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特許拒絶査定不服審判

2022-021261

包装材料及び包装製品

審判番号
2022-021261
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-186118外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年12月27日
審決日
2025年04月01日
公報発行日
2025年06月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (B32B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-186118号「包装材料及び包装製品」拒絶査定不服審判事件〔令和2年4月9日出願公開、特開2020-55165号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 10項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、平成30年9月28日の出願であって、その手続の経緯の概略は次のとおりである。

令和4年 4月26日付け:拒絶理由通知書
令和4年10月24日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

(令和4年10月28日 :原査定の謄本の送達)

令和4年12月27日 :審判請求書の提出
令和6年 6月21日付け:拒絶理由通知書
令和6年 8月22日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年10月31日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和6年12月23日 :意見書、手続補正書の提出

第2 本件補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和6年12月23日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について(補正の内容)

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された。なお、下線部は補正箇所を示す。

「 【請求項1】
少なくとも、表面保護層、印刷層、外側熱可塑性樹脂層、紙基材層、内側熱可塑性樹脂層が順に積層された包装材料であって、
前記外側熱可塑性樹脂層は、ポリエチレンを含み、
前記表面保護層は、ポリオールとイソシアネート化合物とヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートを含み、
続きを表示(全17行)
前記表面保護層に含まれる前記ウレタン(メタ)アクリレートにおいて、前記ポリオール、前記イソシアネート化合物または前記ヒドロキシ(メタ)アクリレートの少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含み、
前記印刷層は、ポリオールとイソシアネート化合物とヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートを含み、
前記印刷層に含まれる前記ウレタン(メタ)アクリレートにおいて、前記イソシアネート化合物が、バイオマス由来のダイマー酸ジイソシアネート、バイオマス由来のオクタメチレンジイソシアネート、バイオマス由来のデカメチレンジイソシアネート、及びバイオマス由来のリシンジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種を含む、包装材料。
【請求項2】
前記表面保護層に含まれる前記ウレタン(メタ)アクリレートにおいて、前記ポリオールがバイオマス由来成分を含む、請求項1に記載の包装材料。
【請求項3】
前記表面保護層に含まれる前記ウレタン(メタ)アクリレートにおいて、前記イソシアネート化合物がバイオマス由来成分を含む、請求項1又は2に記載の包装材料。
【請求項4】
前記紙基材層と前記内側熱可塑性樹脂層との間にバリア層を更に備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項5】
前記バリア層が金属箔又は蒸着フィルムである、請求項4に記載の包装材料。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の包装材料を備える、包装製品。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の、特許請求の範囲の請求項1~6の記載は次のとおりである。

「 【請求項1】
少なくとも、表面保護層、印刷層、外側熱可塑性樹脂層、紙基材層、内側熱可塑性樹脂層が順に積層された包装材料であって、
前記外側熱可塑性樹脂層は、ポリエチレンを含み、
前記表面保護層は、ポリオールとイソシアネート化合物とヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートを含み、
続きを表示(全17行)
前記表面保護層に含まれる前記ウレタン(メタ)アクリレートにおいて、前記ポリオール、前記イソシアネート化合物または前記ヒドロキシ(メタ)アクリレートの少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含み、
前記印刷層は、ポリオールとイソシアネート化合物とヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートを含み、
前記印刷層に含まれる前記ウレタン(メタ)アクリレートにおいて、前記ポリオール、前記イソシアネート化合物または前記ヒドロキシ(メタ)アクリレートの少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含む、包装材料。
【請求項2】
前記表面保護層に含まれる前記ウレタン(メタ)アクリレートにおいて、前記ポリオールがバイオマス由来成分を含む、請求項1に記載の包装材料。
【請求項3】
前記表面保護層に含まれる前記ウレタン(メタ)アクリレートにおいて、前記イソシアネート化合物がバイオマス由来成分を含む、請求項1又は2に記載の包装材料。
【請求項4】
前記紙基材層と前記内側熱可塑性樹脂層との間にバリア層を更に備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項5】
前記バリア層が金属箔又は蒸着フィルムである、請求項4に記載の包装材料。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の包装材料を備える、包装製品。」

