特許拒絶査定不服審判
2023-011331
クロックシステム、クロックムーブメント及び時計
- 審判番号
- 2023-011331
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-228720
- 請求日
- 2023年07月06日
- 審決日
- 2024年09月27日
- 公報発行日
- 2025年03月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ロレックス・ソシエテ・アノニム
- 【請求人代理人】弁理士法人第一国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 岡田 吉美
- 審判官 貝沼 憲司
- 審判官 小島 寛史
- 分類
- P18 .121-Z (G04B) / P18 .575-Z (G04B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第159条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-228720「クロックシステム、クロックムーブメント及び時計」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 8月29日出願公開、特開2019-144226〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年12月6日の外国語書面出願であって(パリ条約による優先権主張 平成29年12月13日欧州特許庁)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。以下、平成29年12月13日を「優先日」という。
平成31年 4月10日 :翻訳文の提出
令和 4年 7月22日付け :拒絶理由通知書
令和 5年 1月25日 :意見書及び手続補正書の提出
同年 2月24日付け :拒絶査定(以下「原査定」という。)
(3月 7日 :原査定の謄本の送達)
同年 7月 6日 :審判請求書及び手続補正書の提出
第2 令和5年7月6日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年7月6日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の概要
令和5年7月6日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についての補正を含むものであって、次の(1)に示される本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を引用する請求項2の記載を引用する請求項13の記載を、後記(2)に示される本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正することを含むものである。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前の請求項1、請求項2及び請求項13
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1、請求項2及び請求項13の記載は、次のとおりである。
「 【請求項1】
時間情報または時間から派生する情報を示すカレンダーモバイル(10)であって、前記カレンダーモバイルを駆動する駆動接触作用を受けることが意図される及びまたは前記カレンダーモバイルからの駆動接触作用を伝達することが意図される、少なくとも1つの障害要素(1a、2a、3a)を含み、
前記少なくとも1つの障害要素は第1障害要素を含み、
前記第1障害要素は、第1駆動爪と協働するように設計された歯の第1組を含み、
前記第1障害要素はチタンまたはチタン合金製であるとともに、前記第1駆動爪は鋼製であり、
前記モバイルは円板でありまたは前記モバイルは実質的に円板形状を有し、または前記モバイルは実質的に円板リングの形状を有する、
カレンダーモバイル(10)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの障害要素は第2障害要素を含み、前記第2障害要素は、第2駆動爪と協働するように設計された歯の第2組(2a)を含む、
請求項1に記載のモバイル。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のモバイルを含む、クロックシステム(100)。」
(2) 本件補正後の請求項1
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。
「 【請求項1】
時間情報または時間から派生する情報を示すカレンダーモバイル(10)と、第1駆動爪と、第2駆動爪とを含み、
前記カレンダーモバイル(10)は、前記カレンダーモバイルを駆動する駆動接触作用を受けることが意図される及びまたは前記カレンダーモバイルからの駆動接触作用を伝達することが意図される、複数の障害要素(1a、2a、3a)を含み、
前記複数の障害要素は第1障害要素と、第2障害要素とを含み、
前記第1障害要素は、前記第1駆動爪と1時間毎にまたは24時間毎に協働するように設計された歯の第1組を含み、
前記第2障害要素は、前記第2駆動爪と少なくとも31日より少ないいくつかの月の月末において協働するように設計された歯の第2組(2a)を含み、
前記第1障害要素はチタンまたはチタン合金製であるとともに、前記第1駆動爪は鋼製であり、
前記第2障害要素はチタンまたはチタン合金製であるとともに、前記第2駆動爪は鋼製であり、
前記モバイルは円板でありまたは前記モバイルは実質的に円板形状を有し、または前記モバイルは実質的に円板リングの形状を有する、
クロックシステム。」
2 本件補正の目的について
(1) 本件補正による請求項1についての補正は、請求項13のうち、本件補正前の請求項1の記載を引用する請求項2の記載を引用する請求項13(以下「請求項1、2の記載を直列に引用する請求項13」という。)について、次のアからウに示す限定をするものである。
ア 「第1障害要素」が「第1駆動爪」と「協働する」態様について、「1時間毎にまたは24時間毎に協働する」ものに限定すること。
イ 「第2障害要素」が「第2駆動爪」と「協働する」態様について、「少なくとも31日より少ないいくつかの月の月末において協働する」ものに限定すること。
ウ 「第2駆動爪」及び「第2障害要素」について「前記第2障害要素はチタンまたはチタン合金製であるとともに、前記第2駆動爪は鋼製」であると限定すること。
(2) そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
(3) したがって、本件補正による請求項1についての補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
3 独立特許要件について
本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか否か、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討する。
(1) 本件補正発明の認定等
ア 本件補正発明の認定と分説
本件補正発明は、前記1(2)の本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
検討の便宜上、本件補正後の請求項1を次のとおり構成(M0)から(X)までに分説するとともに、参考図として本願の図1及び図2に部材名等を記した図を示す。
