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特許拒絶査定不服審判

2022-012394

バリア性フィルムおよびそれを用いた積層体

審判番号
2022-012394
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-017870外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年08月08日
審決日
2024年01月16日
公報発行日
2024年03月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (B32B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第44条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-17870「バリア性フィルムおよびそれを用いた積層体」拒絶査定不服審判事件〔令和2年5月28日出願公開、特開2020-78941〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 1 出願分割の経緯の概略 本願は、令和2年2月5日にされた特許法第44条第1項の規定による特許出願であって、平成22年11月2日に出願した特願2010-246725号を最先の出願とする、いわゆる第4次の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の提出日を示す。 最先の出願:特願2010-246725号(平成22年11月 2日) 第1次分割:特願2015-113478号(平成27年 6月 3日) 第2次分割:特願2017- 20509号(平成29年 2月 7日) 第3次分割:特願2018- 82515号(平成30年 4月23日) 本願 :特願2020- 17870号(令和 2年 2月 5日) 2 本願の手続の経緯の概略 本願の出願後の手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和2年11月13日付け:拒絶理由通知書 令和3年 1月14日 :意見書、手続補正書の提出 令和3年 5月10日付け:拒絶理由通知書 令和3年 9月 9日 :意見書、手続補正書の提出 令和3年12月21日付け:拒絶理由通知書(最後) 令和4年 2月16日 :意見書、手続補正書の提出 令和4年 4月27日付け:令和4年2月16日の手続補正についての補正の却下の決定、拒絶査定(以下「原査定」という。) (令和4年 5月13日 :原査定の謄本の送達) 令和4年 8月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和5年10月 3日付け:拒絶理由通知 令和5年11月24日 :意見書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1~13に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)は、それぞれ令和4年8月8日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1の記載は次のとおりである。 「基材層と、前記基材層の少なくとも一方の面に形成された蒸着層と、前記蒸着層の上のガスバリア性塗布膜とを有するバリア性フィルムであって、 前記バリア性フィルムが、前記バリア性フィルムと、延伸ナイロンフィルムと、未延伸ポリプロピレンフィルムとをこの順に有する積層フィルム(ただし、基材フィルム、無機酸化物の蒸着膜、ガスバリア性塗布膜、アンカーコート層およびヒートシール層を有する積層フィルムであって、前記ガスバリア性塗布膜が、一般式R1nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1~8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコ-ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコ-ル共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物からなり、前記ガスバリア性塗布膜上に、ポリエチレンイミンを含むアンカーコート組成物からなる前記アンカーコート層を設け、該アンカーコート層上に前記ヒートシール層を積層した、積層フィルムを除く。)に用いられるものであり、 前記基材層が、2軸延伸樹脂フィルムからなり、 前記2軸延伸樹脂フィルムが、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とする、バイオマスポリエステル樹脂と、化石燃料由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とする、化石燃料由来の原料からなるポリエステル樹脂と、を含んでなり、 前記2軸延伸樹脂フィルム中に前記バイオマスポリエステル樹脂が50質量%以上90質量%以下含まれ、 前記蒸着層が、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、鉛、ジルコニウム、イットリウム、またはこれらの酸化物の蒸着膜からなることを特徴とする、バリア性フィルム。」 