特許拒絶査定不服審判
2022-014492
切換可能なバックライト及び前面フィルムを含むディスプレイ
- 審判番号
- 2022-014492
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-199246外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年09月14日
- 審決日
- 2023年07月19日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
- 【請求人代理人】藤井 憲
- 【請求人代理人】野村 和歌子
- 【請求人代理人】佃 誠玄
- 【請求人代理人】浅村 敬一
- 分類
- P18 .121-Z (G09F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第44条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-199246「切換可能なバックライト及び前面フィルムを含むディスプレイ」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 4月 8日出願公開、特開2021- 56518〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年12月1日にされた特許法44条1項の規定による特許出願であって、平成28年6月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年6月16日、2015年7月2日、いずれも米国)に出願された特願2017-565152号の分割出願であるところ、本願の出願後の手続の経緯の概略は、次のとおりである。なお、以下2015年6月16日を「優先日」という。
令和2年12月 1日 :翻訳文、上申書、手続補正書の提出
令和3年 9月 7日付け:拒絶理由通知書
同年12月 7日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 3月28日付け:拒絶理由通知書(最後)
同年 6月14日 :意見書、手続補正書の提出
同年 8月24日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月30日 :原査定の謄本の送達)
同年 9月14日 :審判請求書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年6月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。
「【請求項1】
前面を通して見ることができるディスプレイであって、
少なくとも第1の出力モード及び第2の出力モードを有し、前記第1の出力モードが、40度を超える半値全幅を含む第1の輝度分布を有し、前記第2の出力モードが、40度以下の半値全幅を含む第2の輝度分布を有する、切換可能なバックライトと、
前記ディスプレイの前記前面として配設される前面フィルムとを備え、
前記切換可能なバックライトが前記第2の出力モードにあるとき、周囲光において、40度より斜めの角度で前記ディスプレイを見ている観察者にとって、前記切換可能なバックライトが前記第1の出力モードにあるときよりもディスプレイの可視性を低減させるほど十分に高いヘイズ値を前記前面フィルムが有する、ディスプレイ。」
第3 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
(進歩性の欠如)本願発明は、本願の優先日前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特開2005-174706号公報(主たる引用例)
引用文献2.国際公開第2007/138732号
第4 引用文献に記載された発明の認定等
1 引用文献1に記載された事項と引用発明の認定
(1) 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に発行された前記引用文献1(特開2005-174706号公報)には、以下の事項が記載されている。下線は、当合議体によるものであり、以下同様である。
ア 【0001】
「【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置およびそれを備えた表示装置に関し、特に液晶表示装置の照明装置として好適に用いられる照明装置および液晶表示装置に関する。」
イ 【0007】
「【0007】
なお、ここで言う「指向性」とは、照明装置から出射される光がどの程度特定の方角に対して方向性を有しているかを示すものである。例えば、後に具体例を示すように、出射光の強度分布(配光分布)における半値幅角で評価され、半値幅角が狭いものほど指向性が高い。」
ウ 【0019】~【0023】
「【0019】
上述の消費電力の問題と視野角特性の問題を解決するために、特許文献2には、必要に応じて、視野角が狭く消費電力の少ないモードに切り替え可能な液晶表示装置が開示されている。特許文献2に開示されている液晶表示装置90は、図10に模式的に示すように、照明装置92と、液晶セル96と、液晶セル96を介して互いに対向するように配置された一対の偏光板95および97と、観察者側に配置された光学補償シート98とを有している。光学補償シート98を着脱可能とすることによってモードが切り替えられる。すなわち、光学補償シート98を取り外した状態では、高い指向性が得られるため、少ない消費電力である限定された視野角範囲のみ明るさを確保しつつ、広い視野角が必要な時は、光学補償シート98を取り付けることによって、指向性を低下させている。
【特許文献1】特開2003-35824号公報
【特許文献2】特開平7-104271号公報
【非特許文献1】K. KALANTAR, IDW'02, pp. 549-552「Viewing Angle Control using Optical Microstructures on Light-Guide Plate for Illumination System of Mobile Transmissive LCD Module」.
