特許拒絶査定不服審判
2022-011080
計時器構成要素上に3次元要素を生成する方法
- 審判番号
- 2022-011080
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-552112
- 請求日
- 2022年07月15日
- 審決日
- 2023年06月21日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
- 【請求人代理人】山川 茂樹
- 【請求人代理人】小池 勇三
- 審判長/審判官
- 審判長 岡田 吉美
- 審判官 濱野 隆
- 審判官 九鬼 一慶
- 分類
- P18 .575-Z (G04B) / P18 .121-Z (G04B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-552112号「計時器構成要素上に3次元要素を生成する方法」拒絶査定不服審判事件〔令和元年6月27日国際公開、WO2019/121028、令和3年2月22日国内公表、特表2021-507265号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)12月6日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張 2017年12月20日 欧州特許庁)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和2年 6月17日 :翻訳文の提出
令和3年 6月24日付け:拒絶理由通知書
同年10月 1日 :意見書、手続補正書の提出
同月11日付け:拒絶理由通知書
令和4年 1月24日 :意見書、手続補正書の提出
同年 2月28日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年 3月15日 :原査定の謄本の送達)
同年 7月15日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和4年7月15日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年7月15日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
令和4年7月15日にされた特許請求の範囲についての補正(以下「本件補正」という。)は、次の(1)に示す本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を、後記の(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正することを含むものである。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前の請求項1
「【請求項1】
計時器構成要素(10)上に3次元要素(20)を生成する方法であって、前記方法は、
-制御ユニット(2)により、印刷デバイス(3)が前記3次元要素(20)に関連する参照デジタル・グラフィック表現(9a)を再現する、少なくとも1つの制御指示を生成するステップ(22)と、
-前記印刷デバイス(3)により、少なくとも2つの実質的に重なり合う層又は重なり合う層を構成するステップ(27)と
を含み、前記各層は、前記計時器構成要素(10)上に印刷され、前記3次元要素(20)を形成する少なくとも1つの粒子を含み、
前記構成ステップ(27)は、少なくとも1つの印刷粒子の各層に対して、前記計時器構成要素(10)上に少なくとも1つの粒子の層を塗布するサブステップ(28)と、前記少なくとも1つの粒子の層を処理するサブステップ(29)とを含み、
前記構成ステップ(27)は、前記制御ユニット(2)に、再現すべき前記参照デジタル・グラフィック表現(9a)を構成する層を記述するデータ(9b)を含む前記少なくとも1つの制御コマンドを実行させ、
前記生成するステップ(22)は、さらに、前記制御ユニット(2)が、前記3次元要素が有さなければならない少なくとも1つの物理的及び/又は化学的機能特性を決定することを含み、前記少なくとも1つの物理的及び/又は化学的機能特性は、導電性、半導電性又は絶縁性、半導電率、電気蛍光発光性、りん光性、光発色性、電気発色性、熱発色性、イオン発色性、機械的発色性、電気活性化、磁気からなるグループの中から選択され、
前記データ(9b)は、選択された前記少なくとも1つの物理的及び/又は化学的機能特性を含んで構成される、
方法。」
(2) 本件補正後の請求項1
「【請求項1】
計時器構成要素(10)上に3次元要素(20)を生成する方法であって、前記方法は、
-制御ユニット(2)により、印刷デバイス(3)が前記3次元要素(20)に関連し、前記制御ユニット(2)のメモリ要素(5)内に記録される参照デジタル・グラフィック表現(9a)を再現する、少なくとも1つの制御指示を生成するステップ(22)と、
-前記印刷デバイス(3)により、少なくとも2つの実質的に重なり合う層又は重なり合う層を構成するステップ(27)と
を含み、前記各層は、前記計時器構成要素(10)上に印刷され、前記3次元要素(20)を形成する少なくとも1つの粒子を含み、
前記構成ステップ(27)は、少なくとも1つの印刷粒子の各層に対して、前記計時器構成要素(10)上に少なくとも1つの粒子の層を塗布するサブステップ(28)と、前記少なくとも1つの粒子の層を処理するサブステップ(29)とを含み、
前記構成ステップ(27)は、前記制御ユニット(2)に、再現すべき前記参照デジタル・グラフィック表現(9a)を構成する層を記述するデータ(9b)を含む少なくとも1つの制御コマンドを実行させ、
前記生成するステップ(22)は、さらに、前記制御ユニット(2)が、前記3次元要素が有さなければならない少なくとも1つの物理的及び/又は化学的機能特性を決定することを含み、前記少なくとも1つの物理的及び/又は化学的機能特性は、導電性、半導電性又は絶縁性、半導電率、電気蛍光発光性、りん光性、光発色性、電気発色性、熱発色性、イオン発色性、機械的発色性、電気活性化、磁気からなるグループの中から選択され、
前記データ(9b)は、選択された前記少なくとも1つの物理的及び/又は化学的機能特性を含んで構成され、
前記参照デジタル・グラフィック表現(9a)は、前記制御ユニット(2)に接続した設計モジュールによって生成されるか、又は前記制御ユニット(2)によって実行されるソフトウェア・ツールによって生成され、
前記参照デジタル・グラフィック表現(9a)は、前記少なくとも1つの制御指示を生成するステップ(22)の後に、前記制御ユニット(2)に接続したマンマシン・インタフェース(MMI)を使用して選択される、
方法。」
2 本件補正の目的
(1) 本件補正のうち、請求項1の補正は、本件補正前の請求項1の発明特定事項である「印刷デバイス(3)」が「再現する」「前記3次元要素(20)に関連する参照デジタル・グラフィック表現(9a)」について、次のアからウまでの三点の限定をするものである。
ア 「前記制御ユニット(2)のメモリ要素(5)内に記録される」ものであると限定すること。
イ 「前記制御ユニット(2)に接続した設計モジュールによって生成されるか、又は前記制御ユニット(2)によって実行されるソフトウェア・ツールによって生成され」るものであると限定すること。
ウ 「前記少なくとも1つの制御指示を生成するステップ(22)の後に、前記制御ユニット(2)に接続したマンマシン・インタフェース(MMI)を使用して選択される」ものであると限定すること。
(2) そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
(3) よって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
3 独立特許要件についての当審の判断
本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、本件補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討を行う。
(1) 本件補正発明
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
(2) 引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定
ア 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定
(ア) 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された文献である特開2017-194728号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。下線は合議体が付した。以下同様である。
a 段落【0001】
「【技術分野】
【0001】
ユーザー希望の図柄を有する文字盤を備えた時計(特に、腕時計)の受注・生産を行うシステムの技術に関する。」
b 段落【0011】~【0023】、【図1】~【図3】
「(本実施の形態に係る時計受注生産システムの動作原理)
【0011】
図1乃至4を用いて、本実施の形態に係る時計受注生産システム(以下、単に「システム」という。)100の動作原理について説明する。図1は、システム100の概要を説明する図である。図2は、システム100の機能ブロック図である。
【0012】
図1で示すように、システム100は、通信ネットワークを介してユーザー端末270と接続され、ユーザー端末270からオーダーメイドの時計210の製造発注を受け付ける。時計210は、腕時計であることが好適であるが、置時計でもその他形態の時計でも特に限定されない。システム100は、ユーザー端末270から受け付けた発注内容に基づいて、ユーザー280が希望する図柄の文字盤220を備えた時計210を製造する。
