商標取消審判
2022-300838
スターフィルド
- 審判番号
- 2022-300838
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1995-070143
- 登録番号
- 3329623
- 請求日
- 2022年09月16日
- 審決日
- 2024年03月15日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】目黒 茂
- 【被請求人】株式会社 星野商店
- 【被請求人代理人】綿貫 達雄
- 【被請求人代理人】綿貫 敬典
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 岩谷 禎枝
- 分類
- T132 .1 -Z (025)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第50条、商標法第2条第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第3329623号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第3329623号商標の指定商品中、第25類「作業服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,マフラー,耳覆い,腕カバー,ヘルメット」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第3329623号商標(以下「本件商標」という。)は、「スターフィルド」の片仮名を横書きしてなり、平成7年7月10日に登録出願、第25類「作業服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,マフラー,耳覆い,腕カバー,ヘルメット,帽子,バンド,ベルト」を指定商品として、同9年7月4日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和4年10月13日になされたものであるから、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、令和元年10月13日から令和4年10月12日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書、令和4年12月26日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同5年2月13日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
なお、以下、証拠の表記にあたっては、甲(乙)第1号証を「甲(乙)1」のように省略して表示する場合がある。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第25類「作業服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,マフラー,耳覆い,腕カバー,ヘルメット」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用をしていないものであるから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は、答弁書において、本件商標の使用についての証拠として乙第1号証ないし乙第5号証を提出し、本件商標を本件審判請求に係る指定商品中の「手袋」について継続して3年以上日本国内において使用しているから、本件審判請求は成り立たない旨述べているが、以下のとおり、これらの証拠によっては、本件商標が本件審判請求に係る指定商品について使用されていたことの立証はなされていない。
(1)被請求人の答弁に対する反論
被請求人は、答弁書において、乙第1号証ないし乙第5号証を提出しているが、そのうち乙第1号証及び乙第2号証は、本件商標の書誌情報であり、実質的に本件商標の使用についての証拠として提出されたものは乙第3号証ないし乙第5号証である。
ア 乙第3号証(「こどものすべりどめてぶくろ」チラシ)について
乙第3号証は、商品についての広告物と認められるものであるが、これには発行年月日等の記載が一切ないため、これが要証期間内に展示・頒布されたことは何ら立証されていない。