【非特許文献2】M. Shinohara, et al.,Optical Society of American Annual Meeting Conference Program, Vol.10, p.189(1998).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、上記特許文献2に記載されている液晶表示装置90は、視野角(指向性)の制御は可能であるものの、以下の問題を有している。
【0021】
液晶セル96は一対の基板とこれら基板の間に設けられた液晶層とを有しており、液晶層の光学状態を画素毎に変化させることによって画像が形成される。一方、光の指向性を変えるために設けられる光学補償シート98は、観察者側の偏光板97のさらに観察者側に配置される。従って、画像が形成される液晶層と光学補償シート98との間に、一枚の基板(ガラス基板)と一枚の偏光板97が存在する。その結果、視差が発生し、表示品位が低下する。
【0022】
また、光学補償シート98を使用することによって、正面方向の光を拡散させることになるため、正面方向の輝度が大幅に低下する。
【0023】
さらに、光学補償シート98およびそれを着脱するための機構の分だけコストアップになる。また、着脱後の光学補償シート98をその表面を保護しながら収納または管理する必要が生じる。」
エ 【0044】~【0060】、【図1】~【図3】
「【0044】
(実施形態1)
図1(a)は実施形態1の照明装置100の構成を模式的に示す平面図であり、図1(b)は照明装置100を備えた液晶表示装置150の構成を模式的に示す側面図である。
【0045】
照明装置100は、光源101A、101Bおよび101Cと、光源101A、101Bおよび101Cから出射された光を伝播させ、出射面から外部へ出射させる導光板102とを備える。この複数の光源101A、101Bおよび101Cは、その一部を選択的に点灯する第1モードと、第1モードにおいて点灯されない光源の内の少なくとも1個を点灯する第2モードとの切替えが可能となっている。導光板102に対する光源の相対位置が異なるので、点灯する光源を変える(一部の光源がいずれのモードでも点灯されてもよい。)ことによって、指向性が異なる光が出射されることになる。ここでは、指向性が高いモードを第1モードと呼ぶことにする。
【0046】
液晶表示装置150は、照明装置100と、照明装置100の観察者側に、液晶表示パネル110を有している。液晶表示パネル110は、例えば、照明装置100側から、下側偏光板105、液晶セル106、および上側偏光板107をこの順に有している。照明装置100以外の構成は、公知の液晶表示装置と同じであってよいので、ここでは詳細な説明は省略する。液晶表示装置150は、例えば携帯電話に好適に用いられ、液晶表示パネル110は、例えば、2.4型QVGAパネル(240×320ドット)である。
【0047】
照明装置100の導光板102は、角部に設けられた第1入射端面102aと、角部に隣接する第2入射端面102bおよび102cとを有している。3つの光源の内の光源101Aは、第1入射端面102aに向けて光を出射するように配置されている。他の光源101Bおよび101Cは、それぞれ第2入射端面102bおよび102cに向けて光を出射するように配置されている。光源102a、102bおよび102cとしては、例えば、レフレクターを備えるLEDを好適に用いることができる。
【0048】
導光板102は、例えば、光源101Aから出射され第1入射端面102aから入射し、放射状に伝播した光を出射面から出射させる導光板である。
【0049】
ここで、図1(a)および図2を参照しながら、導光板102として好適に用いられる導光板の構成を説明する。図2(a)は、図1(a)における2A-2A’に沿った断面図であり、光源101Aから出射された光が導光板102中を伝播する様子を模式的に示す図である。図2(b)は図2(a)の部分拡大図である。
【0050】
導光板102は、角部(第1入射端面102a)に配置される光源101Aを中心に、同心円状に配置された微小プリズムを有している。微小プリズム103の斜面は、図2(b)に模式的に示すように、第1入射端面102aから放射状に伝播する光を出射面側に反射するように配置されており、微小プリズム103の稜線(長手方向)は、図1(a)に模式的に示すように、光源101Aを中心とする同心円の接線方向に延びるように設けられている。光源101Aから導光板102に入射した光は、導光板102内を全反射を繰り返しながら伝播しつつ、一部の光は出射面から出射される。導光板102の裏面(出射面と反対側の面)から出射した光を導光板102に戻すために、図2(a)に示すように、反射板104を設けても良い。
【0051】
微小プリズム103は、その稜線が光源101Aを中心とする同心円の接線方向に延びるように設けられているので、導光板102中を光源101Aから放射状に伝播する光はプリズム103にあたっても、伝播方向に直交する方向には偏向しない。したがって、出射面から出射される光は、導光板102中の光の伝播方向に直交する面内においては、高い指向性を有することになる。一方、光源101Bおよび101Cから出射された光は、導光板102内を伝播しながら、その一部の光は微小プリズム103で反射されるが、光源101Bおよび101Cから出射された光の伝播方向は、微小プリズム103の稜線が延びる方向に直交していないので、光の伝播方向に直交する方向において偏向され、指向性が低下することになる。