【0013】
図2で示すように、システム100は、代金決済手段110、図柄受付手段120、文字盤作成手段130、時計製造手段140、時計発送手段150を有する。
【0014】
代金決済手段110は、ユーザー280から製造の発注を受けた時計210に係る代金を決済する。代金決済手段110は、クレジットカード、銀行振込その他、資金決済の方法は特に限定されない。
【0015】
図柄受付手段120は、ユーザー端末270から時計210の製造依頼を受け付けると共に、時計210の文字盤220に表示させる図柄情報240を受け付ける。図柄情報240とは、デザインや画像等、コンピュータが読み取り可能な情報であれば、内容は特に限定されない。また、図柄受付手段120は、システム100が製造した時計210の納品先に関する情報260も受け付ける。
【0016】
文字盤作成手段130は、図柄受付手段120が受け付けた図柄情報240を表示させた文字盤220を作成する。図3で示すように、文字盤220は、一般的な時計の文字盤(一度作成したら修正が自由にできない、表示が固定的な文字盤)であっても良い。図4で示すように、文字盤220は、所定の画像情報を表示するディスプレー装置230であっても良い。文字盤作成手段130は、文字盤220の大きさに合わせて、図柄受付手段120が受け付けた図柄情報240の大きさを適当に調整する。
【0017】
文字盤作成手段130は、文字盤220が一般的な文字盤である場合、プリンタ等の印刷装置(3Dプリンタを含む)によって文字盤部品の上に図柄情報240を印刷して、文字盤220を作成する。
【0018】
文字盤作成手段130は、文字盤220がディスプレー装置230である場合、ディスプレー装置230に図柄情報240を読み込ませ表示させる等して、文字盤220を作成する。
【0019】
時計製造手段140は、文字盤作成手段130が作成した文字盤220を構成要素として使用する時計210を製造する。つまり、時計製造手段140は、文字盤作成手段130が作成した文字盤220を、時計210のその他部品の中に設置(配置)した時計210を製造する。
【0020】
時計発送手段150は、時計製造手段140が製造した時計210を、ユーザー280の手許へ届けるための処理(発送処理)を行う。ユーザー280の手許とは、納品先に関する情報260で指定される住所である。発送処理とは、郵便や宅配便等で送るために必要な処理のことである。
【0021】
このような処理を行うことによって、システム100は、文字盤部分220にユーザー280が希望する図柄(デザイン、画像)240を施した世界で唯一の時計210であって、他人のものと差別化された魅力的な時計210を製作することができる。
【0022】
また、このような処理を行うことによって、システム100は、ユーザー280自らの芸術作品等の表現の場としての文字盤220を備える時計210を製造することができる。
一方、文字盤220としてディスプレー装置230を備える時計210は、変更情報受付手段160、図柄変更手段170を有する。
【0023】
変更情報受付手段160は、ユーザー端末270から文字盤220に表示させる図柄情報であって、当初受け付けた図柄情報240とは異なる図柄情報である第2の図柄情報250を受け付ける。図柄情報250とは、デザインや画像等、コンピュータが読み取り可能な情報であれば、内容は特に限定されない。
図柄変更手段170は、変更情報受付手段160が受け付けた第2の図柄情報250を、ディスプレー装置230に表示させる。
このような処理を行うことによって、時計210は、文字盤220の図柄情報240、250を自由かつ手軽に変更することができる。」
「【図1】
[図:0001404225000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001404225000002.jpg]
」
「【図3】
[図:0001404225000003.jpg]
」
c 段落【0024】~【0030】、【図5】
「(本実施の形態に係る時計受注生産システムのハードウエア構成)
【0024】
図5を用いて、システム100のハードウエア構成例について説明する。図5は、システム100のハードウエア構成の一例を示す図である。図5で示すように、システム100は、CPU(Central Processing Unit)410、ROM(Read-Only Memory)420、RAM(Random Access Memory)430、補助記憶装置440、通信I/F450、入出力装置460、時計製造装置470、記録媒体I/F480を有する。
【0025】
CPU410は、ROM420に記憶されたプログラムを実行する装置であり、RAM430に展開(ロード)されたデータを、プログラムの命令に従って演算処理し、システム100全体を制御する。ROM420は、CPU410が実行するプログラムやデータを記憶している。RAM430は、CPU410でROM420に記憶されたプログラムを実行する際に、実行するプログラムやデータが展開(ロード)され、演算の間、演算データを一時的に保持する。
【0026】
補助記憶装置440は、基本ソフトウエアであるOS(Operating System)や本実施の形態に係るアプリケーションプログラムなどを、関連するデータとともに記憶する装置である。補助記憶装置440は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)やフラッシュメモリなどである。
【0027】
通信I/F450は、有線・無線LAN(Local Area Network)、インターネットなどの通信ネットワークに接続し、通信機能を提供する他装置とデータの授受を行うためのインターフェースである。
【0028】
入出力装置460は、キーボードなどシステム100にデータ入力を行うための入力装置を含み、また、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成される装置であって、システム100が有する機能をユーザーが利用する際や各種設定を行う際のユーザーインターフェースとして機能する出力装置を含む。
【0029】
時計製造装置470は、ケース、文字盤、バンド等の所定の部品を組み立てることによって、時計210を製造する装置である。時計製造装置470は、文字盤220上に、図柄情報240を印刷する機能を有する。
記録媒体I/F480は、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリなどの記録媒体490とデータの送受信を行うためのインターフェースである。
【0030】
システム100が有する各手段は、CPU410が、ROM420又は補助記憶装置440に記憶された各手段に対応するプログラムを実行することにより実現される形態としても良い。また、システム100が有する各手段は、当該各手段に関する処理をハードウエアとして実現される形態としても良い。また、通信I/F450を介して外部サーバー装置から本発明に係るプログラムを読み込ませたり、記録媒体I/F480を介して記録媒体490から本発明に係るプログラムを読み込ませたりして、システム100に当該プログラムを実行させる形態としても良い。」
「【図5】
[図:0001404225000004.jpg]
」
d 段落【0036】~【0045】、【図6】
「(本実施の形態に係る時計受注生産システムによる処理例)
【0036】
図6を用いて、システム100による時計受注生産処理の一例について説明する。図6は、システム100による時計受注生産処理の一例についてその流れを示すフローチャートである。
【0037】
S10で図柄受付手段120が、ユーザー端末270から時計210の製造依頼を受け付けると共に、時計210の文字盤220に表示させる図柄情報240を受け付ける。図柄情報240とは、デザインや画像等、コンピュータが読み取り可能な情報であれば、内容は特に限定されない。また、図柄受付手段120は、システム100が製造した時計210の納品先に関する情報260も受け付ける。
【0038】
なお、S10において代金決済手段110が、図柄受付手段120が発注を受けた時計210に係る代金を決済する形態としても良い。代金決済手段110は、クレジットカード、銀行振込その他、資金決済の方法は特に限定されない。
【0039】
S20で文字盤作成手段130が、S10において受け付けた図柄情報240を表示させた文字盤220を作成する。図3で示すように、文字盤220は、一般的な時計の文字盤(自由に修正ができない、表示が固定的な文字盤)であっても良く、図4で示すように、所定の画像情報を表示するディスプレー装置230であっても良い。なお、文字盤作成手段130は、文字盤220の大きさに合わせて、S10において受け付けた図柄情報240の大きさを適当に調整する。
【0040】
文字盤220が一般的な文字盤である場合、S20において文字盤作成手段130は、プリンタ等の印刷装置(3Dプリンタを含む)によって文字盤部品の上に図柄情報240を印刷して、文字盤220を作成する。
【0041】
文字盤220がディスプレー装置230である場合、S20において文字盤作成手段130は、ディスプレー装置230に図柄情報240を読み込ませ表示させる等して、文字盤220を作成する。
【0042】
S30で時計製造手段140が、S20において作成された文字盤220を構成要素として使用する時計210を製造する。つまり、時計製造手段140は、S20において作成した文字盤220を、時計210のその他部品の中に設置(配置)した時計210を製造する。
【0043】
S40で時計発送手段150が、S30において製造した時計210を、ユーザー280の手許へ届けるための処理(発送処理)を行う。ユーザー280の手許とは、納品先に関する情報260で指定される住所である。発送処理とは、郵便や宅配便等で送るために必要な処理のことである。
【0044】