イ 乙第4号証(アートクリエイト工房の買掛金元帳)について
乙第4号証からは、アートクリエイト工房が「こどものすべりどめてぶくろ」について、チラシ1,000枚作成し、その代金を2021年4月頃に被請求人に請求したことはうかがわれるが、アートクリエイト工房がデザインや印刷を請け負ったチラシに、本件商標が記載されていたかどうかは不明である。
ウ 乙第5号証(伊藤嘉株式会社の証明書)について
被請求人は、乙第3号証の「こどものすべりどめてぶくろ」のチラシ(以下「チラシ」という。)を受領した証拠として、伊藤嘉株式会社(以下「伊藤嘉社」という。)の代表取締役が捺印した証明願を提出している。
しかし、不使用取消審判請求に対し、登録商標の使用を立証するためには、商標権者が、商標法の要件を満たす「使用」をしていたことを裏付ける客観的な証拠を提出する必要がある。
ところが、乙第5号証は、商標権者の取引先の一つである伊藤嘉社の代表取締役が、単に被請求人からの求めに応じて形式的に「証明願」に捺印したこともあり得るのであって、商標の使用を示す「客観的な」証拠とはなり得ない。
また、乙第5号証に含まれる山陽自動車道運送株式会社(以下「山陽自動車道運送社」という。)の送り状からは、「こどものごむ背抜きてぶくろ S ブルー」及び「こどものごむ背抜きてぶくろ M ピンク」各50双が2022年9月6日に発送された事実がうかがわれるのみで、これも乙第3号証のチラシが要証期間内に頒布されたことの証左とはなり得ない。
エ 商標権者の実際の使用商標
(ア)請求人が確認したところ、商標権者が販売する「こどものすべりどめてぶくろ」に使用されているのは、本件商標ではなく、「Star Field」である(乙3~乙5)。
(イ)また、表示が小さいため視認することが困難であるが、乙第3号証のチラシ「スターフィルド」の表示に円で囲まれたピンク色の手袋の画像において、手袋の履き口部分に取り付けられている、商品をつり下げて表示するための下げ札上部には「Star Field」の商標が表示されていることが推察される。
(ウ)商標権者の「総合カタログ」(甲6)においても、本件商標ではなく「Star Field」が表示されている。
上記のように、商標権者の商品については「Star Field」の商標が使用されている事実が確認できるところ、乙第3号証のチラシにおいてのみ、本件商標を使用しているのは不自然であり、当該チラシの展示・頒布を示す他の証拠が何ら提出されていないことから、商標権者によって本件商標が要証期間内に使用されていたかどうかは極めて疑わしいといわざるを得ない。
(2)まとめ
以上のとおり、本件商標が表示されたチラシ(乙3)が要証期間内に展示・頒布された客観的な証拠は何ら示されておらず、商標権者及び使用権者が本件審判請求に係る指定商品について、本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標を、要証期間に、日本国内において使用していた事実は何ら存在しないので、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書及び令和5年12月6日付け審尋(以下「審尋」という。)に対する同6年1月22日付け回答書(以下「回答書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第15号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標の使用事実の要点
商標権者は、本件審判請求に係る指定商品について、要証期間内に、日本国内で、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用した。
(2)本件商標の使用の事実
ア 本件商標を要証期間に手袋に継続使用している事実を、取引先に配布しているチラシ(乙3)により証明する。
乙第3号証として提出したチラシは、表題を「こどものすべりどめてぶくろ」とし、「こどもの」を上段に「すべりどめてぶくろ」を下段に表示したものであり、下段の「すべりどめてぶくろ」の文字の右下に本件商標「スターフィルド」を表示し、その下に手袋の写真を載せたものである。
これにより、本件商標「スターフィルド」を手袋に使用していることが証明されている。
