2022-021058
空気調和装置
- 審判番号
- 2022-021058
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-021156外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年12月26日
- 審決日
- 2024年02月26日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ダイキン工業株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
- 分類
- P18 .121-WZ (F24F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成30年2月8日の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし請求項5に係る発明は、令和5年11月21日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項2に係る発明(以下、「本願発明2」という。)は、その請求項2に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「 圧縮機(21)と、室外熱交換器(24)と、膨張機構(25)と、室内熱交換器(31)と、が接続されて構成される冷媒回路(10)と、室内湿度を検出する室内湿度センサ(35)と、前記室内湿度を用いて、前記冷媒回路に封入された冷媒を前記圧縮機、前記室外熱交換器、前記膨張機構、前記室内熱交換器の順に循環させる除湿運転を行う制御部(6)と、を備えており、前記制御部は、前記室内湿度センサの異常時に、前記室内湿度として、前記室内湿度センサの検出値の代わりに、代用値を用いて、前記除湿運転を行い、前記制御部は、前記除湿運転時に、所定のサーモオフ条件を満たした場合に、前記圧縮機を停止させるサーモオフを行い、前記制御部は、前記除湿運転時に、前記サーモオフ条件を満たすかどうかを判定する判定要素として、室内湿度によるサーモオフ湿度条件を有しており、前記制御部は、サーモオン中に、室内湿度が低くなり、室内湿度が目標室内湿度に達した場合に前記サーモオフ湿度条件を満たすものと判定し、前記代用値は、前記除湿運転における前記目標室内湿度よりも高い値で、かつ、その差が小さくなるように設定され、前記制御部は、前記除湿運転の指令を受け付けると、前記除湿運転のみを行う、空気調和装置(1)。」
第3 当審拒絶理由通知における拒絶の理由
当審拒絶理由通知の拒絶の理由は、大略次のとおりのものである。
1 (進歩性)本願の請求項2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された次の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 引用文献
1. 引用文献1
当審拒絶理由において引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献1には、「空気調和機」に関して、次の記載事項、図示事項及び認定事項がある(下線は当審が付したものである。以下同様。)。
(1)「【0022】図1は本発明の一実施例に係る空気調和機を示すブロック図である。10は空気調和機の室内機、20は室内機10と協働して冷暖房・除湿の運転を行ない室内を空気調和する室外機である。【0023】室内機制御装置18は、室内温度を検出する室内温度検出手段12と、湿度を検出する湿度検出手段13と、室内温度を設定する室内温度設定手段14と、室内の湿度を設定する湿度設定手段15とを備えている。この室内機制御装置18は、室内温度検出手段12と湿度検出手段13と室内温度設定手段14と湿度設定手段15が出力する信号に基づいて、圧縮機29の回転数指令値を作成し、室内送風機11と風向板(図示せず)と除湿絞り装置16等の制御を実行する。【0024】室外機制御装置28は、この室内機制御装置18から送られてくる信号を入力して圧縮機29と室外送風機21と冷暖房絞り装置26と四方弁30等を制御する。なお、室内機制御装置18と室外機制御装置28とにより制御装置が構成されている。【0025】また、本実施例に係る空気調和機の冷凍サイクルは、図4に示すように、圧縮機29、四方弁30、室外熱交換器31、冷暖房絞り装置26、第1の室内熱交換器32a(除湿運転時の再熱器)、除湿絞り装置16、第2の室内熱交換器32b(除湿運転時の冷却器)を有しており、これら構成要素がこの順で冷媒配管によって接続されている。なお、室内熱交換器32(32の符号は図示省略)を構成する第1の室内熱交換器32aと第2の室内熱交換器32bは、超親水化処理したフィンを有するフィンチューブ型熱交換器で構成されている。冷暖房絞り装置26は電動膨張弁で構成されている。除湿絞り装置16は除湿膨張弁16aと除湿開閉弁16bとから構成されている。」
