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特許拒絶査定不服審判

2024-007152

フォームフィット接続の第1のパーツを含むキャリア材料

審判番号
2024-007152
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-520995
請求日
2024年04月26日
審決日
2026年02月03日
公報発行日
2026年07月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】フロイデンベルク パフォーマンス マテリアルズ ベー.フェー.
  • 【請求人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
審判長/審判官
  • 審判長 金丸 治之
  • 審判官 笹木 俊男
  • 審判官 岩谷 一臣
分類
P18 .121-Z (B32B) / P18 .113-Z (B32B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-520995「フォームフィット接続の第1のパーツを含むキャリア材料」拒絶査定不服審判事件〔令和2年5月14日国際公開、WO2020/094317、令和4年1月14日国内公表、特表2022-505090〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年(令和元年)10月8日(パリ条約による優先権主張2018年11月6日、欧州特許庁(EP))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、概略以下のとおりである。 令和5年 6月27日付け:拒絶理由通知 10月 2日 :意見書、手続補正書の提出 12月26日付け:拒絶査定(謄本送達:令和6年1月4日) 令和6年 4月26日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年4月26日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正後の特許請求の範囲 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線は、補正個所である。)。 「【請求項1】 少なくとも第1の熱可塑性繊維層(A1)および第2の熱可塑性繊維層(A2)を含むキャリア材料であって、前記第1の熱可塑性繊維層および前記第2の熱可塑性繊維層は、不織布熱可塑性繊維層であり、前記第1の熱可塑性繊維層および/または前記第2の熱可塑性繊維層の少なくとも一部は、前記キャリア材料の少なくとも1つの境界で除去され、フォームフィット接続の第1のパーツを提供し、 前記第1の熱可塑性繊維層および/または前記第2の熱可塑性繊維層中の繊維が、200mmを上回る長さを有するフィラメントであることを特徴とする、キャリア材料。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 令和5年10月2日提出の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。 「【請求項1】 少なくとも第1の熱可塑性繊維層(A1)および第2の熱可塑性繊維層(A2)を含むキャリア材料であって、前記第1の熱可塑性繊維層および前記第2の熱可塑性繊維層は、不織布熱可塑性繊維層であり、前記第1の熱可塑性繊維層および/または前記第2の熱可塑性繊維層の少なくとも一部は、前記キャリア材料の少なくとも1つの境界で除去され、フォームフィット接続の第1のパーツを提供することを特徴とする、キャリア材料。」 2 補正の適否 本件補正は、当該補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1の熱可塑性繊維層および/または前記第2の熱可塑性繊維層」について、「繊維が、200mmを上回る長さを有するフィラメントである」との限定を付加するものである。そして、本件補正の前後において、請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献について 以下、原査定で引用された特開平11-117171号公報、当審において周知技術を示す文献として新たに引用する特開2015-142985号公報、及び特開2004-197291号公報を、それぞれ引用文献1~3という。 ア 引用文献1について (ア)引用文献1の記載 引用文献1には、以下の記載がある(なお、下線は当審において付与した。また、「・・・」は記載の省略である。)。 ・「【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、強化繊維と熱可塑性樹脂繊維とから構成される繊維マットを連結した連結マットの製造方法とその連結マットから得られる繊維強化熱可塑性シートに関する。」 ・「【0006】また、連結部の引張強度を高めるために繊維マットの一部を重ねて縫製することも考えられるが、この場合には、連結部が繊維マットの重なり合いにより肉厚となったり、引っ張りにより、すけて(穴があいて)薄肉となり、繊維強化熱可塑性シートとしての品質を満足しない場合が生じる。 ・・・ 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するため、繊維マット端部の厚みを減少させ、減少させたマットの端部同志を重ねあわせ、ニードルパンチなどの手法により連結することにより、連結部の繊維マットの形態は連結以外の部分と同等となり、連結部の品質を満足させる繊維強化熱可塑性シートを得ることができることを見いだした。」 ・「【0022】この実施の形態において用いられる熱可塑性樹脂繊維としては、熱可塑性を有する樹脂から形成される繊維状のものであれば使用可能である。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂、ナイロン、アクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート等の長繊維、短繊維が挙げられる。」 ・「【0026】まず、熱可塑性樹脂繊維と強化繊維とは適当な長さに切断され、図示を略す開繊機にて開繊されながら混合され、エアにて図1のマット形成装置1に搬送される。この搬送された混合繊維2は、まずホッパ3内に投入され、下方のタンク4に落下する。ついで落下した混合繊維2は定量供給機としての一対のコンベア5a、5bにより左右に振り分けられると共に、その一定量がコンベア6a、6bを介して抄造機7a、7bに供給される。ついで、回転している抄造機7a、7bによってコンベア8a、8b上に吹き付けられマット9a、9bが形成される。マット9bはコンベア10により搬送される。コンベア8aの終点付近にてマット9bにマット9aが重ね合わされ積層マット9が得られる。 ・・・ 【0027】このマット成形装置1を用い、マット9aの原料の供給を一時的に停止すれば、すなわち、一時的にコンベア5a、6a、抄造機7a、コンベア8aを停止すれば、図2に示すように、停止時間に応じて長さlの間、マット9aの送給が停止され、この間の厚みが半減された積層マット9が得られる。 【0028】また、コンベア5,6抄造機7、コンベア8に供給する混合繊維の量を半減させることにより、図3に示すように、供給量を半減させた時間に応じて長さlの間、マット9a、9bの双方の厚みが半減された積層マット9が得られる。 ・・・ この積層マットの厚みは、このように、原料供給速度、成形速度、またはその双方を調整することにより任意に調整することができる。 【0029】図2に示す積層マット9は、図4(a)に示すように、ニードルパンチ装置13に移送され、ニードリングすることにより、マット9aとマット9bとは絡合されて一体化される。ニードリングを十分に行うと、図4(b)に示すように、厚み方向にマット9aとマット9bとの境界がなくなり、マット9bから構成された厚みが半減された中間部14aを有する均一な絡合マット14を得ることができる。この絡合マット14は厚みの半減された端部14bを残してこの中間部14aの任意の位置で切断され、両端部の厚みが半減された所定の長さの絡合マット14が得られる。」 ・「【図1】 [図:0001436573000001.jpg] 」 ・「【図2】 [図:0001436573000002.jpg] 【図3】 [図:0001436573000003.jpg] 」 ・「【図4】 [図:0001436573000004.jpg] 」 ・「【図5】 [図:0001436573000005.jpg] 」 (イ)引用文献1に記載されているに等しい事項 【0029】の「絡合マット14は厚みの半減された端部14bを残してこの中間部14aの任意の位置で切断され、両端部の厚みが半減された所定の長さの絡合マット14が得られる」という記載における「絡合マット14」は、【0008】の「繊維マット端部の厚みを減少させ、減少させたマットの端部同志を重ねあわせ、ニードルパンチなどの手法により連結することにより、連結部の繊維マットの形態は連結以外の部分と同等となり、連結部の品質を満足させる繊維強化熱可塑性シートを得ることができる」という記載及び【図5】の記載より、「厚みの半減された端部14b同志を重ねあわせ、連結することにより、連結部の絡合マット14の形態は連結以外の部分と同等となる」ものであることは明らかである。 (ウ)引用文献1に記載の発明 上記(ア)及び(イ)から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。 「熱可塑性樹脂繊維と強化繊維とが吹き付けられてマット9a、9bが形成され、マット9bにマット9aが重ね合わされ積層マット9を得て、マット9aとマット9bとは絡合されて一体化され、厚みが半減された中間部14aを有する均一な絡合マット14を得て、この中間部14aの任意の位置で切断されることにより得られる、両端部の厚みが半減された端部14bを有する絡合マット14であって、厚みの半減された端部14b同志を重ねあわせ、連結することにより、連結部の絡合マット14の形態は連結以外の部分と同等となる、絡合マット14。」 イ 引用文献2、3について (ア)引用文献2の記載 引用文献2には、次の記載がある。 ・「【背景技術】 【0002】 携帯電話、モバイル機器、家電製品の筐体や、車両、航空機等の内装部品、建材、家具等の外装部材として皮革様外観を付与された加飾成形体が知られている。」 ・「【0031】 不織布基材を形成する繊維束は長繊維の極細繊維から形成されていることが、厚み方向断面における繊維束間の距離を上述のように調整しやすくなる点から好ましい。ここで、長繊維とは、所定の長さに切断処理された短繊維ではないことを意味する。長繊維の長さとしては、100mm以上、さらには、200mm以上であることが、繊維束の繊維密度を充分に高めることができる点から好ましい。」 (イ)引用文献3の記載 引用文献3には、次の記載がある。 ・「【技術分野】 【0001】 本発明は、フィット性を有する長繊維不織布に関する。更に詳細にはフィット性とアンチブロッキング性とのバランスが良好で、優れた風合を有し、燃焼時の有害ガス発生がなく、かつリサイクル可能である、繊維製品としての用途に最適な長繊維不織布及びこれを用いた繊維製品に関する。」 ・「【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 以下、本発明を詳細に説明する。 ・・・ なお、本発明の長繊維不織布は、長繊維から構成される。具体的には、300mmを超える繊維長の繊維が好ましい。したがって、カード法によるウェブ状態を経て不織布化される短繊維不織布は含まれない。」 (ウ)周知技術 上記(ア)、(イ)からみて、以下の点は周知技術であると認める。 「不織布に用いる長繊維として、200mmを上回る長さのものを用いること。」 (3)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「マット9a、9b」は、「熱可塑性樹脂繊維」を含む層であるから、まとめて本件補正発明の「第1の熱可塑性繊維層(A1)および第2の熱可塑性繊維層(A2)」に相当する。また、引用発明の「絡合マット14」は、これら「マット9a、9b」から形成されているから、本件補正発明の「少なくとも第1の熱可塑性繊維層(A1)および第2の熱可塑性繊維層(A2)を含むキャリア材料」に相当する。 イ 引用発明の「マット9a、9b」は、「熱可塑性樹脂繊維と強化繊維とが吹き付けられて」形成されたものであるから、技術常識に鑑みれば、不織布である。そうすると、当該「マット9a、9b」は、本件補正発明における「前記第1の熱可塑性繊維層および前記第2の熱可塑性繊維層は、不織布熱可塑性繊維層であり」という事項に相当する。 ウ 引用発明における「マット9aとマット9bとは絡合されて一体化され、厚みが半減された中間部14aを有する均一な絡合マット14を得て、この中間部14aの任意の位置で切断されることによって得られる、両端部の厚みが半減された端部14bを有する」という事項は、本件補正発明の「前記第1の熱可塑性繊維層および/または前記第2の熱可塑性繊維層の少なくとも一部は、前記キャリア材料の少なくとも1つの境界で除去され」という事項に相当する。 エ 引用発明における「厚みの半減された端部14b同志を重ねあわせ、連結することにより、連結部の絡合マット14の形態は連結以外の部分と同等となる」ことは、「連結以外の部分と同等となる」「連結部」を構成する「絡合マット14」を提供することにほかならず、本件補正発明の「フォームフィット接続の第1のパーツを提供し、」に相当する。 そうすると、本件補正発明と引用発明とは、以下の点で一致する。 <一致点> 「少なくとも第1の熱可塑性繊維層(A1)および第2の熱可塑性繊維層(A2)を含むキャリア材料であって、前記第1の熱可塑性繊維層および前記第2の熱可塑性繊維層は、不織布熱可塑性繊維層であり、前記第1の熱可塑性繊維層および/または前記第2の熱可塑性繊維層の少なくとも一部は、前記キャリア材料の少なくとも1つの境界で除去され、フォームフィット接続の第1のパーツを提供する、キャリア材料。」 一方、両発明は、以下の点で相違する。 <相違点> 本件補正発明では、「前記第1の熱可塑性繊維層および/または前記第2の熱可塑性繊維層中の繊維が、200mmを上回る長さを有するフィラメントである」のに対し、引用発明の「マット9a、9b」を形成する「熱可塑性樹脂繊維」は、その繊維長が不明である点。 (4)相違点の検討 当該相違点について検討するに、引用文献1の【0022】には、引用発明の絡合マット14に用いる熱可塑性樹脂繊維として長繊維が例示されている。その上で、長繊維としてどの程度の長さのものを使うかは当業者が適宜設定すべき事項であるところ、不織布において用いられる長繊維として、200mmを上回るものは、上記(2)イ(ウ)のとおり周知技術である。 そうすると、引用発明の絡合マット14における熱可塑性樹脂繊維として、このような長さのものを採用することは、当業者が容易に想到し得た事項である。 (5)効果の検討 本件補正発明において、「前記第1の熱可塑性繊維層および/または前記第2の熱可塑性繊維層中の繊維が、200mmを上回る長さを有するフィラメント」を採用することにより、引用発明と比して格別な効果を奏するものではない。 その他、本件補正発明が奏する効果は、引用発明と同様であり、少なくとも格別顕著なものは見いだせない。 3 小括 本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 補正の却下の決定のむすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和6年4月26日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和5年10月2日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし35に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、次の内容を含むものである。 この出願の請求項1-10、20-31、34に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3 引用文献 引用文献1に記載された事項及び引用発明は、上記第2[理由]2(2)ア(ア)~(ウ)のとおりである。 4 対比及び判断 本願発明は、上記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記第1の熱可塑性繊維層および/または前記第2の熱可塑性繊維層中の繊維が、200mmを上回る長さを有するフィラメントである」という事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]2(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-007152

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