なお、この手袋は、チラシの最上部左側に「三輪車や自転車の運転に」の記載とともに写真を掲載してあり、子供が安全に三輪車や自転車を運転するための自転車用手袋であることが明示されている。
このことは、この手袋が第25類の手袋に属するものであることに疑問の余地はないものである。
なお、その他に、最上部右側に「砂遊びやアウトドアに」、最下部左側に「ガーデニングに」、最下部右側に「お芋掘りに」の記載とそれぞれの写真を掲載してあるが、これをもって、この手袋が第25類の手袋に属さないと判断されるべきでないことは明らかである。
イ チラシ(乙3)が要証期間に配布された事実を、当該チラシを製作したアートクリエイトエ房(内田製版株式会社印刷事業部:大阪市東成区東小橋2丁目7番26号)の買掛金元帳(乙4)に基づき証明する。
チラシ(乙3)は、買掛金元帳に記載されている4/2の表示すなわち2021(令和3)年4月2日に商標権者である株式会社星野商店(以下「星野商店社」という。)に1,000枚納品されたものであり、左側の2021/04/30の表記は請求書を受領した年月日である。
2021(令和3)年4月2日は、要証期間に当たるものであり、その期間に配布されたことは十分に推認できるものである。
また、乙第4号証として提出した買掛金元帳は、電子データーとして保存した買掛金元帳のうち2021年04月度のアートクリエイト工房分を令和4(2022)年12月2日に印刷したものを単価等の営業秘密に当たる箇所を墨消ししたものである。
このように、商標権者が、要証期間に本件商標を請求に係る指定商品に含まれる「手袋」に使用した事実は、前記乙第3号証及び乙第4号証から明らかなところであって、本件商標が取り消されるべきでないことは充分立証できたものと確信する。
ウ チラシ(乙3)が要証期間内に取引者に配布された具体例を、取引先である伊藤嘉社(北海道札幌市白石区北郷九条7丁目3番8号)の証明書(乙5)により説明する。
チラシ(乙3)は、手袋を取引先に納品する際に一緒に送るものであり、チラシの送り状、受領書等はない。
すなわち、乙第5号証として提出する証明書の記載及び添付書面から明らかなように、商標権者である星野商店社が、山陽自動車運送社の2022年9月6日受付の送り状(お客様控)(写し)に記載の品名「こどものごむ背抜てぶくろSブルー50双、同Mピンク50双」と一緒にチラシを送り、「お問い合わせ結果表示」のとおり、9月8日に配達されて、同日に伊藤嘉社が受領したことが確認できる。
なお、証明書(乙5)に、チラシ(乙3)をコピーしたものを添付した事情は、チラシ(乙3)は2021(令和3)年4月2日という現時点から1年8月前に商標権者である星野商店社が1,000枚を受領したものであり、現時点では原品の在庫が払底しており、コピーとした次第である。チラシ(乙3)の正本を参照すれば真正なコピーであることは確認できるものである。
これによっても、商標権者が、要証期間に、本件商標を請求に係る指定商品に含まれる「手袋」に使用した事実は、立証できたものと確信する。
2 回答書による主張の要旨
(1)当審における審尋
当審において、被請求人に対し、チラシ(乙3)に掲載された「手袋」は第25類に属する「手袋」の範ちゅうの商品とは考え難いことから、被請求人が答弁書で提出した乙第1号証ないし乙第5号証によっては、要証期間に、商標権者が、本件審判請求に係る指定商品について本件商標を使用していることを証明しているものとはいえない旨の合議体の暫定的見解を示し、期間を指定して、これに対する意見を求めた。
(2)回答書による主張
ア チラシ(乙3)に掲載の「手袋」が第25類「手袋」の範ちゅうの商品であることについて
チラシ(乙3)に掲載されている「手袋」は、手のひら側に天然ゴムで滑り止め加工を施したものである。これは劣化しやすい手のひら側の強度を高めて耐久性のある手袋としたものであり、基本的には手に履くことにより防寒に供するものである。
しかし、この手袋は、手のひら側に天然ゴムで滑り止め加工を施したことにより、種々の用途に使用できることから、チラシ(乙3)に掲載した用途をうたい、通年にわたり需要がある商品としたものである。
すなわち、第25類の5.「アイマスク エプロン えり巻き 靴下 ゲートル 毛皮製ストール ショール スカーフ 足袋 足袋カバー 手袋 ネクタイ ネッカチーフ バンダナ 保温用サポーター マフラー 耳覆い」の解説は、「これらの商品は、主として防寒又はファッション等を目的とし、上記1から4及び6の商品を除いた、人が着用するものが該当します。」(乙6)とされている。
