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特許拒絶査定不服審判

2024-001065

フラップレス駐車場精算システム

審判番号
2024-001065
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-206502
請求日
2024年01月22日
審決日
2024年10月08日
公報発行日
2024年11月29日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】日本信号株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人朝日特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 伊藤 隆夫
  • 審判官 北元 健太
  • 審判官 野崎 大進
分類
P18 .121-WY (G07B) / P18 .536-WY (G07B) / P18 .561-WY (G07B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号
データ出所
審決公報(XML)

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特願2019-206502「フラップレス駐車場精算システム」拒絶査定不服審判事件〔令和3年5月27日出願公開、特開2021-81808、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和元年11月14日の出願であって、その手続の経緯は、概略、次のとおりである。 令和5年 3月15日付け 拒絶理由通知書 令和5年 5月26日 意見書、手続補正書の提出 令和5年 6月30日付け 拒絶理由通知書(最後) 令和5年 8月28日 意見書、手続補正書の提出 令和5年10月17日付け 令和5年8月28日付け手続補正書でした 補正の却下の決定、拒絶査定 令和6年 1月22日 審判請求書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和5年10月17日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。 1 理由1(進歩性) 本願の請求項1-8に係る発明は、特開2007-317098号公報(以下「引用文献1」という。)に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 2 理由2(実施可能要件) 本願の請求項1に係る発明の「端末装置において、前記データベースに格納されていた当該車番に対応する車両の前記契約の種類とともに前記精算処理の免除を報知する」構成について、本願の発明の詳細な説明の段落【0063】には「入庫した車両の車番が、定期利用の月極契約をした車両の車番である場合」及び「入庫した車両の車番が、カーシェア車両の車番である場合」が記載されるに留まり、入庫した車両の車番が定期利用又はカーシェアに係るものであると判断するための具体的な装置や工程等が不明である。 請求項3-5に係る発明についても同様の点が指摘され、請求項1を引用する請求項2,6-8に係る発明についても同様である。 したがって、本願の発明の詳細な説明は、当業者が本願の請求項1-8に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでなく、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 第3 審判請求時の補正について 審判請求時の補正(令和6年1月22日付け手続補正書でした補正。以下「本件補正」という。)は、次のとおり、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反することなく適法にされたものである。 1 本件補正の内容 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。 「複数の種類の契約のうちいずれか一の種類の契約を行った利用者の車両の車番がそれぞれ該一の種類と対応付けてデータベースに格納されており、前記データベースに格納されている車番と駐車場で撮影した車両の車番が一致した場合、前記車両の駐車時間に応じた駐車料金の精算処理を免除するフラップレス駐車場精算システムであって、 前記車両が入庫した車室に設けられた端末装置において、前記データベースに格納されていた当該車番、該車番に対応する前記一の種類、及び該車番の車両に対する前記精算処理の免除を報知するフラップレス駐車場精算システム。」 