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特許拒絶査定不服審判

2022-016633

非接触給電構造を備える駐輪施設

審判番号
2022-016633
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-037309外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年10月18日
審決日
2023年11月14日
公報発行日
2024年03月29日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H02J) / P18 .575-Z (H02J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017- 37309「非接触給電構造を備える駐輪施設」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 9月13日出願公開、特開2018-143067〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成29年2月28日の出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 令和 2年12月16日付け 拒絶理由通知書 令和 3年 2月10日 意見書・手続補正書 7月 5日付け 拒絶理由通知書 10月 1日 意見書・手続補正書 12月23日付け 拒絶理由通知書 令和 4年 3月 1日 意見書・手続補正書 6月17日付け 拒絶査定 10月18日 審判請求書・手続補正書 令和 5年 1月27日 前置報告書 以下では、令和4年6月17日付け拒絶査定を「原査定」といい、同年10月18日の手続補正書による補正を「本件補正」という。 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正は、本件補正前の請求項1(以下の(1))を、本件補正後の請求項1(以下の(2))に補正することを含み、請求項1についての本件補正は、以下の(3)のとおり整理される。 (1)本件補正前の請求項1の記載 本件補正前の、令和4年3月1日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 非接触給電構造を備える駐輪施設であって、 前記非接触給電構造は、 バッテリー搭載車両の車輪の車輪軸長さ方向に挟んだ両端位置に、かつ、各々のコイル面が互いに対向するように一体固定された一方の受電コイル及び当該一方の受電コイルと互いに別体の他方の受電コイルと、 前記一方と他方の受電コイルが固定された車輪を入れてわずかな遊びがある間隔を介し各々のコイル面が互いに対向するように配置された一方と他方の送電コイルと、を備え、 前記一方と他方の送電コイルの間に、前記一方と他方の受電コイルを復帰可能な相対移動により前記一方の送電コイルのコイル面と前記一方の受電コイルのコイル面が対向かつ前記他方の送電コイルのコイル面と前記他方の受電コイルのコイル面が対向するよう前記一方と他方の受電コイルを配置可能に構成され、 前記一方と他方の受電コイルが前記一方と他方の送電コイルの間に配置されたとき、前記一方の送電コイルが前記一方の受電コイルに、前記他方の送電コイルが前記他方の受電コイルに、それぞれ給電可能に構成され、 前記駐輪施設は、 前記非接触給電構造を構成する一方と他方の送電コイルと、 前記一方と他方の送電コイルに電力を供給するための電源端子と、を備える ことを特徴とする駐輪施設。」 (2)本件補正後の請求項1の記載 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、以下のとおりである。なお、下線は補正箇所を示すために請求人が付した。 「【請求項1】 非接触給電構造を備える駐輪施設であって、 前記非接触給電構造は、 バッテリー搭載車両の車輪の車輪軸長さ方向に挟んだ両端位置に、かつ、各々のコイル面が互いに対向するように一体固定された一方の受電コイル及び当該一方の受電コイルと互いに別体の他方の受電コイルと、 前記一方の受電コイルが固定された車輪を入れてわずかな遊びがあるコイル間距離D1を介し各々のコイル面が互いに対向するように配置された一方の送電コイルと、を備え、 前記他方の受電コイルも固定された前記車輪を入れてわずかな遊びがあるコイル間距離D2を介し各々のコイル面が互いに対向するように配置された他方の送電コイルと、を備え、 前記一方と他方の送電コイルの間に、前記一方と他方の受電コイルを復帰可能な相対移動により前記一方の送電コイルのコイル面と前記一方の受電コイルのコイル面が対向かつ前記他方の送電コイルのコイル面と前記他方の受電コイルのコイル面が対向するよう前記一方と他方の受電コイルを配置可能に構成され、 前記一方と他方の受電コイルが前記一方と他方の送電コイルの間に配置されたとき、前記一方の送電コイルが前記一方の受電コイルに、前記他方の送電コイルが前記他方の受電コイルに、それぞれ給電可能に構成され、 前記駐輪施設は、 前記非接触給電構造を構成する一方と他方の送電コイルと、 前記一方と他方の送電コイルに電力を供給するための電源端子と、を備え、 前記コイル間距離の偏りによりD1<D2となったときは前記他方の送電コイルによる前記他方の受電コイルに対する給電効率の低下分を、前記一方の送電コイルによる前記一方の受電コイルに対する給電によって補う一方、 前記コイル間距離が偏りによりD1>D2となったときは前記一方の送電コイルによる前記一方の受電コイルに対する給電効率の低下分を、前記他方の送電コイルによる前記他方の受電コイルに対する給電によって補うことで、安定給電可能に構成されている ことを特徴とする駐輪施設。」 (3)請求項1についての本件補正の整理 請求項1についての本件補正は、以下の補正事項A及びBに分けられる。なお、下線は補正箇所をより厳密に示すために当審で付し直した。 補正事項A 本件補正前の「前記一方と他方の受電コイルが固定された車輪を入れてわずかな遊びがある間隔を介し各々のコイル面が互いに対向するように配置された一方と他方の送電コイルと、を備え、」との記載を、 本件補正後の「前記一方の受電コイルが固定された車輪を入れてわずかな遊びがあるコイル間距離D1を介し各々のコイル面が互いに対向するように配置された一方の送電コイルと、を備え、 前記他方の受電コイルも固定された前記車輪を入れてわずかな遊びがあるコイル間距離D2を介し各々のコイル面が互いに対向するように配置された他方の送電コイルと、を備え、」との記載に補正する。 補正事項B 本件補正前の「電源端子と、を備える ことを特徴とする駐輪施設。」との記載を、 本件補正後の「電源端子と、を備え、 前記コイル間距離の偏りによりD1<D2となったときは前記他方の送電コイルによる前記他方の受電コイルに対する給電効率の低下分を、前記一方の送電コイルによる前記一方の受電コイルに対する給電によって補う一方、 前記コイル間距離が偏りによりD1>D2となったときは前記一方の送電コイルによる前記一方の受電コイルに対する給電効率の低下分を、前記他方の送電コイルによる前記他方の受電コイルに対する給電によって補うことで、安定給電可能に構成されている ことを特徴とする駐輪施設。」との記載に補正する。 ア 補正事項Aの内容 本件補正前の「車輪を入れてわずかな遊びがある間隔」は、一方の受電コイルと一方の送電コイルとの間隔(以下、「一方間隔」という。)と、他方の受電コイルと他方の送電コイルとの間隔(以下、「他方間隔」という。)との総称であったところ、本件補正後では、一方間隔と他方間隔とを区別し、一方間隔を「コイル間距離D1」と限定し、他方間隔を「コイル間距離D2」と限定し、その上で、本件補正前では「一方と他方の受電コイル」及び「一方と他方の送電コイル」についてをまとめて記載していたものを、「一方の受電コイル」及び「一方の送電コイル」の記載と、「他方の受電コイル」及び「他方の送電コイル」の記載に分けて記載した。 すなわち、補正事項Aは、本件補正前の請求項1の発明特定事項である「車輪を入れてわずかな遊びがある間隔」を、「車輪を入れてわずかな遊びがあるコイル間距離D1」及び「前記車輪を入れてわずかな遊びがあるコイル間距離D2」の2つの距離として限定するものであり、一方及び他方の「受電コイル」、一方及び他方の「送電コイル」並びに「車輪」についての内容は変更しないものである。 イ 補正事項Bの内容 補正事項Bは、本件補正前の請求項1の発明特定事項である「駐輪施設」について、「前記コイル間距離の偏りによりD1<D2となったときは前記他方の送電コイルによる前記他方の受電コイルに対する給電効率の低下分を、前記一方の送電コイルによる前記一方の受電コイルに対する給電によって補う一方、/前記コイル間距離が偏りによりD1>D2となったときは前記一方の送電コイルによる前記一方の受電コイルに対する給電効率の低下分を、前記他方の送電コイルによる前記他方の受電コイルに対する給電によって補うことで、安定給電可能に構成されている」(「/」は改行を示す。)との限定を付加するものである。 2 補正の目的 前記1(3)によれば、本件補正は、本件補正前の請求項1の発明特定事項である「車輪を入れてわずかな遊びがある間隔」について、「車輪を入れてわずかな遊びがあるコイル間距離D1」及び「前記車輪を入れてわずかな遊びがあるコイル間距離D2」の2つの距離として限定し(補正事項A)、さらに、本件補正前の請求項1の発明特定事項である「駐輪施設」に、「前記コイル間距離の偏りによりD1<D2となったときは前記他方の送電コイルによる前記他方の受電コイルに対する給電効率の低下分を、前記一方の送電コイルによる前記一方の受電コイルに対する給電によって補う一方、/前記コイル間距離が偏りによりD1>D2となったときは前記一方の送電コイルによる前記一方の受電コイルに対する給電効率の低下分を、前記他方の送電コイルによる前記他方の受電コイルに対する給電によって補うことで、安定給電可能に構成されている」との限定を付加する(補正事項B)ものであり、本件補正前後の請求項1に係る発明の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮(いわゆる限定的減縮)を目的とするものに該当する。 3 補正の適否 本件補正の目的が限定的減縮に該当するので、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(2)に記載したとおりのものであり、後の参照の便宜のため、以下のA~Dのとおり分説し、「発明特定事項A」のようにして参照する。 