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特許拒絶査定不服審判

2022-012318

散剤計量分包装置

審判番号
2022-012318
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-163875外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年08月08日
審決日
2023年08月15日
公報発行日
2023年10月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A61J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-163875「散剤計量分包装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 3月 5日出願公開、特開2020- 32148〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 14項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成30年 8月31日の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。

令和 3年12月21日付け:拒絶理由通知書
令和 4年 2月26日 :意見書及び手続補正書の提出
令和 4年 4月27日付け:拒絶査定
令和 4年 8月 8日 :審判請求書及び同時に手続補正書の提出
令和 5年 1月11日付け:拒絶理由通知書
令和 5年 3月 9日 :意見書及び手続補正書の提出

第2 本願発明

本願の特許請求の範囲の請求項1~5に係る発明は、令和 5年 3月 9日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「散剤容器の散剤を、中間容器に量り出すために計量を行う計量部と、
前記中間容器に収容された前記散剤を分配部に直接排出する排出部と、
前記排出部が前記分配部に排出した前記散剤を所定量ずつ包装する分包部と、
前記散剤が収容された前記中間容器を搬送する搬送部と、
続きを表示(全11行)
制御装置と、
を備え、
前記搬送部は、独立して動作可能である、第1搬送部と、第2搬送部と、を備え、
前記制御装置は、
前記第1搬送部を制御して、前記計量部から、前記排出部による排出を待機する排出待機位置まで前記中間容器を搬送する第1搬送と、
前記第2搬送部を制御して、前記排出待機位置から前記排出部まで前記中間容器を搬送する第2搬送と、
を並行して行うことを特徴とする散剤計量分包装置。」

第3 拒絶の理由

当審が令和 5年 1月11日付けで通知した拒絶理由は、本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

記

引用文献1:特開平11-226087号公報
引用文献2:特開平11-114025号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明

1 引用文献1の記載

上記引用文献1には、次の事項が記載されている。(下線は、当審で付した。以下同じ。)。

ア「【0010】本発明の散薬取出装置は(、出願当初の請求項1に記載の如く)、多数の散薬カセットと、これらの散薬カセットを移動させるカセット移動機構と、前記散薬カセットから取り出した散薬を受ける散薬容器を移送する搬送機構とを備えた散薬取出装置であって、前記搬送機構はその搬送経路の全部又は一部が折り畳まれたものであることを特徴とする。

【0011】なお、この明細書において「折り畳まれた」とは、単に搬送方向を変えるために搬送経路が折り曲げられた状態を超えて或る程度の散薬容器を搬送経路上に一時停留しておける程度にまで搬送経路が折り曲げられている状態をいい、具体的には、一往復半以上も行き来する曲折状態や、一回転を超えて巡回・螺旋回転等する曲折状態が挙げられる。」

イ「【0012】このような構成の散薬取出装置にあっては、各種の散薬は、多数の散薬カセットに分けて収容され、処方情報等に応じて適宜そこから取り出されるため、散薬供給が自動で散薬容器ごとに分けて行われる。そして、その散薬容器を単位として計量装置や分割装置さらには分包機などの後続装置への散薬供給が自動で又は人手を介して適宜遂行される。しかも、散薬カセットから散薬容器に対する散薬取り出し位置までは散薬カセットに収容されたままで運ばれるので、この間は未だ閉じ込められている。そして、該当散薬カセットが散薬の取出位置まで移動してから必要な散薬が散薬容器へ取り出され、この散薬容器が移動することで、各種の散薬が集められるとともに後続装置への散薬供給等も行われる。

【0013】また、散薬の入った散薬容器は、後続装置や介在人への散薬供給位置まで搬送機構によって次々に移送されるが、先着分が散薬供給位置に残されていると、後続の散薬容器は、搬送経路上に連なって止められる。その際、搬送経路のうち折り畳まれたところには多数の散薬容器が止め置かれる。そして、先着の散薬容器が散薬供給位置から取り除かれると、後続分が速やかに順次送り込まれる。」

