商標取消審判
2022-300634
エスイイエス
- 審判番号
- 2022-300634
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1993-038498
- 登録番号
- 3352787
- 請求日
- 2022年07月11日
- 審決日
- 2024年06月24日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ソリッドエナジー システムズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
- 【請求人代理人】中田 和博
- 【請求人代理人】青木 博通
- 【被請求人】株式会社 ネットスプリング
- 【被請求人代理人】田中 克郎
- 【被請求人代理人】大江 修子
- 【被請求人代理人】廣中 健
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 大島 康浩
- 審判官 小林 裕子
- 分類
- T131 .1 -Y (042)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第2条第3項第3号、商標法第50条、商標法第50条第1項、商標法第70条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第3352787号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第3352787号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成5年4月15日に登録出願、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」を指定役務として、同9年10月24日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和4年7月25日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和元年(2019年)7月25日から同4年(2022年)7月24日までを、以下「要証期間」という。
なお、本件商標権は、令和4年8月12日受付で、システム・エンジニアリング・サービス株式会社(以下「SES社」という。)から現在の商標権者である株式会社ネットスプリング(以下「ネットスプリング社」という。)に対し、一般承継により移転がなされた。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書及び審判弁駁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
請求人の調査では、被請求人は、過去3年以上にわたって、我が国において本件商標を指定役務について使用していない。よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人が提出した証拠によれば、被請求人は、第9類の商品「ソフトウェア製品」の製造又は販売を行っていた可能性はあるが、指定役務である第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」を行っていなかったことは明らかである。
役務は、他人のための便益である。よって、他人のために、プログラムの設計・作成又は保守を行う必要があり、他人のためにプログラムの貸与をする必要がある。
ソフトウェア(プログラム)は、第9類の「ソフトウェア(プログラム)」に含まれる商品であり、当該商品の製造、販売は、商品「ソフトウェア(プログラム)」の使用の定義に含まれるものである。
指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について本件商標を使用していたのであれば、当該役務について、他人からのどのような注文に基づき、どのように設計・作成又は保守をしたのか仕様書があるはずであるが、そのような証拠は一切提出されていない。
指定役務「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」について、本件商標を使用していたのであれば、貸与の条件について記載した書面等があるはずであるが、そのような書面は一切提出されていない。
被請求人が提出しているのは、ソフトウェア(プログラム)製品を製造又は販売していた事実のみである。
ソフトウェア(プログラム)の製造又は販売は、第9類の指定商品についての使用行為に含まれるものである。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を令和4年10月11日付け審判事件答弁書及び同5年9月22日付け審尋に対する同年10月23日付け審判事件答弁書(2)において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第30号証(枝番号を含む。以下、乙第○号証を「乙○」のように表記する。)を提出した。
