特許拒絶査定不服審判
2022-010902
触覚フィードバックを生成するための装置
- 審判番号
- 2022-010902
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-552219外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年07月13日
- 審決日
- 2023年10月24日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
- 【請求人代理人】弁理士法人相原国際知財事務所
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-552219「触覚フィードバックを生成するための装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月10日国際公開、WO2019/193006、令和 3年 7月 8日国内公表、特表2021-516830、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(平成31年)4月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年4月5日 ドイツ)を国際出願日とする出願出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年 9月28日 :手続補正書の提出
令和3年10月19日付け:拒絶理由通知書
令和4年 1月12日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 4月 8日付け:拒絶査定
令和4年 7月13日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出
令和4年12月20日付け:拒絶理由通知書
令和5年 3月 8日 :意見書の提出
令和5年 5月16日付け:拒絶理由通知書
令和5年 8月 4日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願請求項1~16に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明16」という。)は、令和5年8月4日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は次のとおりの発明である。
「【請求項1】
触覚フィードバックを生成するための装置(1)であって、
タッチ・センシティブな表面(3)を有するインターフェース(2)と、
圧電アクチュエータ(11)と、
機械的な増幅要素(13a)と、
ベースプレート(4)と、
前記タッチ・センシティブな表面(3)の操作が検出された時、前記タッチ・センシティブな表面(3)を押す物体に対して、力の急変を再現する触覚フィードバックが生成されるように前記機械的な増幅要素(13a)が変形するような電圧パルスを、前記圧電アクチュエータ(11)に印加するように構成された制御ユニットと、を備え、
前記機械的な増幅要素(13a)は、前記圧電アクチュエータ(11)に取り付けられており、
前記機械的な増幅要素(13a)は、前記インターフェース(2)に直接的に又は間接的に取り付けられており、
前記機械的な増幅要素(13a)は、第1の方向(R1)における前記圧電アクチュエータ(11)の広がりの変化の結果として、前記機械的な増幅要素(13a)の部分領域(17a)が、前記圧電アクチュエータ(11)に対して、前記第1の方向(R1)に対して垂直な第2の方向(R2)に移動されるように変形するよう、形成され配置されており、それにより、前記インターフェース(2)に力が加えられ、
前記インターフェース(2)は、それに加えられる力によって、前記タッチ・センシティブな表面(3)に対して横方向(RL)にのみ移動され、
前記圧電アクチュエータ(11)は、触覚フィードバックを生成するために、前記インターフェース(2)を前記ベースプレート(4)に対して移動させるように配置され形成されており、
前記圧電アクチュエータ(11)は、触覚フィードバックを生成するために、前記インターフェース(2)を前記ベースプレート(4)に対して角度αで移動させるように配置され形成されており、0°≦α≦180°であり、
前記力の急変は、スイッチングポイントを乗り越えた後、表面の機械的な抵抗が急激に減少するという触覚的な印象を与え、
前記インターフェース(2)は、ユーザによる操作のために設けられた上面と、前記上面とは反対側の下面と、を備え、
前記圧電アクチュエータ(11)は、前記インターフェース(2)の前記下面と前記ベースプレート(4)との間に配置されており、
前記インターフェース(2)は、前記圧電アクチュエータ(11)によってのみ移動されるように構成されている、装置(1)。」
なお、本願発明2~16は、本願発明1を減縮した発明である。
第3 原査定の概要
原査定(令和4年4月8日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
本願請求項1~16に係る発明は、以下の引用文献A~E(当審注:引用文献Cは一部の請求項に対しては引用されていない。)に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献A: 特開2017-175875号公報
引用文献B: 国際公開第2018/046201号
引用文献C: 特開2016-162328号公報
引用文献D: 特開2010-146507号公報
引用文献E: 特開2010-146516号公報
第4 当審拒絶理由の概要
1 当審拒絶理由1
令和4年12月20日付けで通知された拒絶理由(以下、「当審拒絶理由1」という。)の概要は次のとおりである。
本願請求項1~16に係る発明は、以下の引用文献U~Z(当審注:引用文献Y又は引用文献Zは一部の請求項に対しては引用されていない。)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献U: 特開2017-175875号公報(原査定の引用文献A)
引用文献V: 国際公開第2018/046201号(原査定の引用文献B)
