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意匠拒絶査定不服審判

2022-011860

電動アシスト自転車用フレーム

審判番号
2022-011860
法域
意匠
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
意願2021-016438外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
1739378
請求日
2022年08月01日
審決日
2022年12月21日
公報発行日
2023年03月31日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
D18 .113-WY (G2-4)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
意匠法3条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
意匠法第3条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

意願2021-16438「電動アシスト自転車用フレーム」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。

理由

目次 ▾ 9項目
理 由

第1 手続の主な経緯

本願は、令和3年(2021年)7月29日の意匠登録出願であって、令和4年2月16日付けの拒絶理由の通知に対し、同年3月30日に意見書が提出されたが、同年6月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年8月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「電動アシスト自転車用フレーム」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」ともいう。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり「青色で着色された部分以外が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由(以下「本件拒絶理由」という。)は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって、拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい、本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は、下記のとおりである(別紙第2参照)。

引用意匠

サイクルスポーツ 2019年 6月20日9号

第218頁所載

「自転車」の意匠 の本願に相当する部分

(特許庁意匠課公知資料番号第HA31004361号)

第4 当審の判断

1.本願意匠

本願意匠は、上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると、以下のとおりである。

(1)意匠に係る物品

本願意匠の意匠に係る物品は「電動アシスト自転車用フレーム」である。

(2)本願部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能

本願意匠に係る物品のうち、意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は、ダウンチューブ部分とモーターを搭載するハウジング(以下、単に「モーターハウジング」という。)部分を合わせた部分であって、電動アシスト自転車用フレームの、ヘッドチューブ上端とトップチューブの前端が接続している箇所から、シートチューブ下端及びチェーンステー前端までの位置、大きさ及び範囲であって、バッテリーを搭載したダウンチューブとモーターハウジング部の用途及び機能を有するものである。

(3)本願部分の形状等

なお、本願部分の形状等の認定にあたっては、自転車の進行方向を考えて、「正面図」の、右側を「前」、左側を「後」、上側を「上」、下側を「下」、「平面図」の、上側を「左」、下側を「右」とする。

〔形状A1〕ダウンチューブ部分は、略八角柱状であって、上面、左右にある上側角面、左右の側面、左右にある下側角面、及び下面から成り、各面の接する辺は直線平行状である。

〔形状A2〕ダウンチューブの下側にセッティングされたバッテリーは、ダウンチューブ下面の長さの約3分の2を占めている。

〔形状A3〕ダウンチューブの下側にセッティングされたバッテリーの厚みは、ダウンチューブの厚みの約3分の1である。

〔形状A4〕バッテリーの位置においては、上面、左右にある上側角面及び左右の側面までがダウンチューブであって、左右にある下側角面及び下面は、バッテリーである。

〔形状A5〕ダウンチューブにおける左側側面の、上端寄りには、正円形の黒縁キーシリンダーを設けている。

〔形状A6〕ダウンチューブの上端部分の形状は、下側角面と下面が前方向に湾曲してヘッドチューブに接しており、上側角面と側面が側面視(正面図視または背面図視。以下、同じ。)で斜め直線状となってトップチューブ下側に接している。

〔形状A7〕ダウンチューブの下端は、側面視において、僅かに末広がりで、モーターハウジング上端に接している。

〔形状A8〕モーターハウジング部は、側面視で、水平辺、その後側に斜辺、斜辺の後端に短い垂直辺による下向き開口部から成る。

2.引用意匠

(1)意匠に係る物品

引用意匠の意匠に係る物品は「自転車」である。

(2)引用部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能

引用意匠中、本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい、本願部分と併せて「両部分」ともいう。)は、ダウンチューブ部分とモーターを搭載するハウジング(以下、単に「モーターハウジング」という。)部分を合わせた部分であって、自転車のフレームの、ヘッドチューブ上端とトップチューブの前端が接続している箇所から、シートチューブ下端及びチェーンステー前端までの位置、大きさ及び範囲であって、バッテリーを搭載したダウンチューブとモーターハウジング部の用途及び機能を有するものである。

(3)引用部分の形状等

引用部分における形状等の認定においては、本願意匠に合わせて認定する。

〔形状B1〕ダウンチューブ部分は、円柱を左右の側面である平面で切り落としたような形状であって、上側曲面、左右の側面及び下側曲面から成り、側面の上下の辺は、上端で前方向に湾曲しつつ収束しており、下に向かってごく僅かに幅広となっている。