1 審判事件答弁書における主張
本件商標は、被請求人が、その指定役務について、要証期間内に使用している。したがって、本件審判の請求は成り立たない。
(1)被請求人について
被請求人は、主としてネットワーク関連機器・通信ソフトウェア等の企画、開発、販売等を業とする企業である(乙1)。被請求人は、2018年4月1日に、系列会社である、システム・エンジニアリング・サービス株式会社(SES社)と合併し、その事業を引き継いだ(乙2)。
SES社の事業は、現在でも、被請求人のSESビジネスユニットにて継続されており、企業のメインフレーム・サーバーに対応するプログラム等の「設計・作成又は保守」を行っている(乙3)。
(2)本件商標の使用について
本件商標は、欧文字「SES」をデザイン化してなる。本件商標は、SES社の略称として、1982年の創業以来一貫して使用され、事業を引き継いだ被請求人によっても、以下のとおり、継続して使用されている。
ア 本件商標のホームページ等における使用
(ア)乙1は、被請求人のホームページ(以下「HP」という。)である。
HPには、「SESソフトウェア製品はこちらをご覧ください」という文字とともに、本件商標が表示されている。これをクリックすると、SESビジネスユニットの業務内容等についてのページ(乙3)が表示されるが、このページにも本件商標が使用され、以下のような情報を提供している。
a 2020年9月1日
OCSLAM V3(IBM社 z/OSV2.4適合版)のリリース改訂
b 2020年8月25日
OCSLAM V3(IBM社 z/OSV2.4適合版)出荷開始
c 2020年4月1日 OCSLAM V3のz/OSV2.4対応意向のアナウンス
また、これに関連したリリース記事にも、本件商標が表示されている(乙4)。乙4は、「OCSLAM」対応ソフトウェアが、2020年夏以降に提供予定である旨の記事である。要証期間内の2020年4月の時点で、本件商標が使用されていることは明らかである。なお、過去のHPでも、それぞれ、レイアウトや「NEWS」覧の記載は若干異なるものの、一貫して、本件商標がHPに表示されている。
(イ)以下の画面は、インターネットアーカイブ「Wayback Machine」を用いて出力した、被請求人の過去のHP(画面の一部を複写)である。
a 2020年8月9日時点のHP画面(乙5)
b 2020年10月20日時点のHP画面(乙6)
c 2021年5月8日時点のHP画面(乙7)
d 2021年12月2日時点のHP画面(乙8)
e 2022年3月24日時点のHP画面(乙9)
f 2022年4月2日時点のHP画面(乙10)
上記一連の証拠に表示された商標は、本件商標と同一の態様である。上記一連の証拠は、いずれも、被請求人が提供をする「SESソフトウェア製品」に関する広告である。したがって、上記表示行為は、被請求人が「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」であるから、本件商標の使用に当たる(商標法第2条第3項第8号)。このように、本件商標は、要証期間である2019年7月26日以降、今日まで、被請求人によって一貫して使用されている。
イ 本件商標の正規出荷品及び貸与品への使用
乙11は、メインフレームを導入している企業向のソフトウェア(OCSLAM:以下「本件ソフト」という。)の説明書である。ただし、相手先の社名部分等はマスキングした。この説明書は、2019年4月に改版されたものであるが、現在も使用されている。本件ソフトは、乙12の1のように、ディスクに格納して納入される。これらのディスクは、引き合いがあった企業に対する導入試験用に貸与されるディスクの写真である。実際に顧客に納入されるディスク(正規出荷品)も、盤面は同仕様である。これらのディスクにも、本件商標は表示されている。したがって、これらの説明書やディスクに表された本件商標は、「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」に使用されている。
ちなみに、乙12の2及び3は、乙12の1に表された2枚のディスクを、それぞれ拡大して複写したものである。いずれのディスクにも、「Copyrightc1992-2020」と、いわゆるコピーライト表示がなされている。これは、最初の発行年である1992年、及び、同ソフトの内容が更新された年である2020年を表している。乙4で明らかなように、1992年は「OCSLAM」の提供を開始した年であり、2020年は、このソフトウェアの更新(高速化と機能アップ)をした年である。
ウ 本件商標のソフトウェア関連役務への使用
乙13は、本件ソフトの出荷依頼書である。依頼日は、要証期間内の2021年3月9日である。乙14及び乙15は、上記出荷依頼を受けた本件ソフトについての、出荷申請書及び社内の最終チェックリストである。
本件ソフトは、2021年3月12日に品質チェックの上出荷された。乙16及び乙17は、その出荷報告書と、同梱した送付状の控えである。