【0052】
光源101A、101Bおよび101Cのそれぞれを1つずつ選択的に点灯したときに照明装置100から出射される光の強度分布を図3に示す。図3は、光源101Aから出射された光の伝播方向(光源101Aを中心とする円の半径方向)に直交する面内における強度分布を示している。
【0053】
図3から明らかなように、光源101Aを選択的に点灯したときの出射光の角度分布は狭く(半値幅角は±10°以下)指向性が高く、且つ、出射面法線方向(出射角=0°)における強度が最も高い。これに対し、光源101Bまたは光源101Cを選択的に点灯したときの出射光の角度分布は光源101Aだけを点灯したときよりも広く(半値幅角が約25°)指向性が低い。また、出射光強度が最大となる方向が出射面法線方向からずれている。
【0054】
従って、照明装置100において、光源101Aだけを選択的に点灯すれば、指向性が高い光が出射される(第1モード)。また、このときの出射光強度分布は、出射面法線方向に最大強度を有する。
【0055】
第1モードにおいては、光源は1つしか点灯していないため、消費電力が少ない。現在2.4型QVGAパネル用の照明装置には、3個から4個のLEDが使用されているのと比較すると、消費電力を1/4~1/3に低減できることになる。また、第1モードにおいて照明装置100から出射される光は、指向性が高い上に、出射面法線方向に最大強度を有するので、液晶表示装置150は第1モードにおいて、視野角特性が狭く、且つ、正面輝度が高い。
【0056】
従って、例えば、液晶表示装置150を携帯電話に装着した場合、1人で表示を観察したい場合に第1モードに設定すれば、周囲から見られにくくしながら、低消費電力で表示を行うことができる。携帯電話はこのような使われ方が多いので、通常は第1モードで表示を行えば、携帯電話の使用可能時間が大幅に延びることになる。もちろん、このことは携帯電話に限らず、PDAやモバイルPCなどについていも同様である。
【0057】
第2モードにおいては、例えば、光源101A~101Cの全てを点灯させる。光源101Bおよび101Cは、導光板102に対して、最適位置(光源101Aが設けられた位置)とは異なる位置に配置されているため、これらの光源から出射された光は導光板102のプリズム103の稜線に対して傾斜した方向から(直交する方向からずれて)入射するため、光源101Bおよび101Cから出射された光は、光源101Aから出射された光と異なる角度で出射される(図3においてピーク位置が異なることに対応する。)だけでなく、指向性が低下する(図3において半値幅角が広いことに対応する。)。
【0058】
光源101A~101Cの全てを点灯した場合には、図3における3つの光源の出射光強度分布を足しあわされた強度分布を有する光が出射されることになるので、第2モードにおいては、光源101Bおよび101Cからの光により、第1モードより正面輝度をさらに高めながら、指向性を緩く(指向性を低く)できる。第2モードでは、多人数でディスプレイを観察する場合や正面からディスプレイを観察できない場合に有効である。
【0059】
なお、第2モードでは、光源を3個点灯しているが、従来方式と比べ、消費電力が増えるわけではなく、同じレベルになるだけである。従って、第1モードと第2モードとを用途に応じて切り替えることによって、トータルとして低消費電力化が実現できる。
【0060】
なお、用途によっては、第2モードにおいて、光源101Bまたは101Cの一方だけ、または、光源101Aと光源101Bまたは101Cの一方だけを点灯させてもよい。あるいは、第1モードにおいて、光源101Aと光源101Bまたは101Cの一方だけを点灯させて、第2モードにおいて、光源101Aから101Cの全てを点灯させてもよい。」
「【図1】
[図:0001405403000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001405403000002.jpg]
」
「【図3】
[図:0001405403000003.jpg]
」
(2) 引用発明の認定
ア(ア) 引用文献1の【0007】には、「なお、ここで言う「指向性」とは、照明装置から出射される光がどの程度特定の方角に対して方向性を有しているかを示すものである。例えば、後に具体例を示すように、出射光の強度分布(配光分布)における半値幅角で評価され、半値幅角が狭いものほど指向性が高い。」と記載されている。
(イ) 前記記載は、引用文献1において用いられている「指向性」という語句の意味を定義したものであるから、引用文献1の他の箇所に記載された「指向性」の語句についても適用されることは明らかである。
イ 前記(1)の記載事項及び前記アの認定事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
<引用発明>
「照明装置100と、照明装置100の観察者側に、液晶表示パネル110を有している液晶表示装置150であって、(【0046】)
液晶表示パネル110は、照明装置100側から、下側偏光板105、液晶セル106、および上側偏光板107をこの順に有しており、(【0046】)