2 新規事項の追加(特許法第17条の2第3項)について 本件補正によって、特許請求の範囲の請求項1に「複数の種類の契約のうちいずれか一の種類の契約を行った利用者の車両の車番がそれぞれ該一の種類と対応付けてデータベースに格納され」るという事項(以下「本件補正事項」という。)が新たに導入されたところ、本件補正事項の導入が、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載された事項の範囲内においてされたものであるかを検討する。 (1)当初明細書等に記載された事項 本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。 ア 「【0038】 記憶部202は、ハードディスク装置を有し、精算機40での精算が免除された利用者の車両の車番を格納する車番データベースを記憶する。車番データベースに格納される車番は、例えば、駐車場3の利用について後払いの契約を行った利用者の車両の車番、駐車場3の利用について定期利用の月極契約をした利用者の車両の車番、テナントチェッカ60が設置されている店舗を利用した利用者の車番などである。また、記憶部202は、制御部201が実行するプログラムを記憶する。制御部201は、CPUを有し、記憶部202に記憶されているプログラムを実行する。制御部201は、通信部205を介して精算機40と通信を行う。」 イ 「【0062】 本発明においては、車番データベースには、カーシェアリングにて貸し出される貸出車両の車番を格納してもよい。また、本発明においては、駐車場3の駐車料金の精算をクレジットカードで行う利用者の車両の車番を車番データベースに格納してもよい。この場合、車番データベースに車番が格納されている車両の駐車料金については、当該車両の使用者のクレジットカードの番号を予め管理装置20に登録し、登録された番号を用いてキャッシュレスで駐車料金の精算を行うようにしてもよい。この変形例によれば、例えば、時間貸しで駐車場3を利用する利用者についても、精算機40での操作を行うことなく、車両を車室4から出庫させることができる。」 ウ 「【0063】 本発明においては、精算機40での精算処理を免除されている利用者の車両が車室4に入庫した場合、精算処理が免除されていることを端末装置30で報知してもよい。具体的には、精算機40は、車室41に入庫した車両の車番を管理テーブルに格納した後、格納した車番を含む問い合わせメッセージを管理装置20へ送信する。精算機40は、問い合わせメッセージへの応答として、精算処理を免除する車両であることを示すメッセージを受信すると、車室41にある端末装置301へ報知メッセージを送信する。端末装置301は、この報知メッセージを受信すると、精算処理が不要であり、精算処理を行わなくても出庫が可能であること示すメッセージをディスプレイ303で表示し、精算処理を行わなくても出庫が可能であることを説明する音声をスピーカ307から出力する。例えば、入庫した車両の車番が、定期利用の月極契約をした車両の車番である場合、図11に例示した画面を表示し、入庫した車両の車番が、カーシェア車両の車番である場合、図12に例示した画面を表示してもよい。この変形例によれば、駐車時間に応じた精算処理を免除されていることを、精算処理を免除されている利用者に知らせることができる。」 エ 「【図11】 [図:0001416298000001.jpg] 【図12】 [図:0001416298000002.jpg] 」 オ 「【0064】 本発明においては、駐車場3に駐車可能な車両を、月極契約をした利用者の車両やカーシェアリングの貸出車両のみとする場合、精算機40が精算部406を備えていない構成、即ち、駐車場3において精算を行う装置が設置されていない構成であってもよい。 【0065】 駐車場3に駐車可能な車両を、月極契約をした利用者の車両やカーシェアリングの貸出車両のみとする場合、上述した動作例において精算機40が行った処理を車番認識装置50が行うようにし、駐車場3に精算機40を設置しない構成としてもよい。」 カ 「【0067】 本発明においては、テナントチェッカ60から受信した車番を管理装置20が車番データベースに格納した場合、当該車番の車両が入庫している車室4の端末装置30で、図14に例示する画面を表示してもよい。」 キ 「【図14】 [図:0001416298000003.jpg] 」 (2)本件補正事項についての判断 本件補正事項は、次のア-ウのとおり、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてされたものである。 