上記のとおり、本件ソフトは、現在も販売されており、同ソフトを格納したディスク盤面には本件商標が表示されているから、一連の行為は「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為」であることも明らかである。
2 審判事件答弁書(2)における主張
被請求人は、要証期間内において本件商標をその指定役務に使用した事実があるから、追加の証拠を提出するとともに、その内容について詳述する。
(1)被請求人は、コンピュータソフトウェア「OCSLAM」の保守サービスの広告において本件商標を使用した事実があること
ア 被請求人ホームページが、少なくとも令和2年8月9日から令和4年6月10日の期間中、継続して公開されていたこと
乙18の1及び2は、インターネットアーカイブ「Wayback Machine」を用いて表示した令和4年6月10日時点における被請求人のホームページ(以下「被請求人ホームページ」という。)の表示画面を印刷したものである。乙18の1はコンピュータ端末から直接印刷したものであるが、端末の画面上で表示される画面の上端部(「Wayback Machine」の操作バーの部分)が印刷されないため、端末の画面上に表示されているものをスクリーンショットして複写したものが乙18の2である。
次に、乙19の1及び2は、インターネットアーカイブ「Wayback Machine」を用いて表示した令和3年6月1日時点における被請求人ホームページの表示画面を印刷したものである。乙19の1はコンピュータ端末から直接印刷したものであり、端末の画面上に表示されているものをスクリーンショットして複写したものが乙19の2である。
さらに、乙20の1及び2は、インターネットアーカイブ「Wayback Machine」を用いて表示した令和2年8月9日時点における被請求人ホームページの表示画面を印刷したものである。乙20の1はコンピュータ端末から直接印刷したものであり、端末の画面上に表示されているものをスクリーンショットして複写したものが乙20の2である。
乙18の1ないし乙20の2により、被請求人ホームページが、少なくとも令和2年8月9日から令和4年6月10日の期間中、継続して公衆に対して閲覧可能な状態におかれ、被請求人の業務に係る各種商品や役務の宣伝広告が行われていたことが分かる。
イ 被請求人ホームページには、コンピュータソフトウェアの保守に関する広告が掲載されていること
上記期間中、被請求人ホームページには、「SESソフトウェア製品はこちらへ」との文字と、本件商標と社会通念上同一の商標を結合したアイコンが表示されている(乙18の2、乙19の2及び乙20の2の上で矢印を付した部分。以下「本件遷移ボタン」という。)。本件遷移ボタンをクリックすると、SES社(システム・エンジニアリング・サービス株式会社)のホームページに遷移する。答弁書において説明したとおり、被請求人は、平成30年4月1日にSES社と合併し、被請求人が存続会社となり、SES社は同日をもって消滅したが、SES社の製品・サービスについては、ソフトウェアの保守、メインテナンスを含め、被請求人が承継し、継続して提供しているため(乙2)、SES社のホームページも維持している。
(ア)令和4年6月10日時点における使用
「Wayback Machine」上において、乙18の1及び2に示す令和4年6月10日時点における被請求人ホームページ上の本件遷移ボタンをクリックすると表示されるウェブページを印刷したものが乙21の1である。当該ウェブページの上段右側に「製品紹介」と表示されており(書証上に矢印を付した)、これをクリックすると、乙21の2の画面に推移する。当該ウェブページには「SES製品」として、上から「BroadZT」「BroadRanger」及び「OCSLAM」の各コンピュータソフトウェアのアイコンが表示されており、「OCSLAM」のアイコンの右側の「ご紹介OHP」をクリックすると、「OCSLAM Ver3.0」と題する資料(乙21の3;以下「本件製品紹介資料」という。)が表示される。乙21の4は「Wayback Machine」のブラウザ画面上で本件製品紹介資料が表示されている画面をスクリーンショットしたものを複写したものである。
(イ)令和3年6月1日時点における使用
次に、「Wayback Machine」上において、乙19の1及び2に示す令和3年6月1日時点における被請求人ホームページ上の本件遷移ボタンをクリックすると表示されるウェブページを印刷したものが乙22の1である。「Wayback Machine」のブラウザ上では、令和3年6月22日に保存された画面が表示される。当該ウェブページの上段右側に「製品紹介」と表示されており(書証上に矢印を付した)、これをクリックすると、乙22の2の画面に推移する。「Wayback Machine」のブラウザ上では、令和3年12月8日に保存された画面が表示される。当該ウェブページには「SES製品」として、上から「BroadZT」「BroadRanger」及び「OCSLAM」の各商品のアイコンが表示されており、「OCSLAM」のアイコンの右側の「ご紹介OHP」をクリックすると、本件製品紹介資料が表示される。「Wayback Machine」のブラウザ上では、令和4年5月16日に保存された画面が表示される。乙22の3は「Wayback Machine」のブラウザ画面上で本件製品紹介資料が表示されている状況をスクリーンショットしたものを複写したものである。
