特許拒絶査定不服審判
2022-020461
フレキシブル表示パネル及びその製造方法、フレキシブル表示装置
- 審判番号
- 2022-020461
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-562317外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年12月16日
- 審決日
- 2024年08月21日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
- 【請求人代理人】松永 宣行
- 【請求人代理人】大渕 一志
- 分類
- P18 .537-WZ (G09F) / P18 .572-WZ (G09F) / P18 .574-WZ (G09F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-562317「フレキシブル表示パネル及びその製造方法、フレキシブル表示装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月 9日国際公開、WO2019/085349、令和 3年 2月 4日国内公表、特表2021-503093〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)2月24日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張 平成29年11月1日 中国)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。なお、平成29年11月1日を以下「優先日」という。
平成30年11月28日 :翻訳文の提出
令和 3年 8月25日付け:拒絶理由通知書
同年11月29日 :意見書、手続補正書の提出
令和 4年 3月22日付け:拒絶理由通知書(最後)
同年 6月29日 :意見書、手続補正書の提出
同年 8月10日付け:補正の却下の決定
同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月16日 :原査定の謄本の送達)
同年12月16日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 5年12月13日付け:拒絶理由通知書
令和 6年 3月14日 :意見書、手続補正書の提出
同月29日付け:拒絶理由通知書(最後)
同年 7月 2日 :意見書、手続補正書の提出
第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年7月2日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の概要
令和6年7月2日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正するものであって、次の(1)に示す本件補正前(令和6年3月14日にされた手続補正後をいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1を、後記の(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正することを含むものである。下線は、補正箇所を示す。
(1) 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
フレキシブル表示パネルであって、
屈曲可能領域を含むフレキシブルベース基板と、
前記フレキシブルベース基板上に位置する第1層と、
前記第1層の少なくとも一部を貫通するトレンチと、
前記トレンチ内に位置する第2層と、
前記第2層上に位置する金属層と
を含み、
前記第2層は、前記第1層より小さい弾性率を有し、
前記第2層及び前記金属層の少なくとも一部は、前記屈曲可能領域の屈曲中において、前記屈曲可能領域と共形であり、
前記金属層は前記第1層と同一の層に存在せず、
前記トレンチは、前記フレキシブル表示パネルの非表示領域内に位置し、
前記フレキシブル表示パネルは、表示領域を更に含み、前記表示領域は、サブピクセルのアレイ及び信号線を備え、前記非表示領域は、駆動チップを備え、
前記フレキシブル表示パネルは、隔離バッファ層と、活性層と、第1ゲート絶縁層と、第1ゲート層と、第2ゲート絶縁層と、第2ゲート層と、誘電体層と、ソース・ドレイン金属層と、平坦化層とを含み、
前記第1層は、前記非表示領域を覆う、前記誘電体層、前記第2ゲート絶縁層、前記第1ゲート絶縁層、前記隔離バッファ層及びそれらの混合体からなる群からの少なくとも一つの層又は複数の層を含み、
前記
前記金属層は、リード線であり、前記屈曲可能領域は、屈曲領域であり、
前記フレキシブル表示パネルは、少なくとも前記屈曲領域を覆う、前記リード線の前記フレキシブルベース基板から遠ざかる面の上に位置する第2バッファ層を更に含み、
前記フレキシブル表示パネルは、前記サブピクセルのアレイ上に順に積層された第1無機層、有機層、及び第2無機層を更に含み、前記有機層が、前記第1無機層及び前記第2無機層により囲まれており、前記第2バッファ層と前記有機層は同一の層上に配置され、同一の材料で製作されたものである、フレキシブル表示パネル。」
(2) 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
フレキシブル表示パネルであって、
屈曲可能領域を含むフレキシブルベース基板と、
前記フレキシブルベース基板上に位置する第1層と、
前記第1層の少なくとも一部を貫通するトレンチと、
前記トレンチ内に位置する第2層と、
前記第2層上に位置する金属層と
を含み、
前記第2層は、前記第1層より小さい弾性率を有し、
前記第2層及び前記金属層の少なくとも一部は、前記屈曲可能領域の屈曲中において、前記屈曲可能領域と共形であり、
