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特許拒絶査定不服審判

2022-011310

インクジェットプリンタ用ライトトラップ及び紫外線照射装置

審判番号
2022-011310
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-123890外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年07月21日
審決日
2023年10月06日
公報発行日
2023年12月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (B41J) / P18 .55 -Z (B41J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-123890「インクジェットプリンタ用ライトトラップ及び紫外線照射装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 1月 9日出願公開、特開2020- 1296〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成30年6月29日の出願であって、令和4年2月16日付けで拒絶の理由が通知され、同年3月2日に意見書及び手続補正書が提出され、同年4月21日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、同年7月21日付けで拒絶査定に対する不服審判請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 令和4年7月21日に提出された手続補正書による手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年7月21日に提出された手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、令和4年3月2日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1乃至10を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1乃至10へと補正するものである。 (1)本件補正前の特許請求の範囲 「【請求項1】 インクジェットプリンタの記録ヘッド(6)の側部に設けられた紫外線照射装置(12)からメディアに向けて照射される紫外線の、記録ヘッド(6)に当たる量を減衰させるためのライトトラップであって、表面に低反射となる表面処理が施された長尺な金属製の板状本体(28)と、該板状本体(28)の下面に該本体(28)の長手方向に延びる互いに所定の間隔を存して平行に形成された複数の凸部(30A)(30B)とを備え、前記各凸部(30A)(30B)の、記録ヘッド側の各側部に板状本体(28)の下面に対して垂直な側面(S1)を形成し、前記各凸部(30A)(30B)の、記録ヘッド側とは反対側の各側部に傾斜面(K1)(K2)を形成し、前記各凸部(30B)(30A)間に、前記板状本体(28)の表面に対して垂直な側面(S1)と、これに対向する凸部(30B)の傾斜面(K1)と、前記板状本体(28)の表面で形成される平坦面(28a)とで、インクジェットプリンタの紫外線照射装置(12)の紫外線照射口(20)からメディア(14)に照射された紫外線の反射光を受ける、三方が壁面で囲まれメディアに向けて開口する紫外線受光面(G)を前記板状本体(28)の表面に複数形成したことを特徴とするインクジェットプリンタ用ライトトラップ。 【請求項2】 前記板状本体(28)の表面に黒色メッキを施したことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ用ライトトラップ。 【請求項3】 前記板状本体(28)に、該本体(28)を、インクジェットプリンタの紫外線照射装置(12)の下面に脱着可能に取り付けるための取付部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ用ライトトラップ。 【請求項4】 前記取付部が、前記板状本体(28)を、前記紫外線照射装置(12)の下面にねじによって脱着可能に固定するためのねじ挿入用の穴(36)であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェットプリンタ用ライトトラップ。 【請求項5】 前記各凸部(30B)(30A)の傾斜面(K1)(K2)の中、最も紫外線照射装置(12)の紫外線照射口(20)に近い凸部(30A)の傾斜面(K2)を、該凸部(30A)の側面全体に形成し、該傾斜面(K2)のメディアに対する傾斜角度を、他の凸部(30B)の傾斜角度よりも大きく設定したことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ用ライトトラップ。 