また、第9類の「事故防護用手袋」(17A08)の解説(乙7)及び第21類の「家事用手袋」(17A08)の解説(乙8)の双方の末尾には、「主として、装飾や防寒、汚れ防止等を目的として着用する「手袋」は第25類に属します。」と規定されている。
そうすると、チラシ(乙3)の手袋は、第25類の手袋から排除されるべきものではない。
したがって、チラシ(乙3)の手袋は、多くの用途を併せ持つものであるが、第25類の範ちゅうに属する手袋であることはまぎれもないことであり、このことは、「商品及び役務の区分解説」からも明らかである。
なお、チラシ(乙3)の最上部左側に防寒効果以外に「三輪車や自転車の運転に」の記載と共に写真を掲載してあり、子供が安全に三輪車や自転車の運転をするため、すなわち、「滑り止め加工を施した」ことにより握力の弱い子供がハンドルを滑ることなく握ることができる自転車用手袋として使用できるものである。
また、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)の商品・役務名検索で、商品・役務名を「手袋」、区分を「25」で検索したところ、No.3「サイクリング用手袋」(類似群コード 17A04,24C01)、No.29「自転車用手袋」(類似群コード 17A04,24C01)、No.30「自転車用手袋」(類似群コード 17C04,24C01)が検索された(乙9)。これらは、第25類の類似群コード17A04の範ちゅうに属する商品である。
第9類の「事故防護用手袋」(17A08)の解説(乙7)からすると、チラシ(乙3)の手袋は、子供が安全に三輪車や自転車の運転する際に、「滑り止め加工を施した」ことにより握力の弱い子供がハンドルを滑ることなく握ることができる自転車用手袋として使用できるものであり、「事故防護用手袋」に当たらないものである。
また、第21類の「家事用手袋」(17A08)の解説(乙8)からすると、チラシ(乙3)の手袋は、「専ら家事に使用する手袋」に当たらないものであることは明らかである。
以上のことから、チラシ(乙3)に掲載されている「手袋」は、第25類の範ちゅうに属する商品である。
イ 商標権者は、本件商標「スターフィルド」の使用と認められる「Star Field」を要証期間に、請求に係る指定商品に属する作業服に含まれる「不織布つなぎ服」に使用しているものである。
その事実を、取引先である株式会社牧野商会(愛知県北名古屋市法成寺法師堂147番地(乙10)。以下「牧野社」という。)へ2022年2月15日付けで売り渡したことを証明する。
乙第11号証として提出した売掛金元帳は、電子データとして保存した売掛金元帳のうち2022年2月度の牧野社分を令和5(2023)年12月19日に印刷したものを単価等の営業秘密に当たる箇所を墨消ししたものである。
この売掛金元帳に、「2022年2月15日 2通常 8024 不織布ツナギ服 L 6.00着」と記載されている。
この不織布ツナギ服(不織布つなぎ服)は写真(乙12)と同一のものであり、該写真には、商品「不織布つなぎ服」、商標「Star Field」、権利者「(株)星野商店」の表示がされており、前記売掛金元帳(2022年02月度)(乙11)と照合すれば、本件商標「スターフィルド」の使用と認められる「Star Field」を要証期間に、請求に係る指定商品に属する作業服に含まれる「不織布つなぎ服」に使用していることが証明されている。
なお、当該写真は、2022年2月15日に売り渡した現物の写真ではなく、同一の手持在庫を商標権者である星野商店社において令和5年12月25日に撮影したものである。
また、当該不織布つなぎ服は、請求人が甲第6号証として提出した商標権者の総合カタログの39頁に掲載して取り扱っている商品でもある。
ウ 商標権者は、本件商標「スターフィルド」の使用と認められる「Star Field」を要証期間に、請求に係る指定商品に属する「手袋」に使用しているものである。
その事実は、取引先である鈴与興行株式会社(愛知県丹羽郡大口町秋田1丁目100番地の2(乙13)。以下「鈴与社」という。)へ2021年7月30日付けで売り渡したことが記載された売掛金元帳(2021年07月度)(乙14)と、売り渡した「手袋」の写真(乙15)により証明する。