前記金属層は前記第1層と同一の層に存在せず、
前記トレンチは、前記フレキシブル表示パネルの非表示領域内に位置し、
前記フレキシブル表示パネルは、表示領域を更に含み、前記表示領域は、サブピクセルのアレイ及び信号線を備え、前記非表示領域は、駆動チップを備え、
前記フレキシブル表示パネルは、隔離バッファ層と、活性層と、第1ゲート絶縁層と、第1ゲート層と、第2ゲート絶縁層と、第2ゲート層と、誘電体層と、ソース・ドレイン金属層と、平坦化層とを含み、
前記第1層は、前記非表示領域を覆う、前記誘電体層、前記第2ゲート絶縁層、前記第1ゲート絶縁層、前記隔離バッファ層及びそれらの混合体からなる群からの少なくとも一つの層又は複数の層を含み、
前記金属層は、リード線であり、前記屈曲可能領域は、屈曲領域であり、
前記フレキシブル表示パネルは、少なくとも前記屈曲領域を覆う、前記リード線の前記フレキシブルベース基板から遠ざかる面の上に位置する第2バッファ層を更に含み、
前記フレキシブル表示パネルは、前記サブピクセルのアレイ上に順に積層された第1無機層、有機層、及び第2無機層を更に含み、前記有機層が、前記第1無機層及び前記第2無機層により囲まれており、前記第2バッファ層と前記有機層は、同一の材料からなる、フレキシブル表示パネル。」
2 補正の目的要件について
本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の「前記第2バッファ層と前記有機層は同一の層上に配置され、同一の材料で製作されたものである」を、「前記第2バッファ層と前記有機層は、同一の材料からなる」とする補正事項を含むところ、当該補正事項の補正の目的について、以下検討する。
(1) 特許請求の範囲の減縮に該当しないことについて
本件補正前の請求項1には、「第2バッファ層」と「有機層」について、「同一の層上に配置され」と特定されていたところ、本件補正後の請求項1では、「同一の層上に配置され」との特定は削除され、「第2バッファ層」と「有機層」が「同一の層上に配置され」ていない構成も包含するものとなった。
そうすると、本件補正による請求項1についての補正は、特許請求の範囲を拡張するものであって、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものには該当しない。
(2) 明瞭でない記載の釈明に該当しないことについて
ア 「明瞭でない記載」とは、それ自体意味の明らかでない記載など、記載上不備が生じている記載であって、特に特許請求の範囲について「明瞭でない記載」とは、請求項の記載そのものが文理上意味が不明瞭である場合、請求項自体の記載内容が他の記載との関係において不合理を生じている場合、又は請求項自体の記載は明瞭であるが請求項に記載した発明が技術的に正確に特定されず不明瞭である場合等をいい、その「釈明」とは、記載の不明瞭さを正してその記載本来の意味内容を明らかにすることをいうものと解される(知財高判平成23年5月23日(平成22年(行ケ)第10325号)を参照)。
イ 本件補正前の請求項1には、「前記第2バッファ層と前記有機層は同一の層上に配置され」と特定され、積層構造における第2バッファ層と有機層の配置関係が本来の意味内容に含まれていたところ、本件補正後の請求項1の記載は、本件補正前の記載の本来の意味内容に含まれるべき、積層構造における第2バッファ層と有機層の配置関係について何ら特定されていない。
ウ そうすると、本件補正後の請求項1の記載は、本件補正前の請求項1の記載本来の意味内容とは異なるものになっているから、本件補正による請求項1についての補正は、本件補正前の記載本来の意味内容を明らかにするものにはなっておらず、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当するとは認められない。
(3) その他の補正の目的にも該当しないことについて
また、本件補正による請求項1についての補正が、請求項の削除又は誤記の訂正を目的とするものでないことは明らかである。
(4) 小括
したがって、本件補正のうち請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。
3 補正の却下の決定についてのむすび
以上に検討したところによれば、本件補正は、特許法17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同項に規定する要件に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願の請求項1~14に係る発明について
1 本願の請求項1~14に係る発明の認定
本件補正は、前記第2のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1~14に係る発明は、本件補正前の請求項1~14に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、本件補正前の請求項1~14の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
フレキシブル表示パネルであって、
屈曲可能領域を含むフレキシブルベース基板と、
前記フレキシブルベース基板上に位置する第1層と、
前記第1層の少なくとも一部を貫通するトレンチと、
前記トレンチ内に位置する第2層と、
前記第2層上に位置する金属層と
を含み、
前記第2層は、前記第1層より小さい弾性率を有し、
前記第2層及び前記金属層の少なくとも一部は、前記屈曲可能領域の屈曲中において、前記屈曲可能領域と共形であり、
前記金属層は前記第1層と同一の層に存在せず、
前記トレンチは、前記フレキシブル表示パネルの非表示領域内に位置し、
前記フレキシブル表示パネルは、表示領域を更に含み、前記表示領域は、サブピクセルのアレイ及び信号線を備え、前記非表示領域は、駆動チップを備え、
