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特許拒絶査定不服審判

2022-016139

紙葉類案内通路 および 紙葉類搬送装置

審判番号
2022-016139
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-148943
請求日
2022年10月10日
審決日
2023年06月06日
公報発行日
2023年07月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】株式会社エース電研
  • 【請求人代理人】長石 富夫
審判長/審判官
  • 審判長 鉄 豊郎
  • 審判官 長井 真一
  • 審判官 ▲高▼橋 祐介
分類
P18 .121-WY (A63F) / P18 .55 -WY (A63F) / P18 .575-WY (A63F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2020-148943「紙葉類案内通路 および 紙葉類搬送装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年12月24日出願公開、特開2020-203116、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成27年3月19日(以下「遡及日」という。)に出願した特願2015-55713の一部を平成30年12月27日に新たな特許出願(特願2018-245569)とし、さらにその一部を令和2年9月4日に新たな特許出願(特願2020-148943)としたものであって、令和3年8月12日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月4日に意見書及び手続補正書が提出され、令和4年2月7日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年3月30日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年7月7日付け(送達日:同月19日)で、同年3月30日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、同年10月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定の概要は次のとおりである。 (進歩性)本願の請求項1、2に係る発明は、以下の引用文献1、2に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開平11-263467号公報 2.実願平3-12141号(実開平4-100146号)のマイクロフィルム 第3 審判請求時の補正 1 補正の内容 審判請求時の補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和3年10月4日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1、2に (本件補正前の請求項1、2) 「【請求項1】 遊技機と遊技媒体貸し機が配列された遊技機島の内側に沿って延設され、前記遊技媒体貸し機の紙葉類排出口から排出された紙葉類を取込口から取り込んで所定の場所に搬送する搬送路と、 前記紙葉類排出口から排出された紙葉類を前記取込口へ案内する紙葉類案内通路と、 を備え、 前記紙葉類案内通路は、複数の短通路を通路長方向に連結して構成されると共に、案内される紙葉類の紙面に垂直方向と前記通路長方向とを含む平面内における隣り合う前記短通路の連結角度が、所定の角度範囲内で変更可能にされており、かつ前記紙葉類排出口から前記取込口までの距離に応じて前記短通路の連結数が調整される ことを特徴とする紙葉類搬送装置。 【請求項2】 遊技機と遊技媒体貸し機が配列された遊技機島の内側に沿って延設され、前記遊技媒体貸し機の紙葉類排出口から排出された紙葉類を取込口から取り込んで所定の場所に搬送する搬送路の前記取込口へ、前記紙葉類排出口から排出された紙葉類を案内する紙葉類案内通路であって、 複数の短通路を通路長方向に連結して構成されると共に、案内される紙葉類の紙面に垂直方向と前記通路長方向とを含む平面内における隣り合う前記短通路の連結角度が、所定の角度範囲内で変更可能にされており、かつ前記紙葉類排出口から前記取込口までの距離に応じて前記短通路の連結数が調整される ことを特徴とする紙葉類案内通路。」 とあったものを、 (本件補正後の請求項1、2) 「【請求項1】 A1 遊技機と遊技媒体貸し機が配列された遊技機島の内側に沿って延設され、前記遊技媒体貸し機の紙葉類排出口から排出された紙葉類を取込口から取り込んで所定の場所に搬送する搬送路と、 B1 前記紙葉類排出口から排出された紙葉類を前記取込口へ案内する紙葉類案内通路と、 を備え、 前記紙葉類案内通路は、 C1 複数の短通路を通路長方向に連結して構成されると共に、 D1 案内される紙葉類の紙面に垂直方向と前記通路長方向とを含む平面内における隣り合う前記短通路の連結角度が、所定の角度範囲内で変更可能にされており、 E1 かつ前記紙葉類排出口から前記取込口までの距離に近づくように前記短通路の連結数が調整されており、 F1 前記取込口から前記遊技媒体貸し機の紙葉類排出口側へ延びて前記紙葉類排出口に至る手前で終端している G1 ことを特徴とする紙葉類搬送装置。 【請求項2】 A2 遊技機と遊技媒体貸し機が配列された遊技機島の内側に沿って延設され、前記遊技媒体貸し機の紙葉類排出口から排出された紙葉類を取込口から取り込んで所定の場所に搬送する搬送路の B2 前記取込口へ、前記紙葉類排出口から排出された紙葉類を案内する紙葉類案内通路であって、 C2 複数の短通路を通路長方向に連結して構成されると共に、 D2 案内される紙葉類の紙面に垂直方向と前記通路長方向とを含む平面内における隣り合う前記短通路の連結角度が、所定の角度範囲内で変更可能にされており、 E2 かつ前記紙葉類排出口から前記取込口までの距離に近づくように前記短通路の連結数が調整されており、 F2 前記取込口から前記遊技媒体貸し機の紙葉類排出口側へ延びて前記紙葉類排出口に至る手前で終端している B2 ことを特徴とする紙葉類案内通路。」とする補正を含むものである(なお、A1等は、本件補正後の請求項1及び請求項2に係る発明(以下、それぞれ「本件補正発明1」、「本件補正発明2」という。)を分説するために当審合議体が付した。以下、符号A1等が付された事項を「特定事項A1」等という。また、下線は補正前後の箇所を明示するために当審合議体が付した。) 