ウ「【0025】

【実施例】本発明の散薬取出装置および散薬容器搬送装置の一実施例について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、散薬容器搬送装置を組み込んだ散薬取出装置について、それらの搬送系を中心に斜め上から視た簡略図である。また、図2は、装置の全体構成を示す模式図であり、前扉や前板等を外した状態の正面図について、フレームやボルト等の図示を割愛するとともに各要素の形状等も簡略化して示したものである。」

エ「【0027】この散薬取出装置は、図中、左から右に、カップ供給ユニットA、カセット収納ユニットB(収納庫)、カセット収納ユニットC(収納庫)、そしてカップ搬送ユニットDが順に配置連結されたものである(図2参照)。なお、このカップ搬送ユニットDは、カセット収納ユニットCとの間の連結用ボルト等を緩めると簡単に散薬取出装置から切り離せる散薬容器搬送装置となっている。

【0028】カップ供給ユニットAには、調剤のためにカセット30から取り出した散薬を入れて搬送したり計量したりするためのカップ1(散薬容器)を供給するカップ供給機構14が設けられている(図2参照)。そして、カップ供給機構14の上等にゴミ除け等のため逆さ状態で積み重ねられた多数のカップ1を、順に一つずつ、図示しないアーム等にて反転させながら、カセット収納ユニットBの搬送機構10へ供給するようになっている。なお、カップ供給ユニットA上部の空いているところには、電源部2や散薬取出装置のコントローラ80も格納されている。

【0029】カセット収納ユニットBには、下方に横たわる搬送機構10(散薬容器供給用搬送装置)と、縦に長いループ状のチェイン等からなるカセット循環機構20(カセット移動機構)と、カセット循環機構20に対しほぼ等間隔で取着された複数個のカセット30(散薬カセット)と、電子秤50(計量装置)とが設けられている。さらに、駆動部40(散薬取り出しの駆動機構)や、リーダライタ52(データアクセス装置)、リーダライタ54(データ読取装置)、リーダ56(データ読取装置)なども設けられている(図2参照)。

【0030】カセット収納ユニットCは、カセット収納ユニットBと同じ構造のユニットである。これらは、散薬の種類そして散薬カセットの必要数に対応して、必要なユニット数が左右に連結されるようになっている(図2参照)。これにより、多数の散薬カセット30が複数の収納庫B,Cに分離して収納されるようになっている。

【0031】カップ搬送ユニットDには、カセット収納ユニットCの搬送機構10によって搬送された来たカップ1を更にカップ昇降機構115のところまで運ぶ同様の搬送機構10と、そのカップ1を乗せて上下移動するカップ昇降機構115と、カップ昇降機構115の上昇した高さのところで行きつ戻りつして(図1,図2では一往復半、図6,図7では二往復半)折り畳まれた搬送経路を形成する搬送機構110及びターンテーブル114と、搬送機構110等の上方に配置されたコントローラ180等と、搬送機構110等の下方に配置されたバーコードプリンタ130とが設けられている(図1,図2参照)。」

オ「【0042】電子秤50は、散薬取り出し位置に来たカセット30の少し下のところで、搬送機構10の上下のベルト11の間に設置されている(図3参照)。電子秤50には、単独で或いは本体と共に昇降しうる支承片51が設けられていて、上昇したときだけ、ベルト11でカセット30の排出路35の出口直下へ搬送されて来たカップ1を、ベルト11の切れ目から支承して、その重さを秤量する(図4参照)。そして、カセット30からそこのカップ1へ散薬が取り出されると、その散薬の分だけ秤量値も増加する。これにより、電子秤50(計量装置)は、散薬カセット30から取り出した散薬を計量するものとなっている。」