照明装置100は、光源101A、101Bおよび101Cと、光源101A、101Bおよび101Cから出射された光を伝播させ、出射面から外部へ出射させる導光板102とを備え、(【0045】)
光源101Aを選択的に点灯したときの出射光の角度分布は狭く(半値幅角は±10°以下)指向性が高く、(【0053】)
ここで「指向性」とは、照明装置から出射される光がどの程度特定の方角に対して方向性を有しているかを示すものであり、出射光の強度分布(配光分布)における半値幅角で評価され、半値幅角が狭いものほど指向性が高く、(前記アの認定事項)
従って、照明装置100において、光源101Aだけを選択的に点灯すれば、指向性が高い光が出射され(第1モード)、(【0054】)
第1モードにおいて照明装置100から出射される光は、指向性が高い上に、出射面法線方向に最大強度を有するので、液晶表示装置150は第1モードにおいて、視野角特性が狭く、(【0055】)
1人で表示を観察したい場合に第1モードに設定すれば、周囲から見られにくくしながら、表示を行うことができ、(【0056】)
第2モードにおいては、光源101A~101Cの全てを点灯させ、(【0057】)
光源101A~101Cの全てを点灯した場合には、3つの光源の出射光強度分布を足しあわされた強度分布を有する光が出射されることになるので、第2モードにおいては、光源101Bおよび101Cからの光により、第1モードより、指向性を緩く(指向性を低く)でき、(【0058】)
第2モードでは、多人数でディスプレイを観察する場合や正面からディスプレイを観察できない場合に有効である、(【0058】)
液晶表示装置150。」
2 引用文献2に記載された事項の認定
(1) 引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に発行された前記引用文献2(国際公開第2007/138732号)には、以下の事項が記載されている。
ア [0001]
「技術分野
[0001] 本発明は、表示パネルの視野角を制御する視野角制御パネルを備えた表示装置システムに関するものである。」
イ [0006]~[0012]、[0045]、[0046]
「[0006] しかしながら、上記従来の特許文献1では、位相差制御用液晶素子を用いることによって広視野角モードと狭視野角モードとの切替えが可能であると述べられているが、その効果は十分とは言えない。例えば特許文献1には、図17に示すように、コントラスト比が約10:1のコントラスト曲線が示されており、狭視野角モードでは、確かに広視野角方向のコントラストが低下している。しかしながら、この程度の変化では、隣にいる人から表示が十分に視認されてしまう。この理由は、コントラスト比が例えば2:1まで低下しても、一般に、十分に表示を視認することができるからである。
[0007] また、特許文献2及び特許文献3の技術も、視野角制御用液晶パネルへの印加電圧を変化させてコントラストを調整することによって、広視野角と狭視野角との切替えを行うものであるが、その効果は十分とは言えない。
[0008] すなわち、特許文献1~特許文献3のいずれの技術も、広視野角方向のコントラストを低下させることによって、広視野角モードと狭視野角モードとの切替えを行う手法を採用しているが、このような手法では、狭視野角モード時に広視野角方向つまり狭視野角とならなかった方向の遮蔽が十分ではなく、他人から画像が見られてしまう可能性があるという問題がある。
[0009] 本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、遮蔽効果を増大し得る表示装置システムを提供することにある。
[0010] 本発明者らは、上記問題について、鋭意、様々な検討を行った結果、外光が表示装置に当たる環境下で使用する方が、遮蔽効果が高いことを確認し、本発明を見出した。
[0011] すなわち、本発明の表示装置システムは、上記課題を解決するために、バックライトと、表示パネルと、上記表示パネルの視野角を制御する視野角制御パネルとを備えた表示装置を含む表示装置システムであって、上記表示装置におけるバックライトからの光漏れ量よりも表示装置における外光の反射光の反射光量の方が相対的に大きくなるようにする反射光量相対的増大部が設けられている。なお、「相対的に」としたのは、反射光量をバックライトからの光漏れ量よりも大きくする方法として、バックライトの輝度を減ずることも可能であるためである。
[0012] 上記の発明によれば、反射光量相対的増大部は、上記表示装置におけるバックライトからの光漏れ量よりも表示装置における外光の反射光の反射光量の方が相対的に大きくなるようにする。これにより、表示装置における表示パネルの表示の視認を低減できる。この結果、遮蔽効果を増大し得る表示装置システムを提供することができる。」
「[0045] また、本発明の表示装置システムでは、前記反射光量相対的増大部は、拡散処理されている偏光板を表示装置の表面側に備えていることが好ましい。
[0046] これにより、表示装置の表面側には拡散処理されている偏光板が備えられているので、拡散処理していない偏光板が備えられている場合に比べて、視野角制御パネルの遮蔽効果が高まる。」
ウ [0065]~[0067]、[0089]~[0092]、[0094]~[0096]、[0111]~[0115]、[0119]、[0120]、[図1]、[図2]、[図9]
