2022-019445
積層体、包装材料、包装袋およびスタンドパウチ
- 審判番号
- 2022-019445
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-185982外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年12月01日
- 審決日
- 2024年08月16日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .113-WZ (B32B) / P18 .121-WZ (B32B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成30年9月28日の出願であって、その手続の経緯の概略は次のとおりである。
(令和4年 9月 2日 :原査定の謄本の送達)
第2 本願発明
本願の請求項1~7に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)は、それぞれ令和6年4月1日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1の記載は次のとおりである。
「基材と、接着層(ただし、官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)、官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(B)、リン酸変性化合物(C)および板状無機化合物を含有し、主骨格が、ポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテル、またはポリエーテルポリウレタンを含有してなる接着剤用樹脂組成物から形成された接着剤層を除く)と、ヒートシール層とを備える積層体であり、前記基材および前記ヒートシール層がポリエチレンから構成され、前記積層体全体におけるポリエチレンの含有量が、90質量%以上であり、前記基材と前記接着層との間、および前記ヒートシール層と前記接着層との間の少なくとも一方に蒸着膜を備え、前記基材が、中密度ポリエチレンを含有する層を少なくとも含む多層構造を有し、長手方向(MD)の延伸倍率が2倍以上10倍以下である、一軸延伸フィルムからなることを特徴とする、積層体。」
第3 当審拒絶理由の概要
令和6年2月9日付けで通知した拒絶理由の概要は、次のとおりのものである。
拒絶理由1(新規性)
本願の請求項1~7に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項3号に該当し特許を受けることができない。
拒絶理由2(進歩性)
本願の請求項1~7に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、引用文献2に記載された発明及び引用文献3に記載された事項に基いて、又は引用文献4に記載された発明及び引用文献3に記載された事項に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開平2-70433号公報
2.特表2018-511504号公報
3.特開2018-16012号公報
4.特開平3-153346号公報
第4 当審の判断
当審は、以下に示すとおり、令和6年4月1日提出の手続補正書による補正及び意見書の内容を考慮しても、上記第3に記載した拒絶理由2(引用文献2を主引用例とする進歩性)は解消していないと判断する。
1 引用文献の記載、引用発明等
(1) 引用文献2
ア 引用文献2に記載された事項
引用文献2には、次の事項が記載されている(下線のうち引用文献2に付されていないものについては当審が追加で付した。)。
「【請求項1】ポリマー材料から作製される積層構造体であって、前記積層構造体が、A)A.1) HDPE組成物を含む第1-A層;並びに続きを表示(全16行)A.2) LLDPE、MDPE及びHDPEからなる群から選択されるポリエチレンを含む第2-A層を含む外側ウェブ、B)B.1) 前記外側ウェブと接触する第1-B層であって、前記第1-B層が、LLDPE及びMDPEからなる群から選択されるポリエチレンを含む層;B.2) HDPE組成物を含む第2-B層;並びにB.3) シーラント組成物を含む第3-B層を含む内側ウェブ、但し、I) 前記外側ウェブが、前記内側ウェブに積層され、II) 前記積層構造体が、前記外側層と前記内側層との境界面にて印刷され、III) 前記HDPE、MDPE、LLDPE及びシーラントポリエチレンが、全体として、前記積層構造体を調製するのに用いられる前記ポリマー材料の少なくとも95重量%を形成することを含む、構造体。」
「【請求項3】前記外側ウェブが、2:1から10:1のドローダウン比を有する縦方向配向に供される、請求項1に記載の構造体。【請求項4】前記外側ウェブが、2:1から10:1の縦方向配向に供される、請求項2に記載の構造体。」
「【請求項6】バリア層が、前記第1-B層と前記第2-B層との間に位置するときはいつも、前記内側ウェブが、前記バリア層を更に含む、請求項1に記載の構造体。」
