2022-009937
列車制御システム
- 審判番号
- 2022-009937
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-044752外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年06月28日
- 審決日
- 2024年04月16日
- 公報発行日
- 2024年07月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (B60L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 15項目
第1 手続の経緯
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特願2021-44752号(以下、「本願」という。)は、令和3年3月18日に出願されたものであり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
第2 本願発明
令和5年7月21日に提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「 駅出発後に取得される出発信号機の直下地上子の位置情報に基づいてATS速度照査パターン及びそれより低速の自動運転パターンが設定され、前記ATS速度照査パターンは、列車走行路における最高速度に基づく最高速度パターンと、前記列車走行路における速度制限区間に対する速度制限パターンと、前記列車走行路に設置された信号機に対する信号機冒進防護パターンとを含み、前記自動運転パターンは、前記最高速度パターンに対応する運転速度パターンと、前記速度制限パターンに対応する前記速度制限区間用の速度パターンと、前記信号機冒進防護パターンに対応する信号機停止パターンとを含み、前記自動運転パターンのうち列車の位置に応じて最も低い速度を示すパターンが選択され、選択されたパターン上の速度を超えない範囲で列車の加減速制御を行う、列車制御システム。」
第3 拒絶の理由
令和5年6月20日付けで当審より請求項1について通知した拒絶理由のうち、進歩性に関する拒絶理由の概要は、次のとおりのものである。
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明並びに引用文献2及び3にて例示される周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
第4 引用文献
1 引用文献1の記載及び引用発明
(1) 引用文献1の記載事項
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引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同じ。)。
ア 「【発明の詳細な説明】【技術分野】【0001】本発明は、ATS装置に関し、特に鉄道において曲線、分岐、最高速度制限等の列車の速度を制御する仮想トランスポンダデータベース搭載によるトランスポンダレスATS-P車上装置に関する。続きを表示(全48行)【背景技術】【0002】車両の信号保安装置の従来技術として、ATC車上装置、ATS車上装置等がある(特許文献1参照)。また近年は連続的に軌道回路上に流れるデジタル伝送信号を受信して制御するデジタルATC車上装置、また地点毎にトランスポンダ地上子からデジタル伝送信号を受信するATS-P車上装置がある。【0003】デジタルATC車上装置は、軌道回路のデジタルATC信号(自軌道回路番号、停止軌道回路番号等を、デジタル電文とした信号)を受信し、列車の停止制御、および速度制限制御等を行なう。【0004】デジタルATC車上装置は、データベースにて軌道回路番号に対応して停止位置と相対距離、許容速度の組を与えるテーブル(速度パターン)をあらかじめ記憶しており、列車速度がこのパターンを超過する場合は、ブレーキ指令を行うことにより、列車を減速停止させ、指定の軌道回路を超過して内方に進入することの無いように制御する。【0005】一方ATS-P車上装置は、トランスポンダ地上子からの地点毎にデジタル伝送信号(速度制限情報等をデジタル電文とした信号)を受信し、速度照査パターンを発生させ、停止制御および速度制限制御等を行う。【特許文献1】 特開平10-201014号公報【発明の開示】【発明が解決しようとする課題】【0006】ATC装置、デジタルATC装置、またはATS-P装置が設備されていない路線では、変周式ATS装置を設備しているのが一般的である。変周式ATS装置は、停止信号に対する冒進を防護するための装置であり、曲線、分岐軌道回路、および線区毎の最高速度制限制御には対応していないものが一般的である。【0007】本発明は、変周式ATS装置に対応している路線、および車両においても、従来の変周式ATS装置の地上設備、車上装置を最大限に活用しつつ、曲線、分岐軌道回路、および線区毎の最高速度制限制御等を実施することを可能とするATS装置を提供することを目的とする。【課題を解決するための手段】【0008】そこで本発明は、ATS装置に予め「トランスポンダ電文」のデータベースを持っておき、既設の変周式ATS地上子またはそれに準じた地点情報のトリガ点として、速度制限パターンを発生させる。また、地点情報の順序を予め記憶しておき、地点情報を通過する毎に、トランスポンダ電文のデータベースとの照合を行い、速度制限制御を実施する。【0009】すなわち、本発明は、鉄道車両に搭載され、軌道付近に設置された複数のATS地上子からそれぞれ地点列車制御情報を取得し速度などの列車制御情報を作成するATS装置において、ATS地上子の設置地点より先の列車制御情報を含むトランスポンダ電文を該ATS地上子に対応させて格納するデータベースを有しており、通過地点のATS地上子から取得した地点列車制御情報を用いて通過地点のATS地上子を特定し、特定したATS地上子に対応するトランスポンダ電文を前記データベースから取得し、取得したトランスポンダ電文に基づいて、特定したATS地上子の設置地点より先における鉄道車両の位置補正及び/又は速度照査パターンを作成するATS装置である。【0010】また、本発明は、前記トランスポンダ電文の順序を予め記憶しておき、前記ATS地上子を通過する毎に、前記データベースとの照合を行い、通過地点のATS地上子を特定するATS装置である。【0011】そして、本発明は、前記ATS地上子の代わりに設置された地点情報送信機器からATS地上子に準じた地点情報を取得し、取得した地点情報を基に通過地点を特定し、特定した通過地点に対応して前記データベースが格納するトランスポンダ電文を取得するATS装置である。【0012】更に、本発明は、走行時の距離カウントを積算し、通過地点で所定のATS地上子からATS情報を受信しない場合に、積算結果を基に、通過地点に所定のATS地上子が設置されているとみなし、通過地点に対応するトランスポンダ電文を取得するATS装置である。【0013】また、本発明は、初期位置確定が必要な箇所及び分岐軌道回路等により速度制限が変動する箇所から、軌道回路上にデジタル伝送信号を部分的に受信し、前記ATS地上子、および前記デジタル伝送信号の情報を取得し、曲線、分岐および最高速度制限制御等を実現するATS装置である。【発明の効果】【0014】本発明によれば、既設の設備を最大限に活用した上で、曲線速度制限、分岐速度制限、最高速度制限制御等を実施することが可能になり、鉄道車両の安全性向上に寄与するものである。