(2)「【0029】次に、除湿運転時の冷凍サイクルの動作を説明する。圧縮機29によって圧縮された高温高圧のガス冷媒は、冷房・除湿運転側に切り替えられた四方弁30を介して室外熱交換器31に流入する。【0030】除湿運転時には室外送風機21は冷房運転時より回転数の低い除湿回転数で回転しているので、室外熱交換器31から外気への熱の放出は減少し、高圧冷媒の一部は未凝縮のままとなる。除湿運転時には冷暖房絞り装置26を全開しているので、一部が未凝縮の高圧冷媒はそのまま室内機10の第1の室内熱交換器32aに流入する。【0031】この第1の室内熱交換器32aで一部が未凝縮の高圧冷媒は室内送風機11により流通される室内空気に放熱し液化し、第1の室内熱交換器32aは再熱器として働く。除湿運転時に除湿開閉弁16bが閉じ除湿膨張弁16aが所定の絞り作用を行なうので、第1の室内熱交換器32aから除湿膨張弁16aに入った液化冷媒は減圧されて低温低圧の冷媒となって第2の室内熱交換器32bに入り、冷却器として働いて室内送風機11により流通される室内空気を冷却、除湿する。【0032】これによって、室内送風機11により吸込まれた室内空気は、第1の室内熱交換器32aで加熱され、第2の室内熱交換器32bで冷却、除湿されるので、吸込み空気に近い温度で、湿度が低下した乾燥空気として室内に吹出される。」
(3)「【0034】空気調和運転モードを除湿モードに設定した場合、運転開始時、室内設定温度より室内温度が高い場合は冷房運転し、室内設定温度より室内温度が低く、かつ、室内設定湿度より室内の湿度が高い場合は除湿運転する。また、室内設定温度より室内温度が低く、かつ、室内設定湿度より室内の湿度が低い場合は、送風機11、圧縮機29の運転を止めて室内温度、湿度の監視を行う。」
(4)「【図1】[図:0001409768000001.jpg]」
(5)「【図4】[図:0001409768000002.jpg]」
(6)(3)の記載事項によれば、除湿モードに設定した場合に、運転開始時、室内設定温度より室内温度が高い場合は冷房運転し、室内設定温度より室内温度が低く、かつ、室内設定湿度より室内の湿度が高い場合は除湿運転が行われるものである。
そして、除湿運転時の冷凍サイクルの動作として、(2)の段落【0029】及び【0031】の記載事項、(5)の図示事項から、圧縮機29によって圧縮された高温のガス冷媒が、室外熱交換器31に流入し、その後、未凝縮の高圧冷媒が、第1の室内熱交換器32aで液化し、さらに、除湿膨張弁16aに入った液化冷媒が減圧されて低温低圧の冷媒となって第2の室内熱交換器32bに入ることで、第2の室内熱交換器32bが、室内空気を冷却、除湿する冷却器として作動するものと認められる。
また、この除湿運転についての制御は、(1)の段落【0024】の記載事項から、室内機制御装置18と室外機制御装置28とにより構成される制御装置によってなされている。
よって、引用文献1の空気調和機は、「室内設定湿度より室内の湿度が高い場合には、圧縮機29によって圧縮されたガス冷媒は室外熱交換器31に流入し、前記除湿膨張弁16aに入り、前記第2の室内熱交換器32bに入る除湿運転をする制御装置」を備えているといえる。
(7) これら記載事項、図示事項及び認定事項を総合し、整理すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「圧縮機29と、室外熱交換器31と、除湿膨張弁16aと、第2の室内熱交換器32bと、がこの順で冷媒配管によって接続される冷凍サイクルと、湿度を検出する湿度検出手段13と、室内設定湿度より室内の湿度が高い場合には、圧縮機29によって圧縮されたガス冷媒は室外熱交換器31に流入し、前記除湿膨張弁16aに入り、前記第2の室内熱交換器32bに入る除湿運転をする制御装置と、を備えており、室内設定湿度より室内の湿度が高い場合は除湿運転し、室内設定湿度より室内の湿度が低い場合は、送風機11、圧縮機29の運転を止めて室内温度、湿度の監視を行い、除湿モードに設定した場合、室内設定温度より室内温度が高い場合は冷房運転し、室内設定温度より室内温度が低く、かつ、室内設定湿度より室内の湿度が高い場合は除湿運転する、空気調和機。」