引用文献W: 特開2015-11376号公報
引用文献X: 特開2012-221387号公報
引用文献Y: 特開2016-162328号公報(原査定の引用文献C)
引用文献Z: 特開2016-129013号公報
2 当審拒絶理由2
令和5年5月16日付けで通知された拒絶理由(以下、「当審拒絶理由2」という。)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-4,9,10に係る発明は、以下の引用文献1,2に記載された発明に基づいて、本願請求項5-8,11-16に係る発明は、以下の引用文献1~3に記載された発明、又は、引用文献1,2,4に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2015-11376号公報(当審拒絶理由1の引用文献W)
引用文献2:国際公開第2018/046201号(原査定の引用文献B、当審拒絶理由1の引用文献V)
引用文献3:特開2016-162328号公報(原査定の引用文献C、当審拒絶理由1の引用文献Y)
引用文献4:特開2017-175875号公報(原査定の引用文献A、当審拒絶理由1の引用文献U)
第5 引用文献の記載、引用発明等
1 引用文献1、引用発明1
(1)当審拒絶理由2にて引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の操作入力装置では、触感フィードバックにおける硬さの違いをユーザに感じさせることができるものの、一般的にメカニカルなスイッチをユーザが押したときのスイッチにかかる力と変位との特性(F-s特性)が考慮されていなかったことから、実際にメカニカルなスイッチを押したかのような触感をユーザに与えるための改善の余地があった。
【0007】
具体的には、従来の操作入力装置では、タッチ操作のうち、操作面への押し込み過程、および操作面からの押し戻し過程において夫々、図6に示すように、タッチ操作部に対して加速度を付与させる制御を1回行うだけであるため、F-s特性に見合った制御がなされておらず、実際のメカニカルなスイッチから受ける触感との差異が生じている懸念があった。
【0008】
本発明は、上記懸念に鑑みてなされたものであり、実際のメカニカルなスイッチから受ける触感により近い触感フィードバックを付与できる操作入力装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明は、タッチ操作によって入力が行われる操作面を含むタッチ操作部と、操作面へのタッチ操作を検出する操作検出手段と、タッチ操作部を変位させる操作部変位手段と、操作検出手段がタッチ操作を検出したときに、操作部変位手段を駆動制御することでタッチ操作部の変位を制御する変位制御手段とを備える操作入力装置である。そして、本発明では、変位制御手段が、操作部変位手段を駆動制御する際に、タッチ操作部に対して、互いに正負が異なる二つのピークを有するように加速度を付与する加速度付与制御を実行する。
【0010】
一般的に、メカニカルなスイッチのF-s特性では、スイッチからユーザが受ける力は、その押し込み過程において、スイッチの変位が大きくなるにつれて増加した後、一時的に減少してから再び増加し、その押し戻し過程において、スイッチの変位が小さくなるにつれて減少した後、一時的に増加してから再び減少することが知られている。」
「【0017】
このような構成によれば、タッチ操作の押し込み過程において、あたかもスイッチが一時的に下方に吸い込まれてからそれ以上下方に変位しない感触をユーザに与えることができ、タッチ操作の押し戻し過程において、あたかもスイッチが一時的に上方に吸い上げられてからそれ以上上方に変位しない感触をユーザに与えることができる。」
「【0020】
<全体構成>
図1および図2に示すように、操作入力装置1は、ハウジング10、制御部11、タッチ検出器12、水平方向移動機構部13、フロントパネル14、変位パラメータ記憶部15およびディスプレイ21を備えている。
【0021】
ディスプレイ21は、ハウジング10に収容された周知の液晶ディスプレイであり、ナビゲーション装置の制御部(以下「ナビ制御部20」という)に接続されている。ナビ制御部20は、ナビゲーション装置としての各種機能を実現するための処理を実行するものであり、例えば車両の現在地とその周辺の地図データをディスプレイ21に表示したり、その表示形態や目的地等に関する各種設定を行うためのアイコンをディスプレイ21に表示したりする等、ディスプレイ21の表示制御を行う。また、ナビ制御部20は、ディスプレイ21に表示されたアイコン等の対象箇所がタッチ操作されると、その対象箇所に応じた処理を実行する。なお、本実施形態では、ディスプレイ21の表示制御を行うナビ制御部20と、後述のフロントパネル14の変位を制御する制御部11とを区別しているが、これらを一つの制御部で実現してもよい。
【0022】
タッチ検出器12は、ディスプレイ21とフロントパネル14との間に設けられたシート状の周知のタッチセンサであり、フロントパネル14の操作面141へのタッチ操作(タッチ位置)を検出し、その検出信号を制御部11およびナビ制御部20に出力する。例えば、タッチ検出器12は、投影型の静電容量式のタッチセンサである場合には、ITO等で形成された透明電極がマトリックス状に多数配置された電極層を有しており、フロントパネル14の操作面141に指が触れると、その付近の電極に静電容量の変化が生じ、その静電容量に変化が生じた電極の位置に応じた信号を出力するように構成されている。
【0023】
フロントパネル14は、ガラスや樹脂など透明な材料で形成されており、タッチ検出器12を覆うように配置されている。このフロントパネル14の平面状の表面は、ユーザによってタッチ操作が行われる操作面141とされている。なお、本実施形態では、フロントパネル14とタッチ検出器12とを区別しているが、これらを一つのパネルで実現したタッチ検出機能付きのフロントパネルを採用してもよい。
【0024】
ハウジング10は、ディスプレイ21の横方向(水平方向)に平行な断面が凹状に形成されており、下方からディスプレイ21、タッチ検出器12、フロントパネル14の順に収容するように構成されている。また、ハウジング10には、フロントパネル14の左右端付近に横方向に窪んだスペース103、104が形成されている。これらのスペース103、104には、それぞれアクチュエータ131、132が設けられている。
