2022-018088
空気調和システム
- 審判番号
- 2022-018088
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-527411外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年11月10日
- 審決日
- 2023年10月02日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ダイキン工業株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
- 分類
- P18 .121-Z (F24F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 13項目
第1 手続の経緯
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本件に係る出願(以下、「本願」という。)は、2019年6月17日(優先権主張 平成30年6月25日)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の経緯は、以下のとおりである。
第2 本願の請求項1に係る発明
本願の請求項1-5に係る発明は、令和4年3月25に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める。
〔本願発明〕
「 熱源側冷媒を圧縮する熱源側圧縮機(21)と、前記熱源側冷媒と室外空気とを熱交換させる室外熱交換器(23)と、前記熱源側冷媒と利用側冷媒とを熱交換させる冷媒-冷媒熱交換器(25)と、を有する熱源側回路(10)と、前記利用側冷媒を圧縮する利用側圧縮機(31)と、前記冷媒-冷媒熱交換器と、前記利用側冷媒と室内空気とを熱交換させる複数の室内熱交換器(52)と、を有しており、前記利用側冷媒として二酸化炭素が封入された利用側回路(30)と、を含む、多元冷凍サイクルを構成しており、前記室外熱交換器は、室外ユニット(3)に設けられており、前記冷媒-冷媒熱交換器は、前記熱源側冷媒が流れる熱源側冷媒連絡管(8、9)を介して前記室外ユニットに接続される中間ユニット(4)に設けられており、前記室内熱交換器は、前記利用側冷媒が流れる利用側冷媒連絡管(6、7)を介して前記中間ユニットに接続される室内ユニット(5)に設けられており、前記利用側回路に封入される前記利用側冷媒の量を7.9kg以下にする、空気調和システム(1)。」
第3 当審で通知した拒絶の理由
当審において令和5年6月15日付けで通知した拒絶の理由の概要は、本願発明が、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術的事項及び従来周知の技術に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1.国際公開第2015/132964号
引用文献2.国際公開第2010/050007号
引用文献3.特開平5-280818号公報(周知技術を示す文献)
第4 引用文献
1. 引用文献1について
(1)引用文献1に記載された事項
引用文献1には、次の記載事項及び図示事項がある。(なお、「・・・」は、記載の省略を表し、下線は、当審において付したものである。以下同様。)。
ア 「[0016] 図1に示すように、冷凍サイクル装置100は、2つの冷媒回路(低元側冷凍サイクル10及び高元側冷凍サイクル20)を有し、それぞれ独立して冷媒を循環させるように構成されている。そして、冷凍サイクル装置100は、2つの冷媒回路を多段構成として二元冷凍サイクルを構成するために、高元側蒸発器24と低元側凝縮器12とを、それぞれ通過する冷媒間での熱交換を可能に結合させて構成したカスケードコンデンサ(冷媒間熱交換器)Cで接続している。また、冷凍サイクル装置100は、二元冷凍サイクル全体の運転制御を行う制御装置30を有している。