2 補正の適否

本件補正における請求項1に係る補正は、本件補正前の請求項1の「前記印刷層に含まれる前記ウレタン(メタ)アクリレート」における「前記イソシアネート化合物」が、「バイオマス由来のダイマー酸ジイソシアネート、バイオマス由来のオクタメチレンジイソシアネート、バイオマス由来のデカメチレンジイソシアネート、及びバイオマス由来のリシンジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種を含む」こととすることによって、本件補正前の請求項1を限定する補正であるとともに、本件補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、上記1(1)の【請求項1】に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載及び引用発明

ア 引用文献1

(ア)引用文献1の記載

令和6年10月31日付けの拒絶理由通知書(最後)(以下「当審拒理」という。)に引用文献1として引用された特開2009-51543号公報(「引用文献1」という。)には、以下の記載がある。(下線は当審で付した。以下、同様。)

「【請求項1】
紙を主体とする基材シートからなる包装材料であって、前記基材シートと、該基材シートの外面に印刷インキ層と、該印刷インキ層を含む印刷面を被覆して設けられたオーバープリントニス層とを備え、前記オーバープリントニス層が、少なくともヒドロキシフェニルトリアジン系化合物からなる紫外線吸収剤を含有するオーバープリントニス組成物から構成されていることを特徴とする紫外線カット性を有する包装材料。」
「【0010】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、本発明の請求項1に係る発明は、紙を主体とする基材シートからなる包装材料であって、前記基材シート(1)と、該基材シート(1)の外面に印刷インキ層(2)と、該印刷インキ層(2)を含む印刷面を被覆して設けられたオーバープリントニス層(3)とを備え、前記オーバープリントニス層(3)が、少なくともヒドロキシフェニルトリアジン系化合物からなる紫外線吸収剤(4)を含有するオーバープリントニス組成物から構成されていることを特徴とする紫外線カット性を有する包装材料である。」
「【0016】
前記基材シート(1)としては、紙を主体とする基材シート(1)が任意に使用できるが、パルプを主成分とする紙としては、例えば、コートボール、マニラボール、純白ロール紙、上質紙、クラフト紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、和紙等を用いることができる。このように紙のみを用いた基材シート(1)以外に、これらの紙基材に、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂等を押出ラミネーションした樹脂加工紙や前記樹脂からなるフィルムをラミネーションしたフィルム加工紙等も用いることができる。」
「【0018】
次に、前記印刷インキ層(2)を設ける方法は、周知の印刷技術を用いることができる。例えば、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、シルクスクリーン印刷方式、フレキソ印刷方式、凸版印刷方式などであるが、中でもオフセット印刷方式、グラビア印刷方式が好ましく用いられる。また、色数は1色に限らず、多色の印刷インキで刷り重ねられた多層構造の印刷インキ層(2)であってもよい。」
「【0021】
また、前記グラビア印刷方式に用いるグラビア印刷用インキの組成は、顔料または染料などからなる着色料と合成樹脂などからなるバインダー樹脂(固着剤)を溶剤に溶解したビヒクルおよび助剤(安定剤、スリップ剤など)から構成されている。
【0022】
前記バインダー樹脂(固着剤)としては、溶剤に溶解あるいは分散可能な樹脂を使用する。例えば、塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ニトロセルロース、ウレタン、ポリエステル、ポリアミドなどの樹脂が使用される。」
「【0030】
ところで、本発明における前記オーバープリントニス層(3)を形成するオーバープリントニス組成物は、通常のオフセット印刷方式、グラビア印刷方式に用いられているオーバープリントニス組成物(通常OPニス、UVOPニス、UVハイグロスニス)が適用される。」
「【0033】
次に、紫外線(UV)照射によって乾燥させるUV硬化システムに用いるUV硬化型オーバープリントニス(UVOPニス、UVハイグロスニス)組成物としては、感光性樹脂であるオリゴマー(プレポリマー)と光反応性希釈剤であるモノマーとでビヒクルを構成し、これに光重合開始剤(光増感剤)等を加えて得られるものである。
【0034】
前記オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えば、ポリエステルアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエーテルアクリレート樹脂等が用いられる。」
「【0039】
さらに、本発明に係る紫外線カット性を有する包装材料は、収納する内容物によって、酸素ガス、水蒸気などに対する十分な耐性を求められる場合には、バリア性積層フィルム(図示せず)を前記基材シート(1)とシーラント層との中間に接着層(図示せず)を介して積層する。
【0040】
前記バリア性積層フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の支持体フィルム(図示せず)上に無機酸化物の蒸着薄膜層を積層した無機酸化物蒸着フィルムやポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)などのフィルムにポリ塩化ビニリデンを塗工した塗工フィルム、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートや2軸延伸ナイロンフィルムとエチレン-ビニルアルコール共重合体の積層フィルム、さらに単一フィルムであるエチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム(EVOH)、ポリビニルアルコールフィルム(PVA)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)ケン化物などのフィルム、またこれらフィルムの1種乃至それ以上を組み合わせた積層フィルムなどが挙げられる。」

