特許拒絶査定不服審判
2022-017947
バイオマス由来の樹脂層を備えた積層体
- 審判番号
- 2022-017947
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-207764外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年11月08日
- 審決日
- 2024年07月10日
- 公報発行日
- 2024年09月27日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (B32B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第44条第1項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-207764「バイオマス由来の樹脂層を備えた積層体」拒絶査定不服審判事件〔令和3年4月1日出願公開、特開2021-49784〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
1 出願分割の経緯の概略
本願は、令和2年12月15日にされた特許法第44条第1項の規定による特許出願であって、平成25年1月9日に出願した特願2013-2029号を最先の出願とする、いわゆる4次の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の提出日を示す。
最先出願:特願2013- 2029号(平成25年 1月 9日)
1次分割:特願2016-218129号(平成28年11月 8日)
2次分割:特願2018-175258号(平成30年 9月19日)
3次分割:特願2020-103205号(令和 2年 6月15日)
本願 :特願2020-207764号(令和 2年12月15日)
2 本願の手続の経緯の概略
本願の出願後の手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和3年10月26日付け:拒絶理由通知書
令和3年12月21日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 2月 2日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和4年 4月 4日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 5月25日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和4年 7月26日 :意見書の提出
令和4年 8月 9日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(令和4年 8月19日 :原査定の謄本の送達)
令和4年11月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和6年 1月16日付け:審尋
令和6年 3月 7日 :回答書の提出
令和6年 4月 1日付け:拒絶理由通知書
令和6年 5月24日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~5に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)は、それぞれ令和6年5月24日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1の記載は次のとおりである。
「ジオール単位とジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなるバイオマスポリエステル樹脂組成物からなり、前記ジオール単位がバイオマス由来のエチレングリコールである、バイオマスポリエステル樹脂層、または化石燃料由来のジオール単位と化石燃料由来のジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなる化石燃料ポリエステル樹脂組成物からなる、化石燃料ポリエステル樹脂層と、
無機酸化物の蒸着膜を含むバリア層と、
ヒートシール層と、をこの順に有する積層体であって、
前記バイオマスポリエステル樹脂層または前記化石燃料ポリエステル樹脂層が、前記積層体の最表面を構成し、
前記ヒートシール層が、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなるバイオマスポリオレフィン樹脂組成物からなり、
前記ヒートシール層の密度が0.90~0.925g/cm3であり、
前記積層体が、さらに化石燃料由来の原料を含む樹脂材料からなる樹脂層を備え、
前記化石燃料由来の原料を含む樹脂材料からなる樹脂層が、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、シリカ蒸着延伸ナイロンフィルム、アルミナ蒸着延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールコート延伸ポリプロピレンフィルム、ナイロン6/メタキシリレンジアミンナイロン6共押共延伸フィルムまたはポリプロピレン/エチレン-ビニルアルコール共重合体共押共延伸フィルムのいずれか、またはこれらの2以上のフィルムを積層した複合フィルムであり、
前記バリア層と前記化石燃料由来の原料を含む樹脂材料からなる樹脂層とが接着剤層を介して積層されており、
前記化石燃料由来の原料を含む樹脂材料からなる樹脂層と前記ヒートシール層とが接着剤層を介して積層されている、積層体。」
第3 当審拒絶理由の概要
令和6年4月1日付けで、当審が通知した拒絶理由の概要は、次のとおりのものである。
拒絶理由1 明確性
この出願は、請求項1に記載された「非バイオマスポリオレフィン樹脂層」が不明であるため、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
拒絶理由2 進歩性
この出願の請求項1~5に係る発明は、以下の当審で通知した引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<当審で通知した引用文献>
1:「食品包装便覧」、第1版第1刷、社団法人 日本包装技術協会、1988年(昭和63年)3月1日、522~523ページ
第4 当審の判断
当審は、以下に示すとおり、令和6年5月24日提出の手続補正書による補正及び意見書の内容を考慮しても、上記第3に記載した拒絶理由2は解消していないと判断する。
<引用文献等一覧>
1:「食品包装便覧」、第1版第1刷、社団法人 日本包装技術協会、1988年(昭和63年)3月1日、491、520、522、523ページ(当審で通知した引用文献1)
2:特開2009-91694号公報(周知技術を示す文献、新たに引用する文献)
3: 特開2012-96469号公報(周知技術を示す文献、新たに引用する文献)
4: 特開2012-116082号公報(周知技術を示す文献、新たに引用する文献)
5: 特開2010-89821号公報(周知技術を示す文献、新たに引用する文献)
6: 特開2006-27631号公報(周知技術を示す文献、新たに引用する文献)
7: 特開2006-56527号公報(周知技術を示す文献、新たに引用する文献)
8: 特開2006-56529号公報(周知技術を示す文献、新たに引用する文献)
9: 特開2012-167172号公報(周知技術を示す文献、新たに引用する文献)
10: 特開2012-250350号公報(周知技術を示す文献、新たに引用する文献)
11: 特開2012-251006号公報(周知技術を示す文献、新たに引用する文献)
1 引用文献の記載、引用発明等
(1)引用文献1
ア 引用文献1に記載された事項
引用文献1には、次の事項が記載されている。
(ア) 「
[図:0001413748000001.jpg]
」(491ページの図1)
(イ) 「2) 水蒸気及びガスの透過性
アルミ蒸着によって水蒸気、ガスの透過性は、大幅に減少し、蒸着しないフィルムに比べ、これらの遮断性は数倍から数百倍に向上する。」(520ページ下から3行~末行)
「
[図:0001413748000002.jpg]
[図:0001413748000003.jpg]
」(522ページの下から5行~末行、523ページの表5)
イ 引用発明
上記ア(イ)には、「(7)食品包装用蒸着フィルム 表5に複合蒸着フィルムの実例の物性値を示す。」の記載があり、この例として、表5には「複合蒸着フィルムの透湿度と酸素透過度」として代表的な複合構成を列挙しつつ、透湿度と酸素透過度の値が示されている。当該表5に列挙された「代表的な複合構成」のうち上から2つ目によると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「PET12μ/AlVM/PET12μ/PE60μの構成の食品包装用複合蒸着フィルム。」
(2) 周知技術等
ア 引用文献2
引用文献2には、次の事項が記載されている。
「【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記することがある。)は、機械的強度、化学的安定性、透明性等に優れ、かつ、安価であり、各種の繊維、シート、フィルム、容器等として世界中で最も多く使用されている合成樹脂素材のひとつである。