このような処理を行うことによって、システム100は、文字盤部分220にユーザー280が希望する図柄(デザイン、画像)240を施した世界で唯一の時計210であって、他人のものと差別化された魅力的な時計210を製作することができる。
【0045】
また、このような処理を行うことによって、システム100は、ユーザー280自らの芸術作品等の表現の場としての文字盤220を備える時計210を製造することができる。」
「【図6】
[図:0001404225000005.jpg]
」
(イ) 引用発明の認定
前記(ア)において摘記した事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「 ユーザー希望の図柄を有する文字盤を備えた時計(特に、腕時計)の受注・生産を行うシステムによる時計受注生産処理方法であって、(【0001】、【0036】)
システム100は、通信ネットワークを介してユーザー端末270と接続され、ユーザー端末270からオーダーメイドの時計210の製造発注を受け付け、ユーザー端末270から受け付けた発注内容に基づいて、ユーザー280が希望する図柄の文字盤220を備えた時計210を製造するものであり、(【0012】)
システム100は、代金決済手段110、図柄受付手段120、文字盤作成手段130、時計製造手段140、時計発送手段150を有し、(【0013】)
図柄受付手段120は、ユーザー端末270から時計210の製造依頼を受け付けると共に、時計210の文字盤220に表示させる図柄情報240を受け付けるものであり、図柄情報240とは、デザインや画像等、コンピュータが読み取り可能な情報であれば、内容は特に限定されず、(【0015】、【0037】)
文字盤作成手段130は、図柄受付手段120が受け付けた図柄情報240を表示させた文字盤220を作成するものであり、(【0016】、【0039】)
文字盤作成手段130は、文字盤220が一般的な文字盤である場合、3Dプリンタによって文字盤部品の上に図柄情報240を印刷して、文字盤220を作成し、(【0017】、【0040】)
システム100のハードウエア構成として、システム100は、CPU(Central Processing Unit)410、ROM(Read-Only Memory)420、RAM(Random Access Memory)430、補助記憶装置440、通信I/F450、入出力装置460、時計製造装置470、記録媒体I/F480を有し、(【0024】)
CPU410は、ROM420に記憶されたプログラムを実行する装置であり、RAM430に展開(ロード)されたデータを、プログラムの命令に従って演算処理し、システム100全体を制御するものであり、
ROM420は、CPU410が実行するプログラムやデータを記憶しており、
RAM430は、CPU410でROM420に記憶されたプログラムを実行する際に、実行するプログラムやデータが展開(ロード)され、演算の間、演算データを一時的に保持するものであり、(【0025】)
入出力装置460は、キーボードなどシステム100にデータ入力を行うための入力装置を含み、また、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成される装置であって、システム100が有する機能をユーザーが利用する際や各種設定を行う際のユーザーインターフェースとして機能する出力装置を含む、(【0028】)
時計受注生産処理方法。」
イ 引用文献3に記載された事項と周知技術1、2の認定
(ア) 引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された文献である国際公開第2016/199611号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。
a 段落[0010]、[0048]
「[0010](3次元印刷用活性光線硬化型インクジェットインクセット)
本発明の3次元印刷(「3D印刷」、「3次元造形」又は「3D printing」ともいう。)用活性光線硬化型インクジェットインクセット(以下、単に「インクセット」ともいう。)は、複数のインク組成物を含むインクセットであり、下記組成のホワイトインク組成物Wと、下記組成のカラーインク組成物Cとを含むことを特徴とする。
ホワイトインク組成物W:白色顔料、及び、重合性化合物を含有し、ホワイトインク組成物Wの全質量に対する、白色顔料の含有量が0.5~10質量%である組成物
カラーインク組成物C:着色剤、ホモポリマーのガラス転移温度が25℃以上120℃以下のアクリレートモノマーAC(以下、単に「アクリレートモノマーAC」ともいう。)、及び、ホモポリマーのガラス転移温度が-60℃以上25℃未満のアクリレートモノマーBC(以下、単に「アクリレートモノマーBC」ともいう。)を含有し、カラーインク組成物Cの全質量に対する、アクリレートモノマーACの含有量が、5質量%以上50質量%未満であり、アクリレートモノマーBCの含有量が、20質量%以上80質量%未満である組成物
なお、本発明において、モノマーとは分子量が1,000未満の化合物であり、オリゴマーとは、一般に有限個(一般的には5~200個)のモノマーが結合した重合体であり、重量平均分子量が1,000以上20,000以下の化合物であり、ポリマーとは重量平均分子量が20,000を超える化合物をいう。
また、本発明において、単に「インク組成物」と記載した場合、ホワイトインク組成物W、カラーインク組成物C、又は、後述するサポート材用インク組成物を表す。」
「[0048]〔着色剤〕
本発明に用いられるカラーインク組成物Cは、着色剤を含有する。
ここで用いることのできる着色剤には、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の顔料、染料を適宜選択して用いることができる。中でも、着色剤としては特に耐光性に優れるとの観点から顔料であることが好ましい。
本発明において好ましく使用される顔料について述べる。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。更に、市販の顔料分散体や表面処理された顔料、例えば、顔料を分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等も、本発明の効果を損なわない限りにおいて用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「IndustrialOrganic Pigments」、特開2002-12607号公報、特開2002-188025号公報、特開2003-26978号公報、特開2003-342503号公報に記載の顔料が挙げられる。」
b 段落[0077]
「[0077]<吐出工程>
本発明の3次元印刷方法は、3次元造形物の断面情報に基づいて、インクジェットヘッドを用いて、本発明の3次元印刷用インクジェットインクセットに含まれるホワイトインク組成物W及び/又はカラーインク組成物Cを吐出し、ホワイト造形物上にカラー層を形成する吐出工程を含むことが好ましい。
吐出工程に用いる3次元造形物の断面情報は、特に制限はなく、所望の3次元造形物の3次元形状に応じた断面データを、使用する装置にあわせた任意の形式により作成すればよい。3次元造形物の断面情報の生成方法としては、例えば、造形すべき物体の三次元CADデータを用い、上記CADデータを三次元造形用のデータとして、例えば、三次元STL(Stereo Lithography)データに変換し、更に、この三次元STLデータから、任意の一方向(例えば、高さ方向)にインク層1層分の厚みに相当するピッチ(層厚)によりスライスした各断面体(層)のデータを生成する方法が挙げられる。上記ピッチは、使用するインク組成物や、所望の精度等に応じて、適宜決定することができる。また、上記各断面体(層)のデータは、必要に応じて、各部分の色の情報(彩色データ)を有していることが好ましい。
更に、三次元形状入力装置により計測された三次元着色形状のデータ及びテクスチャを利用することも可能である。
また、吐出工程において、本発明のインクセットに含まれるホワイトインク組成物Wやカラーインク組成物C等のモデル材用インク組成物だけでなく、サポート材用インク組成物を用いる場合、上記「3次元造形物の断面情報」とは、3次元造形物自体の断面情報だけでなく、3次元造形物を形成する際に設けるサポート材の断面情報も含まれることはいうまでもない。」
c 段落[0087]、[図1]
「[0087] 図1は本発明の3次元印刷方法を用いた3次元印刷の一例の概略図である。初めに基盤1上にサポート材用インク組成物をインクジェットヘッド4aを用いて吐出し、露光光源5を用いてサポート材用インク組成物を硬化し、サポート層4を形成する。続いてホワイトインク組成物Wとカラーインク組成物Cをインクジェットヘッド2a及び3aを用いて吐出し、露光光源5を用いて各組成物を硬化し、ホワイト層2及びカラー層3を形成する。図1中では、ホワイト層2及びカラー層3の形成を3回繰り返している。上記3回の繰り返しの後、図1においてはカラー層3のみを形成している。上記印刷の終了後、基盤1と接しているサポート層4を基盤1から外し、上記除去工程によりサポート層4を除去することにより3次元造形物が得られる。
図1ではホワイト層2及びカラー層3の形成を3回としているが、実際には500回以上行うことが好ましく、カラー層3のみの形成を1回としているが、実際には2回以上行うことが好ましい。図1中のカラー層3は、実際には複数のカラーインク組成物Cにより形成される層であることが好ましい。例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックといった4色のカラーインク組成物Cを使用することができる。また、カラーインク組成物Cを吐出するインクジェットヘッド3aは複数使用してもよく、使用するカラーインク組成物Cの数(色数)と同数使用することが好ましい。これらの実際の態様と図面の違いに関する説明は、後述する図2の説明においても同様である。(以下省略)」