(イ)引用文献1に記載されていると認められる事項

上記(ア)により、以下の事項は引用文献1に記載されていると認められる。

a 引用文献1の【0030】、【0033】及び【0034】より、オーバープリントニス層の組成物として、感光性樹脂であるオリゴマーを含むUVOPニス、UVハイグロスニスが適用され、オリゴマーとしてウレタンアクリレート樹脂が用いられることは明らかである。

b 引用文献1の【0018】、【0021】及び【0022】より、前記印刷インキ層は、グラビア印刷用インキとして着色料とバインダー樹脂(固着剤)を含み、バインダー樹脂(固着剤)としてウレタンが使用されることは明らかである。

c 引用文献1の基材シート、印刷インキ層、オーバープリントニス層は、その位置関係からこの順に配置されていることは明らかである。

(ウ)引用発明

上記(ア)及び(イ)より、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「紙を主体とする基材シートからなる包装材料であって、前記基材シートと、該基材シートの外面に印刷インキ層と、該印刷インキ層を含む印刷面を被覆して設けられたオーバープリントニス層とを順に備え、
前記オーバープリントニス層の組成物として、感光性樹脂であるオリゴマーを含むUVOPニス、UVハイグロスニスが適用され、オリゴマーとしてウレタンアクリレート樹脂が用いられ、
前記印刷インキ層は、グラビア印刷用インキとして着色料とバインダー樹脂(固着剤)を含み、バインダー樹脂(固着剤)としてウレタンが使用される、包装材料。」

イ 引用文献2及び引用文献3の記載並びに周知の課題

(ア)引用文献2の記載

当審拒理に引用文献2として引用された特開2011-225863号公報(「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。

「【請求項1】
植物由来の短鎖ジオール成分(a)と、石油由来のカーボネート成分(b)又は植物由来のカルボン酸成分(c)とを用いて合成されてなる、バイオポリカーボネートポリオール(A)又はバイオポリエステルポリオール(B)、植物由来の短鎖ジオール成分(a)を用いて合成されてなるバイオポリエーテルポリオール(C)、のいずれかのポリオールと、イソシアネート成分(d)とを反応させてなるバイオポリウレタン樹脂であって、上記バイオポリウレタン樹脂100質量%に対して植物由来成分の含有量が28~95質量%であることを特徴とするバイオポリウレタン樹脂。」
「【0002】
近年、枯渇性資源でない産業資源として「バイオマス」が注目されているが、かかる観点からの「バイオマス」の定義は、「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」とされている。従来から、木綿、ウール、絹、でんぷん、天然ゴムなどの天然系やその誘導体は、古典的なバイオマスポリマーとして使用されてきている。また、環境保全を目的に、1980年代から、バイオマスを原材料とする、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリヒドロキシアルカン酸などの生分解性を重視するバイオマスポリマーの開発が盛んに行われてきている。その後、バイオマスである、1,3-プロパンジオール、コハク酸、キチン・キトサンをベースに、石油系モノマーを反応させてバイオマスポリマー(バイオベースポリマー)に転換させることについての開発が行われてきている。これらのバイオベースポリマーは、地球環境温暖化防止策として有用と考えられており、成形加工、繊維、不織布、包装、トナー、インキ、塗料、フィルム・シート、フォーム、コーティング、接着剤など、多種多様な製品の素材として期待されている。その応用分野も、複合素材、繊維、自動車、エレクトロニクス、建築、農業、漁業、医療、化粧品、食品、物流等、全ての産業分野への展開が期待され、一部では実用化もされている。しかしながら、バイオマスポリマーは、用途によっては、従来の石油系のポリマーと比較して物性面が十分であると言い難い場合があり、機械強度、耐熱性、加水分解性、柔軟性、難燃性、生分解性など、改良の余地がある。」
「【0011】
本発明は、以上のような従来型技術における種々の問題に鑑みてなされたものである。その目的は、植物由来の原材料を高い比率で使用したバイオポリウレタン樹脂において、これを適用した場合に、各種コーティング剤、各種塗料、印刷インキ、成形体、フィルム、シート類に要求されている耐久性や、その性能などが従来のものと遜色がないか、或いはむしろ向上させることができ、しかも、環境問題に対する対応策ともなるエコロジー素材であるバイオポリウレタン樹脂を提供することにある。」