乙第14号証として提出した売掛金元帳は、電子データとして保存した売掛金元帳のうち2021年07月度の鈴与社分を令和5(2023)年12月19日に印刷したものを単価等の営業秘密に当たる箇所を墨消ししたものである。
この売掛金元帳に、「2021年7月30日 2通常 5101 こどものPUレザーグローブSS/レッドカモフラVer 10.00双」と記載されている。
この「こどものPUレザーグローブSS/レッドカモフラVer」は写真(乙15)と同一のものであり、該写真には商標「Star Field」が表示されており、前記売掛金元帳(2021年07月度)(乙14)と照合すれば、本件商標「スターフィルド」の使用と認められる「Star Field」を要証期間に、請求に係る指定商品に属する「手袋」に使用していることが証明されているものである。
なお、当該写真は、2021年7月30日売り渡した現物の写真ではなく、同一の手持在庫を商標権者である星野商店社が令和5年12月25日に撮影したものである。また、当該手袋は、請求人が甲第6号証として提出した商標権者の総合カタログの23頁に掲載されている「こどものPUレザーグローブ」として取り扱っている商品でもある。
このように、「Star Field」は、商標権者が、第25類に属する商品を含めた多種類の商品に、請求人が甲第6号証として提出した商標権者の総合カタログのとおり使用しており、第25類の商品において周知化されている商標でもある。
エ まとめ
以上のとおり、商標権者が、要証期間において、本件商標を請求に係る指定商品に含まれる商品に使用した事実は立証できたものと確信する。
第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、(1)要証期間に、(2)日本国内において、(3)商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、(4)本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての、(5)本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 被請求人が提出した乙各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)商品「こどものすべりどめてぶくろ」について
ア 乙第3号証は、商品「こどものすべりどめてぶくろ」のチラシであり、チラシの中央に「こどものすべりどめてぶくろ」の記載があり、その右下に「スターフィルド」の記載(別掲1。以下「使用商標1」という。)があり、その下に、手袋の写真が掲載されており、写真の左側に「天然ゴムで手に優しい&耐久性抜群!」の記載があり、手袋の写真の下に「<素材>【手袋本体】ポリエステル・ポリエレタン・その他【スベリ止め】天然ゴム<原産国>中国」の記載があり、その下に「株式会社 星野商店」の記載がある。
また、乙第3号証の最上部左側に「三輪車や自転車の運転に」の記載、同最上部右側に「砂遊びやアウトドアに」の記載、同最下部左側に「ガーデニングに」の記載、同最下部右側に「お芋掘りに」の記載がある。
なお、本件商標「スターフィルド」と使用商標1「スターフィルド」は、これらの構成文字を同じくし、「スターフィルド」の称呼を共通にする社会通念上同一の商標である。
イ 乙第4号証は、商標権者が作成した2021年4月度分のアートクリエイト工房分の買掛金元帳であり、本号証の右上部に「作成日 2022/12/02 13:15:15」の記載、左上部に「株式会社星野商店」の記載、その間に「買掛金元帳」の記載、その下に「(2021年04月度)」の記載、その下に「本支店」として「星野商店」の記載、「支払先」として「アートクリエイト工房」の記載、「日付」として「2021/04/30」の記載、「仕入」として「4/2」の記載、商品「チラシ こどものすべりどめ てぶくろ」について数量「1,000.00枚」の記載、商品「デザイン代」について数量「1.00個」の記載、商品「撮影代」について数量「1.00個」の記載がある。
そうすると、商標権者である星野商店社は、2021年4月2日に、「こどものすべりどめ てぶくろ」のチラシを1,000枚、アートクリエイト工房から仕入れたことが推認できる。