【発明を実施するための最良の形態】【0015】本発明を実施するための最良の形態を説明する。以下、本発明による仮想トランスポンダデータベース搭載によるトランスポンダレスATS-P車上装置が適用される実施例について、図面を用いて説明する。図1は実施例における車上装置の構成図、図2は図1の構成要素である受信制御部の処理内容の一例を示す図であり、図3は図2の構成を使用した車上装置の制御動作例を示す図である。【0016】図1は、速度発電機を使用した鉄道車両制御装置の例である。受信制御部1には、列車の速度及び走行距離を検出するため、速度発電機2からの正弦波信号が入力されている。変周式ATS地上子3から送信される情報は、ATS車上子4で受信され、ATS受信部5に入力される。ATS受信部5は、ATS車上子4からの信号を解読し、受信制御部1へ送信する。また受信制御部1は、信号受電器7が受取った列車制御電文6の信号を復調・解読する。受信制御部1は、信号受電器7からの自軌道回路番号、停止軌道回路番号、分岐軌道の開通方向情報等のデジタル伝送信号を受信し、車両の初期位置の確定、位置補正、および分岐軌道速度制限制御等を実施する。受信制御部1は、列車の速度が許容速度を超過した場合、制御出力としてブレーキ指令を出力し、ブレーキ制御部8を作動させ、ブレーキ出力を行わせる。【0017】図2は、特に図1の受信制御部1のブレーキ指令を出力するまでの処理の詳細を示すものである。受信制御部1は、ATS受信部5から入力される信号情報、およびカウンタ9で演算している走行距離情報をもとに、データベース10に予め記憶されている仮想トランスポンダの電文の検索を行う。データベース10には、あらかじめ変周式ATS地上子を受信する箇所を記憶しておき、カウンタ9で演算している走行距離情報をもとに、地点を確定する。曲線や分岐で速度制限が必要になる条件の変周式ATS地上子を受信した場合は、データベース10内のトランスポンダ電文テーブルから電文を確定し、速度照査パターン発生処理部11にて、速度照査パターンを発生させる。速度照査処理部12は、速度発電機2から得られる速度情報、および速度照査パターン発生処理部11から得られる速度照査パターンを比較し、列車速度が速度照査パターンを超過する場合は、ブレーキ指令を行う。【0018】図3は、特に図2の受信制御部1の制御動作の詳細の一例を示すものである。車両は、車両の起動箇所、および分岐軌道回路による速度制限を受ける箇所の外方の区間において、信号受電器7から列車制御電文6を受信する。列車制御電文6には、自軌道回路番号、停止軌道回路番号、初期位置確定用情報、分岐軌道回路開通情報等を含む。【0019】列車は、変周式ATS地上子3を通過する毎に、受信制御部1内の仮想トランスポンダ電文13を検索し、速度照査パターンを更新し、更新した速度照査パターンを超過するとき、ブレーキ制御される。初期位置確定用情報を取得したとき、列車位置補正などを行う。分岐軌道回路開通情報を取得したとき、速度の分岐制限制御などを行う。」
イ 「[図:0001411669000001.jpg]」(【図1】)
ウ 「[図:0001411669000002.jpg]」(【図2】)
エ 「[図:0001411669000003.jpg]」(【図3】)
オ 上記アの段落【0007】、【0013】、【0014】、【0017】及び【0019】の記載並びに【図1】及び【図2】の図示内容からみて、速度照査パターンは、軌道回路における線区毎の最高速度に基づく最高速度制限制御の速度照査パターンを含み、上記アの段落【0007】、【0013】、【0014】及び【0016】ないし【0019】の記載並びに【図1】ないし【図3】の図示内容からみて、速度照査パターンは、軌道回路における曲線、分岐軌道回路に対する曲線速度制限の速度照査パターンまたは分岐速度制限の速度照査パターンを含み、上記アの段落【0005】、【0006】の「変周式ATS装置は、停止信号に対する冒進を防護するための装置であり、曲線、分岐軌道回路、および線区毎の最高速度制限制御には対応していないものが一般的である。」なる記載、【0007】の「従来の変周式ATS装置の地上設備、車上装置を最大限に活用しつつ、曲線、分岐軌道回路、および線区毎の最高速度制限制御等を実施することを可能とする」、【0009】の「軌道付近に設置された複数のATS地上子」なる記載、【0014】の「既設の設備を最大限に活用した上で、曲線速度制限、分岐速度制御、最高速度制限制御等を実施することが可能になり」なる記載及び【0016】の記載並びに「変周式地上子3」及び「列車制御電文6」が「軌道付近」に図示された【図1】の図示内容及び【図2】の図示内容からみて、速度照査パターンは、軌道付近に設置された変周式地上子3及び列車制御電文6からの本来の停止信号に対する冒進を防護するための停止制御および速度制限制御等の許容速度を含むものであると認められる。
(2) 引用発明
上記(1)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「取得される変周式ATS地上子3の地点情報に基づいて速度照査パターンが発生し更新され、速度照査パターンは、軌道回路における線区毎の最高速度に基づく最高速度制限制御の速度照査パターンと、軌道回路における曲線、分岐軌道回路に対する曲線速度制限の速度照査パターンまたは分岐速度制限の速度照査パターンと、軌道付近に設置された変周式地上子3及び列車制御電文6からの本来の停止信号に対する冒進を防護するための停止制御および速度制限制御等の許容速度とを含み、速度照査パターンのうち鉄道車両の通過地点に応じた速度を示すパターンが選択され、選択された速度照査パターンを超過する場合は鉄道車両をブレーキ制御する、ATS装置。」
2 引用文献2及び引用文献3の記載並びに引用文献2及び引用文献3にて例示される周知技術1
(1) 引用文献2の記載事項
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引用文献2には、図面とともに、次の事項が記載されている。
ア 「【発明を実施するための形態】【0016】以下、図面を参照しながら本発明に係る定位置停止制御システムおよび車上装置の一実施形態について説明する。図1は本発明に係る定位置停止制御システムにおける鉄道車両(列車)に搭載される車上装置20の構成例を示すブロック図、図2は本発明の定位置停止制御システムを適用した場合における鉄道軌道設備(地上側設備)の一実施形態を示すシステム構成図である。なお、図2のシステムにおいては、列車が図面の左側から右側へ向かって走行することを想定している。【0017】続きを表示(全45行)図1に示すように、本実施形態における車上装置20は、走行速度および走行距離を算出するために車輪の回転数を検出する速度発電機21、ブレーキディスクやブレーキパッドおよび駆動手段などを有するブレーキ装置22、ATC(ATS)トランスポンダ13(図2参照)からの情報(ATC/ATS情報)を受信するATC(ATS)受信装置23、ATCトランスポンダ車上子28、受信したATC(ATS)情報に基づいてATCパターンを生成しATCパターンに従ってブレーキ装置22を制御するATC(ATS)制御装置24、ATOトランスポンダ12(図2参照)からの情報(ATO情報)を受信するATOトランスポンダ車上子25、車輪を回転駆動するモータなどからなる走行駆動装置26、走行速度を見ながら走行駆動装置26およびブレーキ装置22を制御するノッチ指令を出力して自動運転を行う自動運転制御装置27を備える。