【0003】
ところで、PETは従来、石油から得られるナフサを接触改質、熱分解して得られるキシレン、エチレンを粗原料とし、キシレン→パラキシレン→テレフタル酸、およびエチレン→エチレンオキシド→エチレングリコールといった経路で得られたテレフタル酸( 以下、TPAと略記することがある。) とエチレングリコール (以下、EGと略記することがある。) をエステル化反応後、重縮合反応させて製造されている。このように、従来のPETは、限りある貴重な化石資源である石油を原材料としたものである。さらに、従来のPETは、焼却廃棄された場合、本来化石資源中に封じ込められていた炭素が二酸化炭素となって空気中に放出されるため、新たに発生する二酸化炭素により温室効果が増長されることとなり、地球温暖化の一因となっている。」
「【0011】
本発明のPETは、ポリマー物性としては従来の化石資源由来のPETに比べて何ら遜色を有するものではないため、繊維、不織布、シート、フィルムや成型物などの用途に使用することができ、自動車内装材用途においても好適に使用することができる。」
「【0020】
以下に、本発明のPETの製造方法について説明する。
本発明のPETとしては、常法により製造することができる。例えば、(a)バイオマス由来のEGなどのグリコール成分とTPAなどの酸成分とから、通常の手法で重縮合する方法、(b)石油由来のPETをバイオマス由来のモノマー成分で解重合した後、再度重縮合を行いバイオマス由来成分を導入する方法、(c)バイオマス由来PETと石油由来のPETとをブレンド又はエステル交換させる方法、などが挙げられる。以下には、(a)の方法の場合について例示する。すなわち、まず、TPAとバイオマス由来のEGとを常法によってエステル化してポリエステル低重合体を得る。次いで、このポリエステル低重合体に必要に応じて共重合モノマーを添加し、重縮合触媒の存在下で溶融重合を行うものである。」
イ 引用文献3
引用文献3には、次の事項が記載されている。
「【背景技術】
【0002】
ポリエステルは、その機械的特性、化学的安定性、耐熱性、透明性などに優れ、かつ安価であることから、各種産業用途に広く使用されている。ポリエステルは、ジオール単位とジカルボン酸単位とを重縮合して得られ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す場合がある)は、エチレングリコールとテレフタル酸とを原料として、これらをエステル化反応させた後に重縮合反応させて製造されている。これらの原料は化石資源である石油から生産され、例えば、エチレングリコールはエチレンから、テレフタル酸はキシレンから工業的に生産されている。」
「【0026】
本発明の一態様によれば、基材層と、蒸着層と、樹脂層とを有する、バリア性フィルムを用いた積層体が提供される。具体的に、本発明によるバリア性フィルムを用いた積層体の一例の模式断面図を図2に示す。図2に示される積層体20は、基材層21と、基材層21の一方の面上に形成された蒸着層22と、樹脂層23とを有してなり、基材層11の蒸着面と、樹脂層23とは、接着層24を介して貼合されてなる。さらに、樹脂層23上に、接着層24を介して、樹脂層25が貼合されてなる。以下、本発明の各層構成について説明する。」
「【0028】
<ポリエステル>
基材層を形成する樹脂組成物中に含まれるポリエステルは、ジオール単位とジカルボン酸単位とからなり、ジオール単位としてバイオマス由来のエチレングリコールを用い、ジカルボン酸単位として化石燃料由来のジカルボン酸を用いて重縮合反応により得られるものである。」
「【0030】
ポリエステルのジカルボン酸単位は、化石燃料由来のジカルボン酸を使用する。ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、およびそれらの誘導体を制限なく使用することができる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸及びイソフタル酸等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル、具体的には、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸が好ましく、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、ジメチルテレフタレートが好ましい。」
「【0055】
ポリエチレンテレフタレートを例にとると、ポリエチレンテレフタレートは、2炭素原子を含むエチレングリコールと8炭素原子を含むテレフタル酸とがモル比1:1で重合したものであるため、エチレングリコールとしてバイオマス由来のもののみを使用した場合、ポリエステル中のバイオマス由来の炭素の含有量Pbioは20%となる。本発明においては、樹脂組成物中の全炭素に対して、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量が、10~19%であることが好ましい。樹脂組成物中のバイオマス由来の炭素含有量が10%未満であると、カーボンオフセット材料としての効果が乏しくなる。一方、上記したように、樹脂組成物中のバイオマス由来の炭素含有量は20%に近いほど好ましいが、フィルムの製造工程上の問題や物性面から、樹脂中には上記したようなリサイクルポリエステルや添加剤を含む方が好ましいため、実際の上限は18%となる。」
「【0123】
<樹脂層>
本発明によるバリア性フィルムを用いた積層体は、樹脂層を少なくとも1層さらに有してもよい。樹脂層としては、例えば、バイオマス由来の原料を含む樹脂材料からなる層および従来の化石燃料由来の原料を含む樹脂材料からなる層等を挙げることができる。樹脂層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。樹脂層は、基材層または蒸着層の上に、直接または接着層を介して形成することができる。
・・・
【0127】
また、他の態様によれば、樹脂層は、従来の化石燃料由来の原料を含む樹脂材料からなる樹脂層であってもよい。本発明の積層体においては、バリア性フィルム上に、従来の化石燃料由来の樹脂からなる樹脂層を積層することで、耐熱性、耐圧性、耐水性、ヒートシール性、耐ピンホール性、耐突き刺し性、およびその他の物性を付与ないし向上させることができる。
・・・
【0129】
また、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、シリカ蒸着延伸ナイロンフィルム、アルミナ蒸着延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールコート延伸ポリプロピレンフィルム、ナイロン6/メタキシリレンジアミンナイロン6共押共延伸フィルムまたはポリプロピレン/ エチレン-ビニルアルコール共重合体共押共延伸フィルム等のいずれか、またはこれらの2以上のフィルムを積層した複合フィルムであってもよい。」
「【0134】
<層構成>
本発明の積層体の層構成については、基材層および蒸着層を有するものであれば、特に限定されず、従来の積層フィルムと同様の層構成であってもよい。例えば、PET/蒸着層/PE(PEF)、PET/蒸着層/CPP、PET/蒸着層/CNY、PET/蒸着層/PET/PE、PET/蒸着層/PET/CPP、PET/蒸着層/AL/PE、PET/蒸着層/AL/CPP、PET/蒸着層/ONY/PE、PET/蒸着層/ONY/CPP、ONY/蒸着層/PET/PE、ONY/蒸着/PET/CPP、PET/蒸着層/PVA/PE、PET/蒸着層/PVA/CPP、PET/蒸着層/PVC/PE、PET/蒸着層/PVC/CPP、PET/蒸着層/AL/ONY/PE、PET/蒸着層/AL/ONY/CPP、PET/蒸着層/ONY/AL/PE、PET/蒸着層/ONY/AL/CPP、PET/蒸着層/紙/PE、PET/蒸着層/紙/CPP、紙/AL/PET/蒸着層/PE、紙/AL/PET/蒸着層/CPP、およびOPP/PET/蒸着層/AL/OPP等が挙げられる。なお、各略称の名称は、以下のとおりである。PET:ポリエチレンテレフタレート、PE:ポリエチレン、PEF:ポリエチレンフィルム、CNY:無延伸ナイロン、ONY:延伸ナイロン、AL:アルミニウム箔、CPP:未延伸ポリプロピレン、OPP:二軸延伸ポリプロピレン、PVA:ポリビニルアルコール、PVC:ポリ塩化ビニル。」
「【図2】
[図:0001413748000004.jpg]
」
ウ 引用文献4
引用文献4には、次の事項が記載されている。
「【請求項1】
ジオール単位とジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなる樹脂組成物からなり、前記樹脂組成物が、ジオール単位がバイオマス由来のエチレングリコールであり、ジカルボン酸単位が化石燃料由来のジカルボン酸であるポリエステルを、樹脂組成物全体に対して、50~95質量%含んでなる、バイオマス樹脂層と、
無機物または無機酸化物からなるバリア層と、
少なくとも一方の面に最外層として形成されたヒートシール層と
を有してなることを特徴とする、ラミネートチューブ用積層体。」
「【請求項4】