2. 引用文献2
当審拒絶理由において引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献2には、「空気調和機の制御装置」に関して、次の記載事項及び図示事項がある。
(1)「【0004】本発明は、前記従来の課題を解決するもので、湿度センサの断線もしくはショートを検出する手段を有さない場合もその出力により異常と判断し、露点温度の計算方法を変更することで、お客様に常に快適な住環境を実現することを可能とした空気調和機の制御装置を提供することを目的とする。」
(2)「【0017】まず、冷房運転が開始されると、制御装置に11の湿度センサ出力が入力される。それを12にて35%未満、もしくは85%以上であれば故障と、それ以外であれば正常と判断する。正常と判断されたときは13にて吸込空気温度が入力され、14で露点温度の演算が行われる。その露点温度を基に15にて狙いの熱交換気温度が決定され、16にて現状の熱交温度と15の狙いの熱交温度との差よりその温度となるように19,1Aにて室内風量、周波数、絞り等が制御され、一定の差を保つように運転が継続される。これに対し、12のセンサ判定手段にて基準値外と判定し、16にて異常と判断され場合は17にてあらかじめ決められた規定の熱交温度が狙いの熱交温度となり、制御される。」
(3)「【0019】(実施の形態2)図2は、本発明の第2の実施の形態の空気調和機の制御装置のブロック図である。22のセンサ判定手段にて基準値外と判定し、23にて異常と判断され場合は24にてあらかじめ決められた規定の相対湿度が現状の相対湿度となり、制御が実施される。その相対湿度と25の吸込空気温度にて26にて露点温度は決められ、以降は実施の形態1と同様に制御される。」
(4)「【0025】以上のように、本発明にかかる空気調和機の制御装置は湿度センサの故障判定手段が無くとも、その出力を基にした快適制御をお客様に提供し続けることがなるので空調分野全般に適用できる。」
(5)「【図2】[図:0001409768000003.jpg]」
(6) これら記載事項及び図示事項を総合し、整理すると、引用文献2には、以下の事項(以下、「引用文献2の記載事項」という。)が記載されている。
「空気調和機の制御装置により湿度センサが異常と判断された場合、あらかじめ決められた規定の相対湿度が現状の相対湿度となり、制御が実施されること。」
3. 文献3
本願の出願前に頒布された又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった文献である特開平9-84143号(以下、「文献3」という。)には、「空気調和機のリモートコントロール装置」に関して、次の記載事項がある。
(1)「【請求項2】前記液晶表示の色調を暖房は赤系、冷房は青系、湿度のみを下げる除湿運転は緑系とする請求項1の空気調和機のリモートコントロール装置。」
(2)「【0009】【実施例】空気調和機のリモートコントロール装置に於て、主な操作ボタンとその内容及び本実施例に示したボタン名称を()で下記する。【0010】主操作ボタン…運転のON,OFFを行う(運転/停止)。室温調節ボタン…設定温度の調節をする(室温)。運転切換ボタン…暖房や冷房等運転モードを切換える(運転切換)。除湿…このボタン操作により除湿専用運転ができ、更に除湿運転の種類を選択できる(除湿)。風速切換ボタン…風の強さを切換える。(風速切換)。時刻セットボタン…現在時刻やタイマセット時刻の調整をする(時刻)。タイマボタン…セット時刻にオンまたはオフ等の選択,設定,取消しを行う(切,入,予約,取消)。」
(3)「【0011】以下、本発明の一実施例を図1ないし図4により説明する。1はリモートコントローラ本体で、制御用IC・発振子・その他電子部品を実装した回路基板及び乾電池をケース体(いずれも図示せず)の内部に収納してある。2は扉で、リモートコントローラ本体1の略中央部から下端に掛けて前面を覆うように形成し、開閉自在に装着されている。扉2には、通常使用時の操作頻度が高い室温調節用の室温ボタン2a、ボタンを押すだけで数種類の切タイマ運転ができるおやすみタイマボタン2b、快適性と経済性を優先した専用除湿モードが一発で運転できる除湿ボタン2cが設けてあり、各々のボタン操作時は後述の本体部ボタンのいづれかと同時に操作されるが、所望の運転モードになるようICにプログラムされている。