(ウ)令和2年8月9日時点における使用
さらに、「Wayback Machine」上において、乙20の1及び2に示す令和2年8月9日時点における被請求人ホームページ上の本件遷移ボタンをクリックすると表示されるウェブページを印刷したものが乙23の1である。「Wayback Machine」のブラウザ上では、令和2年8月15日に保存された画面が表示される。当該ウェブページの上段右側に「製品紹介」と表示されており、これをクリックすると、乙23の2の画面に推移する。「Wayback Machine」のブラウザ上では、令和3年12月8日に保存された画面が表示される。当該ウェブページには「SES製品」として、上から「BroadZT」「BroadRanger」及び「OCSLAM」の各商品のアイコンが表示されており、「OCSLAM」のアイコンの右側の「ご紹介OHP」をクリックすると、本件製品紹介資料が表示される。「Wayback Machine」のブラウザ上では、令和4年5月16日に保存された画面が表示される。
なお、本件製品紹介資料は、令和5年10月17日現在においても継続して公衆に対して閲覧可能な状態に置かれている。
以上の書証に照らすと、本件製品紹介資料が、少なくとも令和2年8月9日以降、令和5年10月17日現在に至るまで、継続して公衆に対して閲覧可能な状態に置かれていることが分かる。
そして、本件製品紹介資料の15頁には、「サポートと保守」との見出しの下、「導入支援サービス(導入時)〈有償サービス〉」「OCSLAMの導入作業を支援します。[支援内容]OCSLAMのインストール、定義作成、動作確認」と記載され、「保守体制 富士通を窓口として連携したサポートを行います。」と記載されている。したがって、本件製品紹介資料は、コンピュータソフトウェア「OCSLAM」の広告であるとともに、当該コンピュータソフトウェアの保守サービスについての広告にも当たる。そして、本件製品紹介資料の18頁及び19頁には本件商標と色彩のみが異なる本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている(書証上に矢印を付した。以下、本件商標と色彩のみが異なる本件商標と社会通念上同一の商標を、「本件商標」という)。
よって、被請求人がインターネット上のウェブサイトにおいて、本件商標が付された本件製品紹介資料を、継続して公衆に対して閲覧可能な状態においている行為は、商標法第2条第3項第8号に規定する商標の「使用」すなわち「商品又は役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
以上より、本件商標が、本件審判の要証期間内に、その指定役務中の「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について使用されたことは明らかである。
なお、SES社は平成30年4月1日付けで被請求人と合併し、消滅したが、SES社の製品・サービスは被請求人がすべて継続してサポート、メインテナンスすることをアナウンスしている(乙2)。また、乙24の1ないし3は、令和3年6月4日から同年6月7日にかけて「OCSLAM」のサポート業務について被請求人と顧客との間で交信された電子メールの写しである。これに照らせば、被請求人がSES社のソフトウェア製品について継続してサポート、保守サービスを提供していることが分かる。なお、被請求人及びSES社のソフトウェア製品は企業向けの高度かつ大規模なものであって、販売後も被請求人による専門的なサポートや保守サービスを提供する必要があることはいうまでもない。
(2)被請求人は、コンピュータシステム「BroadRanger」の保守サービスの広告において本件商標を使用した事実があること
ア 被請求人のウェブサイトにおいてコンピュータソフトウェアの保守についての広告を掲載したこと
(ア)令和4年6月10日時点における広告掲載
「Wayback Machine」上において、乙18の1及び2に示す令和4年6月10日時点における被請求人ホームページ上の本件遷移ボタンをクリックすると表示されるウェブページ(乙21の1)の最上段の左端には本件商標が表示されている(書証上に矢印を付した)。当該ウェブページの右側には上から「最新情報」「会社概要」「事業展開」「製品紹介」と表示されており、「製品紹介」をクリックすると、乙21の2の画面に推移する。当該ウェブページの最上段左端に本件商標が表示されている(書証上に矢印を付した)。そして、「SES製品」として、上から「BroadZT」「BroadRanger」及び「OCSLAM」の各コンピュータソフトウェアのアイコンが表示されている。このうち、「BroadRanger」(基幹業務連携ポータルアプリケーション)のアイコンをクリックすると、乙25の1に示すウェブページが表示される。当該ウェブページの上端部には、「特徴」「デモ」「構成図」「システム要件」「価格」「サービス」の各アイコンが並んでおり、「サービス」のアイコンをクリックすると、乙25の2に示すウェブページ(以下「本件ウェブページ1」という。)が表示される。本件ウェブページ1には「サービス」として、「保守 BroadRangerの運用をオンラインサポート致します。」との記載がある。