<本件補正発明の分説>
(M0) 時間情報または時間から派生する情報を示すカレンダーモバイル(10)と、
(A1) 第1駆動爪と、
(A2) 第2駆動爪とを含み、
(B0) 前記カレンダーモバイル(10)は、前記カレンダーモバイルを駆動する駆動接触作用を受けることが意図される及びまたは前記カレンダーモバイルからの駆動接触作用を伝達することが意図される、複数の障害要素(1a、2a、3a)を含み、
(B1) 前記複数の障害要素は第1障害要素と、
(B2) 第2障害要素とを含み、
(B11) 前記第1障害要素は、前記第1駆動爪と1時間毎にまたは24時間毎に協働するように設計された歯の第1組を含み、
(B21) 前記第2障害要素は、前記第2駆動爪と少なくとも31日より少ないいくつかの月の月末において協働するように設計された歯の第2組(2a)を含み、
(B12) 前記第1障害要素はチタンまたはチタン合金製であるとともに、前記第1駆動爪は鋼製であり、
(B22) 前記第2障害要素はチタンまたはチタン合金製であるとともに、前記第2駆動爪は鋼製であり、
(M1) 前記モバイルは円板でありまたは前記モバイルは実質的に円板形状を有し、または前記モバイルは実質的に円板リングの形状を有する、
(X)クロックシステム。
<参考図>
[図:0001419787000001.jpg]
[図:0001419787000002.jpg]
イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本件補正発明の技術上の意義の概略を理解するために、本件補正発明が解決しようとする課題及び本件補正発明の作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載の一部を抜粋すると、次の記載がある。なお、下線は合議体が付したものである。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、時間情報または時間から派生する情報を示すモバイルに関する。本発明はまた、当該種類のモバイルを含むクロックシステムに関する。本発明は更に、当該種類のシステムまたは当該種類のモバイルを含む時計に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特にカレンダー機構に関し、更に具体的にはカレンダーモバイルまたは日付モバイルに関する。当該種類のモバイルは、その日の日付を表示するために、一般的には、真夜中に一度限りのパルスを伝達する駆動モバイルにより、少なくとも1段駆動されるように歯部が設けられた円板の形状を取る。単純なカレンダー機構の場合、当該種類の円板は、駆動モバイルにより、一度限り、1段のみ駆動されるように設計される。当該円板は、一般的には、平面または実質的に平面であり、珪孔雀石やニッケルシルバーといった、銅または亜鉛基の合金製である。年間日付、半万年日付、または万年日付カレンダー機構の場合、カレンダーモバイルは、日付に応じて、一度限り、少なくとも2段駆動されるように設計される。当該種類のモバイルは、実際、より複雑な形態を有する。例えば、同一のカレンダーディスク上に分配されてもされなくてもよい、少なくとも2つの異なる歯の組を示してもよく、従って従来のカレンダーモバイルよりも大きな体積及びまたは断面を有する。
【0003】
従来技術は、低密度のために選択されるアルミニウム合金製の年間カレンダー円板を含む。当該円板は、更に、駆動モバイルにより跡をつけられないために、その歯部が適切な硬度を有するように、被膜されるまたは陽極酸化処理されるまたは金メッキされる。円板と駆動モバイルまたは複数のモバイルとの歯部の間に生成される接触圧力を考えると、円板のコーティングの剥離の危険性、ひいてはムーブメントの汚染の出現の危険性が存在する。更に、円板の処理から生じる酸化アルミニウムは、駆動モバイルまたは複数のモバイルに跡をつける、または著しく跡をつける危険性があり、このためカレンダー機構の最適な動作を可能にする駆動モバイルまたは複数のモバイルの特性を悪化させる危険性がある。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述の欠点を改善可能で、既知の従来技術装置を改善可能な、時間情報または時間から派生する情報を示すモバイルを提供することである。特に、本発明は、信頼性があって、堅固な、時間情報または時間から派生する情報を示すモバイルを提案する。」
「 【0028】
第1爪4aは、好ましくは鋼、特にFinemac鋼といった快削鋼またはマルエージング鋼といった硬化マルテンサイト系鋼製である。
【0029】
出願人が実施した試験によれば、モバイル10の同一形状及び歯部1aの同一形状において、チタンまたはチタン合金製の歯部1aは、アルミニウム合金歯に比べて経年劣化への良好な耐性を示す。
【0030】
特に、チタンまたはチタン合金製の歯部1aは、感知できるほど経年劣化で跡をつけられず、第1爪4aに跡をつけない。「跡の不在」とは、部品の完全性が、特に部品の形状完全性が変化しないことを意味する。更に、チタンまたはチタン合金製の歯部1aは、粒子の剥がれ落ちは無視できるほどであり、または剥がれ落ちが全く存在しない。特に、歯部1aは、第1爪4aへ感知可能な汚れを付着させない。」
「 【0044】
31日より少ない月の月末において、第2歯部は、カレンダーのフレームに対するその位置が接続カムにより制御される追加モバイルの駆動爪により作動されてもよい。上記で言及された他の爪と同様、駆動爪は好ましくは鋼、特にFinemac鋼といった快削鋼またはマルエージング鋼といった硬化マルテンサイト系鋼製である。
…(中略)…
【0046】
歯部1a同様、歯部2aは、チタンまたはチタン合金製であってもよい。第1爪4a同様、第2爪4bは、好ましくは鋼、特にFinemac鋼といった快削鋼またはマルエージング鋼といった硬化マルテンサイト系鋼製である。」
「 【0069】
このため、少なくとも1つの部分、特に少なくとも1つの歯の組、特に少なくとも1つのカレンダーモバイルの歯の組が、駆動モバイル及びまたはジャンパと接触により協働することが意図される、チタンまたはチタン合金製のカレンダーモバイルを提案することで、カレンダー機構、特に年間日付、または半万年日付または万年日付カレンダー機構を最適化することができる。実際、この種類の素材は、カレンダーの修正操作用に適切な硬度を、すなわちモバイルを駆動することを可能にする強度の接触作用を、特に一度限りの接触作用及びまたは点接触作用を受けるために適切な摩擦表面硬度を有する一方、単位体積当たり低質量を有するという利点を有する。この種類の素材は、好ましくは、被膜されておらず、表面硬化されていない。単位面積当たりの低質量は、駆動モバイルに提供すべきエネルギーを制限しつつ、モバイルを被駆動可能にするために、モバイルの慣性を最小化することを可能にする。」
(2) 引用文献の記載事項及び引用発明等の認定
ア 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
(ア) 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された、優先日前に発行された文献である特開2005-326420号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。なお、下線は合議体が付したものであり、後記(イ)の「引用発明の認定」において直接用いる記載を示している。
a 段落【0001】~【0021】