ア 上記(1)オは、「駐車場3に駐車可能な車両を、月極契約をした利用者の車両やカーシェアリングの貸出車両のみとする場合」におけるフラップレス駐車場精算システムの変形例を記載したものであり、当該変形例において、駐車場3に駐車可能な車両を、特定の種類の契約に基づくもののみに限定することをいうものである。 上記(1)オの記載に照らせば、当該変形例以外の変形例や実施形態においては、駐車場3に駐車可能な車両をどのような契約に基づくものとするかは限定されておらず、それぞれ異なる種類の契約に基づく複数の車両を単一の駐車場3に駐車可能とした態様が含まれることが自明である。 イ 上記(1)ウ-エ及びカ-キは、車室に設けられた端末装置に、契約の種類を示す文言を含む画面を表示することにより、契約の種類を報知するフラップレス駐車場精算システムの変形例を記載したものである。 上記アを踏まえると、当該変形例は、複数の種類の契約に基づく車両が車室に入庫する態様を含むから、当該態様において、入庫した車両の車番から報知する契約の種類を特定できる構成を要することが自明である。 ウ 上記(1)ア-イは、車番データベースに格納される車番について、複数の種類の契約に基づくものとしたフラップレス駐車場精算システムの実施形態及び変形例を記載したものである。 上記(1)ア-イにおいては、車番データベースに車番が契約の種類と対応づけて格納されることは明示されていないが、上記イを踏まえると、車番から契約の種類を特定するために、車番と契約の種類の対応関係をフラップレス駐車場精算システムが保持していることは自明であり、当該対応関係をデータベースの形式により保持することは、本願出願時の技術常識に照らして典型的な構成といえるものであるから、本件補正事項を請求項1に導入しても、請求項1に新たな技術上の意義は追加されないことが明らかである。 3 補正の目的等(特許法第17条の2第5項及び第6項)について 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「契約を行った利用者の車両の車番がデータベースに格納されて」いること及び「前記データベースに格納されていた当該車番に対応する車両の前記契約の種類とともに前記精算処理の免除を報知する」ことについて、上記1のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そして、後記第4から第6までに示すように、本件補正後の請求項1-8に係る発明は、独立して特許を受けることができるものである。 第4 本願発明 本願の請求項1-8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明8」という。)は、本件補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される発明であり、次のとおりの発明である。 「 【請求項1】 複数の種類の契約のうちいずれか一の種類の契約を行った利用者の車両の車番がそれぞれ該一の種類と対応付けてデータベースに格納されており、前記データベースに格納されている車番と駐車場で撮影した車両の車番が一致した場合、前記車両の駐車時間に応じた駐車料金の精算処理を免除するフラップレス駐車場精算システムであって、 前記車両が入庫した車室に設けられた端末装置において、前記データベースに格納されていた当該車番、該車番に対応する前記一の種類、及び該車番の車両に対する前記精算処理の免除を報知するフラップレス駐車場精算システム。 【請求項2】 前記駐車場に設置された前記駐車料金を徴収する精算機での前記精算処理を免除する 請求項1に記載のフラップレス駐車場精算システム。 【請求項3】 前記データベースに格納される車番は、前記駐車場を定期利用する車両の車番である 請求項1又は請求項2に記載のフラップレス駐車場精算システム。 【請求項4】 前記データベースに格納される車番は、前記駐車場を車庫とする貸出車両の車番である 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のフラップレス駐車場精算システム。 【請求項5】 前記データベースに格納される車番は、前記駐車場の提携先により登録された車番である 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のフラップレス駐車場精算システム。 