン寄りとは、分離ライン近傍よりはやや範囲が広いと解されるが、「寄り」とは「ある方向・場所などに近づいて位置すること」(デジタル大辞泉)を意味するのが一般的であるから、当審は、次のように解する。
(4)第1剥離部及び第2剥離部について、それぞれ分離ラインと対抗する端部(以下「外端部」という。)という場所を有しているから、第1剥離部内及び第2剥離部内における任意の部分の位置は、両場所から均等に位置する場合を除いて、その部分が分離ラインに近づいた位置か、外端部に近づいた位置かのいずれかであるといえる。そして、第1延出部が延びている部分について、第1剥離部の中心よりも分離ラインに近づいていれば「分離ライン寄り」であると解すべきである。そのように解した上で前記第3、2(2)及び(7)イ、ウに摘記した本件明細書の【0029】、【0031】、図1及び図2を参照すると、第1延出部211は第1剥離部21のX2側から保護シートの外側に延びており、当該X2側とは、第1剥離部21の中心よりも切断可能ライン23(分離ライン)に近づいて位置しているといえるから、第1延出部は、第1剥離部における「分離ライン寄り」の部分から保護シートの外側に延びていることは明確である。
また、第2延出部についても、第2剥離部における「分離ライン寄り」の部分から保護シートの外側に延びていることは明確である。
(5)以上から、「分離ライン寄り」という発明特定事項は明確であり、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえないから、本件発明4の記載が特許法第36条第6項第2号の要件を満たさないということはできない。
2 無効理由10についての判断
(1)無効理由10は、本件発明6における「前記第1剥離部における前記分離ライン寄りの部分から前記保護シートの外側に延びる第1延出部」、「前記第2剥離部における前記分離ライン寄りの部分から前記保護シートの外側に延びる第2延出部」という発明特定事項のうち、「分離ライン寄りの部分」が何を指すかが明確でなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないというものである。
(2)そうすると、前記1(2)~(5)における検討と同様に、本件発明6の記載が特許法第36条第6項第2号の要件を満たさないということはできない。
3 無効理由8についての判断
(1)無効理由8は、本件発明2の「前記仮止部は、前記第1剥離部における前記分離ライン寄りに配置される」という記載における「分離ライン寄り」がどの範囲を指すかが明確でないというものである。
(2)この点、被請求人は仮止部の位置についての明確な反論をしていないが、前記1(4)と同様に第1剥離部の中心よりも分離ラインに近づいて配置されていれば「分離ライン寄り」といえると解される。
(3)以上から、「分離ライン寄り」という発明特定事項は明確であり、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえないから、本件発明4の記載が特許法第36条第6項第2号の要件を満たさないということはできない。
4 無効理由8~10についての小括
前記(1)(2)より、本件特許請求の範囲の請求項2、4、6の記載はいずれも不明確であるといえないから、特許法第36条第6項第2号に規定される要件を満たさないものといえない。したがって、無効理由8~10は、いずれも理由がない。
第8 本件発明1~4、6についての無効理由1~7、11~16についての判断
1 前記第4、2に示した請求人の主張を整理すると本件特許1~4、6についての無効理由は、無効理由1~7、11~16である。
2 検討の順序
無効理由1~7、11~16については、主引用発明ごとにまとめて検討することとし、その検討順序は次のとおりとする。
(1)甲1に記載された発明を主引用発明とする無効理由1、2、11~16
(2)甲3に記載された発明を主引用発明とする無効理由3~5
(3)甲4に記載された発明を主引用発明とする無効理由6、7
3 無効理由1、2、11~16についての判断
(1)甲1発明の認定
ア 前記第6、1において摘記した甲1の記載、特に[0001]、[0002]、[0026]、[0027]、[0030]、[0033]~[0035]、[0038]、図1~図4及び図5a~図5fの記載から次の発明(以下「甲1-1発明」~「甲1-4発明」および「甲1-6発明」といい、まとめて「甲1発明」ということがある。)が認定できる。
(ア)甲1-1発明
「a:携帯電話等の個人携帯用情報端末の画面やキー入力部又は外部表面を保護する保護フィルムであって、底面に接着剤層(12)を有する保護フィルム(11)と、
b:前記接着剤層(22)を覆うと共に、分離ラインを介して並んで配置される左右の仮粘着裏紙(21A、21B)を有する仮粘着裏紙(21)と、
c:前記左右の仮粘着裏紙(21A、21B)から前記保護フィルム(11)のフレームの外に突出する取っ手(24)と、
d:前記仮粘着裏紙(21A)の底面に設けられた粘着剤層(22)であって、
e:前記仮粘着裏紙(21A)の底面に配置され、前記情報端末の表面に対して付け外しを繰り返すことが可能であって、前記保護フィルム(11)を前記情報端末の表面に粘着させるための前記粘着剤層(22)と、を備える携帯用情報端末保護フィルム。」
(イ)甲1-2発明
「q:前記粘着剤層(22)は、前記仮粘着裏紙(21A)の底面全体に配置される
r:ことを特徴とする上記aからeまでの構成を有する携帯用情報端末保護フィルム。」
(ウ)甲1-3発明
「f:前記取っ手(24)は、前記仮粘着裏紙(21A)の端部から前記保護フィルム(11)のフレームの外に突出する取っ手(24)と、前記仮粘着裏紙(21B)の端部から前記保護フィルム(11)のフレームの外に突出する取っ手(24)と、を有する
g:上記aからeまでの構成又は上記q及びrの構成を有する携帯用情報端末保護フィルム。」
(エ)甲1-4発明
「s:前記仮粘着裏紙(21A)から前記保護フィルム(11)のフレームの外に突出する取っ手(24)は、前記仮粘着裏紙(21A)の端部から分離ラインの延長線上に沿って前記保護フィルム(11)の境界線の外に突出しており、
t:前記仮粘着裏紙(21B)から前記保護フィルム(11)のフレームの外に突出する取っ手(24)は、前記仮粘着裏紙(21B)の端部から分離ラインの延長線上に沿って前記保護フィルム(11)の境界線の外に突出している
u:上記f及びgの構成を有する携帯用情報端末保護フィルム。」
(オ)甲1-6発明
「h:携帯電話等の個人携帯用情報端末の表面を保護するために付着する保護フィルム(11)であって、底面に接着剤層(12)を有する保護フィルム(11)と、
i:前記接着剤層(12)を覆うと共に分離ラインを介して並んで配置される左右の仮粘着裏紙(21A、21B)を有する仮粘着裏紙(21)と、
j:前記仮粘着裏紙(21A)の端部から分離ラインの延長線上に沿って前記保護フィルム(11)のフレームの外に突出する取っ手(24)と、前記仮粘着裏紙(21B)の端部から分離ラインの延長線上に沿って前記保護フィルム(11)のフレームの外に突出する取っ手(24)と、
k:前記仮粘着裏紙(21A)の底面に設けられて配置されると共に前記携帯用情報端末の表面に対して貼り付け可能な前記粘着剤層(22)と、
l:を備える携帯用情報端末保護フィルムを用いて保護フィルムを貼付する貼付方法であって、
m:前記仮粘着裏紙(21A)を前記携帯用情報端末の表面に対して付け外しを繰り返しながら、前記保護フィルム(11)を粘着させる工程と、
n:該工程の後に、前記仮粘着裏紙(21B)を取っ手(24)を利用して前記保護フィルム(11)から剥ぎ取って、前記保護フィルム(11)を前記携帯用情報端末の表面に貼り付ける工程と、
o:該工程の後に、前記粘着剤層(22)が設けられる前記仮粘着裏紙(21A)を取っ手(24)を利用して剥ぎ取ることにより前記保護フィルム(11)から剥がすと共に、前記粘着剤層(22)を前記携帯用情報端末の表面から剥がして、前記保護フィルム(11)を前記携帯用情報端末の表面に貼り付ける工程と、