前記フレキシブル表示パネルは、隔離バッファ層と、活性層と、第1ゲート絶縁層と、第1ゲート層と、第2ゲート絶縁層と、第2ゲート層と、誘電体層と、ソース・ドレイン金属層と、平坦化層とを含み、
前記第1層は、前記非表示領域を覆う、前記誘電体層、前記第2ゲート絶縁層、前記第1ゲート絶縁層、前記隔離バッファ層及びそれらの混合体からなる群からの少なくとも一つの層又は複数の層を含み、
前記
前記金属層は、リード線であり、前記屈曲可能領域は、屈曲領域であり、
前記フレキシブル表示パネルは、少なくとも前記屈曲領域を覆う、前記リード線の前記フレキシブルベース基板から遠ざかる面の上に位置する第2バッファ層を更に含み、
前記フレキシブル表示パネルは、前記サブピクセルのアレイ上に順に積層された第1無機層、有機層、及び第2無機層を更に含み、前記有機層が、前記第1無機層及び前記第2無機層により囲まれており、前記第2バッファ層と前記有機層は同一の層上に配置され、同一の材料で製作されたものである、フレキシブル表示パネル。
【請求項2】
前記第1層は、隔離層を含む、請求項1に記載のフレキシブル表示パネル。
【請求項3】
前記第2層は、ポリマー層を含む、請求項1に記載のフレキシブル表示パネル。
【請求項4】
前記トレンチの前記フレキシブルベース基板上における正投影は、前記フレキシブルベース基板の屈曲可能領域に重なる、請求項1に記載のフレキシブル表示パネル。
【請求項5】
前記トレンチは、底面と、前記底面の両側にそれぞれ位置し且つ前記底面に接続される第1側面と、第2側面とを含む、請求項1及び4のいずれか1項に記載のフレキシブル表示パネル。
【請求項6】
前記第2層の前記フレキシブルベース基板に垂直な方向における厚さは、前記トレンチの深さに実質的に等しい、請求項1に記載のフレキシブル表示パネル。
【請求項7】
前記第2層の前記フレキシブルベース基板に垂直な方向における厚さは、前記トレンチの深さより低い、請求項1に記載のフレキシブル表示パネル。
【請求項8】
前記第1側面及び前記第2側面の各々は、傾斜面であり、前記傾斜面の角度は90度未満である、請求項5に記載のフレキシブル表示パネル。
【請求項9】
前記第1側面及び前記第2側面の各々は、二つの傾斜面と、前記二つの傾斜面の間に位置する階段面とを含み、前記二つの傾斜面の各々の角度は90度未満である、請求項5に記載のフレキシブル表示パネル。
【請求項10】
前記金属層と前記ソース・ドレイン金属層とは、同じ材料である、請求項1に記載のフレキシブル表示パネル。
【請求項11】
前記第2層と前記平坦化層とは、同じ材料である、請求項1に記載のフレキシブル表示パネル。
【請求項12】
フレキシブル表示パネルを製造する方法であって、
屈曲可能領域を含むフレキシブルベース基板を提供する工程と、
前記フレキシブルベース基板上に第1層を形成する工程と、
前記第1層の少なくとも一部を貫通するトレンチを形成する工程と、
前記トレンチ内に第2層を充填する工程と、
前記第2層上に金属層を形成する工程と
を含み、
前記第2層は、前記第1層より小さい弾性率を有し、
前記第2層及び前記金属層の少なくとも一部は、前記屈曲可能領域の屈曲中において前記屈曲可能領域と共形であり、
前記金属層は前記第1層と同一の層に存在せず、
前記トレンチは、前記フレキシブル表示パネルの非表示領域内に位置し、
前記フレキシブル表示パネルは、表示領域を更に含み、前記表示領域は、サブピクセルのアレイ及び信号線を備え、前記非表示領域は、駆動チップを備え、
前記フレキシブル表示パネルは、隔離バッファ層と、活性層と、第1ゲート絶縁層と、第1ゲート層と、第2ゲート絶縁層と、第2ゲート層と、誘電体層と、ソース・ドレイン金属層と、平坦化層とを含み、
前記第1層は、前記非表示領域を覆う、前記誘電体層、前記第2ゲート絶縁層、前記第1ゲート絶縁層、前記隔離バッファ層及びそれらの混合体からなる群からの少なくとも一つの層又は複数の層を含み、
前記
前記金属層は、リード線であり、前記屈曲可能領域は、屈曲領域であり、
前記フレキシブル表示パネルは、少なくとも前記屈曲領域を覆う、前記リード線の前記フレキシブルベース基板から遠ざかる面の上に位置する第2バッファ層を更に含み、
前記フレキシブル表示パネルは、前記サブピクセルのアレイ上に順に積層された第1無機層、有機層、及び第2無機層を更に含み、前記有機層が、前記第1無機層及び前記第2無機層により囲まれており、前記第2バッファ層と前記有機層は同一の層上に配置され、同一の材料で製作されたものである、フレキシブル表示パネルを製造する方法。
【請求項13】
前記第2層は、インクジェット印刷プロセスにより形成される、請求項12に記載のフレキシブル表示パネルを製造する方法。
【請求項14】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のフレキシブル表示パネルを含む表示装置。」
2 当審の拒絶理由通知の概要
当審において通知した令和6年3月29日付け拒絶理由通知の理由1(2)、2(2)及び3の概要は、次のとおりである。
(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。
記
請求項1、12の「前記第2バッファ層と前記有機層は同一の層上に配置され」との記載では、「第2バッファ層」と「有機層」がどのように配置されるのか、不明確である。
したがって、請求項1、12に係る発明、及び、請求項1、12に係る発明を直接又は間接的に引用する請求項2~11、13~14に係る発明は不明確である。
3 判断
請求項1、12に記載された「前記第2バッファ層と前記有機層は同一の層上に配置され」は、「第2バッファ層」と「有機層」が同一の層であることを意味するのか、「第2バッファ層」と「有機層」が別の「同一の層」の「上に配置され」ることを意味するのか、それとも、それ以外のことを意味するのか判然とせず、いずれの意味に解しても請求項1、12の他の記載と整合しないから、不明確である。その詳細な理由は以下のとおりである。