(イ)引用文献3の記載

当審拒理に引用文献3として引用された特開2018-62642号公報(「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。

「【請求項1】
炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、グリコール系溶剤およびアルコール系溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種と、バイオマス由来成分とを含有するバイオマス由来のポリウレタンウレア樹脂を含み、
前記バイオマス由来のポリウレタンウレア樹脂のアミン価が1~13mgKOH/gであり、かつ、前記バイオマス由来のポリウレタンウレア樹脂の重量平均分子量が10,000~100,000である裏刷り用溶剤型グラビア印刷インキ組成物を、
グラビア印刷法によりフィルム基材層上に印刷塗膜としたとき、該印刷塗膜中のバイオマス度(顔料を含まない)が3~40質量%であることを特徴とする印刷塗膜。」
「【0014】
また、地球温暖化対策としては、全世界的に取り組むべきもので、2015年に開催された気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)では、各国の削減目標が提出された。日本は、2030年までに2013年比で温室効果ガスを26%削減する約束草案を提出した。こうしたなか、食料品を扱う企業にとっては、食料品自体の廃棄を減らす方策を検討したり、廃棄するものを減らし利用できないかを模索したり、輸送距離を減らすことができないかを検討することなどが重要となっている。近年では企業にとって重要な事業戦略として「環境にやさしい」商品を提案し、いかに企業イメージを向上させるかが重視されてきている。日用品や食料品などに使われる包装資材は一般消費者にとっても身近なものであり、内容物の商品とともに直接触れられるものであるため、「環境にやさしい」パッケージとして、いかにアピールするかも重要である。
したがって、食料品として廃棄されるものをいかに利用し、環境負荷を増加させずに「環境にやさしい」パッケージとしてアピールでき、フィルム用の包装材に使用できる溶剤型グラビア印刷インキ組成物をグラビア印刷法によりフィルム基材層上に印刷塗膜としたときに、該印刷塗膜中のバイオマス度が高くなる印刷塗膜が望まれていた。」
「【0016】
そこで、本発明は、裏刷り用溶剤型グラビア印刷インキ組成物をグラビア印刷法により作成した印刷塗膜であって、該インキ組成物に使用する樹脂として、バイオマス由来成分を含有するバイオマス由来のポリウレタンウレア樹脂が選択され、該樹脂の特性として、インキ組成物としての安定性を十分保持でき、印刷時の印刷適性を損なわず、裏刷り印刷に必要な印刷塗膜の耐ブロッキング性、フィルム密着性、耐溶剤性、耐版詰まり性を有し、さらにラミネート性が良好で、ラミネート層が形成された積層体となったときの耐熱水処理性を有する印刷塗膜を提供することを目的とする。」