【請求項6】 前記報知は、前記駐車時間に応じた前記精算処理が免除された車両が駐車している車室の前記端末装置において、精算機での精算処理が不要であることを表示することにより行われる 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のフラップレス駐車場精算システム。 【請求項7】 前記精算処理が免除された車両の駐車料金を、精算機を介さずにキャッシュレス決済する 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のフラップレス駐車場精算システム。 【請求項8】 前記報知は、前記駐車時間に応じた前記精算処理が免除された車両が駐車している車室の前記端末装置において、出庫可能を表示することにより行われる 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のフラップレス駐車場精算システム。」 第5 引用文献、引用発明等 1 引用文献1及び引用発明 (1)引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている。 ア 「【0013】 図1は、本願発明が適用される駐車場管理システム10の一実施例を示す構成ブロック図である。図1に示される駐車場管理システム10は、中央管理装置11と専用回線または通常の電話回線やインターネット網等の通信回線12,12a,12bを介して結合され、駐車場13,13a,13b内に設置された現場制御装置14,14a,14bを有するが、さらに多くの駐車場の現場制御装置に結合されていてもよい。 【0014】 駐車場13は、駐車スペース15に区画され、1区画に1台の車両を駐車させることができる。各駐車スペースには、カメラ・ボックス16がポール上に設けられ、その内部には撮像装置であるカメラ17と駐車スペース内に人が侵入したかどうかを検出する人感センサ18が設けられている。カメラ17は、通常使用される工業用カメラでよく、静止画または動画を撮影できればなんでもよい。また、人感センサ18は、例えば、焦電センサであり、赤外線で対象物の温度を測定し、温度差から人の存在を検出することができる。さらに、カメラは駐車スペース毎に設置する必要はなく、所定数の駐車スペースを撮影できるように設置してもよい。この場合、いずれの駐車スペースに車両が入庫したかは、撮影した画像情報を解析して特定される。」 イ 「【図1】 [図:0001416298000004.jpg] 」 ウ 「【0018】 次に、図1に示される駐車場管理システムの動作について、図2を用いながら以下説明する。図2に示されるように、車両23が駐車スペース15に入庫する場合、カメラ17は方向24に向かって車両ナンバー25を含む入庫車両23を撮影する。その映像は、静止画でも動画でもよい。撮影された画像信号は、信号線19を介して、現場制御装置14へ伝送される。 【0019】 その画像信号は、現場制御装置14内でデジタル情報へ変換され、所定のメモリに格納される。現場制御装置14は、所定の画像処理に従ってデジタル情報へ変換された画像情報から、その画像情報内に含まれる車両ナンバー25を抽出する。その抽出された車両ナンバー25は、現場制御装置14内のメモリに格納されるとともに、インターネット網を含む電気通信回線12aを介して、駐車場13の駐車場番号、その車両23が入庫した駐車スペース15の駐車スペース番号、その車両23を撮影した撮影日時などを加えて中央管理装置11へ送られる。中央管理装置11へ送られたデータは、中央管理装置11内のメモリ装置に設けられたデータベースの所定の領域にそれぞれ格納される。車両ナンバーが画像情報から抽出できない場合、画像情報は中央管理装置11へ送られ、中央管理装置11の所定のメモリ領域に格納されてもよい。この画像情報は目視により車両ナンバーを特定するために利用することができる。格納されたデータは、本システムが提供する様々なサービスに利用されるが、その内容は後述される。」 エ 「【図2】 [図:0001416298000005.jpg] 」 オ 「【0021】 次に、出庫する場合の手順について説明する。利用者は、まず駐車料金を支払うために精算器に立ち寄り、駐車スペースの番号を入力する。入庫時間から駐車料金が算出され、その駐車料金が精算器の表示画面上に表示される。利用者は、その料金を精算器に支払い、領収書を受取ることにより、精算が完了する。精算が完了した事実は、制御装置を介して中央管理装置へ送られ、データベースの所定の領域に書き込まれる。 【0022】 利用者の中には、精算手続きをうっかり忘れて出庫しようとすることもあるので、そのような利用者へ注意を促すことが必要となる。