【請求項1】 A 非接触給電構造を備える駐輪施設であって、 B 前記非接触給電構造は、 B1 バッテリー搭載車両の車輪の車輪軸長さ方向に挟んだ両端位置に、かつ、各々のコイル面が互いに対向するように一体固定された一方の受電コイル及び当該一方の受電コイルと互いに別体の他方の受電コイルと、 B2 前記一方の受電コイルが固定された車輪を入れてわずかな遊びがあるコイル間距離D1を介し各々のコイル面が互いに対向するように配置された一方の送電コイルと、を備え、 B3 前記他方の受電コイルも固定された前記車輪を入れてわずかな遊びがあるコイル間距離D2を介し各々のコイル面が互いに対向するように配置された他方の送電コイルと、を備え、 B4 前記一方と他方の送電コイルの間に、前記一方と他方の受電コイルを復帰可能な相対移動により前記一方の送電コイルのコイル面と前記一方の受電コイルのコイル面が対向かつ前記他方の送電コイルのコイル面と前記他方の受電コイルのコイル面が対向するよう前記一方と他方の受電コイルを配置可能に構成され、 B5 前記一方と他方の受電コイルが前記一方と他方の送電コイルの間に配置されたとき、前記一方の送電コイルが前記一方の受電コイルに、前記他方の送電コイルが前記他方の受電コイルに、それぞれ給電可能に構成され、 C 前記駐輪施設は、 C1 前記非接触給電構造を構成する一方と他方の送電コイルと、 C2 前記一方と他方の送電コイルに電力を供給するための電源端子と、を備え、 C3 前記コイル間距離の偏りによりD1<D2となったときは前記他方の送電コイルによる前記他方の受電コイルに対する給電効率の低下分を、前記一方の送電コイルによる前記一方の受電コイルに対する給電によって補う一方、 C4 前記コイル間距離が偏りによりD1>D2となったときは前記一方の送電コイルによる前記一方の受電コイルに対する給電効率の低下分を、前記他方の送電コイルによる前記他方の受電コイルに対する給電によって補うことで、安定給電可能に構成されている D ことを特徴とする駐輪施設。 (2)引用文献の記載事項 原査定で引用された特表2016-502383号公報(以下、「引用文献」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は強調のために当審で付した(以下同様)。 ア 「【発明を実施するための形態】 【0048】 図1aには、電気的に駆動される車両12のための本発明に係るエネルギー伝送装置10の一実施形態が示されている。電気的に駆動される車両12は、この場合では、電気的に駆動される自転車(E-bike、電動アシスト自転車)である。自転車12は2つの車輪14を有し、図1aでは、分かり易いように、車輪14が1つだけ示されている。車輪14は、車輪リム16に張られたタイヤ15を有する。車輪リム16は、複数のスポーク18を介して、自転車12の車軸22への機械的結合を形成する車輪ハブ20と接続される。 【0049】 本例では、電気的に駆動される自転車12が関わっているため、自転車12は、当該自転車12の駆動のために電気エネルギーを提供するトラクションバッテリ24を有する。これに関して、トラクションバッテリ24は、電気系統26を介して接続ユニット28と接続され、この接続ユニット28は、車輪ハブモータ30との電気的接触を形成する。トラクションバッテリ24により提供される電気エネルギーを利用して、車輪ハブモータ30は、自転車12を駆動する。」 イ 「【0053】 以下の図では、本発明に係るエネルギー伝送装置10のさらなる別の実施形態が示されており、このさらなる別の実施形態は全て、エネルギー伝送装置10が車両12の車輪14と回転可能に接続されるという原則に基づいている。したがって、先に記載した実施形態に関して同一の構成要素は、同一の符号で示される。以下の図では、基本的に相違点が解説される。 【0054】 図1bでは、磁場共鳴方法に基づく、エネルギー伝送装置10のさらなる別の実施形態が示されている。これに関して、例えば巻き数が異なる2つのコイル32a、32bが車輪リム16上に配置されている。図1bから分かるように、コイル32a、32bは、車輪リム16に対して放射形対称的に配置され、したがって、車輪リム16とタイヤ15との間の設置空間を利用する。これにより、非常にコンパクトな構造形態となる。」 ウ 「【0056】 図2には、エネルギー伝送装置10と、車両12の外に配置された外部のエネルギー伝送ユニット42a、42bとを有するエネルギー伝送構成40が示されている。外部のエネルギー伝送ユニット42a、42bは、コンセント44を介してエネルギー供給ネットワーク46と結合され、無線エネルギー伝送方法を利用して、エネルギー供給ネットワーク46からエネルギー伝送装置10へと電気エネルギーを伝送するよう構成される。図2で示される実施例では、外部のエネルギー伝送ユニット42は、エネルギー伝送装置10と誘導的または磁場共鳴的に結合される。このために、エネルギー伝送ユニット42は、例えば巻き数が様々でありうるコイル48を有する。磁場の強化および集束のために、コイル48の領域内にフェライト磁心50が配置されてもよい。その際に有利に、コイル48は基本的に、車輪リム16に対して平行に配置される。エネルギー伝送装置10のコイル32も同様に、巻き数が様々であってもよい。 【0057】 大きなエネルギーを伝送するために、エネルギー伝送装置10とエネルギー伝送ユニット42とは、図2で示される対称面52に対して対称的に配置される。」 (当審注:【0056】に「コンセント44」との記載があるが、「コンセント」の語義は「配線から電気を取るための、プラグの差し込み口。また、その器具。俗に、プラグと混同して「コンセントを抜く」ということもある。」(大辞泉)というものであり、「コンセント」と「プラグ」が混同され得ること、及び、以下に掲げる図2において符号44が付された部材の形状が明らかにプラグの形状と認識できることから、前記「コンセント44」は「プラグ44」の誤記であると認め、以下では「プラグ44」と表記する。) エ 図1a [図:0001407290000001.jpg] オ 図1b [図:0001407290000002.jpg] カ 図2 [図:0001407290000003.jpg] 図2によれば、プラグ44はエネルギー伝送ユニット42aと接続する。 