(ウ)周知の課題について

上記(ア)及び(イ)より、以下の事項は当該技術分野における課題として周知であることが理解できる。

「インキやコーティング含め、包装材料において、バイオマス由来の材料を活用すること。」

ウ 引用文献4

(ア)引用文献4の記載

当審拒理に引用文献4として引用された特開2016-190948号公報(「引用文献4」という。)には、以下の記載がある。

「【請求項1】
少なくとも、ペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはその誘導体を含むポリイソシアネートと、エチレン性不飽和基およびヒドロキシル基を含有するヒドロキシル基含有不飽和化合物とを反応させることにより得られ、および/または、
少なくとも、前記ポリイソシアネートと、ポリオールと、前記ヒドロキシル基含有不飽和化合物とを反応させることにより得られ、
エチレン性不飽和基を含むウレタン樹脂を含有することを特徴とする、硬化性ポリウレタン樹脂組成物。」
「【0022】
ペンタメチレンジイソシアネートは、例えば、市販品として入手することもできるが、公知の方法、例えば、生化学的手法などによりペンタメチレンジアミンまたはその塩を製造し、そのペンタメチレンジアミンまたはその塩を、ホスゲン化法、カルバメート化法などの方法でイソシアネート化反応させることにより、製造することができる。」
「【0062】
また、ポリイソシアネートは、さらに、他のポリイソシアネートを任意成分として含むことができる。
【0063】
他のポリイソシアネートは、ペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはその誘導体と、任意的に併用される。
続きを表示(全14行)
【0064】
他のポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート(ペンタメチレンジイソシアネートを除く。)、脂環族ポリイソシアネートなどのポリイソシアネート単量体などが挙げられる。
【0065】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(2,4-または2,6-トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TDI)、フェニレンジイソシアネート(m-、p-フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’-、2,4’-または2,2’-ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)(MDI)、4,4’-トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0066】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(1,2-、1,3-または1,4-キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3-または1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TMXDI)、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼンなどの芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0067】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(別名:ヘキサメチレンジイソシアネート)(HDI)、2,4,4-または2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプエートなどの脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0068】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、水添キシリレンジイソシアネート(1,3-または1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物)(H6XDI)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート)、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:イソホロンジイソシアネート)(IPDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(別名:ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン)(4,4’-、2,4’-または2,2’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)これらのTrans,Trans-体、Trans,Cis-体、Cis,Cis-体、もしくはその混合物)(H12MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート(各種異性体もしくはその混合物)(NBDI)などの脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。」
「【0082】
ヒドロキシル基含有不飽和化合物は、エチレン性不飽和基含有基がアクリロイル基および/またはメタクリロイル基である場合、例えば、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。」
「【0220】
そのため、本発明の硬化性ポリウレタン樹脂組成物は、例えば、コーティング材、インキ、粘着剤、接着剤、シーリング剤、エラストマー、水性樹脂、熱硬化樹脂、マイクロカプセル、歯科材料、レンズ、バインダー樹脂、防水材、フィルム、シート、3Dプリンタなどに用いる光造形用樹脂として用いることができ、また、スピーカー、センサー類、発電装置(熱や機械的な刺激を電気エネルギーに変換するための装置)に用いられる圧電材料あるいは焦電材料などとして、用いることができる。」

(イ)引用文献4に記載されていると認められる事項

a 上記(ア)の【請求項1】の「ペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはその誘導体を含むポリイソシアネート」は、「イソシアネート化合物」ということができ、また、上記(ア)の【0022】に記載の製造方法からみて、当該「ペンタメチレンジイソシアネート」はバイオマス由来成分ということができる。そして、上記(ア)の【請求項1】の「ヒドロキシル基含有不飽和化合物」は、【0082】より、「ヒドロキシ(メタ)アクリレート」である。そうすると、引用文献4には、ポリオール、イソシアネート化合物及びヒドロキシ(メタ)アクリレートのうち、イソシアネート化合物にバイオマス由来成分を含むことが記載されているといえる。

b 上記(ア)の【0062】~【0064】には、ペンタメチレンジイソシアネートに、さらに脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環族ポリイソシアネートを含むイソシアネート化合物が記載されていることが明らかである。

c 上記(ア)の【0220】の記載より、引用文献4に記載の硬化性ポリウレタン樹脂組成物は、コーティング材及びインキに用いることができることは明らかである。

(ウ)引用文献4記載事項

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よって、上記(ア)及び(イ)により引用文献4には以下の事項(以下「引用文献4記載事項」という)が記載されている。

「コーティング材及びインキとして用いられる硬化性ポリウレタン樹脂組成物であって、当該硬化性ポリウレタン樹脂組成物は、イソシアネート化合物とポリオールとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートを含み、当該イソシアネート化合物がバイオマス由来のペンタメチレンジイソシアネートと、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環族ポリイソシアネートを含むこと。」

エ 引用文献6

(ア)引用文献6の記載

当審で新たに引用する特開2011-255639号公報(「引用文献6」という。)には、以下の記載がある。

「【0022】
本発明に用いるバイオウレタン樹脂は、下記に挙げるような成分を主とし、常法によって容易に得ることができる。すなわち、例えば、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートまたは脂環式ジイソシアネート、植物由来成分の誘導体からなるジイソシアネート成分や、植物由来のダイマー酸ジイソシアネート成分、アミノ酸由来のポリイソシアネート成分(リジンジイソシアネートなど)と、活性水素基含有基として、植物由来の短鎖ジオール、植物由来のポリオール成分とが反応して形成された、ポリウレタンブロックおよび/またはポリウレアブロックの少なくとも一種の反復体、或いは、これらのブロックを共重合として得られる。」

