2022-011298
ポリオレフィン樹脂層を備える積層体およびそれを備える包装製品
- 審判番号
- 2022-011298
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-206125外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年07月20日
- 審決日
- 2024年01月23日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 13項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成28年4月26日に出願した特願2016-88464号の一部を、令和2年12月11日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
(令和4年 4月26日 :原査定の謄本の送達)
第2 本願発明
本願の請求項1~7に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本願発明1」等という。)は、それぞれ令和4年7月20日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1及び2の記載は次のとおりである。
「【請求項1】少なくとも、紙基材層と、ポリオレフィン樹脂層と、金属箔と、エチレン-メタクリル酸共重合体を含む接着樹脂層と、熱可塑性樹脂層とをこの順に備える紙カップ用積層体であって、前記紙カップ用積層体の最外層が前記紙基材層であり、前記紙カップ用積層体の最内層が前記熱可塑性樹脂層であり、続きを表示(全14行)前記ポリオレフィン樹脂層が、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマス由来の低密度ポリエチレンを含み、前記ポリオレフィン樹脂層中のバイオマス度が5%以上であり、前記ポリオレフィン樹脂層が、バイオマス由来の低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の低密度ポリエチレンとの2種のみで構成される、紙カップ用積層体。【請求項2】少なくとも、紙基材層と、ポリオレフィン樹脂層と、金属箔と、エチレン-メタクリル酸共重合体を含む接着樹脂層と、熱可塑性樹脂層とをこの順に備える紙カップ用積層体であって、前記紙カップ用積層体の最外層が前記紙基材層であり、前記紙カップ用積層体の最内層が前記熱可塑性樹脂層であり、前記ポリオレフィン樹脂層が、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマス由来の低密度ポリエチレンのみで構成され、前記ポリオレフィン樹脂層中のバイオマス度が5%以上であり、前記熱可塑性樹脂層が、化石燃料由来の材料を含む、紙カップ用積層体。」
第3 拒絶の理由
令和5年10月17日付けで通知した拒絶理由の概要は、次のとおりのものである。
本願の請求項1~7に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項及び周知技術に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1 特開2002-144473号公報
引用文献2 特開2014-133337号公報
第4 引用文献の記載
1 引用文献1
(1)引用文献1の記載
「【0002】【従来の技術】従来、板紙を基材とし、最内層にヒートシール可能な熱可塑性樹脂層を、その内側にはアルミニウム(Al)箔を、それぞれ備えた包装材料は、例えば、板紙/低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂/Al箔/エチレン・メタアクリル酸共重合体(EMAA)樹脂/LDPE樹脂のような多層構成の包装材料として広く活用されている。」
「【0024】このようにして作製した2種類の包装材料のラミネート強度と耐油性を下記の方法により測定、観察すると共に、上記2種類の包装材料を用いて紙製容器の代表である紙カップを一般的な紙カップ成形機を用いて成形し、・・・」(「・・・」は文章の省略を表す)
(2)引用発明
上記(1)からみて、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「外側から、板紙/低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂/Al箔/エチレン・メタアクリル酸共重合体(EMAA)樹脂/LDPE樹脂の多層構成の包装材料であって、板紙は基材であり、最内層のLDPE樹脂はヒートシール可能な熱可塑性樹脂層である、包装材料。」
2 引用文献2
(1)引用文献2の記載
「【背景技術】【0002】近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、材料分野においてもエネルギーと同様に化石燃料からの脱却が望まれており、バイオマスの利用が注目されている。バイオマスは、二酸化炭素と水から光合成された有機化合物であり、それを利用することにより、再度二酸化炭素と水になる、いわゆるカーボンニュートラルな再生可能エネルギーである。昨今、これらバイオマスを原料としたバイオマスプラスチックの実用化が急速に進んでおり、各種の樹脂をバイオマス原料から製造する試みも行われている。」
