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特許拒絶査定不服審判

2022-018507

ユーザ装置

審判番号
2022-018507
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-501236外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年11月17日
審決日
2023年06月06日
公報発行日
2023年07月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-WY (H04W) / P18 .121-WY (H04W)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-501236「ユーザ装置」拒絶査定不服審判事件〔令和2年8月27日国際公開、WO2020/170402、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 17項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、2019年(平成31年)2月21日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和3年 9月 9日 手続補正書、上申書の提出

令和4年 7月 6日付け 拒絶理由通知書

令和4年 8月26日 意見書の提出

令和4年 9月14日付け 拒絶査定

令和4年11月17日 拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出

令和5年 2月 6日 上申書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和4年9月14日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

●理由1、2(特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項)について

・請求項 1ないし4

・引用文献等 1

<引用文献等一覧>

1.特開2015-204631号公報

第3 本願発明について

本願の請求項1ないし4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、令和4年11月17日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
第1無線基地局及び第2無線基地局に接続するデュアルコネクティビティでの通信を制御する制御部と、
前記第1無線基地局または前記第2無線基地局のサービングセルであるセカンダリセルグループにおける障害の状態を示す障害情報をネットワークに送信する送信部と
を備え、
続きを表示(全23行)
前記送信部は、端末の位置情報及び障害からの経過時間を含む前記障害情報を送信する端末。
【請求項2】
端末とのデュアルコネクティビティでの通信を制御する制御部と、
セカンダリセルグループにおける障害の状態を示す障害情報を前記端末から受信する受信部と
を備え、
前記受信部は、前記端末の位置情報及び障害からの経過時間を含む前記障害情報を受信する無線基地局。
【請求項3】
端末と無線基地局とを含む無線通信システムであって、
前記端末は、
前記無線基地局に接続するデュアルコネクティビティでの通信を制御する制御部と、
前記無線基地局のサービングセルであるセカンダリセルグループにおける障害の状態を示す障害情報を前記無線基地局に送信する送信部と
を備え、
前記無線基地局は、前記障害情報を受信する受信部を備え、
前記送信部は、前記端末の位置情報及び障害からの経過時間を含む前記障害情報を送信する無線通信システム。
【請求項4】
端末が、第1無線基地局または第2無線基地局のサービングセルであるセカンダリセルグループにおける障害の状態を示す障害情報をネットワークに送信するステップと、
前記ネットワークが、前記障害情報を受信するステップと
を含み、
前記障害情報は、前記端末の位置情報及び障害からの経過時間を含む無線通信方法。」

第4 引用文献の記載事項及び引用発明、並びに公知文献に記載された技術的事項

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1 引用文献の記載事項及び引用発明について

原査定の拒絶理由で引用された、特開2015-204631号公報(以下、「引用文献」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

