特許拒絶査定不服審判
2022-014435
遊技機
- 審判番号
- 2022-014435
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-035374外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年09月13日
- 審決日
- 2023年06月27日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .4 -Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法39条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第39条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019- 35374「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 9月 3日出願公開、特開2020-137772〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯の概要
本願は、平成31年2月28日の特許出願であって、その手続の経緯は、概略、次のとおりである。
令和3年 8月17日 :手続補正書の提出
同年12月 8日付け:拒絶理由通知書
令和4年 2月 8日 :意見書、手続補正書の提出
同年 6月 7日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(送達日:同月14日)
同年 9月13日 :審判請求書の提出
2 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明は、令和4年2月8日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである(なお、記号A~Hは、発明特定事項を分説するために当審判合議体により付した。)。
「A 遊技領域が区画される遊技盤を備える遊技機であって、
B 前記遊技盤は、複数の発光体が実装される表実装面と、発光体が実装されない裏実装面と、を有する基板を備え、
C 前記基板は、前記表実装面の略全域に形成される絶縁被膜と、前記表実装面に形成される表実装面側配線パターンと、前記裏実装面に形成される裏実装面側配線パターンと、前記表実装面側配線パターンと電気的に接続される表実装面側ランドと前記裏実装面側配線パターンと電気的に接続される裏実装面側ランドとを有するスルーホールと、を有し、
D 前記絶縁被膜は、白色であり、
E 前記表実装面側ランドは、少なくとも外周縁部が前記絶縁被膜で覆われ、
F 前記スルーホールは、前記表実装面の開口部と前記裏実装面の開口部との少なくとも一方が開放され、
G 前記基板は、前記絶縁被膜の下層にベタグランドを有する、
H ことを特徴とする遊技機。」
3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、本願発明は、本願の出願前の下記の出願(以下「先願」という。)に係る発明と同一であるから、特許法第39条第1項の規定により特許を受けることができない、というものである。
特願2018-226364号(特許第6710480号公報)
4 先願発明
(1)先願発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前である平成30年12月3日に出願された特願2018-226364号の請求項1に係る発明(以下「先願発明」という。)の発明特定事項は、令和2年5月29日に特許第6710480号として登録された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(なお、a~f、hは、本願発明の発明特定事項A~F、Hに対応させて当審判合議体が付したものである。)。
「a 遊技領域が区画形成される遊技盤を備える遊技機であって、
b 前記遊技盤は、複数の発光体が実装される表面と、発光体が実装されない裏面と、を有する基板を備え、
c 前記基板は、前記表面の略全域に形成される絶縁被膜と、前記表面に形成される表面側配線パターンと、前記裏面に形成される裏面側配線パターンと、前記表面側配線パターンと電気的に接続される表面側ランドと前記裏面側配線パターンと電気的に接続される裏面側ランドとを有するスルーホールと、を備え、
d 前記絶縁被膜は、白色であり、
e 前記表面側ランドは、少なくとも外周縁部が前記絶縁被膜で覆われ、
f 前記スルーホールは、前記表面の開口部と前記裏面の開口部とが開放されている、
h ことを特徴とする遊技機。」
5 対比
本願発明と先願発明を分説に従い対比する。
(a、h)
先願発明の「遊技領域が区画形成される遊技盤」、「遊技機」は、それぞれ、本願発明の「遊技領域が区画形成される遊技盤」、「遊技機」に相当する。
したがって、先願発明の構成a、hは、本願発明の構成A、Hに相当する。
(b)
上記(a)より、先願発明の「遊技盤」は、本願発明の「遊技盤」に相当する。
そして、先願発明の「複数の発光体が実装される表面」、「発光体が実装されない裏面」、「基板」は、それぞれ、本願発明の「複数の発光体が実装される表実装面」、「発光体が実装されない裏実装面」、「基板」に相当する。
したがって、先願発明の構成bは、本願発明の構成Bに相当する。
(c)
上記(b)より、先願発明の「表面」、「裏面」、「基板」は、それぞれ、本願発明の「表実装面」、「裏実装面」、「基板」に相当する。
そして、先願発明の「絶縁被膜」、「表面側配線パターン」、「裏面側配線パターン」、「表面側ランド」、「裏面側ランド」、「スルーホール」は、それぞれ、本願発明の「絶縁被膜」、「表実装面側配線パターン」、「裏実装面側配線パターン」、「表実装面側ランド」、「裏実装面側ランド」、「スルーホール」に相当する。
したがって、先願発明の構成cは、本願発明の構成Cに相当する。
(d)