(イ)令和3年6月1日時点における広告掲載
次に、「Wayback Machine」上において、乙19の1及び2に示す令和3年6月1日時点における被請求人ホームページ上の本件遷移ボタンをクリックすると表示されるウェブページ(乙22の1)の最上段の左端には本件商標が表示されている(書証上に矢印を付した)。当該ウェブページの右側には上から「最新情報」「会社概要」「事業展開」「製品紹介」と表示されており、「製品紹介」をクリックすると、乙22の2の画面に推移する。当該ウェブページの最上段左端には、本件商標が表示されている(書証上に矢印を付した)。そして、「SES製品」として、上から「BroadZT」「BroadRanger」及び「OCSLAM」の各コンピュータソフトウェアのアイコンが表示されている。このうち、「BroadRanger」(基幹業務連携ポータルアプリケーション)のアイコンをクリックすると、乙26の1に示すウェブページが表示される。当該ウェブページは「Wayback Machine」上で令和3年12月8日に保存されたものである。当該ウェブページの上端部には、「特徴」「デモ」「構成図」「システム要件」「価格」「サービス」のアイコンが並んでおり、「サービス」のアイコンをクリックすると、乙26の2に示すウェブページ(以下「本件ウェブページ2」という。)が表示される。本件ウェブページ2には「サービス」として、「保守BroadRangerの運用をオンラインサポート致します。」と記載があり、「年額(税別)」の欄に「お問い合わせください。」とある。
(ウ)令和2年8月9日時点における広告掲載
さらに、「Wayback Machine」上において、乙20の1及び2に示す令和2年8月9日時点における被請求人ホームページ上の本件遷移ボタンをクリックすると表示されるウェブページ(乙23の1)の最上段の左端には本件商標が表示されている(書証上に矢印を付した)。当該ウェブページの右側には上から「最新情報」「会社概要」「事業展開」「製品紹介」と表示されており、「製品紹介」をクリックすると、乙23の2の画面に推移する。当該ウェブページの最上段左端には、本件商標が表示されている(書証上に矢印を付した)。そして、「SES製品」として、上から「BroadZT」「BroadRanger」及び「OCSLAM」の各コンピュータソフトウェアのアイコンが表示されている。このうち、「BroadRanger」(基幹業務連携ポータルアプリケーション)のアイコンをクリックすると、乙27の1に示すウェブページが表示される。当該ウェブページは「Wayback Machine」上で令和3年12月8日に保存されたものである。当該ウェブページの上端部には、「特徴」「デモ」「構成図」「システム要件」「価格」「サービス」のアイコンが並んでおり、「サービス」のアイコンをクリックすると、乙27の2に示すウェブページ(以下「本件ウェブページ3」という。)が表示される。本件ウェブページ3には「サービス」として、「保守BroadRangerの運用をオンラインサポート致します。」と記載がある。
イ 被請求人のウェブサイトは全体として被請求人が提供するソフトウェア保守サービスの広告であること
いうまでもなく、本件ウェブページ1ないし3は、「BroadRanger」との基幹業務連携ポータルアプリケーション(ソフトウェア)の保守のサービスを提供することについての広告に当たる。そして、本件ウェブページ1ないし3自体には本件商標の表示はないものの、本件ウェブページ1ないし3は、(a)被請求人ホームページ上の、本件商標が付された本件推移ボタンをクリックすることで表示される(b)ウェブページ(乙21の1、乙22の1、乙22の3)、さらにこれらのウェブページ上の「製品紹介」をクリックして表示される、(c)ウェブページ(乙21の2、乙22の2、乙23の2)を経由して表示されるものであるから、本件ウェブページ1ないし3と、本件商標が付された(a)被請求人ウェブページ、(b)乙21の1、乙22の1及び乙22の3のウェブページ並びに(c)乙21の2、乙22の2及び乙23の2のウェブページは、一体のものであって、(a)(b)及び(c)のウェブページに付された本件商標は、本件ウェブページ1ないし3の広告に付されているものである。このことは、例えば、4頁からなる広告宣伝物の4頁目に役務の広告が記載されており、1ないし3頁目に商標が付されていれば、たとえ4頁目には商標が表示されていなかったとしても、1ないし3頁目の商標は4頁目で広告されている商品又は役務の出所を表示するものとして使用されていると、自然に理解されることに照らして考察すれば明らかである。