前記化石燃料由来のジカルボン酸がテレフタル酸である、請求項1~3のいずれか一項に記載のラミネートチューブ用積層体。」
「【背景技術】
【0002】
ポリエステルは、その機械的特性、化学的安定性、耐熱性、透明性などに優れ、かつ安価であることから、各種産業用途に広く使用されている。ポリエステルは、ジオール単位とジカルボン酸単位とを重縮合して得られ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す場合がある)は、エチレングリコールとテレフタル酸とを原料として、これらをエステル化反応させた後に重縮合反応させて製造されている。これらの原料は化石資源である石油から生産され、例えば、エチレングリコールはエチレンから、テレフタル酸はキシレンから工業的に生産されている。」
エ 引用文献5
引用文献5には、次の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料、調味料、洗剤、医薬品、工業薬品等の液体を収納するのに用いられる紙容器に関し、特に金属または無機化合物蒸着フィルムをバリアフィルムとして用いたバリア性の高い液体用紙容器に関する。」
「【0067】
本発明で使用されるバリアフィルム(4)は、延伸フィルム(ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン等)に少なくとも酸化珪素、アルミニウムまたは酸化アルミニウム等の金属または無機化合物を蒸着加工したものを用いる。バリアフィルム(4)の厚さは、6μmから30μmの範囲内であることが好ましい。」
「【実施例】
【0081】
以下に本発明の具体的実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の紙容器の一部断面説明図である。図2は本発明の紙容器の製造方法を説明するための一部断面説明図である。また、図3は比較例の紙容器の一部断面説明図である。図4は比較例の紙容器の製造方法を説明するための一部断面説明図である。
【0082】
<実施例1>
厚さ12μmの酸化アルミニウム蒸着延伸ポリエステル(PET)フィルムの酸化アルミニウム蒸着面と厚さ12μmの延伸ポリエステル(PET)フィルムをポリウレタン系ドライラミネート用接着剤(塗布量3g/m2)によりラミネートして積層フィルムを作成した。
【0083】
上記積層フィルムと厚さ60μmの直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルムをポリウレタン系ドライラミネート用接着剤(塗布量3g/m2)によりラミネートして液体用紙容器の内層となる積層体を作成した。
【0084】
また、坪量400g/m2のSIE原紙(1)(王子特殊紙製)の表面にエチレン-メタクリル酸共重合体(EMMA)樹脂を40μmの厚さで押出して上記内層となる積層体のバリアフィルム面(4)とエクストルーダーラミネーションを行った。さらに、その紙面に厚さ15μmのLDPE樹脂をラミネートし、LDPE側表面にインラインでコロナ処理を行い、図2にその断面の一部を示すような積層体を作成した。このコロナ処理面にグラビア印刷を行いながらシートを所定の寸法に断裁した。断裁シートに対して、印刷柄に合わせた打ち抜き、罫線加工を行い、ブランクスを作成した。さらに、加熱融着によりスリーブ加工を行い液体用紙容器とした。」
「【0088】
【表1】
[図:0001413748000005.jpg]
」
「【符号の説明】
【0092】
1…原紙
2…熱可塑性樹脂層
3…熱可塑性樹脂層
4…バリアフィルム
5…シーラント
6…インキ層
7…無機化合物蒸着層
8…延伸プラスチックフィルム」
「【図1】
[図:0001413748000006.jpg]
」
オ 引用文献6
引用文献6には、次の事項が記載されている。
「【0010】
また、本発明に係るチューブ容器の口部の開口先端部に貼り合わせシール材について、別の具体例を例示すると、図3に示すように、まず、所望の印刷模様層5を設けた基材フィルム1と、無機酸化物の蒸着膜2を設けた樹脂フィルム3とを、その印刷模様層5の面と樹脂フィルム3の面とを対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者を、ラミネート用接着剤層6を介してドライラミネート積層し、更に、上記でドライラミネート積層した無機酸化物の蒸着膜2を設けた樹脂フィルム3の無機酸化物の蒸着膜2の面に、ラミネート用接着剤層6aを介して、強度を有し、耐突き刺し性に優れた樹脂フィルム7をドライラミネート積層し、更にまた、上記でドライラミネート積層した強度を有し、耐突き刺し性に優れた樹脂フィルム7の面に、ラミネート用接着剤層6bを介して、ヒートシール性樹脂層4をドライラミネート積層した構成からなる本発明に係るシール材A2を例示することができる。」
「【0020】
次に、本発明において、本発明に係るシール材を構成する無機酸化物の蒸着膜を設けた樹脂フィルムの無機酸化物の蒸着膜について説明すると、かかる無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、化学気相成長法、または、物理気相成長法、あるいは、その両者を併用して、無機酸化物の蒸着膜の1層からなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜または複合膜を形成して製造することができるものである。」
「【0024】
また、上記のプラズマ化学気相成長装置において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜の形成は、樹脂フィルムの上に、プラズマ化した原料ガスを酸素ガスで酸化しながらSiOXの形で薄膜状に形成されるので、当該形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜は、緻密で、隙間の少ない、可撓性に富む連続層となるものであり、従って、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜のバリア性は、従来の真空蒸着法等によって形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜と比較してはるかに高いものとなり、薄い膜厚で十分なバリア性を得ることができるものである。」
「【0031】
上記において、金属または無機酸化物の蒸着膜としては、基本的には、金属の酸化物を蒸着した薄膜であれば使用可能であり、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着膜を使用することができる。
而して、好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着膜を挙げることができる。」
「【実施例1】
【0055】
(1).まず、チューブ容器の製造方法について説明する。
基材フイルムとして、厚み、12μmの2軸延伸ポリエステルフイルムにグラビア印刷で印刷層を設け、次に、その印刷層を含む全面に、2液反応硬化型の接着剤層を介して、厚さ15μmののエチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物フイルムからなるバリア性フイルムを積層した。
更に、上記の接着剤と同一組成の接着剤層を介して、厚み130μmの低密度ポリエチレン樹脂フイルムを、上記で積層したバリア性フイルムの面に積層した。
そして、上記の基材フイルムの印刷層を設けていない側に、上記の接着剤と同一組成の2液反応硬化型の接着剤層介して、厚さ130μmの透明ポリエチレン樹脂フイルムからなる透明樹脂層を積層して、胴部形成用積層シートを作成した。
次いで、上記の胴部形成用積層シートを所望の幅に断裁し、最内層と最外層のポリエチレン樹脂フイルムとが相接するようにしてヒートシールして、直径25.4mm、長さ100mmの筒状胴部を形成した。
更に、上記の筒状胴部の一方の開口端部に、低密度ボリエチレン樹脂を用いて、コンプレッション成形で肩部と口部とを成形しながら取り付けて、チューブ容器を形成した。
(2).次に、シール材の製造方法について説明する。
まず、基材フィルムとして、厚さ25μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルム(以下「PET」という。)の片面に文字、記号、図形等からなる所望の印刷絵柄をグラビア印刷し、印刷層を形成した。
次に、樹脂フィルムとしての厚さ25μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムの上に、無機酸化物の薄膜層を以下の方法で設けた。
樹脂フィルムとして、厚さ25μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、まず、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムをプラズマ化学蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いで、これを繰り出し、その2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのユロナ処理面の上に、下記の蒸着条件により、膜厚200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:11:10(単位:Slm)