(イ)引用文献6記載事項

上記(ア)により引用文献6には以下の事項(以下「引用文献6記載事項」という)が記載されている。

「植物由来のダイマー酸ジイソシアネート成分」

オ 引用文献7

(ア)引用文献7の記載

当審で新たに引用する国際公開第2015/119220号(「引用文献7」という。)には、以下の記載がある。

「[0023] 本実施形態において、脂肪族ポリイソシアネート(a1)または変性体(a2)における前記脂肪族ポリイソシアネートは、植物由来原料から得られる脂肪族ポリイソシアネートであることが好ましく、いずれも植物由来原料から得られる脂肪族ポリイソシアネートであることがより好ましい。
植物由来の脂肪族ポリイソシアネートとしては、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,7-ヘプタメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート,ダイマー酸ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネートなどが挙げられ、単独または2種以上併用することができる。好ましくは1,5-ペンタメチレンジイソシアネートである。」

(イ)引用文献7記載事項

上記(ア)により引用文献7には以下の事項(以下「引用文献7記載事項」という)が記載されている。

「植物由来の脂肪族ポリイソシアネートとして、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネートが挙げられること。」

カ 引用文献8

(ア)引用文献8の記載

当審で新たに引用する特開2016-47911号公報(「引用文献8」という。)には、以下の記載がある。

「【0020】
植物由来の脂肪族ポリイソシアネートとしては、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート,ダイマー酸ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。」

(イ)引用文献8記載事項

上記(ア)により引用文献8には以下の事項(以下「引用文献8記載事項」という)が記載されている。

「植物由来の脂肪族ポリイソシアネートとして、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネートが挙げられること。」

キ 引用文献9

(ア)引用文献9の記載

当審で新たに引用する特開2018-51790号公報(「引用文献9」という。)には、以下の記載がある。

「【0051】
(イソシアネート化合物)
本発明において、バイオマス由来成分を含むイソシアネート化合物は、植物原料から得られるポリイソシアネートを用いることができる。バイオマス由来のポリイソシアネートは、バイオマス由来の二価カルボン酸を酸アミド化し、還元することで末端アミノ基に変換し、さらに、ホスゲンと反応させ、該アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。バイオマス由来のポリイソシアネートとしては、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。また、バイオマス由来のアミノ酸を原料として、そのアミノ基をイソシアネート基に変換することによってもバイオマス由来のイソシアネート化合物を得ることができる。例えば、リシンジイソシアネート(LDI)は、リシンのカルボキシル基をメチルエステル化した後、アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。また、1,5ーペンタメチレンジイソシアネート(PDI)はリシンのカルボキシル基を脱炭酸した後、アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。」

(イ)引用文献9記載事項

上記(ア)により引用文献9には以下の事項(以下「引用文献9記載事項」という)が記載されている。

「バイオマス由来のポリイソシアネートとして、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が挙げられること。」

(3)本件補正発明について

ア 対比

本件補正発明と引用発明とを対比する。

引用発明の「オーバープリントニス層」、「印刷インキ層」、「紙を主体とする基材シート」及び「包装材料」は、それぞれ、本件補正発明の「表面保護層」、「印刷層」、「紙基材層」及び「包装材料」に相当する。また、引用発明では、「基材シートの外面に印刷インキ層と、該印刷インキ層を含む印刷面を被覆して設けられたオーバープリントニス層」が設けられているところ、これは、その配置からみて、本件補正発明の「少なくとも、表面保護層、印刷層、外側熱可塑性樹脂層、紙基材層、内側熱可塑性樹脂層が順に積層され」のうち、「少なくとも、表面保護層、印刷層、紙基材層が順に積層され」る限りで一致する。

引用発明の「前記オーバープリントニス層の組成物として、感光性樹脂であるオリゴマーを含むUVOPニス、UVハイグロスニスが適用され、オリゴマーとしてウレタンアクリレート樹脂が用いられ」ることは、本件補正発明の「前記表面保護層は、ポリオールとイソシアネート化合物とヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートを含」むことと、「前記表面保護層は、ウレタン(メタ)アクリレートを含」む限りにおいて一致する。

引用発明の「前記印刷インキ層は、グラビア印刷用インキとして着色料とバインダー樹脂(固着剤)を含み、バインダー樹脂(固着剤)としてウレタンが使用される」ことは、本件補正発明の「前記印刷層は、ポリオールとイソシアネート化合物とヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートを含」むことと、「前記印刷層は、ウレタン化合物を含む」む限りにおいて一致する。