「[0065] 図2に示すように、液晶表示装置10は、画像を表示する表示パネルとしての表示用液晶パネル1と液晶セル21を備えた視野角制御パネル2との2枚の液晶パネルを備えている。上記表示用液晶パネル1は透過型であり、光源としてバックライト3が用いられる。
[0066] 上記視野角制御パネル2は、例えば、同図に示すように、バックライト3と表示用液晶パネル1との間に設けられている。
[0067] 液晶表示装置10は、視野角制御パネル2における液晶をスイッチング動作させることにより、表示用液晶パネル1の画像が視認できる視野角が広い状態である広視野角モードと、表示用液晶パネル1の画像が視認できる視野角が狭い状態である狭視野角モードとの2つのモードの表示状態を切替えることができる。狭視野角モードは、他人に表示用液晶パネル1の画像を見られたくない場合に特に好適に用いられる一方、広視野角モードは、それ以外の通常の使用時や、表示用液晶パネル1の画像を複数人で同時に見たい場合等に好適に用いられる。」
「[0089] ところで、本実施の形態の液晶表示装置10において、視野角制御パネル2を使用する周辺環境は、外光が液晶表示装置10に当たる環境下で使用する方がプライバシー表示モードの際、その効果がより顕著になる。すなわち、外光が液晶表示装置10に当たる環境下で使用する方が、遮蔽力を向上させることができる。この理由は、外光が明るいほど、外光による表示用液晶パネル1からの反射光が目に入り、バックライト3による表示のための光が視認されないためである。例えば、屋外で、携帯電話の表示を見たときに、画面の表示を視認できないことと同じ原理である。
[0090] この画像視認のメカニズムについて、具体的に、図9(a)(b)に基づいて説明する。
[0091] まず、図9(a)に示すように、表示用液晶パネル1において、白表示部の輝度をAとし、黒表示部の輝度をBとする。このとき、コントラスト比=A/Bが大きい程、視認し易い。したがって、表示を視認し難くするためには、図9(b)に示すように、例えば、反射光Cを照射する。これにより、コントラスト比は、(A+C)/(B+C)が1に近づく程、視認し難くなる。したがって、反射光Cが大きければ大きい程1に近づく。
[0092] 上記画像視認のメカニズムに基づいて、本実施の形態では、液晶表示装置10を含む表示装置システムに、図示しない反射光量相対的増大部を設け、この反射光量相対的増大部によって、少なくともプライバシーモード表示である狭視野角モードの場合には、図1に示すように、バックライト3からの光漏れ量よりも液晶表示装置10の周辺から外光の反射光量の方が相対的に大きくなるようにするようにしている。なお、バックライト3からの光漏れとは、表示用液晶パネル1の表面における表示に寄与するバックライト3からの透過光を意味し、白表示部又は黒表示部のいずれからの光漏れかを問わない。これにより、液晶表示装置10における表示用液晶パネル1の表示の視認を低減できるので、遮蔽効果、狭視野角効果を増大し得る表示装置システムを提供することができる。なお、この構成によって、上記効果があることが、目視により確認できている。また、この効果は、必ずしも狭視野角モードに限らず、広視野角モードでも効果がある。ただし、狭視野角モードの方が、その効果が大きい。例えば、図6に示す狭視野角モード時の輝度分布を示すチャートにおいて、表示の輝度が50cd/m2以下の遮蔽領域が大半を占めているが、この遮蔽領域が表示の輝度がOcd/m2となっていることを示すものではない。」
「[0094] 上記バックライト3からの光漏れ量よりも液晶表示装置10の周辺からの反射光量の方が相対的に大きくなるようにするようにするために、本実施の形態では、例えば、図10(a)に示すように、液晶表示装置10の周囲に、この液晶表示装置10への照度を大きくすることにより液晶表示装置10の反射光量を大きくするためのライト31を点灯することができる。このライト31は、上記表示装置システムにおける図示しないライト点灯部に備えられている。
[0095] 具体的には、このライト31は、液晶表示装置10を囲む4辺のうちの少なくとも1辺の位置に設けることができる。すなわち、上記1辺の位置は、液晶表示装置10を囲む上下左右のいずれであってもよい。また、図10(a)に示すように、液晶表示装置10を囲む4辺の全てにライト31を設けることが可能である。このライト31は表示装置システムの図示しないライト点灯部にて点灯される。これにより、ライト31を点灯することによって、確実にバックライト3からの光漏れ量よりも液晶表示装置10の周辺からの外光の反射光の反射光量の方が相対的に大きくなるようにすることができる。
[0096] また、例えば、図10(b)に示すように、液晶表示装置10を使用する観察者の対向位置にライトとしてのフロントライト32を備えることが可能である。」
「[0111] ところで、上記の説明では、バックライト3からの光漏れ量よりも液晶表示装置10の周辺からの反射光量の方が相対的に大きくなるようにする方法として、例えば、ライト31又はフロントライト32を設けていた。
[0112] しかし、必ずしもこれに限らず、例えば、ライト31又はフロントライト32を点灯する代わりに、バックライト3の輝度を減ずることも可能である。このバックライト3の減輝度は、表示装置システムにおける図示しないバックライト輝度低減部が行う。