「[図1]
[図:0001404225000006.jpg]
」
(イ) 周知技術1の認定
前記(ア)に摘記した事項(特に[0010]、[0048]、[0087])に例示されるように、次の事項は当業者にとって周知技術であったと認められる(以下「周知技術1」という)。
[周知技術1]
「インクジェット方式による3D印刷技術において、インクジェットヘッドから吐出した顔料粒子を含むインク組成物を活性光線により硬化させる工程を設けること。」
(ウ) 周知技術2の認定
前記(ア)に摘記した事項(特に[0077])に例示されるように、次の事項は当業者にとって周知技術であったと認められる(以下「周知技術2」という)。
[周知技術2]
「インクジェット方式による3D印刷の吐出工程に用いる3次元造形物の断面情報は、造形すべき物体の三次元CADデータを三次元STLデータに変換し、この三次元STLデータから、任意の一方向(例えば、高さ方向)にインク層1層分の厚みに相当するピッチ(層厚)によりスライスした各断面体(層)のデータを生成することにより得られるものであり、上記ピッチは、使用するインク組成物や、所望の精度等に応じて、適宜決定することができ、上記各断面体(層)のデータは、各部分の色の情報(彩色データ)を有していること。」
ウ 引用文献8に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された文献である米国特許出願公開第2017/0129052号明細書(以下「引用文献8」という。)には、次の事項が記載されている。日本語訳は、合議体が作成した。
「[0002] Three-dimensional (3D) printing (e.g., additive manufacturing) is a process for making a three-dimensional (3D) object of any shape from a design. The design may be in the form of a data source such as an electronic data source, or may be in the form of a hard copy. The hard copy may be a two-dimensional representation of a 3D object. The data source may be an electronic 3D model. 3D printing may use an additive process in which successive layers of material are laid down one on top of each other. This process may be controlled (e.g., automatically and/or manually controlled). A 3D printer can be an industrial robot.」
(日本語訳)
3次元(3D)印刷(例えば、付加製造)は、設計から任意の形状の3次元(3D)物体を作製するためのプロセスである。設計は、電子データソースなどのデータソースの形態であってもよく、又はハードコピーの形態であってもよい。ハードコピーは、3Dオブジェクトの2次元表現であってもよい。データソースは、電子的3Dモデルであってもよい。3D印刷は、材料の連続層が互いの上に置かれる加法プロセスを使用してもよい。このプロセスは、制御され得る(例えば、自動的に及び/又は手動で制御される)。3Dプリンターは、産業用ロボットとすることができる。
「[0004] 3D models may be created utilizing a computer aided design package and/or via 3D scanner. The manual modeling process of preparing geometric data for 3D computer graphics may be similar to plastic arts, such as sculpting or animating. 3D scanning is a process of analyzing and collecting digital data on the shape and appearance of a real object. Based on this data, 3D models of the scanned object can be produced. The 3D models may include computer-aided design (CAD).」
(日本語訳)
3Dモデルは、コンピュータ支援設計パッケージ及び/又は3Dスキャナーを利用して作成することができる。3Dコンピュータグラフィックスのための幾何学的データを準備する手動モデリングプロセスは、彫刻又はアニメーティングなどの造形美術と同様であり得る。3D走査は、実際の物体の形状及び外観に関するデジタルデータを分析及び収集するプロセスである。このデータに基づいて、走査対象の3Dモデルを生成することができる。3Dモデルは、コンピュータ支援設計(CAD)を含むことができる。
「[0129] 3D printing methodologies can comprise extrusion, wire, granular, laminated, light polymerization, or powder bed and inkjet head 3D printing.(以下省略)」
(日本語訳)
3D印刷の方法論は、押出、ワイヤー、顆粒、積層、光重合、又は粉末床及びインクジェットヘッド3D印刷を含むことができる。
「[0131] The methods, apparatuses, software, and systems of the present disclosure can be used to form 3D objects for various uses and applications. Such uses and applications include, without limitation, electronics, components of electronics (e.g., casings), machines, parts of machines, tools, implants, prosthetics, fashion items, clothing, shoes, or jewelry.(以下省略)」
(日本語訳)
本開示の方法、装置、ソフトウェア及びシステムを使用して、様々な使用及び用途のための3Dオブジェクトを形成することができる。そのような使用及び用途には、電子機器、電子機器の構成要素(例えば、ケーシング)、機械、機械の部品、工具、インプラント、補綴物、ファッションアイテム、衣類、靴又は宝飾品が含まれるが、これらに限定されない。
「[0196](前略)
In some examples the material is characterized in having high electrical conductivity, low electrical resistivity, high thermal conductivity, or high density (e.g., as measured at ambient temperature (e.g., R. T., or 20° C.)).(以下省略)」
(日本語訳)
いくつかの例では、材料は、高い電気伝導率、低い電気抵抗率、高い熱伝導率又は高い密度を有することを特徴とする(例えば、周囲温度(例えば、R.T.、又は20℃)で測定される場合)。
「[0291](前略)
In some cases, the customer can provide a 3D model, sketch, or image as a design of an object to be generated. The design can be transformed in to instructions usable by the printing system to additively generate the 3D object. The customer can provide a request to form the 3D object from a specific material or group of materials (e.g., a material as described herein). In some cases, the design may not contain auxiliary features or marks of any past presence of auxiliary support features.」
(日本語訳)
場合によっては、顧客は、生成されるオブジェクトのデザインとして3Dモデル、スケッチ又は画像を提供することができる。デザインは、3Dオブジェクトを付加的に生成するために印刷システムによって使用可能な命令に変換することができる。顧客は、特定の材料又は材料群(例えば、本明細書に記載の材料)から3D物体を形成する要求を提供することができる。補助的支持構成を含まないデザインもあり得るし、補助的支持構成が存在したことの痕跡を含まない場合もある。
「[0300](前略)