【0025】
アクチュエータ131、132は、フロントパネル14を横方向(水平方向)に移動させる水平方向移動機構部13を構成するものである。詳細には、ハウジング10における右側のスペース103に設けられた右側アクチュエータ131と、ハウジング10における左側のスペース104に設けられた左側アクチュエータ132とによって構成され、これらアクチュエータ131、132は、フロントパネル14を介して互いに対抗する位置に設けられている。
【0026】
右側アクチュエータ131は、フロントパネル14の右端部142の中心付近に接続されており、フロントパネル14を左方向(左側アクチュエータ132の方向)に押す(変位させる)ものであり、左側アクチュエータ132は、フロントパネル14の左端部143の中心付近に接続されており、フロントパネル14を右方向(右側アクチュエータ131の方向)に押す(変位させる)ものである。よって、これらアクチュエータ131、132を交互に駆動させることで、フロントパネル14(およびフロントパネル14と一体に形成されたタッチ検出器12)を、フロントパネル14の横方向(水平方向)に反転可能に変位(振動)させることができる。なお、アクチュエータ131、132には、例えば圧電素子(ピエゾ素子)や電磁ソレノイドを利用したものが用いられる。
【0027】
制御部11は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを中心に構成され、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムに基づいて、RAMを作業エリアとして用い、各種の処理を実行するものである。制御部11には、タッチ検出器12、水平方向移動機構部13および変位パラメータ記憶部15が電気的に接続されている。そして、制御部11は、タッチ検出器12からの検出信号に基づいて、水平方向移動機構部13(アクチュエータ131、132)を駆動制御して、フロントパネル14を変位させる処理を実行する。
【0028】
変位パラメータ記憶部15は、ハードディスク装置やフラッシュメモリ等によって構成され、ユーザがフロントパネル14をタッチ操作したときにメカニカルなスイッチを押したかのような触感(クリック感)を与えるように、マイスナー小体やパチニ小体、メンケル細胞等の皮膚の感覚受容器を刺激するために必要な条件を刺激可能条件(詳細については、特許文献1参照)とし、この刺激可能条件を満足するフロントパネル14の変位量、変位速度および加速度の数値(以下「変位パラメータ」という)が記憶されている。そして、制御部11は、この変位パラメータ記憶部15に記憶されている変位パラメータを読み出し、読み出した変位パラメータに基づいてフロントパネル14を変位させる。」
「【0040】
ここで、図4(a)は、通常のメカニカルなスイッチのF-s特性(力-変位特性)を示すものである。なお、図4(a)において、横軸は、スイッチの変異[mm]であり、縦軸は、スイッチの押下操作(押してからリリースするまでの一連の操作)に伴って、作用・反作用によりスイッチから指に受ける力[N]である。図4(a)に示すように、メカニカルなスイッチのF-s特性では、スイッチからユーザが受ける力は、その押し込み過程において、スイッチの変位が大きくなるにつれて増加した後、一時的に減少してから再び大きく増加し、その押し戻し過程において、スイッチの変位が小さくなるにつれて減少した後、一時的に増加してから再び大きく減少する。
【0041】
このうち、人がメカニカルなスイッチを押下操作した際にクリック感を感じるのは、スイッチの変位が増した際に力が一時的に減少することによる加速度の変化を人の感覚受容器が感じるためであると考えられる。このため、操作入力装置1では、図4(b)に示すように、フロントパネル14の操作面141への押し込み過程において、2回の加速度をフロントパネル14に付与する際に、1回目の加速度(P11)が2回目の加速度(P12)よりもその絶対値が小さく、且つ正負が反転するようにした。これは、1回目の加速度(P11)によってF-s特性における一時的に力が減少する部分を表現し、2回目の加速度(P12)によってスイッチがそれ以上、下方に変位できないところまで変位し、急に動きが制限される際に力が大きく増加する部分を表現するためである。
【0042】
また、同様に、フロントパネル14の操作面141からの押し戻し過程において、2回の加速度をフロントパネル14に付与する際に、1回目の加速度(P21)が2回目の加速度(P22)よりもその絶対値が小さく、且つ正負が反転するようにした。これは、1回目の加速度(P21)によってF-s特性における一時的に力が増加する部分を表現し、2回目の加速度(P21)によってスイッチがそれ以上、上方に変位できないところまで変位し、急に動きが制限される際に力が大きく減少する部分を表現するためである。」
「【図1】
[図:0001403254000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001403254000002.jpg]
」
「【図4】
[図:0001403254000003.jpg]
」
(2)引用文献1の段落【0041】、【0042】にそれぞれ記載されている「F-s特性」は、段落【0040】の記載によれば、「通常のメカニカルなスイッチのF-s特性」を指しているものと解される。
(3)上記(1)、(2)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「タッチ操作の押し込み過程において、あたかもスイッチが一時的に下方に吸い込まれてからそれ以上下方に変位しない感触をユーザに与えることができ、タッチ操作の押し戻し過程において、あたかもスイッチが一時的に上方に吸い上げられてからそれ以上上方に変位しない感触をユーザに与えることができる操作入力装置1であって、
ハウジング10、制御部11、タッチ検出器12、水平方向移動機構部13、フロントパネル14、変位パラメータ記憶部15およびディスプレイ21を備え、
フロントパネル14の平面状の表面は、ユーザによってタッチ操作が行われる操作面141とされ、
