商標取消審判
2022-300288
ウイリアムモリス、ウイリアム、モリス、モーリス
- 審判番号
- 2022-300288
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2017-075108
- 登録番号
- 6017923
- 請求日
- 2022年03月24日
- 審決日
- 2023年11月14日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ザ メイヤー アンド バージェスィズ オブ ザ ロンドン バーロウ オブ ウォルサム フォレスト トレーディング アズ ザ ウィリアム モリス ギャラリー
- 【請求人代理人】高岡 亮一
- 【請求人代理人】小田 直
- 【請求人代理人】會田 悠介
- 【被請求人】有限会社 ビー・ティー・パブリケーションズ
- 【被請求人代理人】青木 篤
- 【被請求人代理人】田島 壽
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 豊瀬 京太郎
- 審判官 小俣 克巳
- 分類
- T131 .1 -Y (W03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第2号、商標法第50条第1項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6017923号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6017923号商標(以下「本件商標」という。)は、「WILLIAM MORRIS」及び「ウィリアム モリス」の文字を二段に書してなり、平成29年6月5日に登録出願、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料,人用又は動物用の防臭剤,芳香剤,香水,ポプリ」を指定商品として、同30年2月9日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、令和4年4月6日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の平成31年4月6日から令和4年4月5日までを以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(なお、請求人は、審判請求書及び審判事件弁駁書の双方において甲第1号証を提出していることから、審判事件弁駁書において提出された甲第1号証は甲第2号証と読み替える。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品(以下「請求に係る指定商品」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標は、本件商標権者(被請求人)の通常使用権者ないし同人より使用許諾を受けた者によって、請求に係る指定商品中、「せっけん,ポプリ」について、要証期間に商標法第2条第3項第2号の使用をしていた旨述べているが、被請求人の提出した証拠からは、その事実を認めることはできない。
(2)美術館の展示会における使用
被請求人は、通常使用権者である株式会社ブレーントラスト(以下「ブレーントラスト社」という。)が、要証期間に開催されたウィリアム モリスに関する展覧会において、「せっけん,ポプリ」について、本件商標を使用したと答弁し、証拠として乙第2号証の1ないし乙第7号証の11を提出したが、いずれも本件商標の使用を裏付けるに足りない。
ア 展示会等の開催
展示会のポスターや展示会が開催された美術館ウェブサイトの写し、展示会の開催を伝える新聞記事や市役所等のウェブサイトの写し等から、要証期間に展示会が複数回開催されていたことについて、特段の疑念は生じない(乙2の1及び8、乙4の1~3、乙5の1~3、乙6の1及び2、乙7の1~4及び11)。
イ ラベル
赤色の四角形内に白抜きの文字「Styling」、「Arts」及び「Crafts」の文字と当該「Crafts」の文字の下に「Styling」、「Arts」及び「Crafts」の文字の大きさと比べて明らかに小さな白抜きの文字の「WILLIAM MORRIS」が記載されている3種類のラベルと、赤色の四角形内に白抜きの文字「Styling」、「Arts」及び「Crafts」の文字と当該「Crafts」の文字の下に「Styling」、「Arts」及び「Crafts」の文字の大きさと比べて明らかに小さな白抜きの文字の「WILLIAM MORRIS」と、白い横線を挟んで白抜きの文字「MORRIS&Co.」をさらに併記した1種類のラベルがある。いずれのラベルも「WILLIAM MORRIS」と「ウィリアム モリス」を上下2段に書してなる本件商標とは、大きく態様が異なっている(乙3)。
ウ ラベルが付された商品の販売
展示会が開催された美術館において、上記ラベルが付された「せっけん,ポプリ」が値札とともに複数並べられた写真から、上記ラベルのいずれかが付された「せっけん,ポプリ」が要証期間に販売されたことについては、特段の疑念は生じない(乙2の2及び7、乙4の4及び9、乙5の4及び9、乙6の3及び8、乙7の5及び10)。