【請求項6】 記録ヘッドから吐出される紫外線硬化型インクでメディアに記録するインクジェットプリンタに使用され、記録ヘッドの側部に設けられる紫外線照射装置であって、紫外線照射口(20)を備えた下面に、記録ヘッドに当たる紫外線の量を減衰させるためのライトトラップ(24)を取り付け、該ライトトラップ(24)が、表面に低反射となる表面処理が施された長尺な金属製の板状本体(28)と、該板状本体(28)の下面に該本体(28)の長手方向に延びる互いに所定の間隔を存して平行に形成された複数の凸部(30A)(30B)とを備え、前記各凸部(30A)(30B)の、 記録ヘッド側の各側部に板状本体(28)の下面に対して垂直な側面(S1)を形成し、前記各凸部(30A)(30B)の、記録ヘッド側とは反対側の各側部に傾斜面(K1)(K2)を形成し、前記各凸部(30B)(30A)間に、前記板状本体(28)の下面に対して垂直な側面(S1)と、これに対向する凸部(30B)の傾斜面(K1)と、前記板状本体(28)の下面で形成される平坦面(28a)とで、インクジェットプリンタの紫外線照射装置(12)の紫外線照射口(20)からメディア(14)に照射された紫外線の反射光を受ける、三方が壁面で囲まれメディアに向けて開口する紫外線受光面(G)を前記板状本体(28)の下面に複数形成したことを特徴とするインクジェットプリンタ用紫外線照射装置。 【請求項7】 前記板状本体(28)の表面に黒色メッキを施したことを特徴とする請求項6に記載のインクジェットプリンタ用紫外線照射装置。 【請求項8】 前記紫外線照射装置の下面に、前記ライトトラップ(24)の板状本体(28)を脱着可能に固定したことを特徴とする請求項6に記載のインクジェットプリンタ用紫外線照射装置。 【請求項9】 前記紫外線照射装置の下面に、前記紫外線照射口(20)に隣接して段差部(32)を設け、該段差部(32)の前記下面より高い壁面に前記ライトトラップ(24)の板状本体(28)を取り付けたことを特徴とする請求項6に記載のインクジェットプリンタ用紫外線照射装置。 【請求項10】 前記紫外線照射装置の下面に、前記紫外線照射口(20)の両側のいずれにも前記ライトトラップ(24)の板状本体(28)を脱着可能に固定できるようにしたことを特徴とする請求項6に記載のインクジェットプリンタ用紫外線照射装置。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲 「【請求項1】 インクジェットプリンタの記録ヘッド(6)の側部に設けられた紫外線照射装置(12)からメディアに向けて照射される紫外線の、記録ヘッド(6)に当たる量を減衰させるためのライトトラップであって、表面に低反射となる表面処理が施された長尺な金属製の板状本体(28)と、該板状本体(28)の下面に該本体(28)の長手方向に延びる互いに所定の間隔を存して平行に形成された複数の凸部(30A)(30B)とを備え、前記各凸部(30A)(30B)の、記録ヘッド側の各側部に板状本体(28)の下面に対して垂直な側面(S1)(S2)を形成し、前記各凸部(30A)(30B)の、記録ヘッド側とは反対側の各側部に傾斜面(K1)(K2)を形成し、前記各凸部(30B)(30A)間に、前記板状本体(28)の表面に対して垂直な側面(S1)(S2)と、これに対向する凸部(30B)の傾斜面(K1)と、前記板状本体(28)の表面で形成される平坦面(28a)とで、インクジェットプリンタの紫外線照射装置(12)の紫外線照射口(20)からメディア(14)に照射された紫外線の反射光を受ける、三方が壁面で囲まれメディアに向けて開口する紫外線受光面(G)を前記板状本体(28)の表面に複数形成したことを特徴とするインクジェットプリンタ用ライトトラップ。 【請求項2】 前記板状本体(28)の表面に黒色メッキを施したことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ用ライトトラップ。 【請求項3】 前記板状本体(28)に、該本体(28)を、インクジェットプリンタの紫外線照射装置(12)の下面に脱着可能に取り付けるための取付部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ用ライトトラップ。 【請求項4】 前記取付部が、前記板状本体(28)を、前記紫外線照射装置(12)の下面にねじによって脱着可能に固定するためのねじ挿入用の穴(36)であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェットプリンタ用ライトトラップ。 【請求項5】 前記各凸部(30B)(30A)の傾斜面(K1)(K2)の中、最も紫外線照射装置(12)の紫外線照射口(20)に近い凸部(30A)の傾斜面(K2)を、該凸部(30A)の側面全体に形成し、該傾斜面(K2)のメディアに対する傾斜角度を、他の凸部(30B)の傾斜角度よりも大きく設定したことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ用ライトトラップ。 【請求項6】 記録ヘッドから吐出される紫外線硬化型インクでメディアに記録するインクジェットプリンタに使用され、記録ヘッドの側部に設けられる紫外線照射装置であって、紫外線照射口(20)を備えた下面に、記録ヘッドに当たる紫外線の量を減衰させるためのライトトラップ(24)を取り付け、該ライトトラップ(24)が、表面に低反射となる表面処理が施された長尺な金属製の板状本体(28)と、該板状本体(28)の下面に該本体(28)の長手方向に延びる互いに所定の間隔を存して平行に形成された複数の凸部(30A)(30B)とを備え、前記各凸部(30A)(30B)の、記録ヘッド側の各側部に板状本体(28)の下面に対して垂直な側面(S1)(S2)を形成し、前記各凸部(30A)(30B)の、記録ヘッド側とは反対側の各側部に傾斜面(K1)(K2)を形成し、前記各凸部(30B)(30A)間に、前記板状本体(28)の下面に対して垂直な側面(S1)(S2)と、これに対向する凸部(30B)の傾斜面(K1)と、前記板状本体(28)の下面で形成される平坦面(28a)とで、インクジェットプリンタの紫外線照射装置(12)の紫外線照射口(20)からメディア(14)に照射された紫外線の反射光を受ける、三方が壁面で囲まれメディアに向けて開口する紫外線受光面(G)を前記板状本体(28)の下面に複数形成したことを特徴とするインクジェットプリンタ用紫外線照射装置。 