[0017] ・・・[0018] 低元側冷凍サイクル10は、低元側圧縮機11と、補助放熱器15と、低元側凝縮器12と、低元側膨張弁13と、低元側蒸発器14と、を順に冷媒配管19で接続して構成されている。一方、高元側冷凍サイクル20は、高元側圧縮機21と、高元側凝縮器22と、高元側膨張弁23と、高元側蒸発器24と、を順に冷媒配管29で接続して構成されている。[0019] 低元側圧縮機11は、低元側冷凍サイクル10を流れる冷媒を吸入し、その冷媒を圧縮して高温・高圧の状態にして吐出する。ここでは、低元側圧縮機11を、例えばインバータ回路等により回転数を制御し、高元側冷媒の吐出量を調整できるタイプの圧縮機で構成する。[0020] 補助放熱器15は、例えば熱源側熱交換器として機能し、熱源とする例えば屋外の空気(外気)、水、ブライン等との熱交換により低元側圧縮機11が吐出したガス冷媒を冷却するものである。この実施の形態では、補助放熱器15が、熱源を外気とし、外気と冷媒との熱交換を行うものとして説明する。また、補助放熱器15は、熱交換を促すための補助放熱器ファン16を有しているものとする。補助放熱器ファン16は、風量を調整できるタイプの送風機で構成するとよい。さらに、冷凍サイクル装置100は、熱源温度である外気温度を検知する外気温度センサ31を備えている。外気温度センサ31で検知された外気温度は制御装置30に送られる。なお、熱源に応じてセンサの種別を決定すればよい。」
イ 「[0023] 低元側蒸発器14は、例えば利用側熱交換器として機能し、冷却対象との熱交換により設定された利用温度に維持するため、低元側冷凍サイクル10を流れる冷媒を蒸発させて気体(ガス)状の冷媒にする(蒸発ガス化させる)ものである。冷媒との熱交換により、冷却対象は、直接又は間接に冷却されることになる。また、低元側蒸発器14は、熱交換を促すための低元側蒸発器ファン17を有しているものとする。低元側蒸発器ファン17は、風量を調整できるタイプの送風機で構成するとよい。さらに、また、冷凍サイクル装置100は、低元側蒸発器14の近傍に、現在の利用温度(利用側熱源(冷却対象)の温度)を検知する利用温度センサ32を備えている。利用温度センサ32で検知された利用温度は制御装置30に送られる。[0024] 高元側圧縮機21は、高元側冷凍サイクル20を流れる冷媒を吸入し、その冷媒を圧縮して高温・高圧の状態にして吐出する。高元側圧縮機21についても、例えばインバータ回路等を有し、冷媒の吐出量を調整できるタイプの圧縮機で構成するとよい。[0025] 高元側凝縮器22は、例えば、外気、水、ブライン等と高元側冷凍サイクル20を流れる冷媒との間で熱交換を行い、冷媒を凝縮液化させるものである。この実施の形態では、高元側凝縮器22が、熱源を外気とし、外気と冷媒との熱交換を行うものとして説明する。また、高元側凝縮器22は、熱交換を促すための高元側凝縮器ファン25を有しているものとする。高元側凝縮器ファン25についても、風量を調整できるタイプの送風機で構成するとよい。」
ウ 「[0030] このような構成の冷凍サイクル装置100においては、低元側冷凍サイクル10の一部の機器(例えば低元側蒸発器14)を、例えばスーパーマーケットのショーケースなどの室内の負荷装置が有していることがある。このような場合、例えば、ショーケースを配置換えなどして配管の接続変更などを行って冷媒回路が開放されると、冷媒漏れが発生する可能性が多くなる。一方、高元側冷凍サイクル20は、ショーケースの配置換えなどに伴って冷媒回路が開放されることがない。[0031] そこで、冷凍サイクル装置100では、低元側冷凍サイクル10を循環させる冷媒として、冷媒漏れを考慮し、地球温暖化に対する影響が小さいCO2を用いるようにしている。」
エ 「[0048] なお、冷凍サイクル装置100は、冷凍空調装置(例えば、冷凍装置、冷蔵装置、ルームエアコン、パッケージエアコン、ビル用マルチエアコン等)、ヒートポンプ給湯機等、冷凍サイクルを備えた装置に適用して利用することができる。」