p:を備えるフィルム貼付構造体を用いて保護フィルムを貼付する貼付方法。」
イ 甲1発明の認定についての被請求人の主張に対して
(ア)被請求人は、前記ア(ア)の構成cに関して、「c’:前記左右の仮粘着裏紙(21A、21B)の前記保護フィルム(11)のフレーム外に突出する取っ手24と、」と認定すべきと主張するが、前記ア(ア)のcとは、「前記左右の仮粘着裏紙(21A、21B)から・・・フレームの外」を「前記左右の仮粘着裏紙(21A、21B)の・・・フレーム外」と言い換えただけであって採用できない。
(イ)被請求人は、前記ア(ア)の構成eに関して、「e’:前記透明の仮粘着裏紙(21A)の底面に配置され、前記情報端末の表面に対して付け外しを繰り返すことが可能であって、前記保護フィルム(11)を前記情報端末の表面に粘着させるための前記粘着剤層22と、を備えることを特徴とする携帯用情報端末保護フィルム。」と認定すべきと主張するが、本件発明において「剥離シート」が透明か否かは特定されておらず、甲1-1発明において「仮粘着裏紙(21A)」が透明であることは、本件発明との対比において必要がないから、被請求人の主張は採用できない。
(ウ)被請求人は、前記ア(オ)の構成kに関して、「前記透明の仮粘着紙(21A)の底面に設けられて配置されると共に前記携帯端末の表面に対して貼り付け可能な前記粘着剤層(22)と」と認定すべきと主張するが、前記(イ)と同様に採用できない。
(2)本件発明1との対比・判断
構成ごとに本件発明1と甲1-1発明とを対比する。
ア 構成要件Aと構成a
甲1-1発明における「携帯電話等の個人携帯用情報端末」は、本件発明1における「装置」に相当し、同様に、「画面やキー入力部又は外部表面」は「表面」に、「保護フィルム(11)」は「保護シート」に、「接着剤層(12)」は「接着面」にそれぞれ相当する。
したがって、構成aは、構成要件Aと一致する。
イ 構成要件Bと構成b
甲1-1発明における「仮粘着裏紙(21A)」「仮粘着裏紙(21B)」「仮粘着裏紙(21)」は、本件発明1における「第1剥離部」「第2剥離部」「剥離シート」にそれぞれ相当する。
したがって、構成bは、構成要件Bと一致する。
ウ 構成要件Cと構成c
前記第3、2(8)イで検討したように、本件発明1の「延出部」は、第1剥離部及び第2剥離部から外側に延びていれば足りるものであるから、甲1発明における「取っ手(24)」は、本件発明1における「延出部」に相当する。
したがって、構成cは、構成要件Cと一致する。
エ 構成要件D、Eと構成d、e
本件発明1の構成要件D,Eは、いずれも「仮止部」に関するものであり、甲1-1発明の構成d,eは、いずれも「粘着剤層(22)」に関するものであるから、併せて検討する。
(ア)前記第3、2(4)において摘記した本件明細書の段落【0057】に「仮止貼付部30により保護シート10を・・・仮止めする」と記載されているように、本件発明1における「仮止め」とは、後に剥がすことを前提に、一時的に保護シートを装置の表面に貼り付けることを意味すると解される。
(イ)そして、甲1-1発明における「仮粘着裏紙(21A)の底面に設けられた粘着剤層(22)」は、「付け外しを繰り返すことが可能であって、前記保護フィルム(11)を前記情報端末の表面に粘着させる」ものであるから、甲1-1発明の「仮粘着裏紙(21A)」は、仮止部であるといえる。
(ウ)甲1-1発明における「仮粘着裏紙(21A)の底面に設けられた粘着剤層(22)」について注目すると、甲1の明細書からは底面のどの部分に粘着剤層が設けられているかは明示されていないが、前記第6、1(13)に摘記した図面の記載から、仮粘着裏紙(21A)の底面全体に設けられていると視認できる。そして、粘着剤層(22)は一つの領域と認識できる。
(エ)また、甲1-1発明における「取っ手(24)」については、甲1を精査しても、粘着剤層(22)が設けられているかは明らかでない。仮に、取っ手(24)に粘着剤層(22)が設けられているとすると、その場合には、粘着剤層(22)は甲1-1発明における仮粘着裏紙(21A)の外側にはみ出ることになる。
(オ)そうすると、構成要素D、Eと構成d、eとの一致点、相違点は次のとおりである。
(カ)一致点
「前記第1剥離部における前記保護シートとは反対側の面に設けられる仮止部であって、
前記第1剥離部に重なって配置され、前記装置に貼り付け可能であって、
前記保護シートを前記装置の表面に仮止めするための1箇所の仮止部と、を備える保護シート貼付用のシート貼付構造体」である点。
(キ)相違点1-1
仮止部について、本件発明1においては、「第1剥離部の外側にはみ出ないように」されているのに対して、甲1-1発明においては、その点が明らかでない点。
(ク)相違点1-2
仮止部について、本件発明1においては、「第1剥離部より小さい」のに対して、甲1-1発明においては、仮粘着裏紙(21A)より小さいといえない点。
オ 相違点についての検討
前記ア~エを総合すると、相違点1-1及び相違点1-2は、本件発明1と甲1-1発明との相違点であるので、以下に検討する。
(ア)相違点1-1について
a 甲1-1発明における「取っ手(24)」の機能から検討する。前記第6、1(11)に摘記した甲1の段落[0038]の「取っ手(24)を用いるとき、仮粘着裏紙(21)を保護フィルム(11)から容易に取り外すことができる」という記載からみて、当該取っ手(24)は、仮粘着裏紙(21A)を剥がす際に取っ手(24)を指でつまんで剥がす方向に引っ張るためのものと読み取れる。
b そうすると、甲1-1発明においては、取っ手(24)に粘着剤層を設ける必要がなく、また、粘着剤層を設けることでユーザーの指に粘着が付着するという不都合があるため、取っ手に粘着剤層を設けないことは、必然の事項といえる。
c そうすると、相違点1-1は、実質的な相違点でない。また、仮に実質的な相違点であったとしても、前記bの不都合を回避するために当業者が容易に想到しうる事項ということができる。
d 被請求人は、「取っ手24の裏面に粘着剤層22が形成されていても何ら問題は無いし、取っ手24の裏面だけ粘着剤層22を意図的に除去する必要もないから、そのように解するのが自然である。」などと主張するが、前記bで検討したように粘着剤層を設ける意味がないことが読み取れる部分に粘着剤をあえて設けることは不自然であって、被請求人の主張は採用できない。
(イ)相違点1-2について
a 甲1-1発明における粘着剤層(22)は、前記第6、1(10)に摘記した甲1の段落[0037]に記載されているように、「定位置に仮粘着裏紙(21A)を対象表面に固定」することが本質的な機能である。
b 前記第6、3(8)に摘記したように、甲3に記載された第2の部分(本件発明の「第1剥離部」に相当。)に設けられた感圧接着剤(PSA)領域39(本件発明の「仮止部」に相当。)も、第2の部分の一部に設けられている。また、前記第6、15(2)に摘記した甲19の段落【0012】に記載された左右一対の仮留め部16、16(本件発明の「仮止部」に相当。)も剥離性シート材13(本件発明の「第1剥離部」に相当。)の一部に設けられている。
c ここで、甲3に記載の感圧接着剤(PSA)領域39は、前記第6、3(12)イに摘記した図6によれば4ヶ所に配置されるものと視認でき、また、甲19に記載の仮留め部16、16は左右一対であることと、前記第6、15(5)に摘記した図1とから、2ヶ所に配置されるものであるが、甲3又は甲19における仮止部の配置数について、その技術的意義についての記載は甲3又は甲19においてされておらず、適宜設定し得るものと認められるから、仮止部の配置数に関わりなく、甲3及び甲19に記載のように、仮止部を裏紙の底面全体ではなく裏紙の一部だけに設けることは、本件発明が属する技術分野における周知の技術的事項であると認められる。
d そうすると、甲1-1発明において一つの領域と認識できる「粘着剤層(22)」を仮粘着裏紙の一部だけに設けることによってなし得る、相違点1-2に係る本件発明1の構成は、例えば甲3又は甲19に記載の周知の技術的事項から当業者が容易に想到しうることである。
