商標拒絶査定不服審判
2022-019822
カグラ
- 審判番号
- 2022-019822
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-044418
- 請求日
- 2022年12月07日
- 審決日
- 2023年12月27日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社丸武
- 【請求人代理人】太田 洋子
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 岩谷 禎枝
- 分類
- T18 .261-Z (W1825) / T18 .262-Z (W1825) / T18 .263-Z (W1825)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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商願2022-44418拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯について
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第18類及び第25類に属する願書記載のとおりの商品(以下「原審商品」という。)を指定商品とし、令和4年4月15日に登録出願されたものである。
本願は、令和4年9月9日に拒絶の理由が通知(以下「拒絶理由通知」という。)され、同年10月19日付けで意見書が提出されたが、同月24日に拒絶査定され、これに対し、同年12月7日付けで拒絶査定不服審判が請求され、本願の指定商品は、同日付けの手続補正書により、第18類「かばん類,袋物,工具袋(中身が入っていないもの)」及び第25類「被服,作業服,手袋,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」(以下「当審補正商品」という。)に補正されたものである。
第2 引用商標
拒絶理由通知において、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した商標は、以下の1ないし3のとおりである。
1 登録第4364453号商標(以下「引用商標1」という。)は、「神楽 KAGURA」の文字を標準文字で表してなり、平成11年2月1日に登録出願、第25類「靴類」を指定商品として、同12年3月3日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
2 登録第5360038号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成22年4月6日に登録出願、第18類「皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,ずきん,ナイトキャップ,帽子,防暑用ヘルメット,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年10月8日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
3 登録第6663790号商標(商願2021-84253号)(以下「引用商標3」という。)は、「KAGRA」の文字を標準文字で表してなり、令和3年7月6日に登録出願、第9類、第14類、第16類、第18類、第20類、第21類、第24類ないし第26類、第28類、第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載の商品(別掲3)を指定商品として、同5年1月19日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
なお、引用商標3は、上記のとおり、拒絶理由通知時及び拒絶査定時は、登録出願中であり、拒絶査定不服審判の請求後に設定登録されたものである。
以下、引用商標1ないし引用商標3をまとめて、「引用商標」という場合がある。
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、本願商標と引用商標1は「カグラ」の称呼及び「神楽」等の観念を共通にする類似の商標であって、原審商品中の「履物」と引用商標1に係る指定商品「靴類」は、同一又は類似の商品であるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審における審尋
当審において、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)に対し、令和5年10月17日付け審尋(以下「審尋」という。)により、本願商標は、引用商標3と類似する商標であり、かつ、当審補正商品と引用商標3に係る指定商品は、同一又は類似の商品であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
第5 審尋に対する請求人の意見(要点)
請求人は、上記第4の審尋に対し、令和5年11月16日付け回答書(以下「回答書」という。)を提出し、要旨、以下1及び2のとおりの意見を述べた。
1 引用商標3の欧文字「KAGRA」からは、「岐阜県飛騨市、旧神岡鉱山内に建設された東京大学宇宙線研究所の重力波望遠鏡」等の観念が生じるといえ、そうすると、本願商標と引用商標3とは、称呼を共通にするものの、外観において明確に区別でき、かつ、観念において相紛れるものではないことから、これらを総合して全体的に考察すれば、両商標は、類似しないというのが相当である。
2 過去の登録例から、本願商標と引用商標3とは類似しないと判断されるべきである。
第6 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本願商標と引用商標3について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、略四角形の黒枠(以下「黒枠」という。)内に、上部が蝶結び状の建物をモチーフとした図形(以下「建物図形」という。)と、建物図形の下に「KAGURA」の欧文字とを横書きしてなるものである。
そして、本願商標を構成する黒枠、建物図形及び「KAGURA」の欧文字は、重なることなく配置されており、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえず、それぞれが、視覚的に分離して把握されるものである。
また、本願商標の構成中の建物図形及び「KAGURA」の欧文字は、大きく表されていることから、いずれも、看者に対し、強く支配的な印象を与える部分といえる。
さらに、本願商標の構成中の「KAGURA」の欧文字は、「カグラ」の自然な称呼が生じるところ、「カグラ」と称呼する成語には、「皇居および皇室との関連が深い神社で神をまつるために奏する歌舞。」(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)の意味を有する「神楽」があるが、一般に親しまれた語とはいい難いことから、これよりは、直ちに特定の観念は生じないものであり、また、「KAGURA」の欧文字は、本願の指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を有する語である。
加えて、本願商標の構成中の黒枠及び建物図形は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないため、これらよりは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
以上を総合すると、本願商標は、黒枠内に建物図形とその下に「KAGURA」の欧文字とを横書きしてなるところ、各構成部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められず、「KAGURA」の欧文字は、看者に対し、強く支配的な印象を与えることから、引用商標との類否を判断するに当たって、その構成中の「KAGURA」の欧文字を本願商標の要部として抽出し、この部分のみを引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、本願商標は、その構成中の「KAGURA」の欧文字に相応して「カグラ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標3について