FIG. 12 shows an example of a flow chart representing at least a portion of the 3D printing process operations that are executed by a 3D printing system and/or apparatus described herein. The desired 3D object is requested in operation 1201. A 3D model is provided or generated in operation 1202. Operation 1204 illustrates the generation of printing instruction(s) for the 3D object, in which at least one of the 3D model and the algorithm is utilized. In this example, the 3D object is subsequently generated using the printing instruction(s) in operation 1205. In this example, the desired 3D object is delivered in operation 1206. Arrow 1207 designates the direction of the execution of the operations from operation 1201 to operation 1206. The absence of back feeding arrow represents the lack of a feedback loop control.」
(日本語訳)
図12は、本明細書に記載の3D印刷システム及び/又は装置によって実行される3D印刷プロセス動作の少なくとも一部を表すフローチャートの一例を示す。動作1201において、所望の3Dオブジェクトが要求される。動作1202において、3Dモデルが提供又は生成される。動作1204は3Dオブジェクトのための印刷命令の生成を示し、3Dモデル及びアルゴリズムのうちの少なくとも一つが利用される。この例では、3Dオブジェクトは、その後、動作1205において印刷命令を使用して生成される。この例では、動作1206において所望の3Dオブジェクトが配送される。矢印1207は、動作1201から動作1206までの動作の実行の方向を示す。フィードバックの矢印のないことは、フィードバックループ制御のないことを表す。
「Fig.12
[図:0001404225000007.jpg]
」
エ 引用文献9に記載された事項と周知技術3の認定
(ア) 引用文献9に記載された事項
当審において新たに引用する文献である特開2015-16680号公報(以下「引用文献9」という。)には、次の事項が記載されている。
a 段落【0021】~【0027】、【図1】
「【0021】
図1は、本発明の実施例である3Dプリンターとしての三次元立体造形システム100の構成を示す外観図である。
【0022】
図1において、三次元立体造形システム100は、立体造形モデル形成装置1と造形装置2から構成される。立体造形モデル形成装置1は、例えばパソコンなどの端末で構成され、造形物試作・造形のためのSTL(光造形方式)データを造形装置2に送信する。STLデータでは、三次元形状が小さな三角形のメッシュの集合体として表現される。
【0023】
3Dプリンターは、3次元CADで描いた立体図形から実物そっくりの立体物を作り出すための造形装置として知られ、例えば積層造形装置の総称を示し、光造形方式や粉末焼結方式をはじめとした複数の造形方式が知られている。インクジェット方式、熱溶解積層方式なども知られている。
【0024】
3Dデータを用意する方法は、大きく分けて3つある。3DCAD,3DCGを使ったソフトウエアによる3Dモデリング、物体をスキャンする3Dスキャン、すでに作成されたデータをダウンロードすることで用意される。本実施例においてもこのようにして取得された3Dデータが使用される。
【0025】
造形装置2は、造形ステージ部3と材料カートリッジ部4からなり、造形ステージ部3にはX軸モータ、Y軸モータおよびZ軸モータが設けられ、制御部(図示せず)によって、X軸、Y軸およびZ軸方向に駆動される。
【0026】
熱溶解積層方式では、剛性や耐久性に優れた特性を持つABS樹脂を造形ヘッド5で280℃前後に熱して溶かし、X軸、Y軸方向の高速動作制御と造形ステージ台3のZ軸方向の昇降により、立体造形モデルの精密な積層造形を作成していく。
【0027】
造形ヘッド5と材料カートリッジ部4は樹脂管6で結ばれ、両者には、モデル材である造形素材とサポート材の2種類が入っている。造形素材は、造形物に使われる材料であり、例えばABS樹脂である。サポート材は、熱で溶けた造形素材を積層していく際に、空洞部分や支えのない橋構造の部位を支えるために使われる材料である。それぞれの材料は、リールに巻かれたワイヤとして材料カートリッジ部4に収納されている。造形ヘッド5からは0.5ミリの太さの造形素材が押し出され、造形ヘッド5の先端を造形ステージ第4に押しあてながら造形していく。例えば、1回の動作で0.25ミリ積層されるので、厚さ1ミリのものを造形するには4層積み重ねることになる。インクジェット方式の場合には、ミクロン単位での積層が可能だが、ABS樹脂ではない樹脂を使用することになる。3Dプリンターの材料すなわち造形素材は、プラスチックが主である。プラスチックは、合成樹脂の総称である。3Dプリンターに用いられる材料としては、ABS,PLA(成分解性プラスチック)、エポキシ、レジン、ナイロン、金属、ワックスが知られている。金属の場合に、表面が荒いが鋳物の代用品として使用することが知られている。」
「【図1】
[図:0001404225000008.jpg]
」
b 段落【0030】~【0035】、【図2】
「【0030】
図2は、三次元立体造形システム100の構成をブロックで示す図である。
【0031】
立体造形モデル形成装置1は、通信手段で造形装置2に結ばれる。立体造形モデル形成装置1は、通信手段11、演算処理手段12、データベース13、画面表示手段14およびこれらを結ぶ通信線15を備える。
【0032】
データベース13は、予め取得された基本彩色データ、基本形態データ及び基本素材データから形成される基本立体造形モデルを格納し、基本立体造形モデルの一部あるいは全部領域に施す彩色を改変させ、基本立体造形モデルの形態を改変させる、および基本立体物造形モデルを形成する素材情報を改変させるコンピュータプログラム、および一連の基本立体造形モデルの各基本立体造形モデルについて順次、全部領域あるいは一部分に彩色改変を選択可能とさせる彩色レシピー、一連の基本立体造形モデルの各基本立体造形モデルについて順次、全体形態もしくは一部に形態改変を可能とさせる形態改変レシピー、一連の立体造形モデルの各基本立体物造形モデルについて順次、全部素材もしくは一部素材の改変を可能とさせる立体造形素材レシピーからなる三つのレシピーを格納する。一連の基本立体造形モデルの各基本立体造形モデルについて順次、全部領域あるいは一部分に彩色改変を選択可能とさせる彩色レシピー、一連の基本立体造形モデルの各基本立体造形モデルについて順次、全体形態もしくは一部に形態改変を可能とさせる形態改変レシピーの2つのレシピーであってもよい。
【0033】
画面表示手段14は、表示画面15を備えて、基本立体造形モデルを一連として繰り返して、および各レシピー名を選択可能にして画面表示する。
【0034】
彩色レシピー、形態改変レシピーおよび立体造形素材レシピーが画面上で選択される。彩色レシピーおよび形態改変レシピーの場合もある。
【0035】
演算処理手段12は、彩色レシピーが選択されると、画面表示された一連の基本立体造形モデルの、各基本立体造形モデルの全部あるいは一部画面領域を選択可能とする画面領域選択画像を表示させ、各基本立体造形モデルの画面領域選択画像について外部からの入力された指示信号に基づいて基本彩色と異なる彩色を選択し、順次彩色した一連の彩色選択立体造形モデルを形成し、
形態改変レシピーが選択されると、画面表示された一連の基本立体造形モデルの各基本立体造形モデルの基本形態データの一部もしくは全部を外部からの入力された形態改変指示信号に基づいて改変することで、順次形態改変した一連の形態改変立体造形モデルを形成し、
立体造形素材レシピーが選択されると、画面表示された一連の基本立体造形モデルの、各基本立体造形モデルの基本造形素材データの一部もしくは全部を外部からの入力された造形素材改変指示信号に基づいて改変することで、一連の造形素材改変立体造形モデルを形成する。」
「【図2】
[図:0001404225000009.jpg]
」
c 段落【0049】~【0053】、【図4】、【図8】
「【0049】
図4-図10は、画面表示例を示す。画面には、彩色レシピー41、形態改変レシピー42、立体造形素材レシピー43が表示される。また、画面には、基本立体造形モデル44が表示される。画面には、彩色レシピー41および形態改変レシピー42が表示されるようにしてもよい。
【0050】
彩色レシピー41、形態改変レシピー42および立体造形素材レシピー43の内、彩色レシピー41がクリックされると、図4に示されるように、データベース13に格納された彩色レシピーにしたがって、彩色原形45としての基本立体造形モデル44および一連の基本立体造形モデルの各基本立体モデルについて、順次全部領域あるいは1部分に改変彩色が選択され得るようにされて、一連の基本立体造形モデルが表示される。
【0051】
操作者は、表示された一連の基本立体造形モデルについて、彩色選択欄47で彩色選択して順次、彩色改変を行う。これによって、画面表示の一連の基本立体造形モデルを一連の彩色選択モデル46に改変する。改変としたのは、基本彩色が改変されることになることによる。
【0052】
一連の彩色改変を行った後に選択欄48で、一連の彩色選択モデル46から造形したいいくつかの彩色選択モデル46の選択を行い、一部の彩色選択モデルを消去する。この操作によって、一部の彩色選択モデルを画面上に並列させ、残すことを行う。
【0053】