図3に示すように、利用者31が自車32に接近すると、人感センサ18は利用者からの赤外線33を検出し、例えば図4に示されるような表示パネル41をボックス16の代わりにボックス42に取り付け、例えば「課金中」という文言を表示するようにしてもよい。また、表示だけではなくスピーカ43から利用者向けのメッセージを流し、注意を喚起するようにしてもよい。この場合、周囲の環境に配慮するために、マイクロフォン44によって周囲音を測定し、スピーカ43から流すメッセージの音圧を制限することが望ましい。 【0023】 車両が契約車である場合、精算器に立ち寄らないで出庫しようとしても、警報を発することはない。後述するように、契約車両は中央管理装置11のデータベースに登録されているので、中央管理装置11から現場制御装置14に契約車であることが通報される。これにより、契約車両を運転する利用者は、出庫時になんらの精算手続きをする必要がなく、快適に運転を再開することができる。」 (当審注:段落【0023】に「利用車」と記載されているのは、「利用者」の明らかな誤記であるので、誤記を正して摘記した。) カ 「【図3】 [図:0001416298000006.jpg] 【図4】 [図:0001416298000007.jpg] 」 キ 「【0026】 図5ないし図8に示されたデータベースを利用する中央管理装置11の入庫時および出庫時の動作について、以下説明する。図9は、車両が入庫した場合の中央管理装置11の動作を示すフローチャート900を示す。まず、各駐車スペースに設置された車両センサが車両の侵入を検出し、現場制御装置から車両ナンバーが伝送されてくると、中央管理装置11は、ステップ901で図6に示す手配車両データベースを参照し、ステップ902でそのリストに該当する車両ナンバーが存在するかどうかを検索する。手配車両が存在すると、処理はステップ903に進み、駐車場に手配車両が入庫しことを警告する。この警告に基づき必要があれば、駐車場管理者は警察等に通報することができる。入庫車両が手配車両でない場合、処理はステップ904に進む。 【0027】 ステップ904では、入庫車両が契約車両であるかどうかを図5に示す契約車両データベース50を利用して検索する。契約車両である場合、処理はステップ905から906へ進み、入庫車両が契約車両であり、そのまま出庫しても問題ないことを現場制御装置へ送信する。送信が完了すると、中央管理装置11は、利用状況データベース80に契約車両であることを記録し、入庫管理処理を終了する。」 ク 「【図5】 [図:0001416298000008.jpg] 」 ケ 「【図9】 [図:0001416298000009.jpg] 」 コ 「【0036】 本発明に係る駐車場管理システムは、地域的に離れた複数の駐車場に入庫および出庫する車両を車両ナンバー毎に一括して管理することができ、特に、未払いのまま出庫した車両(特に、不正に出庫した車両)に対する駐車料金の請求を次回入庫した際に求めることができるので、未納駐車料金の回収効率を高めることができる。また、駐車場の利用契約を結んだ利用者との間では利用の度に駐車料金の請求を行なう必要はなく、また利用者も支払う必要もないので、駐車場利用の利便性が向上する。さらに、駐車料金を支払わない車両の車両ナンバーが保存され、駐車料金を追跡して請求できるので、敢えて設備費用の高価なロック板を各駐車スペースに設置する必要がない。」 サ 上記クから、契約車両ナンバーが契約車両データベース50に格納されていることが見て取れる。 (2)引用発明 上記(1)から、特に下線を付した記載に着目すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「中央管理装置11と通信回線を介して結合され、駐車場13内に設置された現場制御装置14を有する駐車場管理システム10であって、 駐車場13は、駐車スペース15に区画され、各駐車スペースには、ボックス16が設けられ、その内部にカメラ17が設けられ、 車両23が駐車スペース15に入庫する場合、カメラ17は車両ナンバー25を含む入庫車両23を撮影し、撮影された画像信号は、現場制御装置14へ伝送され、 その画像信号は、現場制御装置14内でデジタル情報へ変換され、現場制御装置14は、画像情報内に含まれる車両ナンバー25を抽出し、抽出された車両ナンバー25は、通信回線を介して、中央管理装置11へ送られ、 出庫する場合、入庫時間から駐車料金が算出され、利用者は、その料金を支払い、精算が完了し、 精算手続きをうっかり忘れて出庫しようとする利用者31が自車32に接近すると、表示パネル41をボックス16の代わりにボックス42に取り付け、「課金中」という文言を表示し、スピーカ43から利用者向けのメッセージを流し、注意を喚起し、 