ウ 乙第5号証の1葉目は、令和4年12月9日に星野商店社の代表取締役が、伊藤嘉社の代表取締役あてに作成した証明願であり、当該証明願の中央上部に「証明願」の記載、その左下に「令和4年12月9日」の記載、その左に「伊藤嘉株式会社」の記載、その右に「株式会社星野商店」の記載がある。
乙第5号証の2葉目のチラシは、品名「こどものごむ背抜てぶくろSブルー50双、同Mピンク50双」と同梱されたとするチラシであり、これは、乙第3号証と同一のチラシであると推認できる。
乙第5号証の3葉目の送り状お客様控には、受付日として「22年09月06日」の記載、「028-310-8302」の記載、荷送人として被請求人の記載、お届け先として「伊藤嘉株式会社」の記載があり、同4葉目の「【お問い合わせ結果表示】」には、「お問い合わせNo.(お客様伝票No.)」として「0283108302」の記載、No.1として「9月6日 集荷済み」の記載、No.4として「9月8日9時38分 配達完了」の記載がある。
そして、乙第5号証の1葉目の証明願において、伊藤嘉社の代表取締役は、こどものすべりどめてぶくろのチラシが、2022年9月6日受付の送り状(お客様控)(写し)に記載の品名「こどものごむ背抜てぶくろSブルー50双、同Mピンク50双」と同梱され、同月8日に受領したことを証明している。
そうすると、商標権者である星野商店社は、2022年9月8日に、商品「こどものすべりどめてぶくろ」のチラシを伊藤嘉社あてに送付したことが推認できる。
エ 上記アないしウから、商標権者は、2021年4月2日に、アートクリエイト工房から、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標1が付された商品「こどものすべりどめてぶくろ」のチラシを1,000部仕入れ、2022年9月8日に、当該チラシを商標権者の取引先である伊藤嘉社に送付したことが推認でき、2021年4月2日及び2022年9月8日は、いずれも要証期間である。
(2)商品「不織布つなぎ服」について
ア 乙第10号証は、国税庁法人番号公表サイトの牧野社の情報であり、牧野社の所在地として「愛知県北名古屋市法成寺法師堂147番地」の記載がある。
イ 乙第11号証は、商標権者が作成した2022年2月度分の牧野社分の売掛金元帳であり、本号証の右上部に「作成日 2023/12/19 16:07:22」の記載、左上部に「株式会社星野商店」の記載、その間に「売掛金元帳」の記載、その下に「(2022年02月度)」の記載、その下に「本支店」として「星野商店」の記載、「請求先」として「(株)牧野商会」の記載、表中の5段目に「日付」として「2022/02/15」の記載、「商品」として「8024 不織布ツナギ服 L」の記載、「数量」として「6.00着」の記載がある。
そうすると、商標権者である星野商会社は、商品番号「8024」とする商品「不織布使い捨てつなぎ服」6着を2022年2月15日に牧野社に譲渡したことが推認でき、2022年2月15日は要証期間である。
ウ 乙第12号証は、ビニール製の包装袋に封入された商品「不織布使い捨てつなぎ服」の表面と裏面の写真と推認し得るものである。
そして、商品「不織布使い捨てつなぎ服」のビニール製の包装袋の表面及び裏面の右上に「Star Field」の記載(別掲2。以下「使用商標2」という。)、表面には、赤字で「不織布」の記載、その下に赤字で「使い捨て」の記載、その下に「つなぎ服」の記載、右下のバーコード上に「No.8024 L」の記載がある。
また、商品「不織布使い捨てつなぎ服」のビニール製の包装袋の裏面の上部に赤字で「不織布製つなぎ服」の記載があり、右下部には「(株)星野商店」の記載がある。
そして、売掛金元帳(乙11)に記載の商品名「不織布使い捨てツナギ服」及び商品番号「8024」は、乙第12号証の商品「不織布使い捨てつなぎ服」のビニール製の包装袋の表面に記載された「No.8024」の記載、表面及び裏面に記載された「不織布使い捨てつなぎ服」と一致している。
なお、商品「不織布つなぎ服」は、本件審判請求に係る指定商品中の「被服」の範ちゅうに属する商品である。
エ 上記アないしウから、商標権者は、2022年2月15日に、使用商標2が付された商品番号「8024」とする商品「不織布使い捨てつなぎ服」6着を牧野社に譲渡したことが推認でき、商品「不織布使い捨てつなぎ服」は、本件審判請求に係る指定商品中の「被服」の範ちゅうに属する商品であり、2022年2月15日は、要証期間である。