一部の彩色選択モデルを画面上に並列させた例を図8に示す。」
「【図4】
[図:0001404225000010.jpg]
」
「【図8】
[図:0001404225000011.jpg]
」
(イ) 周知技術3の認定
前記(ア)に摘記した事項に例示されるように、次の事項は当業者にとって周知技術であったと認められる(以下「周知技術3」という)。
[周知技術3]
「3Dプリンタである三次元立体造形システム100において、パソコンなどの端末で構成され、造形物試作・造形のためのSTL(光造形方式)データを造形装置2に送信する立体造形モデル形成装置1が、予め取得された基本データから形成された基本立体造形モデルの彩色、形態及び素材データを改変するにあたり、表示画面15上において、例えば、彩色レシピー41がクリックされると、データベース13に格納された彩色レシピーに従って、改変彩色が選択され得るように基本立体造形モデルが表示され、操作者は、彩色選択欄47で彩色選択して彩色改変を行い、画面表示された基本立体造形モデルを彩色選択モデル46に改変すること。」
オ 3D印刷技術に係る技術常識の認定
(ア) 技術常識1の認定
引用文献3の[0077]、引用文献8の[0002]、[0004]、[0291]、引用文献9の【0024】に例示されるように、3D印刷技術に係る次の事項は当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識1」という)。
[技術常識1]
「3D印刷技術において、3DCADや3DCGを使ったソフトウエアによる3Dモデリング、物体をスキャンする3Dスキャン、すでに作成されたデータをダウンロードすること等により、3Dデータが用意されること。」
(イ) 技術常識2の認定
引用文献8の[0291]及び[0300]に例示されるように、3D印刷技術に係る次の事項は当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識2」という)。
[技術常識2]
「3D印刷技術において、3Dモデルを利用して印刷命令が生成され、その印刷命令を実行して3D物体が生成されること。」
(ウ) 技術常識3の認定
引用文献8の[0291]に例示されるように、3D印刷技術に係る次の事項は当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識3」という)。
[技術常識3]
「3D印刷技術において、特定の材料又は材料群から3D物体を形成するように要求を指示すること。」
(エ) 技術常識4の認定
引用文献9の【0023】、【0027】の記載に例示されるように、3D印刷技術に係る次の事項は当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識4」という)。
[技術常識4]
「3Dプリンタとしては、ミクロン単位での積層が可能なインクジェット方式があること。」
(3) 対比・判断
ア 対比
(ア) 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
a 引用発明の「時計210」の「文字盤部品」は、本件補正発明の「計時器構成要素(10)」に相当する。
また、引用発明において、「3Dプリンタによって文字盤部品の上に図柄情報240を印刷して、文字盤220を作成」することは、本件補正発明の「計時器構成要素(10)上に3次元要素(20)を生成する」ことに相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明は、「計時器構成要素上に3次元要素を生成する方法」の発明である点で一致する。
b(a) 引用発明の「3Dプリンタ」は、本件補正発明の「印刷デバイス(3)」に相当する。
(b) また、引用発明の「文字盤部品の上に図柄情報240を印刷」することは、本件補正発明の「前記計時器構成要素(10)上に印刷」することに相当する。
(c) 引用発明において、「3Dプリンタ」というからには、少なくとも二つの実質的に重なり合う層を構成するステップを有し、当該各層は、印刷されて最終的に3Dの造形物となる少なくとも1つの粒子を含むことは明らかである。
(d) したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点で共通する。
「前記印刷デバイスにより、少なくとも2つの実質的に重なり合う層又は重なり合う層を構成するステップと
を含み、前記各層は、前記計時器構成要素上に印刷され、前記3次元要素を形成する少なくとも1つの粒子を含み、
前記構成ステップは、少なくとも1つの粒子の各層に対して、前記計時器構成要素上に少なくとも1つの粒子の層を形成するサブステップを含む」点。
c(a) 引用発明の「システム100全体を制御する」「CPU410」は、本件補正発明の「制御ユニット(2)」に相当する。
(b) また、引用発明の「RAM430」は、「CPU410でROM420に記憶されたプログラムを実行する際に、実行するプログラムやデータが展開(ロード)され、演算の間、演算データを一時的に保持するもの」であるから、本件補正発明の「前記制御ユニット(2)のメモリ要素(5)」に相当する。
(c) ここで、「3D印刷技術において、3DCADや3DCGを使ったソフトウエアによる3Dモデリング、物体をスキャンする3Dスキャン、すでに作成されたデータをダウンロードすること等により、3Dデータが用意されること」は、当業者にとって技術常識であるから(前記技術常識1を参照)、引用発明の「デザインや画像等、コンピュータが読み取り可能な情報」である「時計210の文字盤220に表示させる図柄情報240」は、3DCADや3DCGを使ったソフトウエアによる3Dモデリング等により用意された3Dデータであるといえる。
(d) そうすると、引用発明の「図柄情報240」は、本件補正発明の「ソフトウェア・ツールによって生成され」る「参照デジタル・グラフィック表現(9a)」に相当する。
(e) 引用発明の「図柄情報240」が「RAM430」内に記憶されることは自明であるから、引用発明の「RAM430」内に記憶される「図柄情報240」は、本件補正発明の「前記制御ユニット(2)のメモリ要素(5)内に記録される参照デジタル・グラフィック表現(9a)」に相当する。
(f) そして、引用発明においても、「CPU410」により、「3Dプリンタ」が「文字盤220」に関連し、「RAM430」内に記憶される「図柄情報240」を再現する、少なくとも1つの制御指示を生成していることは明らかである。
(g) したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点で共通する。
「制御ユニットにより、印刷デバイスが前記3次元要素に関連し、前記制御ユニットのメモリ要素内に記録される参照デジタル・グラフィック表現を再現する、少なくとも1つの制御指示を生成するステップ」及び「前記参照デジタル・グラフィック表現は、ソフトウェア・ツールによって生成されること」を含む点。
d 「3D印刷技術において、3Dモデルを利用して印刷命令が生成され、その印刷命令を実行して3D物体が生成されること」は、当業者にとって技術常識であるから(前記技術常識2を参照)、引用発明の「3Dプリンタ」においても、「図柄情報240」(3Dモデリング等により用意された3Dデータ)を利用して印刷命令が生成され、その印刷命令を実行して「文字盤220」(3D物体)が生成されるといえる。
したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点で共通する。
「前記構成ステップは、前記制御ユニットに、少なくとも1つの制御コマンドを実行させ」る点。
e 引用発明の「入出力装置460」は、「キーボードなどシステム100にデータ入力を行うための入力装置を含み、また、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成される装置であって、システム100が有する機能をユーザーが利用する際や各種設定を行う際のユーザーインターフェースとして機能する出力装置を含む」から、本件補正発明の「前記制御ユニット(2)に接続したマンマシン・インタフェース(MMI)」に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記制御ユニットに接続したマンマシン・インタフェースを使用する」点で共通する。
(イ) 一致点及び相違点の認定
前記(ア)の対比分析の検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の一致点において一致し、以下の相違点において相違する。
a 一致点
「計時器構成要素上に3次元要素を生成する方法であって、前記方法は、 制御ユニットにより、印刷デバイスが前記3次元要素に関連し、前記制御ユニットのメモリ要素内に記録される参照デジタル・グラフィック表現を再現する、少なくとも1つの制御指示を生成するステップと、
前記印刷デバイスにより、少なくとも2つの実質的に重なり合う層又は重なり合う層を構成するステップと
を含み、前記各層は、前記計時器構成要素上に印刷され、前記3次元要素を形成する少なくとも1つの粒子を含み、
前記構成ステップは、少なくとも1つの粒子の各層に対して、前記計時器構成要素上に少なくとも1つの粒子の層を形成するサブステップを含み、
前記構成ステップは、前記制御ユニットに、少なくとも1つの制御コマンドを実行させ、
前記参照デジタル・グラフィック表現は、ソフトウェア・ツールによって生成され、
前記制御ユニットに接続したマンマシン・インタフェースを使用する、
方法」である点。
b 相違点
(a) 相違点1
参照デジタル・グラフィック表現を再現する、少なくとも1つの制御指示を生成するステップが、
本件補正発明においては、
