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特許拒絶査定不服審判

2022-016371

データ処理装置、データ処理方法及びデータ処理プログラム

審判番号
2022-016371
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-196164外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年10月13日
審決日
2023年02月28日
公報発行日
2023年03月31日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-196164「データ処理装置、データ処理方法及びデータ処理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月23日出願公開、特開2020- 64470、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 12項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成30年10月17日の出願であって、令和4年3月9日付けで拒絶理由が通知され、令和4年4月26日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、令和4年7月12日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和4年10月13日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要

原査定(令和4年7月12日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

理由2(進歩性) 本願請求項1-2、4-5に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、本願請求項3に係る発明は、以下の引用文献1-2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

1.特開2005-202766号公報

2.国際公開第2011/068178号

第3 本願発明

本願請求項1-5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、令和4年4月26日提出の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
電子化されたテキスト文書データから分解した単語のうち、ベクトル化の対象となる品詞である名詞単体、複数の名詞を複合した名詞複合語、動詞及び副詞の組み合わせのいずれかを用いて、ベクトル化の対象となる品詞を指定し、指定した品詞の種別に対応する単語を選択する選択部と、
前記選択部が選択した単語ごとに、前記単語の出現数または出現頻度に該単語の品詞の種別に応じた重みを用いた値を求め、求めた各値を各要素の値としたベクトルを生成する生成部と、
を有することを特徴とするデータ処理装置。」

なお、本願発明2-5の概要は以下のとおりである。

本願発明2は、本願発明1を減縮した発明である。

本願発明3は、実質的に、本願発明1の「データ処理装置」の処理を用いる「学習部」と、本願発明1の「データ処理装置」の処理を用いる「予測部」とを有する「データ処理装置」の発明である。

本願発明4-5は、それぞれ本願発明1に対応する「データ処理方法」、「データ処理プログラム」の発明である。

第4 引用文献、引用発明等

1 引用文献1及び引用発明

(1) 引用文献1

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。なお、添え字、指数の文字サイズが不統一な箇所については、文字サイズを適宜統一している。)。

ア 段落【0001】

「【技術分野】
【0001】
本発明は、互いにコンテンツが類似する複数のWebページを同時提示する類似コンテンツの同時提示システム等に関するものである。」

イ 段落【0036】-【0044】

「【0036】
次に前記比較領域におけるWebページ(以降比較ページと称する)及び前記基準ページについて、ページ単位及び段落単位でTopic Structure(単語集合情報、以下TPと称する)を生成する。
【0037】
TPはトピック(単語)ti,i∈(1,...,n)からなり、tiは主題語siと内容語の集合Ciとのセットからなる。また、Ciは複数の内容語cim,m∈(1,...,k)で構成される。すなわち、TPは以下のとおりである。
続きを表示(全24行)
【0038】
TP={t1,...,ti,...,tn}
ti=(si,Ci)
Ci=(ci1,...,cim)
【0039】
前記主題語は、ぺ一ジ(段落)において密度が高い単語としており、このシステムではぺ一ジ(段落)単位での類似関係を求めるため、単語の出現頻度を用いて抽出する。対象となる単語は名詞のみである。すなわち、主題語の候補となる単語tは、
tf(t)×weight(t)>αである。
【0040】
ここで、tf(t)はぺ一ジ(段落)におけるtの出現頻度を示し、weight(t)は品詞による単語の重み付け係数を示し、αは閾値を示す。ここでの重み付け係数weight(t)は、例えば固有名詞3.0、数0.1、助数詞0.1、名詞一般1.0、その他の名詞0.9である。
【0041】
前記内容語は、主題語との共起度の高い単語である。このシステムではあらかじめ単語の共起辞書D2を作成し、この共起辞書D2を用いて共起度を求める。なお、共起辞書D2はデータベース構造を有する。ぺ一ジ(段落)の主題語を{s1,...,si,...,sn}とすると、各々の主題語siにおいて内容語の集合であるCi=(ci1,...,cij)を求める。cijは、siとの単語の共起度がある閾値(β)以上の単語である。内容語も名詞のみを対象とする。このように、ぺ一ジ(段落)における主題語と内容語を決定する。よって、ぺ一ジ(段落)のTPは、{t1=(s1,C1),...,tn=(sn,Cn)}となる。これらのTPは前記データペース(当審注:「データベース」の誤記と認める。)に格納される。
【0042】
(3)
次に類似ページ特定部5が、前記データペース(当審注:「データベース」の誤記と認める。)に格納されているTPから主題語と内容語の特徴ベクトルをそれぞれ生成するとともに、それらのユークリッド距離を用いて基準ページと各比較ページについて比較を行い、ページレベルでのTP及び段落レベルでのTPに基づいてコンテンツの差異情報を取得する。なお、段落レベルでの比較において基準となる段落とは、例えば、画面に表示されている基準ページのうちの中央部に位置する段落(以下、基準段落と称する)のことである。これに先立って、辞書ソフト(言語変換部4)が、英語の主題語と内容語を日本語に変換する。1つの英語には複数の日本語訳が対応している場合がある。その場合、複数の日本語を主題語の候補とする。2ぺ一ジ(段落)間の主題語の類似度Sims、内容語の類似度Simcは以下のように決定される。
【0043】
Sims=[(fb(s1)-fc(s1))2+...+(fb(sn)-fc(sn))2]1/2
Simc=[(fb(c1)-fc(c1))2+...+(fb(cm)-fc(cm))2]1/2)
fb(sn)=tf(sn)×weight(sn)
【0044】
ここで、fb(sn)は基準ぺ一ジ(段落)の主題語の特徴ベクトルの要素であり、fc(sn)は比較ぺ一ジ(段落)の主題語の特徴ベクトルの要素である。同様に、fb(cm)は基準ぺ一ジ(段落)の内容語の特徴ベクトルの要素であり、fc(cm)は比較ぺ一ジ(段落)の内容語の特徴ベクトルの要素である。」