[0113] これにより、バックライト3の輝度を減じて、バックライト3からの光漏れ量よりも液晶表示装置10の周辺からの外光の反射光の反射光量の方が相対的に大きくなるようにすることができる。
[0114] また、本実施の形態の表示装置システムでは、例えば、図16(a)、図16(b)、及び図16(c)に示すように、液晶表示装置10の周囲の少なくとも一部に、この液晶表示装置10への照度を大きくするための反射部材としての反射板71、反射シート72、又はアルミ材73を備えていることが可能である。
[0115] このように、液晶表示装置10の周囲の少なくとも一部に反射部材を設けることにより、液晶表示装置10への照度を大きくし、液晶表示装置10の反射光の反射光量を大きくすることができる。したがって、ライト点灯又はバックライト3の輝度の減少による、バックライト3からの光漏れ量よりも液晶表示装置10の周辺からの外光の反射光の反射光量の方が相対的に大きくなるようにする効果を一層向上させることができる。」
「[0119] なお、本実施の形態では、さらに、図2に示す液晶表示装置10の表面の第1偏光板12に拡散処理が施されているものを使用するのが好ましい。具体的には、第1偏光板12の表面に例えばAG(Anti Glar)処理が施されていることが好ましい。このAG処理とは、ギラギラ(反射)防止処理のことを意味する。例えば、ガラス表面等での鏡面反射を避ける方法の1つであり、第1偏光板12の表面を少し粗面にするか、又は粗面膜を貼り付ける等の処理を行う。この結果、例えば、背景の写り込みを防ぐことができるものである。
[0120] これにより、拡散処理していない第1偏光板12が備えられている場合に比べて、視野角制御パネル2の狭視野角制御効果が高まる。」
「[図1]
[図:0001405403000004.jpg]
」
「[図2]
[図:0001405403000005.jpg]
」
「[図9]
[図:0001405403000006.jpg]
」
(2) 引用文献2に記載された事項の認定
前記(1)の記載事項を総合すると、引用文献2には、次の事項が記載されているものと認められる(以下「引用文献2記載事項」という。)。
<引用文献2記載事項>
「画像を表示する表示パネルとしての表示用液晶パネル1と液晶セル21を備えた視野角制御パネル2との2枚の液晶パネルを備え、光源としてバックライト3が用いられる液晶表示装置10において、([0065])
液晶表示装置10は、視野角制御パネル2における液晶をスイッチング動作させることにより、表示用液晶パネル1の画像が視認できる視野角が広い状態である広視野角モードと、表示用液晶パネル1の画像が視認できる視野角が狭い状態である狭視野角モードとの2つのモードの表示状態を切替えることができ、狭視野角モードは、他人に表示用液晶パネル1の画像を見られたくない場合に特に好適に用いられる一方、広視野角モードは、それ以外の通常の使用時や、表示用液晶パネル1の画像を複数人で同時に見たい場合等に好適に用いられ、([0067])
狭視野角モード時に広視野角方向つまり狭視野角とならなかった方向の遮蔽が十分ではなく、他人から画像が見られてしまう可能性があるという問題があるため、([0008])
液晶表示装置10を含む表示装置システムに反射光量相対的増大部を設け、([0092])
さらに、液晶表示装置10の表面の第1偏光板12に拡散処理が施されているものを使用し、例えば、第1偏光板12の表面を少し粗面にするか、又は粗面膜を貼り付ける等の処理を行い、([0119])
これにより、拡散処理していない第1偏光板12が備えられている場合に比べて、視野角制御パネル2の狭視野角制御効果を高めること。([0120])」
第5 対比・判断
1 対比分析
本願発明と引用発明を対比する。
(1)ア 引用発明の「液晶表示装置150」は、照明装置100と、照明装置100の観察者側に、液晶表示パネル110を有しており、また、液晶表示パネル110は、照明装置100側から、下側偏光板105、液晶セル106及び上側偏光板107をこの順に有するものであるから、液晶表示パネル110の「上側偏光板107」を通して観察者が表示を見ることができることは明らかといえる。
イ また引用発明の「液晶表示装置150」は、本願発明の「ディスプレイ」に相当する。
ウ そうすると、引用発明の「上側偏光板107」は、本願発明において「前面」とされる部材に相当する。
エ よって、本願発明と引用発明は、「前面を通して見ることができるディスプレイ」の発明である点において一致する。
(2)ア 引用発明の「照明装置100」は、光源101A、101B及び101Cを備え、第1モードにおいては、光源101Aだけを選択的に点灯し、指向性が高い光が出射され、第2モードにおいては、光源101A~101Cの全てを点灯させ、3つの光源の出射光強度分布を足しあわされた強度分布を有する光が出射されることになるので、光源101Bおよび101Cからの光により、指向性を緩く(指向性を低く)できるものである。
イ ここで、引用発明の「第1モード」は指向性が高く、「第2モード」は、指向性を低くするものであり、「第1モード」が「第2モード」より指向性が高いところ、引用発明においては、「指向性」は半値幅角で評価され、指向性が高いということは半値幅角が狭いことを意味すること、そして、半値幅とは、通常、半値全幅のことであることを鑑みれば、引用発明において、一方のモードが、広い半値全幅の出射光強度分布を有し、他方のモードが、一方よりも狭い半値全幅の出射光強度分布を有するものであるといえる。