カ 作用効果について
(ア)前記アで検討したように、相違点1-1は実質的な相違点ではないから、作用効果上の相違もないことになる。また、仮に実質的な相違点であったとしても、取っ手としての作用効果上の相違は当業者が予測可能な程度のものにすぎない。
(イ)相違点1-2については、本件発明1における「第1剥離部より小さい」という特定事項は第1剥離部より極わずかに小さい場合を含んでいるのであるから、作用効果上の相違がわずかなものでしかない。
キ そうすると、本件発明1と甲1発明との相違点はいずれも当業者が容易に想到しうることであり、また、本件発明1がそれらの相違点に係る構成を有することにより、予測できない効果を奏すると認めることができないので、本件発明1は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。
ク 被請求人の主張に対して
(ア)被請求人は、「仮に、粘着剤層22を仮粘着裏紙21や保護フィルム11より小さくすると、保護フィルム11を貼り付ける領域に異質物の吸着除去漏れが生じることになるから、そのような改変は甲1発明の意義を滅失することになる。」と主張する。
(イ)しかしながら、前記第6、1(11)の[0039]に摘記したように、甲1には、「仮粘着裏紙(21)」が「異質物を吸着」することが記載されているが、前記オ(イ)aで検討したように、「定位置に仮粘着裏紙(21A)を対象表面に固定」することが本質的な機能であることは、前記第6、1(14)に摘記した甲1の特許請求の範囲の記載において、接着剤層(12)を仮粘着裏紙(21A)の全面に設けるという特定はされていないこと、同(7)に摘記した甲1の[0024]に記載のとおり、甲1に記載の発明は「熟練されていない一般消費者であっても、一回で正確に保護フィルムを情報端末に貼り付けることができるようにするもの」であって、同(11)に摘記した甲1の[0039]における「異質物を吸着して清潔であり、透明度が向上」は、一回で貼り付けられなかった場合になされ得る効果を示したものであるといえ、異質物の除去は付加的な機能であって、甲1-1発明において、粘着剤層22を仮粘着裏紙21や保護フィルム11よりも小さくしないことが必須であるとは認められないから、被請求人の主張は採用できない。
(ウ)また、被請求人は、甲1発明における「仮粘着裏紙」は、透明である必要があるが、本件発明においては、透明なものに限られない旨主張しているが、前記イ(イ)で検討したように、本件発明において「剥離シート」が透明か否かは特定されておらず、甲1-1発明において仮粘着裏紙(21A)が透明であることは、本件発明との対比において必要がないから、被請求人の主張は、上記カ~クの判断を左右するものではない。
(エ)被請求人は、甲1発明は、「全面が粘着材の層であるから、最初から位置ずれなく貼り付ける必要があり、相当に手際よく貼り付けないと埃が混入することは防ぎようがないから、本件特許発明の仮止部に相当するということもできない。」とも主張するが、甲1発明における仮粘着裏紙(21A)に設けられた粘着剤層(22)が全面に設けられているとしても、前記第6、1(10)に摘記した甲1の段落[0034]に記載のように、「付け外しを繰り返し」行うことが可能であることから、仮止めを目的としている以上、仮止部に相当するものであるというべきであって、被請求人の主張は採用できない。
(3)本件発明2について
ア 本件発明2は、仮止部の位置を「前記第1剥離部の前記分離ライン寄り」に特定し、さらに、延出部について、「前記第1剥離部及び前記第2剥離部の前記保護シート側の面につながる面が外側に配置されるように折り返され、」と特定するものである。
イ 甲1-2発明における「延出部」に相当する「取っ手(24)」は折り返されていないから、この点は、本件発明2と甲1-2発明との相違点(以下「相違点1-3」という。)である。
ウ 相違点1-3については、請求人が提示した甲1、3~9、14~19のいずれにも記載されていないが、甲2に記載されている。
エ 甲2については、後記第9、2において検討するように、甲1とは技術分野が異なっているから、甲2に記載された事項を甲1-2発明に適用すること自体が当業者にとって容易であるとはいえない。
オ したがって、本件発明2は甲1-2発明及び甲2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ということはできない。
(4)本件発明3について
ア 本件発明3と甲1-3発明とを対比する。
甲1-3発明における取っ手(24)は2つ存在し、本件発明3における第1延出部及び第2延出部に相当することから、本件発明3と甲1-3発明とは、前記(2)における本件発明1について検討した以外の相違点はない。
イ したがって、本件発明3は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるか、甲1発明及び甲3又は甲1発明及び甲19に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。
(5)本件発明4について
ア 本件発明4と甲1-4発明とを対比する。
(ア)甲1-4発明は、構成uにあるように、「形態用情報端末」を対象とするものであるから、本件発明4の構成要件S’「前記装置は携帯型であり」を充足する。
(イ)甲1-4発明における構成s、tは、本件発明4の構成要件S、Tにそれぞれ相当し、新たな相違点はないから、本件発明4と甲1-4発明との相違点は、前記(2)において検討した相違点1-1及び相違点1-2である。
イ したがって、本件発明4は、本件発明1と同様に、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるか、甲1発明及び甲3又は甲1発明及び甲19に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。
(6)本件発明6について
本件発明6と甲1-6発明とを対比する。
ア 構成要件Hと構成h
甲1-6発明における「携帯電話等の個人携帯用情報端末」は、本件発明6における「装置」に相当し、同様に、「表面」は「表面」に、「保護フィルム(11)」は「保護シート」に、「接着剤層(12)」は「接着面」にそれぞれ相当する。
したがって、構成hは、構成要件Hと一致する。
イ 構成要件Iと構成i
甲1-6発明における「仮粘着裏紙(21A)」「仮粘着裏紙(21B)」は、本件発明6における「第1剥離部」「第2剥離部」にそれぞれ相当し、分離ラインとの位置関係においても構成iと構成要件Iは一致している。
したがって、構成iは、構成要件Iと一致する。
ウ 構成要件Jと構成j
甲1-6発明の構成jにおける「仮粘着裏紙(21A)」側の「取っ手(24)」及び「仮粘着裏紙(21B)」側の「取っ手(24)」は、本件発明6の構成要件Jにおける「第1延出部」、「第2延出部」にそれぞれ相当し、それぞれが「分離ラインの延長線上に沿って前記保護フィルム(11)のフレームの外側に突出」しているから、本件発明6の構成要件Jにおける「分離ライン寄りの部分から前記保護シートの外側に延びる」に相当する。
したがって、構成jは構成要件Jと一致する。
エ 構成要件Kと構成k
(ア)前記(2)エにおける構成要件Eと構成eとの検討と同様に、構成要件Kと構成kとを対比すると次の一致点及び相違点がある。
(イ)一致点
「前記第1剥離部における前記保護シートとは反対側の面に設けられ且つ前記第1剥離部に重なって配置されると共に前記装置に貼り付け可能な1箇所の仮止部」である点。
(ウ)相違点1-1
仮止部について、本件発明6においては、「第1剥離部の外側にはみ出ないように」されているのに対して、甲1-6発明においては、その点が明らかでない点。
(エ)相違点1-2
仮止部について、本件発明6においては、「第1剥離部より小さい」のに対して、甲1-6発明においては、仮粘着裏紙(21A)より小さいといえない。