ハウジング10は、ディスプレイ21の横方向(水平方向)に平行な断面が凹状に形成されており、下方からディスプレイ21、タッチ検出器12、フロントパネル14の順に収容するように構成され、
アクチュエータ131、132は、フロントパネル14を横方向(水平方向)に移動させる水平方向移動機構部13を構成するものであり、
これらアクチュエータ131、132を交互に駆動させることで、フロントパネル14(およびフロントパネル14と一体に形成されたタッチ検出器12)を、フロントパネル14の横方向(水平方向)に反転可能に変位(振動)させることができ、アクチュエータ131、132には、圧電素子(ピエゾ素子)を利用したものが用いられ、
制御部11には、タッチ検出器12、水平方向移動機構部13および変位パラメータ記憶部15が電気的に接続されており、そして、制御部11は、タッチ検出器12からの検出信号に基づいて、水平方向移動機構部13(アクチュエータ131、132)を駆動制御して、フロントパネル14を変位させる処理を実行し、
変位パラメータ記憶部15は、ユーザがフロントパネル14をタッチ操作したときにメカニカルなスイッチを押したかのような触感(クリック感)を与えるように、皮膚の感覚受容器を刺激するために必要な条件を刺激可能条件とし、この刺激可能条件を満足するフロントパネル14の変位量、変位速度および加速度の数値(以下「変位パラメータ」という)が記憶されており、そして、制御部11は、この変位パラメータ記憶部15に記憶されている変位パラメータを読み出し、読み出した変位パラメータに基づいてフロントパネル14を変位させ、
フロントパネル14の操作面141への押し込み過程において、2回の加速度をフロントパネル14に付与する際に、1回目の加速度(P11)が2回目の加速度(P12)よりもその絶対値が小さく、且つ正負が反転するようにし、1回目の加速度(P11)によって通常のメカニカルなスイッチの力-変位特性における一時的に力が減少する部分を表現し、2回目の加速度(P12)によってスイッチがそれ以上、下方に変位できないところまで変位し、急に動きが制限される際に力が大きく増加する部分を表現し、
フロントパネル14の操作面141からの押し戻し過程において、2回の加速度をフロントパネル14に付与する際に、1回目の加速度(P21)が2回目の加速度(P22)よりもその絶対値が小さく、且つ正負が反転するようにし、1回目の加速度(P21)によって通常のメカニカルなスイッチの力-変位特性における一時的に力が増加する部分を表現し、2回目の加速度(P21)によってスイッチがそれ以上、上方に変位できないところまで変位し、急に動きが制限される際に力が大きく減少する部分を表現する、
操作入力装置1。」
2 引用文献2、引用発明2
(1)当審拒絶理由2にて引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「
[図:0001403254000004.jpg]
」(3頁5~10行)
(当審訳: デバイスは、第1の補強要素をさらに備える。デバイスは、第2の補強要素も備える。圧電アクチュエータは、これらの補強要素の間に配置される。補強要素は、デバイスの剛性を高める働きをする。さらに、補強要素は、ストロークの増幅にも役立つ。)
「
[図:0001403254000005.jpg]
[図:0001403254000006.jpg]
」(11頁17行~12頁2行)
(当審訳: これとは対照的に上述の欠点を排除した本発明のデバイス10を、図2~図5に示す。まず、図2~図4を詳細に説明する。
デバイス10は圧電アクチュエータ11を有する。圧電アクチュエータ11は、複数の圧電層22と内部電極21とを有する焼結体を構成している。特に、圧電アクチュエータ11は、積層体を形成するように上下に配置される多数の圧電層または活性層22を有する。例えば、圧電アクチュエータ11は100層まで(例えば70層)の圧電層22であってもよい。圧電層22の間には、内部電極21が配置されている。この場合、異なる極性の内部電極21が交互に配置される。)
「
[図:0001403254000007.jpg]
[図:0001403254000008.jpg]
」(13頁12~14頁7行)
(当審訳: アクチュエータ11は、電圧が印加されると、アクチュエータ1の変形(R1の方向における伸張(図2および図3参照))が起こるように設計される。特に、圧電層22は、内部電極21間に電圧を印加することによってアクチュエータ11が横方向に収縮し、積層方向Sに対して垂直な(アクチュエータ11の)長さが変化するように分極される。その結果、アクチュエータ1の伸長は、分極の方向および電場の方向を横切る方向に生じる(d31効果)。
積層方向Sにおける長さの変化の効果をさらに高めるために、デバイスは、2つの補強要素13a、13bを有する。アクチュエータ11に電圧が印加されると、補強要素13a、13bは、後に詳細に説明するように、アクチュエータ11の寸法の変化の結果として少なくとも部分的に変形する。
アクチュエータ11は、補強要素13a、13bの間に配置されている。補強要素13a、13bは、少なくとも部分的にそれぞれアクチュエータ11の上側面25及び下側面26上に載っている。それぞれの補強要素13a、13bは、アクチュエータ11の幅に対応する幅を有することが好ましい。補強要素13a、13bの長さにもついても同様である。それぞれの補強要素13a、13bは、好ましくは、5mm ×60mm (幅×長さ)のベース面を有する。)
「
[図:0001403254000009.jpg]
[図:0001403254000010.jpg]
」(19頁9行~20頁10行)
(当審訳: アクチュエータ11に電圧が印加されると、それぞれの補強要素13a、13bの部分領域17a、17bは、アクチュエータ11に対して第2の方向R2に相対移動し、第2の方向R2は、第1の方向R1に対して垂直であり、積層方向Sに沿って延びている(図2,3)。
特に、中央領域19a、19bは、方向R2に移動する。この場合、それぞれの補強要素13a、13bは、中央領域19a、19bと接続領域20a、20bとの間、及び接続領域20a、20bと端部領域18a、18bとの間の欠損部14の位置で曲がる。