真空チヤンバー内の真空度;5.2×10-6mbar
蒸着チヤンバー内の真空度;5.1×10-2mbar
フィルムの搬送速度;90m/min
冷却・電極ドラム供給電力;60w・分/m2
蒸着面;コロナ処理面
次に、上記で厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜の面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kw、酸素ガス(O2):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6.0×10-2mbar、処理速度420m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成して、本発明にかかるバリア性フィルムを製造した。
次に、前記のPETフイルムの印刷層面に、ポリウレタン系接着剤を3.5g/m2(乾燥状態)塗布し、上記で作成したバリア性フィルムの蒸着面とを対向させて重ね合わせてドライラミネーション法によりラミネートして層構成、PETフイルム12μm/印刷層/接着剤層/プラズマ処理面・酸化珪素の蒸着膜/PETフイルム25μmのラミネートフイルムを作製した。
(3).本発明に係るシール材付きチューブ容器の製造について説明する。
次に、 前記のラミネートフイルムにおいて、 厚み25μmのPETフイルム側に、ポリウレタン系接着剤を3.5g/m2(乾燥状態)塗布し、次いで、最内層のイージーピール性樹脂層として、低密度ポリエチレンにポリブテン-1およびポリスチレン系樹脂をブレンドしてなる厚さ30μmのポリエチレン系イージーピール性樹脂フイルムを製造し、これを順次ドライラミネーション法で積層して、層構成が、PETフイルム12μm/印刷層/接着剤層/プラズマ処理面・酸化珪素の蒸着膜/PETフイルム25μm/接着剤層/ポリエチレン系イージーピール性樹脂フイルム30μm(内面)からなる本発明に係るバージンシール材を作製し、40℃×3日間エージングした。
次に、上記で製造したバージンシール材のシートを打ち抜き、タブを設けたバージンシールを上記のチューブ容器の土部の先端部にヒートシールで接着して一体化し、本発明に係るシール材付きチューブ容器を作製した。
上記で製造した本発明に係るシール材付きチューブ容器は、アルミニウム箔を用いずに、酸素ガス、水蒸気、保香性等のバリアー性、印刷適性、強度、剛性、ヒートシール性、易開封性に優れ、また、例えば、食品、医薬品、医薬部外品、化粧品、工業製品等の種々の物品を充慎包装するに有用で、その包装体の金属探知機等の異物検査が可能であり、内容物の改ざん防止、品質安全性、保存適性に優れ、燃焼ゴミとして廃棄処分することができ、有用なものであった。」
「【図3】
[図:0001413748000007.jpg]
」
カ 引用文献7
引用文献7には、次の事項が記載されている。
「【0010】
また、本発明に係るチューブ容器の口部の開口先端部に貼り合わせシール材について、別の具体例を例示すると、図3に示すように、まず、所望の印刷模様層6を設けた基材フィルム1と、ガスバリア性塗布膜2と無機酸化物の蒸着膜3とを設けた樹脂フィルム4とを、その印刷模様層6の面と樹脂フィルム4の面とを対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者を、ラミネート用接着剤層7を介してドライラミネート積層し、更に、上記でドライラミネート積層したガスバリア性塗布膜2と無機酸化物の蒸着膜3とを設けた樹脂フィルム4を構成するガスバリア性塗布膜2の面に、ラミネート用接着剤層7aを介して、強度を有し、耐突き刺し性に優れた樹脂フィルム8をドライラミネート積層し、更にまた、上記でドライラミネート積層した強度を有し、耐突き刺し性に優れた樹脂フィルム8の面に、ラミネート用接着剤層7bを介して、ヒートシール性樹脂層5をドライラミネート積層した構成からなる本発明に係るシール材A2を例示することができる。」
「【0020】
次に、本発明において、本発明に係るシール材を構成するガスバリア性塗布膜と無機酸化物の蒸着膜とを設けた樹脂フィルムを形成する無機酸化物の蒸着膜について説明すると、かかる無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、化学気相成長法、または、物理気相成長法、あるいは、その両者を併用して、無機酸化物の蒸着膜の1層からなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜または複合膜を形成して製造することができるものである。」
「【0024】
また、上記のプラズマ化学気相成長装置において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜の形成は、樹脂フィルムの上に、プラズマ化した原料ガスを酸素ガスで酸化しながらSiOXの形で薄膜状に形成されるので、当該形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜は、緻密で、隙間の少ない、可撓性に富む連続層となるものであり、従って、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜のバリア性は、従来の真空蒸着法等によって形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜と比較してはるかに高いものとなり、薄い膜厚で十分なバリア性を得ることができるものである。」
「【0031】
上記において、金属または無機酸化物の蒸着膜としては、基本的には、金属の酸化物を蒸着した薄膜であれば使用可能であり、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着膜を使用することができる。
而して、好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着膜を挙げることができる。」
「【実施例1】
【0093】
(1).まず、チューブ容器の製造方法について説明する。
基材フイルムとして、厚み、12μmの2軸延伸ポリエステルフイルムにグラビア印刷で印刷層を設け、次に、その印刷層を含む全面に、2液反応硬化型の接着剤層を介して、厚さ15μmののエチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物フイルムからなるバリア性フイルムを積層した。
更に、上記の接着剤と同一組成の接着剤層を介して、厚み130μmの低密度ポリエチレン樹脂フイルムを、上記で積層したバリア性フイルムの面に積層した。
そして、上記の基材フイルムの印刷層を設けていない側に、上記の接着剤と同一組成の2液反応硬化型の接着剤層介して、厚さ130μmの透明ポリエチレン樹脂フイルムからなる透明樹脂層を積層して、胴部形成用積層シートを作成した。
次いで、上記の胴部形成用積層シートを所望の幅に断裁し、最内層と最外層のポリエチレン樹脂フイルムとが相接するようにしてヒートシールして、直径25.4mm、長さ100mmの筒状胴部を形成した。
更に、上記の筒状胴部の一方の開口端部に、低密度ボリエチレン樹脂を用いて、コンプレッション成形で肩部と口部とを成形しながら取り付けて、チューブ容器を形成した。
(2).次に、シール材の製造方法について説明する。
まず、基材フィルムとして、厚さ25μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルム(以下「PET」という。)の片面に文字、記号、図形等からなる所望の印刷絵柄をグラビア印刷し、印刷層を形成した。
次に、樹脂フィルムとしての厚さ25μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムの上に、無機酸化物の薄膜層を以下の方法で設けた。
樹脂フィルムとして、厚さ25μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、まず、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムをプラズマ化学蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いで、これを繰り出し、その2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのユロナ処理面の上に、下記の蒸着条件により、膜厚200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:11:10(単位:Slm)
真空チヤンバー内の真空度;5.2×10-6mbar
蒸着チヤンバー内の真空度;5.1×10-2mbar
フィルムの搬送速度;90m/min
冷却・電極ドラム供給電力;60w・分/m2
蒸着面;コロナ処理面
次に、上記で厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜の面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kw、酸素ガス(O2):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6.0×10-2mbar、処理速度420m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