カ「【0053】さらに、コントローラ180は(図9参照)、散薬容器搬送装置であるカップ搬送ユニットDを直接制御するための制御用コンピュータシステムであり、上述した各モータやリーダライタ等とインターフェイス(I/F)を介して接続されるとともに、各種の処理を担うルーチンやデータも保持している。すなわち、コントローラ80と交信するデータ受信ルーチン181や、容器搬送ルーチン182、案内ルーチン183などがインストールされているが、その具体的な処理については以下の動作説明にて例示する。

【0054】この実施例の散薬取出装置および散薬容器搬送装置について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図10(a)は、各装置の設置状況を示す配置図である。この配置例では、一台の散薬補給機4の両側にそれぞれ上述の散薬取出装置が設置され、さらにその脇に何れの散薬取出装置のカセット30にも収容されない散薬等も含めて各種の散薬を格納した薬品棚5も並べられるとともに、通路を挟んでそれらと対向するところに複数の例えば5台の散薬分包機70が設置されている。

【0055】散薬分包機70は、その本体部71内に、断面が円弧状に窪んだ環状凹溝72を具えた回転体と、散薬の配分時に回転体を定速回転させるとともに散薬の分割時に分割数に応じた角度ずつ回転体を回動させる図示しない駆動装置とを具えている(図10(b)参照)。また、散薬分包機70は、回転体の内側から環状凹溝上へ突き出して設けられた切出装置73も具えており、この切出装置73は、環状凹溝72の円弧状内側面に接触する円形の仕切板の側面に、所定幅の切出板が形成されたものであり、仕切板が環状凹溝72の円弧状内側面に治って1回転すると、切出板がその幅相当分に集められた散薬を環状凹溝72から切り出して包装装置のホッパ74に導入するようになっている。さらに、散薬分包機70の上方には、カップ1へ取り出されて運ばれて来た散薬を環状凹溝72へ均等に送り込むため、振動フィーダ60も付設されている。」

キ「【0066】そして、やはり所要の散薬を収容し終えた第1のカップ1は、容器移動ルーチン87の制御に従って作動する搬送機構10によりカセット収納ユニットC内を搬送されてカップ搬送ユニットDに至り、その後は容器搬送ルーチン182の制御に従って、カップ搬送ユニットDの搬送機構10によってカップ昇降機構115のところへ運ばれ、さらにカップ昇降機構115によって規制板117の搬入窓119から搬送窓118へ送り込まれ、それから搬送機構110及びターンテーブル114によってUターンを繰り返しながら奥から手前へと運ばれる(図7の点線矢印を参照)。続けて、第2のカップ1も、同様にして搬送機構110のところへ運ばれ、順に手前へ詰められる。こうして、処方箋に基づき、第1~第3のカセット30の散薬が、所定量だけ取り出されて、カバー147の下に収集される。」

ク「【0069】…こうして、一台の散薬取出装置において一の処方箋に基づいて第1,第2の二つのカップ1に収容された散薬が取り出し可能な状態となる。

【0070】同様にして、同じ散薬取出装置において他の処方箋に基づいて他のカップに収容された散薬も、順次、搬送機構110及びターンテーブル114上に運ばれて、折り畳まれた搬送路に貯め込まれる。他方の散薬取出装置についても同様である。こうして、散薬を自動収集した各カップ1が揃うと、作業者は、散薬取出装置の散薬容器搬送装置のカバー147を開けて先頭のカップ1から順に取り出し、調剤指示箋を参照しながら適宜の散薬分包機70のところへ持っていき、その散薬を該当するフィーダ60に投入する。なお、カップ1は5個まで纏めて取り出せるので、カバー147は速やかに閉じられる。

【0071】このような手作業でフィーダ60に投入された散薬は、該当する散薬分包機70によって自動的に分割分包される。すなわち、その散薬はフィーダ60によって散薬分包機70の環状凹溝72の全周にわたってほぼ均等に配分され、それから、散薬分包機70では、環状凹溝72を所定の包数に相当する分割数に応じた角度ずつ回転させながら、切出装置73の切出板を1回転ずつ繰り返し回転させ、それにより、環状凹溝72内の散薬を1包相当分ずつ切り出して、包装装置のホッパ74に順次投入する。これを受けて、散薬分包機70内の包装装置は、その散薬を1包分ずつ分包するのである。