2 補正の目的 本件補正は、本件補正前の請求項1、2に係る発明を特定するために必要な事項である「紙葉類案内通路」に関し、 補正前の「かつ前記紙葉類排出口から前記取込口までの距離に応じて前記短通路の連結数が調整されており、」との記載を、「かつ前記紙葉類排出口から前記取込口までの距離に近づくように前記短通路の連結数が調整されており、」(特定事項E1及びE2)とすることで(補正事項1)、「距離に応じ」るというのが、「距離に近づくよう」なものあることを特定し、「前記取込口から前記遊技媒体貸し機の紙葉類排出口側へ延びて前記紙葉類排出口に至る手前で終端している」(特定事項F1及びF2)との特定事項をさらに追加することで(補正事項2)、「紙葉類案内通路」の構成を限定するものである。 そうすると、本件補正発明1、2は、本件補正前の請求項1、2に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 3 新規事項の追加の有無について 次に、上記補正事項1及び補正事項2が、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものであるかについて検討する。 (1) 当初明細書等の記載 当初明細書等には、以下のとおり記載されている(下線は当審合議体が付した。)。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、遊技機と遊技媒体貸し機が配列された遊技機島の内側に沿って延設された搬送路の取込口へ、遊技媒体貸し機の紙葉類排出口から排出された紙葉類を案内する紙葉類案内通路、およびこれを備えた紙葉類搬送装置に関する。 【背景技術】 【0002】 紙幣の投入を受けて遊技者に遊技媒体(メダルなど)を貸し出す遊技媒体貸し機とスロットマシンなどの遊技機とを一組にしたものを複数組併設収容した遊技機島の内部には、各遊技媒体貸し機に投入された紙幣を遊技機島の端部に設けた金庫まで搬送する搬送装置が遊技機島の長手方向に沿って設けてある。該搬送路の途中には、遊技媒体貸し機から排出された紙幣を搬送路内に取り込むための取込装置が遊技媒体貸し機毎に設けられる。 【0003】 近年、遊技場における遊技機の多様な設置形態に対応するために、遊技機および遊技媒体貸し機を円弧状等に並べた遊技機島(円島とする)などが考案されている。このような円島において紙幣等を金庫まで搬送するには、搬送路を円島の内側に沿って円弧状に形成する必要が生じる。 【0004】 搬送路全体を、円島の半径に対応した曲率で湾曲した搬送路にすると、遊技場毎に設置すべき円島の半径が様々なので、異なる曲率で湾曲した多種類の搬送路を用意しなければならない。しかし、異なる曲率で湾曲した多様な搬送路を用意すると、部品共通化のメリットがなくなってコスト高に繋がる。・・・」 イ 「【発明が解決しようとする課題】 【0007】 遊技媒体貸し機の背面の排出口から排出された紙幣を取込装置が円滑に受け入れるためには、取込装置の取り込み口と遊技媒体貸し機の排出口とが真正面で向き合うことが望ましい。 【0008】 円島の内側に沿った搬送路200を直線部202と湾曲部204を繋ぎ合わせて形成する場合、図27に示すように、遊技機210と遊技媒体貸し機212の設置基準となる曲線R1に対して、搬送路200は角の丸い多角形のような形状になる。この多角形の直線部202に設けられる取込装置214の取り込み口が、丁度、遊技媒体貸し機212の排出口の正面の位置になり、かつ該取り込み口の向きが遊技媒体貸し機212の排出口に真っ直ぐに向くように設置することは極めて難しい。そのため、施工現場では、取込装置214の取り込み口と遊技媒体貸し機212の排出口とが真正面で向き合う位置から外れてある程度の角度が付いてしまう。 【0009】 しかし、取込装置214や搬送路200を島構造に取り付けるための金具は、取込装置214の取り込み口と遊技媒体貸し機212の排出口とが真正面で向き合うことを前提にこれらを固定する構造なので、この金具で取込装置214や搬送路200を島構造に取り付けることができなかったり、無理に取り付けた場合には搬送路200の他の部分に無理がかかって歪みが出てしまったりする。 【0010】 一方、取込装置214の取り込み口の真正面に位置するように遊技媒体貸し機212の位置をずらして調整すると、図28に示すように、遊技機210と遊技媒体貸し機212の間に隙間Sができてしまい、見栄えがよくない。 【0011】 特許文献1には、取り込み口自体の角度を変更可能な取込装置が開示されるが、取込装置の構造が複雑になってしまう。 【0012】 本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、遊技媒体貸し機の背面に設けられた紙葉類排出口と遊技機島の内側に沿って延設された搬送路に設けられた紙葉類の取込口とに位置ズレがあっても、紙葉類排出口から取込口へ紙葉類を適切に案内可能な紙葉類案内通路およびこれを備えた紙葉類搬送装置を提供することを目的としている。」 ウ 「【0018】 ・・・本実施の形態では、紙葉類搬送装置10は、紙幣の投入を受けて遊技者に遊技媒体(メダル)を貸し出す遊技媒体貸し機3とスロットマシンなどの遊技機4とを一組にしたものを、正面を外向きにして円弧状に複数組配設した円島(遊技機島2)の内部に設けられ、各遊技媒体貸し機3の背面から排出された紙幣を取り込んで遊技機島2の端部に設けられた金庫5まで搬送する紙幣搬送装置として構成されている。・・・ 【0019】 紙葉類搬送装置10は、紙幣6(紙葉類)の搬送路となる搬送管12と、搬送管12内にその延設方向に流れる空気流を発生させる空気流発生装置(ブロア)14(図3参照)を備えている。搬送管12は、遊技機島2(円弧状に配列された遊技媒体貸し機3および遊技機4)の内側に沿って円弧状に延設されている。紙葉類搬送装置10では、空気流を受けて搬送管12内を移動可能な搬送補助体16を、搬送対象の紙幣6より上流側で搬送管12内へ挿入し、該搬送補助体16で搬送管12内の紙幣6を後方から押し動かして下流へ搬送するようになっている。 ・・・ 【0023】 搬送管12の往路12aおよび復路12cはそれぞれ、直線状の直管部と、曲線状の湾曲管部を繋ぎ合わせることで、全体として遊技機島2の内側に沿う円弧状にされている。復路12cを構成する直管部には、各遊技媒体貸し機3に対応する位置に、遊技媒体貸し機3の背面から排出された紙幣6を搬送管12(復路12cの直管部)内に取り込む紙幣取込装置24が設けてある。紙幣取込装置24は復路12cの直管部の一部を成す通路部51(図15参照)を備えており、該通路部51の中に紙幣6を取り込む。」 エ 「【0060】 次に、紙幣取込装置24の構造を簡単に説明しておく。 【0061】 図15は、紙幣取込装置24の内部構造を示す断面図である。紙幣取込装置24は、搬送路12の一部となる筒状の通路部51と、通路部51に沿って設けられた矩形箱状の本体枠部52を有する。 【0062】 通路部51の一端部は、上流側の搬送管12が、上流接続アダプタ42を介して接続される上流側搬送管接続部51aになっており、他端部は下流側の搬送管12(図12では直線状搬送管41)が接続される下流側搬送管接続部51bになっている。