(2) 引用発明

よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。

「比較ページ及び基準ページについて、ページ単位及び段落単位でTopic Structure(TP)を生成し、
TPはトピック(単語)ti,i∈(1,...,n)からなり、tiは主題語siと内容語の集合Ciとのセットからなり、また、Ciは複数の内容語cim,m∈(1,...,k)で構成され、すなわち、TPは以下のとおりであり、
TP={t1,...,ti,...,tn}
ti=(si,Ci)
続きを表示(全15行)
Ci=(ci1,...,cim)
前記主題語は、ぺ一ジ(段落)において密度が高い単語としており、このシステムでは、単語の出現頻度を用いて抽出し、対象となる単語は名詞のみであり、すなわち、主題語の候補となる単語tは、
tf(t)×weight(t)>αであり、
ここで、tf(t)はぺ一ジ(段落)におけるtの出現頻度を示し、weight(t)は品詞による単語の重み付け係数を示し、αは閾値を示し、ここでの重み付け係数weight(t)は、例えば固有名詞3.0、数0.1、助数詞0.1、名詞一般1.0、その他の名詞0.9であり、
前記内容語は、主題語との共起度の高い単語であり、ぺ一ジ(段落)の主題語を{s1,...,si,...,sn}とすると、各々の主題語siにおいて内容語の集合であるCi=(ci1,...,cij)を求め、内容語も名詞のみを対象とし、よって、ぺ一ジ(段落)のTPは、{t1=(s1,C1),...,tn=(sn,Cn)}となり、これらのTPは前記データベースに格納され、
次に類似ページ特定部5が、前記データベースに格納されているTPから主題語の特徴ベクトルを生成するとともに、ユークリッド距離を用いて基準ページと各比較ページについて比較を行い、
2ぺ一ジ(段落)間の主題語の類似度Simsは以下のように決定され、
Sims=[(fb(s1)-fc(s1))2+...+(fb(sn)-fc(sn))2]1/2
fb(sn)=tf(sn)×weight(sn)
ここで、fb(sn)は基準ぺ一ジ(段落)の主題語の特徴ベクトルの要素であり、fc(sn)は比較ぺ一ジ(段落)の主題語の特徴ベクトルの要素である、
互いにコンテンツが類似する複数のWebページを同時提示する類似コンテンツの同時提示システム。」

2 引用文献2

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、13ページ3-18行に、次の事項が記載されている。

「また、関連文書検索システムは、手続きグループを作成する別の方法として、2値分類器を用いる方法を用いても良い。2値分類器は、データを自動的に2つのカテゴリに分類する。2値分類器を実装したソフトウェアについてはWebを通して容易に入手可能である。これらのソフトウェアを文書データの分類に使用する際には、利用者(オペレータ)は次の2つを事前に用意する。(1)2つのカテゴリに事前分類した文書データの単語ベクトルと、(2)未分類の文書データの単語ベクトルとである。
文書データの単語ベクトルとは、単語をベクトルの次元として、各次元の値には、その文書データにおける単語の有無(0/1)又は単語の重要度を格納したベクトルである。ソフトウェアは、学習処理及び分類処理の2つの処理を実行する。ソフトウェアは、学習処理では、事前分類した文書データの単語ベクトルを入力として分類器を出力する。分類器は、通常、どのような単語が含まれる場合に文書データが一方のカテゴリに所属する可能性が高いかを表す分類基準データを格納する。次に、ソフトウェアは、分類処理において、学習処理で作成した分類器を用いて未分類の文書データを2つのカテゴリのいずれかに分類する。なお、ソフトウェアが処理を実行するとの表現を用いているが、具体的には、情報処理装置のCPUが処理を実行する。また、分類器がデータを格納するとの表現を用いているが、具体的には、情報処理装置の記憶部が格納する。」