他方、下記の表1に示す組成に従って、組成a.EVOH(エチレン共重合比率29%)をイソプロピルアルコールおよびイオン交換水の混合溶媒にて溶解したEVOH溶液に、予め調製した組成b.のエチルシリケート40、イソプロピルアルコール、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水からなる加水分解液を加えて攪拌、更に予め調製した組成c.のポリビニルアルコール水溶液、シランカップリング剤(エポキシシリカSH6040) 、酢酸、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液を加えて攪拌し、無色透明のバリアー塗工液を得た。
(表1)
a EVOH(エチレン共重合率29%) 0.610(wt%)
イソプロピルアルコール 3.294
H2O 2.196
b エチルシリケート40 11.460
イソプロピルアルコール 17.662
アルミニウムアセチルアセトン 0.020
H2O 13.752
c ポリビニルアルコール 1.520
シランカップリング剤 0.050
イソプロピルアルコール 13.844
H2O 35.462
酢酸 0.130
合 計 100.000(wt%)
次に、上記の(2)で形成した酸素ガスによるプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、100℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2(乾操状態)の第1のガスバリア性塗布膜を形成して、本発明に係るバリア性フィルムを製造した。
次に、前記のPETフイルムの印刷層面に、ポリウレタン系接着剤を3.5g/m2(乾燥状態)塗布し、上記で作成したバリア性フィルムのガスバリア性塗布膜の面とを対向させて重ね合わせてドライラミネーション法によりラミネートして層構成、PETフイルム12μm/印刷層/接着剤層/ガスバリア性塗布膜・プラズマ処理面・酸化珪素の蒸着膜/PETフイルム25μmのラミネートフイルムを作製した。
(3).本発明に係るシール材付きチューブ容器の製造について説明する。
次に、前記のラミネートフイルムにおいて、厚み25μmのPETフイルム側に、ポリウレタン系接着剤を3.5g/m2(乾燥状態)塗布し、次いで、最内層のイージーピール性樹脂層として、低密度ポリエチレンにポリブテン-1およびポリスチレン系樹脂をブレンドしてなる厚さ30μmのポリエチレン系イージーピール性樹脂フイルムを製造し、これを順次ドライラミネーション法で積層して、層構成が、PETフイルム12μm/印刷層/接着剤層/ガスバリア性塗布膜・プラズマ処理面・酸化珪素の蒸着膜/PETフイルム25μm/接着剤層/ポリエチレン系イージーピール性樹脂フイルム30μm(内面)からなる本発明に係るバージンシール材を作製し、40℃×3日間エージングした。
次に、上記で製造したバージンシール材のシートを打ち抜き、タブを設けたバージンシールを上記のチューブ容器の土部の先端部にヒートシールで接着して一体化し、本発明に係るシール材付きチューブ容器を作製した。
上記で製造した本発明に係るシール材付きチューブ容器は、アルミニウム箔を用いずに、酸素ガス、水蒸気、保香性等のバリアー性、印刷適性、強度、剛性、ヒートシール性、易開封性に優れ、また、例えば、食品、医薬品、医薬部外品、化粧品、工業製品等の種々の物品を充慎包装するに有用で、その包装体の金属探知機等の異物検査が可能であり、内容物の改ざん防止、品質安全性、保存適性に優れ、燃焼ゴミとして廃棄処分することができ、有用なものであった。」
「【図3】
[図:0001413748000008.jpg]
」
キ 引用文献8
引用文献8には、次の事項が記載されている。
「【0009】
而して、本発明に係るチューブ容器の口部の開口先端部に貼り合わせシール材について、その具体例を例示すると、図2に示すように、まず、ガスバリア性塗布膜1と無機酸化物の蒸着膜2とを設けた樹脂フィルム3のガスバリア性塗布膜1の面に、所望の印刷模様層6を設けた後、その印刷模様層6の面に中間基材フィルム4を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者を、ラミネート用接着剤層7を介してドライラミネート積層し、更に、上記でドライラミネート積層した中間基材フィルム4の面に、ラミネート用接着剤層7aを介して、ヒートシール性樹脂層5をドライラミネート積層した構成からなる本発明に係るシール材A1を例示することができる。」
「【0020】
また、上記のプラズマ化学気相成長装置において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜の形成は、樹脂フィルムの上に、プラズマ化した原料ガスを酸素ガスで酸化しながらSiOXの形で薄膜状に形成されるので、当該形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜は、緻密で、隙間の少ない、可撓性に富む連続層となるものであり、従って、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜のバリア性は、従来の真空蒸着法等によって形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜と比較してはるかに高いものとなり、薄い膜厚で十分なバリア性を得ることができるものである。」
「【0021】
本発明において、有機珪素化合物等の蒸着モノマーガスを使用して形成される酸化珪素の蒸着膜は、有機珪素化合物等の蒸着モノマーガスと酸素ガス等とが化学反応し、その反応生成物が、樹脂フィルムの一方の面に密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄膜を形成するものであり、通常、一般式SiOX(ただし、Xは、0~2の数を表す)で表される酸化珪素を主体とする連続状の薄膜である。」
「【0027】
上記において、金属または無機酸化物の蒸着膜としては、基本的には、金属の酸化物を蒸着した薄膜であれば使用可能であり、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着膜を使用することができる。
而して、好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着膜を挙げることができる。」
「【0069】
次に、本発明において、本発明に係るシール材を構成する中間基材フィルムについて説明すると、かかる中間基材フィルムとしては、バージンシール材としての強度、シール時の耐熱性、カール性を生じにくい性質(以下「フラット性」という。)、内容物を保護するために必要な耐衝撃性等を有するものであり、また、ガスバリア性塗布膜と無機酸化物の蒸着膜とを有する樹脂フィルムと積層することから積層適性等を有するものを使用することができる。
而して、本発明において、本発明に係るシール材を構成する中間基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミドミ系樹脂、ポリアリールフタレイト系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフイド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、アセタール系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の各種の樹脂のフイルム、更に、模造紙、クレイコート紙、クラフト紙、板紙、合成紙等の各種の紙基材を好適に用いることができる。
一般的に、上記のような各種の樹脂のフイルムは、2軸延伸加工を施すことにより耐熱性、耐衝撃性をさらに向上させたものを使用することが好ましいものである。」
「【実施例1】
【0091】
(1).まず、チューブ容器の製造方法について説明する。
基材フイルムとして、厚み、12μmの2軸延伸ポリエステルフイルムにグラビア印刷で印刷層を設け、次に、その印刷層を含む全面に、2液反応硬化型の接着剤層を介して、厚さ15μmののエチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物フイルムからなるバリア性フイルムを積層した。
更に、上記の接着剤と同一組成の接着剤層を介して、厚み130μmの低密度ポリエチレン樹脂フイルムを、上記で積層したバリア性フイルムの面に積層した。
そして、上記の基材フイルムの印刷層を設けていない側に、上記の接着剤と同一組成の2液反応硬化型の接着剤層介して、厚さ130μmの透明ポリエチレン樹脂フイルムからなる透明樹脂層を積層して、胴部形成用積層シートを作成した。
次いで、上記の胴部形成用積層シートを所望の幅に断裁し、最内層と最外層のポリエチレン樹脂フイルムとが相接するようにしてヒートシールして、直径25.4mm、長さ100mmの筒状胴部を形成した。
更に、上記の筒状胴部の一方の開口端部に、低密度ボリエチレン樹脂を用いて、コンプレッション成形で肩部と口部とを成形しながら取り付けて、チューブ容器を形成した。