オ 構成要件Lと構成l
前記アと同様に、甲1-6発明の「保護フィルム(11)」は、本件発明6の「保護シート」に相当する。
したがって、構成lは構成要件Lと一致する。
カ 構成要件Mと構成m
甲1-6発明における「保護フィルム(11)を粘着させる工程」は、後の工程である構成oにおいて剥がされるものであるから、仮止めする工程である。
したがって、構成mは構成要件Mと一致する。
キ 構成要件Nと構成n
前記イ、ウと同様に、甲1-6発明の構成nにおける「仮粘着裏紙(21B)」、「取っ手(24)」は、本件発明6の構成nにおける「第2剥離部」、「第2延出部」にそれぞれ相当する。甲1-6発明の「前記仮粘着裏紙を取っ手(24)を利用して前記保護フィルム(11)から剥ぎ取」るとは、経験則上、取っ手(24)を引っ張ることにより保護フィルム(11)から仮粘着裏紙(21B)を剥離することいえるから、甲1-6発明における「前記仮粘着裏紙(21B)を取っ手(24)を利用して前記保護フィルム(11)から剥ぎ取」ることは、本件発明6の「前記第2剥離部を前記第2延出部を引っ張ることにより前記保護シートから剥が」すことに相当するといえる。
したがって、構成nは、構成要件Nと一致する。
ク 構成要件Oと構成o
甲1-6発明の構成oにおける「仮粘着裏紙(21A)」、「取っ手(24)」は、本件発明6の「第1剥離部」、「第2延出部」にそれぞれ相当し、前記キの第2剥離部の場合と同様に、構成oは、「前記キの工程の後に、第1延出部を引っ張ることで第1剥離部を剥離する工程」であるといえる。
したがって、構成oは、構成要件Oと一致する。
ケ 構成要件Pと構成p
前記アでの検討と同様、構成pの「保護フィルム(11)」は、本件発明6の「保護シート」に相当するから、構成pは、構成要件Pと一致する。
コ 前記ア~ケをまとめると、本件発明6と甲1-6発明との一致点、相違点は以下のとおりである。
(ア)一致点
両者は、構成要件H~J、L~P及び構成要件Kの前記エ(イ)を有する点で一致する。
(イ)相違点
両者は、前記エ(ウ)の相違点1-1及び前記エ(エ)の相違点1-2で相違する。
サ 相違点についての判断
(ア)相違点1-1及び相違点1-2は、前記(2)カにおいて本件発明1について検討したのと同じ相違点であるから、相違点1-1及び1-2についての判断も前記(2)カにおける判断と同じである。
(イ)そうすると、本件発明6は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるか、甲1発明及び甲3又は甲1発明及び甲19に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。
(7)小括
ア 本件発明1~4、6は、甲1発明であるとはいえないから、特許法第29条第1項第3号に規定される発明に該当しない。
イ 本件発明1、3、4、6は、甲1発明及び甲3又は甲1発明及び甲19に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により特許をうけることができない発明である。
ウ 本件発明2は、甲1発明及び甲3又は甲1発明及び甲19に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができた発明とはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許をうけることができない発明であるとすることはできない。
エ 前記ア~ウから、本件発明1、3、4、6に係る特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものであり、本件発明2に係る特許は特許法第123条第1項第2号の規定により無効とされるものではない。
(8)無効理由1、2、11~16についての判断のまとめ
ア 無効理由1
本件発明1~4、6は、甲1発明と実質的な相違点があるから、無効理由1は理由がない。
イ 無効理由2
前記第3、2(8)で検討したように、請求人の主張する「延出部」の解釈は採用できないが、この点を措くとしても、甲1発明に甲2に記載された事項を適用しても、前記アと同じ実質的な相違点である相違点1-2が存在し、この相違点が後記ウに記載するように設計的事項ということもできないから、本件発明1~4、6に対する無効理由2は理由がない。(本件発明5
に対する無効理由2は後記第9で検討する。)
ウ 無効理由11
(ア)請求人は、前記第6、10(2)~(10)に摘記した甲14の「位置決め用剥離領域4」、前記第6、11(2)~(9)に摘記した甲15の「位置決め用剥離領域4」、前記第6、12に摘記した甲16の『「位置決め用剥離片3」を剥がし、露出した領域』、前記第6、13に摘記した甲17の『「剥離片18」を剥離した領域』、前記第6、14(2)~(8)に
摘記した甲18の『「仮止用剥離片16a」を剥離した領域』に見られるように、保護フィルムの一部に仮止め部を設けることは周知の技術手段であると主張するが、この手段を甲1発明に適用しても、甲1発明における保護フィルム11と仮接着裏紙21Aとは異なるから、仮接着裏紙21Aの一部に仮止め部を設けるという構成とはならない。
(イ)相違点1-2が、前記(1)の周知技術または設計的事項であって、当業者が容易に想到し得ると認めるに足る証拠はないから、本件発明1~4、6が甲1発明のみに基づいて当業者が容易に発明できたものということはできない。
(ウ)したがって、無効理由11は理由がない。
エ 無効理由12
(ア)前記(7)のとおり、本件発明1、3、4、6は甲1発明及び甲3に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたものであり、同趣旨の無効理由12は理由がある。
(イ)また、本件発明2は、甲1発明及び甲3に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたものといえないから、無効理由12は理由がない。
オ 無効理由13
(ア)前記(7)のとおり、本件発明1、3、4、6は甲1発明及び甲19に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたものであり、同趣旨の無効理由13は理由がある。
(イ)また、本件発明2は、甲1発明及び甲3に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたものといえないから、無効理由12は理由がない。
カ 無効理由14
前記第3、2(8)で検討したように、請求人の主張する「延出部」の解釈は採用できないが、この点を措くとしても、前記ウで検討した無効理由11と同様に、本件発明1~4、6に対する無効理由14は理由がない。(本件発明5に対する無効理由14は、後記第9で検討する。)
キ 無効理由15
前記第3、2(8)で検討したように、請求人の主張する「延出部」の解釈は採用できないがこの点を措くとしても、前記エの無効理由12と同様に、本件発明1、3、4、6に対する無効理由15は理由があり、本件発明2に対する無効理由15は理由がない。(本件発明5に対する無効理由15は、後記第9で検討する。)
ク 無効理由16
前記第3、2(8)で検討したように、請求人の主張する「延出部」の解釈は採用できないがこの点を措くとしても、前記オの無効理由13と同様に、本件発明1、3、4、6に対する無効理由16は理由があり、本件発明2に対する無効理由16は理由がない。(本件発明5に対する無効理由16は、後記第9で検討する。)
4 無効理由3~5についての判断
(1)甲3発明の認定
ア 前記第6、3に摘記した甲3の記載、特に前記第6、3(5)、同(7)、同(8)、同(9)、同(10)、同(11)における明細書の記載並びに前記第6、(12)イ~カに摘記したFIG.6及びFIG.7a~7dの図面の記載から次の発明(以下「甲3-1発明」、「甲3-2発明」及び「甲3-6発明」といい、まとめて「甲3発明」ということがある。)が認定できる。
(ア)甲3-1発明