「【技術分野】
【0001】
本発明は、時計ムーブメント用年間日付機構であって、31個の歯を有する日付ランナと、この日付ランナのトゥースセットと噛合するジャンパと、回転ピンがこの日付ランナに固定されており、かつ日数が31日より少ない月のために12個の歯に対応するピッチのトゥースセットの5個の駆動歯を備えている月衛星部と、日付ランナと同心で月衛星部と直接的に駆動関係にある固定遊星トゥースセットと、時計ムーブメントの時間ホイールと駆動関係にあり、第1の駆動フィンガが日付ランナのトゥースセットの経路と交差しており、かつ第2の駆動フィンガが、その回転軸線が遊星トゥースセットと駆動部材と日付ランナの回転軸線と整列される時に月衛星部のトゥースセットの経路と交差する、2つの駆動フィンガを備えている、日付ランナを駆動する駆動部材とを備えている、時計ムーブメント用年間日付機構に関する。
【背景技術】
【0002】
万年暦機構に付随した上記年間日付機構は、下記の特許文献1に記載されている。この年間日付機構は、1ヶ月毎に1回転する日付ホイールに固定された回動ピンを有する月衛星部を備えている。この月衛星部は12個の歯を有し、この12個の歯の中の7個は先端が切られており、5個は先端が切られていない。この衛星部の12個の歯は日付ホイールと同心の固定式の7個の歯を有する遊星トゥースセットと噛合する。
【0003】
【特許文献1】欧州特許第1351104号公報
【0004】
1年を通じて、日付ホイールが1回転する毎に、月衛星部のトゥースセットは、その回動軸線が遊星トゥースセットの軸線と、24時間毎に1回転して日付ホイールを駆動するホイールの回動軸線と整列される時に異なった位置を占める。そのため、この24時間ホイールは24個の歯を有し、そのうち20個は、先端が切られ、他の4個のうち1つは、1日に一度日付ホイールと噛合する通常の駆動歯であり、もう1つは、回転軸線に平行にオフセットし、日数が31日より少ない月毎に月衛星部の5個の先端を切った歯と噛合する年修正歯である。
【0005】
1ヶ月の日数が31日より少ない場合、月衛星部の5個の先端を切っていない歯の1つが、日付ホイールの歯の1つに及んでホイールの修正歯の経路に位置するが、このホイールは24時間に1回転し、回転軸線に平行にオフセットしたこのホイールの修正歯を回転させることによって月衛星部を回転させ、固定遊星トゥースセットと噛合するこの衛星部は、24時間ホイールを駆動する通常の駆動フィンガが通常通り1回転毎に日付ホイールを1ステップ回転させる前に日付ホイールを回転させるので、日付ホイールは24時間ホイール1回転に対して2ステップ移動することになる。
…(中略)…
【0008】
この設計は魅力的であるが、この機構は、月衛星部が第1のピッチ円上で固定遊星トゥースセットと共に動作する一方で、第1のピッチ円より大きい第2のピッチ円上で24時間ホイールの駆動歯と共に動作するという事実に起因する欠点を有する。この大きなピッチ円直径は、24時間ホイールの駆動歯が月衛星部の先端を切った歯と噛合しないようにするため必要である。その結果、24時間ホイールの歯と月衛星部のトゥースセットとの間の噛み合いが浅くなり、駆動角の大きさが小さくなる。従って、この機構は信頼性が極めて低く、少なくとも最適化することが極めて困難であり、1個ずつ再調整する必要が生じる。
【0009】
この解決法のさらなる欠点は、月衛星部の回転軸線が遊星トゥースセットと24時間ホイールとのそれぞれの回転軸線と整列される時、衛星部がそれらの間にあり、すなわち、この衛星部は、そのトゥースセットの日付ホイールの中心から最も遠い場所に位置する部分で、この日付ホイールの外側に位置する24時間ホイールによって駆動されるので、駆動角は最小となり、しかもこの24時間ホイールと月衛星部との間のピッチ円直径はこの衛星部と遊星トゥースセットとの間のピッチ円直径に対して拡大されているので、噛み合いと駆動角はすでに小さいという事実に起因する。従って、この機構の製造と開発には問題があり、信頼性は低い。
【0010】
従って、特許文献1の欧州特許第1351104号の主題である解決法があるにもかかわらず、カムとレバーを利用する現在の日付機構に対する信頼できる代替案は提案されていないと結論付けられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の欠点を、少なくとも部分的に、改善することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のため、本発明の主題は請求項1に記載の日付機構である。
【0013】
本発明の本質的な利点は、各々別個の機能を果たす2つの同心衛星部が存在するため、それらは各々通常のトゥースセットと共に動作し、各トゥースセットは1つの単一ピッチ円の上でだけ動作し、互いと噛合する2つのランナのそれぞれのピッチ円は正接する。こうした噛合条件のため、トゥースセットは最適な噛み合わせを有するので、こうした駆動角は、歯の先端近くで動作が行われる場合と異なる確実な駆動を生じることができる。
【0014】
本発明による、ロッカ又はレバーがなく、噛み合わせと駆動角を最適化した年間日付機構の設計によって、この機構は調整不要となっている。一方で、どんな調整もある程度の公差を必要とするものであり、他方で、どんな調整も不安定になりがちなものである以上、これは重要な信頼性の要因である。日付の瞬時変更の好適な形態と共に使用する瞬時ジャンプロッカは、本発明による年間日付機構における1ヶ月の日数の修正には貢献せず、日付ランナを瞬時に駆動するために蓄積したエネルギーを供給するだけなので、考慮の対象にならない。
…(中略)…
【0020】
歯車装置だけを使用するこの機構の信頼性は、良好なトゥースセットの噛み合いと駆動角が日付ランナの正しい動作を保証できるため、瞬時ジャンプ駆動機構による駆動が特に良好となる。有利には、この場合、日付ランナは環の形状を有する。
【0021】
添付の図面は、本発明の主題である日付機構の1つの実施形態を概略的に例示として示すものである。」
b 段落【0022】~【0026】、【図1】、【図面の簡単な説明】
「【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の主題である日付機構は、好適には日付環1の形態の、日付ディスクとしても知られる日付ランナを備えている。この日付環1の内縁は、ジャンパばね2によって位置決めされている31個の歯を有している。駆動フィンガ3aによって、この日付環は毎日駆動される。駆動フィンガ3aは、ホイール5内に形成された円弧形状の開口5aと噛合するピン4aを介してホイール5に接続された瞬時ジャンプカム4に固定された駆動部材3に固定されている。このホイール5は、時計ムーブメントの時間ホイール6により、ランナ6aを介して24時間に1回転の割合で駆動される。」
「【図1】
[図:0001419787000003.jpg]
【図1】全ての構成要素を示す本実施形態の平面図である。」
「【0023】
ロッカ7は、ばね8によって瞬時ジャンプカム4の周囲に押し付けられている。このばね8は、日付環1を駆動する駆動部材3を駆動するために、カム4が、ばね8を作動状態にするランプ4bの端部に達するや否やカム4を時計回り方向に急激に回転させることを目的とする。
【0024】
上記で説明したことは、日付環1を24時間毎に1ステップ駆動する単純な瞬時日付機構に対応し、この瞬時日付機構は、年5回、日数が31日より少ない月の月末に修正が必要になることを意味する。
【0025】