エ 納品書、販売物精算統計表、請求明細書、請求書の各写し
納品書、販売物精算統計表、請求明細書、請求書の写しによれば、要証期間に展示会が開催された美術館において、上記ラベルが付された「せっけん,ポプリ」が実際に販売されたことが推認される(乙2の3~6、乙4の5~8、乙5の5~8、乙6の4~7、乙7の6~9)。
(3)本件商標権者(被請求人)による商標の使用の態様
本件商標権者が「せっけん,ポプリ」に付したラベルは、前述したとおりの構成であるが、一つの小さな赤色のラベルの中に同じ白抜きの文字がまとまりよく並んだ構成である点に鑑みれば、当該ラベルは、一体不可分の商標として捉えるのが妥当であり、本件商標の態様とは大きく異なり、社会通念上同一の商標であるとはいえない。また、当該ラベルの中で「Styling」、「Arts」及び「Crafts」は大きな文字で表され、実際に販売された写真を見ても判読可能であるが、「WILLIAM MORRIS」の文字は非常に小さく、当該写真からは判読不可能である(乙2の7、乙4の9、乙5の9、乙6の8、乙7の10)。
したがって、当該ラベルに接する需要者は、その構成中外観上見やすい「Styling」、「Arts」及び「Crafts」の文字部分に強く印象付けられるというのが相当であり、かつ、「せっけん,ポプリ」の販売が、ウィリアム モリスの展示会でしか行われていない点に鑑みれば、「WILLIAM MORRIS」は、単に展示会にまつわるデザイナーの名前として認識されるにとどまり、商標の識別標識として機能するものではない。
(4)請求人
請求人は、イギリスのデザイナーであるウィリアム モリスの実家として使われた建物を利用するギャラリーで、1950年に開館したウィリアム モリスに関する唯一の公式ギャラリーである(甲2)。
(5)審決例
被請求人は、過去の商標不使用取消審判の審決の写し(乙8~乙12)を提出し、本件審判においても同様の判断がされるべきだと主張するが、過去の審決の妥当性には疑義が残る。過去の審判請求人だけでなく、ウィリアム モリスの公式ギャラリーである請求人も、本件商標の使用について疑義を抱くのであるから、過去の審決例は参酌せず、被請求人によるラベルの使用が本件商標の使用に該当するのか、改めて検討すべきである。
(6)結語
以上のとおり、被請求人の提出した証拠方法によっては、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標が請求に係る商品に使用されたことを何ら立証していない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると主張し、その理由を答弁書及び回答書において要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 審判事件答弁書の要旨
(1)本件審判請求が成り立たない理由
本件商標と社会通念上同一と認められる「WILLIAM MORRIS」商標は、本件商標権者(被請求人)の通常使用権者ないし同人より使用許諾を受けた者によって、「せっけん,ポプリ」について、要証期間に商標法第2条第3項第2号の使用がされた。
(2)使用権者であることの証明
本件商標権者は、東京都港区白金四丁目在のブレーントラスト社に使用許諾をしていた(乙1)。
(3)商標法第2条第3項第2号の使用
ア 鶴岡アートファーラムにおいて2019年4月20日から同年5月26日までに開催された「ウィリアム・モリス/英国の風景とともにめぐるデザインの軌跡」における通常使用権者による使用
展覧会において、来訪者にその作品に関係する商品を販売することは、つとに行われているところである。本件商標についても、要証期間に、本展覧会において、通常使用権者によって当該商標を付した「せっけん、ポプリ」がこの展覧会の主催者である鶴岡アートファーラムに販売された(乙2の1~7)。なお、請求書(乙2の6)の宛先である一般社団法人鶴岡市開発公社は、鶴岡アートファーラムの管理運営主体である(乙2の8)。また、「せっけん,ポプリ」に付された本件商標が表示されたラベルが、写真では小さいことから、これら商品に添付されたラベルの見本を提出する(乙3)。
イ 宮崎県立美術館において2019年8月3日から同年9月8日まで開催された「ウィリアム・モリス 英国風景とともにめぐるデザインの軌跡」における通常使用権者による使用
要証期間に、本展覧会において、通常使用権者によって本件商標を付した「せっけん,ポプリ」がこの展覧会が開催された宮崎県立美術館ミュージアムショップに販売された(乙4の1~9)。
ウ 四日市市立博物館・プラネタリウムにおいて2019年9月14日から同年10月27日まで開催された「ウィリアム・モリス 英国風景とともにめぐるデザインの軌跡」における通常使用権者による使用
要証期間に、本展覧会において、通常使用権者によって本件商標を付した「せっけん,ポプリ」がこの展覧会が開催された四日市市立博物館に販売された(乙5の1~9)。
エ 宮城県美術館において2020年5月18日から同年6月28日まで開催された「ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡」における通常使用権者による使用