(1) 「【0003】
(略)LTEシステムでは、進化型ユニバーサル地上無線アクセスネットワーク(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network:“E?UTRAN”)として知られている無線アクセスネットワークが、複数のユーザ装置(User Equipment:“UE”)と通信するとともに、非アクセス層(Non-Access Stratum:“NAS”)制御のために、移動管理装置(Mobility Management Entity:“MME”)、サービングゲートウェイ(serving gateway)などを有するコアネットワークと通信するための、複数の進化型ノードB(evolved Node-B:“eNB”)を含む。」
(2) 「【0006】
UEは、UEが二重の相互通信能力(connectivity:接続性)によって構成される場合に、2つのeNBにより送信されたパケット(例えば、トランスポートブロック(transport block:TB)を受信し得る。」
(3) 「【0014】
(略)無線通信システム10は、手短に言えば、ユーザ装置(UE)100と、基地局(BS)102及び104とを含む。」
(4) 「【0015】
図1において示されるように、UE100は、UE100に設定された二重の相互通信能力に従って、BS102及びBS104と同時に通信するように構成され得る。すなわち、UE100は、BS102及び104の両方を通して送信/受信を実行し得る。例えば、UE100は、二重の相互通信能力に従って、BS102及び104からパケット(例えば、トランスポートブロック(TB))を受信し得るか、又はUE100は、二重の相互通信能力に従って、BS102及び104にパケット(例えば、TB)を送信し得る。概して、それは、UE100がBS102及び104の両方からパケットを受信する場合に、UE100が、二重の相互通信能力に従って、BS102の少なくとも1つのセル及びBS104の少なくとも1つのセルからパケットを受信することを意味する。同様に、それは、UE100がBS102及び104の両方にパケットを送信する場合に、UE100が、二重の相互通信能力に従って、BS102の少なくとも1つのセル及び/又はBS104の少なくとも1つのセルにパケットを送信することを意味する。さらに、3GPPにおいて定義された二重の相互通信能力に従って、BS102及びBS104のうちの1つは主eNB(Master eNB:MeNB)であり得るとともに、BS102及びBS104のうちの他方は補助eNB(Secondary eNB:SeNB)であり得る。」
(5) 「【0017】
図2は、本発明の実例による通信装置20の概略図である。通信装置20は、図1において示されるUE100、BS102、及び/又はBS104であり得るが、しかし、これに限定されない。通信装置20は、マイクロプロセッサ又は特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)のような処理手段200、記憶装置210、及び通信インタフェース装置220を含み得る。記憶装置210は、処理手段200によってアクセスされて実行されるプログラムコード214を格納し得るあらゆるデータ記憶装置であり得る。記憶装置210の例は、加入者識別モジュール(Subscriber Identity Module:“SIM”)、読出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD?ROM)、デジタル多目的ディスク?ROM(DVD?ROM)、ブルーレイディスク?ROM(BD?ROM)、磁気テープ、ハードディスク、光学データ記憶装置、不揮発性記憶装置、非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体(例えば、有形の媒体)などを含むが、しかしそれらに限定されない。通信インタフェース装置220は、好ましくはトランシーバであり、そして処理手段200の処理結果に従って信号(例えば、データ、信号、メッセージ、及び/又はパケット)を送信及び受信するために使用される。」
(6) 「【0018】
(略)処理30は、リンク故障を処理するために、通信装置(例えば、UE100)において利用され得る。処理30は、プログラムコード214にコンパイルされ得るとともに、下記のステップを含む。」
(7) 「【0025】
処理30によれば、通信装置は、第1のULキャリア及び第1のDLキャリアによって主BS(例えば、BS102)と通信し、第2のULキャリア及び第2のDLキャリアによって補助BS(例えば、BS104)と通信する。通信装置は、主BSと通信している間に補助BSに関連した(例えば、通信装置と補助BSとの間で発生した)リンク故障(例えば、無線リンク故障)を検出し得る。そして、リンク故障を報告するために、通信装置は、主BSに対して補助BSに関連したリンク故障の情報及び測定結果の情報を送信する。」
(8) 「【0027】
(略)一実例において、主BSは主eNB(MeNB)であり得るとともに、補助BSは補助eNB(SeNB)であり得る。」
(9) 「【0028】
(略)リンク故障の情報及び測定結果の情報は、単一のメッセージ内に存在し得る。」
(10) 「【0032】
処理30における測定結果の情報の詳細は限定されない。一実例において、測定結果の情報は、補助BSの少なくとも1つのセルの(複数の)DL信号に関する(複数回の)測定に基づく(複数の)測定値を含み得る。(複数の)測定値は、補助BSの少なくとも1つのセルの、基準信号受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)及び基準信号受信品質(Reference Signal Received Quality:RSRQ)のうちの少なくとも1つを含み得る。さらに、もし補助BSがSeNBであるならば、少なくとも1つのセルは1つ又は複数のSCellを含み得るとともに、ここで、(複数の)SCellのうちの1つがPSCellになり得る。
【0033】
処理30におけるリンク故障の情報及び測定結果の情報の詳細は限定されない。例えば、測定結果の情報は、(複数の)測定結果が対応する補助BSの少なくとも1つのセルを識別するために、少なくとも1つのセルの各々の、グローバルセル識別子、物理セル識別子、及び搬送周波数のうちの少なくとも1つを含み得る。測定結果の情報は、通信装置の位置情報を更に含み得る。」