そこで、上記で説明した単純な日付を改良して年間日付を可能にする構成要素を説明する。このため、日付環1と同心の遊星トゥースセット9を時計ムーブメントのハウジングに固定する。歯の数が12又は好適には12の倍数である衛星ピニオン10が、日付環1に固定したピン回りで回動するように設置されている。この衛星ピニオン10は、遊星トゥースセット9に常と噛合しており、この遊星トゥースセット9と共に、1ヶ月に1回転する単純な周転円ギアセットを形成している。12個のうち5個の歯を有する第2の月衛星ピニオン11が、衛星ピニオン10と同心に固定されている。好適には、月衛星ピニオン11の直径は衛星ピニオン10の直径より小さい。
【0026】
最後に、駆動部材3は、この駆動部材3の時計回りの回転方向に対して前方に角度を持って、かつその回転軸線に平行にオフセットした第2のフィンガ3bを有している。駆動部材3の第2のフィンガ3bは、日数が31日より少ない各月の月末に日付環1をさらに1ステップ駆動することを目的とした修正フィンガを構成している。」
c 段落【0027】~【0028】、【図2】、【図面の簡単な説明】
「【0027】
この修正機構の動作原理は、図2に例示するように、日数が31日より少ない各月の30日に、月衛星ピニオン11の5個の歯の1つが、遊星9の回転軸線と、日付ランナ1を駆動する駆動部材3の回転軸線と、衛星部10、11のそれぞれの回転軸線とを結ぶ直線とほぼ整列されるという原理である。」
「【図2】
[図:0001419787000004.jpg]
[図:0001419787000005.jpg]
【図2】図2(a)は、11月30日における様々な構成要素の位置を示す、図1の一部を単純化した図であり、図2(b)は、図2(a)の鎖線の円Aによって示した部分の拡大部分図である。」
「【0028】
ロッカ7は、瞬時ジャンプカム4のばね作動曲線4bの端部を通過するや否や、このカム4とそれに固定された駆動部材3とを時計回り方向に急激に回転させる。このカム4の急激な回転は、カム4のピン4aが係合する円弧形状の開口5aによって可能になっている。この運動の際、月衛星ピニオン11の5個の歯の1つに接触した修正フィンガ3bが駆動される。一方で、遊星部9と噛合する直径の大きな衛星部10にこの衛星部11を固定し、かつもう一方で、遊星部9の回転軸線と衛星部10、11の回転軸線との間に駆動部材3を配置しているため、修正フィンガ3bが衛星部11を動かすと、この衛星部11は、時計回り方向、すなわち駆動部材3と同じ方向に回転する。このギアセットは、「擬似パラドックス」と呼ぶことができ、修正フィンガ3bと衛星ピニオン11との間の接触角を増大して運動の確実性を改善し、ジャンパ2が日付環1を逆方向に駆動してしまうことがなく、反対に、ジャンパ2が日付環1を時計回り方向に動かすことによって日付環の駆動を確実に完了するようにする。」
d 段落【0029】~【0030】、【図3】、【図面の簡単な説明】
「【0029】
この第1の駆動段階の終了時、日付機構の構成要素は、図3に例示した位置、すなわち日付環1が31日まで1ステップ進んだ位置にある。第2の段階では、通常の駆動フィンガ3aが動作を引き継いで24時間毎に行っているようにディスクを動かし、次の月の「1」を鎖線内に示す位置の窓13に送る。」
「【図3】
[図:0001419787000006.jpg]
[図:0001419787000007.jpg]
【図3】図3(a)は、30日から31日に修正した後だが12月1日に移動する前の、11月30日における機構の構成要素の位置を示す、図2(a)と同様の図であり、図3(b)は、図3(a)の鎖線の円Aによって示した部分の拡大部分図である。」
「【0030】
明らかに、上記で説明した日付環を駆動する2つの段階は互いに中断なしに、瞬時ジャンプカム4の同じ角運動の中で継続するので、駆動の合計所要時間は百分の数秒に過ぎず、肉眼では感知できない。
(後略)」
e 段落【0036】、【図4】、【図面の簡単な説明】
「【0036】
図4は、31日ある月、この場合には、3月の月末の月衛星ピニオン11の5つの歯の角位置を例示している。衛星ピニオンの5個の歯はどれも修正フィンガ3bの経路にないことが分かる。その結果、瞬時ジャンプロッカ7がカム4を介してフィンガ3a及び3bを回転させる時、フィンガ3bは衛星ピニオン11の歯に遭遇せず、フィンガ3aだけが日付環1を1ステップだけ駆動し、「31」を窓13に送る。」
「【図4】
[図:0001419787000008.jpg]
【図4】3月30日における機構の構成要素の位置を示す、前の図と同様の図である。」
(イ) 引用発明の認定
前記(ア)の引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、括弧内に認定の根拠となる記載箇所を示した。
[引用発明]
「日付機構であって、(【0022】)
日付環1の形態の、日付ディスクとしても知られる日付ランナを備えており、
この日付環1の内縁は、ジャンパばね2によって位置決めされている31個の歯を有しており、
駆動フィンガ3aによって、この日付環は毎日駆動されるものであり、
駆動フィンガ3aは、ホイール5内に形成された円弧形状の開口5aと噛合するピン4aを介してホイール5に接続された瞬時ジャンプカム4に固定された駆動部材3に固定されており、
このホイール5は、時計ムーブメントの時間ホイール6により、ランナ6aを介して24時間に1回転の割合で駆動されるものであって、(【0022】)
ロッカ7は、ばね8によって瞬時ジャンプカム4の周囲に押し付けられており、
このばね8は、日付環1を駆動する駆動部材3を駆動するために、カム4が、ばね8を作動状態にするランプ4bの端部に達するや否やカム4を時計回り方向に急激に回転させることを目的とするものであって、(【0023】)
日付環1と同心の遊星トゥースセット9を時計ムーブメントのハウジングに固定しており、
歯の数が12又は好適には12の倍数である衛星ピニオン10が、日付環1に固定したピン回りで回動するように設置されており、
この衛星ピニオン10は、遊星トゥースセット9に常と噛合しており、この遊星トゥースセット9と共に、1ヶ月に1回転する単純な周転円ギアセットを形成しており、
12個のうち5個の歯を有する第2の月衛星ピニオン11が、衛星ピニオン10と同心に固定されているものであって、(【0025】)
駆動部材3は、この駆動部材3の時計回りの回転方向に対して前方に角度を持って、かつその回転軸線に平行にオフセットした第2のフィンガ3bを有しており、
駆動部材3の第2のフィンガ3bは、日数が31日より少ない各月の月末に日付環1をさらに1ステップ駆動することを目的とした修正フィンガを構成しているものであって、(【0026】)
ロッカ7は、瞬時ジャンプカム4のばね作動曲線4bの端部を通過するや否や、このカム4とそれに固定された駆動部材3とを時計回り方向に急激に回転させるものであり、
このカム4の急激な回転は、カム4のピン4aが係合する円弧形状の開口5aによって可能になっており、
この運動の際、月衛星ピニオン11の5個の歯の1つに接触した修正フィンガ3bが駆動され、
一方で、遊星部9と噛合する直径の大きな衛星部10にこの衛星部11を固定し、かつもう一方で、遊星部9の回転軸線と衛星部10、11の回転軸線との間に駆動部材3を配置しているため、修正フィンガ3bが衛星部11を動かすと、この衛星部11は、時計回り方向、すなわち駆動部材3と同じ方向に回転するものであって、(【0028】)
この第1の駆動段階の終了時、日付機構の構成要素は、日付環1が31日まで1ステップ進んだ位置にあり、
第2の段階では、通常の駆動フィンガ3aが動作を引き継いで24時間毎に行っているようにディスクを動かし、次の月の「1」を窓13に送るものであって、(【0029】)