要証期間に、本展覧会において、通常使用権者によって本件商標を付した「ポプリ」がこの展覧会が開催された宮城県美術館に販売された(乙6の1~8)。
オ 周南市美術博物館において2020年11月6日から同年12月20日まで開催された「ウィリアム・モリス 英国の風景ともにめぐるデザインの軌跡」における通常使用権者による使用
要証期間に、本展覧会において、通常使用権者によって本件商標を付した「せっけん,ポプリ」がこの展覧会が開催された周南市美術博物館に販売された(乙7の1~10)。なお、請求書(乙7の9)の宛先である公益財団法人周南市文化振興財団が、周南市美術博物館を有している(乙7の11)。
(4)被請求人の所有に係る登録商標「Morris &Co.」「WILLIAM MORRIS/ウィリアム モリス」に対して請求された商標法第50条第1項の規定による取消審判において、ブレーントラスト社を本件商標の通常使用権者として認め、同社による本件商標のラベルを付した商品の美術館等への販売によって、同法第2条第3項第2号の使用がされていたと判断された(取消2004-31158号審決、取消2012-300760号審決、取消2012-300761号審決、取消2018-300517審決、取消2018-300518審決)(乙8~乙12)。したがって、本件審判においても同様の判断がされるべきである。
(5)まとめ
以上から、本件商標が、本件審判の請求に係る商品について、要証期間に、通常使用権者によって、商標法第2条第3項第2号の使用がされていたことが客観的に証明された。
2 令和5年7月6日付け回答書の要旨
(1)宮崎県立美術館における販売
ブレーントラスト社から納品された「せっけん,ポプリ」に付されたラベル上に、本件商標が表示されていることを示す乙第4号証の4の第9葉目の拡大写真(乙4の4の2)及び同第4号証の9の拡大写真(乙4の9の2)を提出する。
(2)四日市市立博物館・プラネタリウムにおける販売
ブレーントラスト社から納品された「せっけん,ポプリ」に付されたラベル上に、本件商標が表示されていることを示す乙第5号証の4の第9葉目の拡大写真(乙5の4の2)及び同第5号証の9の拡大写真(乙5の9の2)を提出する。
(3)宮城県美術館における販売
ブレーントラスト社から納品された商品「ポプリ」に付されたラベル上に、本件商標が表示されていることを示す乙第6号証の3の第9葉目の拡大写真(乙6の3の2)を提出する。
モリス展特設物販コーナーと宮城県美術館との関係が不明であるから、この関係を示す書面を提出するよう求められた。
このモリス展特設物販コーナーは、宮城県美術館における「ウィリアム・モリス原風景でたどるデザインの軌跡」の主催者の一人である宮城の地元紙である河北新報社(乙6の1)が運営したものである。美術館等における展示会での物品販売は一般に広く行われている。このことは特許庁においては顕著な事実であると思われる。
しかるに、美術館等では人員・予算の面で上記物品販売の運営ができないことがある。このような場合には、展示会の主催者の中で物品販売に精通した企業が美術館等に代わって物品販売の運営を行うことがある。特に、新聞社等のマスコミがこの運営を行うことは多々ある。このことも特許庁においては顕著な事実であると思われる。宮城県美術館におけるモリス展特設物販コーナーの運営もそのような例の一つである。
そのため、本件商標が付された商品の販売代金の請求は河北新報社にされている(乙6の7)。
経験則からして、宮城県美術館に代わって「ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡」の主催者の一人である河北新報社がモリス展特設物販コーナーを運営したことは何ら不自然なことではない。経験則上何ら不自然でない以上、あえて「ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡」の展示会におけるモリス展特設物販コーナーと宮城県美術館との関係を書面にて立証する必要はないと思料する。また、ブレーントラスト社と河北新報社は契約を締結しておらず、仮に、契約を締結していても、これを外部に公表することはできない。したがって、契約書の提出を求める審尋は妥当を欠くものであり、この提出がないことをもって、本件商標の使用の立証がされないとすべきではない。
(4)周南市美術博物館における販売
ブレーントラスト社から納品された「せっけん,ポプリ」に付されたラベル上に、本件商標が表示されていることを示す乙第7号証の5の第7葉目及び第8葉目の拡大写真(乙7の5の2)を提出する。
(5)取引事実
提出された証拠は、ブレーントラスト社発行の納品書・請求書のみであり、取引先からの代金振込書や商品受領書といった取引書類がないことから、これらの取引の事実が確認できないとされたが、ここに、取引先が通常使用権者宛に請求された金額を送金したことを示すブレーントラスト社名義の普通預金通帳及び株式会社ブレーントラストHD名義の当座預金お取引照合表の写し(乙13)を提出する。
ここに提出した普通預金通帳の銀行名、口座番号及び口座名義はそれぞれの請求書に記載された振込先と同じであり、通帳の日付及び摘要欄の記述から、請求書に記載された請求先である宮崎県立美術館ミュージアムショップ、四日市市立博物館、公益財団法人周南市文化振興財団がそれぞれ請求された金額を振り込んできたことは経験則上明らかである。