【請求項7】 前記板状本体(28)の表面に黒色メッキを施したことを特徴とする請求項6に記載のインクジェットプリンタ用紫外線照射装置。 【請求項8】 前記紫外線照射装置の下面に、前記ライトトラップ(24)の板状本体(28)を脱着可能に固定したことを特徴とする請求項6に記載のインクジェットプリンタ用紫外線照射装置。 【請求項9】 前記紫外線照射装置の下面に、前記紫外線照射口(20)に隣接して段差部(32)を設け、該段差部(32)の前記下面より高い壁面に前記ライトトラップ(24)の板状本体(28)を取り付けたことを特徴とする請求項6に記載のインクジェットプリンタ用紫外線照射装置。 【請求項10】 前記紫外線照射装置の下面に、前記紫外線照射口(20)の両側のいずれにも前記ライトトラップ(24)の板状本体(28)を脱着可能に固定できるようにしたことを特徴とする請求項6に記載のインクジェットプリンタ用紫外線照射装置。」(下線部は補正箇所であり、審決で付した。) 2 補正の適否 (1)新規事項の追加について ア 本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「記録ヘッド側の各側部に板状本体(28)の下面に対して垂直な側面(S1)」について、「記録ヘッド側の各側部に板状本体(28)の下面に対して垂直な側面(S1)(S2)」と補正すること(以下、「補正事項」という。)、を含むものである。 イ 上記補正事項に関連して、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、以下の記載がある。 「【0014】 本実施形態では、図5に示すように、複数の凸部30A,30Bの中、本体28の短手方向の、紫外線照射口20側に配置される一端側の凸部30Aと、該凸部30A以外の凸部30Bとは形状を異にしている。複数の各凸部30Bは互いに同一形状に構成され、(審決注:読点の1つは誤記と認める。)本体28の平坦面28aに対して垂直な側面S1,S2を両側に有し、各側面間には、メディア14と水平な平面に対して図3中、反時計方向に45度の角度で傾斜する傾斜面K1が各凸部30Bの紫外線照射口20側に形成されている。 【0015】 板状本体28の、短手方向の、図3中、紫外線照射口20側の側端部に位置する凸部30Aには、メディア14と水平な平面に対して反時計方向に成す角度αが60度の角度に傾斜する傾斜面K2が形成されている。板状本体28の表面は、低反射となる表面処理(低温黒色クロムメッキ処理)が施され、図5に示すように、板状本体28の表面に形成された、傾斜面K1と、これに接する側面S2と、平坦面28aと、側面S1とで囲まれた各エリアは、紫外線照射装置12から照射された紫外線の反射光を受ける紫外線受光面Gを構成する。 なお板状本体の材料にアルミニウムを使用する場合は黒色アルマイト処理などの低反射となる表面処理を施しても良く、材料に合わせた表面処理を行えば良い。」 「【図3】 [図:0001404230000001.jpg] 」 「【図5】 [図:0001404230000002.jpg] 」 ウ ここで、上記補正事項の「板状本体(28)の下面に対して垂直な側面(S2)」について、当初明細書等には、「本体28の平坦面28aに対して垂直な側面S1,S2」(【0014】)、「図5に示すように、板状本体28の表面に形成された、傾斜面K1と、これに接する側面S2」(【0015】)と記載され、【図3】及び【図5】には、板状本体(28)の下面に対して垂直な側面(S2)が示されている。 エ しかし、当初明細書等に記載された「板状本体(28)の下面に対して垂直な側面(S2)」は、いずれも、各凸部(30A)(30B)の、記録ヘッドとは反対側の各側部に形成されたものであって、「各凸部(30A)(30B)の、記録ヘッド側の各側部」に形成されたものではない。 オ そうすると、上記補正事項の「記録ヘッド側の各側部に板状本体(28)の下面に対して垂直な側面(S1)(S2)」との構成は、当初明細書等から自明な事項や技術常識から導かれる事項でもないため、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。 以上のとおりであるから、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 3 まとめ 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項に違反するものであるから、本件補正は、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1乃至10に係る発明は、令和4年3月2日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至10に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(1)の【請求項1】に記載のとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由 原査定の理由とされた、令和4年2月16日付け拒絶理由通知書に記載した理由の概要は、以下のものを含むものである。 (進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ・請求項 1-4、6-8、10 ・引用文献等 1-2 <引用文献等一覧> 1.特開2004-314304号公報 2.特開平6-102445号公報 第4 引用文献等 1.引用文献1 本願の出願前である平成16年11月11日に頒布された特開2004-314304号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 活性光線の被照射により硬化するインクを記録媒体に向けて吐出するヘッドと、 インク吐出時における前記記録媒体に対する前記ヘッドの相対移動方向の後ろ側に配置されるとともに、前記記録媒体に対して前記ヘッドが配置される側に配置され、活性光線を発する活性光線源と、 前記ヘッドによって吐出されてから前記記録媒体に着弾するまでのインク滴の弾道へ、前記活性光線源から発した活性光線が直接的又は間接的に入射することを遮蔽する遮蔽部材と、 を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。 【請求項2】 前記遮蔽部材は、前記活性光線源と前記ヘッドとの間に配置されるとともに、インク滴が吐出される前記ヘッドの面よりも前記記録媒体側に延出した第一延出部を具備することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。 【請求項3】 前記遮蔽部材は、前記第一延出部の延出方向に交わる方向であって前記弾道に向かった方向に前記第一延出部から延出する第二延出部を具備することを特徴とする請求項2に記載のインクジェットプリンタ。 【請求項4】 前記第二延出部の前記記録媒体に対向した面が凹凸に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のインクジェットプリンタ。」 (2)「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、記録媒体にインク滴を吐出することによって記録媒体に画像を記録するインクジェットプリンタに関する。」 (3)「【0006】 【発明が解決しようとする課題】 ところで、インク滴が着弾してから紫外線に照射されるまでの時間が長いと、着弾したインク滴が硬化しないから記録媒体上で滲んでしまう。高画質の印刷画像を得るためにも、UVインクが記録媒体に着弾後可能な限り速やかに紫外線をインク滴に照射して、インク滴を硬化させることが望ましい。そこで、UV光源をヘッドに近づけて設置することによって着弾後に速やかに紫外線がインク滴に入射する。しかし、UV光源が放射状に紫外線を発するため、ヘッドがUV光源に近づきすぎるとインク滴が着弾前に紫外線に照射されて硬化してしまい、記録不良が発生する。また、ヘッドがUV光源に近すぎると、UV光源から発した紫外線がヘッドに入射してしまう。ヘッドに紫外線が入射してしまうと、ヘッドの吐出口に存するUVインクが増粘したり硬化したりし、吐出口からインクが吐出されなくなる虞がある。 【0007】 そこで、本発明の課題は、インク滴を着弾前に硬化させずに着弾後に速やかに硬化することである。」 (4)「【0024】 【発明の実施の形態】 以下に、図面を用いて本発明の具体的な態様について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。 【0025】 〔第一の実施の形態〕 図1には、シリアル方式のインクジェットプリンタ1が示されている。このインクジェットプリンタ1は、紫外線の被照射により活性化して硬化する性質を有するUVインク(紫外線硬化性インク)を滴(以下、「インク滴」という。)として記録媒体99に向けて吐出し、インク滴の着弾後に紫外線照射を行うことで記録媒体99に画像形成を行うものである。以下の説明では、活性光線硬化性インクとしてUVインクを採用しているが、赤外線、可視光線、電子線、X線といった活性光線の被照射によって活性化して硬化する性質のインクを用いるものとしてもよい。ここで活性光線とは、広義の活性光線である。つまり、本明細書で取りあげる活性光線とは、空気を電離させる能力を有するものだけをさすのではなく、紫外線、可視光線、赤外線等の電磁波を含む。即ち、活性光線は、インクを活性化して硬化するものである。 【0026】 インクジェットプリンタ1は、平板状のプラテン15と、シート状の記録媒体99を副走査方向Bの下流側に搬送する搬送機構(図示せず)と、プラテン15よりも上方に配設され、副走査方向Bに対して略直角となる主走査方向Aに延在するガイド部材2と、記録媒体99よりも上方においてガイド部材2によって案内されてガイド部材2に沿って主走査方向Aに移動する移動体であるキャリッジ3と、UVインクをインク滴として吐出する複数のヘッド4,4,…と、記録媒体99に対してヘッド4,4,…が配置される側に配置されるとともに紫外線を放射状に発する複数のUV光源5,5,…(図2等に図示)と、各UV光源5に設けられ、UV光源5から発した紫外線を直接的・間接的にインク滴の弾道へ入射することを遮蔽するためのカバー9(図2等に図示)と、キャリッジ3よりも下方に配置されているとともにUVインクを貯蔵する複数のインクタンク6,6,…と、インクタンク6からヘッド4へUVインクを供給するためのインク供給路7と、各インクタンク6に設けられた変圧ポンプ8と、を具備する。」 (5)「【0049】 図3及び図4に示すように、遮蔽部材であるカバー9は、下方に開放した直方体状に形成された箱体10と、箱体10の左右側面であってその下端部から両隣のヘッド4,4に向けて延出するつば(第二延出部)11,11と、箱体10の前後側面であってその下端部から副走査方向Bに延出したつば12,12と、から構成されている。箱体10は、UV光源5よりも上方において記録媒体99に対向した上面10aと、主走査方向Aに向いた側面(第二延出部)10b,10b(図3では一つの側面10bを図示)と、副走査方向Bに向いた側面10c,10c(図3では一つの側面10cを図示、図4では側面10cの符号を省略)とから構成されている。 【0050】 図3に示すように、側面10cは上面10aの副走査方向Bの両端から下方へ延出している。つば12は、側面10cの下端から副走査方向Bに延出している。 【0051】 側面10bは、UV光源5とその隣りのヘッド4の間に介在しており、上面10aの主走査方向Aの両端から下方に向けて、つまり、上面10aの主走査方向Aの両端から記録媒体99に向けて延出している。側面10bは、ヘッド4の下面(つまりノズルプレート4a)よりも更に記録媒体99側に延出しており、側面10bの下端はヘッド4の下面よりも下方に位置している。UV光源5の照射範囲αは、二つの側面10b,10bによって制限されている。詳細には、図5(a)に示すように、正面視して、インク滴98の着弾点とUV光源5の接点とを結ぶ接線γがあるが、側面10bはこの接線γに交わっており、接線γよりも更に下方へ延出している。つまり、UV光源5から発した紫外線が側面10b,10bによって遮蔽されることにより、隣りのヘッド4から吐出されるインク滴98が記録媒体99に着弾するまでの弾道βに対してUV光源5から発した紫外線が直接入射することは遮蔽されるようになっている。なお、弾道βは基本的にはヘッド4の下面に対して直交する。 【0052】 つば11は、側面10bの延出する延出方向に直交する方向つまり主走査方向Aであって、その側面10bの隣りのヘッド4に向けて延出している。即ち、つば11は、その側面10bの下端から、側面10bの隣りのヘッド4によって吐出されたインク滴の弾道βに向けて延出している。また、つば11はヘッド4の下面よりも下方に位置しており、つば11の下面が記録媒体99に対して対向している。なお、つば11特につば11の下面がヘッド4の下面と同じ高さであり、つば11の下面から記録媒体99までの間隔が、ヘッド4の下面から記録媒体99までの間隔と同じであっても良い。 【0053】 つば11特につば11の下面は、紫外線を吸収する性質を有する。つば11又はその下面に紫外線吸収性をもたせる方法としては、例えば、つば11全体又はつば11の下面に紫外線吸収率の高い材料をアルマイト処理などの各種金属酸化物処理する方法、つば11全体又はつば11の下面にメッキ処理・蒸着・スパッタリング処理する方法、紫外線吸収率の高い素材でつば11を形成する方法、各種の紫外線吸収剤をつば11の表面全体又はつば11の下面にコーティングする方法などが挙げられる。紫外線吸収率の高い素材としては、カーボンブラック、超粒子化した酸化チタン・酸化亜鉛・酸化鉄(α-Fe2O3、Fe3O4)等の粉体などの無機物や、ベンゾトリアゾール系化合物、芳香族化合物などの有機物等が挙げられる。このように、第二延出部であるつば11の記録媒体99に対向する面(下面)が紫外線吸収性が有することにより、反射光やその後の更なる反射によってヘッド4のインク吐出面(下面)或いは着弾前のインクに活性光線が照射されて不本意なインクの硬化を更に低減することができる。 【0054】 また、つば11特につば11の下面は凹凸に形成されている(図4(b)参照)。例えば、つば11の下面をジャバラ状に形成したり、断面視四角状又は断面視三角状を下面に沿って繰り返すように形成したり、つば11の下面を波打つように形成したりするような凹凸形状とすることができる。本実施の形態では、図4(b)に示したように、UV光源5の長手方向と平行に延在するとともにUV光源5の長手方向に破断した場合の断面形状が三角形状である突条を繰り返した断面鋸歯状の凹凸を設けた。尚、この凹凸はつば11と一体成形されたものであっても良いことは勿論である。このように、第二延出部であるつば11の記録媒体99に対向する面(下面)を、そこに入射される活性光線(本実施の形態では紫外線)を散乱させたり、その反射光を減衰させたりする凹凸形状とすることにより、その反射光やその後の更なる反射によってヘッド4のインク吐出面(下面)或いは着弾前のインクに活性光線が照射されて不本意なインクの硬化が発生するのを更に低減することができる。なお、本実施の形態では、つば11特につば11の下面が紫外線吸収性を有しつつ凹凸に形成した例を示したが、例えば紫外線吸収性は有するようにして凹凸には形成しなくても良く、或いは凹凸は形成して紫外線吸収性を有さないようにしても良い。