日付環を駆動する二つの段階は互いに中断なしに、瞬時ジャンプカム4の同じ角運動の中で継続するので、駆動の合計所要時間は百分の数秒にすぎず、肉眼では感知できないものである、(【0030】)
日付機構。(【0022】)」
<参考図1(図1に部材名を加筆したもの)>
[図:0001419787000009.jpg]
<参考図2(図2(b)及び図3(b)に部材名等を加筆したもの)>
[図:0001419787000010.jpg]
イ 引用文献2技術事項、引用文献5技術事項及び技術常識1の認定
(ア) 引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された、優先日前に発行された文献である特開昭49-88553号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。なお、下線は合議体が付したものである。
(第1ページ左欄下から11行~右欄4行)
「本発明は原形まで加工されたチタンまたはチタン合金に陽極酸化処理を施す事によって硬質化且つ有色で耐蝕性を向上させた時計用外装製品に関するものである。
本発明の目的は広汎な色調を有し軽量で耐蝕性に優れ、表面が固く傷のつきにくい時計用外装製品を作り出す事である。時計用外装製品とは時計用ケース、バンド、裏ブタ、ガラス縁、リューズ、文字板および文字板に具備される植字、窓枠等、針、日車、曜車等の外観に表われる製品であり時計用ケースを例にあげると従来の時計用ケース材としてその主流を占めているステンレスは比重が約7.8と重く、しかも高度がHv150~250と低いため長期間の携帯により初期の金属光沢が失われ高級感を発揮することができなかった。」
(イ) 引用文献2技術事項の認定
前記(ア)に摘記した引用文献2の記載事項によれば、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献2技術事項>
「日車を軽量で耐蝕性に優れ、表面が硬く傷のつきにくいものとするためにチタン又はチタン合金製とすること。」
(ウ) 引用文献5の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された、優先日前に発行された文献である特開2012-127877号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の事項が記載されている。なお、下線は合議体が付したものである。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、時計部品の製造方法および時計部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
時計部品の材料として、軽量のチタンまたはチタン合金(以下「チタン等」という。)が広く利用されている。チタン等で形成された時計部品は、形状加工後に陽極酸化処理することで、耐食性を付与することができる。また陽極酸化処理の条件を調整することで、様々な色彩を付与することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-100627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、チタン等に対する陽極酸化処理では、金属光沢が出しにくい。そのため、時計部品としては高級感に欠けるという問題がある。
【0005】
特許文献1には、チタン又はチタン合金製品の製造方法として、チタンまたはチタン合金の素材を真空あるいは不活性ガス中で900~1500℃の温度で加熱して表面および端部の一部若しくは全部に100μm以上の双晶を含む結晶粒を析出させる技術が開示されている。この方法で製造されたチタン又はチタン合金製品は、結晶面が金属表面の法線方向に対して微妙な方向に配向しており、見る角度によってキラキラと輝いて見えるとされている。
【0006】
しかしながら、この特許文献1発明において十分な金属光沢を得るには、現実には結晶粒を数mm以上に粗大化して、結晶表面の光反射面積を確保する必要がある。特許文献1発明を微小部品である時計部品に適用し、時計部品より結晶粒を粗大化させると、時計部品が結晶ごとに形成される(単結晶で構成される)可能性がある。一般に、チタン等の多結晶材料は結晶ごとに硬度が異なるため、時計部品が結晶ごとに形成されると、時計部品の硬度がばらつくことになる。
【0007】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、硬度のばらつきが少なく、金属光沢を備えた時計部品の製造方法および時計部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題を解決するために、本発明の時計部品の製造方法は、多結晶材料で形成された時計部品の製造方法であって、前記多結晶材料を熱処理して、前記多結晶材料に含まれる複数の結晶を粗大化する熱処理工程と、前記多結晶材料をエッチングして、前記各結晶の表面を鏡面化し、前記各結晶の表面の法線方向を相互に異ならせるエッチング工程と、を有することを特徴とする。
この発明によれば、熱処理工程で結晶を粗大化することで、時計部品の表面に金属光沢が付与される。また、時計部品の硬度ばらつきを抑制すべく結晶の粗大化を制限したため金属光沢が足りない場合でも、エッチング工程で各結晶の表面を鏡面化し、各結晶の表面の法線方向を相互に異ならせることで、時計部品の表面にキラキラと輝く金属光沢を付与することができる。
【0009】
また前記熱処理工程では、前記結晶の粒径を7μm以上3mm以下に粗大化することが好ましい。
時計部品のサイズは概ね70μm以上30mm以下であるため、時計部品が複数の結晶に跨って形成される(多結晶で構成される)ことになり、時計部品の硬度ばらつきを抑制することができる。
【0010】
また前記熱処理工程の後で、前記エッチング工程の前に、前記時計部品の形状を加工する形状加工工程を有することが好ましい。
形状加工工程の後に熱処理工程を行うと、熱処理によって反りなどが発生し、時計部品の寸法精度が低下する。またエッチング工程の後に形状加工工程を行うと、エッチングにより付与された金属光沢が損なわれる。そこで、熱処理工程の後で、エッチング工程の前に、形状加工工程を行うことにより、時計部品の寸法精度を確保するとともに、外観性を確保することができる。
【0011】
また前記エッチング工程の後に、前記時計部品の表面を陽極酸化処理する陽極酸化工程を有することが好ましい。
この場合には、時計部品の表面に、特定色でキラキラと輝く金属光沢を付与することができる。
【0012】
また前記エッチング工程は、フッ酸、硝酸および過酸化水素水を含む液体に前記多結晶材料を浸漬して行うことが好ましい。
この場合には、多結晶材料の各結晶の表面を鏡面化し、各結晶の表面の法線方向を相互に異ならせることができる。
【0013】
また前記時計部品は、回転錘、地板、歯車、てん輪、文字板または針であることが好ましい。
この場合には、各時計部品の硬度ばらつきを抑制しつつ、各時計部品の表面にキラキラと輝く金属光沢を付与することができる。」
(エ) 引用文献5技術事項の認定
前記(ウ)に摘記した引用文献5の記載事項によれば、引用文献5には、次の技術事項(以下「引用文献5技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献5技術事項>
「時計部品の歯車を硬度ばらつきを抑制しつつ軽量で耐蝕性に優れたものとするためにチタン又はチタン合金製とすること。」