(3)商品「こどもUPレザー手袋SS」について
ア 乙第13号証は、国税庁法人番号公表サイトの鈴与社の情報であり、鈴与社の所在地として「愛知県丹羽郡大口町秋田1丁目100番地の1」の記載がある。
イ 乙第14号証は、商標権者が作成した2021年7月度分の鈴与社分の売掛金元帳であり、本号証の右上部に「作成日 2023/12/19 15:59:56」の記載、左上部に「株式会社星野商店」の記載、その間に「売掛金元帳」の記載、その下に「(2021年07月度)」の記載、その下に「本支店」として「星野商店」の記載、「請求先」として「鈴与興業(株)」の記載、表中の7段目に「日付」として「2021/07/30」の記載、「商品」として「5101 こどものPUレザーグローブSS/レッドカモフラVer」の記載、「数量」として「10.00双」の記載がある。
そうすると、商標権者である星野商会社は、「こどものPUレザーグローブSS/レッドカモフラVer」の名称の商品10双を2021年7月30日に鈴与社に譲渡したことが推認でき、2021年7月30日は要証期間である。
ウ 乙第15号証は、商品「手袋」の写真であり、当該写真の最上部右側に「Star Field」の記載(別掲3。以下「使用商標3」という。)、その下に「野球等、スポーツに!」、「アウトドア全般に!」、「農作業、土いじりに!」及び「日曜大工、DIYに!」の記載、当該写真の最上部左側に「SS 小学生(中学生)」の記載、その下に「こども」及び「PUレザーグローブ」の記載がある。
なお、乙第15号証の商品「手袋」の写真には、商標権者である星野商会社の記載はなく、また、売掛金元帳(乙14)に記載の商品名「こどものPUレザーグローブ」と本号証に記載された「こども」及び「PUレザーグローブ」は、完全に一致するものではないことから、売掛金元帳(乙14)に記載の商品と写真の商品が同一のものであることを認めることはできない。
エ 上記アないしウから、商標権者は、2021年7月30日に、「こどものPUレザーグローブSS/レッドカモフラVer」の名称の商品10双を鈴与社に譲渡したことは推認できるものの、売掛金元帳(乙14)に記載の商品と写真(乙15)の商品が同一のものとは認められないことから、「こどものPUレザーグローブSS/レッドカモフラVer」の名称の商品にいかなる商標が使用されていたのかは明らかではない。
3 判断
(1)商品「こどものすべりどめてぶくろ」について
商標権者は、2021年4月2日に、アートクリエイト工房から、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標1が使用された商品「こどものすべりどめてぶくろ」のチラシを1,000部仕入れ、2022年9月8日に、当該チラシを商標権者の取引先である伊藤嘉社に送付したことが推認でき、2021年4月2日及び2022年9月8日は、いずれも要証期間である。
しかしながら、本件審判請求に係る指定商品中の第25類「手袋」とは、主として防寒又はファッション等を目的とする商品であるところ、乙第3号証に掲載された商品「こどものすべりどめてぶくろ」の写真から、当該手袋の本体はポリエステル・ポリウレタン・その他の素材でできており指先から手のひら部分に天然ゴムですべり止め加工が施された商品であり、その商品説明として「三輪車や自転車の運転に」、「砂遊びやアウトドアに」、「ガーデニングに」及び「お芋掘りに」の記載があることからすると、当該「手袋」は、防寒やファッション性を主たる目的とした商品ではなく、本件審判請求に係る指定商品中の「手袋」の範ちゅうに属する商品とは認められない。
(2)商品「不織布つなぎ服」について
商標権者は、2022年2月15日に、使用商標2が付された商品番号「8024」とする商品「不織布使い捨てつなぎ服」6着を牧野社に譲渡したことが推認でき、商品「不織布使い捨てつなぎ服」は、本件審判請求に係る指定商品中の「被服」の範ちゅうに属する商品であり、2022年2月15日は、要証期間である。
しかしながら、本件商標「スターフィルド」は、その構成文字に相応して「スターフィルド」の称呼が生じ、これよりは特定の観念は生じないところ、使用商標2は「Star Field」の欧文字よりなるものであり、その構成文字に相応して「スターフィールド」の称呼が生じ、これを構成する「Star」及び「Field」は、いずれも平易な英単語であり、それぞれの単語から「星、恒星」等の意味及び「畑、田、牧草地、野原、原野」等の意味(出典:ベーシックジーニアス英和辞典第2版 大修館書店)があることから、概して、「星の原野」ほどの観念が生じるものである。