「【0009】本発明を実施するための最良の形態本発明の積層構造体は、2つのウェブを用いて調製されるが、その各々が、少なくとも1層のHDPEを含有していなければならない。第1ウェブの少なくとも1層のHDPE層は、より低密度のポリエチレンの層によって第2ウェブの少なくとも1層のHDPE層から分離され、それにより所定量のHDPEに対するSUPの硬性(rigidity)を最適化する。2つのウェブを、一緒に積層する。続きを表示(全23行)一実施形態では、積層構造体は、2つのウェブの間の境界面に、-即ち、第1ウェブの内側表面上又は第2ウェブの外側表面上のいずれかに印刷される。続いて、第1(外側)ウェブ;第2(内側)ウェブ;接着剤、及び印刷を詳細に説明する。【0010】1.第1(外側)ウェブ、又は“A”ウェブ第1(外側)ウェブは、積層構造体の外壁を形成する。一実施形態では、本発明の積層構造体は、第1ウェブと第2(内部)ウェブとの間の境界面に印刷される。従って、これは、印刷を見るために、外側ウェブ「を介して見る」ことが必要であることを意味する。従って、外側ウェブのヘイズ値が低いことが望ましい。加えて、「光沢」については、多くの消費者が、高光沢仕上げを高品質の指標であると認識しているので、高いのが望ましい。更に、積層構造体から作製されたSUPが自立するように、外側層により、積層構造体に剛性/硬性(stiffness/rigidity)がもたらされることが望ましい。従って、良好な光学的特性と剛性とのバランスが、外側ウェブに求められる。HDPEは、所望の剛性をもたらすことが知られているが、HDPEは、光学的特性が低いこともまた知られている。本発明は、この問題を以下のように解決する。一実施形態では、HDPEの非常に薄い層が、外側ウェブにて、より低密度のポリエチレンの層と共に使用される;別の実施形態では、外側ウェブには、ウェブのモジュラス(剛性(stiffness))及び光学的特性を改善するのに十分な量にて、縦方向配向(MDO)が施される。続いて、これらの2つの実施形態を更に説明する。【0011】多-層外側ウェブ又はウェブA一般に、SUPの外側ウェブを形成するのに用いられる厚い単層HDPEフィルムは、構造体に適切な剛性を付与するのに使用することができる。しかし、HDPEの厚い層には、光学的特性が低いという欠点がある。このことは、SUPを不透明にする外側ウェブの外側(スキン)の側を印刷することによって解決できる。しかし、この設計では、印刷が、SUPの輸送及び取扱いの間に、容易に傷つき且つ損傷する可能性があるので、乱暴な扱い対して余り耐性がない。一実施形態では、本発明は、少なくとも1層(「層A.1」)が、HDPEから調製され、且つ少なくとも1層(「層A.2」)が、より低密度のポリエチレン(例えば、LLDPE、LD又はVLDPE)から調製される同時押出多層フィルムを外側ウェブに対して使用することによって、これらの問題を軽減する。一実施形態では、HDPEは、メルトインデックス(I2)0.1から10(特に、0.3から3)グラム/10分を有することによって、更に特徴付けられる。一実施形態では、LLDPEは、メルトインデックス(I2)0.1から5(特に、0.3から3)グラム/10分を有することによって、更に特徴付けられる。一実施形態では、LLDPEは、シングルサイト触媒(例えば、メタロセン触媒)を用いて調製されることによって、分子量分布(Mw/Mn)(即ち、重量平均分子量を数平均分子量によって割算したもの)約2から約4を有することによって、更に特徴付けられる。このタイプのLLDPEは、典型的に、sLLDPEと称される。」
「【0017】外側ウェブの縦方向配向(MDO:Machine Direction Orientation)別の実施形態では、外側ウェブは、少なくとも1層のHDPEと、少なくとも1層のより低密度のポリエチレン、例えば、MDPE又はLLDPEとを含む同時押出フィルムである多層である。この構造体を、縦方向配向(又は、MDO)に供する。続いて、このような構造体及びその構造体の調製を説明する。【0018】MDOウェブMDOウェブは、多層フィルムから調製されるが、その層の少なくとも1層が、HDPE組成物から調製され、その層の少なくとも1層が、HDPE組成物よりも、低い密度を有するポリエチレン組成物から調製される。縦方向配向(MDO)は、当業者に周知であり、この方法は文献に広く記載されている。MDOは、フィルムが形成された後に行われる。「前駆体」フィルム(即ち、MDOプロセスの前に存在するフィルム)は、任意の従来のフィルム成形プロセスにて形成することができる。広く商業的に使用され、(及び前駆体フィルムの調製に適している)2つのフィルム成形プロセスは、インフレーションフィルムプロセス及びキャストフィルムプロセスである。前駆体フィルムは、MDOプロセスにおいて延伸される(又は、換言すれば、歪みが与えられる)。延伸は、主に、一方向、即ち、最初のフィルム成形プロセスから「縦方向」(即ち、横方向とは反対の方向)である。延伸に伴ってフィルムの厚さは、減少する。最初の厚さが10ミルであり、延伸後の最終的な厚さが1ミルである前駆体フィルムは、「延伸比(stretch ratio)」又は「ドローダウン(draw down)」比10:1を有すると記載され、最初の厚さが10ミルであり、最終的な厚さが2ミルである前駆体フィルムは、「延伸」又は「ドローダウン」比2:1を有すると記載される。」