(1) 当該記載が、「第2バッファ層」と「有機層」が同一の層であることを意味するものであるとすると、請求項1、12において、「第2バッファ層」は「少なくとも前記屈曲領域を覆う、前記リード線の前記フレキシブルベース基板から遠ざかる面の上に位置する」ものであるのに対し、「有機層」は「前記サブピクセルのアレイ上に順に積層された第1無機層、有機層、及び第2無機層」であって、「前記第1無機層及び前記第2無機層により囲まれて」いるものであるから、「第2バッファ層」と「有機層」が同一の層となるものではない。
(2) また、当該記載が、「第2バッファ層」と「有機層」が、別の「同一の層」の「上に配置され」ることを意味するものであるとすると、請求項1、12において、「第2バッファ層」は「前記リード線の前記フレキシブルベース基板から遠ざかる面の上に位置する」ものであるのに対し、「有機層」は「前記第1無機層及び前記第2無機層により囲まれて」おり、少なくとも「第1無機層」又は「第2無機層」のいずれかの上に配置されるものとなるから、「第2バッファ層」と「有機層」が「同一の層」の「上に配置され」るものとはならない。
(3) さらに、請求項1、12に記載された「前記第2バッファ層と前記有機層は同一の層上に配置され」をどのように理解したとしても、請求項1、12の他の記載と整合する意味を見い出すことができない。
(4) 請求人は、令和6年3月14日に提出された意見書の「2.補正の根拠の明示」において、当該記載の補正の根拠が「段落0034、0041、図3」にあると記載しているが、段落【0041】に「第2バッファ層25は、封止層の有機層23と同じプロセスにより同時に製作することができる。」ことは記載されているものの、同じプロセスにより同時に製作したとしても、積層構造や高さが一様でない積層体上に層を形成した場合には、形成される層が必ずしも「同一の層」となったり、「同一の層」の「上に配置され」るものとなったりするものではない。
また、図3を参照すると、「第2バッファ層25」と「有機層23」とが同じ模様でハッチされていることは見て取れるものの、それらの形状は異なり、また、「第2バッファ層25」は「誘電体層13」の上の「リード線24」の上にあり、「有機層23」は少なくとも「誘電体層13」の上の「無機層21」の上にあることが見て取れるから、図3を参照しても、第2バッファ層25と有機層23が「同一の層」であるか、「同一の層」の「上に配置され」るものであるということはできない。
そうすると、請求人の補正の根拠に関する主張を考慮しても、当該記載の意味は不明確である。
(5) 前記(1)~(4)にて検討したとおり、請求項1、12の「前記第2バッファ層と前記有機層は同一の層上に配置され」との記載では、「第2バッファ層」と「有機層」がどのように配置されるのか、不明確である。
したがって、請求項1、12に係る発明、及び、請求項1、12に係る発明を直接又は間接的に引用する請求項2~11、13~14に係る発明は、明確でない。
第4 むすび
以上検討のとおり、本願の特許請求の範囲の記載は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていないから、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
<<付記>>
仮に請求人が令和6年7月2日に提出された意見書において主張するとおり、本件補正のうち請求項1についてする補正が誤記の訂正及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、本件補正が認められると仮定したとしても、当合議体は、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明1」という。)は、当審において通知した令和5年12月13日付け拒絶理由通知の理由2(進歩性欠如)により拒絶すべきものと考えるから、その理由について以下に付記する。
なお、本件補正発明1は、本審決において明確性要件の判断の対象となった本件補正前の請求項1に係る発明とは、発明特定事項の一部が異なる発明である点に留意が必要である。
1 本件補正発明1
本件補正発明1は、前記第2の1(2)に示した、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 引用発明の認定
令和5年12月13日付け拒絶理由通知に引用された、本願の優先日前に発行された米国特許出願公開第2017/0309651号明細書(以下「引用文献1」という。)には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、引用文献1における引用発明の認定の根拠となった箇所を括弧内に示す。
<引用発明>
「少なくとも一部に柔軟性を有し、フレキシブル部で折り曲げられる表示装置であって、([0077])
曲げたり折ったりできる柔軟性を有する材料で形成された基板SUBと、([0085])
基板SUB上に形成される、無機材料からなる無機絶縁層であるバッファ層BFと([0087])、
バッファ層BF上に設けられる、半導体材料で形成されるアクティブパターンACTと、([0088])
アクティブパターンACTの上に設けられる、無機材料からなる無機絶縁層であるゲート絶縁層GIと、([0089])
ゲート絶縁膜GI上に設けられるゲート電極GE及びキャパシタ下部電極LEと、([0090])
ゲート電極GE及びキャパシタ下部電極LEの上に設けられる、無機材料からなる無機絶縁層である層間絶縁膜ILと、([0093])
層間絶縁膜IL上に設けられるキャパシタ上部電極UEと、([0094])
キャパシタ上部電極UE上に設けられる、無機材料からなる無機絶縁層である第1絶縁層INS1と、([0096])
