商標拒絶査定不服審判
2022-011240
チーパオマーラータン、シッポーマーラータン、シチホーマーラータン、チーパオ、シッポー、シチホー、マーラータン
- 審判番号
- 2022-011240
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-122428
- 請求日
- 2022年07月19日
- 審決日
- 2024年02月02日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社カシュ・カシュ
- 【請求人代理人】東京共同弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 飯田 亜紀
- 分類
- T18 .261-Z (W30) / T18 .262-Z (W30) / T18 .263-Z (W30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-122428拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年10月2日に出願されたものであって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
令和3年 9月16日付け:拒絶理由通知書
令和3年11月29日 :意見書及び手続補正書の提出
令和4年 2月14日付け:手続補正指示書
令和4年 3月25日 :上申書の提出
令和4年 4月18日付け:拒絶査定
令和4年 7月19日 :審判請求書及び手続補正書の提出
令和5年 9年26日付け:審尋
令和5年12月 6日 :回答書及び手続補正書の提出
第2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、願書記載の商品を指定商品として、令和2年10月2日に登録出願されたものであるが、指定商品については、前記第1の手続補正書により、最終的に、第30類「花椒と唐辛子を含む薬膳スープを内容とする弁当,花椒と唐辛子を含む薬膳スープを内容とする調理済み麺類」と補正された。
第3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである(以下、これらの登録商標をまとめていうときは、「引用商標」という。)。
1 登録第4973917号の1商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「七宝」(標準文字)
指定商品:第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),菓子及びパン,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,酢を主原料とする粉状・粒状・錠剤状・カプセル状・液体状・ゼリー状の加工食品,穀物を主原料とする粉状・粒状・錠剤状・カプセル状・液体状・ゼリー状の加工食品但し、みそを除く」
登録出願日:平成17年10月5日
設定登録日:平成18年7月28日
商標権の分割移転:平成19年2月2日
2 登録第5974010号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「七宝」(標準文字)
指定商品及び指定役務:第35類「洋酒・果実酒・酎ハイ・ビール・中国酒・茶・コーヒー・ココア・清涼飲料・果実飲料・飲料用野菜ジュース・氷・ホップ・食用油脂・食肉・卵・食用魚介類(生きているものを除く。)・海藻類・野菜(「茶の葉」を除く。)・糖料作物・茶の葉・果実・油揚げ・凍り豆腐・こんにゃく・豆乳・豆腐・納豆・加工卵・カレー・シチュー又はスープのもと・お茶漬けのり・ふりかけ・なめ物・かつお味噌・麦芽・食餌療法用飲料・食餌療法用食品・乳幼児用飲料・乳幼児用食品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類、第29類、第39類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
登録出願日:平成28年3月14日
設定登録日:平成29年8月25日
3 登録第5974346号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:後掲2のとおり
指定商品及び指定役務:第35類「洋酒・果実酒・酎ハイ・ビール・中国酒・茶・コーヒー・ココア・清涼飲料・果実飲料・飲料用野菜ジュース・氷・ホップ・食用油脂・食肉・卵・食用魚介類(生きているものを除く。)・海藻類・野菜(「茶の葉」を除く。)・糖料作物・茶の葉・果実・油揚げ・凍り豆腐・こんにゃく・豆乳・豆腐・納豆・加工卵・カレー・シチュー又はスープのもと・お茶漬けのり・ふりかけ・なめ物・かつお味噌・麦芽・食餌療法用飲料・食餌療法用食品・乳幼児用飲料・乳幼児用食品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類及び第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