〔形状B2〕ダウンチューブの上側にセッティングされたバッテリーは、ダウンチューブ下側曲面の長さの約4分の3を占めている。

〔形状B3〕ダウンチューブの上側にセッティングされたバッテリーの厚みは、ダウンチューブの厚みの約7分の6である。

〔形状B4〕バッテリーの位置においては、上側曲面、左右の側面及び下側曲面の一部までがバッテリーであって、下側曲面の余りがダウンチューブである。

〔形状B5〕ダウンチューブにおける左側側面の具体的な形状等は、不明である。

〔形状B6〕ダウンチューブの上端部分の形状は、下側曲面が前方向に湾曲してヘッドチューブに接しており、上側曲面が側面視で曲線状となってトップチューブ下側に接している。

〔形状B7〕ダウンチューブの下端は、末広がりにならずにモーターハウジング上端に接している。

〔形状B8〕モーターハウジング部は、不明である。

3.両意匠の対比

(1)意匠に係る物品の対比

本願意匠に係る物品は「電動アシスト自転車用フレーム」であり、引用意匠に係る物品は「自転車」である。

(2)両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能の対比

本願部分は、ダウンチューブ部分とモーターハウジング部分を合わせた部分であって、電動アシスト自転車用フレームの、ヘッドチューブ上端とトップチューブの前端が接続している箇所から、シートチューブ下端及びチェーンステー前端までの位置、大きさ及び範囲であって、バッテリーを搭載したダウンチューブとモーターハウジング部の用途及び機能を有するものであるのに対して、引用部分は、ダウンチューブ部分とモーターハウジング部分を合わせた部分であって、自転車のフレームの、ヘッドチューブ上端とトップチューブの前端が接続している箇所から、シートチューブ下端及びチェーンステー前端までの位置、大きさ及び範囲であって、バッテリーを搭載したダウンチューブとモーターハウジング部の用途及び機能を有するものである。

(3)両部分の形状等の対比

両部分の形状等を対比すると、以下に示す共通点と相違点が認められる。

ア.共通点について

〔共通点1〕ダウンチューブの上端部分の形状は、下側が前方向に湾曲してヘッドチューブに接しており、上側がトップチューブ下側に接している。(形状A6とB6)

〔共通点2〕ダウンチューブの下端は、モーターハウジング上端に接している。(形状A7とB7)

イ.相違点について

〔相違点1〕ダウンチューブ部分の構成及び形状につき、本願部分は、略八角柱状であって、上面、左右にある上側角面、左右の側面、左右にある下側角面、及び下面から成るものであるのに対して、引用部分は、円柱を左右の側面である平面で切り落としたような形状であって、上側曲面、左右の側面及び下側曲面から成るものである。(形状A1とB1)

〔相違点2〕ダウンチューブ部分における側面の側面視形状につき、本願部分は、側面の上下の辺が直線平行状であるのに対して、引用部分は、側面の上下の辺が上端で前方向に湾曲しつつ収束しており、下に向かってごく僅かに幅広となっている。(形状A1とB1)

〔相違点3〕バッテリーのセッティング位置につき、本願部分は、ダウンチューブの下側であるのに対して、引用部分は、ダウンチューブの上側である。(形状A2とB2)

〔相違点4〕バッテリーの長さにつき、本願部分は、ダウンチューブ下面の長さの約3分の2を占めているのに対して、引用部分は、ダウンチューブ下側曲面の長さの約4分の3を占めている。(形状A2とB2)

〔相違点5〕ダウンチューブの厚みに対するバッテリーの厚みにつき、本願部分は約3分の1であるのに対して、引用部分は、約7分の6である。(形状A3とB3)

〔相違点6〕バッテリーの位置における面構成につき、本願部分は、上面、左右にある上側角面及び左右の側面までがダウンチューブであって、左右にある下側角面及び下面は、バッテリーであるのに対して、引用部分は、上側曲面、左右の側面及び下側曲面の一部までがバッテリーであって、下側曲面の余りがダウンチューブである。(形状A4とB4)

〔相違点7〕ダウンチューブにおける左側側面の、キーシリンダーにつき、本願部分は、上端寄りに正円形の黒縁のものを設けているのに対して、引用部分は、不明である。(形状A5とB5)

〔相違点8〕ダウンチューブの上端部分の形状のうち、前方向に湾曲してヘッドチューブに接している面については、本願部分は、下側角面と下面であるのに対して、引用部分は、下側曲面である。(形状A6とB6)

〔相違点9〕ダウンチューブの上端部分の形状のうち、トップチューブ下側に接する態様につき、本願部分は、上側角面と側面が側面視で斜め直線状となっているのに対して、引用部分は、上側曲面が側面視で曲線状となっている。(形状A6とB6)

〔相違点10〕ダウンチューブの下端につき、本願部分は、側面視において、僅かに末広がりで、モーターハウジング上端に接しているのに対して、引用部分は、末広がりにならずにモーターハウジング上端に接している。(形状A7とB7)