車両が契約車である場合、精算器に立ち寄らないで出庫しようとしても、警報を発することはなく、契約車両を運転する利用者は、出庫時になんらの精算手続きをする必要がなく、 駐車スペースに設置された車両センサが車両の侵入を検出し、現場制御装置から車両ナンバーが伝送されてくると、中央管理装置11は、入庫車両が契約車両であるかどうかを契約車両データベース50を利用して検索し、契約車両である場合、入庫車両が契約車両であり、そのまま出庫しても問題ないことを現場制御装置へ送信し、送信が完了すると、中央管理装置11は、入庫管理処理を終了し、 契約車両ナンバーが契約車両データベース50に格納され、 ロック板を各駐車スペースに設置する必要がない、 駐車場管理システム10。」 2 参考文献 当審において新たに引用する特開2018-190039号公報(以下「参考文献」という。)には、次の事項が記載されている。 (1)「【0123】 さらに、本実施形態の駐車場管理サービスにおいて、駐車券発行機15は、入場処理情報を生成した後、利用者の車両が入場した旨を含む入場情報を生成し、利用者の携帯端末20にプッシュ通知で送信することができる。携帯端末20は、受信した入場情報を表示部25に表示する。 【0124】 図13及び図14は、車両を入場させた利用者の携帯端末20に表示される操作画面(GUI)の一例を示す模式図である。図13及び図14に示す操作画面に含まれる、利用者に関する種々の情報は、入場情報に含まれる。すなわち入場情報は、車両の入場に応じて生成される種々の情報を含む。 【0125】 図13Aに示すように、携帯端末20には、まずプッシュ通知画面101が表示される。本駐車場管理サービスでは、駐車場から出場する前の事前精算が推奨されている。従ってプッシュ通知画面101には、精算処理を実行するためのアプリの起動ボタン102が表示される。 【0126】 プッシュ通知画面101を介してアプリケーションが起動されると、図13Bに示すように、現状表示画面103が表示される。現状表示画面103には、入場時刻を含む駐車ステータス情報104と、現在までの駐車料金に関する情報105と、駐車場及び車両の情報106と、精算操作ボタン107と、利用者情報・設定ボタン108と、利用履歴ボタン109とが表示される。 【0127】 利用者情報・設定ボタン108は、利用者情報の変更等を行う場合に選択され、所定の設定画面に遷移される。利用履歴ボタン109が選択されると、本駐車場管理サービスの現在までの利用履歴が表示される。 【0128】 現状表示画面103の精算操作ボタン107が選択されると、図14Aに示すように、精算操作初期画面110が表示される。精算操作初期画面110には、精算ボタン111と、精算対象となる駐車料金に関する情報112と、利用状況明細ボタン113と、ポイント残高の情報114とが表示される。利用状況明細ボタン113が選択されると、利用状況の詳細が表示される。 【0129】 精算操作初期画面110の精算ボタン111が選択されると、図14Bに示すように、精算操作確認画面115が表示される。精算操作確認画面115は、精算対象となる駐車料金、入場時刻、車両の情報等を含む精算情報116と、支払い方法の選択用のラジオボタン117と、クレジットカード情報118と、他のカードへの切り替えボタン119と、精算の実行ボタン120とが表示される。 【0130】 所望する支払い方法のラジオボタン117を選択し、精算の実行ボタン120が選択されると、精算要求が駐車場管理装置40に送信される。そして精算処理が完了すると、その旨が携帯端末20に返され、図14Cに示す精算完了画面121が表示される。 【0131】 精算完了画面121には、精算内容の情報122が表示される。また所定の時間(本例では5分)以内に、車両を出場すべき旨のテキスト情報が表示される。なお常時クレジット精算を実行する旨の登録がされている場合には、支払い方法は、カード支払いに固定される。 【0132】 また常時クレジット精算を実行する旨の登録がされている場合には、例えば図13Aに示すプッシュ通知画面101、あるいは図13Bに示す現状表示画面103において、その旨が表示されてもよい。そして精算操作を促すことなく、図14Cに示す精算完了画面に進んでもよい。」 (2)「【図13】 [図:0001416298000010.jpg] 【図14】 [図:0001416298000011.jpg] 」 第6 対比及び判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明を対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明の「契約車両」は、本願発明1の「契約を行った利用者の車両」に相当する。 