引用商標3は、上記第2の3のとおり、「KAGRA」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、一般の辞書等に載録された親しまれた英単語とは認められず、また、当該文字が、成語をローマ字で表記したものとも認められないものであるため、これよりは、特定の観念は生じないものである。
そうすると、引用商標3は、「KAGRA」の文字に相応して「カグラ」の称呼を生じるものと判断するのが自然である。
したがって、引用商標3は、その構成中の「KAGRA」の欧文字に相応して「カグラ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
ウ 本願商標と引用商標3の類否について
本願商標と引用商標3とを比較すると、両商標は、構成全体を見た場合、外観において相違するが、本願商標の要部である「KAGURA」の欧文字と引用商標3の「KAGRA」の欧文字とを比較すると、書体の違いはあるものの、「KAG」及び「RA」の5文字を共通にし、中間に位置する「U」の欧文字の有無のみが相違するにとどまるものであるから、外観上、類似する。
また、本願商標の要部である「KAGURA」の欧文字に相応して生じる「カグラ」の称呼と、引用商標3の「KAGRA」の欧文字に相応して生じる「カグラ」の称呼とは同一である。
そうすると、本願商標と引用商標3は、いずれも特定の観念は生じないことから、観念において比較できないとしても、外観において類似し、「カグラ」の称呼を共通にすることから、これらは、相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
エ 当審補正商品と引用商標3に係る指定商品との類否
当審補正商品は、引用商標3に係る指定商品と同一又は類似の商品である。
オ 小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標3と類似する商標であり、かつ、当審補正商品は、引用商標3に係る指定商品と同一又は類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)本願商標と引用商標1について
原審商品は、当審補正商品に補正された結果、引用商標1に係る指定商品と同一又は類似の商品は削除されたものである。
その結果、当審補正商品と引用商標1に係る指定商品は、類似しない商品となった。
したがって、引用商標1との関係において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定の拒絶理由は解消した。
(3)本願商標と引用商標2について
ア 本願商標は、上記(1)のとおり、その構成中の「KAGURA」の欧文字に相応して「カグラ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標2について
引用商標2は、別掲2のとおり、「神蔵」の漢字を毛筆風に縦書きし、「蔵」の漢字の左横に「か」、「ぐ」、「ら」及び「や」の文字が記された赤地の刻印が配されてなるものであるから、「神蔵」の漢字に相応して「カミクラ」又は「カグラ」の称呼が生じ、「かぐらや」の平仮名より「カグラヤ」の称呼が生じ、「神蔵」の漢字及び「かぐらや」の平仮名は、一般の辞書等に載録された親しまれた語とは認められないため、これらよりは、特定の観念は生じないものである。
したがって、引用商標2は、その構成中の「神蔵」の漢字に相応して「カミクラ」又は「カグラ」の称呼、「かぐらや」の平仮名より、「カグラヤ」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
ウ 本願商標と引用商標2の類否について
本願商標と引用商標2とを比較すると、両商標は、構成全体を見た場合、外観において相違し、本願商標の要部である「KAGURA」の欧文字と引用商標2の外観を比較しても、外観において明らかに相違する。
また、本願商標は、「カミクラ」、「カグラヤ」又は「カグラ」の称呼が生じるのに対し、引用商標2は、「カグラ」の称呼が生じるものであるから、本願商標より「カグラ」の称呼が生じる場合は、引用商標2と称呼を共通にし、本願商標より「カミクラ」又は「カグラヤ」の称呼が生じる場合は、引用商標2より生じる「カグラ」の称呼とは、音数が相違するため、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、本願商標と引用商標2は、いずれも特定の観念は生じないため、観念において比較することはできない。
そうすると、本願商標と引用商標2は、観念において比較し得ず、本願商標より「カミクラ」又は「カグラヤ」の称呼が生じる場合は、明瞭に聴別し得るものであり、「カグラ」の称呼を共通にする場合があるとしても、外観上、その印象は著しく相違し、判然と区別し得ることから、両商標における称呼の類似性を凌駕するといえ、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 当審補正商品と引用商標2に係る指定商品との類否
当審補正商品は、引用商標2に係る指定商品と同一又は類似の商品である。
オ 小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標2と非類似の商標であるから、当審補正商品と引用商標2に係る指定商品が同一又は類似のものであるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 請求人の主張
(1)請求人は、回答書において、引用商標3の欧文字「KAGRA」からは、「岐阜県飛騨市、旧神岡鉱山内に建設された東京大学宇宙線研究所の重力波望遠鏡」等の観念が生じるといえ、そうすると、本願商標と引用商標3とは、称呼を共通にするものの、外観において明確に区別でき、かつ、観念において相紛れるものではないことから、これらを総合して全体的に考察すれば、両商標は、類似しないというのが相当である旨主張する。
しかしながら、本願商標を構成する建物図形及び「KAGURA」の欧文字は重なることなく配置されており、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえず、それぞれが、視覚的に分離して把握されること、建物図形及び「KAGURA」の欧文字は、いずれも特定の観念は生じず、建物図形及び「KAGURA」の欧文字とが、その意味合いを共通にする等の関連性がないことからすると、これらを一体のものとして看取すべき理由はない。
なお、仮に、引用商標3より、「岐阜県飛騨市、旧神岡鉱山内に建設された東京大学宇宙線研究所の重力波望遠鏡」のような観念が生じ、本願商標と引用商標3の観念が紛れないとしても、両商標は、外観において類似し、「カグラ」の称呼を共通にすることから、これらは、相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(2)請求人は、回答書において、過去の登録例から、本願商標と引用商標3とは類似しないと判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、商標の類否の判断は、登録出願に係る商標と他人の商標との対比において、個別具体的に判断されるべきものであるから、過去の登録例の存在が、本願商標と引用商標3との類否の判断を左右するものではない。
(3)請求人の上記主張は、いずれも採用することができず、その他の請求人の主張も採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、引用商標1との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定の拒絶理由は解消し、引用商標2との関係において、本願商標と引用商標2は非類似の商標であるから、当審補正商品と引用商標2に係る指定商品が同一又は類似するとしても、同項第11号に該当しないものである。
しかしながら、本願商標は、引用商標3との関係において、本願商標と引用商標3は、類似の商標であり、かつ、当審補正商品は、引用商標3に係る指定商品と同一又は類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものであり、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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