なお、ATCトランスポンダ車上子28がATOトランスポンダ車上子25を兼用する構成でもよい。【0018】自動運転制御装置27は、マイクロプロセッサ(MPU)とMPUが実行するプログラムや速度照査パターンを記憶するROMのような不揮発性記憶装置と、RAMのような読み出し書き込み可能な記憶装置とから構成される。自動運転制御装置27は、停止制御時には記憶装置から走行パターンを読み出して、走行パターンとそのときの列車の位置に基づいて目標速度を算出し走行速度と比較しながら最適なブレーキ力を算出してブレーキ装置22へ制御信号を出力するように構成されている。定位置停止制御の具体的な内容については、後に詳しく説明する。なお、自動運転制御装置27の記憶装置に定位置停止制御区間に関する情報を記憶させておくことで、定位置停止制御区間に進入した際にそのことを認知させることができる。【0019】図示しないが、ATCトランスポンダ13から車上装置20へ送信する情報を生成する地上装置は、軌道回路の在線情報を収集したり分岐器や信号機の現示を制御したりする駅装置に接続され軌道回路や連動装置からの信号に基づいて先行列車の位置等の情報を生成する。この場合、先行列車の在線位置情報は先行列車が在線する軌道回路の終端位置(軌道回路の境界)となる。なお、車上装置20および地上装置に無線通信機能を持たせ、各列車の車上装置20は無線により地上装置へ自列車の位置情報を送信し、地上装置は後続列車の車上装置20へ先行列車の位置情報を送信するように構成しても良い。ここで、各列車から送信される位置情報は、例えば当該列車の車上装置20が速度発電機等からの信号に基づいて把握している位置情報(トランスポンダからの受信情報により補正される)である。【0020】次に、本実施形態の定位置停止制御システムにおける定位置停止制御の特徴について、図2を用いて説明する。図2は、図1に示すような構成を有する車上装置20が走行する軌道側に設けられる鉄道軌道の設備(地上側設備)の構成例を示す。図2において、符号10が付されているのは列車などの鉄道車両が走行する軌道であり、軌道10に沿って所定の間隔をおいて設けられている鉤形(逆L字)の記号は、軌道回路の境界部を表わしている。また、黒塗りの逆三角形「▼」の記号は、軌道10に沿って設けられているトランスポンダと呼ばれるATC制御のためのデータ送信機能を有する地上子(以下、ATCトランスポンダと称する)であり、本実施形態においては、列車が自己の位置を補正するための情報を受信して位置補正に使用する位置補正用地上子として機能する。【0021】図2において、白塗りの逆三角形「▽」の記号は軌道10に沿って設けられているATO(自動列車運転)制御のためのデータ送信機能を有する地上子(以下、ATOトランスポンダと称する)であり、本実施形態においては、列車11が駅等の停止位置に向かって速度を落としながら定位置で停止するのを支援するための情報を送信する定位置停止用地上子として機能する。また、図2において、符号TP0が付されているのは駅等において列車が停止すべき位置(目標停止位置)、符号SPが付されているのはATC制御で列車を停止させる位置(保安上の停止位置)である。この停止位置SPは、当該停止位置の進行方向前方の軌道回路境界部に設定されている停止限界SLよりも、保安装置の余裕距離Dだけ手前に設定される。この余裕距離Dは、列車の駅進入速度および列車の滑走(車輪の回転が停止したまま走行する状態)、速度発電機等からの累積誤差を考慮して決定される。本明細書では、保安装置の余裕距離を安全余裕距離と称する。【0022】ATC制御では、列車の車上装置は所定の地上子を通過すると上記停止位置SPを終点とするATCパターンと呼ばれる速度照査パターンP0を生成して、自列車の速度と該パターンP0とを比較しながらブレーキ装置を作動させて車両速度を落とし、最終的に停止位置SPで停止する制御が実行される。なお、列車が停止位置SPで停止できずに停止限界SLを越えてしまうと、列車が当駅を通過したものと地上側システムが判断し後続の列車の信号現示が青(進行)になるため、当該列車は後退せずに次の停車駅まで進む制御が実行される。【0023】本実施形態においては、ATC制御の停止位置SPよりも手前に、自動運転による目標停止位置TP0が設定されている。具体的には、この目標停止位置TP0は、例えば先頭車両の進行方向側の車両ドアの中心線がホームドアの中心線に一致する位置として設定される。さらに、本実施形態においては、目標停止位置TP0よりもそれぞれ所定距離L1,L2だけ手前(以下、上流側と称する)に目標停止位置TP1,TP2が設けられている。L1,L2は、任意の速度で定位置停止制御区間(駅構内)へ進入して来る場合、速度に応じて個別に設定することが考えられる。【0024】そして、上記目標停止位置TP0,TP1,TP2に対応してそれぞれ上流側の所定位置に、前記ATOトランスポンダ12a,12b,12cが設けられており、ATOトランスポンダ12a,12b,12cは目標停止位置TP0までの残距離を通過する列車に認知させるための情報を送信する機能を有するように構成されている。目標停止位置TP0までの残距離を、通過する列車に認知させるための情報は、距離情報そのものでも良いし、車上装置の記憶装置に残距離情報を記載したテーブルを格納しておいて、駅コードおよびトランスポンダの識別コードを送信し、車上装置が受信したコードを用いてテーブルを参照して残距離情報を読み出す構成であっても良い。【0025】本実施形態においては、車両側の列車自動運転制御装置20は、前の停車駅を出発する際に進行方向最初の目標停止位置TP2を終点とする走行パターンP1を生成して走行を開始して、軌道の途中にあるATCトランスポンダ13を通過する際に受信した情報に基づいて自己の在線位置情報の修正を行う。これにより、例えば図2に示されているATCトランスポンダ13a,13bからの情報で自己の在線位置情報を修正すると、位置認識誤差で目標停止位置TP2に対してずれを起こしていた走行パターンP1の終点をTP2に合致する位置に収束させることができる。【0026】そして、列車が最も外側のATOトランスポンダ12cよりも上流側の軌道回路の境界部14cを通過する際(t1)に、走行パターンP1から目標停止位置TP1を終点とする走行パターンP2へ切り替え、ATOトランスポンダ12cを通過する際(t2)に走行パターンP2から目標停止位置TP0を終点とする走行パターンP3へ切り替える。さらに、ATOトランスポンダ12b,12aを通過する際(t3,t4)に、トランスポンダからの情報に基づいて走行速度を走行パターンP3に合わせるための速度調整を実行する。【0027】上記のような走行パターンP1-P2-P3に従った速度制御を実行することによって、例えば最終目標停止点TP0に対して±数10cmのような高精度の定位置停止が可能となる。なお、走行パターンP1からP2への切り替えタイミングを与える上記軌道回路の境界部14cは、一般的な駅では、駅進入部に設けられ所望の番線に列車を誘導するためのポイント(分岐器)の設置箇所とされる。【0028】また、上記実施形態では、新たにATOトランスポンダ12a,12b,12cを設置する場合を想定して説明したが、本発明は、既に定位置停止のためのトランスポンダ(例えばTASCトランスポンダ)が設置されている場合には、既設のトランスポンダをそのまま利用して定位置停止制御を実施することができる。