2022-009415
光ファイバテープ心線および光ファイバケーブル
- 審判番号
- 2022-009415
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-532592外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年06月20日
- 審決日
- 2023年09月25日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】住友電気工業株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人信栄事務所
- 分類
- P18 .121-Z (G02B) / P18 .575-Z (G02B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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本願は、2018年(平成30年)7月23日(優先権主張 平成29年7月24日。以下「優先日」という。)を国際出願日とする日本語特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
同年 3月31日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年 4月 5日 :原査定の謄本の送達)
同年 6月20日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年 8月 5日付け:前置報告書
同年 9月22日 :上申書の提出
第2 令和4年6月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年6月20日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1) 本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正は、特許請求の範囲の補正を含むものであり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「並列に配置された状態のN本の光ファイバ心線を有し、前記N本の前記光ファイバ心線の少なくとも一部が互いに接触して樹脂で連結されている光ファイバテープ心線であって、前記光ファイバ心線の外径が0.135mm以上0.180mm以下であり、前記N本の前記光ファイバ心線のうちM番目に配置された光ファイバ心線とM+1番目に配置された光ファイバ心線との間欠接続心線間は、前記樹脂で連結された連結部と、切り込みを入れることによって前記樹脂で連結されなくなる非連結部とが長手方向に間欠的に設けられており、前記間欠接続心線間以外の隣接する光ファイバ心線同士は、前記樹脂で連続して連結されており、前記Nは12の倍数であり、前記Mは4の倍数である、光ファイバテープ心線。」
(2) 本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和4年1日19日にされた手続補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「並列に配置された状態のN本の光ファイバ心線を有し、前記N本の前記光ファイバ心線の少なくとも一部が互いに接触して樹脂で連結されている光ファイバテープ心線であって、前記光ファイバ心線の外径が0.135mm以上0.180mm以下であり、前記N本の前記光ファイバ心線のうちM番目に配置された光ファイバ心線とM+1番目に配置された光ファイバ心線との間欠接続心線間は、前記樹脂若しくは別の樹脂で連結された連結部と、前記樹脂若しくは別の樹脂で連結されていない非連結部とが長手方向に間欠的に設けられており、前記間欠接続心線間以外の隣接する光ファイバ心線同士は、前記樹脂若しくは別の樹脂で連続して連結されており、前記Nは12の倍数であり、前記Mは4の倍数である、光ファイバテープ心線。」
2 本件補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「連結部」について、「別の樹脂」との選択肢を削除し、「非連結部」について、「切り込みを入れることによって」前記樹脂で連結されなくなるとの限定を付加するとともに「別の樹脂」との選択肢を削除し、「前記間欠接続心線間以外の隣接する光ファイバ心線同士」が「連続して連結」されることについて、「別の樹脂で連結」との選択肢を削除するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1) 本件補正発明の認定
本件補正発明は、上記1(1)に記載した事項により特定されるとおりのものであるが、本件補正発明の「樹脂」に含まれる構成について、請求項1の記載を引用する請求項5の記載及び明細書の記載を参酌して検討する。
ア まず、請求項1の記載を引用する請求項5には、以下のとおり、「前記樹脂は内層樹脂と外層樹脂とによって構成されており」と記載されていることからみて、本件補正発明の「樹脂」は、内層樹脂と外層樹脂とによって構成される形態を含んでいる。
「【請求項5】前記樹脂は内層樹脂と外層樹脂とによって構成されており、前記間欠接続心線間は、前記M番目に配置された光ファイバ心線と前記M+1番目に配置された光ファイバ心線とが、長手方向にわたって前記内層樹脂により連結されておらず、前記外層樹脂によって長手方向に間欠的に連結されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光ファイバテープ心線。」