扉2に設けた各ボタンの形状と配置は、室温ボタン2aは上部中央に縦長の角形とし、ボタン表面には、室温アップの∧と室温ダウン∨のマークが表示されている。おやすみタイマボタン2bと除湿ボタン2cは室温ボタン2aの左右に楕円形のボタンを配置するとともに、おやすみタイマボタン2bと除湿ボタン2cは色調を変えて明確に区別している。これらの各ボタンの材質と製法は、一般的にはシリコーン等のゴム成形品が使用されているが、ABS等の樹脂成形品または薄板を絞ったシートキー等の使用も考えられる。また、おやすみタイマボタン2bと除湿ボタン2cは形状が同じで色調により区別してあるが、他の施策は各々ボタンを丸形と正方形等のように形状を変えることも十分考えられる。3は液晶表示部でボタンの操作により各機能の制御状態が文字・数値またはマーク等となって表示されるよう、ICと回路基板に電気的に接続されている。液晶表示部3はリモートコントローラ本体1の略中央部から上部に掛けて形成し、表示文字等の配置については、中央上部には設定温度を数値と℃の単価で3aのように、おやすみタイマの文字と切時刻の表示は左側に文字と数値で3bのように、また、除湿運転の表示は右側に文字とイラストにより3cのように液晶で表示するものであり、室温ボタン2aと設定温度表示3a、おやすみタイマボタン2bとその表示3b及び除湿ボタン2cとその表示3cは互いに縦方向で同列に配置してある。なお、室温ボタン2aは設定室温のアップダウンにより室温を調節するもので、おやすみタイマボタン2bは一度ボタンを押す毎に1時間後に切→2時間後に切→3時間後に切→7時間後に切→連続をサイクリックにモード変換する機能があり、また、除湿ボタン2cは1度押す毎にからっと除湿→衣類乾燥→部屋の除湿→結露抑制をサイクリックにモード変更する機能を有している。4は主操作ボタンで運転のオン,オフを行うもので、横長のボタンを扉2と液晶表示部3との間に配置してある。主操作ボタン4は横長の形状ではなく、他のボタンと区別ができる形状であれば三角形でも丸形でも良いのであるが、本発明の場合は、外観意匠を左右対称にしてよりシンプルで使い易いイメージを出すため、また、各々の液晶表示内容との個々の関連性を強くするために上述の形状及び配置にした。5は本体操作部で扉2の内側に位置し、通常使用時にもあまり使用頻度が高くない操作ボタン類を設けてある。以下その主なボタン類と液晶表示内容について説明する。5dは運転切換ボタンで、ボタンを1度押す毎に自動→暖房→除湿→冷房→送風とサイクリックに運転モードを切換える。運転切換ボタン5dは、他の風の強さを切換える風速切換ボタン5e等と共に横長の角形を呈し本体操作部5の右側に配置してある。5fは設定時刻に入並びに切のタイマ設定及び取消し操作をするタイマボタンで、タイマモードを選定する入と切のボタンは略正方形とし予約と取消は前述の運転切換ボタン5dより長さが短かい横長の角形として区別している。なお、タイマボタン5fは本体操作部5の左側に配置してある。5hは時刻ボタンで、タイマの設定時刻を調整したり現在時刻5gで現在時刻をセットする場合の時刻の調整を行う。時刻ボタン5hの表面には、時刻を進める∧と時刻を戻す∨のマークが表示してあり、形状は縦長の角形を呈している。一方、現在時刻ボタン5gは小さな円形とし各々本体操作部5の中央に配置している。
(4) これら記載事項を総合し、整理すると、文献3には以下の事項(以下、「文献3の記載事項」という。)が記載されている。
「リモートコントローラ本体1の除湿ボタン2cの操作時には、湿度のみを下げる除湿運転である、快適性と経済性を優先した専用除湿モードが一発で運転できること。」
4. 文献4
本願の出願前に頒布された又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2007-85731号(以下、「文献4」という。)には、「空気調和機」に関して、次の記載事項及び図示事項がある。