「【発明が解決しようとする課題】【0007】本発明者らは、ポリオレフィン積層体の原料であるエチレンに着目し、従来の化石燃料から得られるエチレンに代えて、バイオマス由来のエチレンをその原料としたポリオレフィンのバイオマスポリオレフィン樹脂層を有する積層体は、従来の化石燃料から得られるエチレンを用いて製造されたポリオレフィン樹脂の積層体と、機械的特性等の物性面で遜色ないものが得られるとの知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。」
「【0065】本発明においては、理論上、ポリオレフィンの原料として、全てバイオマス由来のエチレンを用いれば、バイオマス由来のエチレン濃度は100%であり、バイオマス由来のポリオレフィンのバイオマス度は100%となる。また、化石燃料由来の原料のみで製造された化石燃料由来のポリオレフィン中のバイオマス由来のエチレン濃度は0%であり、化石燃料由来のポリオレフィンのバイオマス度は0%となる。【0066】本発明において、バイオマス由来のポリオレフィンやバイオマス由来の樹脂層は、バイオマス度が100%である必要はない。積層体の一部にでもバイオマス由来の原料が用いられていれば、従来に比べて化石燃料の使用量を削減するという本発明の趣旨に沿うからである。」
「【0080】バイオマスポリオレフィン樹脂組成物は、化石燃料由来のエチレンと、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα-オレフィンとを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリオレフィンをさらに含んでもよい。つまり、本発明においては、バイオマスポリオレフィン樹脂組成物は、バイオマス由来のポリオレフィンと、化石燃料由来のポリオレフィンとの混合物であってもよい。混合方法は、特に限定されず、従来公知の方法で混合することができる。例えば、ドライブレンドでもよいし、メルトブレンドでもよい。」
(2)引用文献2記載事項
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ア 引用文献2の【0002】、【0007】、【0080】 の記載から、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2記載事項の1」という。)が記載されている。
「カーボンニュートラルなバイオマスの利用による化石燃料からの脱却のため、化石燃料由来のポリオレフィンに代えて、バイオマス由来のポリオレフィンと化石燃料由来のポリオレフィンとの混合物であるバイオマスポリオレフィン樹脂組成物とすること。」
イ 引用文献2の【0002】、【0007】、【0065】、【0066】の記載から、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2記載事項の2」という。)が記載されている。
「カーボンニュートラルなバイオマスの利用による化石燃料からの脱却のため、化石燃料由来のポリオレフィンに代えて、バイオマス由来のエチレンを用いたバイオマス由来のポリオレフィンとすること。」
第5 本願発明1について
1 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「板紙」は本願発明1の「紙基材層」に相当し、以下同様に、「低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂」は「ポリオレフィン樹脂層」に、「Al箔」は「金属箔」に、「エチレン・メタアクリル酸共重合体(EMAA)樹脂」は「エチレン-メタクリル酸共重合体を含む接着樹脂層」に、「LDPE樹脂」は「熱可塑性樹脂層」に、それぞれ相当する。
引用発明の「外側から、板紙/低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂/Al箔/エチレン・メタアクリル酸共重合体(EMAA)樹脂/LDPE樹脂の多層構成」であり、「最内層のLDPE樹脂はヒートシール可能な熱可塑性樹脂層である」「包装材料」と本願発明1の「少なくとも、紙基材層と、ポリオレフィン樹脂層と、金属箔と、エチレン-メタクリル酸共重合体を含む接着樹脂層と、熱可塑性樹脂層とをこの順に備え」、「前記紙カップ用積層体の最外層が前記紙基材層であり、前記紙カップ用積層体の最内層が前記熱可塑性樹脂層であ」る「紙カップ用積層体」とは、少なくとも、紙基材層と、ポリオレフィン樹脂層と、金属箔と、エチレン-メタクリル酸共重合体を含む接着樹脂層と、熱可塑性樹脂層とをこの順に備え、積層体の最外層が紙基材層であり、積層体の最内層が熱可塑性樹脂層である、積層体の限りで一致する。
ポリエチレンがエチレンを含むモノマーの重合体であることは自明であるから、引用発明の「低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂」は、本願発明1の「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマス由来の低密度ポリエチレンを含み、前記ポリオレフィン樹脂層中のバイオマス度が5%以上であり、前記ポリオレフィン樹脂層が、バイオマス由来の低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の低密度ポリエチレンとの2種のみで構成される」「ポリオレフィン樹脂層」と、エチレンを含むモノマーの重合体である低密度ポリエチレンを含むポリオレフィン樹脂層の限りで一致する。