オ 「[図1][図:0001404415000001.jpg]」
(2) 引用文献1の記載から認められること
ア 上記(1)アの記載事項及び図1の図示事項によれば、カスケードコンデンサCは、冷媒配管29によって高元側冷凍サイクル20に接続される高元側蒸発器24と、冷媒配管19によって低元側冷凍サイクル10に接続される低元側凝縮器12とを、それぞれ通過する冷媒間での熱交換を可能に結合させて構成するものであるから、高元側冷凍サイクル20を流れる冷媒と低元側冷凍サイクル10を流れる冷媒とを熱交換させるものと認められる。
(3) 引用文献1に記載された発明
上記(1)及び(2)を踏まえると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
〔引用発明〕
「高元側冷凍サイクル20を流れる冷媒を吸入し、その冷媒を圧縮して高温・高圧の状態にして吐出する高元側圧縮機21と、外気と高元側冷凍サイクル20を流れる冷媒との間で熱交換を行う高元側凝縮器22と、高元側冷凍サイクル20を流れる冷媒と低元側冷凍サイクル10を流れる冷媒とを熱交換させるカスケードコンデンサCと、を冷媒配管29で接続して構成された高元側冷凍サイクル20と、低元側冷凍サイクル10を流れる冷媒を圧縮する低元側圧縮機11と、カスケードコンデンサCと、利用側熱交換器として機能する低元側蒸発器14とを冷媒配管19で接続して構成された低元側冷凍サイクル10と、を有しており、低元側冷凍サイクル10を循環させる冷媒として、CO2を用い、二元冷凍サイクルを構成している、ビル用マルチエアコンの冷凍空調装置に利用した冷凍サイクル装置100。」
2. 引用文献2について
(1)引用文献2に記載された事項
引用文献2には、次の記載事項及び図示事項がある。
ア 「[0013] 表1には、ISO規格で定められている居室空間での限界漏洩濃度の一例を示してある。[図:0001404415000002.jpg][0014] 表1から、現在、直膨式の空調機で広く用いられているHFC系冷媒の1つであるR410Aは、漏洩限界濃度が他の冷媒に比べて大きくなっており、漏洩した際の影響もさほど問題とならないということがわかる。一方、アンモニア、炭化水素の1つであるプロパン、及び、二酸化炭素等の自然冷媒は、漏洩限界濃度が非常に小さく、これらの冷媒を空調機に適用するためには、冷媒漏洩時の対策を施さなければならないという課題がある。そこで、実施の形態1に係る空気調和装置では、このような課題を解決することを主要な目的としている。[0015] 二酸化炭素を冷媒として用いた場合、表1に示す漏洩限界濃度0.07[kg/m3]を満たすための許容冷媒充填量を試算する。ビル用マルチエアコンの最も小さい室内機の容量は、約1.5[kW]である。たとえば、小さな会議室に室内機が1台設置される場合(部屋の大きさ:床面積15[m2]、高さ3[m])を想定すると、冷媒充填量を3.15[kg]以下にする必要がある。すなわち、システムとして3.15[kg]以下の冷媒を充填すれば、漏洩限界濃度をクリアすることができ、信頼性を確保することができる。同様に、アンモニアの許容冷媒充填量を試算すると0.018[kg]、プロパンの許容冷媒充填量を試算すると0.36[kg]以下にする必要がある。」
イ 「[0017] しかしながら、ビル用マルチエアコンに代表される大型の空気調和装置で上記のような冷媒充填量を実現するためには、技術的なブレークスルーが必要となる。そこで、実施の形態1に係る空気調和装置では、以下に説明するように冷媒系を遮断することによって、冷媒漏洩問題を解決できるとともに、従前の直膨式エアコンのような省工事性、個別分散制御、及び、省エネル性を実現できるようにしている。以下、実施の形態1に係る空気調和装置について図面を参照しながら説明する。[0018] ・・・[0019] 図1に示すように、この空気調和装置は、室外機である1台の熱源装置1と、複数台の室内機2と、熱源装置1と室内機2との間に介在する中継ユニット3と、を有している。