(1)「【0052】次に、図11により、本体1の制御動作についてを説明する。【0053】本体1に電源12が接続されて電力が供給されると、マイコン3の初期化、即ち、CPU10の初期化と記憶部11の内容クリアなどの初期化や受信回路4の初期化が行なわれ(ステップ50)、受信回路4から受信信号があるか否か監視され(ステップ51)、受信信号がある場合には、この受信信号の種類を判別する(ステップ52)。【0054】受信信号が運転/停止ボタン15の操作による運転停止信号であると判別された場合には、空気調和機が運転中であるか否かを判別し(ステップ53)、運転中であれば、この運転を停止させて(ステップ54)ステップ51に戻る。【0055】また、ステップ52で受信信号が運転開始信号及び運転モード情報(上記の除湿運転モード情報や冷房,暖房運転などを指定する情報)であると判別された場合には、運転中であるか否かを判別し(ステップ55)、運転中でなければ、本体1の室温検出器5や外気温検出器5’,湿度検出器6から温度や湿度を読み込む(ステップ56)。そして、受信回路4から運転開始信号とともに受信される設定温度などのデータからなる運転モード情報を読み込み(ステップ57)、この運転モード情報を記憶部11に書き込む(ステップ58)。次いで、この運転モード情報の内容からいずれの運転パターンかを判別し(ステップ59)、この判別結果に応じて圧縮機モータ9や室内ファンモータ7,室外ファンモータ8を立ち上げる(ステップ60)。【0056】ここで、受信信号が除湿ボタン14の操作による運転開始信号及び除湿運転モード情報である場合には、受信される運転モード情報は設定温度や設定湿度,設定風速,設定運転時間のデータからなる除湿運転モード情報であり、これが読み込まれ(ステップ57)、記憶部11に書き込まれて(ステップ58)、指定される運転モードが除湿運転モードであること、さらに、上記4つの除湿運転モードの内のいずれの運転パターンであるかが判別される(ステップ59)。」
(2)「【0062】このように、操作リモコン2の除湿ボタン14を操作するだけで、運転開始信号と除湿運転モード情報とが送信され、除湿運転の開始と除湿運転モードの選択とを行なうことができる。そして、空気調和機が停止中に除湿ボタン14を操作すると、操作リモコン2からの運転開始信号と除湿運転モード情報により、空気調和機はこの除湿運転モード情報によって決まる運転モードで除湿運転を開始する。また、空気調和機が運転中に除湿ボタン14を操作すると、操作リモコン2からの除湿運転モード情報に対してのみ応答し、この除湿運転モード情報によって決まる運転モードに設定される。」
(3)「【0069】図12は上記4つの除湿運転モード情報の一具体例を示す図である。【0070】同図において、除湿運転モードとしては、上記のように、「標準モード」,「衣類乾燥モード」,「おでかけモード」,「結露抑制モード」の4つのモードがある。夫々のモードの除湿運転モード情報は設定温度,設定湿度,設定風量,設定運転時間の4パラメータの少なくとも2つの組み合わせからなっており、夫々のパラメータは、除湿運転モード毎に、最適値をとるようにしたものであり、初期値として設定されるものである。但し、初期値のうち運転時間については、タイマーボタン16によるタイマー機能と組み合せて、任意にあるいは所定の規則に応じて選定が可能である。」
(4)「【0079】標準モードは、温度を下げずに除湿したいときに利用する除湿運転モードであって、その運転内容は、除湿ボタン14によってワンタッチで選択されると、設定温度は、その運転開始時の室温が10℃以上28℃以下の範囲では、その運転開始時の室温とし、その運転開始時の室温が10℃未満のときには10℃,その運転開始時の室温が28℃以上のときには28℃とし、その設定温度を保ったままで湿度を約50%まで下げるモードである。」
(5)「【図11】[図:0001409768000004.jpg]」
(6) これら記載事項及び図示事項を総合し、整理すると、文献4には以下の事項(以下、「文献4の記載事項」という。)が記載されている。
「マイコン3は、受信信号が除湿ボタン14の操作による運転開始信号及び除湿運転モード情報である場合、温度を下げずに除湿したいときに利用する除湿運転モードである標準モードで除湿運転を開始すること。」
第5 対比・判断
1. 対比
本願発明2と引用発明とを対比すると、後者の「圧縮機29」は、その機能、構成及び技術的意義からみて前者の「圧縮機」に相当し、以下同様に、「室外熱交換器31」は「室外熱交換器」に、「除湿膨張弁16a」は「膨張機構」に、「第2の室内熱交換器32b」は「室内熱交換器」に相当する。
そうすると、後者の「圧縮機29と、室外熱交換器31と、除湿膨張弁16aと、室内熱交換器第2の室内熱交換器32bと、がこの順で冷媒配管によって接続される冷凍サイクル」は、圧縮機29と、室外熱交換器31と、除湿膨張弁16aと、室内熱交換器第2の室内熱交換器32bと、が接続される冷凍回路といえるから、前者の「圧縮機と、室外熱交換器と、膨張機構と、室内熱交換器と、が接続されて構成される冷媒回路」に相当する。