引用発明の「車両ナンバー」は、本願発明1の「車番」に相当する。 引用発明の「契約車両ナンバー」は、「契約車両」の「車両ナンバー」であることが明らかであるから、本願発明1の「契約を行った利用者の車両の車番」に相当する。 してみれば、引用発明における「契約車両ナンバーが契約車両データベース50に格納され」ていることは、本願発明1における「複数の種類の契約のうちいずれか一の種類の契約を行った利用者の車両の車番がそれぞれ該一の種類と対応付けてデータベースに格納されて」いることと、「契約を行った利用者の車両の車番が」「データベースに格納されて」いる点で一致し、後記(2)イ及びウの点で相違する。 イ 引用発明の「中央管理装置11へ送られ」る「車両ナンバー25」は、「駐車場13」に設けられた「カメラ17」が「車両ナンバー25を含む入庫車両23を撮影し」た「画像信号」を変換した「画像情報」から抽出されたものであるから、本願発明1の「駐車場で撮影した車両の車番」に相当する。 したがって、引用発明における「車両ナンバーが伝送されてくると、中央管理装置11は、入庫車両が契約車両であるかどうかを契約車両データベース50を利用して検索し、契約車両である場合」は、契約車両データベース50に格納されている契約車両ナンバーと伝送されてきた車両ナンバーが一致した場合であることが明らかであるから、上記アを踏まえると、本願発明1における「前記データベースに格納されている車番と駐車場で撮影した車両の車番が一致した場合」に相当する。 ウ 引用発明の「出庫する場合、入庫時間から」「算出され」る「駐車料金」は、本願発明1の「前記車両の駐車時間に応じた駐車料金」に相当する。 したがって、引用発明における「契約車両を運転する利用者は、出庫時になんらの精算手続きをする必要がな」いことは、入庫時の「契約車両である場合、入庫車両が契約車両であり、そのまま出庫しても問題ないことを現場制御装置へ送信」する処理に基づくものであるから、上記イを踏まえると、本願発明1における「前記データベースに格納されている車番と駐車場で撮影した車両の車番が一致した場合、前記車両の駐車時間に応じた駐車料金の精算処理を免除する」ことに相当する。 エ 引用発明における「ロック板を各駐車スペースに設置する必要がない」ことは、本願発明1における「駐車場」が「フラップレス」であることに相当する。 したがって、引用発明の「駐車場管理システム10」は、「精算器」を有し、「ロック板を各駐車スペースに設置する必要がない」ものであるから、本願発明1の「フラップレス駐車場精算システム」に相当する。 オ 引用発明の「駐車スペース15」は、本願発明1の「車室」に相当する。 引用発明の「ボックス42」は、「各駐車スペースに」「設けられ」た「ボックス16」の代わりのものであるから、本願発明1の「車室に設けられた端末装置」に相当する。 してみれば、引用発明における「ボックス42に取り付け」た「表示パネル41」が「「課金中」という文言を表示し、スピーカ43から利用者向けのメッセージを流し、注意を喚起」することは、本願発明1における「前記車両が入庫した車室に設けられた端末装置において、前記データベースに格納されていた当該車番、該車番に対応する前記一の種類、及び該車番の車両に対する前記精算処理の免除を報知する」ことと、「車両が入庫した車室に設けられた端末装置において」「報知する」点で一致し、後記(2)エの点で相違する。 (2)一致点及び相違点 上記(1)から、本願発明1と引用発明の間には、次のアのとおりの一致点及びイ-エのとおりの相違点があるといえる。 ア 一致点 「契約を行った利用者の車両の車番がデータベースに格納されており、前記データベースに格納されている車番と駐車場で撮影した車両の車番が一致した場合、前記車両の駐車時間に応じた駐車料金の精算処理を免除するフラップレス駐車場精算システムであって、 車両が入庫した車室に設けられた端末装置において、報知するフラップレス駐車場精算システム。」 イ 相違点1 本願発明1における「契約」は「複数の種類の契約のうちいずれか一の種類の契約」であるのに対し、引用発明では「契約車両」に係る契約の種類が複数存在することが特定されていない点。 ウ 相違点2 本願発明1では、車番がそれぞれ契約の一の種類と対応づけてデータベースに格納されているのに対し、引用発明では、契約車両ナンバーが契約の一の種類と対応づけて契約車両データベース50に格納されていない点。 