商標取消審判
2022-300331
ピイエフエス、ピイエフサービス
- 審判番号
- 2022-300331
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1996-096961
- 登録番号
- 4108605
- 請求日
- 2022年04月08日
- 審決日
- 2025年08月22日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】株式会社 TRINE
- 【請求人代理人】木戸 基文
- 【被請求人】株式会社 ユナイテッドパシフィックス
- 【被請求人代理人】吉澤 大輔
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 正和
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T131 .1 -Z (025)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第1号、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項、商標法第2条第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4108605号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第4108605号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
1 本件商標について
本件登録第4108605号商標(以下「本件商標」といいます。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成8年8月29日に登録出願、第25類「被服」を指定商品として、同10年1月30日に設定登録されたものである。
なお、本件審判請求の登録は、令和4年4月27日にされたものであり、この登録前3年以内の期間(平成31年(2019年)4月27日~令和4年(2022年)4月26日)を、以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書、令和4年8月30日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年10月12日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
2 弁駁書における主張
(1)本件商標の一部を取り除いて使用したものは、登録商標の使用と認められる事例に該当しないこと
被請求人は、本件商標の「PFS」の欧文字部分と、楕円内に「PFS」の欧文字を配した商標(以下「当該使用商標」という。)は、称呼において同一であり、かつ、外観においても共通するので、本件商標と当該使用商標は、社会通念上同一の商標であると主張する。
しかしながら、登録商標の使用と認められる事例、例えば、外観において同視される図形からなる商標には、当該使用商標は、本件商標の一部としか、具体的には、楕円内にややデザインされた「PFS」の欧文字を配してなる部分としか同視されないので、本件商標と当該使用商標とは、社会通念上同一の商標には該当しない。
また、登録商標の使用と認められる事例、例えば、称呼及び観念を同一とする場合には、当該使用商標は、本件商標の一部としか、具体的には、「PFS」の欧文字部分としか称呼を同一としない、言い換えると、本件商標とは称呼が異なるので、本件商標と当該使用商標とは、社会通念上同一の商標には該当しない。
さらに、登録商標が二段併記等の構成からなる場合には、本件商標の上段の「PFS」部分は、SがSERVICEの頭文字からなる略称と認識できないので、「PFに関するサービス」の観念を生じることがなく、下段の「PF SERVICE」部分は、「PFに関するサービス」の観念しか生じないので、上段及び下段等の各部が観念を同一とするときに該当しない。
以上のように、本件商標の一部を取り除いて使用したものは、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ではないので、本件商標は商標登録を取り消されるべきものである。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書及び令和5年4月18日付け審尋(以下「本件審尋」という。)に対する同年6月9日付け回答書(以下「回答書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
1 答弁書における主張
乙第1号証及び乙第2号証は、被請求人の公式ウェブサイトの商品情報ページの写しであって、乙第1号証及び乙第2号証に係る商品は、一見して明らかなとおり、「Tシャツ」であり、本件商標の指定商品である「被服」の範ちゅうに属するものである。
また、乙第1号証及び乙第2号証に示すウェブサイトにおける記事の投稿日は、「2020年6月15日」及び「2021年5月14日」であり、本件取消審判における要証期間内のものである。
ここで、本件商標は、楕円内にややデザインされた「PFS」の欧文字を配してなる部分(以下「PFS部分」という。)と、その下に、「PF SERVICE」の欧文字(以下「PF SERVICE部分」という。)を配してなるものである。当該PFS部分は、PF SERVICE部分と比較して著しく大きく表され、かつ、外観においても共通点はない。
したがって、本件商標は、PFS部分と、PF SERVICE部分とを一体として把握する必然性はなく、むしろ、強く支配的であるPFS部分だけでも別個独立した識別標識たり得るものである。