第5 対比・判断

1 本願発明1について

(1) 対比

本願発明1と、引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。

ア 引用発明の「互いにコンテンツが類似する複数のWebページ」である「比較ページ及び基準ページ」は、本願発明1の「電子化されたテキスト文書データ」に相当する。

引用発明の「比較ページ及び基準ページ」に含まれる単語のうち「主題語si」は、「単語の出現頻度を用いて抽出し、対象となる単語は名詞のみであ」って、「主題語の特徴ベクトルを生成」する単語であるから、本願発明1の「電子化されたテキスト文書データから分解した単語のうち、ベクトル化の対象となる品詞である名詞単体」に相当する。

よって、引用発明において、「主題語si」を、「単語の出現頻度を用いて抽出し」ていることは、本願発明1の「電子化されたテキスト文書データから分解した単語のうち、ベクトル化の対象となる品詞である名詞単体、複数の名詞を複合した名詞複合語、動詞及び副詞の組み合わせのいずれかを用いて、ベクトル化の対象となる品詞を指定し、指定した品詞の種別に対応する単語を選択する選択部」と、「電子化されたテキスト文書データから分解した単語のうち、ベクトル化の対象となる品詞である名詞単体を用いて、品詞の種別に対応する単語を選択する選択部」を備える点で共通するといえる。

イ 引用発明において、「基準ぺ一ジ(段落)の主題語の特徴ベクトルの要素」である「fb(sn)」の値は、数式「fb(sn)=tf(sn)×weight(sn)」で定義される。

ここで、上記数式における「tf(t)」とは、「単語t」の「出現頻度」である。

また、上記数式における「weight(t)」とは、「品詞による単語の重み付け係数」であって、「ここでの重み付け係数weight(t)は、例えば固有名詞3.0、数0.1、助数詞0.1、名詞一般1.0、その他の名詞0.9」である。

よって、「主題語の特徴ベクトルの要素」である「fb(sn)=tf(sn)×weight(sn)」の値は、本願発明1の「前記単語の出現数または出現頻度に該単語の品詞の種別に応じた重みを用いた値」に相当する。

以上のことから、引用発明の「主題語si」について、「類似ページ特定部5が、前記データベースに格納されているTPから主題語の特徴ベクトルを生成する」ことは、本願発明1の「前記選択部が選択した単語ごとに、前記単語の出現数または出現頻度に該単語の品詞の種別に応じた重みを用いた値を求め、求めた各値を各要素の値としたベクトルを生成する生成部」を備えることに相当する。

ウ 引用発明の「互いにコンテンツが類似する複数のWebページを同時提示する類似コンテンツの同時提示システム」は、本願発明1の「データ処理装置」に相当する。

(2) よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]

「電子化されたテキスト文書データから分解した単語のうち、ベクトル化の対象となる品詞である名詞単体を用いて、品詞の種別に対応する単語を選択する選択部と、
前記選択部が選択した単語ごとに、前記単語の出現数または出現頻度に該単語の品詞の種別に応じた重みを用いた値を求め、求めた各値を各要素の値としたベクトルを生成する生成部と、
を有することを特徴とするデータ処理装置。」

[相違点1]

本願発明1の「選択部」は、「電子化されたテキスト文書データから分解した単語のうち、ベクトル化の対象となる品詞である名詞単体、複数の名詞を複合した名詞複合語、動詞及び副詞の組み合わせのいずれかを用いて、ベクトル化の対象となる品詞を指定し、指定した品詞の種別に対応する単語を選択する」のに対して、引用発明では、「主題語si」として抽出される単語は、「対象となる単語は名詞のみ」であって、「名詞単体」とともに「複数の名詞を複合した名詞複合語、動詞及び副詞の組み合わせのいずれか」を対象とするものではなく、また、これらの品詞から「ベクトル化の対象となる品詞を指定し」、「指定した」品詞の種別に対応する単語を選択していない点。

(3) 当審の判断

上記[相違点1]について、検討する。

本願発明1の上記[相違点1]に係る、「選択部」は、「電子化されたテキスト文書データから分解した単語のうち、ベクトル化の対象となる品詞である名詞単体、複数の名詞を複合した名詞複合語、動詞及び副詞の組み合わせのいずれかを用いて、ベクトル化の対象となる品詞を指定し、指定した品詞の種別に対応する単語を選択する」という構成は、上記引用文献1-2には記載されておらず、周知技術であるともいえない。

上記引用文献2(第4、2を参照。)には、教師データを用いて学習処理を行い、学習結果を用いて二値分類器によって文書データを分類するという技術的事項は開示されているものの、本願発明1の上記[相違点1]の構成は開示していない。

したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2-5について

本願発明2は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明3は、実質的に、本願発明1の「データ処理装置」の処理を用いる「学習部」と、本願発明1の「データ処理装置」の処理を用いる「予測部」とを有する「データ処理装置」の発明であり、本願発明4-5は、それぞれ本願発明1に対応する「データ処理方法」、「データ処理プログラム」の発明であるから、本願発明2-5も、本願発明1の上記[相違点1]の構成と、(実質的に)同一の構成を備えるものであって、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明1-5は、当業者が引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-016371

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