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特許拒絶査定不服審判

2022-014650

1つまたは複数の通信ユニットを有するLED装置およびその使用方法

審判番号
2022-014650
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-500935
請求日
2022年09月16日
審決日
2023年08月25日
公報発行日
2024年02月22日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】10644137 カナダ インコーポレイテッド
  • 【請求人代理人】稲葉 良幸
  • 【請求人代理人】大貫 敏史
  • 【請求人代理人】江口 昭彦
  • 【請求人代理人】内藤 和彦
審判長/審判官
  • 審判長 岡田 吉美
  • 審判官 濱本 禎広
  • 審判官 九鬼 一慶
分類
P18 .575-Z (G09G) / P18 .121-Z (G09G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-500935「1つまたは複数の通信ユニットを有するLED装置およびその使用方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 9月27日国際公開、WO2018/170601、令和 2年 6月25日国内公表、特表2020-518866〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2018年(平成30年)3月22日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年3月22日、米国)、その手続の経緯の概略は、以下のとおりである。 令和元年11月14日 :翻訳文の提出 令和3年 3月16日 :手続補正書の提出 同年 9月30日付け:拒絶理由通知書 令和4年 4月 4日 :意見書、手続補正書の提出 同年 5月 2日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月16日 :原査定の謄本の送達) 同年 9月16日 :審判請求書、手続補正書の提出 同年10月21日 :手続補正書(方式)の提出 第2 令和4年9月16日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年9月16日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和4年9月16日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてした補正であり、この補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和4年4月4日にされた手続補正後をいう。)の請求項6が、後記の(2)に示す本件補正後の請求項1に補正された。下線は、補正箇所を示す。 (1) 本件補正前の請求項6 「【請求項6】 発光モジュールであって、 各発光サブモジュールが、複数の発光構成要素と、DC-DCコンバータに連結されて当該複数の発光構成要素を制御するためのコントロールユニットと、を含む、複数の発光サブモジュールと、 前記複数の発光サブモジュールの前記複数の発光構成要素の発光を個別に調整するために前記複数の発光サブモジュールの前記コントロールユニットと通信するための通信ハブと、 前記通信ハブとの通信のための、及び、1つまたは複数のコンピューティングデバイスとの通信のためのゲートウェイと、を含み、 前記ゲートウェイは、前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスから1つまたは複数のコマンドを受信し、受信した前記1つまたは複数のコマンドに応答して、1つまたは複数の命令を前記通信ハブに送信するように構成され、 前記通信ハブは、前記ゲートウェイから前記1つまたは複数の命令を受信し、受信した前記1つまたは複数の命令を各LEDサブモジュールの前記コントロールユニットに選択的に送信するように構成され、 各LEDサブモジュールの前記コントロールユニットは、前記1つまたは複数の命令を復号し、復号した前記1つまたは複数の命令に基づいて、前記1つまたは複数のLEDの発光を制御するために、前記DC-DCコンバータを制御する、発光モジュール。」 (2) 本件補正後の請求項1 「【請求項1】 発光モジュールであって、 各発光サブモジュールが、複数の発光構成要素と、DC-DCコンバータに連結されて当該複数の発光構成要素を制御するためのコントロールユニットと、を含む、複数の発光サブモジュールと、 前記複数の発光サブモジュールの前記複数の発光構成要素の発光を個別に調整するために前記複数の発光サブモジュールの前記コントロールユニットと通信するための通信ハブと、 前記通信ハブとの通信のための、及び、1つまたは複数のコンピューティングデバイスとの通信のためのゲートウェイと、を含み、 前記通信ハブは、当該発光モジュールに組み込まれており、 前記ゲートウェイは、前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスから1つまたは複数のコマンドを受信し、受信した前記1つまたは複数のコマンドに応答して、1つまたは複数の命令を前記通信ハブに送信するように構成され、 前記通信ハブは、前記ゲートウェイから前記1つまたは複数の命令を受信し、受信した前記1つまたは複数の命令を各LEDサブモジュールの前記コントロールユニットに選択的に送信するように構成され、 各LEDサブモジュールの前記コントロールユニットは、前記1つまたは複数の命令を復号し、復号した前記1つまたは複数の命令に基づいて、前記1つまたは複数のLEDの発光を制御するために、前記DC-DCコンバータを制御する、発光モジュール。」 2 補正の目的 本件補正による本件補正前の請求項6についての補正は、本件補正前の請求項6に記載していた「通信ハブ」と「発光モジュール」について、「前記通信ハブは、当該発光モジュールに組み込まれて[いる]」ものに限定するものである。 そして、本件補正前の請求項6に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 3 独立特許要件の判断 前記2のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。 (1) 本件補正発明 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 (2) 引用文献に記載された発明の認定等 ア 引用文献2に記載された事項と引用発明の認定 (ア) 引用文献2に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開2008-281718号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。下線は当合議体によるものであり、以下同様である。 a 【0001】 「【技術分野】 【0001】 本発明は、マルチディスプレイに画像を表示する画像表示システムに関する。」 b 【0022】~【0024】、【図1】、【図2】 「【0022】 図1は、本発明の実施の一形態である画像供給システム1の外観を模式的に示す。画像表示システムである画像供給システム1は、サーバ10、カメラ20、ハブ30、および複数のディスプレイ40を含む。画像供給システム1は、まず、ディスプレイ40の構成を検出する。その後、画像を表示する際、検出したディスプレイ40の構成に応じて画像を分割し、分割した画像をハブ30に接続される個別のディスプレイ40に出力して表示させる。 【0023】 サーバ10は、ディスプレイ40の構成の検出、およびディスプレイ40への画像の出力を制御する。カメラ20は、ディスプレイ40に表示される画像を撮影し、撮影した画像をサーバ10に送る。ハブ30は、ディスプレイ40を接続するための複数のポート(以下「出力ポート」ともいう)を有し、たとえばPLC(Power Line communications)型ハブあるいはネットワークハブによって構成される。ディスプレイ40は、たとえば液晶ディスプレイなどの表示部を含み、ハブ30を経由してサーバ10から送られてくる画像を表示する。 【0024】 図2は、図1に示した画像供給システム1のブロック図である。図1に示した画像供給システム1は、マルチディスプレイを9台のディスプレイ40によって構成した例であるが、図2に示した画像供給システム1は、マルチディスプレイを4台のディスプレイ40によって構成した例である。カメラ20は、サーバ10に接続されている。ハブ30として、ネットワークハブ30aを用いており、4台のディスプレイ40は、そのネットワークハブ30aを介して、サーバ10に接続されている。各ディスプレイ40に示されている文字は、各ディスプレイ40が接続されているネットワークハブ30aのポート番号である。上段左側のディスプレイ40のポート番号は、「A」であり、上段右側のディスプレイ40のポート番号は、「G」であり、下段左側のディスプレイ40のポート番号は、「B」であり、下段右側のディスプレイ40のポート番号は、「I」である。ネットワークハブ30aの代わりに、マルチ出力可能なビデオカードなどのビデオ出力部を用いて、ディスプレイ40を接続してもよい。」 「【図1】 [図:0001406287000001.jpg] 」 「【図2】 [図:0001406287000002.jpg] 」 c 【0025】~【0028】、【図3】 「【0025】 図3は、図1に示したサーバ10のブロック図である。サーバ10は、カメラI/F(Interface)11、画像処理認識部12、ポートマッピングテーブル13、コマンド生成部14、イメージデータ生成部15、データ分割部16、ポートアサイン部17、パケット化部18、およびネットワークI/F19を含む。 【0026】 カメラI/F11は、カメラ20を接続するインタフェース部であり、カメラ20から送られてくる撮影された画像を表す画像情報を、画像処理認識部12に送る。画像処理認識部12は、カメラI/F11から受け取った画像情報に基づいて、マルチディスプレイの領域およびその領域内での個別のディスプレイ40の位置を認識し、認識した結果をポートマッピングテーブル13に記憶する。 【0027】 ポートマッピングテーブル13は、各ディスプレイ40のディスプレイ位置と、各ディスプレイ40が接続されるハブ30のポート番号とを対応付けたテーブルである。コマンド生成部14は、ディスプレイ40に指示するコマンドたとえば画像情報を表示させるためのコマンドを生成し、生成したコマンドをパケット化部18に送る。イメージデータ生成部15は、マルチディスプレイ用の全体の画像イメージを生成する。イメージデータ生成部15は、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置を含み、生成した画像イメージを記憶装置に記憶する。データ分割部16は、イメージデータ生成部15によって生成された全体の画像イメージを、ディスプレイ40の構成にあわせて分割する。 【0028】 ポートアサイン部17は、データ分割部16によって分割された画像イメージを、その分割された画像イメージを表示すべきディスプレイ40に対応するポートごとに対応付けてアサインする。パケット化部18は、コマンド生成部14から受け取ったコマンドまたはポートアサイン部17から受け取った画像イメージのデータをパケット化し、パケット化されたパケットデータをネットワークI/F19に送る。ネットワークI/F19は、ネットワークに接続するためのインタフェース部であり、パケット化部18から受け取ったパケットデータを送出する。」 「【図3】 [図:0001406287000003.jpg] 」 d 【0029】~【0030】、【図4】、【図5】 「【0029】 図4は、図1に示したハブ30の一種であるPLC型ハブ30bの外観の一例を模式的に示す。図4に示したPLC型ハブ30bは、ポートSおよびポートA~ポートIの10個のポートを有する。ポートSは、サーバ10を接続するためのポートである。ポートA~ポートIは、個別のディスプレイ40を接続するためのポートであり、縦横に配置されている。 【0030】 図5は、図4に示したPLC型ハブ30bのブロック図である。PLC型ハブ30bは、パケット解析部31、データ振り分け部32、Delay(遅延時間)調整部33、電源・データ混合部34、および電源35を含む。パケット解析部31は、ポートSを介してサーバ10から送られてくるパケットデータを受け取り、パケットデータを出力するポート番号を解析する。データ振り分け部32は、パケット解析部31による解析結果つまりパケットデータを出力するポート番号に基づいて、パケットデータをポートごとに振り分ける。Delay調整部33は、ポートごとに設けられ、データ振り分け部32によって振り分けられたパケットデータに対して、ポートごとに予め測定されている遅延時間分の時間調整を行なって、電源・データ混合部34に送る。