登録出願日:平成28年3月14日
設定登録日:平成29年8月25日
第4 当審における審尋
当審において、前記第1の審尋により、別掲3を提示した上で、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとの暫定的見解を示し、期間を指定した上で請求人に対し意見を求めた。
第5 審尋に対する請求人の回答(要旨)
(1)本願の指定商品を第30類「花椒と唐辛子を含む薬膳スープを内容とする弁当,花椒と唐辛子を含む薬膳スープを内容とする調理済み麺類」(以下「補正後指定商品」という。)と補正した。
(2)上記(1)の結果、本願の補正後指定商品と引用商標2及び引用商標3の指定商品とは非類似の商品となった。
(3)本願の補正後指定商品と、引用商標1の指定商品中「ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,べんとう,ラビオリ」とは、商品の生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途及び需要者のいずれも異なる非類似の商品である。
第6 当審の判断
1 本願商標と引用商標2及び引用商標3
本願の指定商品は、前記第2のとおり補正された結果、引用商標2及び引用商標3の指定商品及び指定役務と同一又は類似の商品は全て削除された。その結果、本願の指定商品は、引用商標2及び引用商標3の指定商品及び指定役務と類似しない商品となった。
2 本願商標と引用商標1
(1)本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、赤地隅丸正方形の背景図形内に「七宝」の文字を左斜め上から右斜め下にむかって白抜きで書し、「七」の2画目払い部分と「宝」の2画目が重なる態様で表されており、「七」の文字の下には、「[チーパオ]」の文字と記号が白抜きで極めて小さく表されている(以下「左側部分」という。)。そして、左側部分の右側には、「麻辣湯」の文字とその下段に当該文字の読みを表したものと認識し得る「マーラータン」の片仮名を小さく中央に配した構成よりなるものである(以下「右側部分」という。)。
本願商標を構成する左側部分と右側部分とは、その構成態様及び色彩が異なることからすれば、視覚的に分離して看取し得るうえ、観念上のつながりがある等これらを常に一体のものと見なければならない特段の事情は見いだせない。
また、「麻辣湯」及び「マーラータン」の文字は、「四川省発祥の辛いスープ料理。肉、野菜、魚介類、大豆製品、春雨、麺類など、自分の好きな具材を煮込んで食べる料理。」の料理名として知られ、麻辣湯を内容とする商品や麻辣湯を作ることをうたう商品が販売されている事実が見受けられることからすれば(原審で提出された甲8、別掲3)、右側部分は、本願の補正後指定商品との関係において、自他商品の識別力を有さない若しくは極めて弱いものといわなければならない。
そうすると、本願商標は、左側部分を要部として抽出し、引用商標1と比較して商標の類否判断をすることも許されるというべきである(以下「左側部分」を「本願商標の要部」という場合がある。)。
そこで、本願商標の要部についてみるに、赤地隅丸正方形の背景図形は、特定の観念、称呼は生ずるものではなく、大きく表され顕著に視認し得る「七宝」の文字は「[しっぽう]7種の宝物。しちほう。」を意味する語(「広辞苑第7版」株式会社岩波書店)として広く知られた文字である。そうすると「七」の文字の下に表されている「チーパオ」の文字が当該「七宝」の読みを表すものであるとしても、「七宝」の文字からは「シッポウ」及び「シチホウ」の読みが生ずるのが自然であるから、その構成全体から、「シッポウ、シチホウ、チーパオ」の称呼を生じ、「7種の宝物」の観念を生ずるものである。
(2)引用商標1
引用商標1は、前記第3の1のとおり、「七宝」の文字を標準文字で表してなるから、上記(1)の本願商標の要部と同様に、その構成文字に相応して「シッポウ、シチホウ」の称呼を生じ、「7種の宝物」の観念を生ずるものである。
(3)本願商標と引用商標1との類否
本願商標と引用商標1との類否を比較すると、両者は、それぞれ上記(1)及び(2)の構成よりなるところ、外観について、構成文字の態様や背景図形の有無の差異を有することから全体としては異なる印象を与えるものの、本願商標の要部と引用商標1との対比においては、背景図形の有無に差異を有するものの、「七宝」の文字を共通にすることから近似した印象を与えるものといえる。
称呼について、本願商標の要部からは「シッポウ、シチホウ、チーパオ」の称呼を生じ、引用商標1からは「シッポウ、シチホウ」の称呼を生ずるから、「シッポウ、シチホウ」の称呼を共通にする。
そして、本願商標の要部と引用商標1の観念について、両者は、「7種の宝物」の観念を共通にする。