引用文献の上記記載、及び移動体通信分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

ア 上記(3)には、「ユーザ装置(UE)」と記載されており、また、上記(5)には、「通信装置・・・は、・・・UE・・・であり得る・・・。通信装置・・・は、・・・処理手段・・・、記憶装置・・・、及び通信インタフェース装置・・・を含み得る。記憶装置・・・は、処理手段・・・によって・・・実行されるプログラムコード・・・を格納し得る・・・。」と記載されており、さらに、上記(6)には、「処理30は、・・・通信装置(例えば、UE・・・)において利用され得る。処理30は、プログラムコード・・・にコンパイルされ得る・・・。」と記載されており、加えて、上記(7)には、「処理30によれば、通信装置は、・・・主BS・・・と通信し、・・・補助BS・・・と通信する。」と記載されており、その上、上記(8)には、「主BSは・・・MeNB・・・であり得るとともに、補助BSは・・・SeNB・・・であり得る。」と記載されている。

そうすると、引用文献には、処理手段、記憶装置、及び通信インタフェース装置を含むユーザ装置であって、記憶装置は処理手段によって実行されるプログラムコードを格納し、ユーザ装置において利用される処理はプログラムコードにコンパイルされ、前記処理によりMeNB及びSeNBと通信するユーザ装置、が記載されているといえる。

イ 上記(4)には、「UE・・・は、・・・二重の相互通信能力に従って、BS102及びBS104と同時に通信するように構成され得る。・・・二重の相互通信能力に従って、BS102及びBS104のうちの1つは・・・MeNB・・・であり得るとともに、BS102及びBS104のうちの他方は・・・SeNB・・・であり得る。」と記載されており、また、上記(2)には「UEが二重の相互通信能力(connectivity:接続性)によって構成される」と記載されており、さらに、上記(3)には、「ユーザ装置(UE)・・・基地局(BS)102及び104」という記載がある。

そして、上記(1)には、「無線アクセスネットワークが、・・・複数の・・・eNB・・・を含む。」と記載されている。

そうすると、引用文献には、ユーザ装置は、二重の相互通信能力(connectivity:接続性)に従って、基地局102及び基地局104と同時に通信するように構成され、基地局102及び基地局104のうちの1つはMeNBであり、基地局102及び基地局104のうちの他方はSeNBであり、複数のeNBは無線アクセスネットワークに含まれるものであること、が記載されているといえる。

ウ 上記(3)には、「ユーザ装置(UE)」と記載されており、また、上記(5)には、「通信インタフェース装置・・・は、・・・処理手段・・・の処理結果に従って・・・メッセージ・・・を送信・・・するために使用される。」と記載されており、さらに、上記(6)には、「処理30は、・・・通信装置(例えば、UE・・・)において利用され得る。」と記載されており、加えて、上記(7)には、「処理30によれば、・・・通信装置は、主BSと通信している間に補助BSに関連した(例えば、通信装置と補助BSとの間で発生した)リンク故障(例えば、無線リンク故障)を検出し得る。そして、・・・通信装置は、主BSに対して補助BSに関連したリンク故障の情報及び測定結果の情報を送信する。」と記載されており、その上、上記(8)には、「主BSは・・・MeNB・・・であり得るとともに、補助BSは・・・SeNB・・・であり得る。」と記載されており、また、上記(9)には、「リンク故障の情報及び測定結果の情報は、単一のメッセージ内に存在し得る。」と記載されている。

そうすると、引用文献には、通信インタフェース装置は、処理手段の処理結果に従ってメッセージを送信するために使用され、ユーザ装置は、MeNBと通信している間にユーザ装置とSeNBとの間で発生した無線リンク故障を検出し、MeNBに対して、ユーザ装置とSeNBとの間で発生した無線リンク故障の情報及び測定結果の情報を単一のメッセージで送信すること、が記載されているといえる。