「【0020】B.内側ウェブ内側ウェブは、積層構造体から調製されたSUPの内側を形成する。内側ウェブは、少なくとも3つの層を含む同時押出フィルムである、即ち、B.1) LLDPE及びMDPEからなる群から選択される少なくとも1種のポリエチレンから調製される第1層(又は境界面スキン層);B.2) HDPE組成物を含むコア層;及びB.3) シーラントポリエチレンから調製されるシーラント層(又は内側スキン層)。続いて、更に説明する。」
「【0030】更に、核形成剤が存在すると、HDPE層のモジュラスを(同等の厚さの非核形成層と比べって)改善することが観察されている。上記のタイプの核形成HDPEブレンド組成物を使用すると、酸素及び水の透過に対する「バリア」をもたらす。このバリア層の性能は、多くの品物に適している。しかし、当業者には、「バリア」性能は、エチレン-ビニルアルコール(EVOH);アイオノマー及びポリアミド等の特定の「バリア」ポリマーを使用することによって改善することができることがわかる。このような非ポリエチレンバリア樹脂を多量に使用すると、ポリエチレンと非ポリエチレン材料の組合せを用いて作製されるフィルム/構造体/SUPをリサイクルするのが非常に困難になり得る。しかし、非ポリエチレン材料が少量(10重量%未満、特に5重量%未満)の場合、このような構造体をリサイクルすることは依然として可能である。特定の非ポリエチレンバリア樹脂を使用すると、非ポリエチレンバリア層とポリエチレンの残りの層との間の接着を可能にするための「結合層」を更に使用することが必要となることもまた、当業者には分かるであろう。【0031】B.3 シーラント層内側ウェブは、2つの外側層、又は「スキン」層、即ち、境界面スキン層(上のB.1の層)及び内側スキン層(本明細書では、シーラント層とも称される)を有する。シーラント層は、「シーラント」ポリエチレン-即ち、シーリング条件に供された場合、容易に融解してシールを形成する、あるタイプのポリエチレン、から調製される。当業者には、シーラントとして使用するのに2つのタイプのポリエチレンが、好ましいことが分かるであろう、即ち:1)密度約0.88から0.915g/ccを有するポリエチレンコポリマー;及び2)LDポリエチレン(前記のような)。より低密度のポリエチレンコポリマーを使用するのが好ましい。一般に、これらのより低密度のポリエチレンコポリマーのコストは、密度が低下するにつれて高くなるので、「最適な」ポリエチレンシーラント樹脂は、典型的に、最高密度のポリエチレンであり、これは、満足のいくシール強度をもたらす。密度約0.900から0.912g/ccを有するポリエチレンは、多くの用途に対して満足のいく結果をもたらすであろう。」
「【0034】積層/組立てプロセス積層構造体の組立てにおける1つの段階には、第1ウェブを第2ウェブに積層することが必要である。積層段階には、液体接着剤(溶媒系、無溶媒系、又は水系であり得る);ホットメルト接着剤、及び熱接合の使用を含む、多くの商業上入手可能な技術がある。一実施形態では、内側ウェブBは、外側ウェブAの約2倍の合計厚さを有する。例えば、外側ウェブAは、厚さ約1から約1.4ミルを有し、内側ウェブは、厚さ約2から約3ミルを有し得る。」
イ 上記アにより、引用文献2に記載されていると認められる事項
(ア)【0010】より、「外側ウェブ」は「積層体の外壁を形成する」ものであることは明らかである。
(イ)【0020】より、「内側ウェブ」は「シーラント層を含む」ものであることは明らかである。
(ウ)【0034】の「積層構造体の組立てにおける1つの段階には、第1ウェブを第2ウェブに積層することが必要である。積層段階には、液体接着剤(溶媒系、無溶媒系、又は水系であり得る);ホットメルト接着剤、及び熱接合の使用を含む、多くの商業上入手可能な技術がある。」の記載において、【請求項1】及び【0009】より第1ウェブ及び第2ウェブが「外側ウェブ」及び「内側ウェブ」のことを示すことが明らかであるから、「外側ウェブ」と「内側ウェブ」との間に「接着剤層」を有することは明らかである。
(エ)【請求項6】及び【0030】より、「シーラント層を含む内側ウェブにバリアポリマーを備え」ることは明らかである。
(オ)【0017】の「別の実施形態では、外側ウェブは、少なくとも1層のHDPEと、少なくとも1層のより低密度のポリエチレン、例えば、MDPE又はLLDPEとを含む同時押出フィルムである多層である。」より、「MDPE又はLLDPEを含む層を有する多層であ」る「外側ウェブ」が記載されていることは明らかである。