【0072】こうして、各散薬取出装置によって自動収集された散薬は、人手を介した後、再び各散薬分包機によって自動分包される。これにより、各カセット30に収納されている所定の散薬が、所定の量だけ処方されるとともに、所定の包数に分包されるのである。そして、その際に、各散薬取出装置の処理量に変動があると、例えば図10(a)に示す如く、左方の散薬取出装置で2カップが取り出し可能になる一方、右方の散薬取出装置では4カップが取り出し可能になったような場合でも、それぞれが何れか適宜の散薬分包機70に割り振られるので、散薬取出装置および散薬分包機の双方とも無駄無く処理を継続することができる。」

ケ「【0074】このような場合、人手の介在や各装置の処理タイミングのばらつき等によって、該当する散薬分包機70の処理開始が遅れたりしても、他の調剤は空いた別の散薬分包機70を利用して待たされることなく進められる。また、散薬取出装置からのカップ取り出しに作業者の手が回らないようなときでも、散薬取出装置の散薬容器搬送装置における折り畳まれた搬送路に多数のカップが貯められて、散薬取出装置における散薬の収集は滅多に止まること無く継続される。」

コ「

[図:0001402371000001.jpg]

」

サ「

[図:0001402371000002.jpg]

」

2 引用発明

上記1の事項ア~サを総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「多数の散薬カセット30と、散薬カセット30から取り出した散薬を入れるカップ1を移送する搬送機構とを備えた、散薬容器搬送装置を組み込んだ散薬取出装置であって、
カップ供給ユニットA、カセット収納ユニットB、C、及び散薬容器搬送装置であるカップ搬送ユニットDが順に配置連結されたものであり、
カップ供給ユニットAには、調剤のために散薬カセット30から取り出した散薬を入れて搬送したり計量したりするためのカップ1を供給するカップ供給機構14が設けられ、
カセット収納ユニットB、Cには、搬送機構10と、複数個の散薬カセット30と、散薬カセット30から取り出した散薬を計量する電子秤50とが設けられ、
続きを表示(全16行)
カップ搬送ユニットDには、搬送機構10と、カップ昇降機構115と、折り畳まれた、すなわち、或る程度のカップ1を搬送経路上に一時停留しておける程度にまで搬送経路が折り曲げられている状態の搬送経路を形成する搬送機構110及びターンテーブル114と、カップ搬送ユニットDを直接制御するための制御用コンピュータシステムであるコントローラ180と、が設けられ、
所要の散薬を収容し終えたカップ1は、搬送されてカップ搬送ユニットDに至り、カップ搬送ユニットDの搬送機構10と、カップ昇降機構115と、搬送機構110及びターンテーブル114とによって順次運ばれ、折り畳まれた搬送経路に貯め込まれる、
散薬取出装置と、
散薬取出装置と対向するところに設置され、
カップ1へ取り出されて運ばれて来た散薬を回転体の環状凹溝72へ均等に送り込むための振動フィーダ60と、回転体の内側から環状凹溝72上へ突き出して設けられ、切出板が散薬を環状凹溝72から切り出す切出装置73と、切り出した散薬を1包分ずつ分包する包装装置と、を備えた、
散薬分包機70と、
からなる装置であって、
散薬取出装置の散薬容器搬送装置における折り畳まれた搬送経路に多数のカップ1が貯められることで、散薬取出装置における散薬の収集は継続されるとともに、
散薬取出装置において一の処方箋に基づいてカップ1に収容された散薬が取り出し可能な状態となると、作業者は、カップ1を取り出し、散薬分包機70のところへ持っていき、その散薬を振動フィーダ60に投入するものであり、
手作業で振動フィーダ60に投入された散薬が、振動フィーダ60によって環状凹溝72の全周にわたってほぼ均等に配分され、切出装置73の切出板が1回転ずつ繰り返し回転して1包相当分ずつ切り出され、自動的に分割分包されることで、
散薬取出装置によって自動収集された散薬は、人手を介した後、再び散薬分包機70によって自動分包される、
装置。」