後者の「湿度」は、引用文献1の段落【0023】の記載からみて前者の「室内湿度」に相当する。同様に「湿度検出手段13」は、「室内湿度センサ」に相当する。
後者の「室内設定湿度より室内の湿度が高い場合には」は、室内湿度を用いて室内設定湿度と比較を行っているのであるから、前者の「前記室内湿度を用いて」に相当する。また、後者の「前記圧縮機29によって圧縮されたガス冷媒は前記室外熱交換器31に流入し、前記除湿膨張弁16aに入り、前記室内熱交換器32bに入る除湿運転をする」ことは、冷凍サイクルにおいて、冷媒を圧縮機29、室外熱交換器31、除湿膨張弁16a、室内熱交換器32bの順に循環させることであるから、前者の「前記冷媒回路に封入された冷媒を前記圧縮機、前記室外熱交換器、前記膨張機構、前記室内熱交換器の順に循環させる除湿運転を行う」ことに相当する。そしてこのような除湿運転をする後者の「制御装置」は、前者の「制御部」に相当する。
してみると、後者の「室内設定湿度より室内の湿度が高い場合には、圧縮機29によって圧縮されたガス冷媒は室外熱交換器31に流入し、前記除湿膨張弁16aに入り、前記第2の室内熱交換器32bに入る除湿運転をする制御装置」は、前者の「前記室内湿度を用いて、前記冷媒回路に封入された冷媒を前記圧縮機、前記室外熱交換器、前記膨張機構、前記室内熱交換器の順に循環させる除湿運転を行う制御部(6)」に相当する。
後者の「送風機11、圧縮機29の運転を止め」ることは、その機能、構成及び技術的意義からみて、前者の「前記圧縮機を停止させるサーモオフを行う」ことに相当する。
また、後者の「室内設定湿度より室内の湿度が低い場合」は、「送風機11、圧縮機29の運転を止め」るのであるから、前者の「所定のサーモオフ条件を満たした場合」に相当する。
また、後者の「室内設定湿度」は、前者の「前記サーモオフ条件を満たすかどうかを判定する判定要素として」の「サーモオフ湿度条件」に相当する。
後者の「室内の湿度」は、前者の「室内湿度」に相当する。
してみると、後者の「室内設定湿度より室内の湿度が高い場合は除湿運転し、室内設定湿度より室内の湿度が低い場合は、送風機11、圧縮機29の運転を止め」ることは、前者の「前記除湿運転時に、所定のサーモオフ条件を満たした場合、前記圧縮機を停止させるサーモオフを行い」、「前記除湿運転時に、前記サーモオフ条件を満たすかどうかを判定する判定要素として、室内湿度によりサーモオフ湿度条件を有して」いることに相当する。
さらに、後者の「室内設定湿度より室内の湿度が高い場合は除湿運転」することは、その機能、構成及び技術的意義からみて、前者の「サーモオン中」にも相当する。
そして、後者の「室内設定湿度より室内の湿度が低い場合は、送風機11、圧縮機29の運転を止めて室内温度、湿度の監視を行う」ことは、サーモオン中に室内湿度が低くなり室内設定湿度に達するサーモオフ条件を満たすと判定することで送風機11及び圧縮機29の運転を止めるものといえるから、前者の「サーモオン中に、室内湿度が低くなり、室内湿度が目標室内湿度に達した場合に前記サーモオフ湿度条件を満たすものと判定」することにも相当する。
そして、後者は、「除湿運転をする制御装置」を備えるのであるから、後者の「制御装置」が「室内設定湿度より室内の湿度が高い場合は除湿運転し、室内設定湿度より室内の湿度が低い場合は、送風機11、圧縮機29の運転を止めて室内温度、湿度の監視を行う」ことは、前者の「前記制御部は、前記除湿運転時に、所定のサーモオフ条件を満たした場合に、前記圧縮機を停止させるサーモオフを行い、
前記制御部は、前記除湿運転時に、前記サーモオフ条件を満たすかどうかを判定する判定要素として、室内湿度によるサーモオフ湿度条件を有しており、
前記制御部は、サーモオン中に、室内湿度が低くなり、室内湿度が目標室内湿度に達した場合に前記サーモオフ湿度条件を満たすものと判定」することに相当する。
後者の「空気調和機」は、前者の「空気調和装置」に相当する。
したがって、両者は
「圧縮機と、室外熱交換器と、膨張機構と、室内熱交換器と、が接続されて構成される冷媒回路と、室内湿度を検出する室内湿度センサと、前記室内湿度を用いて、前記冷媒回路に封入された冷媒を前記圧縮機、前記室外熱交換器、前記膨張機構、前記室内熱交換器の順に循環させる除湿運転を行う制御部と、を備えており、前記制御部は、前記除湿運転時に、所定のサーモオフ条件を満たした場合に、前記圧縮機を停止させるサーモオフを行い、前記制御部は、前記除湿運転時に、前記サーモオフ条件を満たすかどうかを判定する判定要素として、室内湿度によるサーモオフ湿度条件を有しており、前記制御部は、サーモオン中に、室内湿度が低くなり、室内湿度が目標室内湿度に達した場合に前記サーモオフ湿度条件を満たすものと判定する、空気調和装置。」