ウ そうすると、本願発明の、40度を超える半値全幅を含む第1の輝度分布を有する「第1の出力モード」と、40度以下の半値全幅を含む第2の輝度分布を有する「第2の出力モード」を比較した場合、「第2の出力モード」は「第1の出力モード」より輝度分布の半値全幅が狭いものであるから、引用発明の「照明装置100」と本願発明の「バックライト」は、「少なくとも第1の出力モード及び第2の出力モードを有し」、「第1の出力モードが、広い半値全幅を含む第1の輝度分布を有し、第2の出力モードが、第1の出力モードよりも狭い半値全幅を含む第2の輝度分布を有する」点において共通する。
エ さらに、引用発明の「光源101A」と「光源101A~101Cの全て」は、選択的に点灯できるものであるから、引用発明の引用発明の「照明装置100」が、「第1モード」と「第2モード」とを切換可能であることは明らかである。
オ よって、本願発明と引用発明は、「少なくとも第1の出力モード及び第2の出力モードを有し、前記第1の出力モードが、広い半値全幅を含む第1の輝度分布を有し、前記第2の出力モードが、第1の出力モードよりも狭い半値全幅を含む第2の輝度分布を有する、切換可能なバックライト」を備える点において共通する。
(3)ア 引用発明の「上側偏光板107」が光学部材であることは明らかである。
イ よって、前記(1)を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記ディスプレイの前記前面として配設される光学部材とを備え[る]」点において共通する。
2 一致点及び相違点
前記1の対比分析の検討結果を総合すると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。
(1) 一致点
前面を通して見ることができるディスプレイであって、
少なくとも第1の出力モード及び第2の出力モードを有し、前記第1の出力モードが、広い半値全幅を含む第1の輝度分布を有し、前記第2の出力モードが、第1の出力モードよりも狭い半値全幅を含む第2の輝度分布を有する、切換可能なバックライトと、
前記ディスプレイの前記前面として配設される光学部材とを備える、
ディスプレイ、である点。
(2) 相違点
ア 相違点1
少なくとも第1の出力モード及び第2の出力モードを有し、前記第1の出力モードが、広い半値全幅を含む第1の輝度分布を有し、前記第2の出力モードが、第1の出力モードよりも狭い半値全幅を含む第2の輝度分布を有する、切換可能なバックライトについて、
本願発明においては、第1の出力モードの第1の輝度分布の半値全幅が、40度を超え、第2の出力モードの第2の輝度分布の半値全幅が、40度以下であるのに対して、引用発明においては、前記第1の出力モードでの半値全幅に相当する角度が25°である点。
イ 相違点2
ディスプレイの前面として配設される光学部材が、本願発明においては、「前面フィルム」であるのに対して、引用発明においては、「上側偏光板107」である点。
ウ 相違点3
本願発明においては、「前記切換可能なバックライトが前記第2の出力モードにあるとき、周囲光において、40度より斜めの角度で前記ディスプレイを見ている観察者にとって、前記切換可能なバックライトが前記第1の出力モードにあるときよりもディスプレイの可視性を低減させるほど十分に高いヘイズ値を前記前面フィルムが有する」のに対して、
引用発明においては、上側偏光板107が特にヘイズ値を有するものとはされていない点。
第6 当審の判断
1 相違点1について
前記相違点1について検討する。
(1) 引用発明においては、1人で表示を観察したい場合に周囲から見られにくくするために第1モードに設定し、多人数でディスプレイを観察する場合や正面からディスプレイを観察できない場合に第2モードに設定するものであるところ、第1モード及び第2モードの輝度分布の半値幅角(半値全幅)を、それぞれ何度とするかは、ディスプレイの周囲のうち、どの範囲を見られにくくするかに応じて、当業者が適宜に定める設計事項にすぎない。
そして、第1モードの輝度分布の半値幅角(半値全幅)を40度以下にし、第2モードの輝度分布の半値幅角(半値全幅)を40度を超えるものとしたことによる臨界的意義も認められない。
(2) よって、引用発明において、前記相違点1に係る構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
2 相違点2について
前記相違点2について検討する。
(1) 液晶表示パネルの前面に設けられる偏光板として、偏光フィルムを用いることは、例示するまでもなく周知であるから、引用発明の「上側偏光板107」を前面フィルムとすることに、格別の困難性は認められない。
(2) よって、引用発明において、前記相違点2に係る構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
3 相違点3について
前記相違点3について検討する。