第3 拒絶の理由 令和5年10月3日付けで通知した拒絶理由の概要は、次のとおりのものである。 本願の請求項1~13に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項、引用文献3に記載された事項及び周知技術に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1 特開2007-210208号公報 引用文献2 特開2008-23848号公報 引用文献3 特開2009-91694号公報 引用文献4 特開2007-63467号公報(周知技術を示す文献) 第4 引用文献の記載 1 引用文献1(バリア性フィルムの基本構成について) (1)引用文献1に記載された事項 引用文献1には、以下の事項が記載されている。 「【発明の分野】 【0001】 本発明は、ガスバリア性を有する積層フィルムおよびその製造方法に関し、より詳細には、優れたガスバリア性を有しつつ透明性を備え、耐衝撃性にも優れる、ガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法に関する。」 「【0017】 まず、本発明のガスバリア性積層フィルムは、図1に示すように、基材フィルム1の一方の面に、基材の表面処理を行い、表面処理1a上に無機酸化物の蒸着膜2を設け、さらに、その無機酸化物の蒸着膜2の上に、ガスバリア性塗布膜3を設けた構成を基本構造とするものである。」 「【図1】 [図:0001407172000001.jpg] 」 「【0145】 包装用積層材 次に、本ガスバリア性積層フィルムを用いた包装袋として、一例としてガスバリア性積層フィルム、印刷層、ラミネート接着剤層、ヒートシール層を順次設けた包装材用積層材について説明する。」 「【0151】 ヒートシール性樹脂層 次に、ヒートシール性樹脂層について説明する。ヒートシール性樹脂層を構成するヒートシール性樹脂としては、熱によって溶融し相互に融著し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレ(当審注:「ポリプロピレ」は「ポリプロピレン」の誤記)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフイン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸、その他等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフイン系樹脂、その他等の樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。」 「【0161】 本発明においては、ラミネート用接着剤層とヒートシール性樹脂層との間に、樹脂フィルムを狭持してもよい。このような中間層を設けることにより、強度や耐突き刺し性等が向上する。樹脂のフィルムとしては、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた強度を有し、耐突き刺し性等に優れ、その他、耐熱性、防湿性、耐ピンホール性、透明性、その他等に優れた樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。 【0162】 具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、その他の強靱な樹脂フィルムないしシートを使用することができる。」 「【0174】 実施例1 (1)厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、次いで、下記に示す条件で、上記の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。 (蒸着条件) 蒸着面;コロナ処理面 導入ガス;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム1.0:3.0:3.0 (単位:slm) 真空チャンバー内の真空度;2~6×10-6mBar 蒸着チャンバー内の真空度;2~5×10-3mBar 冷却・電極ドラム供給電力;10kW ライン速度;100m/min 【0175】 次に、上記で膜厚200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kw、酸素ガス:アルゴンガス=7.0:2.5(単位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-5Torrで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させたプラズマ処理面を形成した。 