他方、第2の方向R2における端部領域18a、18bの移動は、アクチュエータ11との接着結合によって防止される。むしろ、端部領域18a、18bは、アクチュエータ11と共に第1の方向R1に移動する。補強要素13a、13bの可撓性により、接合部にかかる荷重は50MPa以下に制限される。したがって、端部領域18a、18bと部分領域17a、17bとの間には相対運動がある。デバイス10の触覚フィードバックは、それぞれの部分領域17a、17bに対するそれぞれの端部領域18a、18bの相対運動によって引き起こされる。
デバイス10が電子機器における触覚フィードバックのためのアクチュエータとして統合される場合、補強要素13、13bは、好ましくは、機械的要素(例えば、スクリーンおよび重り)に取り付けられる。これにより、圧電アクチュエータ11が変形する際に、機械素子同士が相対的に移動する。言い換えれば、スクリーンは、横方向に(スクリーン表面に平行に)変位され、それによって触覚フィードバックが発生する。)
(図2)「
[図:0001403254000011.jpg]
」
(図3)「
[図:0001403254000012.jpg]
」
(図4)「
[図:0001403254000013.jpg]
」
(2)上記(1)から、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「補強要素が、ストロークの増幅に役立つデバイス10であって、
圧電アクチュエータ11を有し、
アクチュエータ11は、電圧が印加されると、アクチュエータ1の変形(R1の方向における伸張)が起こるように設計され、
積層方向Sにおける長さの変化の効果をさらに高めるために、デバイスは、2つの補強要素13a、13bを有し、
アクチュエータ11は、補強要素13a、13bの間に配置され、
アクチュエータ11に電圧が印加されると、それぞれの補強要素13a、13bにおける、部分領域17a、17bは、アクチュエータ11に対して第2の方向R2に相対移動し、第2の方向R2は、第1の方向R1に対して垂直であり、積層方向Sに沿って延びており、特に、中央領域19a、19bは、方向R2に移動し、この場合、それぞれの補強要素13a、13bは、中央領域19a、19bと接続領域20a、20bとの間、及び接続領域20a、20bと端部領域18a、18bとの間の欠損部14の位置で曲がり、
デバイス10が電子機器における触覚フィードバックのためのアクチュエータとして統合される場合、補強要素13、13bは、機械的要素(例えば、スクリーンおよび重り)に取り付けられ、これにより、圧電アクチュエータ11が変形する際に、スクリーンが、横方向に(スクリーン表面に平行に)変位され、それによって触覚フィードバックが発生する、アクチュエータ11。」
3 引用文献3
(1)当審拒絶理由2にて引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0022】
次に、本発明に係る電子機器の振動発生装置の実施の態様を図1~図8に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号Aは振動発生装置、符号1はタッチパネル本体等の振動対象部品である。
【0023】
この振動発生装置Aは、タッチパネル本体等の振動対象部品1の外周外側に間隔を置いて配置された受け部21,22を有するホルダ2と、受け部21に支持されて振動対象部品1の一方の側面11を押すアクチュエータ3と、受け部22に支持されて振動対象部品1の他方の側面12を押し戻し方向に付勢する付勢手段4とを備え、アクチュエータ3による押し出し動作と付勢手段4による押し戻し動作とを繰り返すことにより振動対象部品1をその表面と平行な方向に振動させるようになっている。」
「【図1】
[図:0001403254000014.jpg]
」
3 引用文献4
当審拒絶理由2にて引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0057】
図8は、図1に示すアクチュエータ10を端末装置に搭載した例を示す端末装置の断面図である。端末装置60は、本体61と、本体61の上面側に配置されるパネル62とを備える。
【0058】
本体61は、例えば金属又は硬質プラスチック等で形成される。本体61は、例えば外観形状が概略直方体形状であり、パネル62が配置されるための凹部を有する。本体61は、図1で示した筐体20に対応する。
【0059】
パネル62は、接触を検出するタッチパネル、又は端末装置60が備える表示部を保護するカバーパネル等であり、例えばガラス又はアクリル等の合成樹脂により形成される。パネル62は、例えば略直方体形状である。パネル62は、平板であってもよいし、表面が滑らかに傾斜する曲面パネルであってもよい。パネル62は、図1に示した振動対象30に対応する。
【0060】
本体61は、凹部の底部に、略直角三角形状の突起61aを有する。また、パネル62は、本体61に配置された状態における下面側に、略直角三角形状の突起62aを有する。図8に示すように、本体61とパネル62とは、それぞれ突起61a及び突起62aが形成する傾斜面において、支持部材63を介して結合される。支持部材63は、例えばゴム等の弾性材料により形成される。
【0061】
また、本体61とパネル62との間には、アクチュエータ10が連結されている。図8に示す例では、本体61の凹部により形成される側面と、本体61に配置された状態におけるパネル62の側面とに、それぞれ第1の固定部17a及び第2の固定部17bが挿入されることにより、アクチュエータ10が本体61とパネル62との間に連結されている。
【0062】
ここで、圧電素子11が駆動されると、アクチュエータ10の振動がパネル62に伝達され、パネル62が振動する。ここで説明している例では、図8(b)の矢印で示すように、パネル62は、突起61a及び62aの傾斜面に沿って、左下から右上という斜め方向に振動する。このとき、例えば、ユーザの指がパネル62を押圧すると、アクチュエータ10の第1の固定部17a及び第2の固定部17bが、押圧により発生するせん断応力に対して変形する。そのため、せん断応力がかかった場合であっても、アクチュエータ10は、所望の振動をパネル62に発生させやすい。このように、アクチュエータ10によれば、第1の固定部17a及び第2の固定部17bにより、せん断応力に対して対応可能である。