「さらに、前記制御ユニット(2)が、前記3次元要素が有さなければならない少なくとも1つの物理的及び/又は化学的機能特性を決定することを含み、前記少なくとも1つの物理的及び/又は化学的機能特性は、導電性、半導電性又は絶縁性、半導電率、電気蛍光発光性、りん光性、光発色性、電気発色性、熱発色性、イオン発色性、機械的発色性、電気活性化、磁気からなるグループの中から選択され」、
構成ステップにおいて、制御ユニットに実行させる少なくとも1つの制御コマンドについて、
本件補正発明においては、「選択された前記少なくとも1つの物理的及び/又は化学的機能特性を含んで構成され」る、「再現すべき前記参照デジタル・グラフィック表現(9a)を構成する層を記述するデータ(9b)」が含まれるのに対して、
引用発明においては、
CPU410(「前記制御ユニット(2)」に相当する。)が、3Dプリンタによる被形成物が有さなければならない少なくとも1つの物理的及び/又は化学的機能特性を決定するのか否か不明であり、したがって、「選択された前記少なくとも1つの物理的及び/又は化学的機能特性を含んで構成され」るデータがあるのか否か不明である点。
(b) 相違点2
「参照デジタル・グラフィック表現」について、
本件補正発明においては、「前記参照デジタル・グラフィック表現(9a)」を「生成」する「ソフトウェア・ツール」が「前記制御ユニット(2)によって実行され」、「前記参照デジタル・グラフィック表現(9a)は、前記少なくとも1つの制御指示を生成するステップ(22)の後に、前記制御ユニット(2)に接続したマンマシン・インタフェース(MMI)を使用して選択される」のに対して、
引用発明においては、
「図柄情報240」は、「ユーザー端末270」から「受け付けるもの」であり、「図柄情報240」の選択が行われているのか否か不明である点。
(c) 相違点3
構成ステップが、
本件補正発明においては、
「前記構成ステップ(27)は、少なくとも1つの印刷粒子の各層に対して、前記計時器構成要素(10)上に少なくとも1つの粒子の層を塗布するサブステップ(28)と、前記少なくとも1つの粒子の層を処理するサブステップ(29)」を含むのに対して、
引用発明においては、
このようなサブステップを含むのか否か不明である点。
イ 判断
前記相違点について検討する。
(ア) 相違点1について
a 機能特性の選択・決定ついて
「3D印刷システムにおいて、特定の材料又は材料群から3D物体を形成するように要求を指示すること」は、当業者にとって技術常識である(前記技術常識3を参照)。
そして、3D印刷の材料として、どのようなものを選択するかは、完成品の仕様(物理的機能特性や化学的機能特性を含む)に応じて当業者が適宜好適化すべき事項にすぎない。例えば、引用文献8の段落[0196]には「導電率」や「電気抵抗」という電気的特性の観点から材料が選択されることが開示されており、また、時計の文字盤には蛍光塗料等の発光材料(発色材料)が広く用いられているところ、これは光学的特性の観点からみた材料選択の好適化である。
そうすると、引用発明においても、「システム100全体を制御する」「CPU410」が、完成品としての「文字盤220」の仕様(物理的機能特性や化学的機能特性を含む)を決定し、当該仕様に応じた好適な材料を選択して「3Dプリンタ」に制御指示しているといえる。
b 制御コマンドに含まれる層記述データについて
(a) 「3Dプリンタとしては、ミクロン単位での積層が可能なインクジェット方式があること」は、当業者にとって技術常識であり(前記技術常識4を参照)、引用発明において、「腕時計」の「文字盤部品の上に図柄情報240を印刷」するためには、高精細な印刷技術が要求されるといえるから、前記技術常識4をわきまえた当業者ならば、引用発明の「3Dプリンタ」としてインクジェット方式を採用することは、自明な選択事項である。
(b) そして、「インクジェット方式による3D印刷の吐出工程に用いる3次元造形物の断面情報は、造形すべき物体の三次元CADデータを三次元STLデータに変換し、この三次元STLデータから、任意の一方向(例えば、高さ方向)にインク層1層分の厚みに相当するピッチ(層厚)によりスライスした各断面体(層)のデータを生成することにより得られるものであり、上記ピッチは、使用するインク組成物や、所望の精度等に応じて、適宜決定することができ、上記各断面体(層)のデータは、各部分の色の情報(彩色データ)を有していること」は、周知技術である(前記周知技術2を参照)。
(c) ここで、上記周知技術2の「造形すべき物体の三次元CADデータ」は、本件補正発明の「参照デジタル・グラフィック表現(9a)」に相当し、前記周知技術2の「3次元造形物の断面情報」である「各断面体(層)のデータ」は、「造形すべき物体」を構成する各層を記述するデータであり、吐出工程において用いられるものであるから、印刷制御命令に含まれていることは明らかである。
(d) そうすると、引用発明の「3Dプリンタ」において、前記周知技術2を適用することにより、「3Dプリンタ」が実行する印刷制御命令が、「造形すべき物体」を構成する各層を記述するデータを含むようにすることは、当業者にとって容易になし得たことである。
(e) その際、「各断面体(層)のデータは、各部分の色の情報(彩色データ)を有している」のであるから、「造形すべき物体」を構成する各層を記述するデータには、選択された物理的機能特性や化学的機能特性が含まれていることになる。
c 相違点1についてのまとめ
前記a及びbの検討結果を踏まえると、引用発明において前記相違点1に係る構成を得ることは、当業者にとって困難性は認められない。
(イ) 相違点2について
a 「3Dプリンタである三次元立体造形システム100において、パソコンなどの端末で構成され、造形物試作・造形のためのSTL(光造形方式)データを造形装置2に送信する立体造形モデル形成装置1が、予め取得された基本データから形成された基本立体造形モデルの彩色、形態及び素材データを改変するにあたり、表示画面15上において、例えば、彩色レシピー41がクリックされると、データベース13に格納された彩色レシピーに従って、改変彩色が選択され得るように基本立体造形モデルが表示され、操作者は、彩色選択欄47で彩色選択して彩色改変を行い、画面表示された基本立体造形モデルを彩色選択モデル46に改変すること」は、周知技術である(前記周知技術3を参照)。
b ここで、上記周知技術3の「基本立体造形モデル」の「基本データ」は、「予め取得された」ものであるところ、「彩色、形態及び素材データ」の「改変」がなければ、「基本立体造形モデル」は「立体造形モデル」としてそのまま利用されることを前提としているから、「基本データ」が「予め取得された」段階で、本件補正発明の「参照デジタル・グラフィック表現(9a)を再現する」ための「制御指示」に相当するものが生成されているといえる。
c そうすると、前記周知技術3において、「操作者は、彩色選択欄47で彩色選択して彩色改変を行い、画面表示された基本立体造形モデルを彩色選択モデル46に改変すること」は、本件補正発明の「前記参照デジタル・グラフィック表現(9a)は、前記少なくとも1つの制御指示を生成するステップ(22)の後に、前記制御ユニット(2)に接続したマンマシン・インタフェース(MMI)を使用して選択される」ことに相当する。
d そして、3D印刷用の3Dデータを生成するためのソフトウエアをどこで実行するかは、当業者が適宜選択し得た設計事項にすぎず、引用発明において、「図柄情報240」が「システム100」において生成されるようにして、前記相違点2に係る「前記参照デジタル・グラフィック表現(9a)」を「生成」する「ソフトウェア・ツール」が「前記制御ユニット(2)によって実行され」る構成とすることに困難性はない。
e したがって、引用発明の「3Dプリンタ」において、前記周知技術3を踏まえて、前記相違点2に係る本件補正発明の構成することは、当業者にとって困難性は認められない。
f なお、前記周知技術3を参照しなくても、引用発明の「図柄情報240」に基づいて「3Dプリンタ」により造形される「文字盤220」の完成品イメージが、「ユーザー希望」のものに合致しているかどうかを「ユーザー端末270」において確認できるようにして、ユーザーがその合否の選択をできるようにすることは、「受注・生産を行う」にあたり当然行うべき事項であるといえるから、この点から検討しても、引用発明において、「前記参照デジタル・グラフィック表現(9a)は、前記少なくとも1つの制御指示を生成するステップ(22)の後に、前記制御ユニット(2)に接続したマンマシン・インタフェース(MMI)を使用して選択される」ようにすることは、当業者にとって格別のものではない。
(ウ) 相違点3について
「インクジェット方式による3D印刷技術において、インクジェットヘッドから吐出した顔料粒子を含むインク組成物を活性光線により硬化させる工程を設けること」は、当業者にとって周知技術である(前記周知技術1を参照)。
前記(ア)b(a)において説示したとおり、引用発明の「3Dプリンタ」としてインクジェット方式を採用することは自明な選択事項であるから、引用発明において、前記周知技術1を採用することによりインクジェットヘッドから吐出した顔料粒子を含むインク組成物を活性光線により硬化させる工程を設けることは、当業者にとって困難性は認められない。
(エ) 総合評価
前記(ア)から(ウ)に検討したとおり、前記相違点1~3は格別のものでなく、引用発明において、前記相違点1~3に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、周知技術1~3、及び技術常識1~4に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
また、本件補正発明の奏する効果としては、当該構成のものとしては当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明、周知技術1~3、及び技術常識1~4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 請求人の主張について
(ア) 審判請求書の主張内容
請求人の主張は、概略次のとおりである。