(2).次に、シール材の製造方法について説明する。
まず、樹脂フィルムとしての厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルム(以下、「PET」という。)の上に、無機酸化物の薄膜層を以下の方法で設けた。樹脂フィルムとして、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、まず、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムをプラズマ化学蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いで、これを繰り出し、その2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのユロナ処理面の上に、下記の蒸着条件により、膜厚200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:11:10(単位:Slm)
真空チヤンバー内の真空度;5.2×10-6mbar
蒸着チヤンバー内の真空度;5.1×10-2mbar
フィルムの搬送速度;90m/min
冷却・電極ドラム供給電力;60w・分/m2
蒸着面;コロナ処理面
次に、上記で厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜の面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kw、酸素ガス(O2):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6.0×10-2mbar、処理速度420m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
他方、下記の表1に示す組成に従って、組成a.EVOH(エチレン共重合比率29%)をイソプロピルアルコールおよびイオン交換水の混合溶媒にて溶解したEVOH溶液に、予め調製した組成b.のエチルシリケート40、イソプロピルアルコール、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水からなる加水分解液を加えて攪拌、更に予め調製した組成c.のポリビニルアルコール水溶液、シランカップリング剤(エポキシシリカSH6040) 、酢酸、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液を加えて攪拌し、無色透明のバリアー塗工液を得た。
(表1)
a EVOH(エチレン共重合率29%) 0.610(wt%)
イソプロピルアルコール 3.294
H2O 2.196
b エチルシリケート40 11.460
イソプロピルアルコール 17.662
アルミニウムアセチルアセトン 0.020
H2O 13.752
c ポリビニルアルコール 1.520
シランカップリング剤 0.050
イソプロピルアルコール 13.844
H2O 35.462
酢酸 0.130
合 計 100.000(wt%)
次に、上記の(2)で形成した酸素ガスによるプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、100℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2(乾操状態)の第1のガスバリア性塗布膜を形成して、本発明に係るバリア性フィルムを製造した。
次に、上記で製造した本発明に係るバリア性フィルムのガスバリア性塗布膜の面に、文字、記号、図形等からなる所望の印刷絵柄をグラビア印刷し、印刷層を形成した後、その印刷層面に、ポリウレタン系接着剤を3.5g/m2(乾燥状態)塗布し、次いで、その接着剤層の面に、厚さ25μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、そのコロナ処理面の面を対向させて重ね合わせてドライラミネーション法によりラミネートして層構成、PETフイルム12μm/酸化珪素の蒸着膜・プラズマ処理面・ガスバリア性塗布膜/印刷層/接着剤層/PETフイルム25μmのラミネートフイルムを作製した。
(3).本発明に係るシール材付きチューブ容器の製造について説明する。
次に、 前記のラミネートフイルムにおいて、 厚み25μmのPETフイルム側に、ポリウレタン系接着剤を3.5g/m2(乾燥状態)塗布し、次いで、最内層のイージーピール性樹脂層として、低密度ポリエチレンにポリブテン-1およびポリスチレン系樹脂をブレンドしてなる厚さ30μmのポリエチレン系イージーピール性樹脂フイルムを製造し、これを順次ドライラミネーション法で積層して、層構成が、PETフイルム12μm/酸化珪素の蒸着膜・プラズマ処理面・ガスバリア性塗布膜/印刷層/接着剤層/PETフイルム25μm/接着剤層/ポリエチレン系イージーピール性樹脂フイルム30μm(内面)からなる本発明に係るバージンシール材を作製し、40℃×3日間エージングした。
次に、上記で製造したバージンシール材のシートを打ち抜き、タブを設けたバージンシールを上記のチューブ容器の土部の先端部にヒートシールで接着して一体化し、本発明に係るシール材付きチューブ容器を作製した。
上記で製造した本発明に係るシール材付きチューブ容器は、アルミニウム箔を用いずに、酸素ガス、水蒸気、保香性等のバリアー性、印刷適性、強度、剛性、ヒートシール性、易開封性に優れ、また、例えば、食品、医薬品、医薬部外品、化粧品、工業製品等の種々の物品を充慎包装するに有用で、その包装体の金属探知機等の異物検査が可能であり、内容物の改ざん防止、品質安全性、保存適性に優れ、燃焼ゴミとして廃棄処分することができ、有用なものであった。」
「【図2】
[図:0001413748000009.jpg]
」
ク 引用文献9
引用文献9には、次の事項が記載されている。
「【0041】
さらに、(C)のフィルムF4として、図5に示すように、中間層を樹脂組成物1と、石油由来ポリエチレン系樹脂2とを混合した層とし、外層および内層を石油由来ポリエチレン系樹脂2とした多層構成にすることもできる。」
「【0044】
まず、積層フィルム3は、この図6に示すように、上記フィルムF1~F4のいずれかをシーラントフィルム4として、基材フィルム5と積層させる。」
「【実施例1】
【0052】
スクリュー径30mmφ押出機を用いて、サトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(樹脂組成物1)であるブラスケム社C4LL-LL118(d=0.916、MFR=1.0g/10分)を200℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。次いで、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により、押出し温度200℃、回転数60rpmの加工条件において樹脂組成物を成形することで、厚み50μmの安定して外観の優れる図1に示すフィルムF1を製膜することができ、そのバイオマス度を測定すると、約88%であった。なお、サトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂に含まれるコモノマー種のブテン-1(C4)は石油由来のものであり、その含有量は1~15モル%(以下同様)である。
・・・
【0054】
実施例1の樹脂組成物について次の各物性評価試験を行い、得られた結果を以下に記す。
【表1】
[図:0001413748000010.jpg]
」
「【実施例4】
【0058】
第1層用および第3層用樹脂組成物として、スクリュー径30mmφ押出機を用いて、三井化学C6LL-エボリューSP2020(d=0.916、MFR=2.3g/10分)を200℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。同様に第2層用樹脂組成物として、スクリュー径30mmφ押出機を用いて、サトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂であるブラスケム社C4LL-LL118(d=0.916、MFR=1.0g/10分)50重量部と、宇部丸善ポリエチレンLDPE-F120N(d=0.920、MFR=1.2g/10分)50重量部とを200℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。なお、第1層:第2層:第3層の層比は1:2:1とした。次いで、二種三層の上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により、押出し温度200℃、回転数60rpmの加工条件において樹脂組成物を厚み130μmの図5に示すフィルムF4に成形し、このバイオマス度を測定すると、約22%であった。
【実施例5】
【0059】
外層に厚み25μmの、基材フィルム5としての二軸延伸ナイロンフィルム(ONy、東洋紡ハーデンN-1102)と、実施例4のフィルムF4とを用いて2液硬化型のウレタン系接着剤を使用し、ONy面に該接着剤を約4g/m2塗布してポリエチレンのコロナ処理面をドライラミネーション法により貼合し、2層構成の図6に示す積層フィルム3を得、このバイオマス度を測定すると、約18%であった。」