図中の矢印Fは搬送管12内での紙幣6の搬送方向(空気流の方向)を示している。 【0063】 上流側搬送管接続部51aと下流側搬送管接続部51bの間は、搬送管12の内縁形状に対応した内縁形状を有する紙幣通路51cになっている。紙幣通路51cの本体枠部52側の壁面には、紙幣6を紙幣通路51c内に取り込むための開口部53が設けてある。 【0064】 紙幣取込装置24の本体枠部52の正面の一方の端部には、遊技媒体貸し機3の背面に設けられた排出口から繰り出された紙幣6を受け入れる取り込み口54が開口している。遊技媒体貸し機3は、横長かつ紙面を立てた姿勢の紙幣6を、一方の短辺を先頭に長辺の向きに排出する。取り込み口54は、紙幣6の短辺よりやや長い細い長方形の開口であって、紙幣6をその短辺から受け入れる。取り込み口54と通路部51の開口部53との間には、次に開口部53から紙幣通路51c内へ送り出す紙幣6を待機させる通路としての待機部55が形成されている。待機部55はS字状に湾曲した幅狭(紙幣6の厚み方向に狭い)の通路(湾曲通路)となっており、該湾曲通路内に1枚の紙幣6を待機させることができるようになっている。 【0065】 待機部55に設けられた各種の搬送ローラ56は、取り込み口54から取り込んだ紙幣6を、待機部55を通じて開口部53から紙幣通路51c内へ送り出す。 【0066】 紙幣取込装置24の取り込み口54は、紙幣取込装置24の正面が向く方向と同じ方向を臨むように開口している。紙幣取込装置24においては、取り込み口54の真正面から紙幣6が真っ直ぐに取り込み口54に進入することが最も望ましい。遊技媒体貸し機3の背面に設けられた排出口からは、該排出口が臨む方向に紙幣6が排出される。したがって、遊技媒体貸し機3の背面の排出口から排出された紙幣6を取り込み口54から円滑に受け入れるためには、紙幣取込装置24の取り込み口54と遊技媒体貸し機3の排出口とが真正面で向き合う状態に設置されることが望ましい。 【0067】 しかしながら、円弧状の遊技機島2に対応させるために、図11、図12等に示すように、直管部40、46と湾曲管部45を繋ぎ合わせて搬送管12を構成するので、遊技機島2が成す円弧に対して、搬送管12は角の丸い多角形のような形状になってしまう。また、遊技場毎に円形の遊技機島2の半径が様々になるのに対応して曲率半径の異なる様々な湾曲管部45を用意することは、部品の共通化を阻害するので難しい。そのため、現場で、搬送管12を遊技機島2の内側に沿って組み立てる際に、紙幣取込装置24の取り込み口54と遊技媒体貸し機3の背面の排出口の位置を合わせることが出来たとしても、取り込み口54と遊技媒体貸し機3の排出口が真っ直ぐ向き合うように、角度まで合わせ込むことは難しい。 【0068】 一方、紙幣取込装置24の取り込み口54に紙幣6が進入する角度には、真正面からの進入に対して、ある程度の許容範囲がある。そこで、本実施の形態に係る紙葉類搬送装置10では、遊技媒体貸し機3の背面に設けられた排出口が臨む向きに対して、紙幣取込装置24の取り込み口54がある程度角度の外れた向きであっても対応できるように、第2取り付け金具80は固定腕81に対して支持部82の角度を調整可能になっている。」 オ 「【0079】 図23は、遊技媒体貸し機3およびその背面に取り付けられた第2取り付け金具80で支持された搬送管12を示す斜視図である。遊技媒体貸し機3の背面に設けられた排出口から紙幣取込装置24の取り込み口54までの間は紙幣案内通路110によって接続される。紙幣案内通路110は、複数の短い矩形筒状の通路部材111を繋ぎ合わせて構成される。繋ぎ合わせる通路部材111の数を調整することで紙幣案内通路110の長さを、遊技媒体貸し機3の背面の排出口から紙幣取込装置24の取り込み口54までの距離に近づける。また、通路部材111同志はヒンジで連結されるため、通路部材111同志を連結箇所において所定の角度範囲で曲げることができる。これにより、遊技媒体貸し機3の背面の排出口が臨む方向と、紙幣取込装置24の取り込み口54が臨む方向の角度のずれに対応した角度で紙幣案内通路110を延設することができる。」 カ 「【図23】 [図:0001399185000001.jpg] 」 キ 「【図27】 [図:0001399185000002.jpg] 【図28】 [図:0001399185000003.jpg] 」 (2) 検討 ア 補正事項1(特定事項E1、E2)について 本件補正前に記載の「紙葉類案内通路」について、補正事項1により、特定事項E1、E2(かつ前記紙葉類排出口から前記取込口までの距離に近づくように前記短通路の連結数が調整されており、)のとおり、「近づくように」なる特定がされた点について、当初明細書等の【0079】に「遊技媒体貸し機3の背面に設けられた排出口から紙幣取込装置24の取り込み口54までの間は紙幣案内通路110によって接続される。紙幣案内通路110は、複数の短い矩形筒状の通路部材111を繋ぎ合わせて構成される。繋ぎ合わせる通路部材111の数を調整することで紙幣案内通路110の長さを、遊技媒体貸し機3の背面の排出口から紙幣取込装置24の取り込み口54までの距離に近づける。」と記載されており、繋ぎ合わせる通路部材111(短通路)の数(連結数)を調整することで、紙幣案内通路110(紙葉類案内通路)の長さを、遊技媒体貸し機3の背面の排出口(紙葉類排出口)から紙幣取込装置24の取り込み口54(取込口)までの距離に近づけることが記載されている。 したがって、当初明細書等には、補正事項1に係る事項が記載されているといえる。 イ 補正事項2(特定事項F1、F2)について 補正事項2により、「前記取込口から前記遊技媒体貸し機の紙葉類排出口側へ延びて前記紙葉類排出口に至る手前で終端している」(特定事項F1及びF2)との特定事項をさらに追加とすることで、「紙葉類案内通路」の構成を限定した点について検討する。 (ア) 補正事項2における「前記取込口から前記遊技媒体貸し機の紙葉類排出口側へ延びて」について 当初明細書等の【0079】に「遊技媒体貸し機3の背面に設けられた排出口から紙幣取込装置24の取り込み口54までの間は紙幣案内通路110によって接続される。・・・遊技媒体貸し機3の背面の排出口が臨む方向と、紙幣取込装置24の取り込み口54が臨む方向の角度のずれに対応した角度で紙幣案内通路110を延設することができる。」と記載されており、図23からは、紙幣取込装置24の取り込み口54(取込口)から、遊技媒体貸し機3の背面の排出口側(紙葉類排出口側)へ紙幣案内通路110(紙葉類案内通路)が延びていることが看取できる。そうすると、補正事項2における「前記取込口から前記遊技媒体貸し機の紙葉類排出口側へ延びて」いることは、当初明細書等に記載されているといえる。 (イ) 補正事項2における「紙葉類案内通路」が「前記紙葉類排出口に至る手前で終端している」について a 当初明細書等の【0079】には「紙幣案内通路110は、複数の短い矩形筒状の通路部材111を繋ぎ合わせて構成される。繋ぎ合わせる通路部材111の数を調整することで紙幣案内通路110の長さを、遊技媒体貸し機3の背面の排出口から紙幣取込装置24の取り込み口54までの距離に近づける。」と記載されており、紙幣案内通路110(紙葉類案内通路)は、その長さが遊技媒体貸し機3の背面の排出口(紙葉類排出口)から紙幣取込装置24の取り込み口54(取込口)までの距離に「近づけ」られるものであって、上記距離と等しくないものも含まれると解される。 b このことは、以下の点からも裏付けられる。 すなわち、当初明細書等の【0004】に「搬送路全体を、円島の半径に対応した曲率で湾曲した搬送路にすると、遊技場毎に設置すべき円島の半径が様々なので、異なる曲率で湾曲した多種類の搬送路を用意しなければならない。しかし、異なる曲率で湾曲した多様な搬送路を用意すると、部品共通化のメリットがなくなってコスト高に繋がる。」と記載されるように、前記【0079】に記載の「紙幣案内通路110」を構成する「通路部材111」も、長さが同じ共通化された部品であることを前提としていると解され、排出口から取り込み口までの距離と紙幣案内通路110の長さが等しくないのが通常と解される c そして、当初明細書等の【0064】の「紙幣取込装置24の本体枠部52の正面の一方の端部には、遊技媒体貸し機3の背面に設けられた排出口から繰り出された紙幣6を受け入れる取り込み口54が開口している。」との記載によれば、繰り出された紙幣は、排出口が臨む方向に排出され、紙幣案内通路110は、遊技媒体貸し機3の背面の排出口が臨む方向と紙幣取込装置24の取り込み口54が臨む方向の角度のずれに対応した角度で延設されるから(【0079】)、紙幣案内通路110の終端の位置が排出口よりも多少手前であっても紙幣を受け入れることに支障をきたさない。 d 前記a~cより、補正事項2における「紙葉類案内通路」が「前記紙葉類排出口に至る手前で終端している」ことは、当初明細書等の【0004】、【0064】、【0079】等の記載を総合することにより導かれるものである。 (ウ) 前記(ア)、(イ)より、補正事項2に係る事項は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれるものである。 (3) まとめ 前記(2)より、本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。 4 独立特許要件について 本件補正発明1、2は、以下の「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、独立特許要件を満たすものであり、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。 5 まとめ 前記1~4より、本件補正は、適法にされたものと認められる。 第4 本願発明 上記第3のとおり、本件補正は適法にされたものであるから、本願請求項1、2に係る発明(以下「本願発明1」、「本願発明2」という。)は、上記「第3 1」に(本件補正後の請求項1、2)として記載したとおりのものである。 第5 引用発明、引用文献の記載事項 (1) 引用文献1 原査定において引用文献2として引用され、遡及日前に頒布され又は電子通信回線を通じて公衆に利用可能となった実願平3-12141号(実開平4-100146号)のマイクロフィルム(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている(下線は当審合議体が付した。以下同様。)。 ア 「【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】玉貸機等から合流部を介して搬送されてきた紙幣を2つの並設されたベルトで挟持してスタッカー装置に搬入するものにおいて、玉貸機から合流部に到る通路をその長さに応じて紙幣通路のある結合駒の数を選択的に結合して形成する紙幣搬送通路における長さ調節自在な紙幣供給装置 【図面の簡単な説明】 【図1】本案装置の切断面図である。 ・・・ 【図5】図1の結合駒とユニットコンベアとの相対関係を示す省略斜面図である。 ・・・」 イ 「【0001】 【産業上の利用分野】 本案は紙幣搬送装置における長さ調節自在な紙幣供給装置に関するものである。 ・・・ 【0003】 ・・・ 以上のような紙幣搬送装置において各遊技場における島巾が異なることがあり、その場合玉貸機と紙幣搬送装置との間の距離が大小に変わる。このように島巾が変わると玉貸機の紙幣排出口を大小備えなければならない。 そこで島巾によって玉貸機と紙幣搬送装置との間の距離が変わっても対応できる紙幣供給装置をうることを本案の目的とするものである。」 ウ 「【0006】 【実施例】 実施例ではパチンコ台の玉貸機から搬入された紙幣を搬送するものについて説明するが本案はこれに限定されるものではなく他の例えばゲーム用メタルの自動メタル貸機についての紙幣搬送装置や紙幣以外の紙葉類搬送装置についても同様に実施されるものである。 図6においてAは従来のユニットコンベアであり、合流ガイド(1)を介して複数もしくは単数のユニットコンベア(A)を配置して搬送装置を構成するものである。 ・・・ 【0007】 以上のようなユニットコンベア(A)はパチンコ遊技台(3)が多数取りつけられた島の内側に配設されており、(4)はパチンコ台(3)間に配置された玉貸機であって、この玉貸機(4)の紙幣投入口(4a)に投入された紙幣は判別された後、玉貸機(4)背面から合流ガイド(1)を通ってユニットコンベア(A)に搬入される。・・・」 エ 「【0010】 しかして以上のようなものにあっては、パチンコ島の内側において ユニットコンベア(A)を合流ガイト(1)(当審注:「合流ガイド(1)」の誤記と認める)を介して任意に組合せて連設しパチンコ台(3)間に配置された玉貸機(4)から排出された紙幣は合流ガイド(1)からユニットコンア(A)(当審注:「ユニットコンベア(A)」の誤記と認める)に搬入せしめて搬送した紙幣をスタッカー(2)に搬入するようにして紙幣の搬送装置を構成するものであり、玉貸機に投入された紙幣はベルト(10)(11)で挟持されて各ユニットコンベアで次々に受け継がれて搬送されスタッカー装置に回収される。 【0011】 本案は以上のような搬送装置において、島巾の広狭により玉貸機の排出口と搬送装置との間の距離が変わっていてもそれに対応できるように考案されたものである。 すなわち、図1において(49)は玉貸機(4)の背面(46)に植立されたガイドポストでこれに結合駒(59)が嵌合し結合される。 結合駒はガイドポスト(49)に嵌合される環部(53)とこれと一体な連結部(52)と更にこれと一体な駒部本体(48)とからなるもので、駒部本体(48)は中央に縦長の紙幣通路(54)が形成された全体が矩形のもので前部が大径部(50)に後部が小径部(51)となって大径部(50)と小径部(51)は互いに嵌合するようになつっている。