【0176】 (2)他方、下記表1に示す組成に従って、組成(a)のEVOH、イソプロピルアルコール、およびイオン交換水の混合溶媒にて溶解したEVOH溶液に、予め調製した組成(b)のエチルシリケート40、イソプロピルアルコー、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水からなる加水分解液を加えて攪拌し、さらに予め調製した組成(c)のポリビニルアルコール水溶液、酢酸、イソプロピルアルコールおよびイオン交換水からなる混合液を加えて攪拌し、無色透明のバリア性塗布膜形成用組成物を得た。 【表1】 [図:0001407172000002.jpg] 【0177】 次に、上記の(1)で形成したプラズマ処理面に、上記で調製したガスバリア性塗布膜用組成物をグラビアロールコート法によりコーティングして、コーティング後、200℃の乾燥炉中を300m/分の速度で通過することにより、加熱処理を行い、厚さ0.4g/m2(乾操状態)のガスバリア性塗布膜を形成して、ガスバリア性積層フィルムを製造した。」 (2)引用発明 上記(1)からみて、実施例1に着目すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「ガスバリア性積層フィルムであって、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成し、酸化珪素の蒸着膜のプラズマ処理面に厚さ0.4g/m2(乾燥状態)のガスバリア性塗布膜を形成した、ガスバリア性積層フィルム。」 2 引用文献2(バリア性フィルムが用いられる積層フィルム(用途)について) (1)引用文献2に記載された事項 引用文献2には、以下の事項が記載されている。 「【0062】 [実施例1] (1)プラズマ保護層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムの製造 ポリエチレンテレフタレートを押出機より押出し、冷却ドラム上にキャストした後、縦延伸した。次に、このポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、以下の(表1)に示す成分からなる水を溶媒とする塗布液を塗布し、さらに横方向に延伸し、プラズマ保護層を有する、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを製造した。 (表1)塗布液の成分 水分散性型ポリウレタン 95重量部 エポキシ化合物 5重量部 【0063】 (2)プラズマ保護層面のプラズマ処理、無機酸化物の蒸着 上記(1)で製造したプラズマ保護層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムを図3の巻き取り式の真空蒸着装置(物理気相成長法装置)の巻き出し部に装着した。次いで、これを400m/minのライン速度で搬送し、前記プラズマ保護層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムのプラズマ保護層面を、13.56MHzの高周波電源を用いたイオンボンバードメント処理装置を用い、以下の(表2)に示す条件で、プラズマ処理としてイオンボンバードメント処理を行った。 (表2)イオンボンバードメント処理条件 導入ガス: アルゴンガス 導入ガス流量: 2000sccm プラズマ出力: 5kW (単位面積あたりのプラズマ処理強度 0.0375(W/cm2)・秒) 真空チャンバーの真空度: 2×10-2mbar 【0064】 次に、インラインで、以下(表3)に示す蒸着条件で、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、酸素パイプから酸素ガスを導入ながら、酸化アルミニウムを積層して巻き取り、本発明の透明ガスバリア性フィルムを製造した。このときの酸化アルミニウムの膜厚は30nmであった。 (表3)酸化アルミニウムの蒸着条件 蒸着源: アルミニウム コーティングチャンバー真空度: 5.0×10-4mbar 【0065】 (3)ガスバリア性塗布膜の形成 上記透明ガスバリア性フィルムを形成した後に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kw、酸素ガス(O2):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧8.0×10-5mbar、処理速度100m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化アルミニウムの蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させたプラズマ処理面を形成した。 【0066】 他方、下記の(表4)に示す組成に従って、調製した組成a.のポリビニルアルコール水溶液、イソプロピルアルコールおよびイオン交換水からなる混合液に、予め調製した組成b.のエチルシリケート、シランカップリング剤、イソプロピルアルコール、0.5N塩酸水溶液、イオン交換水からなる加水分解液を加え、充分に攪拌し、無色透明のバリア塗工液を得た。 (表4)バリア性塗工液の組成 a ポリビニルアルコール 2.33(wt%) (RS-110:株式会社クラレ製、ケン化度=99%、重合度=1,000) イソプロピルアルコール 2.70 H2O 51.75 b エチルシリケート 16.60 シランカップリング剤 1.66 (γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン) イソプロピルアルコール 3.90 0.5N塩酸水溶液 0.53 H2O 20.53 合 計 100.00(wt%) 【0067】 次に、上記の(1)で形成した酸化アルミニウムの蒸着膜のプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、100℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4μm(乾操状態)のガスバリア性塗布膜を形成し、ガスバリア性塗布膜を有する本発明の透明ガスバリア性フィルムを製造した。」 「【0069】 [実施例3] 表基材として、実施例1のガスバリア性塗布膜を有する透明ガスバリア性フィルムを使用し、このガスバリア性塗布膜面に、乾燥状態で3.5g/m2の膜厚となるように、接着剤を塗工し、中間基材のコロナ放電処理面と対向するように貼り合わせた。次に前記中間基材の反対面に、乾燥状態で3.5g/m2の膜厚となるように、接着剤を塗工し、ヒートシール性樹脂と貼り合わせ、レトルト用の本発明の包装材料を製造した。 なお、中間基材、ヒートシール性樹脂、接着剤として、以下に示す材料を使用した。 中間基材:厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ製「エンブレムONMB」) ヒートシール性樹脂:厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(DNPテクノフィルム製「ニューエキスパート」) 接着剤:2液硬化型ウレタン系接着剤」 (2)引用文献2記載事項 上記(1)からみて、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。 「基材層と、基材層に形成された蒸着層と、蒸着層の上のガスバリア性塗布膜とを有するガスバリア性フィルムと、延伸ナイロンフィルムと、未延伸ポリプロピレンフィルムとをこの順に有する積層フィルム。」 3 引用文献3(バイオマスポリエステル樹脂について) (1)引用文献3に記載された事項 引用文献3には、以下の事項が記載されている。 「【請求項1】 バイオマス由来成分を共重合してなるポリエステルであって、放射性炭素(炭素14)測定によるところのバイオマス由来炭素の含有割合が、ポリマー中の全炭素に対して10%以上であり、極限粘度が0.5以上であることを特徴とするポリエチレンテレフタレート。」 「【背景技術】 【0002】 ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記することがある。)は、機械的強度、化学的安定性、透明性等に優れ、かつ、安価であり、各種の繊維、シート、フィルム、容器等として世界中で最も多く使用されている合成樹脂素材のひとつである。 【0003】 ところで、PETは従来、石油から得られるナフサを接触改質、熱分解して得られるキシレン、エチレンを粗原料とし、キシレン→パラキシレン→テレフタル酸、およびエチレン→エチレンオキシド→エチレングリコールといった経路で得られたテレフタル酸(以下、TPAと略記することがある。)とエチレングリコール(以下、EGと略記することがある。)をエステル化反応後、重縮合反応させて製造されている。このように、従来のPETは、限りある貴重な化石資源である石油を原材料としたものである。さらに、従来のPETは、焼却廃棄された場合、本来化石資源中に封じ込められていた炭素が二酸化炭素となって空気中に放出されるため、新たに発生する二酸化炭素により温室効果が増長されることとなり、地球温暖化の一因となっている。 【0004】 これに対し、バイオマスの起源である植物は、太陽エネルギーと二酸化炭素および水から光合成により澱粉やセルロースなどの植物バイオマスを作ることができる。こういったバイオマスを出発原料として活用すれば石油資源の使用量を抑制することができ、例えばバイオマス由来の炭素をPETの原料として利用すれば、これが使用後焼却処理して炭酸ガスと水に分解されたとしても、それらは再び光合成によって植物に取り込まれることになり、究極のリサイクルシステムが構築できることになる。すなわち、バイオマス原料を用いた分、温室効果ガスである二酸化炭素の新たな増加を抑制できることになる。このことは最近「カーボンニュートラル」と称されているものであり、将来の望ましい姿であるとされている。 【0005】 現在、バイオマス由来の化学物質としては、トウモロコシ、サトウキビ、サツマイモなどから得られる澱粉や糖分を微生物で発酵させて得られたバイオマスエタノールが知られている。ポリエステル原料として使用可能なバイオマス由来物質としては、バイオマスエタノールを原料としたエチレングリコールやバイオマス由来の1,3-プロパンジオール(例えば、特許文献1参照)などがある。」 