中継ユニット3は、熱源側冷媒と熱媒体とで熱交換を行なうものであり、第1中継ユニット3aと、第2中継ユニット3bと、を有している。熱源装置1と中継ユニット3とは、熱源側冷媒を導通させる冷媒配管(縦配管)4で建物9の1階或いは複数階を跨いで接続される。また、中継ユニット3と室内機2とは、熱媒体を導通する配管(横配管)5で当該空気調和装置の空調対象空間とそれ以外の非空調空間との境界を跨いで接続され、熱源装置1で生成された冷熱あるいは温熱を室内機2に配送するようになっている。・・・[0020] ・・・[0021] 熱源装置1は、ビル等の建物9の外の空間である室外空間6に配置され、・・・」
ウ 「[0030] [熱源装置1]熱源装置1には、圧縮機10と、冷媒の流路を切り替える切替装置である四方弁11と、第1熱交換器である熱源側熱交換器12と、アキュムレータ17とが冷媒配管4で直列に接続されて収容されている。また、熱源装置1には、第1接続配管4a、第2接続配管4b、逆止弁13a、逆止弁13b、逆止弁13c、及び、逆止弁13dが設けられている。第1接続配管4a、第2接続配管4b、逆止弁13a、逆止弁13b、逆止弁13c、及び、逆止弁13dを設けることで、室内機2の要求する運転に関わらず、中継ユニット3に流入させる熱源側冷媒の流れを一定方向にすることができる。[0031] 圧縮機10は、熱源側冷媒を吸入し、その熱源側冷媒を圧縮して高温・高圧の状態にするものであり、たとえば容量制御可能なインバータ圧縮機等で構成するとよい。四方弁11は、暖房運転時における熱源側冷媒の流れと冷房運転時における熱源側冷媒の流れとを切り替えるものである。熱源側熱交換器12は、暖房運転時には蒸発器として機能し、冷房運転時には凝縮器として機能し、図示省略のファン等の送風機から供給される空気と熱源側冷媒との間で熱交換を行ない、その熱源側冷媒を蒸発ガス化又は凝縮液化するものである。アキュムレータ17は、圧縮機10の吸入側に設けられており、過剰な冷媒を貯留するものである。」
エ 「[図1][図:0001404415000003.jpg]」
オ 「[図4][図:0001404415000004.jpg]」
(2)引用文献2の記載から認められること
上記(1)イの記載事項、図1の図示事項から、引用文献2に開示されている熱源装置1は、ビル等の建物9の外の空間である室外空間6に設置される室外機として構成されるものと認められる。
また、上記(1)ウの記載事項から、熱源装置1は、圧縮機10、四方弁11、熱源側熱交換器12、アキュムレータ17等が収容されてなる室外機であるから、室外ユニットとして構成されるものと認められる。
(3)引用文献2に記載された技術的事項
ア 上記(1)アの記載事項から、引用文献2には、次の技術的事項(以下、「引用文献2に記載された技術的事項1」という。)が記載されているものと認められる。
「二酸化炭素を冷媒として用いた場合、ビル用マルチエアコンの最も小さい室内機に対する冷媒充填量を3.15[kg]以下にすること。」
イ 上記(2)で示した認定並びに上記(1)イ及びウの記載事項、図1及び図4の図示事項から、引用文献2には、次の技術的事項(以下、「引用文献2に記載された技術的事項2」という。)が記載されているものと認められる。
「熱源装置1が、ビル等の建物9の外の空間である室外空間6に設置され、また、圧縮機10、四方弁11、熱源側熱交換器12を含む室外ユニットとして構成されていること。」
ウ 上記(1)イの記載事項及び図4の図示事項から、引用文献2には、次の技術的事項(以下、「引用文献2に記載された技術的事項3」という。)が記載されているものと認められる。
「熱源装置1と室内機2との間に介在する中継ユニット3が、冷媒配管4を流れる熱源側冷媒と、配管5を流れる熱媒体とで熱交換を行なうこと。」
3. 引用文献3について
(1)引用文献3に記載された事項
引用文献3には、次の記載事項及び図示事項がある。