第1絶縁層INS1上に設けられるソース電極SE及びドレイン電極DEと、([0097])
ソース電極SE及びドレイン電極DE上に設けられるパッシベーション層PSVと、([0100])
パッシベーション層PSV上に設けられる、ポリアクリル系化合物、ポリイミド系化合物、テフロン(登録商標)などのフッ素含有炭素化合物、ベンゾシクロブテン化合物などの有機絶縁材料を含む有機材料からなる有機絶縁層である第3絶縁層INS3と、([0101])
第3絶縁層INS3上に設けられる接続パターンCNPと、([0102])
接続パターンCNP上に設けられる、ポリアクリル系化合物、ポリイミド系化合物、テフロン(登録商標)などのフッ素含有炭素化合物、ベンゾシクロブテン化合物などの有機絶縁材料を含む有機材料からなる有機絶縁層である第4絶縁層INS4と、([0104])
第4絶縁層INS4上に設けられる第1電極EL1と、([0105])
第1電極EL1の上面を露出する、基板SUB上に設けられている各画素PXLに対応するように領域を分割するための画素定義層PDLと、([0110]、[0111])
画素定義層PDLに囲まれた領域に設けられ、少なくとも一部は第1電極EL1上に一体に形成される有機物層OLと、([0112]、[0115])
有機物層OL上に形成される第2電極EL2と、([0116])
第2電極EL2上に設けられる封止層SLと、([0120])
バッファ層BF、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜IL及び第1絶縁層INS1中の、屈曲可能領域BAに対応する領域を除去することによって提供される第2開口OPN2と、([0134])
第2開口OPN2中に設けられ、第2開口OPN2の少なくとも一部を満たす第2絶縁層INS2と、([0137])
第1絶縁層INS1と第2絶縁層INS2の上に設けられ、第2絶縁層INS2と第3絶縁層INS3の間に設けられる第2ラインL2と、を有し([0139]、[0164])
第2絶縁層INS2は、弾性及び可撓性を有する有機材料からなる有機絶縁層であり、([0138]、[0140])
第2開口OPN2は屈曲可能領域BAに対応するように、第2開口OPN2は屈曲可能領域BAと重複しており、屈曲可能領域BAは非表示領域NDAに設けられ、([0135]、[0142])
第3絶縁層INS3とその上に設けられる第4絶縁層INS4は、屈曲可能領域BAを覆っており([0144]、FIG.3)、
封止層SLは、下側から順に、無機材料からなる第1封止層SL1と、ポリアクリル系化合物、ポリイミド系化合物、テフロン(登録商標)などのフッ素含有炭素化合物、ベンゾシクロブテン化合物などの有機絶縁材料を使用する有機材料からなる第2封止層SL2と、無機材料からなる第3封止層SL3とから形成され、([0120]、FIG.3)
第2封止層SL2は、第2封止層SL2の端部が外側に露出しないように、第3封止層により完全に覆われ、([0120])
基板SUBの表示領域DA上に提供された画像を表示する複数の画素PXLがあり、([0065])
複数の画素PXLが第1方向DR1に延びる行と第2方向DR2に延びる列とのマトリックス形態で配列され、([0067])
非表示領域NDAには、画素PXLに接続された配線部LPと、画素PXLを駆動する画素PXLに接続されたドライバを含み、([0069])
配線部LPは、第2ラインL2を含み、([0127])
屈曲可能領域BAにおいて屈曲される、([0140])
表示装置。」
3 対比
(1) 本件補正発明1と引用発明とを対比すると、引用発明の下記左側に記載した構成は、それぞれ本件補正発明1の下記右側に記載した構成に相当する。
<引用発明> <本件補正発明1>
表示装置 フレキシブル表示パネル
基板SUB フレキシブルベース基板
バッファ層BF 隔離バッファ層
アクティブパターンACT 活性層
ゲート絶縁層GI 第1ゲート絶縁層
ゲート電極GE及びキャパシタ下部電極LE 第1ゲート層
層間絶縁膜IL 第2ゲート絶縁層
キャパシタ上部電極UE 第2ゲート層
第1絶縁層INS1 誘電体層
ソース電極SE及びドレイン電極DE ソース・ドレイン金属層
第3絶縁層INS3 平坦化層
(2) 引用発明の「バッファ層BF」、「ゲート絶縁層GI」、「層間絶縁膜IL」及び「第1絶縁層INS1」からなる積層は、「屈曲可能領域BAに対応する領域」を有し、「屈曲可能領域BAは非表示領域NDAに設けられ[る]」から、引用発明の当該積層は、本件補正発明1の「前記非表示領域を覆う、前記誘電体層、前記第2ゲート絶縁層、前記第1ゲート絶縁層、前記隔離バッファ層及びそれらの混合体からなる群からの少なくとも一つの層又は複数の層を含[む]」「第1層」に相当する。
そうすると、引用発明の「第2開口OPN2」は、「バッファ層BFと、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜IL及び第1絶縁層INS1中の、屈曲可能領域BAに対応する領域を除去することによって提供される」から、本件補正発明1の「前記第1層の少なくとも一部を貫通するトレンチ」に相当する。
また、引用発明の「第2開口OPN2中に設けられ、第2開口OPN2の少なくとも一部を満たす第2絶縁層INS2」は、本件補正発明1の「前記トレンチ内に位置する第2層」に相当する。
(3) 引用発明の「第2絶縁膜INS2の上に設けられ[る]」「第2ラインL2」は、「配線部LP」に含まれるものであり、金属からなることは明らかであるから、本件補正発明1の「前記第2層上に位置する金属層」に相当する。
(4) 引用文献1の[0140]の「the second lines L2 may be provided on the second insulating layer INS2 formed of organic material having elasticity and flexibility, thus minimizing defects on the second