「【0007】 本発明は、石油資源の枯渇を抑制し、地球温暖化の原因物質である大気中の二酸化炭素の増加を抑制する手段として、従来のような石油系由来の原料のみからなるPETに替えて、生物産生のバイオマス素材を原料としたPETを提供しようとするものである。」 「【0011】 本発明のPETは、ポリマー物性としては従来の化石資源由来のPETに比べて何ら遜色を有するものではないため、繊維、不織布、シート、フィルムや成型物などの用途に使用することができ、自動車内装材用途においても好適に使用することができる。」 「【0014】 本発明のPETとしては、既述のとおり、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするものであるが、例えば、エチレンテレフタレートのみからなる場合、ポリマーを構成する炭素は、テレフタル酸モノマーで8原子、エチレングリコールモノマーで2原子存在し、テレフタル酸とエチレングリコールが1:1のモル比で反応したものとなる。ここで、テレフタル酸をバイオマス原料から誘導することは、現状では技術的な確立はなされていない。したがって、バイオマス由来のPETとしては、石油由来のテレフタル酸とバイオマス由来のエチレングリコールの組み合わせとなり、バイオマス由来のエチレングリコールのみを使用したPETでは、計算上バイオマス由来の炭素の含有割合は20.0%となる。また、上記エチレングリコールのうち、50モル%をバイオマス由来、残り50モル%を石油由来のエチレングリコールとした場合、得られるPET中のバイオマス由来炭素の含有割合は10%となる。或は、100%バイオマス由来のエチレングリコールからなるPETと100%化石資源由来からなるPETとのブレンド又は共重合体についても、バイオマス由来炭素の含有割合は10.0%となる。」 「【0016】 したがって、本発明のPETとしては、該バイオマス由来炭素の含有割合が10%未満である場合、得られるポリエステルとしては、石油資源の使用量削減や温室効果ガスの排出抑制の面では効果が乏しいものとなる。・・・」 「【0019】 また、放射性炭素(炭素14)の測定では、リサイクルポリエステルに対してもバイオマス由来の成分の含有割合を分析することができるため、バイオマス由来成分のリサイクル用途への循環利用の促進を図る上でも効果的な手法である。したがって、本発明のPETとしては、バイオマス由来成分を共重合して新たに得られたPETのみならず、バイオマス由来のPETが含有されてなるリサイクルPETも包含するものである。本発明のPETとしては、極限粘度が0.50以上であることが必要であり、0.60以上であることが好ましい。本発明のPETにおける極限粘度が0.5未満である場合、繊維、シート、フィルム、容器等として使用する際、強度や強靭さに欠ける結果となる。極限粘度の上限としては、特に規定しないが工業的に実施する際には設備能力、経済性を考慮して、1.2程度を上限とするのが好ましい。」 「【0021】 本発明のPETの製造にあたって使用できる重縮合触媒としては、・・・通常のPET用の重縮合触媒を使用することができる。・・・この添加量があまり少ないと溶融重合速度が遅く、逆に多すぎると触媒効果が飽和するばかりでなく、成形時にポリエステルが熱分解等を起こして物性が低下したり、着色したりして好ましくない。・・・」 「【0024】 次に、本発明のPETの加工法について説明する。本発明のPETを用いて繊維を製造する場合、300℃近い高温で溶融したPETをノズル孔から押し出し、冷却した糸条を延伸し、必要に応じて切断し、あるいはそのまま巻き取って製品とする。シート、フィルムの場合も繊維製造に準じて、細長いノズル孔から溶融PETを押し出し、必要に応じて延伸して製品とする。」 (2)引用文献3の記載から認定される事項 上記(1)からみて、引用文献3には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 ア PETは、エチレングリコールをジオール単位とし、テレフタル酸をジカルボン酸単位とする原料からなるものであるから、引用文献3に記載された「100%バイオマス由来のエチレングリコールからなるPET」(【0014】)は、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、石油由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とする原料からなるPETである。 イ 引用文献3の「バイオマス由来のエチレングリコールのみを使用したPETでは、計算上バイオマス由来の炭素の含有割合は20.0%となる。」(【0014】)の記載を踏まえると、「100%バイオマス由来のエチレングリコールからなるPETと100%化石資源由来からなるPETとのブレンド・・・についても、バイオマス由来炭素の含有割合は10.0%となる。」(【0014】)の記載における「ブレンド」は、100%バイオマス由来のエチレングリコールからなるPET50%と化石燃料由来のPET50%とをブレンドしたPET樹脂であることが理解できる。 (2)引用文献3記載事項 上記(1)、(2)からみて、引用文献3には、次の事項(以下「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。 