ア 「【0024】図1において、30は圧縮機、31は熱源側四方弁、32は熱源側熱交換器、33は第1減圧装置、34は第1補助熱交換器、35は第2減圧装置、36は第2補助熱交換器、37aは前記第1減圧装置33と第1補助熱交換器34の直列回路と並列に設けられた第1電磁弁、37bは第2補助熱交換器36と並列に設けられた第2電磁弁、37cは熱源側熱交換器32と第1減圧装置33の直列回路と並列に設けられた第3電磁弁であり、これらを連接して熱源側冷媒サイクル38を形成している。」
イ 「【0045】次に、本発明による多室冷暖房装置の第3の実施例について、図面を参照しながら説明するが、第1の実施例及び第2の実施例と同一構成の部分は同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。【0046】図3において、34aは第1補助熱交換器34と第3補助熱交換器39と第1冷媒搬送装置41を有する第1補助熱交換器ユニット、36aは第2補助熱交換器36と第4補助熱交換器40と第2冷媒搬送装置42を有する第2補助熱交換器ユニットで、室外機43と分離されている。その他の構成は第2の実施例と同じであり、ここでは同一符号を用いて示し、その説明を省略する。【0047】・・・【0048】室外機43と第1補助熱交換器ユニット34a及び第2補助熱交換器ユニット36aを分離し、接続配管で連接されており、室外機43と第1補助熱交換器ユニット34a及び第2補助熱交換器ユニット36aが離れて設置することができるものである。【0049】以上のように本実施例の多室冷暖房装置は、第1補助熱交換器34と、第2補助熱交換器36を環状に連接してなる熱源側冷媒サイクル38と、前記第3補助熱交換器39と、第1冷媒搬送装置41と、各冷暖自由室内機44a,44bに設けられた第1流量弁45a,45bと第1室内熱交換器46a,46b及び各冷暖専用室内機51aの設けられた第3流量弁52a及び第3室内熱交換器53aを環状に連接した第1利用側冷媒サイクル49と、前記第4補助熱交換器40と、第2冷媒搬送装置42と、各冷暖自由室内機に設けられた第2流量弁47a,47bと第2室内熱交換器49a,49b及び冷暖専用室内機51bに設けられた第3流量弁52bと第3室内熱交換機53bとを環状に連接した第2利用側冷媒サイクル50とを備えたので、夏期には第1利用側冷媒サイクル49及び第2利用側冷媒サイクル50の両方を冷房に使用し、中間期と冬季には第1利用側冷媒サイクル49を冷房用に、第2利用側冷媒サイクル50を暖房用に使用できるため、中間期や冬季に冷房と暖房の混在する場合にも対応し、省電力化をすることができる。」
ウ 「【図3】[図:0001404415000005.jpg]」
(2)引用文献3の記載から認められること
ア 上記(1)アの段落【0024】、イの段落【0048】、【0049】の記載事項及び図3の図示から、熱源側熱交換機32に接続された熱源側冷媒サイクル38の接続配管を流れる冷媒が、第1補助熱交換器ユニット34aにおいて第1補助熱交換機34を流れ、第2補助熱交換器ユニット36aにおいて第2補助熱交換機36を流れることが認められる。
イ 上記(1)イの段落【0049】の記載事項及び図3の図示から、第1及び第3室内熱交換機46a,46b,53aに接続された第1利用側冷媒サイクル49を流れる冷媒が、第1補助熱交換器ユニット34aにおいて第3補助熱交換機39を流れ、第2及び第3室内熱交換機48a,48b,53bに接続された第2利用側冷媒サイクル50を流れる冷媒が、第2補助熱交換器ユニット36aにおいて第4補助熱交換機40を流れることが認められる。
ウ 上記ア、イの認定事項、上記(1)イの記載事項及び図3の図示から、第1補助熱交換器ユニット34aにおいて、第1補助熱交換機34と第3補助熱交換機39とが、第2補助熱交換器ユニット36aにおいて、第2補助熱交換機36と第4補助熱交換機40とが熱交換されることから、第1補助熱交換器ユニット34a及び第2補助熱交換器ユニット36aが、熱源側熱交換機32に接続された熱源側冷媒サイクル38の接続配管を流れる冷媒と、第1、第2及び第3室内熱交換機46a,46b,48a,48b,53a,53bに接続された第1利用側冷媒サイクル49及び第2利用側冷媒サイクル50を流れる冷媒との間で熱交換するものと認められる。