そうすると、本件補正発明と引用発明とは、

「少なくとも、表面保護層、印刷層、紙基材層が順に積層された包装材料であって、
前記表面保護層は、ウレタン(メタ)アクリレートを含み、
前記印刷層は、ウレタン化合物を含む、包装材料。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>

本件補正発明は、「紙基材層」の上下にそれぞれ「外側熱可塑性樹脂層」、「内側熱可塑性樹脂層」を有し、かつ、「前記外側熱可塑性樹脂層は、ポリエチレンを含み」と特定するのに対し、引用発明は、この点を特定しない点

<相違点2>

ウレタン(メタ)アクリレートを含む表面保護層に関し、本件補正発明は、「前記表面保護層は、ポリオールとイソシアネート化合物とヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートを含み、前記表面保護層に含まれる前記ウレタン(メタ)アクリレートにおいて、前記ポリオール、前記イソシアネート化合物または前記ヒドロキシ(メタ)アクリレートの少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含」むと特定するのに対し、引用発明は、オーバープリントニス層の組成物として、本件補正発明のような特定はしていない点

<相違点3>

ウレタン化合物を含む印刷層に関し、本件補正発明は、「前記印刷層は、ポリオールとイソシアネート化合物とヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートを含み、前記印刷層に含まれる前記ウレタン(メタ)アクリレートにおいて、前記イソシアネート化合物が、バイオマス由来のダイマー酸ジイソシアネート、バイオマス由来のオクタメチレンジイソシアネート、バイオマス由来のデカメチレンジイソシアネート、及びバイオマス由来のリシンジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種を含む」と特定するのに対し、引用発明は、印刷インキ層の組成物として、本件補正発明のような特定はしていない点

イ 判断

以下、相違点について検討する。

<相違点1>について

包装材料を構成するフィルムにおいて、ヒートシールや層間の接着のために熱可塑性樹脂層を設けることは例を挙げるまでもなく周知技術であるし、引用文献1にも「これらの紙基材に、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂等を押出ラミネーションした樹脂加工紙や前記樹脂からなるフィルムをラミネーションしたフィルム加工紙等も用いることができる」(段落【0016】)との記載(以下、「引用文献1記載事項」という。)があることから、当業者が当該包装材料を用いる具体的な用途等に応じて、ポリエチレン樹脂を熱可塑樹脂層として紙基材層の両面にラミネートした紙基材を利用することは、容易に想到し得たことである。

<相違点2>について

引用発明のような包装材料の技術分野において、インキやコーティングを含めバイオマス由来の材料を活用することは、上述(2)イ(ウ)のとおり周知の課題であり、さらに、これは上述ウ(ウ)のとおりウレタン樹脂においても同様である。そうすると、当該課題にかんがみれば、引用発明の包装材料のオーバープリントニス層(表面保護層)に含まれる「ウレタンアクリレート樹脂」である「感光性樹脂であるオリゴマー」として、コーティング材及びインキとして用いられる硬化性ポリウレタン樹脂組成物に関する引用文献4記載事項を適用し、バイオマス由来成分を含む、ポリオールとイソシアネート化合物とヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートを採用し、当該相違点2に係る本件補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到し得たことである。

<相違点3>について

上述相違点2に対する判断と同様、包装材料としてインキやコーティングを含めバイオマス由来の材料を活用することは周知の課題であるし、引用文献4記載事項が「コーティング材及びインキとして用いられる硬化性ポリウレタン樹脂組成物」に関するものであることからも把握できる。そして、引用文献4記載事項は「コーティング材及びインキとして用いられる硬化性ポリウレタン樹脂組成物は、イソシアネート化合物とポリオールとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートを含み、前記ポリオール、前記イソシアネート化合物または前記ヒドロキシ(メタ)アクリレートのうち、イソシアネート化合物がバイオマス由来のペンタメチレンジイソシアネートと、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環族ポリイソシアネートを含む」ものであるところ、引用文献6記載事項、引用文献7記載事項、引用文献8記載事項、引用文献9記載事項を参照すると、バイオマス由来のダイマー酸ジイソシアネート、バイオマス由来のオクタメチレンジイソシアネート、バイオマス由来のデカメチレンジイソシアネート、及びバイオマス由来のリシンジイソシアネートが、本願出願前に知られていたことがわかる。ここで、ダイマー酸ジイソシアネートは脂環族ポリイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、及びリシンジイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートに包含されること、及び上記(2)イ(ウ)の周知の課題をかんがみれば、引用文献4記載事項においてペンタメチレンジイソシアネートとともに含まれるとされる脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環族ポリイソシアネートとして、ダイマー酸ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、又はリシンジイソシアネートを選択すること、及びペンタメチレンジイソシアネートのみならず、包含するこれらの脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環族ポリイソシアネートをもバイオマス由来とすることについては、いずれも当業者であれば困難なことではない。