である点で一致し、次の2点で相違する。
[相違点1]
前者は、「前記制御部は、前記室内湿度センサの異常時に、前記室内湿度として、前記室内湿度センサの検出値の代わりに、代用値を用いて、前記除湿運転を行」い、「前記代用値は、前記除湿運転における前記目標室内湿度よりも高い値で、かつ、その差が小さくなるように設定され」るのに対し、後者は、かかる事項を備えていない点。
[相違点2]
前者は、「前記制御部は、前記除湿運転の指令を受け付けると、前記除湿運転のみを行う」のに対し、後者は、「除湿モードに設定した場合、室内設定温度より室内温度が高い場合は冷房運転し、室内設定温度より室内温度が低く、かつ、室内設定湿度より室内の湿度が高い場合は除湿運転する」点。
2. 判断
上記相違点1について判断する。
引用文献2の記載事項は、「湿度センサの異常時に、湿度として、湿度センサの検出値の代わりに、代用値を用いて、運転を行」うとの技術事項を開示するものといえる。
そして、引用文献2の段落【0025】の記載事項(第4、2.(4)参照。)をみると、引用文献2の記載事項は、冷房運転のみならず空調装置全般の運転に適用できるものといえる。そうすると、引用文献2の記載事項は、空調装置の制御に関するものである点で引用発明と技術分野が共通する。
また、湿度センサ等のセンサに異常が生じたときの制御は、空調装置における一般的な課題であって、引用発明にも内在している課題であるから、課題においても共通する。さらに、引用発明において引用文献2の記載事項を適用することに格別な困難性を見いだすこともできない。
ここで、引用文献2の記載事項は、引用文献2の段落【0004】の記載から、常に快適な住環境を実現することを可能とする制御に関するものであるから、引用発明に引用文献2の記載事項を適用する際において、あらかじめ決められる規定の相対湿度として、現状の除湿運転を継続できる湿度を採用することは、当業者にとって当然のことといえる。
そして、相対湿度が目標室内湿度より低い値となったときに除湿運転が止まることは、技術常識であるから、引用文献2の記載事項における「あらかじめ決められる規定の相対湿度」として、目標室内湿度よりも高い値とすることは、技術常識から明らかであるといわざるを得ない。
また、規定の相対湿度と目標相対湿度との差は小さい方が、除湿運転の制御を大きく変更することなく現状の除湿運転が継続できるのであるから、規定の相対湿度の値を目標室内湿度との差が小さくなるような値に設定することは、当業者であれば容易に理解できることである。そうすると、目標室内湿度と「あらかじめ決められる規定の相対湿度」との差が小さくなるようにすることも、当業者であれば容易になし得ることである。
そうすると、引用発明において引用文献2の記載事項を適用し、相違点1に係る本願発明2の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
上記相違点2について検討する。
文献3の記載事項及び文献4の記載事項を踏まえると、空調制御の技術において、除湿運転の指令を受け付けると、温度を下げることなく除湿運転を行うこと、すなわち「除湿運転のみ」を行うよう制御することは、周知技術といえるものである。そして、引用発明の「除湿モード」は、空気調和機における「除湿モード」であるから、空気調和機の技術分野に属すると共に「除湿」に係る制御である点で、引用発明と当該周知技術は、共通するといえる。そして、引用発明の空気調和機の除湿モードに設定したときの制御として、当該周知技術を採用することに、格別な困難性を見いだすことはできない。
そうすると、引用発明において、当該周知技術を踏まえて、相違点2に係る本願発明2の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
また、本願発明2は、全体としてみても引用発明、引用文献2の記載事項及び周知技術から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。
したがって、本願発明2は、引用発明、引用文献2の記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明2は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-021058