(カ)【0018】より、「縦方向配向ウェブ」は「縦方向の延伸比2:1~10:1」であることは明らかである。【0018】には、「最初の厚さが10ミルであり、最終的な厚さが2ミルである前駆体フィルムは、「延伸」又は「ドローダウン」比2:1を有する」と記載されており、「最初の厚さ」から「最終的な厚さ」の変化の数値に矛盾が含まれるが、【請求項3】及び【請求項4】には、「2:1から10:1のドローダウン比」と記載されているものである。また、「最初の厚さが10ミルであり、最終的な厚さが2ミルである」のドローダウン比を数値で表すと「5:1」であり、ここから導出される「10:1から5:1のドローダウン比」は「10:1から2:1のドローダウン比」に含まれる。
ウ 引用発明
上記ア及びイから、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「積層体の外壁を形成する外側ウェブと、接着剤層と、シーラント層を含む内側ウェブとを備える積層構造体であり、前記積層体の外壁を形成する外側ウェブおよび前記シーラント層を含む内側ウェブがポリエチレンから構成され、ポリエチレンが前記積層構造体を調整するのに用いられるポリマー材料の95重量%を形成し、シーラント層を含む内側ウェブにバリアポリマーを備え、前記積層体の外壁を形成する外側ウェブが、MDPE又はLLDPEを含む層を有する多層であり、縦方向の延伸比2:1~10:1とする、縦方向配向ウェブからなる、積層構造体。」
(2) 引用文献3
ア 引用文献3に記載された事項
引用文献3には、次の事項が記載されている(下線は当審が付した。)。
「【請求項1】基材層、接着剤層、バリア層、シーラント層を少なくとも有する積層体であって、前記接着剤層が酸素バリア性を有することを特徴とする積層体。【請求項2】前記基材層と接着剤層との間に、蒸着層と、バリアコート層とを有することを特徴とする請求項1に記載の積層体。」
「【0042】[蒸着層]本発明にかかる包装材料の積層体において、酸素ガスおよび水蒸気等に対するガスバリア性を高めるために、基材層の接着剤層と接する側に蒸着層を設けることができる。該蒸着層は、上記のバリア層と同様に、無機物または無機酸化物からなる蒸着膜が使用できるが、好ましくは、金属蒸着膜としてアルミ蒸着膜、また、金属酸化物蒸着膜として、アルミナ蒸着膜、シリカ蒸着膜が挙げられる。また、蒸着膜の形成方法についても、上記バリア層の形成方法と同様の公知の方法により形成することができる。【0043】本発明において、上記の基材層表面に蒸着層を形成する場合、蒸着層との密着性を向上させるために、基材層表面は、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的な処理や、化学薬品などを用いて処理する酸化処理などの化学的な処理を施すことが好ましい。」
イ 引用文献3記載事項
上記アから、引用文献3には、次の事項が記載されていと認められる。
「包装材料の積層体であって、基材層、接着剤層、バリア層、シーラント層を有し、基材層と接着剤層との間に、蒸着層を有する積層体。」(以下「引用文献3記載事項」という。)
2 対比
本願発明と引用発明を対比する。
引用発明の「積層体の外壁を形成する外側ウェブ」は、「外壁を形成する」という機能から「基材」と呼称することができるから、本願発明の「基材」に相当する。
また、引用発明の「接着剤層」、「シーラント層を含む内側ウェブ」及び「積層構造体」は本願発明の「接着層」、「ヒートシール層」及び「積層体」に相当する。
さらに、引用発明の「ポリエチレンが前記積層構造体を調整するのに用いられるポリマー材料の95重量%を形成」することは、本願発明の「前記積層体全体におけるポリエチレンの含有量が、90質量%以上であ」ることに相当する。
引用発明の「シーラント層を含む内側ウェブにバリアポリマーを備え」ることは、本願発明の「蒸着膜」が、バリア層であることは明らかであるから、本願発明の「前記基材と前記接着層との間、および前記ヒートシール層と前記接着層との間の少なくとも一方に蒸着膜を備え」ることと、「積層体がバリア層を備え」る限りで一致する。
そして、引用発明の「縦方向の延伸比2:1~10:1とする」ことは、延伸倍率の表記に直すと2倍以上10倍以下となることは明らかであるから、本願発明の「長手方向(MD)の延伸倍率が2倍以上10倍以下である」に相当し、引用発明の「縦方向配向ウェブ」は、本願発明の「一軸延伸フィルム」に相当し、引用発明の「MDPE又はLLDPEを含む層を有する多層であ」ることは、「MDPE」及び「LLDPE」がそれぞれ「中密度ポリエチレン」及び「直鎖状低密度ポリエチレン」であるから、本願発明の「中密度ポリエチレンを含有する層を少なくとも含む多層構造を有」することと、「中密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンを含有する層を少なくとも含む多層構造を有」する限りで一致する。
以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「基材と、接着層と、ヒートシール層とを備える積層体であり、前記基材および前記ヒートシール層がポリエチレンから構成され、前記積層体全体におけるポリエチレンの含有量が、90質量%以上であり、積層体がバリア層を備え、前記基材が、中密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンを含有する層を少なくとも含む多層構造を有し、長手方向(MD)の延伸倍率が2倍以上10倍以下である、一軸延伸フィルムからなる、積層体。」