なお、上記実施形態におけるATOトランスポンダ12やATC(ATS)トランスポンダ13は、電源を有するものでも良いし、電源を持たずに車上子から電力の供給を受けて情報を送信する地上子(電子タグを含む)あるいは光学的に情報を読み取ることが可能に構成されたタグ(バーコード等)であってもよい。【0029】次に、本実施形態の定位置停止制御システムにおける定位置停止制御の具体的な手順について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図3に示すフローチャートに従った制御は、例えば停止駅よりも所定距離手前に設置されているATCトランスポンダ(図2では13a)からの情報を受信したことを条件(トリガ)として、車上装置20の自動運転制御装置27によって実行される。また、図3には示されていないが、自動運転制御装置27は、速度発電機21からの回転数信号を読み込んで回転数と車輪径とから自列車の速度および走行距離を演算し、出発点の在線位置情報に走行距離を加算することで常時自列車の位置(キロ程)を把握しつつ、ATCトランスポンダ13から受信した情報に基づいて位置を補正するとともに、ATC(ATS)制御装置24により生成された速度照査パターン(ATCパターン)等を監視する処理を実行しており、走行速度がATCパターンで規制される速度に達するとブレーキ装置22を作動させて減速を行う。【0030】図3の制御処理が開始されると、自動運転制御装置27は、先ず自列車の在線位置情報を取得する(ステップS1)。なお、ATCトランスポンダからの情報を受信したことをトリガにして図3の処理を開始する場合、情報を受信した際に自列車の位置(もしくは停止位置までの残距離)の補正処理を行う。また、ATC(ATS)制御装置24もATC制御のために自列車の位置を計算しているので、ATC(ATS)制御装置24から自列車の補正後の在線位置情報を取得してもよい。このように、トランスポンダの情報に基づいて位置補正を行うことにより、誤差を低減して精度の高い定位置停止が可能となる。【0031】続いて、自動運転制御装置27は、ステップS1で取得した自列車の在線位置情報に基づいて、自ら保有する次停車駅の目標停止位置(図2のTP0)を記憶装置から読み出して、その目標停止位置(TP0)から、滑走等を考慮して予め設定されている駅中間の安全余裕距離を考慮して決定されている所定距離(図2のL2)を差し引いた地点(図2のTP2)を暫定停車目標点として算出し、当該目標点を終点とするATO走行パターン(図2のP1)を作成する(ステップS2)。【0032】次に、作成した上記ATO走行パターン(P1)に従って走行している途中でATCトランスポンダ(13)らの情報を受信すると、自動運転制御装置27は、ATCトランスポンダの情報に応じて自列車の位置(もしくは停止位置までの残距離)を補正する(ステップS3)。その後、例えば駅進入部に設けられているポイント(分岐器)の設置箇所(図2の14c)のような定位置停止制御区間の入口で、駅構内の安全余裕距離を考慮して決定された所定距離(図2のL1)を差し引いた地点(図2のTP1)を第2の暫定目標停止点に変更して、当該目標停止点を終点とするATO走行パターン(図2のP2)を作成(更新)する(ステップS4)。【0033】次に、定位置停止制御区間に最初に設置されているATOトランスポンダ(図2の12c)からの情報を受信すると、自動運転制御装置27は、自列車の位置(もしくは停止位置までの残距離)を補正して、最終停止位置(図2のTP0)を目標停止点に変更して、当該目標停止点を終点とするATO走行パターン(図2のP3)を作成(更新)する(ステップS5)。その後、ATOトランスポンダ(図2の12b,12a)からの情報を受信すると、受信の度に実列車の位置を補正し、補正した在線位置情報に基づいてステップS5で更新したATO走行パターンに従って速度が変化するようにブレーキ装置22を制御し減速する(ステップS6)。上記のような制御を実行することで、例えば±35cmのような精度で目標停止位置に停止させることができる。」
イ 「[図:0001411669000004.jpg]」(【図1】)
ウ 「[図:0001411669000005.jpg]」(【図2】)
エ 「[図:0001411669000006.jpg]」(【図3】)
(2) 引用文献3の記載事項
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引用文献3には、図面とともに、次の事項が記載されている。
ア 「〔産業上の利用分野〕この発明は、自動列車制御(ATC)および自動運転(ATO)の機能を備えた列車自動運転制御装置に関するものである。なお、本明細書においてATCとは、列車が停止信号に接近したとき警報を発するとともに、運転士が必要な処置をとらなければ自動的にプレーキをかけて列車を停止させるいわゆる自動列車停止制御(ATS)または、速度制限区間において列車速度が制限速度以上になると自動的にブレーキをかけて減速させるいわゆる自動列車制御(ATC)のいずれかまたは双方を合わせた意味で使用するものとする。〔従来の技術〕続きを表示(全27行)第2図はこの種従来の列車自動運転制御装置を示す構成図である。図において、(1)は列車の車体、(2)はレールで構戒された軌道回路で、ここではATC用地上子として機能する。(3)は停止または速度制限を指示するATC信号(4)を軌道回路(2)からビックアップする車上子としての受電器、(5)は受電器(3)からのATC信号(4)の復調を行うATC受信器、(6)はATC信号(4)から制限速度パターンを作成しその出力と列車速度とを比較してオーバースピードを検知すると列車にブレーキを作用させ、減速または停止を行うATC制御装置、(7)はATO用地上子、(8)はATO信号(9)をATO用地上子(7)からピックアップするATO車上子、(10)はATO車上子(8)からのATO信号(9)の復調を行うATO受信器、(11)はATO信号(9)に基づき目標速度パターンを作成し、列車速度をその目標速度に沿うよう、カ行,惰行,ブレーキによる速度制御を行うATO制御装置である。次に動作について説明する。第3図は定位置停止を行う場合の列車走行例を示すものである。図において、(12)はATC用地上子である軌道回路(2)からのATC信号(4)に基づきATC制御装置(6)が作成する制限速度パターンで、列車速度(13)がこの制限速度パターン(12)を越えると列車の減速を行う。(14)は、停車駅の定められた位置に停止するための目標速度パターンで、ATO用地上子(7)からのATO信号(9)に基づきATO制御装置(11)が停止距離を演算することによって作成されるものである。従って、第3図の場合、ATO用地上子(7)からのATO信号(9)を受信すると、ATO制御装置(11)が優先的に動作し、列車速度(13)を目標速度パターン(14)に合わせるべく列車の加減速を行う。〔発明が解決しようとする課題〕従来の列車自動運転制御装置は以上のように構成され、ATCとATOとの両システムを地上、車上の両者にわたって個別に設置する必要があり、全体として装置が複雑で大形となり価格も高くなるという問題点があった。ここで、ATC,ATO両システムの地上子を共用することが一応考えられる。しかし、保安装置としてのATC用地上子は列車の安全を確保することを目的に、設置位置は分岐位置や路線の勾配、カーブといった路線条件により一義的に定められ、またそのような条件は駅によって異なるのが普通である。