(1) 前記第4の2(2)において示したとおり、引用文献2には、画像を表示する表示パネルとしての表示用液晶パネル1と液晶セル21を備えた視野角制御パネル2との2枚の液晶パネルを備え、光源としてバックライト3が用いられる液晶表示装置10において、液晶表示装置10は、視野角制御パネル2における液晶をスイッチング動作させることにより、表示用液晶パネル1の画像が視認できる視野角が広い状態である広視野角モードと、表示用液晶パネル1の画像が視認できる視野角が狭い状態である狭視野角モードとの2つのモードの表示状態を切替えることができ、狭視野角モードは、他人に表示用液晶パネル1の画像を見られたくない場合に特に好適に用いられる一方、広視野角モードは、それ以外の通常の使用時や、表示用液晶パネル1の画像を複数人で同時に見たい場合等に好適に用いられ、狭視野角モード時に広視野角方向つまり狭視野角とならなかった方向の遮蔽が十分ではなく、他人から画像が見られてしまう可能性があるという問題があるため、液晶表示装置10を含む表示装置システムに反射光量相対的増大部を設け、さらに、液晶表示装置10の表面の第1偏光板12に拡散処理が施されているものを使用し、例えば、第1偏光板12の表面を少し粗面にするか、又は粗面膜を貼り付ける等の処理を行い、これにより、拡散処理していない第1偏光板12が備えられている場合に比べて、視野角制御パネル2の狭視野角制御効果を高めることが記載されている。
(2)ア ここで、引用文献2の[0089]には、外光が液晶表示装置10に当たる環境下で使用する方がプライバシー表示モードの際、その効果がより顕著になること、その理由として、外光が明るいほど、外光による表示用液晶パネル1からの反射光が目に入り、バックライト3による表示のための光が視認されないことが記載されており、そのために、引用文献2の[0094]~[0096]には、液晶表示装置10の周囲にライトを設けること、[0111]~[0113]には、バックライト3の輝度を減ずること、[0114]~[0115]には、液晶表示装10の周囲に反射部材を設けることについて記載されているところ、引用文献2の[0119]~[0120]には、さらに、液晶表示装置10の表面の第1偏光板12に拡散処理が施されることで、その効果を高めることが記載されている。
よって、引用文献2記載事項の、第1偏光板12に対して拡散処理を行う構成は、周囲から見られにくくするための、様々な手段の効果をさらに高めるためのものと認められる。
イ そうすると、引用発明は、1人で表示を観察したい場合に、視野角特性が狭い第1モードに設定することで、周囲から見られにくくしながら表示を行うものであるところ、第1モードにおいて周囲から見られにくくする効果をさらに高めるために、引用文献2記載事項である、液晶表示装置10の表面の第1偏光板12に拡散処理を行う構成を適用し、引用発明の上側偏光板107に拡散処理を行って、ヘイズ値を高めるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
ウ その場合、周囲にいる観察者にとって、視野角の広いモードのときと比較して、視野角の狭いモードの方が、前記ヘイズ値を高めたことによるものを含む効果により、液晶表示装置の可視性がより低減されることは明らかである。
(3) よって、引用発明において、前記相違点3に係る構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
4 総合検討
前記1~3において検討したとおり、引用発明において前記相違点1から相違点3に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、前記相違点1から相違点3を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果としては、引用発明及び引用文献2記載事項から予測されるものを超え、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 請求人の主張について
(1) 請求人の主張内容
審判請求の理由における請求人の主張の概略は、次のとおりである。
引用文献1と引用文献2とでは視野角制御の方法が大きく異なり、また、引用文献1には、視野角制御効果を向上させるために上側偏光板107の表面を拡散処理することについては開示も示唆もされていない。
本願発明が、当業者にとって容易に想到し得るものであると判断されるためには、本願発明に到達できる試みをしたであろうという推測が成り立つのみでは十分ではなく、本願発明に到達したはずである示唆等が必要であるが、引用文献1において、引用文献2に記載の技術を採用して「前記切換可能なバックライトが前記第2の出力モードにあるとき、周囲光において、40度より斜めの角度で前記ディスプレイを見ている観察者にとって、前記切換可能なバックライトが前記第1の出力モードにあるときよりもディスプレイの可視性を低減させるほど十分に高いヘイズ値を前記前面フィルムが有する」ようにするという特徴点に到達したはずである示唆等は、引用文献1には存在しない。
(2) 請求人の主張についての検討
請求人の主張は、要するに、引用発明に引用文献2記載事項を適用する動機付けがないというものであるが、前記3において示したとおり、引用発明に引用文献2記載事項を適用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、請求人の主張は、前記4の結論を左右するものではない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-014492