【0063】
なお、図8では、パネル62が突起61a及び62aの傾斜面に沿って斜め方向に振動する場合について説明したが、パネル62の振動方向は、この方向に限られない。例えば、本体61及びパネル62がそれぞれ突起61a及び62aを有さず、パネル62が支持部材63を介して本体61の凹部の底部に結合されている場合、パネル62は、パネル62の面に沿った方向(図8における横方向)に振動する。また例えば、パネル62の下面と、本体61の凹部の底部とが、アクチュエータ10により結合されている場合、アクチュエータ10の振動により、パネル62は、パネル62の面に垂直な方向(図8における縦方向)に振動する。パネル62が横方向又は縦方向に振動する場合においても、例えばユーザがパネル62の周縁付近をタッチすることにより、アクチュエータ10にせん断応力がかかる場合がある。しかしながら、この場合でも、アクチュエータ10は第1の固定部17a及び第2の固定部17bが変形することにより、せん断応力に対して対応可能である。」
「【図8】
[図:0001403254000015.jpg]
」
第6 当審拒絶理由2について(引用発明1との対比・判断)
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明1の「操作入力装置1」は、「タッチ操作の押し込み過程において、あたかもスイッチが一時的に下方に吸い込まれてからそれ以上下方に変位しない感触をユーザに与えることができ、タッチ操作の押し戻し過程において、あたかもスイッチが一時的に上方に吸い上げられてからそれ以上上方に変位しない感触をユーザに与えることができる」から、「タッチ操作」に対するフィードバックとして「感触をユーザに与える」ものであり、後述する相違点を除き、本願発明1の「触覚フィードバックを生成するための装置(1)」に相当する。
(イ)引用発明1の「操作入力装置1」が備える「フロントパネル14」は、「平面状の表面は、ユーザによってタッチ操作が行われる操作面141とされ」るものであるから、「操作面141」を有するインターフェースといえるものであって、本願発明1の「インターフェース(2)」に相当し、引用発明1の「操作面141」は、本願発明1の「タッチ・センシティブな表面(3)」に相当する。
(ウ)引用発明1の「操作入力装置1」が備える「水平方向移動機構部13」について、「アクチュエータ131、132は、フロントパネル14を横方向(水平方向)に移動させる水平方向移動機構部13を構成するもの」であるとともに、「アクチュエータ131、132には、圧電素子(ピエゾ素子)を利用したものが用いられ」るから、「アクチュエータ131、132」のいずれか一方は、本願発明1の「圧電アクチュエータ(11)」に相当する。
(エ)引用発明1の「操作入力装置1」が備える「ハウジング10」は、「ディスプレイ21の横方向(水平方向)に平行な断面が凹状に形成されており、下方からディスプレイ21、タッチ検出器12、フロントパネル14の順に収容するように構成され」ており、「操作入力装置1」の基礎部分をなしているといえるから、本願発明1の「ベースプレート(4)」に相当する。
(オ)引用発明1において、「タッチ操作の押し込み過程において、あたかもスイッチが一時的に下方に吸い込まれてからそれ以上下方に変位しない感触をユーザに与えることができ、タッチ操作の押し戻し過程において、あたかもスイッチが一時的に上方に吸い上げられてからそれ以上上方に変位しない感触をユーザに与えることができる」ることが、「操作入力装置1」が備える「制御部11」が「タッチ検出器12からの検出信号に基づいて、水平方向移動機構部13(アクチュエータ131、132)を駆動制御して、フロントパネル14を変位させる処理を実行」することによってなされることは明らかである。
さらに、「フロントパネル14を変位させる処理」は、具体的には、「変位パラメータ記憶部15は、ユーザがフロントパネル14をタッチ操作したときにメカニカルなスイッチを押したかのような触感(クリック感)を与えるように、皮膚の感覚受容器を刺激するために必要な条件を刺激可能条件とし、この刺激可能条件を満足するフロントパネル14の変位量、変位速度および加速度の数値(以下「変位パラメータ」という)が記憶されており、そして、制御部11は、この変位パラメータ記憶部15に記憶されている変位パラメータを読み出し、読み出した変位パラメータに基づいてフロントパネル14を変位させ」、「フロントパネル14の操作面141への押し込み過程において」、「1回目の加速度(P11)によって通常のメカニカルなスイッチの力-変位特性における一時的に力が減少する部分を表現し、2回目の加速度(P12)によってスイッチがそれ以上、下方に変位できないところまで変位し、急に動きが制限される際に力が大きく増加する部分を表現し」、「フロントパネル14の操作面141からの押し戻し過程において、2回の加速度をフロントパネル14に付与する際に、1回目の加速度(P21)が2回目の加速度(P22)よりもその絶対値が小さく、且つ正負が反転するようにし、1回目の加速度(P21)によって通常のメカニカルなスイッチの力-変位特性における一時的に力が増加する部分を表現し、2回目の加速度(P21)によってスイッチがそれ以上、上方に変位できないところまで変位し、急に動きが制限される際に力が大きく減少する部分を表現する」というものであり、このことは要するに、「操作面141」の「タッチ操作」が検出されたとき、「操作面141」を押す物体に対して、「変位パラメータ」における「急に動きが制限される際に力が大きく増加する部分」や「急に動きが制限される際に力が大きく減少する部分」等が「表現」された「加速度」に基づいて「フロントパネル14を変位させ」、「タッチ操作」に応答する「感触」を「与える」ように、すなわち「力の急変を再現する触覚フィードバック」が生成されるように、「アクチュエータ131、132」に電圧パルスが印加されることであることも明らかである。
よって、引用発明1の「制御部11」は、「操作面141」の操作が検出されたとき、「操作面141」を押す物体に対して、「力の急変を再現する触覚フィードバック」が生成されるように、電圧パルスを、「アクチュエータ131、132」に印加するように構成されたものであるといえる。