したがって大径部(50)と小径部(51)とをつなぐ斜面(55)がありその始端における駒部本体(48)の大径部は玉貸機における識別機の背面(46)の紙幣排出口(47)に外嵌するようになっている。 したがって結合駒(59)はガイドポスト(49)に環部(53)で懸吊され互いに大径部(50)と小径部(51)の嵌合によって伝意の数の駒部本体(48)で紙幣通路(54)を形成できる。 なお、図5の(56)(57)(60)(61)はユニットコンベアのローラーで(58)はベルトを示す。 ・・・ 以上の如く玉貸機(4)とユニットコンベア(A)との間の合流ガイドとして駒数によって長さの調節できる紙幣供給路(54)が形成されるので島巾の広狭に随時対応できるという特徴がありガイドポスト(49)の玉貸機背面(46)との結合部を揺動できるヒンジ部(62)とすると玉貸機の排出口とコンベアユニットの合流部とが多少ずれてもそれに順応して姿勢を変えて取付けることができて便利である。 【0012】 【考案の効果】 本案のものによれば玉貸機とユニットコンベアとの間の距離が変わっても結合駒の数を任意に選択することによって玉貸機の排出口の長さを変更することができるのみならず、結合駒の姿勢を変更することにより玉貸機の排出口とユニットコンベア合流部との間に位置のずれがあっても施設することができるという効果がある。」 オ 「【図1】 [図:0001399185000004.jpg] 」 カ 「【図5】 [図:0001399185000005.jpg] 」 キ 認定事項1 【0011】の「ユニットコンベア(A)」、「(56)(57)(60)(61)はユニットコンベアのローラーで(58)はベルトを示す。」との記載から、図中符号Aは「ユニットコンベア」を表し、図中符号56、57は「ローラー」を表し、図中符号58は「ベルト」を表す。 そして、【図面の簡単な説明】の「【図1】本案装置の切断面図である。」との記載から、図1には、紙幣搬送装置の切断面図が図示されているところ、同図からは、紙幣搬送装置において、ユニットコンベア(A)が、ローラー(56)、(57)、ベルト(58)の上側及び下側のそれぞれにおいて水平方向に延在する部位を備えることが看取される。 ここで、【0007】の「玉貸機(4)の紙幣投入口(4a)に投入された紙幣は・・・玉貸機(4)背面から・・・ユニットコンベア(A)に搬入され」との記載から、紙幣は、ユニットコンベア(A)の上記「ローラー(56)、(57)、ベルト(58)の上側及び下側のそれぞれにおいて水平方向に延在する部位」の上側部位と下側部位との間に搬入されると認められる。そして、ユニットコンベア(A)の当該上側部位と下側部位との間の部位は、ユニットコンベア(A)に搬入される紙幣が通過可能な開口部となっていると認められる。 したがって、引用文献1には、「ユニットコンベア(A)が、搬入される紙幣が通過する開口部を有する」こと(以下「認定事項1」という。)が記載されていると認められる。 ク 前記ア~キより、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「パチンコ遊技台(3)が多数取りつけられた島の内側に配設され、ローラー(56)(57)(60)(61)と、ベルト(58)と、搬入される紙幣が通過する開口部とを有するユニットコンベア(A)であって、パチンコ遊技台(3)間に配置された玉貸機(4)の紙幣投入口(4a)に投入された紙幣が、玉貸機(4)背面の紙幣排出口(47)から合流ガイドを通って、上記開口部を通過して搬入され、上記紙幣をスタッカー(2)に搬送するユニットコンベア(A)と(【0007】、【0010】、【0011】、図1、図5、認定事項1)、 玉貸機(4)とユニットコンベア(A)との間の合流ガイドとして形成された紙幣供給路(54)とを備え(【0011】)、 紙幣供給路(54)は、結合駒(59)の駒数によって長さの調節ができるように形成され、上記結合駒(59)は、玉貸機(4)の背面(46)に植立されたガイドポスト(49)に嵌合される環部(53)とこれと一体な連結部(52)と更にこれと一体な駒部本体(48)とからなり、駒部本体(48)は中央に縦長の紙幣通路(54)が形成された全体が矩形のもので前部が大径部(50)に後部が小径部(51)となって大径部(50)と小径部(51)は互いに嵌合するようになっており、ガイドポスト(49)に環部(53)で懸吊して互いの大径部(50)と小径部(51)を嵌合し、玉貸機とユニットコンベアとの間の距離が変わっても結合駒(59)の数を任意に選択することによって紙幣供給路(54)の長さを調節して、玉貸機の排出口の長さを変更することができ(【0011】、【0012】、図1)、 駒部本体(48)には、大径部(50)と小径部(51)とをつなぐ斜面(55)がありその始端における大径部(50)は玉貸機(4)における識別機の背面(46)の紙幣排出口(47)に外嵌するようになっており(【0011】、図1)、 ガイドポスト(49)の玉貸機背面(46)との結合部を揺動できるヒンジ部(62)とし、玉貸機の排出口とコンベアユニットの合流部とが多少ずれてもそれに順応して姿勢を変えて取付けることができる(【0011】)、 紙幣搬送装置(【0006】)。」 (2) 引用文献2 原査定において引用文献1として引用され、遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開平11-263467号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、パチンコ、パチスロ、ゲーム機その他の遊技台が設置された遊技場において、パチンコ玉、メダルなどの遊技媒体を貸出す遊技媒体貸出機に投入された貨幣を搬送する搬送装置に関する。 【0002】 【従来の技術】例えば、パチンコ店では、図 に示すように複数のパチンコ台(遊技台)1、1、…が直線状に並んで配置されたパチンコ島と称される1つの集団を形成して、複数のパチンコ台1、1、…で囲まれた背部空間にパチンコ玉の循環装置(図示せず)を設けて、この1つのパチンコ島全体でパチンコ玉を循環させている。2台のパチンコ台1、1の間には、パチンコ玉(遊技媒体)貸出機2が設置されている。 【0003】そして、従来では、各パチンコ機の背部空間、即ち、パチンコ島の内部空間には、図 に示すようにパチンコ玉貸出機2に投入された紙幣Aを取り込んで合流させる合流部3と、紙幣Aを直線状に搬送する搬送部4とで構成された紙幣搬送装置5を、直線状に次々と接続した状態に設置している。 【0004】このため、各パチンコ玉貸出機2に投入された紙幣Aは、合流部3で取り込まれて、パチンコ島の端部あるいは中央に設置された紙幣収納装置(図示せず)へ搬送部4に沿って直線方向に搬送されて収納され堆積される。 