エ 上記(10)には、「処理30における測定結果の情報・・・は、補助BSの少なくとも1つのセルの・・・測定値を含み得る。・・・もし補助BSがSeNBであるならば、少なくとも1つのセルは1つ又は複数のSCellを含み得るとともに、ここで、(複数の)SCellのうちの1つがPSCellになり得る。・・・処理30における・・・測定結果の情報・・・は、通信装置の位置情報を更に含み得る。」と記載されており、また、上記(5)には、「通信装置・・・は、・・・UE・・・であり得る・・・。」と記載されており、さらに、上記(3)には、「ユーザ装置(UE)」と記載されている。

そうすると、引用文献には、測定結果の情報は、SeNBの少なくとも1つのセルの測定値及びユーザ装置の位置情報を含み、SeNBの少なくとも1つのセルは、複数のSCellを含み、複数のSCellのうちの1つがPSCellになること、が記載されているといえる。

以上を総合すると、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 処理手段、記憶装置、及び通信インタフェース装置を含むユーザ装置であって、記憶装置は処理手段によって実行されるプログラムコードを格納し、ユーザ装置において利用される処理はプログラムコードにコンパイルされ、前記処理によりMeNB及びSeNBと通信し、
ユーザ装置は、二重の相互通信能力(connectivity:接続性)に従って、基地局102及び基地局104と同時に通信するように構成され、基地局102及び基地局104のうちの1つはMeNBであり、基地局102及び基地局104のうちの他方はSeNBであり、複数のeNBは無線アクセスネットワークに含まれるものであり、
通信インタフェース装置は、処理手段の処理結果に従ってメッセージを送信するために使用され、ユーザ装置は、MeNBと通信している間にユーザ装置とSeNBとの間で発生した無線リンク故障を検出し、MeNBに対して、ユーザ装置とSeNBとの間で発生した無線リンク故障の情報及び測定結果の情報を単一のメッセージで送信し、
測定結果の情報は、SeNBの少なくとも1つのセルの測定値及びユーザ装置の位置情報を含み、SeNBの少なくとも1つのセルは、複数のSCellを含み、複数のSCellのうちの1つがPSCellになる、
ユーザ装置。」

2 公知文献に記載された技術的事項について

本願の出願前に外国において頒布された刊行物である米国特許出願公開第2018/0124831号明細書(以下、「公知文献」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

「[0185] In an example, if the UE initiates transmission of the SCG Failure Information message to provide SCG radio link failure or other radio link issues: the UE may include a failureType parameter in the message. The failure type may comprise one or more parameters indicating failure type, and one more parameters including statistical information about the failure, e.g. the number of LBT failure, the failure duration, one or more counters related to radio link parameters (e.g. LBT counters, transmission counters, etc.).」

(当審訳:[0185] 一例では、UEが、SCG無線リンク障害または他の無線リンク問題を提供するためにSCG障害情報メッセージの送信を開始する場合:UEは、メッセージに障害タイプパラメータを含めることができる。障害タイプは、障害タイプを示す1つまたは複数のパラメータと、障害に関する統計情報、たとえば、LBT障害の数、障害期間、無線リンクパラメータに関連する1つまたは複数のカウンタ(たとえば、LBTカウンタ、送信カウンタなど)を含むもう1つのパラメータとを含み得る。)

上記記載によれば、公知文献には、「UEが、SCG無線リンク障害を提供するためにSCG障害情報メッセージの送信を開始する場合、UEは、メッセージに、障害に関する統計情報である障害期間を含むパラメータを含み得る。」という技術的事項が記載されていると認められる。

第5 対比・判断

1 本願発明1について

本願発明1と引用発明とを対比する。

(1) 引用発明の「基地局102」及び「基地局104」は、1つはMeNBであり、他方はSeNBであり、無線アクセスネットワークに含まれるものであるから、それぞれ本願発明1の「第1無線基地局」及び「第2無線基地局」に含まれる。