「シート、フィルムに用いられるPET樹脂であって、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、石油由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするPET50%と、石油由来のエチレングリコールをジオール単位とし、石油由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とする、化石燃料由来のPET50%とをブレンドしたPET樹脂。」 4 周知の技術課題について 引用文献3の背景技術(【0002】~【0005】)に加え、同文献の【0007】に記載された課題から、次の事項は、周知の技術課題(以下「周知の課題」という。)であると認められる。 石油資源の枯渇を抑制し、地球温暖化の原因物質である大気中の二酸化炭素の増加を抑制する手段として、従来のような石油系由来の原料のみからなる樹脂に替えて、バイオマスを原料とした樹脂を提供すること。 第5 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「ガスバリア性積層フィルム」は本願発明の「バリア性フィルム」に相当し、以下同様に、「二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム」は「2軸延伸樹脂フィルムからな」る「基材層」に、「ガスバリア性塗布膜」は「ガスバリア性塗布膜」に、それぞれ相当する。 引用発明の「二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム」は、エチレングリコールをジオール単位とし、テレフタル酸をジカルボン酸単位とする原料からなるものであるから、本願発明の「前記2軸延伸樹脂フィルムが、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とする、バイオマスポリエステル樹脂と、化石燃料由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とする、化石燃料由来の原料からなるポリエステル樹脂と、を含んでなり、前記2軸延伸樹脂フィルム中に前記バイオマスポリエステル樹脂が50質量%以上90質量%以下含ま」れることとは、「2軸延伸樹脂フィルムが、エチレングリコールをジオール単位とし、テレフタル酸をジカルボン酸単位とする、ポリエステル樹脂を含んでな」る限りで一致する。 引用発明の「酸化珪素の蒸着膜」は、本願発明の「ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、鉛、ジルコニウム、イットリウム、またはこれらの酸化物の蒸着膜からなる」「前記蒸着層」に相当する。 そうすると、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「基材層と、前記基材層の少なくとも一方の面に形成された蒸着層と、前記蒸着層の上のガスバリア性塗布膜とを有するバリア性フィルムであって、 前記基材層が、2軸延伸樹脂フィルムからなり、 前記2軸延伸樹脂フィルムが、エチレングリコールをジオール単位とし、テレフタル酸をジカルボン酸単位とする、ポリエステル樹脂を含んでなり、 前記蒸着層が、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、鉛、ジルコニウム、イットリウム、またはこれらの酸化物の蒸着膜からなる、バリア性フィルム。」 [相違点1] 本願発明は、「前記バリア性フィルムが、前記バリア性フィルムと、延伸ナイロンフィルムと、未延伸ポリプロピレンフィルムとをこの順に有する積層フィルム(ただし、基材フィルム、無機酸化物の蒸着膜、ガスバリア性塗布膜、アンカーコート層およびヒートシール層を有する積層フィルムであって、前記ガスバリア性塗布膜が、一般式R1nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1~8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコ-ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコ-ル共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物からなり、前記ガスバリア性塗布膜上に、ポリエチレンイミンを含むアンカーコート組成物からなる前記アンカーコート層を設け、該アンカーコート層上に前記ヒートシール層を積層した、積層フィルムを除く。)に用いられるものであ」るのに対して、引用発明は、そのような積層フィルムに用いられるものか不明である点。 [相違点2] 2軸延伸樹脂フィルムが、エチレングリコールをジオール単位とし、テレフタル酸をジカルボン酸単位とする、ポリエステル樹脂を含んでなることに関して、本願発明は、「前記2軸延伸樹脂フィルムが、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とする、バイオマスポリエステル樹脂と、化石燃料由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とする、化石燃料由来の原料からなるポリエステル樹脂と、を含んでなり、前記2軸延伸樹脂フィルム中に前記バイオマスポリエステル樹脂が50質量%以上90質量%以下含ま」れるのに対して、引用発明は、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とする、バイオマスポリエステル樹脂を含まない点。 第6 判断 1 相違点1について (1)引用発明のバリア性フィルムが用いられる積層フィルム(用途)について 引用文献1には、ガスバリア性積層フィルム、印刷層、ラミネート性接着剤層、ヒートシール層とを順次設けて包装材用積層材とすることが記載され(【0145】)、ヒートシール性樹脂層としてポリプロピレンからなるフィルムを使用することが例示されている(【0151】)。また、引用文献1には、ラミネート用接着剤層とヒートシール層との間に中間層として樹脂フィルムを挟持することが記載され(【0161】)、当該樹脂フィルムの材料として、ポリアミド系樹脂を使用することが例示されている(【0162】)。 したがって、引用発明のバリア性フィルムは、ガスバリア性積層フィルム、印刷層、ラミネート性接着剤層、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレンフィルム(ヒートシール層)とを順次設けて包装材用積層材に用いられるものであることが分かる。 (2)判断 ア 上記認定した引用文献2記載事項は次のとおりである(上記第4 2(2))。 「基材層と、基材層に形成された蒸着層と、蒸着層の上のガスバリア性塗布膜とを有するガスバリア性フィルムと、延伸ナイロンフィルムと、未延伸ポリプロピレンフィルムとをこの順に有する積層フィルム。」 イ 引用発明と引用文献2記載事項とは、ガスバリア性フィルムを有する積層フィルムに関するものであり、そのうえ、上記(1)で述べた引用発明のバリア性フィルムが用いられる積層体フィルムに係るポリアミド系樹脂、ポリプロピレンフィルム(ヒートシール層)が順に積層される態様から、引用文献2記載事項に鑑み、引用発明のバリア性フィルムを、「前記バリア性フィルムと、延伸ナイロンフィルムと、未延伸ポリプロピレンフィルムとをこの順に有する積層フィルム」に用いるもの、すなわち、そのような用途の特定とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 ウ 除くとする発明特定事項について 引用発明及び引用文献2記載事項は、「基材フィルム、無機酸化物の蒸着膜、ガスバリア性塗布膜、アンカーコート層およびヒートシール層を有する積層フィルムであって、前記ガスバリア性塗布膜が、一般式R1nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1~8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコ-ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコ-ル共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物からなり、前記ガスバリア性塗布膜上に、ポリエチレンイミンを含むアンカーコート組成物からなる前記アンカーコート層を設け、該アンカーコート層上に前記ヒートシール層を積層した、積層フィルム」ではない。 エ まとめ 以上から、引用発明及び引用文献2記載事項に基づき、相違点1に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。 2 相違点2について (1)引用文献3記載事項について 石油由来は化石燃料由来といえるから、引用文献3記載事項は、シート、フィルムに用いられるポリエチレンテレフタレート樹脂が、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とする、50質量%のバイオマスポリエチレンテレフタレートと、化石燃料由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とする、化石燃料由来の原料からなるポリエチレンテレフタレートと、を含んでなるポリエチレンテレフタレート樹脂といえる。 (2)判断 そして、石油資源の枯渇を抑制し、地球温暖化の原因物質である大気中の二酸化炭素の増加を抑制する手段として、石油系由来の原料のみからなる樹脂に替えて、バイオマスを原料とした樹脂を用いることは周知の課題であり、当該課題は、PET樹脂を取り扱う際においても、当業者が普通に採用し検討し得る技術課題であるから、引用発明のポリエチレンテレフタレート(以下「PET」ともいう。)において、バイオマス由来の原料を用いたPETとすることの動機付けはあるといえる。 また、バイオマスPET、すなわちバイオマスポリエステル樹脂の含量をどの程度とするかは、環境負荷やコストなどを勘案して適宜決め得ることであり、バイオマスポリエステル樹脂を50質量%以上90質量%以下とすることは、当業者が適宜なし得たことにすぎない。 