(オ) 技術常識1の認定
前記(ア)において摘記した引用文献2の記載事項及び前記(ウ)において摘記した引用文献5の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、優先日前に技術常識であったと認められる(以下「技術常識1」という。)。
<技術常識1>
「腕時計の構成部品を軽量で耐蝕性に優れ、表面が硬く傷のつきにくいものとするためにチタン又はチタン合金製とすること。」
ウ 引用文献7の記載事項及び引用文献7技術事項の認定
(ア) 引用文献7の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された、優先日前に発行された文献である特開2004-170271号公報(以下「引用文献7」という。)には、次の事項が記載されている。なお、下線は合議体が付したものである。
段落【0066】~【0067】、【図13】、【図18】
「【0066】
(10)日送り機構の構造
次に、本発明のカレンダ付き時計の日送り機構の構造について説明する。図13および図18を参照すると、日回し車706は、筒車354の回転に基づいて回転する日回し歯車部と、日回し歯車部の地板102のある方の面の中心に設けられた日回し筒部(図示せず)とを備える。日回し筒部は、地板102の日回し車組込軸に回転可能に組み込まれる。日車押さえ760の一部が、日回し車706の少なくとも一部を回転可能に地板102に保持する日回し車保持部を有する。この構造により、日回し車706を地板102に保持することができる。日回し車706は、黄銅のような金属で製造されるのが好ましい。日回しつめ730の中心部分731は、溶接、打ち込みなどにより、日回し車706に固定されるのがよい。複数の日車押さえ止めねじ780により、日車押さえ760を地板102に固定する。日車押さえ止めねじ780を3本以上設けるのが好ましい。」
「【図13】
[図:0001419787000011.jpg]
」
「【図18】
[図:0001419787000012.jpg]
」
「【0067】
日回しつめ730は、リン青銅、ステンレス鋼などの弾性材料で形成される。日回しつめ730は、日回し車706に一体に設けられた中心部分731と、中心部分731から延びる円弧状のばね部分732と、日車720を回転させるための日車送り部分733とを含む。日車送り部分733は、ばね部分732の先端に設けられる。ばね部分732は、ほぼ270度の角度の範囲に形成される。ばね部分732の内周部と、中心部分731の外周部との間には、隙間731bが設けられる。図18に矢印で示すように、日車720は反時計周り方向に回転するように構成される。同様に、図18に矢印で示すように、日回し車706も反時計周り方向に回転するように構成される。」
(イ) 引用文献7技術事項の認定
前記(ア)に摘記した引用文献7の記載事項によれば、引用文献7には、次の技術的事項(以下「引用文献7技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献7技術事項>
「カレンダ付き時計の日送り機構において、日車に接触して日車を回転させる日回しつめをステンレス鋼で形成すること。」
(3) 本件補正発明と引用発明の対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成(X)の観点(クロックシステム)
a 本件補正発明は、「クロックシステム」の発明であるところ、用語「クロックシステム」について、本願の明細書の発明の詳細な説明を参酌すると段落【0018】に次のとおり記載されている。
「クロックムーブメントは、時間情報または時間から派生する情報を表示するまたは示すためのシステム100を含む。クロックシステムは、例えば、クロックカレンダー、特に日付及びまたは曜日及びまたは月を表示するカレンダーである。カレンダーは、1日タイプのものまたは年間日付タイプのものまたは半万年日付タイプのまたは万年日付タイプのものであってもよい。システム100は、例えば、特許文献3に開示された年間カレンダー機構100であってもよい。」
b 上記aに摘記した本願の詳細な説明の記載を参酌すると、日付を表示するカレンダー機構は本件補正発明にいうところの「クロックシステム」に包摂されるといえる。
c そうすると、「クロックシステム」の発明である本件補正発明と「日付機構」の発明である引用発明は、「クロックシステム」の発明である点において一致する。
(イ) 構成(M0)の観点(カレンダーモバイル)
引用発明の「日付け」は、「時間情報または時間から派生する情報」に包摂されることは明らかであるから、引用発明における「日付環1」は、本件補正発明の「カレンダーモバイル(10)」に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「時間情報または時間から派生する情報を示すカレンダーモバイル(10)」を含む点。
(ウ) 構成(A1)及び(A2)の観点(第1駆動爪と第2駆動爪)
引用発明の「駆動フィンガ3a」は、本件補正発明の「第1駆動爪」に相当する。
また、引用発明の「修正フィンガ3b」は、本件補正発明の「第2駆動爪」に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「第1駆動爪と第2駆動爪」を含む点。
(エ) 構成(B0)~(B2)の観点(駆動接触作用関連の複数の障害要素)
a 引用発明の「日付環1」は「31個の歯」を有し、当該「31個の歯」は「駆動フィンガ3aにより毎日駆動される」ことから、「31個の歯」は、本願補正発明の「カレンダーモバイルを駆動する駆動接触作用を受けることが意図される」「第1障害要素」に相当するといえる。
b(a) また、引用発明においては、「5個の歯を有する第2の月衛星ピニオン11が衛星ピニオン10と同心に固定されているものであって」、「月衛星ピニオン11の5個の歯の1つに接触した修正フィンガ3bが駆動され」、「修正フィンガ3bが衛星部11を動かすと、この衛星部11は、時計回り方向、すなわち駆動部材3と同じ方向に回転するものであって」、「駆動部材3の第2のフィンガ3bは、日数が31日より少ない各月の月末に日付環1をさらに1ステップ駆動することを目的とした修正フィンガを構成しているものであって」、「第1の駆動段階の終了時、日付機構の構成要素は、日付環1が31日まで1ステップ進んだ位置にあ[る]」。
(b) そうすると、引用発明における「第2の衛星ピニオン11」の「5個の歯」は、「日付環1(「カレンダーモバイル」に相当する。)」を駆動する本願補正発明の「カレンダーモバイルを駆動する駆動接触作用を受けることが意図される」「障害要素」であるといえる。
(c) すなわち、引用発明における「第2の衛星ピニオン11」の「5個の歯」は、本願補正発明における「カレンダーモバイルを駆動する駆動接触作用を受けることが意図される」「第2障害要素」に相当する。
c 前記a及びbの検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「前記カレンダーモバイル(10)は、前記カレンダーモバイルを駆動する駆動接触作用を受けることが意図される及びまたは前記カレンダーモバイルからの駆動接触作用を伝達することが意図される、複数の障害要素(1a、2a、3a)を含み
前記複数の障害要素は第1障害要素と、第2障害要素とを含[む]」点。
(オ) 構成(B11)の観点(第1障害要素と第1駆動爪の協働の態様)