引用文献1は、文字盤部品の上に図柄情報240を印刷するプリンタが3Dプリンタであってもよい旨言及しているだけであり、計時器構成要素上に3次元要素を生成する場合において、3次元要素を生成するための図柄情報240をどのように生成しどのように選択するかについては、何ら具体的に開示していない。
引用文献3、8は、一般的な3次元印刷システムに関するものであり、計時器構成要素上に3次元要素を生成する方法について開示していない。
これに対して、本件補正発明は、計時器構成要素上に3次元要素を生成する方法において、「参照デジタル・グラフィック表現(9a)」が、「前記制御ユニット(2)のメモリ要素(5)内に記録され」るものであり、「前記制御ユニット(2)に接続した設計モジュールによって生成されるか、又は前記制御ユニット(2)によって実行されるソフトウェア・ツールによって生成され」るものであり、「前記少なくとも1つの制御指示を生成するステップ(22)の後に、前記制御ユニット(2)に接続したマンマシン・インタフェース(MMI)を使用して選択され」るものである構成を含んでいる。
これにより、特に計時器構成要素上に3次元要素を生成する方法において、写真若しくは画像から仮想3Dモデル化を可能にするか、又は更には仮想3次元デジタル物体の設計を可能にする。
さらに、当該発明は、計時器構成要素上に装飾要素又は隆起パターン等の3次元要素を迅速で単純な様式で生成することができ、3次元要素を備える計時器構成要素に対する大規模で、自動化された、費用対効果の良い製造の改善をすることができ、実施が容易で、迅速な、低減した数の動作により、3次元要素を計時器構成要素上に構築することを可能にするという、有利な効果を有する。
(イ) 請求人の主張に対する当審の判断
以下のa~cに詳述するとおり、請求人の前記(ア)の主張を採用することはできない。
a 「参照デジタル・グラフィック表現(9a)」の生成について
造形すべき物体の三次元CADデータ(「参照デジタル・グラフィック表現(9a)」に相当)に基づいて、3D印刷を行うことは、周知である(前記周知技術2を参照)。
そして、この三次元CADデータは、ソフトウエアによって生成されることは自明であるから、本件補正発明の「前記参照デジタル・グラフィック表現(9a)は、前記制御ユニット(2)に接続した設計モジュールによって生成されるか、又は前記制御ユニット(2)によって実行されるソフトウェア・ツールによって生成され」ることは、格別のものではない。
b 「参照デジタル・グラフィック表現(9a)」の選択について
表示画面上で基本立体造形モデルを選択されたモデルに改変することは、周知である(前記周知技術3を参照)。
また、引用発明の「図柄情報240」に基づいて「3Dプリンタ」により造形される「文字盤220」の完成品イメージが、「ユーザー希望」のものに合致しているかどうかを「ユーザー端末270」において確認できるようにして、ユーザーがその合否の選択をできるようにすることは、「受注・生産を行う」にあたり当然行うべき事項である。
したがって、本件補正発明の「前記参照デジタル・グラフィック表現(9a)は、前記少なくとも1つの制御指示を生成するステップ(22)の後に、前記制御ユニット(2)に接続したマンマシン・インタフェース(MMI)を使用して選択される」ようにすることは、格別のものではない。
c 本件補正発明の効果について
(a) 請求人の主張する「写真若しくは画像から仮想3Dモデル化を可能にするか、又は更には仮想3次元デジタル物体の設計を可能にする」ことに対応する構成は、本件補正発明において明確に特定されているとは認められないものの、いずれにせよ、この点は、例えば、引用文献8の[0002]の「設計は、電子データソースなどのデータソースの形態であってもよく、またはハードコピーの形態であってもよい。ハードコピーは、3Dオブジェクトの2次元表現であってもよい。データソースは、電子3Dモデルであってもよい。」との記載、引用文献8の[0004]の「3Dモデルは、コンピュータ支援設計パッケージ及び/又は3Dスキャナーを利用して作成することができる。」、「3D走査は、実際の物体の形状及び外観に関するデジタルデータを分析及び収集するプロセスである。このデータに基づいて、走査対象の3Dモデルを生成することができる。3Dモデルは、コンピュータ支援設計(CAD)を含むことができる。」との記載、引用文献9の【0024】の「3Dデータを用意する方法は、大きく分けて3つある。3DCAD,3DCGを使ったソフトウエアによる3Dモデリング、物体をスキャンする3Dスキャン、すでに作成されたデータをダウンロードすることで用意される。」との記載から明らかなように、格別のものではない。
(b) また、請求人の主張する「計時器構成要素上に装飾要素又は隆起パターン等の3次元要素を迅速で単純な様式で生成することができ、3次元要素を備える計時器構成要素に対する大規模で、自動化された、費用対効果の良い製造の改善をすることができ、実施が容易で、迅速な、低減した数の動作により、3次元要素を計時器構成要素上に構築することを可能にする」という効果について検討しても、それらは従来から知られている3D印刷方式を採用したことによる自明な効果にすぎず、当該構成のものとして当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果であるとはいえない。
エ 小括
以上検討のとおり、本件補正発明は、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
したがって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~14に係る発明は、令和4年1月24日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は前記第2の1(1)に摘記した事項により特定されるとおりである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての進歩性欠如の理由は、次のとおりである。
本願発明は、下記の引用文献1~4、6~8に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1:特開2017-194728号公報
引用文献2:特開2006-029857号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3:国際公開第2016/199611号(周知技術を示す文献)
引用文献4:特開2016-087978号公報(周知技術を示す文献)
引用文献6:特開2017-104058号公報(周知技術を示す文献)
引用文献7:特表2017-526815号公報(周知技術を示す文献)
引用文献8:米国特許出願公開第2017/0129052号明細書(周知技術を示す文献)
3 引用文献に記載された事項
上記引用文献1には、第2の3(2)ア(イ)において認定したとおりの引用発明が記載されていると認められる。
また、周知技術1、2及び技術常識1~4は、前記第2の3(2)イ(イ)、(ウ)及びオ(ア)~(エ)において認定したとおりである。
4 対比・判断
(1) 本願発明は、本件補正発明における前記第2の2(1)のアからウまでの限定を省いたものである(前記第2の2(1)参照)。
(2) そうすると、前記第2の3(3)ア(ア)の対比分析における検討結果も踏まえて、本願発明と引用発明を対比すると、本願発明と引用発明の相違点は、次の相違点A及びBのとおりであり、両者はその余の点で一致する。
<相違点>
ア 相違点A
参照デジタル・グラフィック表現を再現する、少なくとも1つの制御指示を生成するステップが、
本願発明においては、
「さらに、前記制御ユニット(2)が、前記3次元要素が有さなければならない少なくとも1つの物理的及び/又は化学的機能特性を決定することを含み、前記少なくとも1つの物理的及び/又は化学的機能特性は、導電性、半導電性又は絶縁性、半導電率、電気蛍光発光性、りん光性、光発色性、電気発色性、熱発色性、イオン発色性、機械的発色性、電気活性化、磁気からなるグループの中から選択され」、
構成ステップにおいて、制御ユニットに実行させる少なくとも1つの制御コマンドについて、
本願発明においては、「選択された前記少なくとも1つの物理的及び/又は化学的機能特性を含んで構成され」る、「再現すべき前記参照デジタル・グラフィック表現(9a)を構成する層を記述するデータ(9b)」が含まれるのに対して
引用発明においては、
CPU410(「前記制御ユニット(2)」に相当する。)が、3Dプリンタによる被形成物が有さなければならない少なくとも1つの物理的及び/又は化学的機能特性を決定するのか否か不明であり、したがって、「選択された前記少なくとも1つの物理的及び/又は化学的機能特性を含んで構成され」るデータがあるのか否か不明である点。
イ 相違点B
構成ステップが、
本願発明においては、
「前記構成ステップ(27)は、少なくとも1つの印刷粒子の各層に対して、前記計時器構成要素(10)上に少なくとも1つの粒子の層を塗布するサブステップ(28)と、前記少なくとも1つの粒子の層を処理するサブステップ(29)」を含むのに対して、
引用発明においては、
このようなサブステップを含むのか否か不明である点。
(3) 相違点についての判断
前記第2の3(3)イにおいて説示した判断を踏まえると、前記相違点A及びBに係る本願発明の構成は、引用発明、周知技術1、2及び技術常識1~4に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
そして、本願発明の奏する作用効果としては、当該構成のものとして当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本願発明は、引用発明、周知技術1、2及び技術常識1~4に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-011080