そうすると、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点1]
「少なくとも、紙基材層と、ポリオレフィン樹脂層と、金属箔と、エチレン-メタクリル酸共重合体を含む接着樹脂層と、熱可塑性樹脂層とをこの順に備える積層体であって、前記積層体の最外層が前記紙基材層であり、前記積層体の最内層が前記熱可塑性樹脂層であり、前記ポリオレフィン樹脂層が、エチレンを含むモノマーの重合体である低密度ポリエチレンを含む、積層体。」
[相違点1-1]
少なくとも、紙基材層と、ポリオレフィン樹脂層と、金属箔と、エチレン-メタクリル酸共重合体を含む接着樹脂層と、熱可塑性樹脂層とをこの順に備え、積層体の最外層が紙基材層であり、積層体の最内層が熱可塑性樹脂層である、積層体に係る用途に関して、本願発明1は、「少なくとも、紙基材層と、ポリオレフィン樹脂層と、金属箔と、エチレン-メタクリル酸共重合体を含む接着樹脂層と、熱可塑性樹脂層とをこの順に備え」、「前記紙カップ用積層体の最外層が前記紙基材層であり、前記紙カップ用積層体の最内層が前記熱可塑性樹脂層であ」る「紙カップ用積層体」であるのに対して、引用発明は、「外側から、板紙/低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂/Al箔/エチレン・メタアクリル酸共重合体(EMAA)樹脂/LDPE樹脂の多層構成」であり、「最内層のLDPE樹脂はヒートシール可能な熱可塑性樹脂層である」「包装材料」であって、用途が特定されていない点。
[相違点1-2]
エチレンを含むモノマーの重合体である低密度ポリエチレンを含むポリオレフィン樹脂層に関して、本願発明1は、「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマス由来の低密度ポリエチレンを含み、前記ポリオレフィン樹脂層中のバイオマス度が5%以上であり、前記ポリオレフィン樹脂層が、バイオマス由来の低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の低密度ポリエチレンとの2種のみで構成される」「ポリオレフィン樹脂層」であるのに対して、引用発明は、「低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂」であって由来が特定されていない点。
2 判断
(1)相違点1-1について
引用文献1の「上記2種類の包装材料を用いて紙製容器の代表である紙カップを一般的な紙カップ成形機を用いて成形し」(【0024】)との記載を参考にして、引用発明の「包装材料」を紙カップに用いるものとして、相違点1-1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(2)相違点1-2について
石油資源の枯渇を抑制し、地球温暖化の原因物質である大気中の二酸化炭素の増加を抑制することは、例示するまでもなく周知の課題であるから、引用文献2記載事項の1を参考にして、引用発明の「低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂」を、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマス由来の低密度ポリエチレンを含むものとし、バイオマス由来の低密度ポリエチレンと化石燃料由来の低密度ポリエチレンの2種類のみで構成されるようにすることは、当業者にとって容易である。
その際、引用文献2には、積層体の一部にバイオマス由来の原料を用い、化石燃料の使用量を削減することが記載されており(引用文献2の【0066】)、バイオマス由来の樹脂層のバイオマス度をどの程度とするかは適宜決め得ることであるから、引用発明の「低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂」のバイオマス度を本願発明1で特定される程度とすることに格別の困難性はない。
(3)効果について
本願発明1の奏する効果は引用発明、引用文献2に記載された事項から当業者が予測可能な範囲内のものである。
(4)意見書における出願人の主張について
ア 出願人の主張の概要
出願人は、令和5年12月7日提出の意見書において、次のように主張をしている。
「「板紙/LDPE樹脂/Al箔/EMAA樹脂/最内層のLDPE樹脂」という包装材料において、当業者が「石油資源の枯渇を抑制し、地球温暖化の原因物質である大気中の二酸化炭素の増加を抑制する」という課題を解決しようとするならば、引用文献1の段落[0003]以降に記載のように、包装材料からEMAA樹脂を取り除くことを真っ先に行うはずであり、引用文献1に記載のない事項であるバイオマス由来の低密度ポリエチレンを真っ先に組み合わせることは、当業者の通常の創作能力の発揮ではありません。」
イ 上記主張について
「石油資源の枯渇を抑制し、地球温暖化の原因物質である大気中の二酸化炭素の増加を抑制する」ための手段が複数存在する場合、そのうちいずれの手段を採用するかは、技術の具体的適用に伴い適宜決め得ることであり、上記(2)で検討したとおり、引用発明において、引用文献2記載事項の1を参考にして、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマス由来の低密度ポリエチレンを含むものとし、バイオマス由来の低密度ポリエチレンと化石燃料由来の低密度ポリエチレンの2種類のみで構成されるようにすることは、当業者にとって容易である。