【0005】このように従来では、パチンコ台1が直線状に配置されているため、紙幣搬送装置5も各パチンコ台1の1台ごとに直線状に連結して直線方向へ紙幣Aを搬送するものであった。また、同様にパチンコ島の内部空間には、パチンコ玉貸出機2に投入された硬貨を同様に直線方向へ搬送する硬貨搬送部が設けられている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、図 に示すようにパチンコ島全体ではなく、1台のパチンコ台11の内部のみでパチンコ玉を循環させるようにし、パチンコ台の側部にパチンコ玉貸出機12が付設された独立型のパチンコ台ユニット10が開発されている。 【0007】この独立型のパチンコ台ユニット10は1台ごとに独立して配置できるため、複数のパチンコ台ユニット10、10、…を例えば円弧状(図 )、円状、S字状、L字状など様々な形状に配置することができ、パチンコ店内のスペースの有効化を図れるという利点を有し、このため、昨今、既存のビル内に入店するパチンコ店などにおいて、急速に普及している。 【0008】しかるに、前記したように従来の紙幣あるいは硬貨の搬送装置は直線状にしか搬送できないので、複数の独立型パチンコ台ユニット10、10、…を非直線に配置した場合には、搬送装置を用いることができないという不都合があった。 【0009】このためパチンコ玉貸出機12に投入された紙幣は各パチンコ台ユニット10毎に貯留し、その後回収する必要があり、店員にとって非常に面倒であり、また回収時に店員による不正が生じる恐れがあり、各ユニット毎に貯留するのでは紙幣の貯留量にも限界があるなどの不都合があった。 【0010】また、パチンコ玉貸出機12に投入された貨幣も、同様に各パチンコ台ユニット10毎に貯留しなければならず、同様の不都合があった。本発明はこれらの不都合を解消し、非直線状に貨幣を搬送できるようにした貨幣搬送装置を提供することを目的としている。」 イ 「【0019】 【実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1~8は本発明の一実施形態の紙幣搬送装置20を示している。図1及び図2に示すように、本発明の紙幣搬送装置20は紙幣合流装置30を備えている。紙幣合流装置30は、箱状のフレームの一端面に、連結される前段の紙幣合流装置30から直立状態で送り出されてくる紙幣Aを受け入れる紙幣受入れ口32を備え、両側面(一側面のみでもよい)に、パチンコ台ユニット10のパチンコ玉貸出機12から直立状態で送り出されてくる紙幣Aを受け入れる紙幣受入れ口33、34を備えている。 【0020】一端面の受入れ口32には、紙幣を直進方向へガイドする2枚のほぼ直線状の直線状直立板35a、35bによる直進ガイド35が取付けられ、両側面の受入れ口33、34には、紙幣を円弧状に湾曲されて直進方向へガイドして合流させる湾曲状直立板36a、36b及び36c、36dによる合流ガイド36、36′が取付けられている。 ・・・ 【0024】紙幣合流装置30の一端には、搬送方向調整体50、50、…が複数個連結されている。搬送方向調整体50は、図3、4に示すように、後面及び前面が開口した箱状であって、互いに平行な垂直な側板51、52と、互いに平行な水平な上板53及び下板54とを備えている。上板53、下板54は、後縁は曲率半径が大きい円弧状、前縁は曲率半径が小さい円弧状になっている(図7参照)。 【0025】上板53及び上板54(当審注:「下板54」の誤記と認める)の前縁の中央外面には、円柱状の軸突起55が突設され、上板53及び下板54の後縁の中央上面には、軸突起55(隣の搬送方向調整体50の)が回動自在に嵌合される嵌合穴56aを有する腕片56が水平方向に突出するように設けられている。 【0026】図7に示すように隣合う搬送方向調整体50の上下の軸突起55が上下の腕片56の嵌合穴56aに回動自在に嵌合されていて、このため、図8に示すように複数の搬送方向調整体50、50、…は所定角度内において任意に向きを調整することができる。 【0027】このように連結した複数の搬送方向調整体50、50、…のうちの一端側の搬送方向調整体50の上下の腕片56の嵌合穴56aには、紙幣合流装置30の後端の上下に突設された同様の軸突起55′が回動自在に嵌合されて連結されている。 【0028】また、複数の搬送方向調整体50、50、…のうちの他端側の搬送方向調整体50の上下の軸突起55は、次段の紙幣搬送装置20の紙幣合流装置30の一端に連結するための連結体70の上下の同様の腕片56′の嵌合穴56′aに回動自在に嵌合されて連結されている。」 ウ 「【0037】従って、複数のパチンコ台ユニット10、10、…の配置に応じて各パチンコ玉貸出機12からの紙幣を取り込めるように紙幣合流装置30の位置を合わせて、複数の紙幣搬送装置20、20、…を次々と連結していけば、各紙幣合流装置30、30、…の位置に応じて互いに連結された搬送方向調整体50、50、…が非直線状になるから、円弧状、円状、S字状、L字状、その他任意の形状に紙幣搬送装置20、20、…を連結して、紙幣を搬送して紙幣収納装置(図示せず)へ搬送することができる。 エ 「【図面の簡単な説明】 ・・・ 【図8】同実施形態の非直線状態の平面図 ・・・」 オ 「【図8】 [図:0001399185000006.jpg] 」 カ 前記ア~オから、引用文献2には次の事項(以下「引用文献2の記載事項」という。)が記載されている。 「円弧状、円状、S字状、L字状、その他任意の形状に配置された複数のパチンコ台ユニット10、10、…の配置に応じて設置され(【0006】、【0037】)、 パチンコ台ユニット10のパチンコ台の側部に付設されたパチンコ玉貸出機12から直立状態で送り出されてくる紙幣Aを受け入れる紙幣受入れ口33、34を備えた紙幣合流装置30と(【0006】、【0019】)、 互いに平行な水平な上板53及び下板54とを備え、上板53及び下板54の前縁の中央外面に、円柱状の軸突起55が突設され、上板53及び下板54の後縁の中央上面に、軸突起55(隣の搬送方向調整体50の)が回動自在に嵌合される嵌合穴56aを有する腕片56が水平方向に突出するように設けられ、隣合う搬送方向調整体50の上下の軸突起55が上下の腕片56の嵌合穴56aに嵌合されて、紙幣合流装置30の一端に複数個連結される搬送方向調整体50、50、…とを備え(【0024】、【0025】、【0026】、図8)、 隣合う搬送方向調整体50の上下の軸突起55が上下の腕片56の嵌合穴56aに回動自在に嵌合されることにより、複数の搬送方向調整体50、50、…が所定角度内において任意に向きを調整することができる(【0026】、図8) 紙幣搬送装置20(【0019】)。」 