「【図6】
[図:0001413748000011.jpg]
」
ケ 引用文献10
引用文献10には、次の事項が記載されている。
「【0062】
本発明による複層樹脂フィルムの一例の模式断面図を図1に示す。図1に示される複層樹脂フィルム10は、第1の樹脂層11と、第2の樹脂層12とを有してなるものである。なお、複層樹脂フィルムは、3層以上から形成されるものであってもよい。以下、複層樹脂フィルムを構成する各層について説明する。」
「【0068】
第2の樹脂層
第2の樹脂層は、複層樹脂フィルムのシール層としての機能を果たすものでる。第2の樹脂層はヒートシール層としての、ヒートシール性が求められる。複層樹脂フィルムはヒートシール層を有することで、他の樹脂フィルム上に積層する際に接着剤等を用いなくとも、強固に接着させることができる。」
「【0095】
第2の樹脂層(シール層)用樹脂フィルム
参考例4
バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(Braskem社製、商品名:SLL318、バイオマス度:87%、密度:0.918g/cm3、MFR:2.7g/10分)を320℃の樹脂温度にて、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上に押し出して、樹脂フィルムを得た。押出成形の条件を、有効巾は560mm、押出厚みは30μm、押出速度は100m/分に設定した。」
「【0105】
(10)シール開始温度
上記の参考例4~7および参考比較例2で得られた樹脂フィルムを、厚さ幅15mm、長さ200mmに切り出し、シール温度は90~150℃、シール圧力は30N/cm2、シール時間は1秒でヒートシールした。この試験片を引張試験機(テンシロンRTC-125A、オリエンテック社製)を用いて、引張速度300mm/分でT時剥離強度の測定を行い、シールが開始される温度(℃)を特定した。測定結果は、下記の表2に示される通りであった。
【0106】
【表2】
[図:0001413748000012.jpg]
」
「【0108】
実施例1
第1の樹脂層(コア層)用の樹脂として参考例1で用いた樹脂組成物(バイオマス度:94.5%、密度:0.955g/cm3、MFR:20g/10分)を用いた。一方、第2の樹脂層(シール層)用樹脂として参考例4で用いた樹脂組成物(バイオマス度:87%、密度:0.918g/cm3、MFR:2.7g/10分)を用いた。これらの樹脂組成物を、アンカーコート剤を介してそれぞれ290℃、320℃の樹脂温度で、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上に、共押し(コア層:15μm、シール層:5μm)にて押出して、コーティングし、ポリエチレン複層樹脂フィルムを得た。得られた複層樹脂フィルム全体のバイオマス度は93%であった。」
「【0111】
複層樹脂フィルムの評価
上記の実施例1~2および比較例1で得られた複層樹脂フィルムの特性について、以下の各種評価:(11)シール開始温度、(12)シール強度、(13)ピロー製袋適性、を行った。
(11)シール開始温度
上記の実施例1~2および比較例1で得られた複層樹脂フィルムを、幅15mm、長さ200mmに切り出し、シール温度は90~150℃、シール圧力は30N/cm2、シール時間は1秒でヒートシールして、シールが開始される温度(℃)を特定した。測定結果は、下記の表3に示される通りであった。
(12)シール強度
上記の実施例1~2および比較例1で得られた複層樹脂フィルムを、幅15mm、長さ200mmに切り出し、シール温度は150℃、シール圧力は30N/cm2、シール時間は1秒でヒートシールした。この試験片を引張試験機(オリエンテック社製、商品名:テンシロンRTC-125A)を用いて、引張速度300mm/分でT時剥離強度の測定を行い、シール強度(N/15mm)を測定した。測定結果は、下記の表3に示される通りであった。
(13)ピロー製袋適性
上記の実施例1~2および比較例1で得られた複層樹脂フィルムを使用して、外寸法20mm×100mm、背シール巾部5mmのピロー袋を作成し、製袋適性を判断した。
【表3】
[図:0001413748000013.jpg]
」
「【図1】
[図:0001413748000014.jpg]
」
コ 引用文献11
引用文献11には、次の事項が記載されている。
「【0079】
実施例4
バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(Braskem社製、商品名:SLL318、バイオマス度:87%、密度:0.918g/cm3、MFR:2.7g/10分)を320℃の樹脂温度にて、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上に押し出して、樹脂フィルムを得た。押出成形の条件を、有効巾は560mm、押出厚みは30μm、押出速度は100m/分に設定した。」
「【0089】
(10)シール開始温度
上記の実施例4~7および比較例2で得られた樹脂フィルムを、厚さ幅15mm、長さ200mmに切り出し、シール温度は90~150℃、シール圧力は30N/cm2、シール時間は1秒でヒートシールして、シールが開始される温度(℃)を特定した。測定結果は、下記の表2に示される通りであった。
【0090】
【表2】
[図:0001413748000015.jpg]
」
サ 周知技術
(ア) 周知技術1、2
引用文献2~4の記載(上記アの【0003】、【0020】、上記イの【0002】、【0028】、【0030】、【0055】、上記ウの【請求項1】、【請求項4】、【0002】)から、次の事項は周知技術であると認められる。
「バイオマス由来のエチレングリコールであるジオール単位とジカルボン酸単位とからなるポリエステルを含んでなるバイオマスポリエステル樹脂組成物。」(以下「周知技術1」という。)
「化石燃料由来のジオール単位と化石燃料由来のジカルボン酸単位とからなるポリエステルを含んでなる化石燃料ポリエステル樹脂組成物。」(以下「周知技術2」という。)
(イ) 周知技術3
引用文献5~8の記載(上記エの【0001】、【0067】、上記オの【0020】、【0024】、【0031】、上記カの【0020】、【0024】、【0031】、上記キの【0020】、【0021】、【0027】)から、次の事項は周知技術であると認められる。
「樹脂フィルムに無機酸化物を蒸着させてバリア層とすること。」(以下「周知技術3」という。)
(ウ) 周知技術4
引用文献5~10の記載(上記エの【0081】~【0084】、【図1】、上記オの【0055】、上記カの【0093】、上記キの【0091】、上記クの【0044】、【0058】、【0059】、【図6】、上記ケの【0062】、【0095】、【0108】、【図1】)から、次の事項は周知技術であると認められる。
「複合フィルムの表面のPE層をヒートシール層として用いること。」(以下「周知技術4」という。)
(エ) 周知技術5
一般に、低密度のポリエチレンの密度の範囲は0.911~0.925g/cm3であるから、引用文献9~11の記載(上記クの【0052】、【0054】、上記ケの【0068】、【0105】、上記コ)から、次の事項は周知技術であると認められる。
「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなり、低密度である、ヒートシール用のバイオマスポリオレフィン樹脂組成物。」(以下「周知技術5」という。)
(オ) 周知技術6
引用文献3、6~8の記載(上記イの【0026】、【図2】、上記オの【0010】、【図3】、上記カの【0010】、【図3】、上記キの【0009】、【図2】)から、次の事項は周知技術であると認められる。
「積層体における各層を、接着剤を介して積層すること。」(以下「周知技術6」という。)
2 対比
本願発明と引用発明を対比する。
引用発明の1つめの「PET」と本願発明の「前記積層体の最表面を構成」する、「ジオール単位とジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなるバイオマスポリエステル樹脂組成物からなり、前記ジオール単位がバイオマス由来のエチレングリコールである、バイオマスポリエステル樹脂層、または化石燃料由来のジオール単位と化石燃料由来のジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなる化石燃料ポリエステル樹脂組成物からなる、化石燃料ポリエステル樹脂層」とは、積層体の最表面を構成する、ジオール単位とジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなるポリエステル樹脂組成物からなる、ポリエステル樹脂層の限りで一致する。
引用発明の「AlVM」と本願発明の「無機酸化物の蒸着膜を含」む「バリア層」とは、蒸着膜を含む層の限りで一致する。