この点、乙第1号証及び乙第2号証に掲載の「Tシャツ」の画像をみると、楕円内に「PFS」の欧文字を配した商標の使用を確認することができる。
乙第1号証及び乙第2号証の左上のロゴ及び文字等にもみられるように、本件商標の権利者である「株式会社ユナイテッドパシフィックス」は、以前よりブランド「Pacific Furniture Service」を展開している。本件商標にも表れる「PFS」は、当該ブランド「Pacific Furniture Service」の各単語の頭文字に由来するものである。特に、「PFS」を含む図形やロゴの商標は、時期によって外観に変遷はあるものの、「PFS」は当該ブランドの根幹をなす商標として使用されている。
一方、本件商標の「PF SERVICE」は、欧文字2字とありふれた「SERVICE」の文字(語)が1文字分のスペースを空けて表されたものであるため、これ単独で識別標識としての機能を発揮しないものであり、また、PFS部分と比べて著しく小さく表されていることから、PF SERVICE部分は付随的な部分といえる。そうとすれば、上記のとおり、乙第1号証及び乙第2号証に示す「Tシャツ」について「PFS」が使用されているのは明らかであり、本件商標のPFS部分と乙第1号証及び乙第2号証に掲載の商標「PFS」は、欧文字3字であるため特定の観念を生じ得ず、比較し得ないが、構成文字を共通にするため「称呼」において同一であり、かつ、外観においても共通する。したがって、本件商標と当該使用商標は、社会通念上同一の商標である。
以上述べたとおり、商標権者たる「株式会社ユナイテッドパシフィックス」は、本件審判の要証期間内において、指定商品「被服」に該当する「Tシャツ」について本件商標と社会通念上同一の商標を使用したものであり、取消理由に該当しない。
2 回答書における主張
(1)本件商標のPF SERVICE部分について
本件商標の構成中、PF SERVICE部分は、「PF」の欧文字2字と、ありふれた「SERVICE」の語が1文字分のスペースを空けて表されたものであるため、これ単独で識別標識としての機能を発揮しないものであるのは、答弁書で述べたとおりであり、本件審尋において「本件図形部分と「PF SERVICE」の文字部分は、重なり合ってはいないものの、本件図形部分の幅に収まるように、まとまりよく一体的に表してなるから、本件商標の構成全体をもって自他商品の識別標識として機能する」旨認定を示しているが、被請求人が識別力を発揮しない付随的部分であると主張するPF SERVICE部分が、楕円で囲まれたPFS部分より小さく表示され、この幅に収まるように表示されるのは、むしろ自然であるといえる。また、「本件図形部分」と称されているように、「図形」であるとも評価され得る楕円で囲まれたPFS部分と、明らかに図形要素のない文字要素のみからなるPF SERVICE部分とを、「まとまりよく一体的に表してなるもの」と評価されるのは不合理である。本件商標の楕円で囲まれPFS部分と、文字要素のみからなるPF SERVICE部分とは、相互の重なり合う等といった表現はされておらず、楕円で囲まれたPFS部分が大きく表示され、その下にPF SERVICE部分が同じく横書きで小さく併記されているに過ぎず、配置や構成そのものに特段の特徴がないものである。
したがって、本件商標は、その構成全体をもって、自他商品の識別標識として機能するというよりは、むしろ、本件図形部分と称される楕円で囲まれたPFS部分が独立した識別標識足り得るものである。
(2)乙第1号証及び乙第2号証について
本件審尋において、「商品「Tシャツ」の販売(譲渡)を受けた第三者との取引に関する書類(発注書、契約書、受領書等)が提出されていないため、当該商品が販売(譲渡)された事実が客観的に証明されていない」旨指摘されている。
しかしながら、乙第1号証及び乙第2号証に表れている商品の画像から、本件商標と社会通念上同一の商標が、「Tシャツ」に付されていることが明らかに見て取れる。
したがって、商標法第2条第3項第1号の規定の行為が確認できる。
また、乙第1号証及び乙第2号証は、被請求人のウェブサイトの情報であるが、その中身を確認すると、商品画像が掲載され、その商品の購入を促すような記述、及び、その商品金額等が記載されていることが分かる。そうとすれば、乙第1号証及び乙第2号証は、当該商品(Tシャツ)の広告と評価されるべきものである。すると、乙第1号証及び乙第2号証は、当該商品(Tシャツ)の広告を内容とする情報を電磁的方法により提供する行為に該当し得るため、商標法第2条第3項第8号に規定の行為にあたる。
第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 認定事実
被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、被請求人のウェブサイトであり、その構成の上半分の中央部分に、「2020/06/15」、「P.F.S. ORIGINAL T-SHIRTS 2020」の記載、それらの下部に、Tシャツの一部を表した画像5点が、横並びに配置されている。
そして、それら5点のTシャツの画像のうち、左側2点については、横長楕円形の輪郭線内に横書きした「PFS」の欧文字からなる部分と、菱形状の輪郭線内に「PACIFIC FURNITURE SERVICE INDEPENDENT 1988」の文字を4段に配した部分とからなるもの(以下「使用商標1」という。)が、Tシャツの画像に表示されている。
また、それら5点のTシャツの画像のうち、右側3点については、文字の色彩はそれぞれ異なるものの、いずれも1段目に「P.F. SERVICE」の文字を横書きし、その下部に6段の文字を配した構成からなるもの(以下「使用商標2」という。)が、Tシャツの画像に表示されている。