lines L2. In other words, according to an exemplary embodiment of
the inventive concept, the inorganic insulating layer made having
low elasticity and flexibility may be removed in the bendable area
BA to maintain the flexibility and elasticity of the substrate SUB.」(当合議体訳:第2ラインL2は、弾性及び可撓性を有する有機材料で形成された第2絶縁層INS2上に提供され得るので、第2ラインL2の欠陥を最小化することができる。言い換えれば、本発明の概念の例示的な実施形態によれば、基板SUBの可撓性及び弾性を維持するために、低い弾性及び可撓性を有する無機絶縁層が、屈曲可能領域BAにおいて除去されてもよい。)との記載を踏まえれば、引用発明の「有機材料からなる有機絶縁層」である「第2絶縁層INS2」は、「無機材料からなる無機絶縁層」である「バッファ層BF」、「ゲート絶縁層GI」、「層間絶縁膜IL」及び「第1絶縁層INS1」からなる積層より、弾性率が小さいことは明らかである。
そうすると、引用発明の「バッファ層BF」、「ゲート絶縁層GI」、「層間絶縁膜IL」及び「第1絶縁層INS1」からなる積層と、「第2絶縁層INS2」は、本件補正発明1の「前記第2層は、前記第1層より小さい弾性率を有」することに相当する関係を有する。
(5) 引用発明の「第2ラインL2」は、「第1絶縁層INS1」「の上に設けられ[る]」ものであるから、「バッファ層BF」、「ゲート絶縁層GI」、「層間絶縁膜IL」及び「第1絶縁層INS1」からなる積層と同一の層にないことは明らかであり、本件補正発明1の「前記金属層は前記第1層と同一の層に存在[しない]」ことに相当する関係を有する。
(6) 引用発明において、「第2開口OPN2は屈曲可能領域BAに対応するように、第2開口OPN2は屈曲可能領域BAと重複して[いる]」ことは、「屈曲可能領域BAは非表示領域NDAに設けられ[る]」から、本件補正発明1の「前記トレンチは、前記フレキシブル表示パネルの非表示領域内に位置[する]」ことに相当する。
(7) 引用発明では、「複数の画素PXLが第1方向DR1に延びる行と第2方向DR2に延びる列とのマトリックス形態で配列され」ているから、「画素PXL」のアレイ及び信号線があることは明らかである。
そうすると、引用発明の「表示領域DA上に提供された画像を表示する複数の画素PXLがあり」、「非表示領域NDA」に、「画素PXLを駆動する画素PXLに接続されたドライバ」があることは、本件補正発明1の「前記フレキシブル表示パネルは、表示領域を更に含み、前記表示領域は、サブピクセルのアレイ及び信号線を備え、前記非表示領域は、駆動チップを備え[る]」ことに相当する。
(8) 引用発明において、「配線部LPは、第2ラインL2を含[む]」から、「第2ラインL2」が「リード線」であることは明らかである。
また、引用発明は、「屈曲可能領域BAにおいて屈曲される」ものであるから、「屈曲可能領域BA」は「屈曲領域」ということもできる。
そうすると、本件補正発明1と引用発明は、「前記金属層は、リード線であり、前記屈曲可能領域は、屈曲領域であ[る]」点で一致する。
(9) 引用発明の「第2ラインL2」は、「第1絶縁層INS1と第2絶縁層INS2の上に設けられ、第2絶縁層INS2と第3絶縁層INS3の間に設けられる」から、第2絶縁層INS2の上に第2ラインL2があり、第2ラインL2の上に第3絶縁層INS3があるといえる。
そうすると、引用発明において、「第3絶縁層INS3とその上に設けられる第4絶縁層INS4は、屈曲可能領域BAを覆って[いる]」から、引用発明の「屈曲可能領域BAを覆[う]」「第3絶縁層INS3」及び「第4絶縁層INS4」は、本件補正発明1の「少なくとも前記屈曲領域を覆う、前記リード線の前記フレキシブルベース基板から遠ざかる面の上に位置する第2バッファ層」に相当する。
(10) 引用発明の「第2電極EL2上に設けられる封止層SL」は、「各画素PXLに対応するように領域を分割するための画素定義層PDL」よりも上にあることは明らかであるから、「画素PXL」のアレイの上にあるといえる。
そうすると、引用発明において、「封止層SL」において、「下側から順に」「形成され[た]」「無機材料からなる第1封止層SL1と、ポリアクリル系化合物、ポリイミド系化合物、テフロン(登録商標)などのフッ素含有炭素化合物、ベンゾシクロブテン化合物などの有機絶縁材料を使用する有機材料からなる第2封止層SL2と、無機材料からなる第3封止層SL3」は、本件補正発明1の「前記サブピクセルのアレイ上に順に積層された第1無機層、有機層、及び第2無機層」に相当する。
(11) 前記(1)~(10)からすると、引用発明と本件補正発明1は、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
(相違点1)
本件補正発明1では、「前記第2層及び前記金属層の少なくとも一部は、前記屈曲可能領域の屈曲中において、前記屈曲可能領域と共形であ[る]」のに対して、引用発明では、そのような構成は明示されていない点。
(相違点2)
本件補正発明1では、「前記有機層が、前記第1無機層及び前記第2無機層により囲まれて[いる]」のに対して、引用発明では、引用発明の第2封止層SL2(有機層)は、第2封止層SL2の端部が外側に露出しないように、第3封止層SL3(第2無機層)により完全に覆われるものであるが、第1封止層SL1(第1無機層)と第3封止層により囲まれているか明らかでない点。