したがって、本件商標と使用商標2とは、外観、称呼及び観念において相違する商標であるから、社会通念上同一の商標とは認められない。
(3)商品「こどもUPレザー手袋SS」について
商標権者は、2021年7月30日に、「こどものPUレザーグローブSS/レッドカモフラVer」の名称の商品10双を鈴与社に譲渡したことは推認できる。
しかしながら、「こどものPUレザーグローブSS/レッドカモフラVer」の名称の商品に、いかなる商標が使用されていたのかは明らかではなく、当該商品の内容が明らかではない。
また、被請求人が提出した手袋の写真(乙15)には、商標権者の記載はなく、この手袋が、いかなる者による商品であるかが不明であり、当該商品が譲渡された事実も確認することができない。
なお、被請求人が主張するように、写真(乙15)に掲載された商品と売掛金元帳(乙14)に記載の商品が同じであると仮定しても、本件商標と当該手袋に使用される使用商標3とは、上記(2)のとおり、外観、称呼及び観念において相違する商標であるから、社会通念上同一の商標とは認められない。
また、乙第15号証の写真のみからは、当該商品が、本件審判請求に係る指定商品中の「手袋」の範ちゅうに属する商品か否かも明らかではない。
(4)小括
上記のとおり、被請求人が提出した乙各号証によっては、商標権者が、要証期間に、日本国内において、本件審判に係る指定商品について、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用していることを認めることができない。
4 被請求人の主張について
(1)被請求人は、チラシ(乙3)に掲載の商品「手袋」は、第25類に属する商品である旨主張する。
しかしながら、本件審判請求に係る指定商品中の第25類「手袋」とは、主として防寒又はファッション等を目的とする商品であるところ、乙第3号証に掲載された商品「こどものすべりどめてぶくろ」の写真から、当該手袋の本体はポリエステル・ポリウレタン・その他の素材でできており指先から手のひら部分に天然ゴムですべり止め加工が施された商品であり、その商品説明として「三輪車や自転車の運転に」、「砂遊びやアウトドアに」、「ガーデニングに」及び「お芋掘りに」の記載があることからすると、当該「手袋」は、防寒やファッション性を主たる目的とした商品ではなく、本件審判請求に係る指定商品中の「手袋」の範ちゅうに属する商品とは認められないものと判断するのが相当である。
(2)被請求人は、使用商標2及び使用商標3は、本件商標と社会通念上同一の商標である旨主張する。
しかしながら、本件商標「スターフィルド」は、その構成文字に相応して「スターフィルド」の称呼が生じ、これよりは特定の観念は生じないところ、使用商標2及び使用商標3は「Star Field」の欧文字よりなるものであり、その構成文字に相応して「スターフィールド」の称呼が生じ、これを構成する「Star」及び「Field」は、いずれも平易な英単語であり、それぞれの単語から「星、恒星」等の意味及び「畑、田、牧草地、野原、原野」等の意味があることから、概して、「星の原野」ほどの観念が生じるものである。
したがって、本件商標と使用商標2及び使用商標3とは、外観、称呼及び観念において相違する商標であるから、社会通念上同一の商標とは認められない。
(3)したがって、被請求人の上記主張はいずれも採用することができない。
5 まとめ
以上のとおり、被請求人の提出に係る証拠によっては、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判請求に係る指定商品についての本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを被請求人が証明したとはいえない。
また、被請求人は、当該使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中、「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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