3 引用文献2の記載

上記引用文献2には、次の事項が記載されている。

ア「【0015】この散薬供給装置は、図中、左から右に、カップ供給ユニットA、カセット収納ユニットB(収納庫)、カセット収納ユニットC(収納庫)、カップ昇降ユニットD、カセット収納ユニットE(収納庫)、カセット収納ユニットF(収納庫)、そしてカップ収容ユニットGが順に配置連結されたものであり、さらにカセット収納ユニットE及びカセット収納ユニットFの下方には散薬分包ユニットHも配置されている(図1参照)。」

イ「【0025】カップ収容機構16は、カセット収納ユニットFの搬送機構10からカップ1を受け取って収容するものであるが(図1参照)、その際に、図示しないアーム等によって、カップ1のデータキャリア3とリーダ58の非接触結合素子59との結合可能なところへカップ1を運び、さらに、カップ1内の散薬をフィーダ60のホッパ61内へ移し替えるようになっている(図4参照)。このように、リーダ58(データ読取装置)は、計量容器の搬送終端に配置されたものとなっている。」

ウ「【0054】そして、フィーダ制御ルーチン88の制御に従って、フィーダ60は振動しながら散薬を散薬分包機70の定速回転している環状凹溝72へ送り込む。その際におけるフィーダ60の振動周波数は、値“150”から値“250”まで逐次変化した後、一気に値“400”へ跳んで、そこから値“460”まで逐次変化する。その後、値“150”へ跳んで戻り、再び同様の変化を繰り返す(図4(b)参照)。そのサイクル数は、散薬の量等に応じてフィーダ制御ルーチン88により適宜設定される。

【0055】こうして、各種の散薬がそれぞれの共振周波数で速やかに且つ円滑に散薬分包機70の環状凹溝72の全周にわたって実質的に均等に配分される。そして、配分が終了したら、環状凹溝72を所定の包数に相当する分割数に応じた角度ずつ回転させながら、切出装置73の切出板を1回転ずつ繰り返し回転させ、それにより、環状凹溝72内の散薬を1包相当分ずつ切り出して、包装装置のホッパ74に順次投入する。これを受けて、散薬分包機70内の包装装置は、その散薬を1包分ずつ分包する。」

第5 対比

本願発明と引用発明とを対比する。

1 引用発明の「散薬」は、本願発明の「散剤」に相当する。

同様に、その機能及び構造からみて、

「散薬カセット30」は、「散剤容器」に、

「カップ1」は、「中間容器」に、

「散薬カセット30から取り出した散薬を計量する電子秤50」は、「散剤容器の散剤を、中間容器に量り出すために計量を行う計量部」に、

「散薬容器搬送装置であるカップ搬送ユニットD」は、「前記散剤が収容された前記中間容器を搬送する搬送部」が「備え」る「第1搬送部」に、

「カップ搬送ユニットDを直接制御するための制御用コンピュータシステムであるコントローラ180」は、「前記第1搬送部を制御」する「制御装置」に、それぞれ相当する。

2 引用発明の「カップ搬送ユニットD」に設けられる「折り畳まれた、すなわち、或る程度のカップ1を搬送経路上に一時停留しておける程度にまで搬送経路が折り曲げられている状態の搬送経路を形成する搬送機構110及びターンテーブル114」は、「所要の散薬を収容し終えたカップ1は、搬送されてカップ搬送ユニットDに至り、カップ搬送ユニットDの搬送機構10と、カップ昇降機構115と、搬送機構110及びターンテーブル114とによって順次運ばれ、折り畳まれた搬送経路に貯め込まれ」、その後、「作業者」が「散薬分包機70のところへ持っていき、その散薬を振動フィーダ60に投入する」ことを踏まえれば、本願発明の「排出待機位置」に相当する。