また、図2及び【0057】の記載によれば、エネルギー伝送装置10において、車輪リム16の対称面52よりも左側で車軸22の端部側にはコイル32aが配置され、車軸22の中央側にはコイル32bが配置され、車輪リム16の対称面52よりも右側で車軸22の端部側にはコイル32cが配置され、車軸22の中央側にはコイル32dが配置されると解される。 また、図2によれば、コイル32a~コイル32dのコイル面は、互いに対向していると解される。 また、図2によれば、車輪リム16は、エネルギー伝送ユニット42aとエネルギー伝達ユニット42bとの間に入っており、コイル48a、48bとコイル32aとの間には隙間があり、コイル48c、48dとコイル32cとの間には隙間があると解される。 また、図2によれば、エネルギー伝送ユニット42aのコイル48a、48bのコイル面は、エネルギー伝送装置10のコイル32a、32bのコイル面と対向し、エネルギー伝送ユニット42bのコイル48c、48dのコイル面は、エネルギー伝送装置10のコイル32c、32dのコイル面と対向すると解される。 (3)引用発明の認定 前記(2)の記載事項によれば、引用文献には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。なお、後の参照の便宜のため、引用発明を以下のようにa~kに分説し、「構成a」のようにして参照する。 「a エネルギー伝送装置10と、車両12の外に配置された外部のエネルギー伝送ユニット42a、42bとを有するエネルギー伝送構成40であって、(【0056】) b 車両12は電動アシスト自転車であり、自転車12は2つの車輪14を有し、車輪14は、車輪リム16に張られたタイヤ15を有し、(【0048】) c 自転車12は、トラクションバッテリ24を有し、(【0049】) d 外部のエネルギー伝送ユニット42a、42bは、プラグ44を介してエネルギー供給ネットワーク46と結合され、無線エネルギー伝送方法を利用して、エネルギー供給ネットワーク46からエネルギー伝送装置10へと電気エネルギーを伝送するよう構成され、外部のエネルギー伝送ユニット42は、エネルギー伝送装置10と誘導的または磁場共鳴的に結合され、(【0056】) e プラグ44はエネルギー伝送ユニット42aと接続し、(図2) f エネルギー伝送装置10において、車輪リム16の対称面52よりも左側で車軸22の端部側にはコイル32aが配置され、車軸22の中央側にはコイル32bが配置され、車輪リム16の対称面52よりも右側で車軸22の端部側にはコイル32cが配置され、車軸22の中央側にはコイル32dが配置され、(図2) g コイル32a~コイル32dのコイル面は、互いに対向し、(図2) h 車輪リム16は、エネルギー伝送ユニット42aとエネルギー伝達ユニット42bとの間に入っており、コイル48a、48bとコイル32aとの間には隙間があり、コイル48c、48dとコイル32cとの間には隙間があり、(図2) i エネルギー伝送ユニット42aのコイル48a、48bのコイル面は、エネルギー伝送装置10のコイル32a、32bのコイル面と対向し、エネルギー伝送ユニット42bのコイル48c、48dのコイル面は、エネルギー伝送装置10のコイル32c、32dのコイル面と対向し、(図2) j エネルギー伝送装置10とエネルギー伝送ユニット42とは、対称面52に対して対称的に配置される(【0057】) k エネルギー伝送構成40。」 (4)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 発明特定事項A及びDについて (ア)本件補正後の本願の明細書及び図面には、以下の記載がある。 a 「【0018】 各図を参照しながら、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という)を説明する。本実施形態の非接触給電構造1は、図1ないし4に示すように、図の紙面厚み方向に所定間隔(本実施形態では、自転車の前輪を入れて僅かな遊びがある間隔)を介して各々のコイル面が対向するように配置された一方の送電コイル3aと他方の送電コイル3bと、一方の送電コイル3aに対応する一方の受電コイル5a及び他方の送電コイル3bに対応する一方の受電コイル5aと互いに別体の他方の受電コイル5b(図4)と、を備えている。送電コイル3a,3b間に、受電コイル5a,5bが復帰可能な相対移動により配置可能に構成されている。…(後略)… 【0019】 より具体的には、送電コイル3aと送電コイル3bは、駐輪施設101に対向設置された支持部材103aと支持部材103bのそれぞれに磁気的露出状態で支持されている(図4)。受電コイル5aと受電コイル5bは、バッテリー搭載車両の典型例であるEAB51(電動アシスト自転車)に搭載されている。図1および2に示すようにEAB51は、前輪53と、後輪55と、バッテリー57と、負荷となるモーター59が搭載されている。受電コイル5aと受電コイル5bは、前輪53の車輪軸53aを長さ方向に挟んだ両端位置に、かつ、各々のコイル面が互いに対向するように一体化固定されている(図4)。なお、受電コイル5aと受電コイル5bは、前輪以外の箇所に設けることを妨げない。後述する充電機能を発揮できるのであれば、後輪55の車輪軸両端やそれ以外の箇所に固定的に若しくは可動的に配することができる。」 