この点について、上記(ア)~(ウ)を踏まえると、引用発明1の「操作入力装置1」が、「タッチ検出器12からの検出信号に基づいて、水平方向移動機構部13(アクチュエータ131、132)を駆動制御して、フロントパネル14を変位させる処理を実行」する「制御部11」を備え、「制御部11」が「変位パラメータ記憶部15に記憶されている変位パラメータを読み出し、読み出した変位パラメータに基づいてフロントパネル14を変位させ」る等を行うことと、本願発明1の「触覚フィードバックを生成するための装置(1)」が
「前記タッチ・センシティブな表面(3)の操作が検出された時、前記タッチ・センシティブな表面(3)を押す物体に対して、力の急変を再現する触覚フィードバックが生成されるように前記機械的な増幅要素(13a)が変形するような電圧パルスを、前記圧電アクチュエータ(11)に印加するように構成された制御ユニット」
を備えることとは、「触覚フィードバックを生成するための装置」が
「前記タッチ・センシティブな表面の操作が検出された時、前記タッチ・センシティブな表面を押す物体に対して、力の急変を再現する触覚フィードバックが生成されるように、電圧パルスを、前記圧電アクチュエータに印加するように構成された制御ユニット」
を備えることである点で共通する。
(カ)引用発明1の「フロントパネル14(およびフロントパネル14と一体に形成されたタッチ検出器12)を、フロントパネル14の横方向(水平方向)に反転可能に変位(振動)させる」ことにおいて、「フロントパネル14の横方向」の「変位(振動)」は、「フロントパネル14」に加えられる力によって発生すること、及び、「変位(振動)」の成分は、「操作面141」に対して「横方向」のみであることは、いずれも明らかである。
この点について、上記(イ)を踏まえると、引用発明1は、本願発明1の
「前記インターフェース(2)に力が加えられ、
前記インターフェース(2)は、それに加えられる力によって、前記タッチ・センシティブな表面(3)に対して横方向(RL)にのみ移動され」る
ことに相当する構成を有するものである。
(キ)上記(オ)のとおり、引用発明1において、「タッチ操作の押し込み過程において、あたかもスイッチが一時的に下方に吸い込まれてからそれ以上下方に変位しない感触をユーザに与えることができ、タッチ操作の押し戻し過程において、あたかもスイッチが一時的に上方に吸い上げられてからそれ以上上方に変位しない感触をユーザに与えることができる」ることが、「操作入力装置1」が備える「制御部11」が「タッチ検出器12からの検出信号に基づいて、水平方向移動機構部13(アクチュエータ131、132)を駆動制御して、フロントパネル14を変位させる処理を実行」することによってなされることは明らかであるところ、「水平方向移動機構部13(アクチュエータ131、132)を駆動制御して、フロントパネル14を変位させる」ことは、上記(オ)で述べた「タッチ操作」に応答する「感触」、すなわち触覚フィードバックの生成のためであること、及び、「変位」が「ハウジング10」に対して所定の角度の移動であることも、それぞれ明らかであって、「アクチュエータ131、132」は、「フロントパネル14」を移動させるように配置され形成されているといえる。
そして、上記角度をαとおくと、「変位」がいかなる方向であっても0°≦α≦180°を満足する。
これらの点について、上記(イ)~(エ)を踏まえると、引用発明1は、本願発明1の
「前記圧電アクチュエータ(11)は、触覚フィードバックを生成するために、前記インターフェース(2)を前記ベースプレート(4)に対して移動させるように配置され形成されており、
前記圧電アクチュエータ(11)は、触覚フィードバックを生成するために、前記インターフェース(2)を前記ベースプレート(4)に対して角度αで移動させるように配置され形成されており、0°≦α≦180°であ」る
ことに相当する構成を有するものである。
(ク)本願明細書の「力の急変を通じて、ユーザは、機械的なボタンの操作感覚を感じることができる。力の急変は、スイッチングポイントを乗り越えた後、表面の機械的な抵抗が急激に減少するという触覚的な印象をユーザに与えること、によって特徴付けられる。」(段落【0032】)、「この力の急変は、機械的なボタンの挙動を再現しており、それにより、ユーザにクリック感を与えることができる。」(段落【0110】)との記載等を参酌すると、本願発明1の「前記力の急変は、スイッチングポイントを乗り越えた後、表面の機械的な抵抗が急激に減少するという触覚的な印象を与える」との構成は、「力の急変を再現する触覚フィードバック」において「機械的なボタン」の「クリック感」を与えることを意味するものと解される。また、ここで、「ボタン」とはスイッチのボタンを指しているものと解される。
一方、引用発明1は、「変位パラメータ記憶部15は、ユーザがフロントパネル14をタッチ操作したときにメカニカルなスイッチを押したかのような触感(クリック感)を与えるように、皮膚の感覚受容器を刺激するために必要な条件を刺激可能条件とし、この刺激可能条件を満足するフロントパネル14の変位量、変位速度および加速度の数値(以下「変位パラメータ」という)が記憶されており、そして、制御部11は、この変位パラメータ記憶部15に記憶されている変位パラメータを読み出し、読み出した変位パラメータに基づいてフロントパネル14を変位させ」るものであって、その結果、上記(オ)で検討した、「力の急変を再現する触覚フィードバック」が生成されることは明らかである。
そうすると、引用発明1は、「力の急変を再現する触覚フィードバック」において「メカニカルなスイッチ」の「クリック感」を与えるものであるといえるから、本願発明1の上記構成に相当する構成を有するものである。
(ケ)上記(イ)において、引用発明1の「操作面141」は、「フロントパネル14」が備える、「ユーザによってタッチ操作が行われる」ために設けられた上面であるということもできる。また、「フロントパネル14」が当該上面の反対側に下面を備えることは明らかである。
よって、引用発明は、本願発明1の
「前記インターフェース(2)は、ユーザによる操作のために設けられた上面と、前記上面とは反対側の下面と、を備え」る
ことに相当する構成を有するものである。
イ 上記アから、本願発明1と引用発明1とは、以下の点で一致する。
(一致点)