引用発明においては、「日付環1の内縁は、ジャンパばね2によって位置決めされている31個の歯を有しており」、「駆動フィンガ3aによって、この日付環は毎日駆動されるものであ[る]」から、引用発明の「駆動フィンガ3a(「第1駆動爪」に相当する。)」と「日付環1の31個の歯(「第1障害要素」に相当する。)」は、24時間ごとに協働するものであるといる。
そうすると、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「第1障害要素は、前記第1駆動爪と24時間毎に協働するように設計された歯の第1組」を含む点。
(カ) 構成(B21)の観点(第2障害要素と第2駆動爪の協働の態様)
引用発明においては、「月衛星ピニオン11の5個の歯」は、「修正フィンガ3b」により接触され、「修正フィンガ3bが衛星部11を動かす」ものであるところ、「駆動部材3の第2のフィンガ3bは、日数が31日より少ない各月の月末に日付環1をさらに1ステップ駆動することを目的とした修正フィンガを構成している」から、引用発明の「月衛星ピニオン11の5個の歯(「第2障害要素」に相当する。)」と「修正フィンガ3b(「第2駆動爪」に相当する。)」は、日数が31日より少ない各月の月末において協働するものであるといえる。
そうすると、本件補正発明と引用発明は次の点において一致する。
「第2障害要素は、前記第2駆動爪と少なくとも31日より少ないいくつかの月の月末において協働するように設計された歯の第2組(2a)」を含む点。
(キ) 構成(B12)及び(B22)の観点(障害要素と駆動爪の材料)
本件補正発明と引用発明は次の点において相違する。
本件補正発明においては、
前記第1障害要素はチタンまたはチタン合金製であるとともに、前記第1駆動爪は鋼製であり、
前記第2障害要素はチタンまたはチタン合金製であるとともに、前記第2駆動爪は鋼製であ[る]、との限定があるのに対して、
引用発明においては、「日付環1の31個の歯(「第1障害要素」に相当する。)」、「駆動フィンガ3a(「第1駆動爪」に相当する。)」、「第2の衛星ピニオン11の5個の歯(「第2障害要素」に相当する。)」及び「修正フィンガ3b(「第2駆動爪」に相当する。)」の材料は不明である点。
(ク) 構成(M1)の観点(モバイルの形状)
引用発明の「日付環1は、「日付ディスクとしても知られる日付ランナを備えて[いる]」から、日付環1が実質的に円板リングの形状を有することは、明らかである。
したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「前記モバイルは円板でありまたは前記モバイルは実質的に円板形状を有し、または前記モバイルは実質的に円板リングの形状を有する」点。
イ 一致点及び相違点の認定
前記アの対比分析の検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次の(ア)及び(イ)に示すとおりである。
(ア) 一致点
「時間情報または時間から派生する情報を示すカレンダーモバイル(10)と、第1駆動爪と、第2駆動爪とを含み、
前記カレンダーモバイル(10)は、前記カレンダーモバイルを駆動する駆動接触作用を受けることが意図される及びまたは前記カレンダーモバイルからの駆動接触作用を伝達することが意図される、複数の障害要素(1a、2a、3a)を含み、
前記複数の障害要素は第1障害要素と、第2障害要素とを含み、
前記第1障害要素は、前記第1駆動爪と1時間毎にまたは24時間毎に協働するように設計された歯の第1組を含み、
前記第2障害要素は、前記第2駆動爪と少なくとも31日より少ないいくつかの月の月末において協働するように設計された歯の第2組(2a)を含み、
前記モバイルは円板でありまたは前記モバイルは実質的に円板形状を有し、または前記モバイルは実質的に円板リングの形状を有する、
クロックシステム」である点。
(イ) 相違点
本件補正発明においては、
「前記第1障害要素はチタンまたはチタン合金製であるとともに、前記第1駆動爪は鋼製であり、前記第2障害要素はチタンまたはチタン合金製であるとともに、前記第2駆動爪は鋼製であ[る]」、との限定があるのに対して、
引用発明においては、「日付環1の31個の歯(「第1障害要素」に相当する。)」、「駆動フィンガ3a(「第1駆動爪」に相当する。)」、「第2の衛星ピニオン11の5個の歯(「第2障害要素」に相当する。)」及び「修正フィンガ3b(「第2駆動爪」に相当する。)」の材料は不明である点。
(4) 判断
前記相違点について検討する。
ア 「日付環1の歯」をチタン(合金)製とする点
(ア) 優先日前において、「腕時計の構成部品を軽量で耐蝕性に優れ、表面が硬く傷のつきにくいものとするためにチタン又はチタン合金製とすること」は、技術常識である(前記(2)イ(オ)の「技術常識1」参照)。
(イ) しかも、引用文献2には、「日車を軽量で耐蝕性に優れ、表面が硬く傷のつきにくいものとするためにチタン又はチタン合金製とすること」が記載されている(前記(2)イ(イ)の「引用文献2技術事項」参照)。
(ウ) さらには、引用文献5に「時計部品の歯車を硬度ばらつきを抑制しつつ軽量で耐蝕性に優れたものとするためにチタン又はチタン合金製とすること」も記載されている(前記(2)イ(エ)の「引用文献5技術事項」参照)。
(エ) そうすると、引用発明における日付環1を歯を含めてチタン又はチタン合金製とすることは、当業者にとっては、軽量化と硬度の確保(傷の防止)のほか、耐食性や装飾性等も考慮した上での極めて自明の設計上の選択肢にすぎないというべきことであり、このような観点から引用発明における日付環1の歯の構成材料についてチタン又はチタン合金を選択とすることは、当業者にとっては自明である。
イ 「第2の衛星ピニオン11の歯」をチタン(合金)とする点
(ア) 優先日前において、「腕時計の構成部品を軽量で耐蝕性に優れ、表面が硬く傷のつきにくいものとするためにチタン又はチタン合金製とすること」は、技術常識である(前記(2)イ(オ)の「技術常識1」参照)。
(イ) しかも、引用文献5に「時計部品の歯車を硬度ばらつきを抑制しつつ軽量で耐蝕性に優れたものとするためにチタン又はチタン合金製とすること」も記載されている(前記(2)イ(エ)の「引用文献5技術事項」参照)。
(ウ) そうすると、引用発明における第2の衛星ピニオン11(歯を含む。)をチタン又はチタン合金製とすることは、当業者にとっては、軽量化と硬度の確保(傷の防止)のほか耐食性等も考慮した上での極めて自明の設計上の選択肢にすぎないというべきことであり、このような観点から引用発明における第2の衛星ピニオン11の歯の構成材料についてチタン又はチタン合金を選択とすることは、当業者にとっては自明である。
ウ 第1駆動爪及び第2駆動爪が鋼製であること
機械式時計の部品の材料としては、黄銅(真鍮(しんちゅう))のほか、ステンレス鋼もよく知られたものである。
そして、引用文献7には、「カレンダ付き時計の日送り機構において、日車に接触して日車を回転させる日回しつめをステンレス鋼で形成すること」が記載されている(前記(2)ウ(イ)の「引用文献7技術事項」参照)。
そうすると、引用発明における「駆動フィンガ3a」及び「修正フィンガ3b」をステンレス鋼製とすることは、当業者にとっては、自明の設計上の選択肢にすぎないというべきことであり、当業者が適宜選択できることにすぎない。
エ 効果について
(ア) 第1障害要素がチタンまたはチタン合金製であることの効果
a 明細書の発明の詳細な説明の記載
第1障害要素がチタンまたはチタン合金製であることの効果について、本願の明細書の段落【0029】及び【0030】には、次のことが説明されている。
「 【0029】