b 図1 [図:0001407290000004.jpg] (イ)前記(ア)の記載によれば、本件補正発明の「非接触給電構造」は、明細書及び図面の「非接触給電構造1」に対応し、「送電コイル3a、3b」(本件補正発明の一方及び他方の「送電コイル」に対応)及び電動アシスト自転車51の車輪に設けられる「受電コイル5a、5b」(本件補正発明の一方及び他方の「受電コイル」に対応)を包含するものと解釈される。 (ウ)引用発明の「エネルギー伝送構成40」は、「エネルギー伝送装置10」と「エネルギー伝送ユニット42a、42b」とを有するものである(構成a)。 「エネルギー伝送装置10」は、「コイル32a」~「コイル32d」が配置される(構成f)。 「エネルギー伝送ユニット42a、42b」は、「コイル48a」~「コイル48d」を備える(構成i)。 そして、引用発明の「エネルギー伝送ユニット42a、42b」は、「エネルギー伝送装置10」と「誘導的または磁場共鳴的に結合され」、「エネルギー伝送装置10へと電気エネルギーを伝送するように構成され」る(構成d)のだから、「エネルギー伝送ユニット42a、42b」の「コイル48a」~「コイル48d」は電気エネルギーを送信するコイルであり、「エネルギー伝送装置10」の「コイル32a」~「コイル32d」は電気エネルギーを受信するコイルであるといえる。 (エ)前記(ウ)を踏まえると、引用発明の少なくとも「コイル32a」及び「コイル32c」は、本件補正発明の一方及び他方の「受電コイル」(受電コイル5a、5b)に相当し、引用発明の「コイル48a」~「コイル48d」は、本件補正発明の一方及び他方の「送電コイル」(送電コイル3a、3b)に相当する。 そして、引用発明において、「コイル32a」及び「コイル32c」を備える「エネルギー伝達装置10」、及び、「コイル48a」~「コイル48d」を備える「エネルギー伝送ユニット42a、42b」の双方を備える「エネルギー伝送構成40」は、前記(イ)の解釈によれば、本件補正発明の「非接触給電構造」に相当する。 (オ)引用発明の「エネルギー伝送構成40」を構成する「エネルギー伝送ユニット42a、42b」は、「プラグ44を介してエネルギー供給ネットワーク46と結合され」る(構成d)ものであり、「プラグ44はエネルギー伝送ユニット42aと接続する」(構成e)から、「エネルギー伝送構成40」は、「エネルギー供給ネットワーク」(送電網と解される。)及び「プラグ44」の近傍に備わるものと解される。 引用発明の「プラグ44」の近傍がどのようになっているかについて引用文献には説明がないが、「プラグ44」を「エネルギー供給ネットワーク」に接続するための何らかの施設(本来の語義での「コンセント」を含む施設)が存在し、当該施設において「エネルギー伝送構成40」が具現化されることは明らかである。 (カ)前記(ア)~(オ)によれば、引用発明には「プラグ44」を「エネルギー供給ネットワーク」に接続するための「施設」が存在し、本件補正発明の前記「施設」と引用発明とは、「非接触給電構造を備える施設」である点で共通する。 イ 発明特定事項B1(及びB)について (ア)前記ア(エ)を踏まえ、引用発明の「コイル32a」及び「コイル32c」のどちらを「一方」と呼び、どちらを「他方」と呼ぶかは任意であるから、引用発明の「コイル32a」及び「コイル32c」は、それぞれ本件補正発明の「一方の受電コイル」及び「他方の受電コイル」に相当する。 (イ)引用発明の「コイル32a」と「コイル32c」は別のコイルであると解されるから、引用発明の「コイル32c」と本件補正発明の「他方の受電コイル」とは、「当該一方の受電コイルと互いに別体の他方の受電コイル」である点で一致する。 (ウ)引用発明の「コイル32a」及び「コイル32c」は、「車輪リム16」に配置されている(構成f)から、「車輪リム16」、「コイル32a」及び「コイル32c」は一体固定されていると解される。 また、「コイル32a」及び「コイル32c」のコイル面は互いに対向している(構成g)。 よって、引用発明の「コイル32a」及び「コイル32c」は、各々のコイル面が互いに対向するように一体固定されているといえる。 そうすると、本件補正発明の「一方の受電コイル」及び「他方の受電コイル」と引用発明の「コイル32a」及び「コイル32c」とは、「各々のコイル面が互いに対向するように一体固定された」「一方の受電コイル」及び「他方の受電コイル」である点で一致する。 (エ)引用発明の「車両12」すなわち「自転車12」は、「トラクションバッテリ24」を有する(構成c)から、本件補正発明の「バッテリー搭載車両」に相当する。 そして、引用発明の「車軸22」(構成f)は、明らかに「車両12」の車輪軸であるといえる。 そうすると、本件補正発明の「車輪軸」と引用発明の「車軸22」とは、「バッテリー搭載車両の車輪の車輪軸」である点で一致する。 (オ)引用発明の「コイル32a」は、「車輪リム16の対称面52よりも左側で車軸22の端部側」に配置され、「コイル32c」は「車輪リム16の対称面52よりも右側で車軸22の端部側」に配置されている(構成f)。 よって、引用発明の「コイル32a」及び「コイル32c」は、車軸22の長さ方向に挟んだ両端位置に配置されているといえる。 そうすると、本件補正発明の「一方の受電コイル」及び「他方の受電コイル」と引用発明の「コイル32a」及び「コイル32c」とは、「車輪軸長さ方向に挟んだ両端位置に」一体固定される点で一致する。 (カ)前記(ア)~(オ)によれば、本件補正発明の「非接触給電構造」と引用発明の「エネルギー伝送構成40」とは、「バッテリー搭載車両の車輪の車輪軸長さ方向に挟んだ両端位置に、かつ、各々のコイル面が互いに対向するように一体固定された一方の受電コイル及び当該一方の受電コイルと互いに別体の他方の受電コイル」を備える点で一致する。 