また、河北新報社宛の請求書に記載された当座預金口座のお取引照合表(令和2年8月1日~同年8月31日)において、8月31日に河北新報社からの入金の記述があるところ、その金額から、上記請求書で請求された金額を含めて河北新報社が振り込んできたことは経験則上明らかである。金額を振り込む際に、他の費用を含めてまとめて振り込むことは取引上多々行われているものである。このことは特許庁においても顕著な事実であると思われる。
したがって、本件商標が付された商品に関して取引されたことは立証された。
なお、上記当座預金口座の名義人である株式会社ブレーントラストHDはブレーントラスト社の親会社であり、住所及び代表者を共通にする(乙14)。したがって、両者は実質的に同一人といえる。
(6)弁駁書に対する反論
新たに提出された写真により、ラベル上に「WILLIAM MORRIS」が表示されていることは立証された。また、一つの商品に複数の商標が付されていることは取引上まま行われていることであり、たとえ、複数ある商標の一つが他の商標に比べ小さく表示されていても、自他商品識別標識として機能するものであることは古く確立されている。
したがって、弁駁書における請求人の主張には理由がない。
第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者は、平成30年8月3日付で、ブレーントラスト社との間で、本件商標につき、使用許諾商品を全指定商品とし、使用許諾期間を存続期間満了までとする本件商標の通常使用権許諾契約を締結した(乙1)。
(2)2019年(令和元年)8月3日から同年9月8日まで宮崎県立美術館において開催された「ウィリアム・モリス 英国風景とともにめぐるデザインの軌跡」で、英国のデザイナー「ウイリアム・モリス」に関する展覧会が開催され、ブレーントラスト社が企画協力として参画している(乙4の1)。
(3)上記(2)の展覧会において、当該美術館内ミュージアムショップ(以下「ミュージアムショップ」という。)に各種商品が陳列された(乙4の4)。
そして、当該商品中には、「フレグランスポプリ オレンジフィールド」の値札のもと、「Pot-pourri Orange Field 【オレンジフィールド】」等の文字が表されたラベル及び別掲のとおりの、背景を赤色にした正方形内に「Styling」、「Arts」、「Crafts(R)」((R)は「R」の丸囲み文字、以下同じ。)の白抜き文字が三段で(R)以外の文字がやや大きく表され、その下に、「WILLIAM MORRIS(R)」の文字(以下この文字を「使用商標」という。)が表されているラベル(以下「ラベルA」という。)が付された商品(以下「使用商品1」という。)(乙4の4、乙4の9、乙4の9の2)、並びに「楽しいせっけんキット ローズ」の値札のもと、「キッチンハンドクラフトシリーズ」及び「たのしい石けんキット」の文字が二段に表されたラベル及びラベルAが付された商品(以下「使用商品2」という。使用商品1と使用商品2をまとめて「使用商品」という。)(乙4の4、乙4の4の2、乙4の9)の2種類の商品が写っている。当該ラベルAは、被請求人が提出した4種類のラベル見本(乙3)のうちの最上部に表されたラベル見本と構成文字、色彩などその構成態様を同じくするものである。
(4)ブレーントラスト社は、2019年(令和元年)7月26日付けの納品書によれば、ミュージアムショップに、納品書の一覧表に記された商品(使用商品を含む。)を納品した(乙4の5)。
当該納品書には、商品区分「Styling Arts Crafts(R)-William Moris(R)」、分類区分「ポプリ」、商品NO.「S2」、品名「フレグランスポプリ オレンジフィールド」、総納品数「5」の記載、及び商品区分「Styling Arts Crafts(R)-William Moris(R)/Morris&co.(R)」、分類区分「せっけん」、商品NO.「S4」、品名「楽しいせっけんキット ローズ」、総納品数「5」の記載がある。
(5)ブレーントラスト社は、令和元年10月16日付け請求書により、「ウイリアムモリス展」での販売物の代金を、ミュージアムショップに請求した(乙4の8)。
上記請求書の販売物請求書明細には、「分類区分」ごとの内訳が表にまとめられており、商品区分「Styling Arts Crafts-William Moris」、分類区分「ポプリ」、商品NO.「S2」、品名「フレグランスポプリ オレンジフィールド」、総納品数「5」の記載、及び商品区分「Styling Arts Crafts-William Moris」、分類区分「せっけん」、商品NO.「S4」、品名「楽しいせっけんキット ローズ」、総納品数「5」の記載があるところ、当該記載は上記の納品書(乙4の5)に記載の「商品区分」の(R)の有無を除き「商品区分」、「分類区分」、「商品NO.」、「品名」、「総納品数」と内容が一致する。
(6)ブレーントラスト社の普通預金通帳には、「01-10-23」、「ミユージアムシヨツププ」及び代金を振り込んだ旨の記載があるところ(乙13)、記載された振込金額は、令和元年10月16日付け請求書(乙4の8)により、ブレーントラスト社がミュージアムショップの販売物の代金として請求した金額と一致する。