出願人が実施した試験によれば、モバイル10の同一形状及び歯部1aの同一形状において、チタンまたはチタン合金製の歯部1aは、アルミニウム合金歯に比べて経年劣化への良好な耐性を示す。
【0030】
特に、チタンまたはチタン合金製の歯部1aは、感知できるほど経年劣化で跡をつけられず、第1爪4aに跡をつけない。「跡の不在」とは、部品の完全性が、特に部品の形状完全性が変化しないことを意味する。更に、チタンまたはチタン合金製の歯部1aは、粒子の剥がれ落ちは無視できるほどであり、または剥がれ落ちが全く存在しない。特に、歯部1aは、第1爪4aへ感知可能な汚れを付着させない。」
b 検討
チタン又はチタン合金がアルミニウム合金に比較して硬度であることは当業者には自明のことであるから、明細書の段落【0029】と【0030】に記載された効果は、当業者にとって予測困難なものとはいえず、また、例えば定量性などの面で仮に予測・発見困難な効果があったとしても、前記ア及びイにおいて検討した自明性の程度に鑑みれば、当該自明性を凌駕するほどの格別顕著性を認めることはできない。
(イ) 相乗効果の有無について
本願の明細書の詳細な説明に開示された技術事項からは、相違点の「前記第1障害要素はチタンまたはチタン合金製であるとともに、前記第1駆動爪は鋼製であり、前記第2障害要素はチタンまたはチタン合金製であるとともに、前記第2駆動爪は鋼製であ[る]」ことによる相乗効果は、認めることはできない。
オ 小括
以上アからウで説示したとおり、引用発明において相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用文献2技術事項、引用文献5技術事項、引用文献7技術事項及び技術常識1に基づいて、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本件補正発明の奏する作用効果として、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることができないことは、前記エにおいて検討したとおりである。
したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献2技術事項、引用文献5技術事項、引用文献7技術事項及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5) 請求人の主張について
ア 請求人の主張内容
請求人は、審判請求書において、次の主張をしている。
(ア) 効果について
本件補正発明は、次のa及びbに示すとおり、相違点に起因して有利な効果を奏する。
a 本件補正発明は、第1障害要素及び第2障害要素をチタン又はチタン合金製とすることで、本願明細書段落【0030】に記載のように、経年劣化による感知できるほどの跡をつけられず、部品の形状完全性が変化しないとともに、粒子の剥がれ落ちが無視できるほどであるため、第1駆動爪と第2駆動爪には感知可能な汚れを付着させない。
b 第1駆動爪及び第2駆動爪は鋼製とすることで、コストを抑え加工しやすい材質とすることが可能となる。
(イ) 構成の想到の非容易性について
次のa及びbに示す事由により、相違点は当業者が容易に想到し得ないから、本件補正発明は進歩性を有する。
a 二つの具体的な障害要素である、第1障害要素と第2障害要素について、チタン又はチタン合金製であることは、いずれの引用文献にも記載されていない。
b 第1障害要素はチタン又はチタン合金製であるとともに第1駆動爪は鋼製であるという組合せ、及び、第2障害要素はチタン又はチタン合金製であるとともに第2駆動爪は鋼製であるという組合せは、いずれの引用文献にも記載されていない。
イ 請求人の主張についての検討
相違点が当業者にとって自明な設計上の選択肢にすぎず、適宜選択できたことは、前記(4)アからウにおいて検討したとおりである。そして、請求人が前記ア(ア)aで主張する効果が、当業者にとって予測・発見困難なものとはいえず、また、格別顕著なものといえないことは、前記(4)エにおいて検討したとおりである。
さらに、請求人が前記ア(ア)bで主張する効果、すなわち「第1駆動爪及び第2駆動爪は鋼製とすることで、コストを抑え加工しやすい材質とすることが可能となる。」という効果は、「第1駆動爪及び第2駆動爪」が「鋼製」である前提では自明な効果であり、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難なものでは、到底ない。
以上のとおりであるから、請求人の主張は、採用できない。
(6) 本件補正の却下の決定についてのむすび
以上のとおりであるから、本件補正発明は、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
したがって、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、特許法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1から17に係る発明は、令和5年1月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1から17に記載された事項により特定されるものであるところ、そのうちの請求項1、2の記載を直列に引用する請求項13に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2の1(1)に示した本件補正前の請求項1、2、13に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、本願発明は、本願の優先日前に発行された下記引用文献に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
記
引用文献1:特開2005-326420号公報
引用文献2:特開昭49-088553号公報
引用文献3:米国特許出願公開第2008/0194377号明細書
引用文献4:特開2011-174845号公報
引用文献5:特開2012-127877号公報
引用文献6:特開平07-229975号公報
引用文献7:特開2004-170271号公報
3 引用文献の記載事項及び引用発明の認定
引用発明、引用文献2技術事項、引用文献5技術事項、引用文献7技術事項及び技術常識1は、それぞれ前記第2の3(2)において示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の3において検討した本件補正発明において、前記第2の2の補正事項による限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、本願発明の発明特定事項の一部を更に限定したものに相当する本件補正発明は、前記第2の3において検討したとおり、引用発明、引用文献2技術事項、引用文献5技術事項、引用文献7技術事項及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明、引用文献2技術事項、引用文献5技術事項、引用文献7技術事項及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明、引用文献2技術事項、引用文献5技術事項、引用文献7技術事項及び技術常識1に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
以上
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2023-011331