そして、引用発明の「所要の散薬を収容し終えたカップ1は、搬送されてカップ搬送ユニットDに至り、カップ搬送ユニットDの搬送機構10と、カップ昇降機構115と、搬送機構110及びターンテーブル114とによって順次運ばれ、折り畳まれた搬送経路に貯め込まれる」搬送は、カップ搬送ユニットDを直接制御するための制御用コンピュータシステムである「コントローラ180」によって制御されることは明らかであるから、本願発明の「前記制御装置」が「前記第1搬送部を制御して」「行う」、「前記計量部から、」「排出を待機する排出待機位置まで前記中間容器を搬送する第1搬送」に相当する。

3 引用発明の「散薬分包機70」の「カップ1へ取り出されて運ばれて来た散薬を回転体の環状凹溝72へ均等に送り込むための振動フィーダ60と、回転体の内側から環状凹溝72上へ突き出して設けられ、切出板が散薬を環状凹溝72から切り出す切出装置73」は、散薬を切り出して分配するための構成であるから、本願発明の「分配部」に相当する。

そして、引用発明の、「散薬取出装置において一の処方箋に基づいてカップ1に収容された散薬が取り出し可能な状態となると、作業者は、カップ1を取り出し」て「持ってい」く先である「散薬分包機70」が備える、上記「振動フィーダ60」は、作業者が「その散薬を振動フィーダ60に投入する」ことから、本願発明の「前記中間容器に収容された前記散剤を」「排出する」先である「分配部」に相当する。

4 引用発明の「切り出した散薬を1包分ずつ分包する包装装置」は、カップ1から分配部である散薬分包機70の振動フィーダ60に投入された散薬を、環状凹溝72及び切出装置73を介して受け取り、分包するものであることを踏まえれば、本願発明の「前記分配部に排出した前記散剤を所定量ずつ包装する分包部」に相当する。

5 引用発明の「散薬取出装置において一の処方箋に基づいてカップ1に収容された散薬が取り出し可能な状態となると、」「カップ1を取り出し、散薬分包機70のところへ持っていき、その散薬を振動フィーダ60に投入する」「作業者」と、本願発明の「前記中間容器に収容された前記散剤を」対象として、「前記制御装置」が「制御して、前記排出待機位置から前記排出部まで前記中間容器を搬送する第2搬送」「を」「行う」、「前記散剤が収容された前記中間容器を搬送する搬送部」が「備え」る「前記第2搬送部」及び「排出部」とは、搬送手段及び排出手段である限りで一致する。

6 上記1で対比した、引用発明の「散薬容器搬送装置であるカップ搬送ユニットD」は、本願発明の「前記散剤が収容された前記中間容器を搬送する搬送部」が「備え」る「第1搬送部」に相当する点と、上記5で対比した、引用発明の「作業者」と、本願発明の「前記散剤が収容された前記中間容器を搬送する搬送部」が「備え」る「前記第2搬送部」とは、搬送手段である限りで一致する点とを総合すると、引用発明の「散薬容器搬送装置であるカップ搬送ユニットD」及び「作業者」と、本願発明の「前記散剤が収容された前記中間容器を搬送する」、「第1搬送部と、第2搬送部と、を備え」る「搬送部」とは、「前記散剤が収容された前記中間容器を搬送する」、「第1搬送部と搬送手段とを備え」る「搬送部」の限りで一致する。

7 引用発明の、「散薬取出装置と、」「散薬分包機70と、」「からな」り、「散薬取出装置によって自動収集された散薬は、人手を介した後、再び散薬分包機70によって自動分包される、装置」と、本願発明の「散剤計量分包装置」とは、「散剤の計量と分包を行う装置」の限りで一致する。