しかしながら、本実施の形態の如く、つば11特につば11の下面を凹凸形状とするとともに、その上に紫外線を持つようにすることが、ヘッド4のインク吐出面にあるインクや着弾前の飛翔したインクが間接的に紫外線に照射されて不本意に硬化することをより低減できて好ましい。また、このようなヘッド4のインク吐出面(下面)或いは着弾前のインクに紫外線等の活性光線が照射されることを低減するための遮蔽部材としては、上記の他に、例えば、テレンプ等の遮光布や黒色のパイル織布等の材料を、つば11特につば11の下面に貼着するようにしてもよく、また、上述のようにつば11特につば11の下面を凹凸にした上にそれらを貼着するようにしてもよい。また更に、例えば、つば11をカーボンブラック等を混入した樹脂にて形成した部材としても良い。 【0055】 カバー9のつば11とその隣りのカバー9のつば11との間には隙間14があり、隙間14の直上にヘッド4が位置している。弾道βは隙間14を通っており、ヘッド4から吐出されたインク滴98は隙間14を通過して記録媒体99に着弾するようになっている。なお、図3に示すように、両端に位置するUV光源5(図3では、左端に位置するUV光源5のみ図示)に被さったカバー9では、その隣りのUV光源5側の側面10bのみにつば11が設けられており、隣りにUV光源5のない側面10bにはつば11が設けられていない。 【0056】 次に、上述のように構成されるインクジェットプリンタ1の動作について説明する。インクジェットプリンタ1の動作中において、UV光源5から紫外線が発しており、記録媒体99は紫外線に照射されている。そして、インクジェットプリンタ1は、記録媒体99を副走査方向Bに間欠的に搬送機構で搬送する。ここで、記録媒体99が停止している際に、キャリッジ3が主走査方向Aに少なくとも一回移動するが、記録範囲においてつまり記録媒体99の直上においてキャリッジ3は等速移動する。そして、キャリッジ3が記録範囲を移動している最中に、各ヘッド4が吐出口4b,4b,…からインク滴を吐出し、吐出されたインク滴は隙間14を通過して、記録媒体99に着弾する。着弾したインク滴は、そのインク滴を吐出したヘッド4よりもキャリッジ3の移動方向後ろ側に配設された隣りのUV光源5から発した紫外線に照射されることによって硬化する。以上のようにキャリッジ3とともにヘッド4が移動することによってそのヘッド4の移動方向後ろ側において記録媒体99に画像が記録されていくが、ヘッド4の両隣に配置された二つのUV光源5,5のうち、キャリッジ3の移動方向後ろ側に配置された一方のUV光源5が、記録媒体99に対するヘッド4の相対移動方向のヘッド4よりも後ろ側に配置されたものである。」 (6)「【図4】 [図:0001404230000003.jpg] [図:0001404230000004.jpg] 」 (7)【特許請求の範囲】の「活性光線源」、「活性光線」、「遮蔽部材」、「第二延出部」は、それぞれ、【発明の実施の形態】の「UV光源5」、「紫外線」、「カバー9」、「つば11」に対応する。 (8)上記(5)【0054】及び【図4】(b)からすると、UV光源5はヘッドの側部に配置され、つば11の長手方向に互いに所定の間隔を存して平行に延びる凹凸が複数設けられていると認められる。 そうすると、上記記載事項(1)乃至(8)より、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「紫外線の被照射により硬化するインクを記録媒体に向けて吐出するヘッドと、 インク吐出時における前記記録媒体に対する前記ヘッドの相対移動方向の後ろ側に配置されるとともに、前記記録媒体に対して前記ヘッドが配置される側であって、ヘッドの側部に配置され、紫外線を発し、記録媒体に紫外線を照射するUV光源5と、 を備えたインクジェットプリンタに備えられたカバー9であって、 前記カバー9は、 前記ヘッドによって吐出されてから前記記録媒体に着弾するまでのインク滴の弾道へ、前記UV光源5から発した紫外線が直接的又は間接的に入射することを遮蔽し、 前記UV光源5と前記ヘッドとの間に配置されるとともに、インク滴が吐出される前記ヘッドの面よりも前記記録媒体側に延出した第一延出部を具備し、 前記第一延出部の延出方向に交わる方向であって前記弾道に向かった方向に前記第一延出部から延出するつば11を具備し、 前記つば11の前記記録媒体に対向した面には、つば11の長手方向に互いに所定の間隔を存して平行に延び、反射光を減衰させたりする断面視四角状の凹凸が複数設けられ、前記つば11の下面は、紫外線を吸収するようメッキ処理した、カバー9。」 2.引用文献2 本願の出願前である平成6年4月15日に頒布された特開平6-102445号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】固定レンズ群および/または可動レンズ群からなるレンズ群が、光軸に沿って、鏡筒内に配設されたカメラ用レンズ鏡筒において、 前記鏡筒内に配設され、前記光軸方向の断面が鋸歯状に形成された遮光板であって、前記一つの鋸歯を形成する略三角形の底角を被写体側からそれぞれθ1,θ2としたときに、 被写体側ではθ1<θ2であり、 反被写体側ではθ1>θ2である遮光板を有することを特徴とするカメラ用レンズ鏡筒。 【請求項2】前記一つの鋸歯を形成する略三角形の底角のうち、前記被写体側の各底角が、被写体側より反被写体側の方が大きいことを特徴とする請求項1に記載のカメラ用レンズ鏡筒。 