一方、ATO用地上子は駅ホームに定められた定位置に列車を停止させる必要性から、停止位置手前に設置される場所については、各駅で同一であることが要求される。従って、従来のATC用地上子およびATO用地上子は、そのいずれか一方で他方を兼用して地上設備の簡略化を図るということはできない。また、両地上子からの信号の方式が大幅に異なることから車上子等の共用化も複雑とならざるを得ない。この発明は以上のように問題点を解消するためになされたもので、システムを簡略化して小形、低廉を図ることができる列車自動運転制御装置を得ることを目的とする。〔課題を解決するための手段〕この発明に係る列車自動運転制御装置は、ATC信号に設置位置信号を加えた地点信号を発信するATC用地上子、このATC用地上子からの地点信号を列車上で受信する車上子、この車上子の受信信号から制限速度パターンを作成して減速または停止の制御を行うATC制御装置および上記車上子の受信信号から目標速度パターンを作成して速度制御を行うATO制御装置を備えたものである。〔作 用〕ATC制御装置は、ATC用地上子からのATC信号を車上子を介して受信し、制限速度バターンを作成して列車速度がこのパターンを越えると減速または停止の制御を行う。ATO制御装置は、ATC用地上子からの設置位置信号を車上子を介して受信し、列車位置を検知して予め記憶した停止点位置等から目標速度パターンを作成して加減速の制御を行う。〔実 施 例〕第1図はこの発明の一実施例による列車自動運転制御装置を示す構成図で、ここでは1~3MHzの搬送波を用い双方向伝送も可能なトランスポンダ多情報伝送システムを適用している。図において、(15)はトランスボンダ方式のATC用地上子で、停止または速度制限を指示するATC信号に加えて、その地上子の設置位置情報を出力する設置位置信号を含めた地点信号(16)を発信する。(17)はトランスボンダ車上子で、ATC用地上子(15)からの地点信号(16)をピックアップする。(18)はトランスボンダ車上子(17)からの地点信号(16)の復調を行うトランスボンダ受信器、(19)および(20)はそれぞれATC制御装置およびATO制御装置で、それぞれ従来のATC制御装置(6)およびATO制御装置(11)に相当するものである。但し、ATO制御装置(20)は地点信号(16)のうちの設置位置信号から列車の正確な現在走行位置を検出し、予め装置内に記憶している路線データから停止位置までの距離を演算して必要な目標速度パターン(14)を作成する。そして、第3図で示したと同様に、列車速度(13)がこの目標速度パターン(14)に合致するよう列車の加減速制御を行う。なお、列車の走行位置は、車両に設けた速度発電機の出力からも得られるが、車輪径のバラツキ等による誤差を含み、そのままでは、極めて高い精度が要求されるATO制御のための入力データとしては適用することができない。従って、上記設備位置信号から列車の走行位置情報を修正する必要がある。以上のように、地上を車上との信号伝送が単一の方式で行われ、地上子、車上子共にその必要個数が減少するので、装置の小形、コスト低減が可能となり、列車自動運転のシステムもシンプルとなり信頼性も向上する。更に、トランスポンダ方式の多情報伝送能力を利用し、地点信号(16)に路線勾配データ等も加えてATC,ATOの制御を行うことにより、一層高度で精度の高い制御が可能となる。なお、上記実施例では、伝送方式としてトランスポンダ方式を採用したが、上記した地点信号(16)を伝送可能なものであれば、他の方式のものを採用しても同様の効果を奏する。〔発明の効果〕以上のように、この発明では、ATC用地上子からATC信号と設置位置信号とを発信させ、これを車上子で受信し、列車の走行位置を検出してATCおよびATOの制御を行うようにしたので、地上設備、車上装置が共に減少し、簡略となって価格も低減する。」(第1ページ左下欄第14行-第3ページ右上欄第16行)
イ 「[図:0001411669000007.jpg]」(第1図)
ウ 「[図:0001411669000008.jpg]」(第2図)
エ 「[図:0001411669000009.jpg]」(第3図)
(3) 引用文献2及び引用文献3にて例示される周知技術1
上記(1)及び(2)より、列車制御システムの技術分野において、本願の出願時に次の技術は周知の技術(以下、「周知技術1」という。)であると認められる。
「車上装置が設定ないし発生させた列車の自動運転のための自動運転パターンに追随するように列車を加速させ、惰行させ及び減速させて自動運転パターン上の速度を超えない範囲で列車の加減速制御を行う一方、列車の速度が自動列車停止機能のための速度照査パターン上の対応速度を超えた場合に列車を停止させ、列車の自動運転のための自動運転パターンは、パターン上の各速度が自動列車停止機能のための速度照査パターン上の対応速度よりも低い速度に設定されたパターン又は自動列車停止機能のための速度照査パターンを列車の走行方向とは逆方向に略シフトさせたパターンであること。」
3 引用文献4ないし引用文献6の記載、引用文献4及び引用文献5にて例示される周知技術2並びに引用文献4及び引用文献6にて例示される周知技術3
(1) 引用文献4の記載事項
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この出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開2009-208528号公報(以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
ア 「【0002】鉄道信号では一般に鉄道車両が速度発電機などを用いて自列車の速度を検出し、地上制御装置から与えられる制限速度と比較してブレーキ制御の要否を判定する。またATS(Automatic Train Stop)装置の出発信号機直下にある地上子では、赤信号の時に列車が誤って出発した場合に即時停止を行うよう、赤信号に対応して既定の周波数信号を発振する構成となっており、列車には前記周波数信号を受信するとブレーキ制御を行う制御装置が搭載されている。【0003】列車の位置を制御に用いる場合、前記自列車の速度を積分する方法と併せて、地上子に位置情報を保持させておき、前記地上子を列車が通過した際に前記位置情報を受信して制御に用いる方法が用いられている。例えば特許文献2には、車両が通過した地上子の位置情報を地上制御装置に送り、地上制御装置は車両に前記位置情報に応じた進行許可情報を送ることが記されている。また特許文献3には、地上子データベースを地上装置に保持し、車両が地上子を通過した際に地上子の位置情報を車両に送ることが記されている。」
(2) 引用文献5の記載事項
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この出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開2003-95104号公報(以下、「引用文献5」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