そうすると、両者は、

「散剤容器の散剤を、中間容器に量り出すために計量を行う計量部と、
前記中間容器に収容された前記散剤を分配部に排出する排出手段と、
前記排出手段が前記分配部に排出した前記散剤を所定量ずつ包装する分包部と、
前記散剤が収容された前記中間容器を搬送する搬送部と、
制御装置と、
を備え、
前記搬送部は、第1搬送部と搬送手段とを備え、
前記制御装置は、
前記第1搬送部を制御して、前記計量部から、前記排出手段による排出を待機する排出待機位置まで前記中間容器を搬送する第1搬送を行う、
散剤の計量と分包を行う装置。」

である点で一致し、以下の各点で相違する。

[相違点1]

本願発明は、前記中間容器に収容された前記散剤を分配部に「直接」排出するのに対して、引用発明は、そのように特定されていない点。

[相違点2]

前記中間容器に収容された前記散剤を対象とした搬送手段及び排出手段に関して、

搬送手段が、本願発明では、「前記制御装置」が「制御して、前記排出待機位置から前記排出部まで前記中間容器を搬送する第2搬送」「を」「行う」、「搬送部」が「備え」る「前記第2搬送部」であるのに対して、引用発明では、「散薬取出装置において一の処方箋に基づいてカップ1に収容された散薬が取り出し可能な状態となると、」「カップ1を取り出し、散薬分包機70のところへ持ってい」く「作業者」であり、

また、排出手段が、本願発明では、「排出部」であるのに対して、引用発明では、「その散薬を振動フィーダ60に投入する」「作業者」であることで、

「散剤の計量と分包を行う装置」が、本願発明では「散剤計量分包装置」であるのに対して、引用発明では、「散薬取出装置と、」「散薬分包機70と、」「からな」り、「散薬取出装置によって自動収集された散薬は、人手を介した後、再び散薬分包機70によって自動分包される、装置」である点。

[相違点3]

本願発明は、前記搬送部は、第1搬送部と第2搬送部とが「独立して動作可能であ」り、前記制御装置が、第2搬送を第1搬送と「並行して行う」のに対して、引用発明は、「散薬取出装置の散薬容器搬送装置における折り畳まれた搬送経路に多数のカップ1が貯められることで、散薬取出装置における散薬の収集は継続されるとともに、散薬取出装置において一の処方箋に基づいてカップ1に収容された散薬が取り出し可能な状態となると、作業者は、カップ1を取り出し、散薬分包機70のところへ持っていき、その散薬を振動フィーダ60に投入する」点。

第6 判断

上記相違点1~3について検討する。

1 相違点1について

引用発明は、カップ1内の散薬が作業者によって振動フィーダ60に投入されるものであるところ、当該振動フィーダ60は、本願発明の「分配部」の一部を構成するものであって(上記第5の3参照)、振動フィーダ60による散薬の環状凹溝72へ配分と、配分された散薬の切出装置73による切り出しとにより散薬の分配が成されることに照らせば、引用発明において、カップ1内の散薬の作業者による振動フィーダ60への投入、すなわち排出は、直接行われているというべきである。

よって、上記相違点1は、実質的な相違点ではない。

仮に、本願発明における「前記中間容器に収容された前記散剤を分配部に直接排出する」との発明特定事項が、中間容器に収容された散剤を、振動フィーダへ移し替えることなく、散剤が収容された中間容器それ自体を振動装置上に載置してフィーダとして機能させることで分配皿に排出することである(本願明細書【0056】~【0060】参照。)としても、散剤を収容した容器を振動装置上に設置してフィーダとして機能させることは、例を挙げるまでもなく本願出願前周知の技術事項であるといえることを踏まえれば、上記相違点1に係る本願発明の事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことにすぎない。