よって、被請求人がインターネット上で、本件商標が付された(a)被請求人ホームページ、(b)乙21の1、乙22の1及び乙22の3のウェブページ並びに(c)乙21の2、乙22の2及び乙23の2のウェブページとともに本件ウェブページ1ないし3を、継続して公衆に対して閲覧可能な状態においている行為は、商標法第2条第3項第8号に規定する「使用」すなわち「役務に関する広告に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
以上より、本件商標が、本件審判の要証期間内に、その指定役務中の「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について使用されたことは明らかである。
なお、上述のとおり、SES社の製品・サービスは被請求人がすべて継続してサポート、メインテナンスしており(乙2)、現に、令和4年4月ないし6月において「BroadRanger」の保守サービスの対価を顧客に請求した事実がある。乙28の1ないし3は当該顧客に対して被請求人がコンピュータソフトウェアの保守費用を請求したことを示す請求書の写しであり、乙28の4は、当該保守サービスに係る保守契約書の写しである(営業秘密にかかる事項はマスキングした)。当該保守契約書はSES社の名義で締結されたものであり、契約期間は2015年12月1日ないし2016年11月30日とされているが、「1年単位、自動延長」と記載されており、当該保守契約書に基づいて、SES社の業務を引き継いだ被請求人において保守サービスを行っており、それに対する対価の請求が乙28の1ないし3によって行われているものである。
(3)被請求人は、「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」において本件商標を使用した事実があること
乙29の1は、令和元年6月19日に、被請求人の顧客から被請求人に対してコンピュータソフトウェア「OCSLAM」の貸与を依頼する書面である。顧客企業名等営業秘密に係る事項はマスキングしている。これによれば、令和元年6月19日に顧客からソフトウェアの貸与の依頼があり、貸出希望期間が令和元年7月1日から同年9月30日とされていることが分かる。
乙29の2は、上記顧客からの依頼に応じ、令和元年6月27日付けで、被請求人が当該顧客に対してコンピュータソフトウェア「OCSLAM」を貸与することを承諾し、当該コンピュータソフトウェアを貸し渡したことを通知する書面である。
乙29の3は、貸与したコンピュータソフトウェア「OCSLAM」を格納した磁気テープ(以下「本件磁気テープ」という。)が上記顧客から被請求人に対して返送された際の状況及び配送伝票の写真である。本件磁気テープのカートリッジ上には「貸与品(2019.7.1~2019.9.30)」との記載があり、本件商標と社会通念上同一の商標が付されている。運送会社の配送伝票には10月26日の日付があるが、乙29の1ないし3を総合して考慮すれば、これは令和元年の10月26日であることが推認できる。
乙29の4は、上記顧客から返却された本件磁気テープを受領した際に被請求人の従業員が残したメモを撮影した写真である。
乙29の1ないし乙29の4に徴すれば、被請求人がその顧客に対し、令和元年6月27日頃から同年10月26日頃までの期間中本件磁気テープを貸与した事実があることは明らかである。そして、令和元年7月25日以降は要証期間に含まれる。
よって、被請求人が当該顧客に対して本件磁気テープを上記期間中貸与し、本件磁気テープのカートリッジ上に本件商標と社会通念上同一の商標を付した行為は、商標法第2条第3項第3号に規定する「使用」すなわち「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、貸し渡す物を含む。)に標章を付する行為」に該当する。
なお、当該顧客に対するソフトウェアの貸与は無償で行われたものであるが、「商取引」には、営利を目的として行われる様々な契約形態による場合が含まれ、対価と引換えに取引されなければ、商標法上の商品又は役務に当たらないとはいえず、取引を全体として観察して商取引といえるものであれば足りるものと解される(知的財産高等裁判所平成19年(行ケ)第10008号平成19年9月27日判決参照、乙30)。貸与そのものは無償であったとしても、貸与が契機となって最終的に製品の受注に至るとすれば、そこで対価が得られることになるから、本件貸与が無償で行われたことは、商標法第2条第3項第3号に規定する商標の「使用」の行為があったことを何ら左右しない。
以上より、本件商標が、本件審判の要証期間内に、その指定役務中の「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」について使用されたことは明らかである。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。