してみれば、引用発明の「印刷インキ層」の材料として、周知の課題をかんがみ、引用文献6~9記載事項を参照しながら引用文献4記載事項を適用し、当該相違点3に係る本件補正発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

よって、本件補正発明は、引用発明、引用文献1記載事項、引用文献4記載事項及び引用文献6~9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

ウ 審判請求人の主張について

(ア)審判請求人の主張

折りたたみ中(クリックで表示)

審判請求人は、令和6年12月23日提出の意見書(以下「意見書」という。)において、

「引用発明における印刷インキ層にバイオマス由来成分を含む材料を用いると、印刷インキの単価が高くなり、単価の安い印刷インキを使用できるという引用発明の技術思想に反することになります。従いまして、バイオマス由来成分を含む印刷インキという単価の高い印刷インキを、引用発明における印刷インキ層に採用する動機付けはありません。」(第2頁第40行~第43行、「主張1」という。)、

「補正前発明の包装材料は、表面保護層がバイオマス由来成分を含むことに加え、印刷層もバイオマス由来成分を含みます。これにより、包装材料のバイオマス度をより高めることができるという効果を奏します(本願明細書の段落[0015])。
他方、引用文献1には、包装材料のバイオマス度を高めることができるという効果について、何ら記載されていません。補正前発明が奏する上記効果は、引用文献1に記載されていない効果であり、引用発明と比較した有利な効果です。」(第3頁第7行~第12行、「主張2」という。)

と主張する。

(イ)審判請求人の主張に対する当審の判断

折りたたみ中(クリックで表示)

a 主張1について

多くの工業製品において原材料コストも含めた製造コストと、製造物の性能との間にトレードオフの関係が存在しているものであり、許容されるコストや課題を解決するために必要な性能とを考え合わせ、バランスをとりながら設計していくことが通常の創作活動の中で行われているものである。一方、包装材料の分野において、バイオマス度を高めるという課題は重要なものとして当業者に認識されており、単純に「コストがかかる」ことを理由に当該課題の解決を放棄するものではないことは明らかである。加えて、増加するコストの程度や、得られた製品の性能の程度を検討することなく、「単価の高い印刷インキを、引用発明における印刷インキ層に採用する動機付けはありません」という審判請求人の主張は採用することはできない。

b 主張2について

本件補正発明の奏する効果は、引用発明、引用文献1記載事項、引用文献4記載事項及び引用文献6~9記載事項より、当業者が直ちに予測し得る程度のものにすぎない。よって、上記審判請求人の主張は採用することはできない。

3 本件補正についてのむすび

以上により、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、独立して特許を受けることができるものではないから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

以上のことから、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~6に係る発明は、令和6年8月22日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)の【請求項1】として記載のとおりのものである。

2 令和6年10月31日付け拒絶理由通知書で通知した拒絶の理由の概要

令和6年10月31日付け拒絶理由通知書で通知した拒絶の理由は、本願発明は、上記第2[理由]2(2)の引用文献1~4に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許受けることができない、というものである。

3 引用文献

令和6年10月31日付け拒絶理由通知書で通知した拒絶の理由で引用された引用文献1~4の記載事項は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である包装材料の印刷層に含まれるウレタン(メタ)アクリレートにおけるイソシアネート化合物をさらに特定する補正事項を削除したものである。

そして、本願発明と引用文献1に記載の発明とを対比すると、上記第2[理由]2(3)アで対比したとおりであって、相違点1及び2並びに相違点3のうち、イソシアネート化合物の特定を有しない本願発明と引用文献1に記載の発明との相違点で相違しているが、上記第2[理由]2(3)イでの判断のとおりこれらの相違点は、当業者が容易に想到し得たものである。

そうすると、本願発明は、引用文献1~4に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許受けることができないものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明、すなわち、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-021261

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