ア 「【0030】地上子10は、本実施形態では、駅D外方(車両の進行方向と反対の方向)直近の、列車Cの駅Dへの進入を検知するための駅進入検知位置P1と、駅D内方(車両の進行方向)直近の、当該駅Dからの列車Cの出発を検知するための駅出発検知位置P2と、各駅D毎に設けられる軌道B上の区間(以下、駅区間と称する)Lの境界を示す駅区間境界位置P3の各位置に設置されるものとされる。【0031】この各地上子10は、当該地上子10が設置されている駅Dを特定する情報(例;駅名、駅番号。以下、駅情報という)および当該地上子10が各位置P1、P2、P3のいずれに設置されているかを特定する情報(以下、設置位置情報という)を記憶するものとされる。このような地上子10は、例えばATS-P(Automatic Train Stop P type)相当のいわゆるトランスポンダ式の無電源地上子とされ、車載制御装置20が発信する電力供給用の電波を受信し、これによる電力を用いて前掲の駅情報および設置位置情報を車載制御装置20に送信するものとされる。」
イ 「[図:0001411669000010.jpg]」(【図1】)
(3) 引用文献6の記載事項
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この出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開昭53-73706号公報(以下、「引用文献6」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
ア 「 第2図は本発明による誤出発による過走防止方式の一実施例の概略を示す構成図で、本発明の方式を停車場に設置した場合の一例を示すものである。第2図において第1図と同一符号のものは相当部分を示し、W1は長編成列車用のATS用地用地上子、W2は短編成列車用のATS用地上子で、これらはそれぞれ出発信号機SSに連動して停止現示の場合は絶対停止情報を発信する機能を備え、この第1の地上子W1および第2の地上子W2は出発信号機SSまたは出発信号機SSの内方の過走防止点から制動必要距離離れた手前の地点に設置されている。」
イ 「[図:0001411669000011.jpg]」(第2図)
(4) 引用文献4及び引用文献5にて例示される周知技術2
上記(1)及び(2)より、列車制御システムの技術分野において、本願の出願時に次の技術は周知の技術(以下、「周知技術2」という。)であると認められる。
「駅出発後に出発位置の地上子の位置情報を取得すること。」
(5) 引用文献4及び引用文献6にて例示される周知技術3
上記(1)及び(3)より、列車制御システムの技術分野において、本願の出願時に次の技術は周知の技術(以下、「周知技術3」という。)であると認められる。
「出発信号機の直下に地上子を設置すること。」
第5 対比
1 本願発明と引用発明とを対比する。
(1) 引用発明における「取得される」ことは本願発明における「駅出発後に取得される」ことと「取得される」ことという限りで一致し、引用発明における「変周式ATS地上子3」は本願発明における「出発信号機の直下地上子」と「地上子」という限りで一致する。そして、引用発明における「地点情報」は本願発明における「位置情報」に相当することから、引用発明における「取得される変周式ATS地上子3の地点情報」は本願発明における「駅出発後に取得される出発信号機の直下地上子の位置情報」と「取得される地上子の位置情報」という限りで一致する。また、引用発明における「速度照査パターン」は本願発明における「ATS速度照査パターン」に相当し、同様に、「発生し更新され」ることは「設定され」ることに相当する。
(2) 引用発明における「軌道回路」は本願発明における「列車走行路」に相当し、同様に、「線区毎の最高速度」は「最高速度」に、「最高速度制限制御の速度照査パターン」は「最高速度パターン」に、それぞれ相当する。
(3) 引用発明における「曲線、分岐軌道回路」は本願発明における「速度制限区間」に相当し、同様に、「曲線速度制限の速度照査パターンまたは分岐速度制限の速度照査パターン」は「速度制限パターン」に相当する。
(4) 引用発明における「軌道付近に設置された変周式地上子3及び列車制御電文6からの本来の停止信号に対する冒進を防護するための停止制御および速度制限制御等の許容速度」は本願発明における「列車走行路に設置された信号機に対する信号機冒進防護パターン」に相当する。
(5) 引用発明における「速度照査パターン」は本願発明における「自動運転パターン」と「速度照査パターン」という限りで一致する。また、引用発明における「鉄道車両」は本願発明における「列車」に相当し、同様に、「通過地点」は「位置」に相当する。そして、引用発明における「鉄道車両の通過地点に応じた速度を示すパターン」は本願発明における「列車の位置に応じて最も低い速度を示すパターン」と「列車の位置に応じた速度を示すパターン」という限りで一致し、引用発明における「選択された速度照査パターン」は本願発明における「選択されたパターン上の速度」と「選択された速度照査パターン上の速度」という限りで一致する。さらに、引用発明における「超過する場合は」は本願発明における「超えない範囲で」に相当し、同様に、「鉄道車両をブレーキ制御する」ことは「列車の加減速制御を行う」ことに相当する。
(6) 引用発明における「ATS装置」は本願発明における「列車制御システム」と上記(1)ないし(5)の限りで一致する「列車制御システム」という限りで一致する。
2 一致点、相違点
したがって、本願発明と引用発明は、
「取得される地上子の位置情報に基づいてATS速度照査パターンが設定され、ATS速度照査パターンは、列車走行路における最高速度に基づく最高速度パターンと、列車走行路における速度制限区間に対する速度制限パターンと、列車走行路に設置された信号機に対する信号機冒進防護パターンとを含み、速度照査パターンのうち列車の位置に応じた速度を示すパターンが選択され、選択された速度照査パターン上の速度を超えない範囲で列車の加減速制御を行う、列車制御システム。」
である点で一致し、次の点において相違する。
<相違点>
「列車走行路における最高速度に基づく最高速度パターン」と、「列車走行路における速度制限区間に対する速度制限パターン」と、「列車走行路に設置された信号機に対する信号機冒進防護パターン」とを含む速度照査パターンのうち「列車の位置に応じた速度を示すパターン上の速度を超えない範囲で列車の加減速制御を行う」にあたり、「列車の位置に応じた速度を示すパターンが選択され、選択されたパターン」について、
本願発明1では、「駅出発後に」取得される「出発信号機の直下」地上子の位置情報に基づいて設定されるATS速度照査パターン「より低速の自動運転パターン」が設定され、「自動運転パターン」は、最高速度パターン「に対応する運動速度パターン」と、速度制限パターン「に対応する速度制限区間用の速度パターン」と、信号機冒進防護パターン「に対応する信号機停止パターン」とを含み、「自動運転」パターンのうち列車の位置に応じて「最も低い」速度を示すパターンであるのに対し、
引用発明では、そのような特定がない点。
第6 判断
1 相違点の検討
上記相違点について検討する。
引用発明における(1)「線区毎の最高速度」(最高速度)、(2)「軌道回路」(列車走行路)における「曲線、分岐軌道回路」(速度制限区間)に対する「曲線速度制限」の「速度照査パターン」または「分岐速度制限」の「速度照査パターン」(速度制限パターン)、(3)軌道付近に設置された「変周式地上子3」及び「列車制御電文6」からの本来の「停止信号に対する冒進を防護するため」の「停止制御および速度制限制御等」の「許容速度」(列車走行路に設置された信号機に対する信号機冒進防護パターン)について、それぞれ以下に検討する。