エ 相違点3 本願発明1では、複数の種類の契約のうちいずれか一の種類の契約を行った利用者の車両が入庫した車室において、車番、該車番に対応する前記一の種類、及び該車番の車両に対する前記精算処理の免除を報知するのに対し、引用発明では、契約車両が入庫した車室のボックス42の表示パネル41又はスピーカ43が報知を行うことが特定されていない点。 (3)相違点についての判断 事案に鑑みて、相違点3について先に検討する。 相違点3に係る本願発明1の「車室に設けられた端末装置において」「複数の種類の契約のうちいずれか一の種類」「を報知する」構成は、上記参考文献にも記載されておらず、本願出願前における周知技術であったとも認められない。 なお、原査定の理由1(令和5年6月30日付け拒絶理由通知書(最後)の理由1)においては、「如何なる契約に基づき、駐車場に車両を駐車させるかは、単なる人為的な取り決めにすぎず、また、利用者は駐車する際にどのような契約による駐車場かを知っているため、どのような契約かを報知することに格別の技術的意義はないから、どのような契約かを報知することは、当業者が適宜に行い得る設計的事項である。そうすると、引用文献1に記載された発明において、ユーザビリティの観点から契約車両である場合に、契約内容を含む精算手続きが不要で出庫可能である旨を出力することは、当業者が容易になし得ることである」との判断が示されている。しかしながら、引用発明では、契約車両が入庫した駐車スペースのボックス42の表示パネル41又はスピーカ43からの報知は何ら行われておらず、むしろ「車両が契約車である場合、精算器に立ち寄らないで出庫しようとしても、警報を発することはな」いのであるから、仮に契約車両の利用者に対して契約内容を含む報知を行うことがユーザビリティの観点から容易になし得たとしても、そのような報知を契約車両が入庫した駐車スペースのボックス42の表示パネル41又はスピーカ43から行うこととする動機付けはない。 したがって、本願発明1は、相違点1及び2について判断するまでもなく、当業者であっても、引用発明に基づいて、容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2-8について 本願発明2-8は、いずれも本願発明1を減縮したものであり、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて、容易に発明できたものであるとはいえない。 第7 原査定についての判断 1 理由1(進歩性)について 上記第6のとおり、本願発明1-8は、当業者であっても、原査定において引用された引用文献1に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 したがって、原査定の理由1を維持することはできない。 2 理由2(実施可能要件)について 本件補正により、補正前の請求項1に係る発明の「端末装置において、前記データベースに格納されていた当該車番に対応する車両の前記契約の種類とともに前記精算処理の免除を報知する」構成は、「端末装置において、前記データベースに格納されていた当該車番、該車番に対応する前記一の種類、及び該車番の車両に対する前記精算処理の免除を報知する」構成に補正されているが、本件補正の前後を通じて、請求項1に係る発明には、「端末装置において、前記データベースに格納されていた当該車番」「に対応する」「種類」「を報知する」構成(以下「本件構成」という。)が含まれる。そこで、本願の発明の詳細な説明は、当業者が本件構成を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものであるといえるかを検討する。 本願の発明の詳細な説明には、上記第3の2(1)ア-キのとおりの記載があり、上記第3の2(2)ア-ウのとおり、本願の発明の詳細な説明の記載から、車番から契約の種類を特定するために、車番と契約の種類の対応関係をフラップレス駐車場精算システムが保持していることが把握できる。そして、本願出願時の技術常識に照らせば、当該対応関係を保持するための具体的な手段として、典型的な構成であるデータベースをはじめとした各種のものを、本願の発明の詳細な説明の記載に接した当業者が想定できることが明らかである。 したがって、本願の発明の詳細な説明は、当業者が本件構成を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものであるから、原査定の理由2を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-001065

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