<相違点1>
接着層に関して、本願発明では「(ただし、官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)、官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(B)、リン酸変性化合物(C)および板状無機化合物を含有し、主骨格が、ポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテル、またはポリエーテルポリウレタンを含有してなる接着剤用樹脂組成物から形成された接着剤層を除く)」のに対し、引用発明では、当該規定はなされていない点。
<相違点2>
積層体がバリア層を備えることに関して、本願発明では、「前記基材と前記接着層との間、および前記ヒートシール層と前記接着層との間の少なくとも一方に蒸着膜を備え」ているのに対して、引用発明では、「シーラント層を含む内側ウェブにバリアポリマーを備え」ている点。
<相違点3>
一軸延伸フォルムとしての基材が中密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンを含有する層を少なくとも含む多層構造を有することにおいて、本願発明では、「中密度ポリエチレンを含有する層を少なくとも含む多層構造を有」するのに対し、引用発明では、「MDPE又はLLDPEを含む層を有する多層であ」る点。
3 判断
(1) <相違点1>について
引用発明の接着剤層に関し、引用文献2の明細書全体を参酌しても、「官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)、官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(B)、リン酸変性化合物(C)および板状無機化合物を含有し、主骨格が、ポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテル、またはポリエーテルポリウレタンを含有してなる接着剤用樹脂組成物から形成された接着剤層」については記載がない。すなわち、引用発明の接着剤層について「(ただし、官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)、官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(B)、リン酸変性化合物(C)および板状無機化合物を含有し、主骨格が、ポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテル、またはポリエーテルポリウレタンを含有してなる接着剤用樹脂組成物から形成された接着剤層を除く)」とすることは、当業者であれば適宜なし得たことである。
(2) <相違点2>について
引用発明では、「シーラント層を含む内側ウェブにバリアポリマーを備え」ているものであるが、引用文献2の【0030】に記載のとおり、「酸素及び水の透過に対する「バリア」をもたらす」ものである。そして、「酸素及び水の透過に対する「バリア」をもたらす」ものとして、蒸着膜は周知のものといえる。
そして、引用文献3記載事項に鑑み、引用発明のような、積層体の外壁を形成する外側ウェブ(基材)と、接着剤層(接着層)と、シーラント層を含む内側ウェブ(ヒートシール層)とを備える積層構造体(積層体)において、基材と接着層との間に蒸着層を設けることとすること、すなわち、<相違点2>の本願発明の様な構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(3) <相違点3>について
引用発明の「前記積層体の外壁を形成する外側ウェブが、MDPE又はLLDPEを含む層を有する多層であ」ることについて、引用文献2の【0018】には、「MDOウェブは、多層フィルムから調製されるが、その層の少なくとも1層が、HDPE組成物から調製され、その層の少なくとも1層が、HDPE組成物よりも、低い密度を有するポリエチレン組成物から調製される。」と記載されている。すなわち、「HDPE組成物よりも、低い密度を有するポリエチレン組成物」である限りにおいて任意の「ポリエチレン組成物」を選択し得ることは明らかである。したがって、「MDPE又はLLDPEを含む層を有する多層であ」るものにおいて、HDPE組成物よりも低い密度を有するものとして、MDPEを選択することは当業者であれば適宜なし得たことである。
以上のとおり、<相違点3>における本願発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(4) 小括
よって、本願発明は、引用発明及び引用文献3記載事項に基いて当業者が容易に発明できたものである。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献3記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-019445