(1) 「線区毎の最高速度」(最高速度)に基づく「最高速度制限制御」の「速度照査パターン」(最高速度パターン)は、線区毎に定められた最高速度であり、上記(2)の「曲線、分岐軌道回路」(速度制限区間)を走行中でなく、上記(3)の「停止信号」を取得しない限りこの許容速度とされることから、そのような「鉄道車両」(列車)の「通過地点」(位置)においては、上記(1)ないし(3)のうち(2)及び(3)は該当せず、「最高速度制限制御」の「速度照査パターン」(最高速度パターン)が最も低い速度を示す「速度照査パターン」(パターン上の速度)になるものと認められる。
(2) 「軌道回路」(列車走行路)における「曲線、分岐軌道回路」(速度制限区間)に対する「曲線速度制限」の「速度照査パターン」または「分岐速度制限」の「速度照査パターン」(速度制限パターン)は、線区毎において、「曲線、分岐軌道回路」(速度制限区間)を走行中には、上記(1)の線区毎に定められた最高速度よりもさらに速度制限を要する区間の許容速度であり、上記(3)の「停止信号」を取得しない限りこの許容速度とされることから、そのような「鉄道車両」(列車)の「通過地点」(位置)においては、上記(1)ないし(3)のうち上記(3)は該当せず、「曲線速度制限」の「速度照査パターン」または「分岐速度制限」の「速度照査パターン」(速度制限パターン)が最も低い速度を示す「速度照査パターン」(パターン上の速度)になるものと認められる。
(3) 軌道付近に設置された「変周式地上子3」及び「列車制御電文6」からの(本来の)「停止信号に対する冒進を防護するため」の「停止制御および速度制限制御等」の「許容速度」(列車走行路に設置された信号機に対する信号機冒進防護パターン)は、線区毎において、上記(1)の線区毎に定められた最高速度よりもさらに速度制限をして停止する停止信号のもとでの許容速度であり、また、上記(2)の「曲線、分岐軌道回路」(速度制限区間)を走行中であっても、「停止信号」を取得した場合は、さらに速度制限をして停止する停止信号のもとでの許容速度とされることから、そのような「鉄道車両」(列車)の「通過地点」(位置)においては、上記(1)ないし(3)のうち軌道付近に設置された「変周式地上子3」及び「列車制御電文6」からの本来の「停止信号に対する冒進を防護するため」の「停止制御および速度制限制御等」の「許容速度」(列車走行路に設置された信号機に対する信号機冒進防護パターン)が最も低い速度を示す「速度照査パターン」(パターン上の速度)になるものと認められる。
そうすると、引用発明においては、「最高速度制限制御」の「速度照査パターン」(最高速度パターン)と、「曲線速度制限」の「速度照査パターン」または「分岐速度制限」の「速度照査パターン」(速度制限パターン)と、軌道付近に設置された「変周式地上子3」及び「列車制御電文6」からの本来の「停止信号に対する冒進を防護するため」の「停止制御および速度制限制御等」の「許容速度」(信号機冒進防護パターン)のうち列車の位置に応じて「最も低い」速度を示すパターンを選択し、選択した「速度照査パターン」(パターン上の速度)を「超過する場合は」(超えない範囲で)「鉄道車両」(列車)の「をブレーキ制御する」(加減速制御を行う)ように構成されているものであると認められる。
また、上記第4の2(3)のとおり、列車制御システムの技術分野において、「車上装置が設定ないし発生させた列車の自動運転のための自動運転パターンに追随するように列車を加速させ、惰行させ及び減速させて自動運転パターン上の速度を超えない範囲で列車の加減速制御を行う一方、列車の速度が自動列車停止機能のための速度照査パターン上の対応速度を超えた場合に列車を停止させ、列車の自動運転のための自動運転パターンは、パターン上の各速度が自動列車停止機能のための速度照査パターン上の対応速度よりも低い速度に設定されたパターン又は自動列車停止機能のための速度照査パターンを列車の走行方向とは逆方向に略シフトさせたパターンであること。」は、周知の技術(周知技術1)である。
さらに、上記第4の3(4)のとおり、列車制御システムの技術分野において、「駅出発後に出発位置の地上子の位置情報を取得すること。」は周知の技術(周知技術2)であり、また、上記第4の3(5)のとおり、列車制御システムの技術分野において、「出発信号機の直下に地上子を設置すること。」は周知の技術(周知技術3)である。
そして、引用文献1の【発明が解決しようとする課題】欄における段落【0006】に「変周式ATS装置は、停止信号に対する冒進を防護するための装置であり、曲線、分岐軌道回路、および線区毎の最高速度制限制御には対応していないものが一般的である。」と記載され同段落【0007】に「本発明は、変周式ATS装置に対応している路線、および車両においても、従来の変周式ATS装置の地上設備、車上装置を最大限に活用しつつ、曲線、分岐軌道回路、および線区毎の最高速度制限制御等を実施することを可能とするATS装置を提供することを目的とする。」と記載されていることから、引用発明において、他の制御機能を追加するものであると認められる。
また、周知技術1を例示する引用文献2の段落【0017】に「ATC(ATS)トランスポンダ13(図2参照)からの情報(ATC/ATS情報)を受信するATC(ATS)受信装置23、ATCトランスポンダ車上子28、受信したATC(ATS)情報に基づいてATCパターンを生成しATCパターンに従ってブレーキ装置22を制御するATC(ATS)制御装置24」と記載されているように、ATC装置とATS装置は同列で扱われていると認められる。同様に、周知技術1を例示する引用文献3にも〔産業上の利用分野〕に「本明細書においてATCとは、列車が停止信号に接近したとき警報を発するとともに、運転士が必要な処置をとらなければ自動的にプレーキをかけて列車を停止させるいわゆる自動列車停止制御(ATS)または、速度制限区間において列車速度が制限速度以上になると自動的にブレーキをかけて減速させるいわゆる自動列車制御(ATC)のいずれかまたは双方を合わせた意味で使用するものとする。」と記載され、自動列車停止制御(ATS)と自動列車制御(ATC)は同列に扱われていると認められる。
さらに、周知技術1を例示する引用文献2の段落【0025】に「車両側の列車自動運転制御装置20は、前の停車駅を出発する際に進行方向最初の目標停止位置TP2を終点とする走行パターンP1を生成して走行を開始して、軌道の途中にあるATCトランスポンダ13を通過する際に受信した情報に基づいて自己の在線位置情報の修正を行う。」と記載され、駅出発の際に自動運転パターンが設定されるものであると認められる。
そうすると、引用発明は、上記のとおり、他の制御機能を追加するものであることから、他の制御機能として周知技術1の「自動運転パターン」に係る技術を参酌し、その際周知技術1において地上子として用いられているATC装置を周知技術1を例示する引用文献2及び引用文献3の記載のようにATS装置と同列で扱って、周知技術1を導入することを試みるとともに、その際に、周知技術1を例示する同引用文献2の記載のように駅出発の際に関する周知技術2及び周知技術3を考慮に入れる動機が存在すると認められる。