電源・データ混合部34は、電源35から供給される電力の信号に、各Delay調整部33から送られてくるパケットデータを混合し、ポートA~ポートIうちの対応するポートに送る。各ポートは、受け取ったパケットデータを、それぞれ接続されるディスプレイ40に出力する。」 「【図4】 [図:0001406287000004.jpg] 」 「【図5】 [図:0001406287000005.jpg] 」 e 【0033】~【0036】、【図8】 「【0033】 図8は、図1に示したディスプレイ40のブロック図である。ディスプレイ40は、PLC型ハブ30bと接続するためのディスプレイであり、PLCI/F41、電源・データ分離部42、電源部43、パケット処理部44、データ処理部45、コマンド処理部46、表示データ生成部47、フォントデータ48、表示制御部49、および表示部50を含む。PLCI/F41は、PLC型ハブ30bと接続するためのインタフェース部であり、PLC型ハブ30bから受け取った電力信号およびデータを、電源・データ分離部42に送る。電源・データ分離部42は、PLCI/F41から受け取った電力信号およびパケットデータを分離し、電力信号を電源部43に送り、パケットデータをパケット処理部44に送る。電源部43は、ディスプレイ40の各部位に電力を供給する。 【0034】 パケット処理部44は、電源・データ分離部42から受け取ったパケットデータをコマンドまたはデータに分け、パケットデータがデータであれば、そのデータをデータ処理部45に送り、パケットデータがコマンドであれば、そのコマンドをコマンド処理部46に送る。データ処理部45は、受け取ったデータを解析した後、受け取ったデータに対して解析結果に基づく処理を行い、処理後のデータを表示データ生成部47に送る。たとえば受け取ったデータが圧縮された画像ファーマットのデータである場合、圧縮されている画像データの伸張を行い、伸張された画像データを表示データ生成部47に送る。コマンド処理部46は、受け取ったコマンドを解析し、コマンド解析結果を表示データ生成部47および表示制御部49に送る。 【0035】 表示データ生成部47は、データ処理部45から受け取った処理後のデータに対して、コマンド処理部46から受け取ったコマンド解析結果に応じた画像の表示イメージデータを生成し、生成した表示イメージデータを表示制御部49に送る。たとえば画像供給システム1のようなマルチディスプレイにおいては、各ディスプレイ40間の色合いが異なる場合があり、コマンド処理部46のコマンド解析結果が色調整のコマンドであることを示している場合、データ処理部45にて伸張された画像データに対して色調整を行った画像の表示イメージデータを生成し、生成した表示イメージデータを表示制御部49に送る。あるいは、コマンド処理部46のコマンド解析結果がOSD(On-Screen Display)に関するコマンドであることを示している場合、データ処理部45にて伸張された画像データに対して、フォントデータ48に記憶されているフォントを合成した表示イメージデータを生成し、生成した表示イメージデータを表示制御部49に送る。 【0036】 フォントデータ48は、たとえば数字あるいは文字のフォントデータを記憶しており、データ解析結果にフォント指定がある場合は、表示データ生成部47は、フォントデータ48に記憶されるフォントデータに基づいて、表示イメージデータを生成する。表示制御部49は、表示データ生成部47から受け取った表示イメージデータを、コマンド処理部46から受け取ったコマンド解析結果に従って、表示部50に表示させる。表示部50は、たとえば液晶ディスプレイなどによって構成される。」 「【図8】 [図:0001406287000006.jpg] 」 (イ) 引用発明の認定 前記(ア)の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 <引用発明> 「サーバ10、ハブ30、および複数のディスプレイ40を含み、画像を表示する際、検出したディスプレイ40の構成に応じて画像を分割し、分割した画像をハブ30に接続される個別のディスプレイ40に出力して表示させる、画像表示システムである画像供給システム1であって、(【0022】) サーバ10は、ディスプレイ40の構成の検出、およびディスプレイ40への画像の出力を制御し、ハブ30は、ディスプレイ40を接続するための複数のポート(以下「出力ポート」ともいう)を有し、PLC(Power Line communications)型ハブによって構成され、ディスプレイ40は、たとえば液晶ディスプレイなどの表示部を含み、ハブ30を経由してサーバ10から送られてくる画像を表示し、(【0023】) サーバ10は、コマンド生成部14、パケット化部18、およびネットワークI/F19を含み、(【0025】) コマンド生成部14は、ディスプレイ40に指示するコマンドたとえば画像情報を表示させるためのコマンドを生成し、生成したコマンドをパケット化部18に送り、(【0027】) パケット化部18は、コマンド生成部14から受け取ったコマンドをパケット化し、パケット化されたパケットデータをネットワークI/F19に送り、ネットワークI/F19は、ネットワークに接続するためのインタフェース部であり、パケット化部18から受け取ったパケットデータを送出し、(【0028】) PLC型ハブ30bは、ポートSおよびポートA~ポートIの10個のポートを有し、(【0029】) PLC型ハブ30bは、パケット解析部31、データ振り分け部32を含み、パケット解析部31は、ポートSを介してサーバ10から送られてくるパケットデータを受け取り、パケットデータを出力するポート番号を解析し、データ振り分け部32は、パケット解析部31による解析結果つまりパケットデータを出力するポート番号に基づいて、パケットデータをポートごとに振り分け、各ポートは、受け取ったパケットデータを、それぞれ接続されるディスプレイ40に出力し、(【0030】) ディスプレイ40は、PLC型ハブ30bと接続するためのディスプレイであり、パケット処理部44、データ処理部45、コマンド処理部46、表示データ生成部47、表示制御部49、および表示部50を含み、(【0033】) パケット処理部44は、受け取ったパケットデータをコマンドまたはデータに分け、パケットデータがデータであれば、そのデータをデータ処理部45に送り、パケットデータがコマンドであれば、そのコマンドをコマンド処理部46に送り、データ処理部45は、受け取ったデータを解析した後、受け取ったデータに対して解析結果に基づく処理を行い、処理後のデータを表示データ生成部47に送り、コマンド処理部46は、受け取ったコマンドを解析し、コマンド解析結果を表示データ生成部47および表示制御部49に送り、(【0034】) 表示データ生成部47は、データ処理部45から受け取った処理後のデータに対して、コマンド処理部46から受け取ったコマンド解析結果に応じた画像の表示イメージデータを生成し、生成した表示イメージデータを表示制御部49に送り、(【0035】) 表示制御部49は、表示データ生成部47から受け取った表示イメージデータを、コマンド処理部46から受け取ったコマンド解析結果に従って、表示部50に表示させ、表示部50は、たとえば液晶ディスプレイなどによって構成される、(【0036】) 画像表示システムである画像供給システム1。」 