(5)小括
したがって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 本願発明2について
1 対比
本願発明2と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点2]
「少なくとも、紙基材層と、ポリオレフィン樹脂層と、金属箔と、エチレン-メタクリル酸共重合体を含む接着樹脂層と、熱可塑性樹脂層とをこの順に備える積層体であって、前記積層体の最外層が前記紙基材層であり、前記積層体の最内層が前記熱可塑性樹脂層であり、前記ポリオレフィン樹脂層が、エチレンを含むモノマーの重合体である低密度ポリエチレンで構成された、積層体。」
[相違点2-1]
少なくとも、紙基材層と、ポリオレフィン樹脂層と、金属箔と、エチレン-メタクリル酸共重合体を含む接着樹脂層と、熱可塑性樹脂層とをこの順に備え、積層体の最外層が紙基材層であり、積層体の最内層が熱可塑性樹脂層である、積層体に関して、本願発明2は、「少なくとも、紙基材層と、ポリオレフィン樹脂層と、金属箔と、エチレン-メタクリル酸共重合体を含む接着樹脂層と、熱可塑性樹脂層とをこの順に備え」、「前記紙カップ用積層体の最外層が前記紙基材層であり、前記紙カップ用積層体の最内層が前記熱可塑性樹脂層であ」る「紙カップ用積層体」であるのに対して、引用発明は、「外側から、板紙/低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂/Al箔/エチレン・メタアクリル酸共重合体(EMAA)樹脂/LDPE樹脂の多層構成」であり、「最内層のLDPE樹脂はヒートシール可能な熱可塑性樹脂層である」「包装材料」であって、用途が特定されていない点。
[相違点2-2]
エチレンを含むモノマーの重合体である低密度ポリエチレンで構成されたポリオレフィン樹脂層に関して、本願発明2は、「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマス由来の低密度ポリエチレンのみで構成され、前記ポリオレフィン樹脂層中のバイオマス度が5%以上であ」る「ポリオレフィン樹脂層」であるのに対して、引用発明は、「低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂」であって由来が特定されていない点。
[相違点2-3]
本願発明2は、「前記熱可塑性樹脂層が、化石燃料由来の材料を含む」のに対して、引用発明は、「最内層」の「LDPE樹脂」の由来が特定されていない点。
2 判断
(1)相違点2-1について
引用文献1の「上記2種類の包装材料を用いて紙製容器の代表である紙カップを一般的な紙カップ成形機を用いて成形し」(【0024】)との記載を参考にして、引用発明の「包装材料」を紙カップに用いるものとして、相違点2-1に係る本願発明2の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(2)相違点2-2について
石油資源の枯渇を抑制し、地球温暖化の原因物質である大気中の二酸化炭素の増加を抑制することは、例示するまでもなく周知の課題であるから、引用文献2記載事項の2を参考にして、引用発明の「低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂」を、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマス由来の低密度ポリエチレンのみで構成されるようにすることは、当業者にとって容易である。
その際、引用文献2には、積層体の一部にバイオマス由来の原料を用い、化石燃料の使用量を削減することが記載されており(引用文献2の【0066】)、バイオマス由来の樹脂層のバイオマス度をどの程度とするかは適宜決め得ることであるから、引用発明の「低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂」のバイオマス度を本願発明2で特定される程度とすることに格別の困難性はない。
(3)相違点2-3について
引用発明における「最内層」の「LDPE樹脂」の原料由来について、引用文献1に記載はないものの、特段の説明がない場合に、化石由来であるものが一般的であることを踏まえると、相違点2-3は実質的な相違点ではない。
また、本願発明2が「化石燃料由来の材料を含む」という特定事項を備えているところ、引用文献2の「積層体の一部にでもバイオマス由来の原料が用いられていれば、従来に比べて化石燃料の使用量を削減するという本発明の趣旨に沿う」(引用文献2の【0066】)の記載を踏まえ、化石燃料の使用量の削減とコスト等を考慮して、樹脂層を、化石燃料由来の樹脂組成物とバイオマス由来の樹脂組成物のいずれとするか、又は化石燃料由来の樹脂組成物とバイオマス由来の樹脂組成物の両方を含むものとするかは、当業者が適宜決め得ることであり、引用発明の「最内層」の「LDPE樹脂」を、化石燃料由来の材料を含むものとすることは、当業者が容易になし得たことである。
(4)効果について
本願発明2の奏する効果は引用発明、引用文献2に記載された事項から当業者が予測可能な範囲内のものである。
(5)小括
したがって、本願発明2は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1及び2は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-011298