また、引用発明の「二重の相互通信能力(connectivity:接続性)」が本願発明1の「デュアルコネクティビティ」に相当することは明らかであるから、引用発明における、二重の相互通信能力(connectivity:接続性)に従って基地局102及び基地局104と同時に通信する際の通信は、本願発明1の「第1無線基地局及び第2無線基地局に接続するデュアルコネクティビティでの通信」に含まれるといえる。

さらに、引用発明のユーザ装置は、処理手段、及び記憶装置を含み、記憶装置は処理手段によって実行されるプログラムコードを格納し、ユーザ装置において利用される処理はプログラムコードにコンパイルされ、前記処理によりユーザ装置はMeNB及びSeNBと通信するから、引用発明における、二重の相互通信能力(connectivity:接続性)に従って基地局102及び基地局104と同時に通信する際の通信は、処理手段によって実行されるプログラムコードにコンパイルされた処理により制御されることが明らかであり、そうすると、引用発明の「処理手段」は、本願発明1の「第1無線基地局及び第2無線基地局に接続するデュアルコネクティビティでの通信を制御する制御部」に含まれる。

したがって、本願発明1の「端末」と引用発明の「ユーザ装置」は、「第1無線基地局及び第2無線基地局に接続するデュアルコネクティビティでの通信を制御する制御部」を備える点で一致する。

(2) 引用発明の「ユーザ装置とSeNBとの間で発生した無線リンク故障」とは、ユーザ装置と「SeNBの少なくとも1つのセル」との間で発生した無線リンク故障を意味することが明らかであり、また、無線リンクの故障は障害であるから、引用発明の「ユーザ装置とSeNBとの間で発生した無線リンク故障の情報」は、ユーザ装置とSeNBの少なくとも1つのセルとの間で発生した障害の状態を示す情報といえる。

さらに、引用発明の「SeNBの少なくとも1つのセル」は、複数のSCellを含み、複数のSCellのうちの1つがPSCellになるから、本願発明1の「サービングセルであるセカンダリセルグループ」に含まれることが技術常識であり、ここで、引用発明の「SeNB」は、「基地局102」または「基地局104」であるから、引用発明の「SeNBの少なくとも1つのセル」は、本願発明1の「前記第1無線基地局または前記第2無線基地局のサービングセルであるセカンダリセルグループ」に含まれる。

そうすると、引用発明における「ユーザ装置とSeNBとの間で発生した無線リンク故障の情報及び測定結果の情報」を送信する「単一のメッセージ」は、ユーザ装置とSeNBの少なくとも1つのセルとの間で発生した障害の状態を示す情報を含むから、本願発明1の「前記第1無線基地局または前記第2無線基地局のサービングセルであるセカンダリセルグループにおける障害の状態を示す障害情報」に含まれる。

そして、引用発明において、ユーザ装置はMeNBに対して、「ユーザ装置とSeNBとの間で発生した無線リンク故障の情報及び測定結果の情報」を含む「単一のメッセージ」を送信し、また、MeNBは「無線アクセスネットワーク」に含まれるものであり、さらに、「通信インタフェース装置」はメッセージを送信するために使用されるから、引用発明における、ユーザ装置と「SeNBの少なくとも1つのセル」との間で発生した無線リンク故障の情報及び測定結果の情報を含む「単一のメッセージ」を送信する「通信インタフェース装置」は、本願発明1の「前記第1無線基地局または前記第2無線基地局のサービングセルであるセカンダリセルグループにおける障害の状態を示す障害情報をネットワークに送信する送信部」に含まれる。

したがって、本願発明1の「端末」と引用発明の「ユーザ装置」は、「前記第1無線基地局または前記第2無線基地局のサービングセルであるセカンダリセルグループにおける障害の状態を示す障害情報をネットワークに送信する送信部」を備える点で一致する。