イ 引用文献5に記載された事項の認定 (ア) 引用文献5に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開2003-92195号公報(以下「引用文献5」という。)には、以下の事項が記載されている。 「【0016】図3は本発明の実施形態例に係るLED表示装置の具体例を示す構成説明図である。すなわち、LED表示装置は複数個のLEDモジュール221,222,……が同一平面上に配設されて構成される。前記各LEDモジュール221,222,……にはそれぞれ対応してDC-DCコンバータ231,232,……、画素としてLEDが複数個縦にa個、横にb個マトリクス状に配置されたLEDパネル311,312……、前記LEDパネル311,312……のLEDを駆動するLED駆動回路321,322……、および前記LED駆動回路321,322……を制御するLEDモジュール制御回路331,332……が内蔵される。前記LEDパネル311,312……にはそれぞれ対応したDC-DCコンバータ231,232,……から各LEDを駆動するために必要な直流電圧が供給される。前記LED駆動回路321,322……は前記LEDモジュール制御回路331,332……でON-OFF制御される定電流回路で前記LEDモジュール制御回路331,332……にはそれぞれ対応したDC-DCコンバータ231,232,……から電源電圧が供給される。前記各DC-DCコンバータ231,232,……の入力端子は共通にしてAC-DC変換装置25の出力端子に接続され、AC-DC変換装置25の入力端子は商用電源の交流100Vまたは交流200Vに接続される。前記LEDモジュール制御回路331,332……は共通にして画像制御部34に接続され、画像制御部34は画像制御回路35及び電源回路36より構成され、電源回路36は商用電源の交流100Vまたは交流200Vに接続される。前記画像制御回路35は画像信号が入力され、表示データ及び制御信号をLEDモジュール制御回路331,332……に供給する。 【0017】以上のように本発明では、各LEDモジュール221,222,……にはそれぞれ対応してDC-DCコンバータ231,232,……が内蔵され、各DC-DCコンバータ231,232,……は、AC-DC変換装置25から入力された直流200V~400Vを各LEDを駆動する電圧及びLEDモジュール制御回路の駆動電圧に変換し各対応する端子241~24nに出力するため、AC-DC変換装置25から各LEDモジュール221,222,……に直流高圧給電となり、電流を軽減することができる。また、AC-DC変換装置25から各LEDモジュール221,222,……に単電圧給電となるため、配線を簡素化することができる。さらに、高電圧給電により電流が軽減するため太く導電性のよい配線が必要なくなり、且つ配線の簡素化によりシステム構成を容易にすることができる。」 「【図3】 [図:0001406287000007.jpg] 」 (イ) 引用文献5に記載された事項の認定 a 引用文献5の【図3】には、各LED駆動回路321,322……から、各DC-DCコンバータ231,232,……に向けて矢印が示されており、このことから、各DC-DCコンバータ231,232,……は、各LED駆動回路321,322……によって駆動されること、すなわち、各LED駆動回路321,322……を制御する各LEDモジュール制御回路331,332……によって制御されることが読み取れる。 b 前記(ア)の記載事項及び前記aの認定事項を総合すると、引用文献5には、次の事項が記載されているものと認められる。 <引用文献5記載事項> 「複数個のLEDモジュール221,222,……が同一平面上に配設されて構成されるLED表示装置であって、(【0016】) 各LEDモジュール221,222,……にはそれぞれ対応して DC-DCコンバータ231,232,……、 画素としてLEDが複数個縦にa個、横にb個マトリクス状に配置されたLEDパネル311,312……、 前記LEDパネル311,312……のLEDを駆動するLED駆動回路321,322……、 および前記LED駆動回路321,322……を制御するLEDモジュール制御回路331,332……が内蔵され、(【0016】) 前記LEDパネル311,312……にはそれぞれ対応したDC-DCコンバータ231,232,……から各LEDを駆動するために必要な直流電圧が供給され、(【0016】) 各DC-DCコンバータ231,232,……は、LED駆動回路321,322……を制御するLEDモジュール制御回路331,332……によって制御され、(前記aの認定事項) 各DC-DCコンバータ231,232,……は、AC-DC変換装置25から入力された直流200V~400Vを、各LEDを駆動する電圧に変換し出力するため、前記AC-DC変換装置25から各LEDモジュール221,222,……に直流高圧給電となり、電流を軽減することができ、AC-DC変換装置25から各LEDモジュール221,222,……に単電圧給電となるため、配線を簡素化することができ、高電圧給電により電流が軽減するため太く導電性のよい配線が必要なくなり、且つ配線の簡素化によりシステム構成を容易にすることができる、(【0017】) LED表示装置。」 ウ 引用文献6に記載された事項の認定 (ア) 引用文献6に記載された事項 当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2012-14103号公報(以下「引用文献6」という。)には、以下の事項が記載されている。 「【0007】 しかしながら、特許文献1で提示されたような、表示ユニット相互間の信号伝送を赤外線通信により1対1で行う方式では、表示ユニット毎に無線送受信モジュールやコントローラが必要となるため、コスト高となるという問題があった。