(相違点3)
本件補正発明1では、「前記第2バッファ層と前記有機層は、同一の材料からなる」のに対して、引用発明では、そのような構成は明示されていない点。
4 判断
(1) 相違点1について
「共形である」とは、その字義からして、形を共にするという意味であると理解される。また、本件明細書の発明の詳細な説明において、「前記第2層及び前記金属層の少なくとも一部は、前記屈曲可能領域の屈曲中において、前記屈曲可能領域と共形であってもよい。即ち、前記屈曲可能領域を屈曲させる前、前記第2層及び前記第3層の少なくとも一部は、前記屈曲可能領域に共形な形状を有する。さらに、前記屈曲可能領域の屈曲中、前記第2層及び前記第3層の少なくとも一部は、前記屈曲可能領域に共形な形状を維持する。」(【0024】)と記載されていることからも、本件補正発明1における「前記第2層及び前記金属層の少なくとも一部は、前記屈曲可能領域の屈曲中において、前記屈曲可能領域と共形であ[る]」とは、「前記第2層及び前記金属層の少なくとも一部」が、「前記屈曲可能領域の屈曲中において」、「前記屈曲可能領域」と形状を共にしていることを意味するものである。
一方、 引用発明に関し、引用文献1の[0140]には、次のとおり記載されている。
「As described above, in FIG. 3, the display device is illustrated prior to being bent. However, the display device may be bent in the bendable area BA. The display device may be formed to be flat, and is eventually bent. When the display device is bent after
manufacturing, tensile stress may be applied to the second lines L2 during the process of the bending of the substrate SUB, etc.
However, as described above, the second lines L2 may be provided on the second insulating layer INS2 formed of organic material having
elasticity and flexibility, thus minimizing defects on the second
lines L2. In other words, according to an exemplary embodiment of
the inventive concept, the inorganic insulating layer made having
low elasticity and flexibility may be removed in the bendable area
BA to maintain the flexibility and elasticity of the substrate SUB. In addition, defects may be reduced, which occur when the insulating layers made of inorganic materials, which have low elasticity and
flexibility, are bent.」
(当合議体訳:上述したように、図3では、表示装置は折り曲げられる前の状態で図示されている。しかしながら、表示装置は、屈曲可能領域BAにおいて折り曲げられることがある。表示装置は平坦に形成され、最終的に曲げられることがある。製造後、表示装置が折り曲げられる場合、基板SUBが折り曲げられる過程などで、第2ラインL2に引張応力が加えられることがある。しかし、上述したように、第2ラインL2は、弾性及び可撓性を有する有機材料で形成された第2絶縁層INS2上に提供され得るので、第2ラインL2の欠陥を最小化することができる。言い換えれば、本発明の概念の例示的な実施形態によれば、基板SUBの可撓性及び弾性を維持するために、低い弾性及び可撓性を有する無機絶縁層が、屈曲可能領域BAにおいて除去されてもよい。更に、弾性及び柔軟性の低い無機材料からなる絶縁層を折り曲げたときに発生する欠陥を低減することができる。)
この記載からすると、引用発明の「第2絶縁層INS2」及び「第2ラインL2」は、平坦に形成され、その後折り曲げられる過程において、第2絶縁層INS2が弾性及び可撓性を有することから、第2ラインL2の欠陥を最小化して、屈曲可能領域BAにおいて折り曲げられることができるものである。積層された各層が折り曲げられた際に形が異なれば、各層間に剥離(欠陥)が生じているということであるから、引用発明において、「第2絶縁層INS2」(第2層)及び「第2ラインL2」(金属層)は、折り曲げられる過程において、屈曲可能領域BAと形状を共にしていることは明らかである。
そうすると、相違点1は、実質的に相違するものではない。
(2) 相違点2について
引用発明に関し、引用文献1の[0120]には、次のとおり記載されている。
「According to an exemplary embodiment of the inventive concept,
the first sealing layer SL1 may be made of an inorganic material,
the second sealing layer SL2 may be made of an organic material, and the third sealing layer SL3 may be made of an inorganic material.