以上から、引用発明及び引用文献3記載事項に基づき、相違点2に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。 3 効果について 本願発明の奏する効果は引用発明、引用文献2記載事項及び引用文献3記載事項から当業者が予測可能な範囲内のものである。 4 令和5年11月24日提出の意見書における出願人の主張について (1)出願人の主張の概要 出願人は、令和5年11月24日提出の意見書において、次のように主張をしている。 (主張1)「引用文献3の実施例1~3及び比較例1において検証されたのは、短繊維及びボトルの形態です。フィルムの形態ではありません。従って、引用文献3の段落[0011]の「本発明のPETは、ポリマー物性としては従来の化石資源由来のPETに比べて何ら遜色を有するものではないため、繊維、不織布、シート、フィルムや成型物などの用途に使用することができ、」という記載のうち、不織布、シート、フィルムに関する記載は、実施例1~3及び比較例1等の実証実験に基づくものではありません。 即ち、引用文献3において、フィルムの樹脂を従来の化石資源由来のPETからバイオマス由来の炭素を含有したPETに置き換えた場合に、従来の化石資源由来のPETに比べて遜色のない特性がフィルムとして得られるか否かは、何ら検証されていません。言うまでもなく、フィルムの形態は、短繊維及びボトルの形態とは大きく異なります。・・・従いまして、引用発明における二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムをバイオマス由来の炭素を含有したポリエチレンテレフタレートフィルムに置き換えた場合に、引用文献3において短繊維及びボトルで実証されたような良好な結果が同様に得られると言える根拠はなく、また、そもそも引用文献3に記載のバイオマス由来の炭素を含有したPETを、引用発明における二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのような薄いフィルムに加工できることを認めるに足りる証拠も存在しません。 また、上述の通り、引用文献3では、実施例1~3及び比較例1の評価項目として、「重合性」及び「加工性」が挙げられています(引用文献3の段落[0035])。しかし、裏を返せば、このことは、従来の化石資源由来のPETをバイオマス由来の炭素を含有したPETに置き換えると、PETの加工方法及び加工形態に応じて「重合性」及び「加工性」に差が生じる可能性があることを示唆するものです。即ち、引用文献3の段落[0011]の「本発明のPETは、ポリマー物性としては従来の化石資源由来のPETに比べて何ら遜色を有するものではない」ということが文字通り真実であれば、そもそも重合性や加工性を評価する試験を行う必要もなく、引用文献3記載の発明自体も特許適格がないことを引用文献3記載の出願人(ユニチカ株式会社)が自ら認めることになり、明らかな矛盾と言えます。」 (主張2)「引用発明の目的・用途における技術的課題や、引用発明に求められる性能の観点から、バイオマス由来のポリエステル(ポリエステルはポリエチレンテレフタレートの上位概念)を引用発明に適用することには、明確な阻害要因が複数あります。」 (2)主張1について 引用文献3の「シート、フィルムの場合も繊維製造に準じて、細長いノズル孔から溶融PETを押し出し、必要に応じて延伸して製品とする。」(【0024】)の記載から、引用文献3には、「繊維製造に準じて」「シート、フィルム」を加工して「製品」とすることが記載されおり、また、引用文献3には、「バイオマス由来物質を原料としてなるポリエステルは、化学構造的には従来の石油材料起源のポリエステルとなんら変わらないため、ポリエステルとしての優れた物性はそのまま維持されている。」(【0006】)と記載されていることから、引用文献3記載事項のPET樹脂を、引用発明で用いられるような薄いフィルムに加工できることは、当業者であれば理解できるものである。 なお、「重合性」及び「加工性」に関する主張は、単に可能性があることを前提に述べていることであるから、採用すべき点はない。 したがって、引用発明の基材の樹脂として、引用文献3記載事項を適用することについて、上記2で述べたとおり動機がある。 (3)主張2について バイオマス由来の成分を用いることによって樹脂組成物の性能等が一定程度損なわれることがあるとしても、当業者は、これを補うために調整等を試みるのが通常であるから、仮に請求人が主張するバイオマス由来のものにおける問題があるとしても、そのことによって、引用発明のポリエチレンテレフタレートフィルムをバイオマス由来のものに置き換えようとすることが阻害されるものではない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項及び引用文献3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-012394

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