そして、それらの画像の下部には、「P.F.S. ORIGINAL T SHIRTS 2020-ステンシル」、「P.F.S. ORIGINAL T SHIRTS 2020-ひし形」の文字の表示は認められるものの、本件商標を構成する「PFS/PF SERVICE」の文字は確認できない。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、被請求人のウェブサイトであり、その構成の上半分の中央部分に、「2021/05/14」、「P.F.S. ORIGINAL T-SHIRTS 2021」の記載、それらの下部に、Tシャツの一部を表した画像5点が、横並びに配置されている。
そして、それら5点のTシャツの画像のうち、右から2番目及び3番目の2点については、横長楕円形の輪郭線内に横書きした「PFS」の欧文字からなる部分と、菱形状の輪郭線内に「PACIFIC FURNITURE SERVICE INDEPENDENT 1988」の文字を4段に配した部分とからなる、乙第1号証に表示されている使用商標1と同一のものが、Tシャツの画像に表示されている。
また、それら5点のTシャツの画像のうち、左側2点については、文字の色彩はそれぞれ異なるものの、いずれも1段目に「P.F. SERVICE」の文字を横書きし、その下部に6段の文字を配した構成からなる、乙第1号証に表示されている使用商標2と同一のもの、並びに、右端の1点は、「P.F.S.」の文字を横書きし、その下部に7段の文字を配した構成からなるもの(以下「使用商標3」といい、「使用商標1」、「使用商標2」及び「使用商標3」をまとめて「本件使用商標」という場合がある。)が、Tシャツの画像に表示されている。
そして、それらの画像の下部には、「P.F.S. ORIGINAL T SHIRTS 2021-ステンシル」、「P.F.S. ORIGINAL T SHIRTS 2021-ひし形」及び「P.F.S. ORIGINAL T SHIRTS 2021-COMMERCIAL」の文字の表示は認められるものの、本件商標を構成する「PFS/PF SERVICE」の文字は確認できない。
3 判断
(1)本件商標と本件使用商標との社会通念上の同一性について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲のとおり、横長楕円形の輪郭線内に横書きした「PFS」の欧文字からなる部分と、その下に「PF SERVICE」の欧文字を横長楕円形の幅に合わせるように、小さく横書きしたものを上下に配し、全体としてまとまりよく表された構成からなるものである。
イ 本件使用商標について
使用商標1は、横長楕円形の輪郭線内に横書きした「PFS」の欧文字からなる部分と、その輪郭線下部に重なるように、菱形状の輪郭線内に「PACIFIC FURNITURE SERVICE INDEPENDENT 1988」の文字を4段に配した部分とからなるものであり、また、使用商標2は、上段に「P.F. SERVICE」の文字を横書きし、その下部に6段の文字を配した構成からなるものであり、さらに、使用商標3は、「P.F.S.」の文字を横書きし、その下部に7段の文字を配した構成からなるものである。
使用商標2及び使用商標3は、輪郭線や図形をその構成中に有しないものである。
ウ 本件商標と本件使用商標との同一性について
本件商標と本件使用商標を比較すると、本件商標と使用商標2及び使用商標3とは、輪郭線の有無の差異及びその構成文字に差異があることからすれば、両者はその構成態様を異にするものであって、社会通念上同一の商標ということができない。
また、本件商標と使用商標1とは、両商標の上部に配した「横長楕円形内に横書きした「PFS」の欧文字からなる部分」は共通するものの、それ以外の構成文字及び使用商標1の下段部分の輪郭線の有無の差異を有することからすれば、両者はその構成態様を異にするものであって、社会通念上同一の商標ということができない。
したがって、本件商標と本件使用商標は、社会通念上同一の商標と認められない。
(2)使用者、使用商品、使用時期及び使用行為について
被請求人が提出した証拠により、本件商標権者が、本件商標の指定商品「被服」の範ちゅうに属する商品「Tシャツ」を、要証期間内である2020年(令和2年)6月15日及び2021年(令和3年)5月14日に、同人のウェブサイトにおける商品情報ページにおいて、Tシャツの画像、価格、サイズ、問い合わせ先等の情報を表示したことがうかがえる。
これらの行為は、商標法第2条第3項第8号にいう、商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為に該当するといえる。
しかしながら、いずれの証拠においても、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標が、商品「Tシャツ」に使用されたことを証明していないものであるから、被請求人が、要証期間に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判請求に係る指定商品について使用したということはできない。
(3)小括
その他、被請求人が提出した全証拠を総合してみても、要証期間に、商標権者が、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標(本件商標と社会通念上同一の商標を含む。)を使用している事実を見いだせない。
4 結論
以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判請求に係る指定商品のいずれかについて、商標法第2条第3号各号に規定する使用行為を行ったことを証明していない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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