引用発明の「PE」と本願発明の「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなるバイオマスポリオレフィン樹脂組成物からなり」、「密度が0.90~0.925g/cm3であ」る「ヒートシール層」とは、エチレンを含むモノマーが重合してなるポリエチレンを含んでなるポリオレフィン樹脂組成物からなるポリオレフィン樹脂層の限りで一致する。
引用発明の「AlVM」と「PE」の間の「PET」と本願発明の「延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、シリカ蒸着延伸ナイロンフィルム、アルミナ蒸着延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールコート延伸ポリプロピレンフィルム、ナイロン6/メタキシリレンジアミンナイロン6共押共延伸フィルムまたはポリプロピレン/エチレン-ビニルアルコール共重合体共押共延伸フィルムのいずれか、またはこれらの2以上のフィルムを積層した複合フィルムであ」る「化石燃料由来の原料を含む樹脂材料からなる樹脂層」とは、樹脂層の限りで一致する。
引用発明において、「PET12μ/AlVM/PET12μ/PE60μの構成」であることと、本願発明において、「前記バリア層と前記化石燃料由来の原料を含む樹脂材料からなる樹脂層とが接着剤層を介して積層されており、前記化石燃料由来の原料を含む樹脂材料からなる樹脂層と前記ヒートシール層とが接着剤層を介して積層されている」こととは、バリア層と樹脂層とポリオレフィン樹脂層とがこの順で積層されている限りで一致する。
引用発明の「複合蒸着フィルム」は本願発明の「積層体」に相当する。
そうすると、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
ジオール単位とジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなるポリエステル樹脂組成物からなる、ポリエステル樹脂層と、
蒸着膜を含む層と、
ポリオレフィン樹脂層と、をこの順に有する積層体であって、
前記ポリエステル樹脂層が、前記積層体の最表面を構成し、
前記ポリオレフィン樹脂層が、エチレンを含むモノマーが重合してなるポリエチレンを含んでなるポリオレフィン樹脂組成物からなり、
前記積層体が、さらに樹脂層を備え、
蒸着膜を含む層と樹脂層とポリオレフィン樹脂層とがこの順で積層されている、積層体。
[相違点1]
ジオール単位とジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなるポリエステル樹脂組成物からなる、ポリエステル樹脂層に関して、本願発明は「ジオール単位とジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなるバイオマスポリエステル樹脂組成物からなり、前記ジオール単位がバイオマス由来のエチレングリコールである、バイオマスポリエステル樹脂層、または化石燃料由来のジオール単位と化石燃料由来のジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなる化石燃料ポリエステル樹脂組成物からなる、化石燃料ポリエステル樹脂層」であるのに対して、引用発明は「PET」である点。
[相違点2]
蒸着膜を含む層に関して、本願発明は「無機酸化物の蒸着膜を含」む「バリア層」であるのに対して、引用発明は「AlVM」である点。
[相違点3]
エチレンを含むモノマーが重合してなるポリエチレンを含んでなるポリオレフィン樹脂組成物からなるポリオレフィン樹脂層に関して、本願発明は「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなるバイオマスポリオレフィン樹脂組成物からなり」、「密度が0.90~0.925g/cm3であ」る「ヒートシール層」であるのに対して、引用発明は「PE」である点。
[相違点4]
樹脂層に関して、本願発明は「延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、シリカ蒸着延伸ナイロンフィルム、アルミナ蒸着延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールコート延伸ポリプロピレンフィルム、ナイロン6/メタキシリレンジアミンナイロン6共押共延伸フィルムまたはポリプロピレン/エチレン-ビニルアルコール共重合体共押共延伸フィルムのいずれか、またはこれらの2以上のフィルムを積層した複合フィルムであ」る「化石燃料由来の原料を含む樹脂材料からなる樹脂層」であるのに対して、引用発明は「PET」である点。
[相違点5]
バリア層と非バイオマス樹脂層とポリオレフィン樹脂層とがこの順で積層されていることに関して、本願発明は「前記バリア層と前記非バイオマス樹脂層とが接着剤層を介して積層されており、前記非バイオマス樹脂層と前記ヒートシール層とが接着剤層を介して積層されている」のに対して、引用発明は「AlVM/PET12μ/PE60μ」の各層が接着剤を介して積層されているか不明である点。
3 判断
(1) 相違点1について
「PET」として、ジオール単位とジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなるバイオマスポリエステル樹脂組成物からなり、ジオール単位がバイオマス由来のエチレングリコールである、バイオマスポリエステル樹脂組成物からなるもの、及び化石燃料由来のジオール単位と化石燃料由来のジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなる化石燃料ポリエステル樹脂組成物からなるものは、いずれも例示するまでもなく周知である(必要であれば、前者については周知技術1を、後者については周知技術2を参照。)。
引用発明の1つ目の「PET」として当該周知のいずれのものを用いるかは、当業者が適宜決め得ることである。
(2) 相違点2について
引用文献1には、「アルミ蒸着によって水蒸気、ガスの透過性は、大幅に減少し、蒸着しないフィルムに比べ、これらの遮断性は数倍から数百倍に向上する」(上記1(1)ア(イ))と記載されているなど、アルミ蒸着層はバリア性のために設け得るものであることは周知の技術である。
バリア層として何を採用するかは当業者が適宜決め得ることであり、樹脂フィルムに無機酸化物を蒸着させてバリア層とすることは、周知技術3のとおり周知であるから、引用発明における蒸着層である「AlVM」に替えて、無機酸化物の蒸着膜とすることに格別の困難性はない。
なお、請求人は、令和6年5月24日提出の意見書において、引用発明におけるAlVMを無機酸化物の蒸着膜に置き換え、美麗な金属光沢が得られるという引用発明の効果を台無しにする動機付けはない旨主張している。
しかしながら、ラミネートフィルムに要求される機能は様々である(上記1(1)ア(ア))ところ、「美麗な金属光沢が得られること」が引用発明に必須の機能とはいえないため、請求人の上記主張は採用することはできない。
(3) 相違点3について
複合フィルムの表面のPE層をヒートシール層として用いることは通常の用い方である(必要であれば、周知技術4を参照。)。
また、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなり、低密度である、ヒートシール用のバイオマスポリオレフィン樹脂組成物は、例示するまでもなく周知であるところ(必要であれば、周知技術5を参照。)、石油資源の枯渇を抑制し、地球温暖化の原因物質である大気中の二酸化炭素の増加を抑制することは一般的な課題であるから、引用発明における「PE」の樹脂組成物として、当該周知のものを用いることに格別の困難性はない。また、通常の低密度のポリエチレンの密度範囲を、ヒートシール層の密度として規定することも、当業者であれば困難なことではない。
(4) 相違点4について
複合フィルムにおける樹脂層として、どのようなものを用いるかは当業者が適宜決め得るものであり、引用発明における「AlVM」と「PE」の間の「PET」の表記は「2軸延伸」、「1軸延伸」、「無延伸」いずれも採り得るものであるところ、当該「PET」に包含されている「2軸延伸」を採用することは当業者が適宜なし得たことである。
また、引用文献3の【0129】及び引用文献4の【0069】は、バリア層とポリオレフィン層との間に設ける樹脂層について例示されているものであるが、これらの例示に基づいて、複合フィルムにおける樹脂層を選択することも、当業者であれば適宜なし得たことである。
その際、バイオマス由来のものとするか、非バイオマス由来のものとするかは、費用対効果等を考慮して適宜選択し得る事項であり、非バイオマス由来のものとすることに格別の困難性はない。
(5) 相違点5について
周知技術6のように、積層体における各層を、接着剤を介して積層することは周知技術である。引用発明の各層をどのような手段で積層するかは当業者が適宜決め得ることであり、周知技術6を参考にして、接着剤を介して積層することに格別の困難性はない。
(6) 効果について
上記相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
4 小括
よって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明できたものである。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-017947