また、表示モジュール相互間における通信は無線通信ではないためケーブルが必要であった。さらに、表示モジュール相互間の電力伝送においても、無線伝送ではないため、ケーブルが必要であった。このため、スクリーンの組立、解体に時間を要し、設置性及びメンテナンス性を低下させていた。 【0008】 本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、信号伝送及び電力伝送のためのケーブルを削減し、設置性及びメンテナンス性の良い大型映像表示装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明に係る大型映像表示装置は、同一平面上に配置された複数の表示ユニットと、各表示ユニットに映像信号を送信する制御基板を有する表示モジュールを備えた大型映像表示装置であって、表示モジュールは、無線で信号の送受信を行う第1の無線通信モジュールを搭載した無線伝送基板を有し、この無線伝送基板は、上位コントローラから送信された映像信号を第1の無線通信モジュールにより制御基板に送信し、制御基板は、無線で信号の送受信を行う第2の無線通信モジュールを搭載し、この第2の無線通信モジュールにより、無線伝送基板から送信された映像信号を受信するとともに受信した映像信号を各表示ユニットに送信し、各表示ユニットは、制御基板から送信された映像信号を受信する無線受信部を有するものである。 【発明の効果】 【0010】 本発明によれば、同一表示モジュール内の無線伝送基板と制御基板間、制御基板と各表示ユニット間、及び隣接する表示モジュール相互間の映像信号の送受信を無線で行うことができるため、従来に比べてケーブル数の削減が図られ、組立及び解体作業が容易となる。また、ケーブル数の削減により、低コスト化、軽量化が図られる。さらに、1枚の制御基板から複数の表示ユニットに映像信号を送信することができ、表示ユニットには無線受信部のみ搭載すればよいため、従来に比べて表示ユニットの構造が簡単で低コストとなる。以上のことから、設定性、メンテナンス性の良い大型映像表示装置を低コストで実現することが可能である。」 「【0012】 実施の形態1. 以下に、本発明の実施の形態1について、図面に基づいて説明する。図1において、(a)は本発明の実施の形態1に係る大型映像表示装置を構成する表示モジュール、(b)は表示ユニット、(c)はモジュール間無線伝送基板、(d)は制御基板、をそれぞれ示している。なお、図中、同一、相当部分には同一符号を付している。 【0013】 表示モジュール1は、同一平面上に配置された複数の表示ユニット2と、無線で信号の送受信を行う第1の無線通信モジュール(以下、無線通信モジュール7)を搭載したモジュール間無線伝送基板3(以下、無線伝送基板3と略す)、及び無線で信号の送受信を行う第2の無線通信モジュール(以下、無線通信モジュール7)を搭載し各表示ユニット2に映像信号を送信する制御基板4を有し、これらをモジュール化したものである。 【0014】 なお、本実施の形態1では、図1(a)に示すように、表示ユニット2をマトリックス状に配置し、その中央部に制御基板4を設置し、無線伝送基板3を表示モジュール1の上下左右の端部に1枚ずつ計4枚設置しているが、表示ユニット2の配置、表示モジュール1における無線伝送基板3及び制御基板4の設置位置はこれに限定されるものではなく、様々な変形例が可能である(実施の形態2参照)。 【0015】 また、図1(a)に示す表示モジュール1を、同一平面上に複数組み合わせることにより全体として1つの映像表示部を構成し、多様なサイズの大型映像表示装置(スクリーン)を構築することができる。 【0016】 本実施の形態1に係る表示ユニット2は、図1(b)に示すように、制御基板4から送信された映像信号を受信する無線受信部5を有している。なお、表示ユニット2は、LEDまたは有機ELにより構成されたもの、あるいはDLPディスプレイ等、表示機器全般を含む。無線伝送基板3は、図1(c)に示すように無線受信部5と無線送信部6を有する無線通信モジュール7を搭載し、上位のコントローラ8から送信された映像信号を無線通信モジュール7により制御基板4に送信する。 【0017】 また、制御基板4は、図1(d)に示すように、無線伝送基板3と同様、無線受信部5と無線送信部6を有する無線通信モジュール7を搭載し、この無線通信モジュール7により、無線伝送基板3から送信された映像信号を受信するとともに、受信した映像信号を各表示ユニット2に送信する。 【0018】 コントローラ8は、様々なフォーマットの映像信号を任意の画素数に処理し、表示モジュール1の無線伝送基板3に送信する。アドレス設定装置9は、スクリーンサイズに対応したアドレスを各表示ユニット2に割り振り、このアドレス情報を表示モジュール1の無線伝送基板3に送信する。コントローラ8及びアドレス設定装置9は、表示モジュール1に設置された1枚の無線伝送基板3とケーブル10を介して接続される。」 「【図1】 [図:0001406287000008.jpg] 」 (イ) 引用文献6に記載された事項の認定 前記(ア)を総合すると、引用文献6には、次の事項が記載されているものと認められる。 <引用文献6記載事項> 「同一平面上に配置された複数の表示ユニット2と、送信された映像信号を受信するとともに、受信した映像信号を各表示ユニット2に送信する制御基板4を有し、これらをモジュール化した表示モジュール1において、(【0013】、【0017】) 表示ユニット2をマトリックス状に配置し、その中央部に制御基板4を設置し、(【0014】) 同一表示モジュール内の、制御基板と各表示ユニット間の映像信号の送受信を無線で行うことにより、ケーブル数の削減が図られ、組立及び解体作業を容易にすること(【0010】)。」 (3) 対比 ア 対比分析 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア)a 引用発明の「画像表示システムである画像供給システム1」は、複数のディスプレイ40を含んでいるところ、当該ディスプレイ40は発光により画像を表示するものであるから、引用発明の「画像表示システムである画像供給システム1」は、本件補正発明の「発光モジュール」に相当する。 b よって、本件補正発明と引用発明は、「発光モジュール」の発明である点で一致する。 (イ)a 引用発明の「複数の」「ディスプレイ40」は、本件補正発明の「複数の」「発光サブモジュール」に相当する。 b 引用発明の「ディスプレイ40」の「表示部50」は、複数の画素からなることは明らかであり、前記画素は発光構成要素といえるから、本件補正発明の「複数の発光構成要素」に相当する。 