(3)引用文献3に記載された技術的事項
上記(2)の認定事項を踏まえると、引用文献3には、次の技術的事項(以下、「引用文献3に記載された技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。
「第1補助熱交換器ユニット34a及び第2補助熱交換器ユニット36aが、熱源側熱交換機32に接続された熱源側冷媒サイクル38の接続配管を流れる冷媒と、第1、第2及び第3室内熱交換機46a,46b,48a,48b,53a,53bに接続された第1及び第2利用側冷媒サイクル49、50の配管を流れる冷媒との間で熱交換すること。」
第5 対比・判断
1. 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「高元側冷凍サイクル20を流れる冷媒」は、本願発明の「熱源側冷媒」に相当する。
そして、引用発明の「冷媒を吸入し、その冷媒を圧縮して高温・高圧の状態にして吐出する」ことは、本願発明の「圧縮する」ことに相当する。
そうすると、引用発明の「高元側冷凍サイクル20を流れる冷媒を吸入し、その冷媒を圧縮して高温・高圧の状態にして吐出する高元側圧縮機21」は、本願発明の「熱源側冷媒を圧縮する熱源側圧縮機(21)」に相当する。
また、引用発明の「外気」は、上記第4の1.(1)ア(段落[0020])に記載があるように、屋外の空気を意味するものであるから、本願発明の「室外空気」に相当する。
そして、引用発明の「高元側凝縮器22」は、その機能からみて室外に置かれるものであると解するのが自然であるから、本願発明の「室外熱交換器(23)」に相当する。
そうすると、引用発明の「外気と高元側冷凍サイクル20を流れる冷媒との間で熱交換を行う高元側凝縮器22」は、本願発明の「前記熱源側冷媒と室外空気とを熱交換させる室外熱交換器(23)」に相当する。
引用発明の「低元側冷凍サイクル10を流れる冷媒」は、本願発明の「利用側冷媒」に相当する。
そして、引用発明の「高元側冷凍サイクル20を流れる冷媒と低元側冷凍サイクル10を流れる冷媒とを熱交換させるカスケードコンデンサC」は、本願発明の「前記熱源側冷媒と利用側冷媒とを熱交換させる冷媒-冷媒熱交換器(25)」に相当する。
引用発明の「高元側冷凍サイクル20」は、「高元側冷凍サイクル20を流れる冷媒を吸入し、その冷媒を圧縮して高温・高圧の状態にして吐出する高元側圧縮機21と、外気と高元側冷凍サイクル20を流れる冷媒との間で熱交換を行う高元側凝縮器22と、高元側冷凍サイクル20を流れる冷媒と低元側冷凍サイクル10を流れる冷媒とを熱交換させるカスケードコンデンサCと、を冷媒配管29で接続して構成された」ものであるから、本願発明の「熱源側冷媒を圧縮する熱源側圧縮機(21)と、前記熱源側冷媒と室外空気とを熱交換させる室外熱交換器(23)と、前記熱源側冷媒と利用側冷媒とを熱交換させる冷媒-冷媒熱交換器(25)と、を有する熱源側回路(10)」に相当する。
引用発明の「低元側冷凍サイクル10を流れる冷媒を圧縮する低元側圧縮機11」は、本願発明の「前記利用側冷媒を圧縮する利用側圧縮機(31)」に相当する。
また、上記第4の1.(1)ウ及びエの記載事項から、引用発明の「冷凍サイクル装置100」は、ビル用マルチエアコンに適用して利用されるものであり、「低元側冷凍サイクル10」は、ビル内の負荷装置として複数設置されることが予定されるものといえる。
また、上記第4の1.(1)ウの記載事項から、引用発明の「低元側冷凍サイクル10」は、室内で用いられるものであるから、引用発明の「利用側熱交換器として機能する低元側蒸発器14」は、低元側冷凍サイクル10を流れる冷媒と室内空気とを熱交換させるものと認められる。