ウ 発明特定事項B2(及びB)について (ア)引用発明の「コイル32a」のコイル面と「コイル48a、48b」のコイル面とは対向しているから(構成i)、「コイル48a、48b」は、「コイル32a」及び「コイル48a、48b」の各々のコイル面が互いに対向するように配置されているといえる。 (イ)そして、引用発明においては、「エネルギー伝達ユニット42a、42b」の間に「車輪リム16」が入っていて、かつ、その状態で「コイル32a」と「コイル48a、48b」との間には隙間がある(構成h)。ここで、引用発明の「車輪14」は「車輪リム16」とそれに張られた「タイヤ15」を有する(構成b)から、「コイル32a」と「コイル48a、48b」との間には、「車輪14」が入った状態で、隙間すなわち遊びがあるといえる。この遊びの距離を「コイル間距離D1」と称するのは任意である。 (ウ)加えて、引用発明の「車輪リム16」には「コイル32a」が固定されている(前記イ(ウ))から、「コイル32a」は「車輪14」に固定されているといえる。 (エ)前記(ア)~(ウ)によれば、引用発明の「エネルギー伝送構成40」に備わる「コイル48a、48b」は、「コイル32a」が固定された「車輪14」を入れて遊びがあるコイル間距離D1を介し各々のコイル面が互いに対向するように配置されているといえる。 そうすると、本件補正発明の「非接触給電構造」と引用発明の「エネルギー伝送構成40」とは、「前記一方の受電コイルが固定された車輪を入れて遊びがあるコイル間距離D1を介し各々のコイル面が互いに対向するように配置された一方の送電コイル」を備える点で共通する。 エ 発明特定事項B3(及びB)について 引用発明では、「エネルギー伝送装置10とエネルギー伝送ユニット42とは、対称面52に対して対称的に配置される」(構成j)から、前記ウの「コイル32a」及び「コイル48a、48b」と同様のことが、それらの対称物である「コイル32b」及び「コイル48c、48d」についてもいえる。 したがって、本件補正発明の「非接触給電構造」と引用発明の「エネルギー伝送構成40」とは、「前記他方の受電コイルも固定された前記車輪を入れて遊びがあるコイル間距離D2を介し各々のコイル面が互いに対向するように配置された他方の送電コイル」を備える点で共通する。 オ 発明特定事項B4(及びB)について (ア)引用発明の「エネルギー伝送構成40」においては、「エネルギー伝送ユニット42aのコイル48a、48bのコイル面は、エネルギー伝送装置10のコイル32a、32bのコイル面と対向し、エネルギー伝送ユニット42bのコイル48c、48dのコイル面は、エネルギー伝送装置10のコイル32c、32dのコイル面と対向」しており(構成i)、かつ、「車輪リム16は、エネルギー伝送ユニット42aとエネルギー伝達ユニット42bとの間に入って」いる(構成h)から、「コイル32a、32c」は、「コイル48a、48b」と「コイル48c、48d」の間に、「コイル48a、48b」のコイル面と「コイル32a」のコイル面が対向かつ「コイル48c、48d」のコイル面と「コイル32c」のコイル面が対向するように「コイル32a、32c」を配置可能に構成されている。 (イ)引用発明の「コイル32a、32c」は、「自転車12」の「車輪リム16」に配置されている(構成b、f)から、「自転車12」の移動により「コイル32a、32c」は移動する。 したがって、「コイル32a、32c」は、「コイル48a~48d」と相対移動をすることができ、該相対移動によって前記(ア)の配置に復帰可能であることは明らかである。 つまり、前記(ア)も考慮すると、引用発明の「エネルギー伝送構成40」は、「コイル32a、32c」が、「コイル48a、48b」と「コイル48c、48d」の間に、「コイル32a、32c」を復帰可能な相対移動により「コイル48a、48b」のコイル面と「コイル32a」のコイル面が対向かつ「コイル48c、48d」のコイル面と「コイル32c」のコイル面が対向するように「コイル32a、32c」を配置可能に構成されている。 そうすると、本件補正発明の「非接触給電構造」と引用発明の「エネルギー伝送構成40」とは、「前記一方と他方の送電コイルの間に、前記一方と他方の受電コイルを復帰可能な相対移動により前記一方の送電コイルのコイル面と前記一方の受電コイルのコイル面が対向かつ前記他方の送電コイルのコイル面と前記他方の受電コイルのコイル面が対向するよう前記一方と他方の受電コイルを配置可能に構成され」る点で一致する。 カ 発明特定事項B5(及びB)について 引用発明の構成dによれば、「コイル32a、32c」が「コイル48a、48b」及び「コイル48c、48d」の間に配置されたとき、「コイル48a、48b」が「コイル32a」に、「コイル48c、48d」が「コイル32c」に、それぞれ給電可能に構成されていることは、明らかである。 したがって、本件補正発明の「非接触給電構造」と引用発明の「エネルギー伝送構成40」とは、「前記一方と他方の受電コイルが前記一方と他方の送電コイルの間に配置されたとき、前記一方の送電コイルが前記一方の受電コイルに、前記他方の送電コイルが前記他方の受電コイルに、それぞれ給電可能に構成され」る点で一致する。 キ 発明特定事項C1について 引用発明の「コイル48a~48d」は「エネルギー伝送ユニット42a、42b」に備わり(構成i)、「エネルギー伝送ユニット42a、42b」は「エネルギー伝送構成40」を構成する(構成a)ため、「コイル48a~48d」は「エネルギー伝送構成40」を構成しているといえる。 