c 引用発明の「ディスプレイ40」の「パケット処理部44、データ処理部45、コマンド処理部46、表示データ生成部47、表示制御部49」は、「表示部50」の表示を制御するものであるから、本件補正発明の「コントロールユニット」と、「複数の発光構成要素を制御するためのコントロールユニット」である点で共通する。 d よって、本件補正発明と引用発明は、「各発光サブモジュールが、複数の発光構成要素と、当該複数の発光構成要素を制御するためのコントロールユニットと、を含む、複数の発光サブモジュール」を備える点で共通する。 (ウ)a 引用発明の「ハブ30」は、本件補正発明の「通信ハブ」に相当する。 b また、引用発明の「ハブ30」が、サーバ10から送られてくる、ディスプレイ40に画像情報を表示させるためのコマンドをパケット化したパケットデータを受け取り、パケットデータを出力するポート番号を解析し、パケットデータをポートごとに振り分け、それぞれ接続されるディスプレイ40に出力することは、本件補正発明の「前記複数の発光構成要素の発光を個別に調整するために前記複数の発光サブモジュールの前記コントロールユニットと通信する」ことに相当する。 c よって、本件補正発明と引用発明は、「前記複数の発光サブモジュールの前記複数の発光構成要素の発光を個別に調整するために前記複数の発光サブモジュールの前記コントロールユニットと通信するための通信ハブ」を備える点で一致する。 (エ)a 引用発明の「サーバ10」が、クライアント端末と通信して、前記クライアント端末からの制御を受け付ける機能を有していることは明らかである。また、引用発明の「サーバ10」は、ディスプレイ40に画像情報を表示させるためのコマンドを生成し、生成したコマンドをパケット化してハブ30に送信するものである。 b 前記aを踏まえると、引用発明の「サーバ10」は、本件補正発明の「コンピューティングデバイス」に相当するクライアント端末との通信と、ハブ30及びディスプレイ40との通信を行っており、これらの異なる二つのネットワーク間を中継するものといえるから、本件補正発明の「ゲートウェイ」に相当する。 c よって、本件補正発明と引用発明は、「前記通信ハブとの通信のための、及び、1つまたは複数のコンピューティングデバイスとの通信のためのゲートウェイ」を備える点で一致する。 (オ) 前記(エ)を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「前記ゲートウェイは、前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスから1つまたは複数のコマンドを受信し、受信した前記1つまたは複数のコマンドに応答して、1つまたは複数の命令を前記通信ハブに送信するように構成され[ている]」点で一致する。 (カ) 前記(イ)a及び(ウ)を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「前記通信ハブは、前記ゲートウェイから前記1つまたは複数の命令を受信し、受信した前記1つまたは複数の命令を各発光サブモジュールの前記コントロールユニットに選択的に送信するように構成され[ている]」点で共通する。 (キ)a 引用発明の「ディスプレイ40」においては、「コマンド処理部46は、受け取ったコマンドを解析し、コマンド解析結果を表示制御部49に送り」、「表示制御部49は、コマンド処理部46から受け取ったコマンド解析結果に従って、表示部50に表示させ[る]」ものである。 b(a) ここで、本件補正発明の「各発光サブモジュールの前記コントロールユニットは、前記1つまたは複数の命令を復号し」という意味について検討する。 (b) 「復号」という語句について、本願明細書の【0041】には、「デジタルコントロールユニット126は、多重出力DC/AC変換器128に制御信号を供給する。また、デジタルコントロールユニット126は、無線通信ユニット124から高レベル信号を受信し、次に、その中の情報を復号し、最後に、多重出力DC/AC変換器128の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)スイッチなどのデジタルスイッチのための適切なゲート信号を生成する。」と記載されている。なお、「多重出力DC/AC変換器128」は、【図5B】も参酌すると、「多重出力DC/DC変換器128」の誤記である。 (c) これに対して、本願の国際出願日における明細書(国際公開第2018/170601号の11ページ12~16行)には、「The digital control unit 126 provides control signals for the multi-output DC/DC converter 128. It also receives the high-level signals from the wireless communication unit 124, then decodes the information therein and finally, produces appropriate gate signals for the digital switches such as metal-oxide semiconductor field-effect transistor (MOSFET) switches of the multi-output DC/DC converter 128.」と記載されている。 よって、本願明細書に記載の「復号」とは、「decode」の訳であると認められる。 (d) そうすると、制御回路において、「decode」とは、「読み込んだ命令を解釈し、その内容に従って他の回路に必要な信号を送ることであること」の意味であるから、本件補正発明の「各発光サブモジュールの前記コントロールユニットは、前記1つまたは複数の命令を復号し」という意味は、「各発光サブモジュールの前記コントロールユニットは、前記1つまたは複数の命令を解釈し」という意味と解するのが相当である。 c 前記b(d)を踏まえると、引用発明において、コマンド処理部46が、受け取ったコマンドを解析することは、本件補正発明の「前記コントロールユニットは、前記1つまたは複数の命令を復号[する]」ことに相当する。 d 前記a~c及び(イ)を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「各発光サブモジュールの前記コントロールユニットは、前記1つまたは複数の命令を復号し、復号した前記1つまたは複数の命令に基づいて、前記1つまたは複数の発光構成要素の発光を制御する」点において共通する。 