「a:17~82インチの電子ディスプレイデバイスの表面に貼り付けられて前記表面を保護する光学フィルム32であって、接着剤層14を有する光学フィルム32と、
b:前記接着剤層14を覆うと共に、分離ラインを介して並んで配置される第1の部分38a及び第2の部分38bを有する分割剥離ライナーと、
d:前記第2の部分における前記光学フィルムとは反対側の面に設けられる感圧接着剤(PSA)領域39であって、
e:前記第2の部分38bの外側にはみ出ないように前記第2の部分38bに重なって配置され、前記電子ディスプレイパネルに貼り付け可能であって、前記光学フィルム32を前記電子ディスプレイパネルの表面に接着するためのPSA領域39と、を備える光学フィルム貼付用のフィルム貼付構造体。」
(イ)甲3-2発明
「q:前記PSA領域39は、前記第1の部分38aにおける前記分離ラインの近くに配置される
r:上記構成a~eを備える光学フィルム貼付用のフィルム貼付構造体。」
(ウ)甲3-6発明
「h:17~82インチの電子ディスプレイデバイスの表面に貼り付けられて前記表面を保護する光学フィルム32であって、接着剤層14を有する光学フィルム32と、
i:前記接着剤層14を覆うと共に分離ラインを介して並んで配置される第1の部分38a及び第2の部分38bを有する分割剥離ライナーと、
k:前記第2の部分38bにおける前記光学フィルム32とは反対側の面に設けられ且つ前記第2の部分38bの外側にはみ出ないように前記第2の部分38bに重なって配置されると共に前記電子ディスプレイデバイスに接着可能な感圧接着剤(PSA)領域39と、
l:を備える光学フィルム貼付用のフィルム貼付構造体を用いて光学フィルム32を貼付する貼付方法であって、
m:前記PSA領域39を電子ディスプレイパネルの表面に接着させ前記光学フィルム32を配置する工程と、
n’:前記工程により前記光学フィルム32を前記PSA領域39で配置した後に、前記第1の部分38aを前記光学フィルム32から剥がして、前記光学フィルム32を前記電子ディスプレイパネルの表面に配置する工程と、
o’:前記工程の後に、前記PSA領域39が設けられる前記第2の部分38bを前記光学フィルム32から剥がすと共に前記PSA領域39を前記電子ディスプレイデバイスの表面から剥がして、前記光学フィルム32を前記電子ディスプレイデバイスの表面に配置する工程と、
p:を備えるフォルム貼付構造体を用いて光学フィルム32を貼付する貼付方法。」
イ 甲3発明の認定についての被請求人の主張に対して
(ア)被請求人は、甲3発明の構成aについて、「a’:82インチに適する少なくとも17インチ以上の大型電子ディスプレイデバイスの表面に貼り付けられて前記表面を保護する保護フィルム等の光学フィルムであって、接着剤層14を有する光学フィルム12と、」と認定されるべきと主張する。
しかしながら、甲3には、82インチのディスプレイに適するという記載も示唆もない。したがって、被請求人の主張は採用できない。
(イ)被請求人は、甲3発明の構成eについて、「e’:前記第1の部分の外側にはみ出さないように前記第1の部分に重なって配置され、前記82インチに適する少なくとも17インチ以上の大型ディスプレイパネルに貼り付け可能であって、前記光学フィルムを前記82インチに適する少なくとも17インチ以上の大型電子ディスプレイパネルの表面に接着するための分離ラインの近くと分離ラインから離れた位置の4箇所のPSA領域39と、を備えることを特徴とする光学フィルムの貼付用のフィルム貼付構造体。」と認定されるべきと主張する。
しかしながら、甲3の図面(図6,図7a~c)が4箇所のPSA領域39を開示しているとしても、明細書においては当該PSA領域の個数について何ら特定されておらず、4箇所に限定して解釈する根拠も見出せないから図面の開示をもって「4箇所」と限定して認定することはできない。また、ディスプレイサイズの認定については、前記(ア)と同様に被請求人の主張は採用できない。
(ウ)被請求人は、甲3発明の構成hについて、「h’:82インチに適する少なくとも17インチ以上の大型電子ディスプレイデバイスの表面に貼り付けられて前記表面を保護する保護フィルム等の光学フィルムであって、接着剤層14を有する光学フィルム12と、」と認定されるべきと主張する。
しかしながら、前記(ア)と同様に被請求人の主張は採用できない。
(2)本件発明1について
ア 本件発明1と甲3-1発明とを対比する。
(ア)甲3-1発明における「電子ディスプレイデバイス」は、本件特許発明1における「装置」に相当し、同様に、「光学フィルム32」は「保護シート」に、「接着剤層14」は「接着面」に、「第1の部分38a」は「第2剥離部」に、「第2の部分38b」は「第1剥離部」に、「分割剥離ライナー」は「剥離シート」にそれぞれ相当する。
(イ)甲3-1発明における「感圧接着剤(PSA)領域39」(「PSA領域39」)は、除去(剥離)可能とされており、剥離ライナー38の第1の部分38aを接着する前に配置され、第1の部分を接着するステップの間に第2の部分が容易に移動しないようにする効果を有することが、前記第6、3(9)に摘記した甲3の明細書8頁1~11行の記載から読み取れるから、光学フィルム32を電子ディスプレイテバイスの表面に仮止するための「仮止部」に相当する。
(ウ)甲3-1発明における「感圧接着剤(PSA)領域39」は、第2の部分38bよりも小さい領域であることが読み取れる。
イ 一致点
甲3-1発明と本件発明1との一致点は次のとおりである。
「装置の表面に貼り付けられて前記表面を保護する保護シートであって、接着面を有する保護シートと、
前記接着面を覆うと共に、分離ラインを介して並んで配置される第1剥離部及び第2剥離部を有する剥離シートと、
前記第1剥離部における前記保護シートとは反対側の面に設けられる仮止部であって、
前記第1剥離部の外側にはみ出ないように前記第1剥離部に重なって配置され、前記装置に貼り付け可能であって、前記保護シートを前記装置の表面に仮止めするための前記第1剥離部より小さい仮止部と、を備えることを特徴とする保護シート貼付用のシート貼付構造体。」である点。
ウ 相違点
両者は次の点で相違する。
(ア)相違点3-1
本件発明1が、「前記第1剥離部及び前記第2剥離部それぞれから前記保護シートの外側に延びる延出部と、」を有するのに対し、甲3発明は「延出部」を有しない点。
(イ)相違点3-2
仮止部について、本件発明1の仮止部が1箇所であるのに対して、甲3-1発明におけるPSA領域は個数が特定されていない点。
エ 相違点3-1についての検討
(ア)甲4記載事項の認定
後記する5(1)ア(ア)において認定する甲4-1発明のうち、「c:前記第二の離型膜342及び前記第一の離型膜341それぞれから前記スクリーン保護膜30の外側に延びる第二の突起部344及び第一の突起部343」を甲4記載事項という。
(イ)ここで、甲4記載事項における「第二の突起部」及び「第一の突起部」は、その剥離の順番から、それぞれ、本件発明1の「第1剥離部」の「延出部」及び「第2剥離部」の「延出部」に相当する。
(ウ)前記第6、4(3)に摘記した甲4の段落【0025】には、「第一の突起部343は第一の離型膜341と異なり、粘着層32上に貼り付けられないので、使用者は手で第一の突起部343を持って便利に剥すことができる。」と記載されており、甲3-1発明においても「第1の部分38a」及び「第2の部分38b」を剥がすための利便のために、「第1の部分38a」及び「第2の部分38b」のそれぞれから「光学フィルム32」の外側に延びる突起部を設けることは当業者が容易になし得ることといえる。
オ 相違点3-2についての検討
(ア)前記3(2)エ(ウ)において認定したように、甲1には、一つの領域として、1箇所の仮止部とすることが開示されている。
ここで、前記3(2)ク(イ)において認定したように、甲1に記載された発明において、粘着剤層22を仮粘着裏紙21や保護フィルム11よりも小さくしないことが必須であるとは認められず、仮粘着裏紙より小さい1箇所の仮止部を設けることは、本件発明が属する技術分野における通常の技術的手段であるといえる。