そうすると、引用発明の「利用側熱交換器として機能する低元側蒸発器14」は、本願発明の「利用側冷媒と室内空気とを熱交換させる複数の室内熱交換器(52)」に相当する。
また、引用発明の「低元側冷凍サイクル10を循環させる冷媒として、CO2を用い」ることは、本願発明の「利用側冷媒として二酸化炭素が封入された利用側回路(30)」に相当する。
よって、引用発明の「低元側冷凍サイクル10を流れる冷媒を圧縮する低元側圧縮機11と、カスケードコンデンサCと、利用側熱交換器として機能する低元側蒸発器14とを冷媒配管19で接続して構成された低元側冷凍サイクル10と、を有しており、低元側冷凍サイクル10を循環させる冷媒として、CO2を用い」ることは、本願発明の「前記利用側冷媒を圧縮する利用側圧縮機(31)と、前記冷媒-冷媒熱交換器と、前記利用側冷媒と室内空気とを熱交換させる複数の室内熱交換器(52)と、を有しており、前記利用側冷媒として二酸化炭素が封入された利用側回路(30)と、を含む」ことに相当する。
そして、引用発明の「二元冷凍サイクルを構成している」ことは、本願発明の「多元冷凍サイクルを構成して」いることに相当する。
したがって、本願発明と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。
〔一致点〕
「熱源側冷媒を圧縮する熱源側圧縮機と、前記熱源側冷媒と室外空気とを熱交換させる室外熱交換器と、前記熱源側冷媒と利用側冷媒とを熱交換させる冷媒-冷媒熱交換器と、を有する熱源側回路と、前記利用側冷媒を圧縮する利用側圧縮機と、前記冷媒-冷媒熱交換器と、前記利用側冷媒と室内空気とを熱交換させる複数の室内熱交換器と、を有しており、前記利用側冷媒として二酸化炭素が封入された利用側回路と、を含む、多元冷凍サイクルを構成している、空気調和システム。」
〔相違点1〕
本願発明では、「室外熱交換器は、室外ユニットに設けられて」いるのに対して、引用発明では、「高元側凝縮器22」が「室外ユニットに設けられて」いるか不明な点。
〔相違点2〕
本願発明では、「冷媒-冷媒熱交換器は、前記熱源側冷媒が流れる熱源側冷媒連絡管を介して前記室外ユニットに接続される中間ユニットに設けられており、前記室内熱交換器は、前記利用側冷媒が流れる利用側冷媒連絡管を介して前記中間ユニットに接続される室内ユニットに設けられて」いることを特定しているのに対して、引用発明では、「中間ユニット」について特段限定していない点。
〔相違点3〕
本願発明では、「利用側回路に封入される前記利用側冷媒の量を7.9kg以下にする」ことを特定しているのに対して、引用発明では、「低元側冷凍サイクル10を循環させる冷媒」の量について特段限定していない点。
2. 判断
まず、上記相違点1について検討する。
引用文献2に記載された技術的事項2の「熱源装置1」は、「ビル等の建物9の外の空間である室外空間6に設置され」るものであり、「圧縮機10、四方弁11、熱源側熱交換器12を含む室外ユニットとして構成されている」から、この熱源装置1に含まれる「熱源側熱交換機12」は、「室外ユニット」に設けられたものということができる。
そして、引用発明の「高元側凝縮器22」と、引用文献2に記載された技術的事項2の「熱源側熱交換器12」とは、いずれも、室内に設けられた2次側冷凍サイクルと熱交換を行う、1次側冷凍サイクルに設けられた熱交換器である点で、作用・機能が共通する。
してみると、引用発明の「高元側凝縮器22」の配置及び構成について、引用文献2に記載された技術的事項2を踏まえて、相違点1の構成を得ることは、当業者にとって格別困難性を有するものとは認められない。
次に、相違点2について検討する。
引用文献2に記載された技術的事項3及び引用文献3に記載された技術的事項に見られるとおり、本願発明の「冷媒-冷媒熱交換器は、前記熱源側冷媒が流れる熱源側冷媒連絡管を介して前記室外ユニットに接続される中間ユニットに設けられており、前記室内熱交換器は、前記利用側冷媒が流れる利用側冷媒連絡管を介して前記中間ユニットに接続される室内ユニットに設けられて」いることは、多元冷凍サイクル間で冷媒-冷媒間の熱交換を行う際における従来周知の技術にすぎない。