イ 一致点及び相違点 前記アの対比分析の検討結果を総合すると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。 (ア) 一致点 発光モジュールであって、 各発光サブモジュールが、複数の発光構成要素と、当該複数の発光構成要素を制御するためのコントロールユニットと、を含む、複数の発光サブモジュールと、 前記複数の発光サブモジュールの前記複数の発光構成要素の発光を個別に調整するために前記複数の発光サブモジュールの前記コントロールユニットと通信するための通信ハブと、 前記通信ハブとの通信のための、及び、1つまたは複数のコンピューティングデバイスとの通信のためのゲートウェイと、を含み、 前記ゲートウェイは、前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスから1つまたは複数のコマンドを受信し、受信した前記1つまたは複数のコマンドに応答して、1つまたは複数の命令を前記通信ハブに送信するように構成され、 前記通信ハブは、前記ゲートウェイから前記1つまたは複数の命令を受信し、受信した前記1つまたは複数の命令を各発光サブモジュールの前記コントロールユニットに選択的に送信するように構成され、 各発光サブモジュールの前記コントロールユニットは、前記1つまたは複数の命令を復号し、復号した前記1つまたは複数の命令に基づいて、前記1つまたは複数の発光構成要素の発光を制御する、 発光モジュール、である点。 (イ) 相違点 a 相違点1 「発光サブモジュール」が、 本件補正発明においては、「LEDサブモジュール」であって、「複数の発光構成要素を制御するためのコントロールユニット」が、DC-DCコンバータに連結され、1つまたは複数の発光構成要素の発光を制御するために、前記DC-DCコンバータを制御するのに対して、 引用発明においては、ディスプレイ40は「液晶ディスプレイなど」であって、LEDサブモジュールが含まれるのか必ずしも明らかでなく、「パケット処理部44、データ処理部45、コマンド処理部46、表示データ生成部47、表示制御部49」が、DC-DCコンバータに連結されているのか不明である点。 b 相違点2 「通信ハブ」が、 本件補正発明においては、「当該発光モジュールに組み込まれて[いる]」のに対して、 引用発明においては、ハブ30は、PLC(Power Line communications)型ハブであって、画像表示システムである画像供給システム1に組み込まれてはいない点。 (4) 当審の判断 ア 相違点1について 前記相違点1について検討する。 (ア) 引用文献5には、次の技術事項(前記第2の3(2)イ(イ)の「引用文献5記載事項」参照)が記載されている。 「複数個のLEDモジュール221,222,……が同一平面上に配設されて構成されるLED表示装置であって、 各LEDモジュール221,222,……にはそれぞれ対応して DC-DCコンバータ231,232,……、 画素としてLEDが複数個縦にa個、横にb個マトリクス状に配置されたLEDパネル311,312……、 前記LEDパネル311,312……のLEDを駆動するLED駆動回路321,322……、 および前記LED駆動回路321,322……を制御するLEDモジュール制御回路331,332……が内蔵され、 前記LEDパネル311,312……にはそれぞれ対応したDC-DCコンバータ231,232,……から各LEDを駆動するために必要な直流電圧が供給され、 各DC-DCコンバータ231,232,……は、LED駆動回路321,322……を制御するLEDモジュール制御回路331,332……によって制御され、 各DC-DCコンバータ231,232,……は、AC-DC変換装置25から入力された直流200V~400Vを、各LEDを駆動する電圧に変換し出力するため、前記AC-DC変換装置25から各LEDモジュール221,222,……に直流高圧給電となり、電流を軽減することができ、AC-DC変換装置25から各LEDモジュール221,222,……に単電圧給電となるため、配線を簡素化することができ、高電圧給電により電流が軽減するため太く導電性のよい配線が必要なくなり、且つ配線の簡素化によりシステム構成を容易にすることができる、 LED表示装置。」 (イ) 引用発明のような複数のディスプレイパネルを隣接配置し全体として一つの表示装置を構成するマルチディスプレイにおいて、発光ダイオードを用いたマルチディスプレイは、引用文献5記載事項の例を挙げるまでもなく周知のものであり、マルチディスプレイにおけるディスプレイとして発光ダイオードを用いることは、当業者にとっては極めて自明の設計上の選択肢にすぎない。 そして、引用文献5記載事項は、発光ダイオードを用いたマルチディスプレイであって、電流軽減や配線簡素化を行うことを可能とするものであるところ、このような技術課題が引用発明においても存在することは自明であるから、当該課題を解決するために、引用発明の「複数のディスプレイ40」として、引用文献5記載事項の「LEDモジュール制御回路331,332……によって制御されるDC-DCコンバータ231,232,……を内蔵する複数個のLEDモジュール221,222,……」を用いるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。そして、この場合、引用発明の「パケット処理部44、データ処理部45、コマンド処理部46、表示データ生成部47、表示制御部49」がDC-DCコンバータに連結されるようになることは、明らかである。 (ウ) したがって、引用発明において、前記相違点1に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 イ 相違点2について 前記相違点2について検討する。 (ア) 引用文献6には、次の技術事項(前記第2の3(2)ウ(イ)の「引用文献6記載事項」参照)が記載されている。 「同一平面上に配置された複数の表示ユニット2と、送信された映像信号を受信するとともに、受信した映像信号を各表示ユニット2に送信する制御基板4を有し、これらをモジュール化した表示モジュール1において、表示ユニット2をマトリックス状に配置し、その中央部に制御基板4を設置し、同一表示モジュール内の、制御基板と各表示ユニット間の映像信号の送受信を無線で行うことにより、ケーブル数の削減が図られ、組立及び解体作業を容易にすること。」 (イ) 引用発明と引用文献6記載事項は、いずれも複数のディスプレイで画像を表示するものにおいて、入力された画像データや命令を、ディスプレイの各サブモジュール(引用発明の「ディスプレイ40」と引用文献6記載事項の「表示ユニット2」)に分配する機能を有するものであり、引用発明においても、ケーブル数を削減して組立及び解体作業を容易にすることが好ましいことは明らかであるから、引用発明において引用文献6記載事項に倣って、ハブ30を個々のディスプレイ40の集合体の中央部に設置して、ハブ30を画像供給システム1に組み込むようにし、ハブ30と各ディスプレイ40を無線で通信するようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (ウ) したがって、引用発明において、前記相違点2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 ウ 総合検討 前記ア及びイにおいて検討したとおり、引用発明において前記相違点1及び相違点2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、前記相違点1及び相違点2を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果としては、当業者が予測困難、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明並びに引用文献5記載事項及び引用文献6記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ 請求人の主張について (ア) 請求人の主張 請求人は、令和4年10月21日に提出された手続補正書(方式)により、追って補充された審判請求の理由において、概略次の主張をしている。 本願発明では、「前記通信ハブは、当該発光モジュールに組み込まれて」いる。これによって、通信ハブと、発光サブモジュールのコントロールユニットとの通信が単純化され、通信ハブとコントロールユニットとの間の配線(発光モジュールの製造時に設けられ得る。)が簡素化されて、配線ケーブルのコストを下げる設備の負荷を軽減できるなどの有利な作用効果を奏する。 しかし、引用文献2には、通信ハブを発光モジュールに組み込むことが開示されていない。むしろ、引用文献2においては、例えば図1に示されるように、ハブ30がディスプレイ40から分離している。引用文献2には、「ハブ30は、ディスプレイ40を接続するための複数のポート(以下「出力ポート」ともいう)を有し、たとえばPLC(Power Line communications)型ハブあるいはネットワークハブによって構成される。」(段落0023)と記載されており、その図1に明確に示されるように、数多くの配線/ケーブルによって、ハブ30とディスプレイ40とが接続されている。 したがって、引用文献2においては、通信ハブを発光モジュールに組み込むことは開示されていない。 (イ) 請求人の主張について 前記イにおいて説示したとおり、引用文献6には、本件補正発明の「通信ハブ」に相当する「制御基板4」を、マトリックス状に配置した表示ユニット2の中央部に設置し、制御基板4と表示ユニット2を無線で通信することが記載されているところ、引用発明に引用文献6記載事項を適用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 その場合、引用発明においてもケーブル数が削減されることになるから、配線が簡素化され前記配線にかかるコストが低減する効果を奏することは明らかである。 したがって、請求人の主張は、前記ウの結論を左右するものではない。 (5) 独立特許要件についてのまとめ 以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明並びに引用文献5記載事項及び引用文献6記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 本件補正の適否についてのまとめ 前記3において検討したとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものであり、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明の認定 本件補正は、前記第2に示したとおり却下したので、本願の請求項6に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年4月4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項6に記載された事項(前記第2の1(1)参照)により特定されるとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由2(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由2(進歩性の欠如) 本願発明は、本願の優先日前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献2.特開2008-281718号公報 引用文献4.特開2011-112882号公報 引用文献5.特開2003-92195号公報 3 引用文献2及び5に記載された事項及び引用発明の認定 引用文献2及び5に記載された事項及び引用発明の認定は、前記第2の3(2)ア及びイにおいて示したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、本件補正発明から、「通信ハブ」について、「発光モジュールに組み込まれて[いる]」という限定を省いたものである。 したがって、前記第2の3(3)アの検討事項及び前記第2の3(3)イ(ア)に示した一致点を踏まえると、本願発明と引用発明は、前記第2の3(3)イ(イ)aに示した前記相違点1において相違し、その他の点において一致するところ、引用発明において前記相違点1に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、前記第2の3(4)アにおいて説示した理由と同様の理由により、当業者が容易に想到し得たことである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献5記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-014650

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