(イ)そうすると、上記甲3発明におけるPSA領域の個数を1つと特定することは、前記(ア)に記載の通常の技術的手段から当業者が容易に行い得ることにすぎない。
カ 効果について
前記相違点3-1が奏する効果は、剥離部を容易に剥離することができること(本件明細書の【0064】)であるところ、当該効果は、上記エ(ウ)に記載したように、甲4の突起部により便利に剥すことができることから、当業者が予測可能な効果にすぎない。
また、前記相違点3-2が奏する効果について、本件発明1の仮止部が「1箇所」であること(本件明細書の【0100】)による効果は、本件明細書に明記されていないところ、保護シートの容易な位置決めによる位置ずれの低減、気泡やホコリが入ることを低減した状態での簡単な貼付という本件発明1の仮止部による効果(【0054】)は、甲3に記載された発明も、前記第6、3(9)に摘記したように、「容易に移動しないようにする」として、位置ずれを低減するものであり、それにより、貼付直しがなくなることで気泡やホコリが入ることを低減した状態での簡単な貼付ができることも、当業者が予測可能な効果であって、当該効果は、仮止部が「1箇所」であるかどうかによるものではない。
よって、前記相違点に係る構成を有することによって、本件発明1が格別の作用効果を奏するということはできない。
キ 被請求人の主張に対して
(ア)相違点3-1について
a 被請求人は、「甲3発明はディスプレイパネルの製造過程における貼り付けを前提としたものと解される。仮に機器の購入後に貼り付けることが行われることがあるとしても、専門業者のような極めて技術に習熟した作業者が行うはずである。そのような専門の技術者が行う作業のために、一般消費者が作業を行うことができるようにするために設けられた「延出部」を設けることなど全く不要である。」と主張する。
しかしながら、仮に行為者が異なるとしても、甲3発明に対して「延出部」を設ける阻害事由にはならない。甲3の記載から、専門業者が行う行為であるととしても、手作業で行う以上、便利に剥がすことができる(前記エ(ウ))という「延出部」のメリットは受入可能である。
b 被請求人は、「10cmもの把持するための余剰部が剥離ライナー38に設けられていては、到底そのような精度の作業を行うことはできない」、「甲3号証では図面から理解できるように、貼付対象のディスプレイの周囲に大きな段差のあるフレームを有することが想定されている」などから、甲3発明において延出部に相当する部位を形成することは、甲3発明自身の成立を阻害するものである。と主張する。
しかしながら、甲3発明において、精度よくディスプレイパネルに貼り付けられるべきなのは、「光学フィルム」であって、延出部ではない。そして、延出部が透明であれば、境界は目視できるから作業の精度に支障は生じるとはいえない。また、甲3発明においては、段差のあるフレームを有するディスプレイを前提にはしていないから、被請求人の主張は採用できない。
c 被請求人は、乙1実験報告書を提示し、82インチの光学フィルムに延出部を設けても、作業性は向上しないと主張する。
しかしながら、前記第6、3(6)に摘記した甲3の明細書5頁1~7行を参照すると、82インチは甲3に示された最大のサイズのものであって、同箇所にあげられた最小のサイズである17インチの場合であっても作業性が向上しないということはできない。したがって、乙1による被請求人の主張は、甲3発明に対して、甲4記載事項を適用することが困難であることの立証にはならない。
(イ)相違点3-2について
被請求人は、「少なくとも17インチ以上の大型電子ディスプレイデバイスの表面に貼り付けられて前記表面を保護する保護フィルムという極めて大型の光学フィルムであるから、PSA領域39がわずか1箇所であると、光学フィルム32を位置ずれなく正確な位置に保持することができないという問題が生じることは明らかである。」と主張する。
しかしながら、PSA領域が1箇所であったとしても、前記第6、3(11)イに摘記した甲3のFIG.6に記載された4つのPSA領域39を一体的なものとするような大きさのPSA領域を想定すると、甲3発明と同等か甲3発明よりもフィルム保持力が高くなることは明らかである。また、仮止部の機能を果たすようなサイズとすることには必要性があるから、被請求人の主張は採用できない。
ク 請求人の主張に対して
前記第4、2(3)における無効理由3において、請求人は、「装置の保護シートについて延出部を設けるのは当業者の周知技術である(甲1、2、4~9)。」と主張する。
しかしながら、甲3発明は、17~82インチの電子ディスプレイデバイスの表面に貼り付けられて前記表面を保護する大型保護フィルムを対象としている。一方、甲1、5~9に記載された「延出部」はこのようなサイズのディスプレイを対象とするものではないから、甲3発明に対して周知の技術事項とはいえない。また、甲2については、後記7で検討するように、建築の内外装品、案内表示用品、事務用品、日用雑貨品、装飾品等々を対象とする発明であるから、技術分野が相違し、甲3発明に適用して容易想到とすることはできない。
ケ 小括
したがって、本件発明1は、甲3発明並びに甲4に記載された事項及び甲1、7に記載された周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。
(3)本件発明2について
ア 本件発明2は、仮止部の位置を「前記第1剥離部の前記分離ライン寄り」に特定し、さらに、延出部について、「前記第1剥離部及び前記第2剥離部の前記保護シート側の面につながる面が外側に配置されるように折り返され、」と特定するものである。
イ 甲3-2発明は延出部を有しないから、前記アに特定された点は、本件発明2と甲3-2発明との相違点(以下「相違点3-3」という。)である。
ウ 相違点3-3については、請求人が提示した甲1、3~9、14~19のいずれにも記載されていないが、甲2に記載されている。
エ 甲2については、後記第9、2において検討するように、甲3とは技術分野が異なっているから、甲2に記載された事項を甲3-2発明に適用すること自体が当業者にとって容易であるとはいえない。
オ したがって、本件発明2は甲1-2発明及び甲3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ということはできない。
(4)本件発明3について
ア 本件発明3における構成要件Fは、本件発明1の構成要件Cと相違がないから、本件発明3は、甲3発明との間に新たな相違点を有さない。
イ したがって、本件発明3は、本件発明1と同様に、甲3発明並びに甲4に記載された事項及び甲1、7に記載された周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。
(5)本件発明4について
ア 本件発明4における構成要件S「前記第1延出部は、前記第1剥離部における前記分離ライン寄りの部分から前記保護シートの外側に延びており、前記第2延出部は、前記第2剥離部における前記分離ライン寄りの部分から前記保護シートの外側に延びている」点は、甲3-1発明との相違点(以下「相違点3-4」という。)になるが、前記第6、4(3)に摘記した甲4の段落【0025】の「第一の離型膜341は第一の突起部343を含む。第一の突起部343は第一の離型膜341の所定位置から延伸されるものであり、当該所定位置は、使用者が手で第一の突起部343を持って、第一の離型膜341を便利に剥がせることができれば、どこでも良い。」との記載及び同段落の「同様に、第二の離型膜342は第二の突起部344を含み、第二の突起部344の機能と形成方法は第一の突起部343の機能と形成方法と同じである。」という記載に基いて当業者が容易に想到し得ることである。
イ また、本件発明4における構成要件S’「前記装置は携帯型であり、」という構成は、甲3-1発明が17インチのディスプレーを含む以上、社会通念上17インチのディスプレーを持つ機器は携帯可能であるから、実質的な相違点にはならない。