第6 対比・判断 1 本願発明1についての対比・判断 (1) 本願発明1と引用発明との対比 ア 特定事項A1について 引用発明の「パチンコ遊技台(3)」、「玉貸機(4)」、「パチンコ遊技台(3)が多数取り付けられた島」、「紙幣」、「紙幣排出口(47)」、「ユニットコンベア(A)」は、それぞれ、本願発明1の特定事項A1の「遊技機」、「遊技媒体貸し機」、「遊技機島」、「紙葉類」、「紙葉類排出口」、「搬送路」に相当し、 引用発明の「ユニットコンベア(A)」に「搬入される紙幣が通過する開口部」は、当該紙幣がユニットコンベア(A)に取り込まれているといえるから、本願発明1の特定事項A1の「取込口」に相当する。 したがって、引用発明は、本願発明1の特定事項A1に相当する構成を備えている。 イ 特定事項B1について 前記アより、引用発明の上記「開口部」は、本願発明1の「取込口」に相当し、 引用発明の「合流ガイド」は、「玉貸機(4)背面の紙幣排出口(47)から」排出された「紙幣」を「上記開口部を通過」させて「ユニットコンベア(A)」に「搬入」せしめるものであって、「紙幣」を「上記開口部」に案内するものであるといえるから、 引用発明の「合流ガイドとして形成された紙幣供給路(54)」は、本願発明1の特定事項B1の「紙葉類案内通路」に相当する。 したがって、引用発明は、本願発明1の特定事項B1に相当する構成を備えている。 ウ 特定事項C1について 引用発明の「結合駒(59)」は、本願発明1の特定事項C1の「短通路」に相当し、 引用発明の「前部が大径部(50)に後部が小径部(51)となって」いる「結合駒(59)」の「互いの大径部(50)と小径部(51)を嵌合」することは、本願発明1の特定事項C1の「通路長方向に連結」することに相当する。 したがって、引用発明は、本願発明1の特定事項C1に相当する構成を備えている。 エ 特定事項E1について 前記ウより、引用発明の「結合駒(59)」は、本願発明1の「短通路」に相当するから、 引用発明の「玉貸機(4)とユニットコンベア(A)との間の合流ガイドとして形成された紙幣供給路(54)」について、「玉貸機とユニットコンベアとの間の距離が変わっても結合駒(59)の数を任意に選択することによって長さの調節」がされることは、本願発明1の特定事項E1の「前記紙葉類排出口から前記取込口までの距離に近づくように前記短通路の連結数が調整され」ることに相当する。 したがって、引用発明は、本願発明1の特定事項E1に相当する構成を備えている。 オ 特定事項F1について 引用発明における「紙幣供給路(54)」は、「紙幣供給路(54)」を形成する「結合駒(59)」の「駒部本体(48)」の「大径部(50)」が「玉貸機(4)における識別機の背面(46)の紙幣排出口(47)に外嵌」しており、「玉貸機(4)とユニットコンベア(A)との間の合流ガイドとして形成された」ものであるから、ユニットコンベア(A)に搬入される紙幣が通過する開口と玉貸機(4)の紙幣排出口(47)の間に配置されているものである。 したがって、引用発明と本願発明1の特定事項F1とは、「前記取込口と前記遊技媒体貸し機の紙葉類排出口の間に配置されて」いる点で共通している。 カ 特定事項G1について 引用発明の「紙幣搬送装置」は、本願発明1の特定事項G1の「紙葉類搬送装置」に相当する。 したがって、引用発明は、本願発明1の特定事項G1に相当する構成を備えている。 キ 前記ア~カからみて、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致する。 <一致点> A1 遊技機と遊技媒体貸し機が配列された遊技機島の内側に沿って延設され、前記遊技媒体貸し機の紙葉類排出口から排出された紙葉類を取込口から取り込んで所定の場所に搬送する搬送路と、 B1 前記紙葉類排出口から排出された紙葉類を前記取込口へ案内する紙葉類案内通路と、 を備え、 前記紙葉類案内通路は、 C1 複数の短通路を通路長方向に連結して構成され、 E1 前記紙葉類排出口から前記取込口までの距離に近づくように前記短通路の連結数が調整されており、 F1′前記取込口と前記遊技媒体貸し機の紙葉類排出口の間に配置されている G1 紙葉類搬送装置。 そして、両者は以下の点で相違する。 <相違点1> (特定事項D1) 紙葉類案内通路が、 本願発明1では、案内される紙葉類の紙面に垂直方向と前記通路長方向とを含む平面内における隣り合う前記短通路の連結角度が、所定の角度範囲内で変更可能にされているのに対し、 引用発明では、結合駒(59)の環部(53)が嵌合されるガイドポスト(49)の玉貸機背面(46)との結合部を揺動できるヒンジ部(62)としているので、本願発明1のように「案内される紙葉類の紙面に垂直方向と前記通路長方向とを含む平面内における隣り合う前記短通路の連結角度が、所定の角度範囲内で変更可能にされている」ものではない点。 <相違点2> (特定事項F1) 取込口と遊技媒体貸し機の紙葉類排出口の間に配置されている紙葉類案内通路が、 本願発明1では、取込口から紙葉類排出口側へ延び、紙葉類排出口に至る手前で終端しているのに対し、 引用発明では、玉貸機(4)の紙幣排出口(47)に外嵌しているので、本願発明1のように「取込口から紙葉類排出口側へ延び、紙葉類排出口に至る手前で終端している」ものではない点。 (2) 判断 事案に照らして上記相違点2について検討する。 ア 引用発明は、前記第5の1(2)に示したとおり、紙幣供給路(54)を形成する結合駒(59)の駒部本体(48)における大径部(50)が、玉貸機(4)における識別機の背面(46)の紙幣排出口(47)に外嵌するようになっているものである。 そして、引用発明の紙幣搬送装置は、「結合駒(59)の数を任意に選択」して「紙幣供給路(54)の長さが調節され」ることによって、「玉貸機(4)の排出口の長さを変更する」ものであって、当該紙幣搬送装置における紙幣供給路(54)は、玉貸機(4)の紙幣排出口の長さを変更するためのものであると位置付けられる。 そうすると、引用発明は、上記のとおり結合駒(59)が上記紙幣排出口(47)に外嵌されている構成により、紙幣供給路(54)の端部と紙幣排出口(47)とが、その継ぎ目において紙幣排出口(47)が紙幣供給路(54)の外部に露出することなく接続され、それにより紙幣排出口を実質的に延長するものとなっていると解されるところ、それにもかかわらず、当該構成を変更して、紙幣排出口(47)が紙幣供給路(54)の外部に露出することとなる上記相違点2に係る構成を備えたものにしようとする動機付けを見出すことができない。 イ 上記相違点2に係る構成である、紙幣を受け入れる案内通路の端部を、紙幣の排出口の手前で終端させる点は、前記第5の2(2)に示した引用文献2の記載事項が備えておらず、引用文献2に開示されていない。 ウ 前記ア、イより、本願発明1の上記相違点2に係る構成は、引用発明及び引用文献2の記載事項に基いて当業者が容易に想到できたものではない。 (3) まとめ したがって、上記相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2の記載の事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。 (4) 引用文献2に記載された発明をいわゆる主引用発明とした場合について 引用文献2に記載された発明を本願発明1と対比した場合、少なくとも、本願発明1の特定事項F1における紙葉類案内通路が、取込口から紙葉類排出口側へ延び、紙葉類排出口に至る手前で終端している点は相違点になると認められるところ、その点は引用文献1には記載されていないことから、引用文献2に記載された発明に引用文献1に記載された事項を適用したとしても、当該相違点に係る本願発明1の構成を備えたものとはならない。 2 本願発明2についての対比・判断 (1) 本願発明2と引用発明との対比 ア 特定事項A2について 前記1(1)アと同様に、引用発明の「パチンコ遊技台(3)」、「玉貸機(4)」、「パチンコ遊技台(3)が多数取り付けられた島」、「紙幣」、「紙幣排出口(47)」、「ユニットコンベア(A)」は、それぞれ、本願発明2の特定事項A2の「遊技機」、「遊技媒体貸し機」、「遊技機島」、「紙葉類」、「紙葉類排出口」、「搬送路」に相当し、引用発明の「ユニットコンベア(A)」に「搬入される紙幣が通過する開口部」は、本願発明2の特定事項A2の「取込口」に相当する。 したがって、引用発明は、本願発明2の特定事項A2に相当する構成を備えている。 イ 特定事項B2について 前記1(1)イと同様に、引用発明の「合流ガイドとして形成された紙幣供給路(54)」は、本願発明2の特定事項B2の「紙葉類案内通路」に相当する。 したがって、引用発明は、本願発明2の特定事項B2に相当する構成を備えている。 ウ 特定事項C2について 前記1(1)ウと同様に、引用発明の「結合駒(59)」は、本願発明2の特定事項C2の「短通路」に相当し、引用発明の「前部が大径部(50)に後部が小径部(51)となって」いる「結合駒(59)」の「互いの大径部(50)と小径部(51)を嵌合」することは、本願発明2の特定事項C2の「通路長方向に連結」することに相当する。 したがって、引用発明は、本願発明2の特定事項C2に相当する構成を備えている。 エ 特定事項E2について 前記1(1)エと同様に、引用発明の「玉貸機(4)とユニットコンベア(A)との間の合流ガイドとして形成された紙幣供給路(54)」について、「玉貸機とユニットコンベアとの間の距離が変わっても結合駒(59)の数を任意に選択することによって長さの調節」がされることは、本願発明2の特定事項E2の「前記紙葉類排出口から前記取込口までの距離に近づくように前記短通路の連結数が調整され」ることに相当する。 したがって、引用発明は、本願発明2の特定事項E2に相当する構成を備えている。 オ 特定事項F2について 前記1(1)オと同様に、引用発明における「紙幣供給路(54)」は、ユニットコンベア(A)に搬入される紙幣が通過する開口から玉貸機(4)の紙幣排出口(47)に延びるものであるから、引用発明と本願発明2の特定事項F2とは、「前記取込口から前記遊技媒体貸し機の紙葉類排出口側へ延びて」いる点で共通している。 カ 前記ア~オからみて、本願発明2と引用発明とは、以下の点で一致する。 <一致点> A2 遊技機と遊技媒体貸し機が配列された遊技機島の内側に沿って延設され、前記遊技媒体貸し機の紙葉類排出口から排出された紙葉類を取込口から取り込んで所定の場所に搬送する搬送路の B2 前記取込口へ、前記紙葉類排出口から排出された紙葉類を案内する紙葉類案内通路であって、 C2 複数の短通路を通路長方向に連結して構成されると共に、 E2 かつ前記紙葉類排出口から前記取込口までの距離に近づくように前記短通路の連結数が調整されており、 F2′前記取込口から前記遊技媒体貸し機の紙葉類排出口側へ延びている B2 紙葉類案内通路。 そして、両者は以下の点で相違する。 <相違点1> (特定事項D2) 紙葉類案内通路が、 本願発明2では、案内される紙葉類の紙面に垂直方向と前記通路長方向とを含む平面内における隣り合う前記短通路の連結角度が、所定の角度範囲内で変更可能にされているのに対し、 引用発明では、結合駒(59)の環部(53)が嵌合されるガイドポスト(49)の玉貸機背面(46)との結合部を揺動できるヒンジ部(62)としているので、本願発明2のように「案内される紙葉類の紙面に垂直方向と前記通路長方向とを含む平面内における隣り合う前記短通路の連結角度が、所定の角度範囲内で変更可能にされている」ものではない点。 <相違点2> (特定事項F2) 取込口と遊技媒体貸し機の紙葉類排出口の間に配置されている紙葉類案内通路が、 本願発明2では、取込口から紙葉類排出口側へ延び、紙葉類排出口に至る手前で終端しているのに対し、 引用発明では、玉貸機(4)の紙幣排出口(47)に外嵌しているので、本願発明2のように「取込口から紙葉類排出口側へ延び、紙葉類排出口に至る手前で終端している」ものではない点。 (2) 判断 事案に照らして上記相違点2について検討すると、前記1(2)と同様に、 引用発明は、紙幣供給路(54)の端部と紙幣排出口(47)とが、その継ぎ目において紙幣排出口(47)が紙幣供給路(54)の外部に露出することなく接続され、それにより紙幣排出口を実質的に延長するものとなっていると解されるところ、それにもかかわらず、その構成を変更して、紙幣排出口(47)が紙幣供給路(54)の外部に露出することとなる上記相違点2に係る構成を備えたものとする動機付けを見出すことができない。 また、引用文献2の記載事項は、紙幣を受け入れる案内通路の端部を、紙幣の排出口の手前で終端させるという上記相違点2に係る構成を備えていない。 そうすると、本願発明2の上記相違点2に係る構成は、引用発明及び引用文献2の記載事項に基いて当業者が容易に想到できたものとはいえない。 (3) まとめ したがって、上記相違点1について検討するまでもなく、本願発明2は、当業者であっても引用発明及び引用文献2の記載事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。 (4) 引用文献2に記載された発明をいわゆる主引用発明とした場合について 引用文献2に記載された発明を本願発明2と対比した場合、本願発明2が紙葉類案内通路の発明である点のほかに、特定事項F2において当該紙葉類案内通路が、取込口から紙葉類排出口側へ延び、紙葉類排出口に至る手前で終端している点は相違点になると認められるところ、その点は引用文献1には記載されていないことから、引用文献2に記載された発明に引用文献1に記載された事項を適用したとしても、当該相違点に係る本願発明2の構成を備えたものとはならない。 第7 原査定について 前記第6で説示したとおり、本願発明1、2は引用発明及び引用文献2の記載事項に基いて当業者が容易に発明することができたものとはいえないから、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-016139

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