以上のとおり、本願商標と引用商標1とは、本願商標の要部との比較において、外観において近似した印象を与え、称呼を共通にする場合があることに加えて観念を共通にすることから、これらを総合的に勘案すると、本願商標と引用商標1とは、互いに相紛れるおそれのある類似する商標と判断するのが相当である。
(4)本願の補正後指定商品と引用商標1の指定商品との類否
本願の補正後指定商品中「花椒と唐辛子を含む薬膳スープを内容とする弁当」は、引用商標1の指定商品中「べんとう」に包含されるものである。
また、本願の補正後指定商品中「花椒と唐辛子を含む薬膳スープを内容とする調理済み麺類」と、引用商標1の指定商品中「ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,べんとう,ラビオリ」との類否について検討するに、「商品及び役務の区分解説〔国際分類第12-2023版対応〕」には、「第30類 加工した植物性の食品(他の類に属するものを除く。)及び調味料」の見出しの下、「「ぎょうざ しゅうまい すし たこ焼き 弁当 ラビオリ」(32F06)」の項には「これらの商品は、複数の食材を用いて調理し、そのまま又は温める程度で食すことができる「ぎょうざ」「しゅうまい」「弁当」等が該当します。これらの商品を冷凍処理したもの、レトルトパウチされた商品もこれらの商品に含まれます。」の記載があり、本願の補正後指定商品中「花椒と唐辛子を含む薬膳スープを内容とする調理済み麺類」もこれらの商品と同様に「複数の食材を用いて調理し、そのまま又は温める程度で食すことができる商品」であると認められ、さらに、別掲4のとおり、「調理済み麺随、マーラータン」は、主に中華料理を提供する飲食店におけるテイクアウトや弁当、惣菜店において、「弁当、餃子、しゅうまい」等と共に販売されている。
そうすると、本願の補正後指定商品中「花椒と唐辛子を含む薬膳スープを内容とする調理済み麺類」と、引用商標1の指定商品中「ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,べんとう,ラビオリ」とは、いずれも「複数の食材を用いて調理し、そのまま又は温める程度で食すことができる商品」であり、同一営業主により製造、販売される同一又は類似の商品というのが相当である。
したがって、本願の補正後指定商品と引用商標1の指定商品とは同一又は類似のものである。
(5)小括
以上より、本願商標は引用商標1と類似する商標であり、かつ、本願の補正後指定商品は、引用商標1の指定商品と同一又は類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張
ア 請求人は、平成30年4月2日に本願商標と同一の商標を「飲食物の提供」について登録を受けており(商標登録第6116516号)、暖簾分けの店舗を含め、当該商標を都内近郊の複数の店舗(赤坂、渋谷、新宿、飯田橋、五反田、池袋、恵比寿、学芸大学、町田、三軒茶屋、田町、吉祥寺)で使用しており、請求人が提供する麻辣湯スープは、需要者にも広く認知されるようになっていることから、請求人が提供する麻辣湯スープについて一定の信頼性・知名度を獲得していることについても、判断の一要素として加えてほしい旨主張する。
しかしながら、本願商標と同一の商標を使用した請求人運営の店舗が都内近郊に複数所在することはうかがえるものの、売上高や業界におけるシェア、宣伝広告の費用、回数、媒体等は不明であることから、本願商標と同一の商標を上記役務に使用した結果、これに接する需要者が請求人の取り扱いに係る役務を表示するものであることを認識するに至っているとは認められない上、当該主張は、本願の補正後指定商品におけるものでないことは明らかである。
イ 請求人は、引用商標1についての取引の実情・使用状況として、引用商標権者は、調味料や納豆を主力製品とする大手食品メーカーであり、「ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,べんとう,ラビオリ」を販売することがあっても、補正後指定商品を販売することは、一般的には考え難く、本願商標が、引用商標1の出所の混同を生ずるおそれはない旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは、その指定商品全般についての一般的・恒常的なそれを指すものであって、単に該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的・限定的なそれを指すものでない(最高裁昭和47年(行ツ)第33号)、と解すべきものである。
ウ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(7)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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