ウ したがって、本件発明4は、甲3-1発明並びに甲4に記載された事項及び甲1、7に記載された周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。
(6)本件発明6について
ア 本件発明6と甲3-6発明とを対比すると、前記(2)の相違点3-1及び相違点3-2及び前記(5)の相違点3-3に加えて、次の点で相違する。
イ 本件発明6においては、「前記第2剥離部を前記第2延出部を引っ張ることにより前記保護シートから剥が」すのに対し、甲3-6発明においては剥がす方法に特定がない点。(以下「相違点3-5」という。)
ウ 本件発明6においては、「前記第1剥離部を前記第1延出部を引っ張ることにより前記保護シートから剥がす」のに対し、甲3-6発明においては、剥がす方法に特定がない点。(以下「相違点3-6」という。)
エ 検討
(ア)相違点3-1~3-3については、前記で検討したとおりである。
(イ)また、甲4における「第一の突起部343」及び「第二の突起部344」はいずれも剥がす際に引っ張るためのものであるから、相違点3-5及び相違点3-6も甲3発明に甲4に記載された事項を適用することで自然と達成されるものである。
(ウ)したがって、本件発明6は、甲3発明並びに甲4に記載された事項及び甲1、7に記載された周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。
(7)小括
以上から、本件発明1、3、4、6は、甲3発明並びに甲4に記載された事項及び甲14~18に記載された周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であり、本件発明2は、甲3発明並びに甲4に記載された事項及び甲14~18に記載された周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明とはいえない。
(8)無効理由3~5についての判断のまとめ
ア 無効理由3
甲3発明が前提とする17~82インチのディスプレイにおいて、延出部を設けることは周知の技術とはいえないから、無効理由3は理由がない
イ 無効理由4
(ア)前記(7)において検討したように、本件発明1、3、4、6は、甲3発明及び甲4に記載された事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたといえるから、本件発明1、3、4、6に対する無効理由4は理由がある。
(イ)本件発明2は、甲3発明及び甲4に記載された事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたといえず、本件発明2に対する無効理由4は理由がない。
ウ 無効理由5
請求人が主張するように、甲3発明に甲2に記載された事項を適用したとしても、前記本件発明1との相違点(相違点3-1及び相違点3-2)に係る構成が容易想到であるということはできない。そして、甲3発明との相違点は、本件発明2~4、6においても共通するから、本件発明1~4、6は、甲3発明及び甲2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものといえず、本件発明1~4、6に対する無効理由5は理由がない。
5 無効理由6、7についての判断
(1)甲4発明の認定
ア 前記第6、4に摘記した甲4の記載、特に段落【0024】~【0027】の記載及び【図3】~【図6】の開示から次の発明(以下「甲4-1発明」、「甲4-4発明」および「甲4-6発明」といい、まとめて「甲4発明」ということがある。)が認定できる。
(ア)甲4-1発明
「a:スクリーンに貼り付けられて前記スクリーンを保護する保護シート3であって、粘着層32を有するスクリーン保護膜30と、
b:前記粘着層32を覆うと共に、スリット35を介して並んで配置される第二の離型膜342及び第一の離型膜341を有する離型膜と、
c:前記第二の離型膜342及び前記第一の離型膜341それぞれから前記スクリーン保護膜30の外側に延びる第一の突起部343及び第二の突起部344と、
e’:を備えることを特徴とするスクリーン保護膜30貼付用の保護シート3。
(イ)甲4-4発明
「s:前記第二の突起部344は、前記第二の離型膜342における前記スリット35近くの部分から前記スクリーン保護膜30の外側に延びており、
t’:前記第一の突起部343は、前記第一の離型膜341から前記スクリーン保護膜30の外側に延びている
u:ことを特徴とする前記構成a~c、e’を有するスクリーン保護膜30貼付用の保護シート3。」
(ウ)甲4-6発明
「h:スクリーンに貼り付けられて前記スクリーンを保護するスクリーン保護シート3であって粘着層32を有するスクリーン保護膜30と、
i:前記粘着層32を覆うと共にスリット35を介して並んで配置される第二の離型膜342及び第一の離型膜341を有する離型膜と、
j’:前記第二の離型膜342における前記スリット35近くの部分から前記スクリーン保護膜30の外側に延びる第二の突起部344と、前記第一の離型膜341から前記スクリーン保護膜30の外側に延びる第一の突起部343と、
l:を備える保護シートを用いてスクリーン保護膜を貼付する貼付方法であって、
n’:前記第一の離型膜341を第一の突起部343を引っ張ることにより前記スクリーン保護膜30から剥がして、前記スクリーン保護膜30を前記スクリーンに貼付する第1剥離貼付工程と、
o’:前記第1剥離貼付工程の後に、前記第二の離型膜342を前記第二の突起部344を引っ張ることにより前記スクリーン保護膜30から剥がして、前記スクリーン保護膜30を前記スクリーンに貼付する第2剥離貼付工程と、
p:を備える保護シートを用いてスクリーン保護膜を貼付する貼付方法。」
イ 甲4発明の認定についての被請求人の主張に対して
被請求人は、審判事件答弁書において、甲4発明のスクリーン保護シートは一般消費者が自分でスクリーンに対して良好な貼り付けを可能な構成とした旨主張する。この主張は、組み合わせの阻害事由に関する主張であって、甲4発明の認定についての主張と解することができない。
(2)本件発明1との対比
ア 甲4-1発明における「保護シート3」「スクリーン」「スクリーン保護膜30」「粘着層32」は、本件発明1における「保護シート貼付用のシート貼付構造体」「装置の表面」「保護シート」「接着面」にそれぞれ相当する。
イ 甲4-1発明における「スリット35」「第二の離型膜342」「第一の離型膜341」「離型膜」は、本件発明1における「分離線」「第1剥離部」「第2剥離部」「剥離シート」にそれぞれ相当する。
ウ 甲4-1発明における「第1突起部343」「第2突起部344」は、両方とも本件発明1における「突出部」に相当する。
エ 一致点
本件発明1と甲4-1発明とを対比すると、次の点で一致する。
「装置の表面に貼り付けられて前記表面を保護する保護シートであって、接着面を有する保護シートと、
前記接着面を覆うと共に、分離ラインを介して並んで配置される第1剥離部及び第2剥離部を有する剥離シートと、
前記第1剥離部及び前記第2剥離部それぞれから前記保護シートの外側に延びる延出部と、
を備えることを特徴とする保護シート貼付用のシート貼付構造体。」
オ 相違点
本件発明1と甲4-1発明とは次の点で相違する。
相違点4-1
仮止部について、本件発明1においては、「前記第1剥離部における前記保護シートとは反対側の面に設けられる仮止部であって、前記第1剥離部の外側にはみ出ないように前記第1剥離部に重なって配置され、前記装置に貼り付け可能であって、前記保護シートを前記装置の表面に仮止めするための前記第1剥離部より小さい1箇所の仮止部」を有するのに対して、甲4-1発明においては、仮止部を有さない点。
カ 相違点4-1についての検討