してみると、引用発明における「カスケードコンデンサC」は、多元冷凍サイクル間で冷媒-冷媒間の熱交換を行うものであるから、引用発明に上記従来周知の技術を適用して、相違点2の構成を得ることは、当業者にとって格別困難性を有するものとは認められない。
次に、相違点3について検討する。
上記第4の2.(3)アの引用文献2に記載された技術的事項1は、「二酸化炭素を冷媒として用いた場合、ビル用マルチエアコンの最も小さい室内機に対する冷媒充填量を3.15[kg]以下にする」ものであるから、ビル用マルチエアコンの利用側回路に封入される二酸化炭素からなる冷媒の量が7.9kg以下であるといえる。
そして、引用発明と引用文献2に記載された技術的事項1とは、いずれも、ビル用マルチエアコンの冷凍空調装置に二酸化炭素を冷媒として用いることに関するものであるから、引用発明に対して、引用文献2に記載された技術的事項1を適用して、相違点3の構成を得ることは、当業者にとって格別困難性を有するものとは認められない。
また、上記相違点1-3を勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項1、2及び従来周知の技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
3. 審判請求人の主張
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審判請求人は、令和5年8月14日に提出された意見書において、特に相違点3に対する判断に対して、以下のとおり主張する。
「引用文献2には、本願発明の技術的思想である、上記のA:室外ユニットに、室外熱交換器が設けられ、B:中間ユニットに、冷媒-冷媒熱交換器が設けられ、C:室内ユニットに、室内熱交換器が設けられ、D:利用側回路に封入される利用側冷媒(二酸化炭素)の量を7.9kg以下にする、という一連の特徴(技術的思想)を持つ発明が開示されているのではなく、引用文献2は、課題の「冷媒漏洩問題」を“1次冷媒として二酸化炭素等を用いつつ2次冷媒として水やブラインを用いて中間ユニットで熱交換させる”(=冷媒系を遮断する)ことで解決するという技術的思想を開示する文献です。したがって、このことを正確に理解する当業者であれば、引用文献1,2を参照して試行錯誤したとしても、本願発明に想到するのではなく、冷媒系を遮断して2次冷媒として水やブラインを使うという技術的思想を引用文献1に取り込んだ別発明に辿り着くことになると出願人は考えます。」
しかしながら、1つの文献に複数の技術的事項が開示されていることは、通常のことであって、引用文献2についても同様であるところ、引用文献2に接した当業者にとって、引用文献2から抽出される技術的事項を、審判請求人が主張する「「冷媒漏洩問題」を“1次冷媒として二酸化炭素等を用いつつ2次冷媒として水やブラインを用いて中間ユニットで熱交換させる”(=冷媒系を遮断する)ことで解決する」という特定の技術的思想のみに限定しなければならないという合理的な理由は認められず、上記引用文献2に記載された技術的事項2として抽出することが不合理であるとも認められない。
また、上記第4の2.(3)アに示したとおり、引用文献2より、引用文献2に記載された技術的事項1が認められ、さらに、上記第5の2.の相違点3についての判断で示したとおり、引用発明に対して、引用文献2に記載された技術的事項1を適用する動機付けもある。さらに、当該適用を阻害する特段の事情は認められない。
したがって、審判請求人の主張は、相違点3に対する判断を覆すに足るものとはいえない。
4. 小括
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項1、2及び従来周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-018088