(3) 引用発明の「ユーザ装置」が本願発明1の「端末」に含まれることは技術常識であり、そうすると、引用発明の「ユーザ装置の位置情報」は、本願発明1の「端末の位置情報」に含まれる。

したがって、本願発明1の「前記送信部は、端末の位置情報及び障害からの経過時間を含む前記障害情報を送信する」ことと、引用発明の「ユーザ装置は、ユーザ装置とSeNBとの間で発生した無線リンク故障の情報及び測定結果の情報を単一のメッセージで送信し、測定結果の情報は、ユーザ装置の位置情報を含」むことは、「前記送信部は、端末の位置情報を含む前記障害情報を送信する」点で、共通する。

以上のことから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)

「 第1無線基地局及び第2無線基地局に接続するデュアルコネクティビティでの通信を制御する制御部と、
前記第1無線基地局または前記第2無線基地局のサービングセルであるセカンダリセルグループにおける障害の状態を示す障害情報をネットワークに送信する送信部と
を備え、
前記送信部は、端末の位置情報を含む前記障害情報を送信する端末。」

(相違点)

本願発明1では、「端末の位置情報及び障害からの経過時間を含む前記障害情報」を送信するという発明特定事項を含むのに対して、引用発明では、端末の位置情報を含む障害情報を送信するものではあるが、当該発明特定事項は特定されていない点。

したがって、本願発明1と引用発明は上記相違点で相違するから、本願発明1は引用発明でない。

次に、上記相違点について検討すると、「端末の位置情報及び障害からの経過時間を含む」障害情報を送信することは、上記公知文献に記載されておらず、また周知技術であるともいえない。

そうすると、引用発明に基いて、上記相違点に係る発明特定事項を含むものとすることは、当業者であっても、引用発明、及び公知文献に記載された技術的事項に基づいて、容易になし得たこととはいえない。

したがって、本願発明1は、引用発明でなく、また、当業者であっても、引用発明、及び公知文献に記載された技術的事項に基いて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2について

本願発明2は、「端末」の発明である本願発明1と対応する「無線基地局」の発明である。

そして、本願発明2は、上記「1」で検討した上記相違点に係る発明特定事項と対応する、「端末の位置情報及び障害からの経過時間を含む前記障害情報」を受信するという発明特定事項を含むから、本願発明2は、本願発明1と同様の理由により、引用発明でなく、また、当業者であっても、引用発明、及び公知文献に記載された技術的事項に基いて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明3について

本願発明3は、本願発明1と対応する「端末」、及び本願発明2と対応する「無線基地局」を含む「無線通信システム」の発明である。

そして、本願発明3は、上記「1」で検討した上記相違点に係る発明特定事項と同じ、「端末の位置情報及び障害からの経過時間を含む前記障害情報」を送信するという発明特定事項を含むから、本願発明3は、本願発明1と同様の理由により、引用発明でなく、また、当業者であっても、引用発明、及び公知文献に記載された技術的事項に基いて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

4 本願発明4について

本願発明4は、「無線通信システム」の発明である本願発明3を「無線通信方法」の発明としたものである。

そして、本願発明4は、上記「1」で検討した上記相違点に係る発明特定事項と対応する、「前記障害情報は、前記端末の位置情報及び障害からの経過時間を含む」という発明特定事項を含むから、本願発明4は、本願発明1と同様の理由により、引用発明でなく、また、当業者であっても、引用発明、及び公知文献に記載された技術的事項に基いて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 原査定についての判断

1 理由1(特許法第29条第1項第3号)について

本願発明1ないし4は、上記「第5」の「1」ないし「4」のとおり、引用発明でない。

2 理由2(特許法第29条第2項)について

本願発明1ないし4は、上記「第5」の「1」ないし「4」のとおり、当業者であっても、引用発明、及び公知文献に記載された技術的事項に基いて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 まとめ

したがって、原査定の理由1及び2は、いずれも維持することができない。

第7 むすび

以上のとおり、本願発明1ないし4は、引用発明でなく、また、当業者が引用文献に記載された発明及び公知文献に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-018507

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