「触覚フィードバックを生成するための装置であって、
タッチ・センシティブな表面を有するインターフェースと、
圧電アクチュエータと、
ベースプレートと、
前記タッチ・センシティブな表面の操作が検出された時、前記タッチ・センシティブな表面を押す物体に対して、力の急変を再現する触覚フィードバックが生成されるように、電圧パルスを、前記圧電アクチュエータに印加するように構成された制御ユニットと、を備え、
前記インターフェースに力が加えられ、
前記インターフェースは、それに加えられる力によって、前記タッチ・センシティブな表面に対して横方向にのみ移動され、
前記圧電アクチュエータは、触覚フィードバックを生成するために、前記インターフェースを前記ベースプレートに対して移動させるように配置され形成されており、
前記圧電アクチュエータは、触覚フィードバックを生成するために、前記インターフェースを前記ベースプレートに対して角度αで移動させるように配置され形成されており、0°≦α≦180°であり、
前記力の急変は、スイッチングポイントを乗り越えた後、表面の機械的な抵抗が急激に減少するという触覚的な印象を与え、
前記インターフェースは、ユーザによる操作のために設けられた上面と、前記上面とは反対側の下面と、を備える、装置。」
ウ また、本願発明1と引用発明1とは、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明1の「装置(1)」は、「機械的な増幅要素(13a)」を備えるものであり、また、「前記機械的な要素(13a)」が、「前記圧電アクチュエータ(11)に取り付けらて」いるととともに「前記インターフェース(2)に直接的に又は間接的に取り付けられて」おり、さらに、「前記インターフェース(2)に力が加えられ」ることが、「第1の方向(R1)における前記圧電アクチュエータ(11)の広がりの変化の結果として、前記機械的な増幅要素(13a)の部分領域(17a)が、前記圧電アクチュエータ(11)に対して、前記第1の方向(R1)に対して垂直な第2の方向(R2)に移動されるように変形するよう、形成され配置されて」いることにより行われるものであるのに対して、引用発明1の「操作入力装置1」は、これを備えるものではない点。
(相違点2)
「電圧パルス」について、本願発明1では、「前記機械的な増幅要素(13a)が変形するような」ものであるのに対し、引用発明1ではそのように特定されるものではない点。
(相違点3)
本願発明1は、
「前記圧電アクチュエータ(11)は、前記インターフェース(2)の前記下面と前記ベースプレート(4)との間に配置されており、
前記インターフェース(2)は、前記圧電アクチュエータ(11)によってのみ移動されるように構成されている」
ものであるのに対し、引用発明1は、「アクチュエータ131、132」の「フロントパネル14」に対する配置や構成について、そのように特定されるものではない点。
(2)判断
事案に鑑みて、相違点3について先に検討する。
相違点3における「前記インターフェース(2)は、前記圧電アクチュエータ(11)によってのみ移動されるように構成されている」とは、「インターフェース(2)」を「移動」させるための「圧電アクチュエータ(11)」の個数が1個のみであることを特定するものと解されるところ、圧電アクチュエータを、インターフェースの下面とベースプレートの間に1個配置し、これによってのみ、インターフェースをベースプレートに対して移動させるようにするとの事項は、引用文献1~4のいずれにも記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
また、引用発明1における「アクチュエータ131、132」の個数や「フロントパネル14」との関係について、相違点3に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項の範囲内であるということもできない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1~4に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2~16について
本願発明2~16は、本願発明1を減縮した発明であるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1~4に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 小括
以上から、当審拒絶理由2は解消した。
第7 当審拒絶理由1について
本願発明1における相違点3に係る構成に関して、圧電アクチュエータを、インターフェースの下面とベースプレートの間に1個配置し、これによってのみ、インターフェースをベースプレートに対して移動させるようにするとの事項は、当審拒絶理由1にて引用された引用文献U~Zのいずれにも記載されておらず、当該事項が本願の優先日前において周知技術であったとはいえないことは、上記第6の1(2)のとおりである。
また、引用文献U~Zに記載された発明における圧電アクチュエータの個数やインターフェースとの関係について、相違点3に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項の範囲内であるということもできない。
よって、本願発明1は、当業者であっても引用文献U~Zに記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本願発明2~16は、本願発明1を減縮した発明であるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献U~Zに記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
以上から、当審拒絶理由1は解消した。
第8 原査定について
上記第7で述べた点は、原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献A~Eについても同様にいえることであって、本願発明1~16は、当業者であっても引用文献A~Eに記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-010902