上記(c)より、先願発明の「絶縁被膜」は、本願発明の「絶縁被膜」に相当する。
そして、先願発明の「白色」は、本願発明の「白色」に相当する。
したがって、先願発明の構成dは、本願発明の構成Dに相当する。
(e)
上記(c)より、先願発明の「表面側ランド」、「絶縁被膜」は、それぞれ、本願発明の「表実装面側ランド」、「絶縁被膜」に相当する。
そして、先願発明の「外周縁部」は、本願発明の「外周縁部」に相当する。
したがって、先願発明の構成eは、本願発明の構成Eに相当する。
(f)
本願発明の「スルーホールは、表実装面の開口部と裏実装面の開口部との少なくとも一方が開放され」ていること(構成F)は、「スルーホール」の「表実装面の開口部」と「裏実装面の開口部」のいずれか一方のみが「開放され」ている態様を含むのみならず、「スルーホール」の「表実装面の開口部」と「裏実装面の開口部」のいずれもが「開放され」ている態様、すなわち、先願発明の「スルーホールは、表面の開口部と裏面の開口部とが開放されている」(構成f)態様を含むものであるから、先願発明の構成fを上位概念として表現したものである。
したがって、先願発明の構成fは、本願発明の構成Fに相当する。
上記(a、h)~(f)の検討内容からみて、本願発明と先願発明は、
「A 遊技領域が区画形成される遊技盤を備える遊技機であって、
B 前記遊技盤は、複数の発光体が実装される表実装面と、発光体が実装されない裏実装面と、を有する基板を備え、
C 前記基板は、前記表実装面の略全域に形成される絶縁被膜と、前記表実装面に形成される表実装面側配線パターンと、前記裏実装面に形成される裏実装面側配線パターンと、前記表実装面側配線パターンと電気的に接続される表実装面側ランドと前記裏実装面側配線パターンと電気的に接続される裏実装面側ランドとを有するスルーホールと、を有し、
D 前記絶縁被膜は、白色であり、
E 前記表実装面側ランドは、少なくとも外周縁部が前記絶縁被膜で覆われ、
F 前記スルーホールは、前記表実装面の開口部と前記裏実装面の開口部との少なくとも一方が開放される、
H 遊技機。」
の点で一致し、次の点で、一応相違する。
[相違点](構成G)
本願発明は、「基板は、絶縁被膜の下層にベタグランドを有する」のに対して、先願発明は、そのような構成を備えない点。
6 判断
上記相違点(構成G)について検討する。
「回路基板の技術分野において、冷却対策や、静電気対策といった自明の課題を解決するために、電子部品が搭載された基板の表面に形成された保護膜の下にベタグランド層を設ける」ことは、本件の出願前に単なる周知の技術事項(例えば、特開2016-202464号公報の【0699】には、冷却効果向上のために、実装面側ベタパターンが実装面全体にレジスト印刷されていることが記載され、特開2016-16088号公報の【0004】~【0005】、【0026】~【0027】、【0037】には、静電気対策のために電飾基板20、21の外面全体のソルダーレジスト層の下に膜状に広がったベタ導体層25Bを有することが記載されている。以下「周知技術」という。)、もしくは、当業者における技術常識である。
そうすると、先願発明が本願発明の構成Gを備えることは、周知技術の単なる付加であって、該付加により、基板の表実装面側から裏実装面側に透過する光を低減させ、基板の表実装面における反射効率をより一層向上させて発光体の光量を高める効果を奏することは自明である。
してみると、先願発明に周知技術を付加することは、新たな効果を奏するものではないから、上記相違点は、課題解決のための具体化手段における微差であって、実質的な相違点とはいえない。
よって、上記相違点は実質的な相違点ではないから、本願発明と先願発明は実質的に同一である。
7 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、本願発明が構成Gを備える効果について「絶縁被膜の下層にベタグランドを有するため、基板の表実装面に実装される発光体が発光した際に、白色の絶縁被膜を透過した光をベタグランドによって反射し、基板の表実装面側から裏実装面側に透過する光を低減でき、基板の表実装面における反射効率をより一層向上させることができ、効率的な発光装飾を実現できる(段落[1511]乃至段落[1520]を参照)。」(【本願発明が特許されるべき理由】(3)(ロ))旨、主張する。
しかしながら、本願明細書には、【1520】に「装飾基板KBの前面(表面)KBxにおける前面(表面)側ランドKRDx1の外周部分全体に絶縁被膜として白色のレジストが被さった状態とすることにより、遊技者から視認可能とされる装飾基板KBにおいて、この装飾基板KBの前面(表面)KBxに露出する銅箔が剥き出しとなる割合を低減することができるため、飾基板KBの前面(表面)KBxによる反射率を一様(均一)とすることにより、銅箔の部分を目立ち難くし装飾基板KBのよる発光演出効果の向上に寄与することができる」ことは記載されているが、請求人が主張する「白色の絶縁被膜を透過した光をベタグランドによって反射」することにより反射効率を向上させるという効果については記載も示唆もされていない。
したがって、請求人が、審判請求書において主張する上記効果は、本願明細書の記載に基づかない効果であるから、採用することはできない。
仮に、本願発明が構成Gを備えることで、審判請求書において請求人が主張する、ベタグランドを有することで反射率を向上させるという効果を奏するとしても、当該効果は、ベタグランド層を良電性かつ光不透過の金属により形成することが当業者における技術常識であることからみて、先願発明に上記周知技術を付加することにより導かれる自明の効果であって、新たな効果でないものと認められる。
8 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、先願発明と実質的に同一であって、特許法第39条第1項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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