そこで、当業者であれば、通常の創作能力の発揮により、引用発明において、周知技術1を導入することにより、本願発明のように、(車上装置(ATS受信部5、信号受信器7及び受信制御部1)が)「自動運転パターン」を設定し(「設定し」)、「自動運転パターン上の速度を超えない範囲で列車の加減速制御を行う」ようにし得るものである。その際、具体的な自動運転パターンとしては、周知技術2を考慮に入れて「駅出発後に出発位置の地上子の位置情報を取得する」ようにし「出発位置の地上子」として周知技術3を考慮に入れて「出発信号機の直下に地上子」を適宜選択するとともに周知技術1のように「列車の自動運転のための自動運転パターンは、パターン上の各速度が自動列車停止機能のための速度照査パターン上の対応速度よりも低い速度に設定されたパターン又は自動列車停止機能のための速度照査パターンを列車の走行方向とは逆方向に略シフトさせたパターンである」ように構成することにより、「ATS速度照査パターン」を、本願発明のように「駅出発後に取得される出発信号機の直下地上子の位置情報」に基づくものとしつつ、「自動運転パターン」を、本願発明のように、「駅出発後に取得される出発信号機の直下地上子の位置情報」に基づく「ATS速度照査パターン」が含む「最高速度パターン」、「速度制限パターン」及び「信号機冒進防護パターン」にそれぞれ対応する「運転速度パターン」、「速度制限区間用の速度パターン」及び「信号機停止パターン」とすること、すなわち、本願発明の「駅出発後に取得される出発信号機の直下地上子に位置情報に基づいてATS速度照査パターン及びそれより低速の自動運転パターンが設定され」との発明特定事項のように構成することに格別な困難性は認められず、また、引用発明は、「最高速度制限制御」の「速度照査パターン」(最高速度パターン)と、「曲線速度制限」の「速度照査パターン」または「分岐速度制限」の「速度照査パターン」(速度制限パターン)と、軌道付近に設置された「変周式地上子3」及び「列車制御電文6」からの本来の「停止信号に対する冒進を防護するため」の「停止制御および速度制限制御等」の「許容速度」(信号機冒進防護パターン)のうち列車の位置に応じて「最も低い」速度を示すパターンを選択するものであることから、「自動運転パターン」についても同様に、これらにそれぞれ対応する「運転速度パターン」、「速度制限区間用の速度パターン」及び「信号機停止パターン」とを含む「自動運転パターン」のうち列車の位置に応じて「最も低い」速度を示すパターンを選択するものとなることにより、相違点に係る本願発明の発明特定事項に想到することは、当業者が容易になし得るものである。
そして、本願発明が奏する効果は、全体としてみても、引用発明、周知技術1、周知技術2及び周知技術3から当業者が予測し得る程度のものである。
2 小括
したがって、本願発明は、引用発明、周知技術1、周知技術2及び周知技術3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 審判請求人の主張について
1 審判請求人の意見書における主張
審判請求人は、令和5年7月21日に提出された意見書において、令和5年6月20日付けの拒絶理由通知書の「●理由2(進歩性)について」に対して次のように主張している(下線は当審において付した。)。
「(4)理由2(進歩性)について(4-1)引用文献1には、通過地点のATS地上子を特定し、特定したATS地上子の設置地点より先における鉄道車両の位置補正及び/又は速度照査パターンを作成することが記載されています。引用文献2には、所定の地上子を通過すると停止位置SPを終点とするATCパターンと呼ばれる速度照査パターンP0を生成することや前の停車駅を出発する際に進行方向最初の目標停止位置TP2を終点とする走行パターンP1を生成して走行を開始することなどが記載されています。また、引用文献3には、ATC用地上子からのATC信号を受信して制限速度パターンを作成することやATC用地上子からの設置位置信号を受信して目標速度パターンを作成することなどが記載されています。(4-2)しかし、引用文献1-3のいずれも、請求項1に記載された「駅出発後に取得される出発信号機の直下地上子に位置情報に基づいてATS速度照査パターン及びそれより低速の自動運転パターンが設定され」との発明特定事項、及び、請求項2に記載された「駅出発後に前記直下地上子(出発信号機の直下地上子)に位置情報を取得し、取得された前記直下地上子の位置情報に基づいてATS速度照査パターン及びそれより低速の自動運転パターンを発生させ」との発明特定事項を開示も示唆もしていません。したがって、請求項1に係る発明及び請求項2に係る発明は、引用文献1の記載及び周知技術(引用文献2-3の記載)から当業者が容易に想到し得るものではありません。この点は、請求項1又は請求項2を直接若しくは間接的に引用する請求項3-5に係る発明についても同様です。よって、理由2(進歩性)についても解消していると考えます。」(上記意見書の[2](4)欄)
2 審判請求人の主張の検討
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上記1の主張について検討する。
上記第6の1において検討したとおり、当業者であれば、通常の創作能力の発揮により、引用発明において、周知技術1を導入することにより、本願発明のように、(車上装置(ATS受信部5、信号受信器7及び受信制御部1)が)「自動運転パターン」を設定し(「設定し」)、「自動運転パターン上の速度を超えない範囲で列車の加減速制御を行う」ようにし得るものである。その際、具体的な自動運転パターンとしては、周知技術2を考慮に入れて「駅出発後に出発位置の地上子の位置情報を取得する」ようにし「出発位置の地上子」として周知技術3を考慮に入れて「出発信号機の直下に地上子」を適宜選択するとともに周知技術1のように「列車の自動運転のための自動運転パターンは、パターン上の各速度が自動列車停止機能のための速度照査パターン上の対応速度よりも低い速度に設定されたパターン又は自動列車停止機能のための速度照査パターンを列車の走行方向とは逆方向に略シフトさせたパターンである」ように構成することにより、「ATS速度照査パターン」を、本願発明のように「駅出発後に取得される出発信号機の直下地上子の位置情報」に基づくものとしつつ、「自動運転パターン」を、本願発明のように、「駅出発後に取得される出発信号機の直下地上子の位置情報」に基づく「ATS速度照査パターン」が含む「最高速度パターン」、「速度制限パターン」及び「信号機冒進防護パターン」にそれぞれ対応する「運転速度パターン」、「速度制限区間用の速度パターン」及び「信号機停止パターン」とすること、すなわち、上記1において引用文献1ないし3のいずれも開示も示唆もしていないと主張する本願発明の「駅出発後に取得される出発信号機の直下地上子に位置情報に基づいてATS速度照査パターン及びそれより低速の自動運転パターンが設定され」との発明特定事項のように構成することに格別な困難性は認められない。
したがって、上記1の主張は採用することができない。
3 小括
したがって、審判請求人による主張を考慮に入れたとしても、上記第6のとおり、本願発明は、引用発明、周知技術1、周知技術2及び周知技術3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、審判請求人の主張は採用できない。
第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明、引用文献2及び引用文献3にて例示される周知技術1、引用文献4及び引用文献5にて例示される周知技術2並びに引用文献4及び引用文献6にて例示される周知技術3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-009937