2 相違点2、3について

上記第4の3ア~ウのとおり、引用文献2には、カップ供給ユニットA、カセット収納ユニットB、C、カップ昇降ユニットD、カセット収納ユニットE、F及びカップ収容ユニットGが順に配置連結され、さらにカセット収納ユニットE、Fの下方に散薬分包ユニットHが配置され、カップ収容ユニットGのカップ収容機構16は、カセット収納ユニットFの搬送機構10からカップ1を受け取り、アーム等によってカップ1内の散薬をフィーダ60のホッパ61へ移し替え、散薬分包ユニットHのフィーダ60は、振動しながら散薬を散薬分包機70の環状凹溝72へ送り込み、その全周に亘って実質的に均等に配分し、散薬分包機70は、環状凹溝72を所定の包数に相当する分割数に応じた角度ずつ回転させながら、切出装置73の切出板を1回転ずつ繰り返し回転させ、それにより、環状凹溝72内の散薬を1包相当分ずつ切り出して、包装装置のホッパ74に順次投入し、包装装置は、その散薬を1包分ずつ分包する、散薬供給装置が記載されている。

引用文献1には、上記第4の1イの「散薬容器を単位として計量装置や分割装置さらには分包機などの後続装置への散薬供給が自動で又は人手を介して適宜遂行される。」及び「散薬の入った散薬容器は、後続装置や介在人への散薬供給位置まで搬送機構によって次々に移送される」との記載から、人手によらず包装までの工程を自動化して1つの装置とすることが示唆されており、このことは製造装置における一般的な課題である。

そして、引用発明において、引用文献1の上記示唆や上記一般的な課題に際して、作業者が行うカップ1の搬送やカップ1からの散薬の排出を搬送装置や排出装置により行うことは、当業者が容易に想到し得たことであって、具体的に引用文献2の上記事項を参酌し、「散薬カセット30から取り出した散薬を入れて搬送したり計量したりするためのカップ1」を、排出待機位置である「搬送機構110及びターンテーブル114」から、その散薬を振動フィーダ60に投入する位置まで搬送する搬送部を設け、さらに、当該搬送部上のカップ1から振動フィーダ60へ散薬を排出する排出部を設けることで、上記相違点2に係る本願発明の事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

ここで、引用発明が備える「散薬容器搬送装置であるカップ搬送ユニットD(以下「カップ搬送ユニットD」という。)」と「作業者」との関係について考察すると、引用発明のカップ搬送ユニットDを制御して行う「散薬取出装置における散薬の収集」の継続動作は、折り畳まれた搬送経路に多数のカップ1が貯められる限りにおいて、作業者による「カップ1を取り出し、散薬分包機70のところへ持って行」く搬送作業の有無に関わりなくなされるものであると解されるのであって、当該継続動作と当該搬送作業とは、互いに独立してなされ、同時にも行われ得る、すなわち、並行して行われ得るというべきであることからみて、作業者は、カップ搬送ユニットDと独立して動作可能であり、また、当該作業者によるカップ1の搬送は、カップ搬送ユニットDを制御して行うカップ1の搬送と並行して行われると解するのが相当であるから、引用発明に対し上述のような自動化の改変を加えるにあたって、カップ搬送ユニットDと新たに設ける搬送部とを「独立して動作可能」に構成し、かつ、制御装置が、この2つの搬送機構による搬送を「並行して行う」よう構成することは、当業者が適宜なし得たことである。

したがって、引用発明について上記相違点2、3に係る本願発明の事項とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

なお、本願発明において特定される「排出部」への排出が、中間容器に収容された散剤を、振動フィーダへ移し替えることなく、散剤が収容された中間容器それ自体を振動装置上に載置してフィーダとして機能させることで分配皿に排出することであるとしても、上記相違点1についての検討で説示したとおり、本願出願前周知の技術事項を単に適用したものにすぎない。

3 効果の検討

そして、上記相違点1~3を総合的に勘案しても、本願発明の奏する効果は、引用発明及び引用文献2の記載事項の奏する効果から当業者が予測し得る範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

4 小活

よって、本願発明は、引用発明及び引用文献2の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第7 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-012318

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