【請求項3】前記一つの鋸歯を形成する略三角形の間に、前記光軸に略平行な面を有することを特徴とする請求項1または2に記載のカメラ用レンズ鏡筒。」 (2)「【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところで、被写体側からの光は、レンズ鏡筒の光軸に沿って固定レンズ群や可動レンズ群を通過したのち、撮像素子であるCCDなどに至るが、一部の光は鏡筒内部で反射したのちレンズ群を通過して撮像素子に至ることがある。このような光は「迷光」と呼ばれるが、目的とする撮影画像に重畳した別の画像となって、取り込み画像の鮮明性が低下する原因となる。そのため、従来のカメラ用レンズ鏡筒では鏡筒内部に遮光板を設けて、鏡筒内部で反射して撮像素子に至る迷光を極力減少させるようにしていた。 【0006】しかしながら、撮像装置の小型化にともない、レンズ鏡筒も必然的に短くなり、かつ、光軸と鏡筒の内面とを距離が小さくなってきたので、迷光を完全に防止することは甚だ困難な状況にあった。 【0007】本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、レンズ鏡筒を小型化しても迷光を抑止することを目的とする。」 (3)「【0027】まず、図3(B)に示すように、一つの鋸歯を形成する略三角形の底角を被写体側から符号を付して、それぞれθ1,θ2としたときに、被写体側Xでは、 θ1<θ2 を満足する三角形としている。この条件により、被写体側では入射光に対する反射面が第1面23となり、入射角が小さい光Aが比較的多量に入射する被写体側Xにおいて、これらの光を被写体側Xあるいは対向する鏡筒内面側へ反射させることができる。 【0028】逆に、反被写体側X’ではθ1>θ2としている。これは、被写体側Xに形成された第1面23では入射角が大きい光Bを反射することができず、この光が反被写体側X’に向かうからである。被写体側Xで反射されなかった入射角が大きい光Bは、図3(A)に示すように、θ1>θ2の条件を満たす第2面24で反射したのち、さらに第1面23で反射することになり、その結果、反被写体側X’、すなわち撮像素子側に至る迷光を減少させることが可能となる。 【0029】なお、θ1<θ2の条件を満たす被写体側Xと、θ1>θ2の条件を満たす反被写体側X’の形成範囲については、レンズ鏡筒の径や長さなどの環境条件によって適宜選択することができるが、本実施例に係る遮光板19では、図3(A)に示すように、θ1<θ2の条件を満たす被写体側Xの方を全長の1/2以上としている(図3(A)において、a>b)。これにより、入射角が小さい光Aを反射することができるので、小型化を図ったレンズ鏡筒に適用して好ましいといえる。 【0030】ちなみに、被写体側Xにおいて、θ1<θ2の条件を満たしながら、かつθ1を大きくすると、第1面23である反射面が立ち上がってくるため、特に入射角が小さい光Aを被写体側Xへ反射することが可能となるが、θ1を大きくすると遮光板19の表面が光軸I-I’に接近し、本来撮像したい被写体からの入射光に悪影響を及ぼすおそれがある。しかも、反射面を構成する第1面23の頂点(稜線部)は、成形技術上、鋭角にはできず、実際はある程度の曲面となってしまう。かかる曲面の介在によって該曲面で反射された光が撮像素子側へ向かうことになり、この点でも好ましくない。 【0031】そこで、このような場合は、図4に示すように、一つの鋸歯を形成する略三角形の間に、それぞれ光軸I-I’に略平行な面25を形成しておくことが好ましい。かかる平面25を形成することによって、入射角が小さい光Aは、対向する鏡筒内面側あるいは被写体側Xに反射され、また、入射角が大きい光Bは、対向する鏡筒内面側に反射することになり、しかも、反射面の頂点(稜線部)も光軸I-I’から離間させることができるので、総合的に迷光を減少させることができる。」 (4)「【図3】 [図:0001404230000005.jpg] 」 (5)「【図4】 [図:0001404230000006.jpg] 」 (6)上記(3)【0027】、【図3】及び【図4】より、鋸歯を形成する略三角形の斜辺が入射光に対する反射面であると認められる。 そうすると、上記記載事項(1)乃至(5)、及び認定事項(6)より、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 「光軸方向の断面が鋸歯状に形成された遮光板であって、前記一つの鋸歯を形成する略三角形の底角を被写体側からそれぞれθ1,θ2とし、入射光に対する反射面が鋸歯の三角形の斜辺であるときに、 被写体側ではθ1<θ2であり、 反被写体側ではθ1>θ2であり、 前記一つの鋸歯を形成する略三角形の底角のうち、前記被写体側の各底角が、被写体側より反被写体側の方が大きく、 前記一つの鋸歯を形成する略三角形の間に、前記光軸に略平行な面を有する、遮光板。」 第5 対比・判断 1 本願発明と引用発明1との対比 (ア) 後者の「インクジェットプリンタ」、「ヘッド」、「UV光源5」、「記録媒体」、「紫外線」、「カバー9」、「メッキ処理」、「つば11」、及び「『つば11の長手方向に互いに所定の間隔を存して平行に延び』る『複数』の『凹凸』」は、それぞれ、前者の「インクジェットプリンタ」、「記録ヘッド(6)」、「紫外線照射装置(12)」、「メディア」、「紫外線」、「インクジェットプリンタ用ライトトラップ」、「低反射となる表面処理」、「『長尺な』『板状本体(28)』」、及び「板状本体(28)の下面に該本体(28)の長手方向に延びる互いに所定の間隔を存して平行に形成された複数の凸部(30A)(30B)」に相当する。 (イ)後者の「UV光源5」は、「ヘッドの側部に配置され」ているものであるから、前者の「紫外線照射装置(12)」と後者の「UV光源5」とは、「記録ヘッド(6)の側部に設けられた」ものとの概念で一致する。 (ウ)後者の「紫外線」は、「記録媒体」に「照射」されるものであるから、前者の「紫外線」と後者の「紫外線」とは、「メディアに向けて照射される」ものとの概念で一致する。 (エ)後者の「カバー9」に具備された「つば11」に設けられた「凹凸」は、「記録媒体」からの「紫外線」の「反射光を減衰させたりする」ものであるから、前者の「ライトトラップ」と後者の「カバー9」とは、「紫外線の、記録ヘッド(6)に当たる量を減衰させるための」ものとの概念で一致する。 (オ)後者の「凹凸」は、「つば11の長手方向に互いに所定の間隔を存して平行に延び」、「反射光を減衰させたりする断面視四角状」であるから、「凹凸」の凹所は、「つば11」に対して垂直な両側面を備え、「記録媒体」に向けて複数開口し、紫外線の反射光を受けていることは明らかである。してみると、前者の「紫外線受光面(G)」と後者の「『凹凸』の凹所」とは、「メディア(14)に照射された紫外線の反射光を受け」、「三方が壁面で囲まれメディアに向けて開口」し、「板状本体(28)の表面に複数形成」したものとの概念で一致する。 イ 本願発明と引用発明1の一致点と相違点について 上記アの対比を踏まえると,本願発明と引用発明1とは,つぎの一致点で一致し,相違点において相違する。 [一致点] 「インクジェットプリンタの記録ヘッド(6)の側部に設けられた紫外線照射装置(12)からメディアに向けて照射される紫外線の、記録ヘッド(6)に当たる量を減衰させるためのライトトラップであって、表面に低反射となる表面処理が施された長尺な板状本体(28)と、該板状本体(28)の下面に該本体(28)の長手方向に延びる互いに所定の間隔を存して平行に形成された複数の凸部(30A)(30B)とを備え、前記各凸部(30A)(30B)の、記録ヘッド側の各側部に板状本体(28)の下面に対して垂直な側面(S1)を形成し、前記各凸部(30A)(30B)の、記録ヘッド側とは反対側の各側部に傾斜面(K1)(K2)を形成し、前記各凸部(30B)(30A)間に、前記板状本体(28)の表面に対して垂直な側面(S1)と、これに対向する凸部(30B)と、前記板状本体(28)の表面で形成される平坦面(28a)とで、インクジェットプリンタの紫外線照射装置(12)の紫外線照射口(20)からメディア(14)に照射された紫外線の反射光を受ける、三方が壁面で囲まれメディアに向けて開口する紫外線受光面(G)を前記板状本体(28)の表面に複数形成したことを特徴とするインクジェットプリンタ用ライトトラップ。」 [相違点1] 本願発明の板状本体(28)が「金属製」であるのに対し、引用発明1のつば11の材料は不明である点。 [相違点2] 本願発明は、各凸部(30A)(30B)の記録ヘッド側とは反対側の各側部に「傾斜面(K1)(K2)」が形成されているのに対し、引用発明1の「凹凸」は、「断面視四角状」である点。 ウ 上記各相違点についての検討 (ア)[相違点1]について 引用発明1のつば11の材料は、不明であるところ、メッキ処理をしていることからすると、その基材として、金属を採用し得ることからすると、引用発明1において、つば11の材料として金属を採用し、上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が適宜なし得るものである。 (イ)[相違点2]について 引用発明2の「鋸歯の三角形の斜辺」は、本願発明の「傾斜面(K1)(K2)」に相当する。 ここで、引用発明1の「凹凸」と、引用発明2の「遮光板」の「鋸歯」とは、光を減衰させる機能と、光を散乱させる機能で相違するものの、引用発明1の凹凸の頂面は記録媒体に対向し、ヘッドへ紫外線が照射される恐れが依然としてあるところ、引用発明1も引用発明2も不要な光を抑止する光学素子との観点で共通するものであるところからすれば、引用発明1の凹凸に、引用発明2の「鋸歯の三角形の斜辺」を適用する動機付けがあるといえる。 そして、引用発明1の凹凸に引用発明2の「鋸歯の三角形の斜辺」を適用することにより、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得るものである。 そして、本願発明の効果も、引用発明1及び引用発明2から、当業者が予測し得る程度のものといえる。 したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、当業者が容易に発明できた発明である。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、本願出願の出願前に頒布された引用文献1に記載された発明(引用発明1)及び引用文献2に記載された発明(引用発明2)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項については検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-011310

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