(7)以上を総合すれば、ブレーントラスト社は、2019年(令和元年)7月26日に商品名を「フレグランスポプリ オレンジフィールド」及び「楽しいせっけんキット ローズ」とする商品をミュージアムショップに納品し、同年10月16日に、当該商品の販売代金を請求し、その後、同月23日に、ミュージアムショップがその金額をブレーントラスト社の口座に振り込んだことが推認し得る。
また、ブレーントラスト社がミュージアムショップに納品した品名を「フレグランスポプリ オレンジフィールド」とする商品及び品名を「楽しいせっけんキット ローズ」とする商品は、当該品名が使用商品の値札に表示された品名と同じであるから、使用商品と認められる。
そうするとブレーントラスト社がミュージアムショップに納品した使用商品は、2019年(令和元年)8月3日から同年9月8日までに宮崎県立美術館において開催された「ウィリアム・モリス 英国風景とともにめぐるデザインの軌跡」の期間中、ミュージアムショップおいて展示販売されたものである。
2 判断
本件商標は、「WILLIAM MORRIS」及び「ウィリアム モリス」と二段書きしてなるところ、下段の片仮名は上段の欧文字の表音を表すものであり、上段の欧文字と観念において異なるものではない。
これに対して、使用商標は、赤色の背景に、白抜きで「WILLIAM MORRIS(R)」の欧文字を横書きしてなるものであるが、構成中の「(R)」の文字部分は、「WILLIAM MORRIS」の文字に比して相当に小さく表されており、外観上、強く印象に残るものではなく、また「(R)」の文字は登録商標であることを表す記号として慣用的に使用されているものであって、自他商品の識別標識としての機能を有するものではないから、使用商標はその構成中、「WILLIAM MORRIS」の文字部分を要部とするものである。
そうすると、本件商標の欧文字部分と使用商標の要部とは、色彩は異なるものの、その構成文字を共通にするものであるから、使用商標の要部は本件商標が二段併記の構成からなる場合であって、上段と下段の各部が観念を同一とするときのその一方に該当するものであり、本件商標と使用商標とは社会通念上同一の商標といえる。
また、使用商品1は、その納品書に記載された商品区分から「ポプリ」であり、使用商品2は同じく「せっけん」であるところ、当該「ポプリ」は、請求に係る指定商品中、「ポプリ」と同一の商品であり、「せっけん」は請求に係る指定商品中、「せっけん類」の範疇の商品であるから、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる商品である。
さらに、使用商標を表示した使用商品が、ブレーントラスト社からミュージアムショップに販売(譲渡)されたのは、要証期間内(令和元年10月23日)であり、その販売(譲渡)も日本国内で行われていること明らかである。
また、前記1(1)の通常使用権許諾契約の締結より、ブレーントラスト社は、当該日付において、本件商標の通常使用権者である。
したがって、通常使用権者であるブレーントラスト社は、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件商標の指定商品中、「せっけん,ポプリ」について使用したということができる。
そして、通常使用権者による上記行為は、「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、・・・する行為」(商標法第2条第3項第2号)に該当する。
3 請求人の主張について
請求人は、使用商品に付したラベルは、一つの小さな赤色のラベルの中に同じ白抜きの文字がまとまりよく並んだ構成である点に鑑みれば、当該ラベルは、一体不可分の商標として捉えるのが妥当であること、また、「WILLIAM MORRIS」は、単に展示会にまつわるデザイナーの名前として認識されるにとどまることから、出所識別機能は有しない旨主張する。
しかしながら、上記ラベルの「Styling Arts Crafts(R)」及び「WILLIAM MORIS(R)」の文字は、それぞれ、文字の大きさ及び文字種も異なるものであり、これらが外観上一体不可分のものとして表されているとはいえず、また、観念的に一連のものとして理解されるものでもないことから、それぞれの文字部分が独立して出所識別標識としての機能を発揮するというべきである。さらに、「(R)」の文字部分は、出所識別標識としての機能を果たさないこと上記2のとおりであるから、「WILLIAM MORIS」の文字が単独で出所識別機能を果たすものといえる。
また、「WILLIAM MORIS」の文字が、仮にデザイナーの名前を意味するものであるとしても、そのことによって出所識別標識としての機能を有しないとはいえないことから、いずれも請求人の主張は採用できない。
4 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件請求に係る指定商品に含まれる使用商品について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用した事実を証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-300288