(1)ア 被請求人である本件商標権者(ネットスプリング社)は、ネットワーク関連機器の開発及び販売を行う企業である(乙2、乙4)。
イ ネットスプリング社は、2018年4月1日に、前商標権者であるSES社を吸収合併した(乙2、乙21の1)。
また、本件商標権は、前記第1のとおり、令和4年8月12日受付で、SES社からネットスプリング社に一般承継により移転がなされた。
(2)ア 令和4年6月10日時点におけるネットスプリング社のウェブサイトには、中央右側部分に、「SESソフトウェア製品はこちらへ」の記載とともに、別掲2のとおりの商標(以下「使用商標」という。)が付されたアイコンが表示されている(乙18)。
イ 上記アのアイコンをクリックして遷移するウェブサイトには、左上に使用商標が表示され、その下には、「製品紹介」と記載されたアイコンが表示されている(乙21の1)。
ウ 上記イの「製品紹介」のアイコンをクリックして遷移するウェブサイトには、「SES製品」の見出しの下、通信ソフトウェアとして「OCSLAM」のアイコンが表示され、その右側には「ご紹介OHP」の文字が表示されている(乙21の2)。
エ 上記ウの「OCSLAM」のアイコン右側の「ご紹介OHP」の文字部分をクリックすると、2014年7月15日付けのSES社の作成に係る「OCSLAM」の紹介資料に遷移する。当該資料の表紙には、タイトルとして「OCSLAM Ver3.0」及び「IBMオープンメインフレーム・サーバ用通信ソフトウェア」の記載がある。また、「OCSLAMとは」の見出しの下、「OCSLAMの提供機能」として、「オープン通信プロトコルサポート」「応用プログラムインタフェースの提供」及び「運用・管理サービス」の記載がある。さらに、「サポートと保守」の見出しの下、「導入支援サービス(導入時)<有償サービス>OCSLAMの導入作業を支援します。[支援内容]OCSLAMのインストール、定義作成、動作確認」及び「保守体制・・・連携したサポートを行います。」の記載がある(乙21の3)。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について
本件商標は、別掲1のとおり、「SES」の文字をデザイン化して表してなる。他方、使用商標は、別掲2のとおり、「SES」の文字を青色でデザイン化して表してなる。
両者を比較すると、使用商標は、本件商標とは、色彩のみを異にする同一のデザイン化された文字からなるものと認められるから、商標法第50条に規定する「登録商標」に当たるというべきである(商標法第70条第1項)。
(2)使用役務について
上記1(2)によれば、令和4年6月10日時点のネットスプリング社のウェブサイトに掲載されている「SESソフトウェア製品」の一つである「OCSLAM」は、通信ソフトウェアを指称するものであるとともに、別途有償で提供される当該ソフトウェアのインストールやサポート及び保守のサービスも指称するものであることがうかがえる。そして、当該サービスは、請求に係る役務のうち、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」の範ちゅうに含まれることが明らかである。
(3)使用時期について
上記1(2)アのとおり、ネットスプリング社のウェブサイトに、「OCSLAM」を含む「SESソフトウェア製品」についての広告が掲載されたのは令和4年6月10日であり、要証期間である。
(4)使用者について
上記1(2)アのとおり、要証期間である令和4年6月10日時点のネットスプリング社のウェブサイトに、使用商標が表示されている。
そして、上記1(1)イのとおり、SES社からネットスプリング社に商標権の移転がなされたのは、本件審判の請求後の令和4年8月12日であるが、SES社は、2018年にネットスプリング社に吸収合併され、以降、ネットスプリング社の名義で存続していることを踏まえれば、上記の使用商標の使用時点においては、ネットスプリング社が、本件商標の使用について、SES社から黙示の許諾を受けていた通常使用権者であったとみて差し支えない。
(5)使用行為について
上記1(1)のとおり、ネットスプリング社は、LAN通信ソフトウェアのインストールやサポート及び保守のサービスを内容とする「OCSLAM」を含む「SESソフトウェア製品」の広告を内容とするウェブサイトに使用商標を付し、電磁方法により提供したとみることができ、この行為は、商標法第2条第3項第8号に該当する。
また、当該ウェブサイトは、日本国内において日本語により作成されたものであって、その提供先は日本国内であることが明らかである。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、本件商標の通常使用権者が、その請求に係る指定役務について、本件商標と同一と認められる商標を使用していたことを証明したといえる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務である本件商標の指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-300634