For inorganic layers, infiltration of moisture or oxygen may be
better prevented, but they are more susceptible to cracks due to
less elasticity or flexibility. Spreading of cracks may be prevented by forming the first sealing layer SL1 and the third sealing layer SL3 with inorganic material, and forming the second sealing layer
SL2 with organic material. The second sealing layer SL2 formed with organic material may be completely covered by the third sealing
layer SL3 so that the end portions of the second sealing layer SL2
are not externally exposed.」
(当合議体訳:本発明の概念の例示的な実施形態によれば、第1封止層SL1は無機材料で作ることができ、第2封止層SL2は有機材料で作られてもよく、第3封止層SL3は無機材料で作られてもよい。無機層により水分又は酸素の侵入をより確実に防止することができるが、それらは、より小さい弾性又は可撓性のために亀裂を生じやすい。亀裂の広がりは、第1封止層SL1及び第3封止層SL3を無機材料により形成し、第2封止層SL2を有機材料により形成することにより、防止することができる。有機材料で形成された第2封止層SL2は、第3封止層SL3により完全に覆うことができ、第2の封止層SL2の端部が外側に露出しないようになっている。)
これら記載からすると、引用発明の「第2封止層SL2」が「第2封止層SL2の端部が外側に露出しないように、第3封止層により完全に覆われ[る]」のは、弾性又は可撓性の大きい有機層からなる第2封止層SL2により、弾性又は可撓性が小さいために亀裂を生じやすい無機材料からなる第1封止層SL1及び第3封止層SL3の亀裂の広がりを防止して、封止層SLの積層構造全体として画素PXLのアレイを封止するとともに、無機材料からなる第3封止層SL3により第2封止層SL2を完全に覆うことによって、水分又は酸素の侵入をより確実に防止して、有機材料からなる第2封止層SL2の劣化を防止するためのものといえる。
そして、第2封止層SL2の下方からも水分又は酸素が侵入し得ることは、当業者にとって自明であるから、第2封止層SL2の下方に存在する無機層からなる第1封止層SL1により、第2封止層SL2を下方からも完全に覆うようにすること、すなわち、第1封止層SL1及び第3封止層SL3により第2封止層SL2を囲むようにすることによって、相違点2に係る本件補正発明1の構成とすることは、当業者であれば当然に実施すべきことにすぎない。
さらに加えていうと、画素アレイ上に設けられた封止層について、有機層を上下の無機層により囲むように構成することは、例えば米国特許出願公開第2017/0288007号明細書(FIG.4及び[0097])や米国特許出願公開第2017/0237025号明細書(FIG.2及び[0155])等に例示されるように、本願の優先日前に周知の技術であるから、引用発明に当該周知技術を適用して、相違点2に係る本件補正発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(3) 相違点3について
引用発明において、「第3絶縁層INS3」及び「第4絶縁層INS4」(その「屈曲可能領域BA」を覆う部分は、本件補正発明1の「第2バッファ層」に相当する。)は、いずれも「ポリアクリル系化合物、ポリイミド系化合物、テフロン(登録商標)などのフッ素含有炭素化合物、ベンゾシクロブテン化合物などの有機絶縁材料を含む有機材料からなる」ものである。
また、引用発明において、「第2封止層SL2」(本件補正発明1の「有機層」に相当)は、「ポリアクリル系化合物、ポリイミド系化合物、テフロン(登録商標)などのフッ素含有炭素化合物、ベンゾシクロブテン化合物などの有機絶縁材料を使用する有機材料からなる」ものである。
このように、引用発明の「第3絶縁層INS3」及び「第4絶縁層INS4」と「第2封止層SL2」において、例示されている材料が同じであって、これらが同じ材料を使用してはならない事情も認められないから、材料調達の便宜などを考慮して、これらを同一の材料からなるように構成して、相違点3に係る本件補正発明1の構成とすることは、当業者が適宜なし得たことである。
なお、引用発明において、「屈曲可能領域BA」における「第3絶縁層INS3」及び「第4絶縁層INS4」は、「表示領域DA」における「第3絶縁層INS3」及び「第4絶縁層INS4」と、同じプロセスにより同時に形成されるものであり、「第2封止層SL2」とは異なるプロセスにより形成されるものと考えられる。しかし、本件補正発明1において、第2バッファ層と有機層が同じプロセスにより同時に製作されるものであることは特定されておらず、このことによる作用効果も本件補正発明1の作用効果とはいえないから、引用発明の「第3絶縁層INS3」及び「第4絶縁層INS4」が「第2封止層SL2」とは異なるプロセスにより形成されることは、相違点3についての上記の判断を左右するものではない。
5 むすび
以上のとおり、本件補正発明1は、引用発明に基づいて、又は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(付記終わり)
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-020461