甲4-1発明は、前記第6、4(4)に摘記のとおり、大きなサイズのスクリーン保護膜を段階にスクリーン4に貼り付けることによる、貼り付け作業の欠点(例えば、皺と泡等が生じる)を克服するものであり、貼り付け作業の前に第1の離型膜341(本件発明の「第2剥離部」に相当。)を剥がすことが前提となっているから、第2の離型膜342(同「第1剥離部」に相当。)の裏面に位置決めのための仮止部を設ける動機付けがない。しかも、剥離シートに設けられる仮止部について、甲1、甲3、甲7に記載されてはいるものの、前記相違点4-1に係る仮止部は、次に示すように記載されていない。
そうすると、相違点4-1に係る本件発明1の構成を当業者が容易に想到できたということはできない。
(ア)甲1について
前記3(2)オ(カ)で相違点1-2としたように、甲1における「仮粘着裏紙(21A)」(仮止部)は、「第1剥離部より小さい」という構成要件を満たさない。
(イ)甲3について
前記4(1)における検討と同様、甲3発明は、仮止部の個数は特定されていないから、「1箇所の仮止部」という構成要件を満たさない。
(ウ)甲7について
前記第6、7(3)の摘記によれば、甲7の「セパレータの粘着層2a、3a」、「セパレータ2」が、本件発明1の「仮止部」、「第1剥離部」にそれぞれ相当し、明示はないものの、同(4)に摘記した図面から「セパレータの粘着層2a、3a」は、「セパレータ2、3」の全面に塗布されていると視認できる。そうすると、甲7における「セパレータ粘着層2a」は、「第1剥離部より小さい」という構成要件を満たさない。
キ 請求人の主張に対して
請求人は、甲4発明と甲3発明とは、課題、作用・効果が共通すると主張するが、甲4発明は、上記カで検討したとおり、貼り付け作業の前に第1の離型膜341(本件発明の「第2剥離部」に相当。)を剥がすことが前提となっており、第2の離型膜342(同「第1剥離部」に相当。)の裏面に位置決めのための仮止部を設ける動機付けがないから採用できない。
ク 以上のように、本件発明1は、甲4-1発明及び甲3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明2~4について
本件発明2~4は、本件発明1を包含し、さらに限定するものであるから、本件発明1と同様に、甲4-1発明及び甲3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明6について
本件発明6と甲4-6発明とを対比すると、少なくとも前記(1)オの相違点4-1において相違するから、前記(1)カにおける検討と同様に、本件発明6は、甲4-6発明及び甲3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)無効理由6、7についての判断のまとめ
ア 無効理由6
前記(1)~(4)において検討したとおり無効理由6は理由がない。
イ 無効理由7
本件発明1~4、6に対する無効理由7は、甲2について検討するまでもなく、前記(1)~(4)において検討したとおり理由がない。(本件発明5に対する無効理由7は、後記第9で検討する。)
第9 本件発明5についての判断
前記第4、2によれば、本件発明5に対する無効理由は、無効理由2、5、7、14~16であり、それらの無効理由について以下検討する。
1 甲2に記載された事項の認定
(1)前記第6、2に摘記した甲2の記載、特に段落【0012】、【図2】の記載から次の記載事項が認定できる。
ア 記載事項2-1
「a’:接着面を有する大型の案内表示パネル6と、
b’:前記接着面を覆うと共に、分割ラインを介して並んで配置される剥離紙7及び剥離紙7’を有する剥離紙と、
c’:前記剥離紙7及び前記剥離紙7’それぞれから前記パネル6の外側に延びる延出部分と、を備え、
f’:前記延出部分は、前記剥離紙7から前記パネル6の外側に延びる延出部分7aと、前記剥離紙7’から前記パネル6の外側に延びる延出部分7a’と、を有し、
s’:前記延出部分7aは、前記剥離紙7における横側方の辺全体から前記パネル6の外側に延びており、
t’:前記延出部分7a’は、前記剥離紙7’における同一側方の辺全体から前記パネル6の外側に延びており、
v’:延出部分7aは、剥離紙7の接着体の接着面につながる面が外側に配置されるように折り返されると共に、分割ラインに交差する方向で且つ前記剥離紙7’から遠ざかる方向に延びており、
w’:延出部分7’aは、剥離紙7’の接着体の接着面につながる面が外側に配置されるように折り返されると共に、分割ラインに交差する方向で且つ前記剥離紙7’aから遠ざかる方向に延びている
x’:ことを特徴とする大型の案内表示パネル貼付構造体。」
イ 記載事項2-6
「h’:接着面を有する大型の案内表示パネル6と、
i’:前記接着面を覆うと共に分割ラインを介して並んで配置される剥離紙7及び剥離紙7’を有する剥離紙と、
j’:前記剥離紙7第1剥離部における横側方の辺全体から前記シートの外側に延びる延出部分7aと、前記剥離紙7’における同一側方の辺全体から前記パネル6の外側に延びる延出部分7a’と、
l’:を備える表示パネル貼付用のパネル貼付構造体を用いてパネルを貼付する貼付方法であって、
n’:前記剥離紙7’を前記延出部分7a’を引っ張ることにより前記パネル6から剥がして、前記パネル6を建物の表面に貼付する第1剥離貼付工程と、
o’:前記剥離紙7を前記延出部分7aを引っ張ることにより前記パネル6から剥がす第2剥離貼付工程と、
p’:を備える表示パネル貼付構造体を用いて表示パネルを貼付する貼付方法。」
(2)甲2の記載事項の認定についての請求人の主張
前記ア(ア)、(イ)において、「大型の案内表示パネル」と認定した部分について、請求人は「シートであると主張するが、前記第6、2(7)に摘記した甲2の【図2】は、同(4)に摘記したように、「図2に示すものは建物の壁面等に装着する大型の案内表示パネル6の例で、上下に二分割された剥離紙7、7’が案内表示パネル6の裏面の接着面8を覆っている。」(段落【0012】)とされているから、この記載に基いて認定した。
2 甲1発明、甲3発明及び甲4発明への適用の容易想到性
(1)甲2に記載された事項は、前記(1)のとおり「大型の案内表示パネル」に関するものであるが、甲2に適用が示唆されているのは、建築の内外装品、案内表示用品、事務用品、日用雑貨品、装飾品等々を対象とする接着体の剥離紙の用途に限られている。また、第6、2に摘記した甲2の他の記載を参照しても段落【0009】等に「室内外の壁面に張付けられ案内表示
に使われるプラスチック板によるネームプレート1」との記載はあるものの、装置を保護するシートに用いられるものではない。
(2)前記第8、3(1)ア(ア)~(オ)において認定したように、甲1発明は、携帯用情報端末保護フィルムに関するものである。
(3)前記4(1)ア(ア)~(オ)において認定したように、甲3発明は、17~82インチの電子ディスプレイデバイスの表面を保護する光学フィルム貼付用のフィルム貼付構造体に関するものである。
(4)そして、情報端末用の保護フィルムやディスプレイデバイスを保護する光学フィルムに要求される精度とネームプレートや建築の内外装品、案内表示用品等に求められる精度とは大きく異なるといえるから、甲1発明、甲3発明及び甲4発明に対して、甲2に記載された事項を適用することは当業者にとって容易なこととはいえない。
3 無効理由2、5、7、14~16についての判断のまとめ
本件発明5についての無効理由2、5、7、14~16はいずれも理由がない。
第10 むすび
1 特許第5547792号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕、6について訂正することを認める。
2 特許第5547792号の請求項1、3、4、6に係る特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。
3 本件発明2、5に係る特許についての審判請求は成り立たない。
4 審判に関する費用については、特許法169条2項の規定で準用する民事訴訟法61条の規定により、その6分の2を請求人の負担とし、6分の4を被請求人の負担とする。
5 よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2019-800085