よって、本件補正発明と引用発明とは「前記非接触給電構造を構成する一方と他方の送電コイル」を備える点で一致する。 ク 発明特定事項C2について 引用発明には、本件補正発明の「電源端子」に対応する構成を備えない。 ケ 発明特定事項C3及びC4について 引用発明は、D1<D2やD1<D2の場合でも安定給電可能に構成されているか否かが不明である。 コ 発明特定事項Cについて 引用発明の「施設」(前記ア(カ))は、駐輪のためのものか否かが不明である。 サ 一致点及び相違点 前記ア~コを総合すると、本件補正発明と引用発明の「施設」との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 〈一致点〉 「非接触給電構造を備える施設であって、 前記非接触給電構造は、 バッテリー搭載車両の車輪の車輪軸長さ方向に挟んだ両端位置に、かつ、各々のコイル面が互いに対向するように一体固定された一方の受電コイル及び当該一方の受電コイルと互いに別体の他方の受電コイルと、 前記一方の受電コイルが固定された車輪を入れて遊びがあるコイル間距離D1を介し各々のコイル面が互いに対向するように配置された一方の送電コイルと、を備え、 前記他方の受電コイルも固定された前記車輪を入れて遊びがあるコイル間距離D2を介し各々のコイル面が互いに対向するように配置された他方の送電コイルと、を備え、 前記一方と他方の送電コイルの間に、前記一方と他方の受電コイルを復帰可能な相対移動により前記一方の送電コイルのコイル面と前記一方の受電コイルのコイル面が対向かつ前記他方の送電コイルのコイル面と前記他方の受電コイルのコイル面が対向するよう前記一方と他方の受電コイルを配置可能に構成され、 前記一方と他方の受電コイルが前記一方と他方の送電コイルの間に配置されたとき、前記一方の送電コイルが前記一方の受電コイルに、前記他方の送電コイルが前記他方の受電コイルに、それぞれ給電可能に構成され、 前記施設は、 前記非接触給電構造を構成する一方と他方の送電コイルを備える ことを特徴とする施設。」である点。 〈相違点1〉 本件補正発明は「駐輪施設」であるのに対し、引用発明の「施設」は「エネルギー供給ネットワーク46」(送電網)と接続するためのものであって、駐輪のためのものであるか否かは不明である点。 〈相違点2〉 本件補正発明では「コイル間距離D1」及び「コイル間距離D2」が「わずかな」遊びであるのに対し、引用発明の「コイル32」と「コイル48」との隙間は、「わずかな」ものであるか否かが不明である点。 〈相違点3〉 本件補正発明は「前記一方と他方の送電コイルに電力を供給するための電源端子」を備えるのに対し、引用発明は「電源端子」を備えない点。 〈相違点4〉 本件補正発明は、「前記コイル間距離の偏りによりD1<D2となったときは前記他方の送電コイルによる前記他方の受電コイルに対する給電効率の低下分を、前記一方の送電コイルによる前記一方の受電コイルに対する給電によって補う一方、前記コイル間距離が偏りによりD1>D2となったときは前記一方の送電コイルによる前記一方の受電コイルに対する給電効率の低下分を、前記他方の送電コイルによる前記他方の受電コイルに対する給電によって補うことで、安定給電可能に構成されている」のに対し、 引用発明は、発明特定事項C3及びC4で特定されるような安定給電が可能となっているか否かが不明である点。 (5)相違点1についての判断 引用発明の「エネルギー伝送構成40」による「自転車12」の「トラクションバッテリ24」の充電は、その電気エネルギーを「エネルギー供給ネットワーク46」(送電網)から得るために、「プラグ44」をコンセントに挿して行われると解される。 「プラグ44」をコンセントに挿す必要上、「エネルギー伝送構成40」を用いる充電時は、「エネルギー伝送構成40」をコンセントから離すことはできないため、「自転車12」は駐輪していなくてはならない。加えて、自転車の動力となるバッテリを充電するために比較的長い時間が必要であることは技術常識である。そうすると、「エネルギー伝送構成40」による充電は、「エネルギー供給ネットワーク46」(送電網)のコンセントが近くにあり、かつ、「自転車12」を長時間駐輪できる場所で行う必要がある。そのような場所は、社会通念上、配電設備を設けた駐輪施設として提供される。 以上によれば、引用発明において「エネルギー伝送構成40」を備える施設を駐輪施設として具現化することは、当然に行われるべきことであって、この点に格別の困難性は存在しない。 (6)相違点2についての判断 引用発明においては、「エネルギー伝送ユニット42は、エネルギー伝送装置10と誘導的または磁場共鳴的に結合され」ることにより、電気エネルギーが伝送される(構成d)。 一般に、電磁気力は距離が遠くなるほど影響が小さくなるので、「エネルギー伝送ユニット42」の「コイル48a~48d」と、「エネルギー伝送装置10」の「コイル32a、32c」とは、距離が近いほど電気エネルギーの伝送効率が高くなることが期待される。 そして、電気エネルギーの伝送効率を高めることは当然に追求すべき課題である。 そうすると、電気エネルギーの伝送効率を高めるために、引用発明において、「コイル48a~48d」と「コイル32a、32c」との隙間を「わずかな」ものとすることは、当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎない。 (7)相違点3についての判断 コンセントに接続して電力の供給を受ける電気機器において、電気機器本体に電源ケーブルを接続するための電源端子を設け、該電源ケーブルの一方端に該電源端子と嵌合するコネクタを設け、他方端にコンセントに接続するためのプラグを設ける構成は、文献を挙げるまでもない周知技術である。 引用発明の「エネルギー伝送ユニット42a、42b」に対して、上記周知技術を採用して「電源端子」を設けることは、設計的事項に過ぎず、格別の困難性は存在しない。 (8)相違点4についての判断 前記(5)で検討したように、引用発明の「施設」を「駐輪施設」とすることに格別の困難性は存在しない。 そして、社会通念上、駐輪施設においては自転車を駐輪する位置は予め決められているから、充電を目的として駐車される「自転車12」の「コイル32a、32c」の位置は、予め定まる。 そうであるから、「コイル32a、32c」に対して給電する「コイル48a~48d」の位置も予め定まり、「コイル48a~48d」を駐輪施設の予め定められた場所に据え付けることは当然である。よって、駐輪施設の予め定められた位置に「コイル48a~48d」を据え付けることは、引用発明の「施設」を「駐輪施設」として具現化することに伴う設計的事項に過ぎない。 「コイル48a~48d」の位置が予め定まっているとき、「コイル48a、48b」と「コイル48c、48d」との間の空間の距離は一定値となり、その空間に「コイル32a、32c」が設置された「車輪14」(「車輪リム16」)が入るのであるから、充電時には、「コイル32a」と「コイル48a、48b」との距離D1と、「コイル32b」と「コイル48c、48d」との距離D2との和(D1+D2)は一定値となる。 この場合、D1が大きくなればD2が小さくなり、D2が大きくなればD1が小さくなる関係にあるので、一方のコイル間の距離(例えばD1)が大きくなることによって一方側の給電効率が落ちたとしても、他方のコイル間の距離(例えばD2)が小さくなるため他方側の給電効率が上がる。したがって、安定給電可能になることは自明である。 (9)効果についての判断 本件補正発明が奏する効果は、引用発明のものに比して格別のものとは認められない。 (10)請求人の主張についての判断 請求人は、本件補正発明の効果として、送電コイルと受電コイルとの間の位置合わせを厳密に行わず、D1>D2やD1<D2となったとしても、D1(D2)の増加による給電効率の低下分を他方の(一方の)給電コイルと他方の(一方の)送電コイルとの間給電により補えるため、位置合わせしなくても効率のよい給電が可能であることを挙げ(審判請求書5~6頁)、これに対して引用発明は位置合わせを必要とするものであるから、両者は構成及び作用効果に顕著な相違がある旨、主張する。(審判請求書5~7頁) しかしながら、前記(8)に示したように、引用発明を駐輪施設として具現化したものは、本件補正発明と同様の効果を奏するものであり、加えて、構成においても、前記(5)~(8)に示したとおり当業者が容易になし得るものに過ぎないから、請求人の主張は採用できない。 (11)小括 前記(1)~(10)のとおりであるから、本件補正発明は、当業者が引用発明から容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 本件補正についてのむすび 前記3によれば、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明 本件補正は上述のとおり却下されたため、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1(1)のとおりである。 第4 原査定の概要 原査定の概要は、以下のとおりである。 (進歩性)この出願の請求項1及び2に係る発明は、下記の文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 請求項3に係る発明は、下記の文献1に記載された発明及び文献2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 請求項4に係る発明は、下記の文献1に記載された発明、文献2に記載された発明及び文献3に示される周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 文献1.特表2016-502383号公報 文献2.特開2014-103706号公報 文献3.特開2014-193095号公報 第5 文献の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された文献1(当審決の引用文献)の記載事項は、前記第2[理由]3(2)に示したとおりであり、引用発明は前記第2[理由]3(3)に示したとおりである。 第6 本願発明と引用発明との対比・判断 本願発明は、前記第2[理由]3で検討した本件補正発明から、 その発明特定事項である「車輪を入れてわずかな遊びがあるコイル間距離D1」及び「前記車輪を入れてわずかな遊びがあるコイル間距離D2」の2つの距離を「車輪を入れてわずかな遊びがある間隔」とすることにより、D1及びD2に係る限定を削除し(前記第2[理由]1(3)ア)、 さらに、本件補正発明の発明特定事項C3及びC4で特定される限定を削除した(前記第2[理由]1(3)イ)ものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]3に記載したとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-016633

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