〔相違点11〕モーターハウジング部の形状につき、本願部分は、側面視で、水平辺、その後側に斜辺、斜辺の後端に短い垂直辺による下向き開口部から成るのに対して、引用部分は、不明である。(形状A8とB8)

4.判断

(1)意匠に係る物品の類否判断

本願意匠の、意匠に係る物品は「電動アシスト自転車用フレーム」である。

対して、本件拒絶理由に記載された引用意匠の、意匠に係る物品は「自転車」であるところ、クランクとペダル等、自転車としての装置を備えつつ、通常の自転車よりも明らかに太いダウンチューブの上側に、パーティングライン(部品と部品の合わせ目)が認められ、それは着脱自在のバッテリーと認定できることより、引用意匠は、(乗った人がペダルを踏むことなく走る)電動自転車または電動アシスト自転車といえる(以下、引用意匠の、意匠に係る物品を「電動自転車」という。)。

そして、電動自転車と電動アシスト自転車は、用途が同一で、機能が類似していると考えられるから、意匠法上類似の物品と認められる。

そうすると、本願意匠の、意匠に係る物品は「電動アシスト自転車用フレーム」であるのに対して、引用意匠の、意匠に係る物品は実質的には「電動自転車用フレーム」であるから、本件拒絶理由に記載の「自転車」とは異なるが、本願意匠の意匠に係る物品と引用意匠の意匠に係る物品は、共通していると認められる。

(2)両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能の評価

本願部分は、ダウンチューブ部分とモーターハウジング部分を合わせた部分であって、電動アシスト自転車用フレームの、ヘッドチューブ上端とトップチューブの前端が接続している箇所から、シートチューブ下端及びチェーンステー前端までの位置、大きさ及び範囲であるのに対して、引用部分は、(電動アシスト自転車の類似物品である)電動自転車のダウンチューブ部分とモーターハウジング部分を合わせた部分であって、電動自転車用フレームの、ヘッドチューブ上端とトップチューブの前端が接続している箇所から、シートチューブ下端及びチェーンステー前端までの位置、大きさ及び範囲であるから、両部分の位置、大きさ及び範囲は共通する。

本願部分は、バッテリーを搭載したダウンチューブとモーターハウジング部の用途及び機能を有するものであるのに対して、引用部分は、バッテリーを搭載したダウンチューブとモーターハウジング部の用途及び機能を有するものであるから、両部分の用途及び機能は共通する。

(3)両部分における形状等の評価

ア.共通点について

共通点1は、ダウンチューブの上端部分のみを観察した場合、僅かに共通感を有するといえるが、詳細には相違点9の相違を内包するものであるから、両意匠の全体観察における類否判断においては、及ぼす影響は小さい。

共通点2は、両部分を大まかに捉えたものであり、大まかに捉えた程度においては、この物品分野においてありふれた形状であるから、この共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は、小さい。

イ.相違点について

相違点1については、両部分における大部分を占める部分の構成及び形状についての相違であるから、両部分に別異の印象を生じさせているといえ、両部分の類否判断に与える影響は大きい。

相違点2については、側面視においては目に付きやすい側面における形状の相違であるから、両部分に別異の印象を生じさせているといえ、両部分の類否判断に与える影響は大きい。

相違点3の、バッテリーのセッティング位置の相違は、需要者の使い勝手の相違につながるものであるから、両部分に別異の印象を生じさせているといえ、なおかつ、相違点4及び5の、バッテリーの長さと厚みの相違、並びに相違点6の具体的な面構成の相違と相まって、両部分に別異の印象を生じさせているといえ、両部分の類否判断に与える影響は大きい。

相違点7は、全体に対してとても小さいキーシリンダーについての相違であるから、両部分の類否判断に与える影響は小さいと認められる。

相違点8は、局所の、しかも見えづらいダウンチューブの下側の形状における相違であるから、両部分の類否判断に与える影響は小さいと認められる。

相違点9は、見えやすい箇所における相違といえるが、局所の相違と認められ、両部分の類否判断に与える影響は限定的といえる。

相違点10及び11は、使用状態においては見えにくい部分の相違であるから、両部分の類否判断に与える影響は小さいと認められる。

(4)小括

そうすると、両部分の形状等については、その共通点及び相違点の評価に基づくと、上記のとおり、共通点は、類否判断に及ぼす影響が小さいものであるのに対して、相違点1ないし6によって類否判断に及ぼす影響は大きいものといえるものであるから、両部分の形状等は、類似するとは認められないものである。

(5)両意匠における類否判断

以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能は共通していると認められる。

しかし、上記のとおり、両部分の形状等は、類似するとは認められないものである。

よって、本願意匠と引用意匠とは類似するとはいえない。

5.結び

以上のとおりであって、本願意匠は、引用意匠に類似するとはいえず、原査定の引用意匠をもって、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず、本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審が更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-011860

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