イ また、本願の明細書には、「樹脂」が内層樹脂と外層樹脂とによって構成される第一実施形態(【0020】~【0036】【図1】【図2】)について、【0027】には、以下のとおり、内側樹脂と外側樹脂の材質は異なるものであることが記載されている(下線は、当合議体が付したものである。)。
「【0027】このように構成される光ファイバテープ心線1の厚さCは、0.21mm以下である。また、内層樹脂14と外層樹脂15とを足し合わせた樹脂の厚さは0.005mm以上である。また、光ファイバ心線11A~11Xにおける隣接する光ファイバ心線同士の中心間距離Dは、0.135mm以上0.180mm以下である。内層樹脂14および外層樹脂15は、例えば紫外線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂等で形成されている。外層樹脂15には内層樹脂14よりも破断伸びが大きい材質の樹脂が使用されている。外層樹脂15を伸びの大きい軟質樹脂とすることにより、外層樹脂に間欠加工を施す際に非連結部13を所定の長さに形成しやすい。」
ウ したがって、本件補正発明の「前記N本の前記光ファイバ心線の少なくとも一部」を連結する「樹脂」と、「前記N本の前記光ファイバ心線のうちM番目に配置された光ファイバ心線とM+1番目に配置された光ファイバ心線との間欠接続心線間」を連結部で連結し、「前記間欠接続心線間以外の隣接する光ファイバ心線同士」を連続して連結する「前記樹脂」は、必ずしも同じ材質であることを要せず、それぞれが樹脂であれば足りると解するのが相当である。
(2) 引用文献の記載事項及び引用発明等の認定
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ア 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
(ア) 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014-228689号公報(平成26年12月8日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(下線は当合議体が付したものであり、他の引用文献についても同様である。)。
a 【0001】-【0003】
「【技術分野】【0001】本発明は、複数本の光ファイバ心線が平面上に一列に配列された光ファイバテープ心線を複数枚連結した光ファイバテープ心線ユニット及びそれを用いた光ファイバケーブルに関する。【背景技術】【0002】近年の映像配信、IP電話、データ通信等のブロードバンドサービスの拡大により、光ファイバによる家庭向けのデータ通信サービス(FTTH:Fiber To The Home)の加入者が増加している。このFTTHでは、幹線光ファイバケーブルからドロップ光ケーブルを用いて加入者宅等に引き落とされるが、光ファイバケーブルのより細径・高密度化が望まれると共に、光ファイバの引き落としの作業性の向上が要望されている。【0003】このための光ファイバケーブルに、複数本の光ファイバ心線を平面上に一列に並べ、共通被覆で一括してテープ状にした光ファイバテープ心線(以下、テープ心線という)を用いることが多い。テープ心線としては、通常、4心のテープ心線が多用されているが、8心のテープ心線もある。また、4心のテープ心線を2枚連結して8心テープ心線とし、さらに、16心、24心テープ心線とすることも可能とされている。」
b 【0014】-【0019】、【図1】-【図3】
「【0014】図により本発明の実施形態を説明する。本発明における光ファイバテープ心線ユニットに用いるベーステープ心線は、例えば、図1(A)の光ファイバテープ心線1aまたは図1(B)の光ファイバテープ心線1bが用いられる。光ファイバテープ心線1a,1bは、3本以上の光ファイバ心線11を平面上に一列に並べ、隣り合う光ファイバ心線同士が第1の連結部12と非連結部分の第1の分離部13とを交互にして、間欠的に連結された形態の光ファイバテープ心線(以下、ベーステープ心線という)である。なお、以下では、ベーステープ心線1a,1bとして4心のテープ心線を例示するが、8心のテープ心線であってもよく、心数について特に限定されるものではない。【0015】なお、本発明における光ファイバ心線11とは、例えば、外径が125μmのガラスファイバに、被覆径が250μm前後のファイバ被覆を施した光ファイバ素線とも言われているもの、また、そのファイバ被覆の外面に着色層を施したものを含めた単心の光ファイバを言うものとする。続きを表示(全13行)図1(A)に示すベーステープ心線1aは、隣り合う光ファイバ心線同士を連結する第1の連結部12が、隣りの第1の連結部12とは重ならないように長手方向で位置が異なるように形成した例である。他方、図1(B)のベーステープ心線1bは、隣り合う光ファイバ心線同士を連結する第1の連結部12が、隣りの第1の連結部12と長手方向で位置が同じになるように、全心で一括されるように形成した例である。【0016】図2は、本発明による光ファイバテープ心線ユニットの一例を示す図である。図中、2aは光ファイバテープ心線ユニット(以下、テープ心線ユニットという)を示す。すなわち、上述した図1(A)のベーステープ心線1aの複数枚を平面上に一列に並べ、隣り合うベーステープ心線1aの端に位置する隣り合う光ファイバ心線間の長手方向の少なくとも片面を第2の連結部14で間欠的に連結し、テープ心線ユニット2aとした例である。なお、第2の連結部14間の非連結部分を、第2の分離部15とする。【0017】上記のベーステープ心線間を間欠的に連結する第2の連結部14は、長手方向に所定の間隔で形成され、ベーステープ心線1aの端に位置する4番心の光ファイバ心線と、これと隣り合うベーステープ心線1aの1番心の光ファイバ心線とを連結する。例えば、ベーステープ心線1aの10枚を、平面上に一列に並べて第2の連結部14で連結すると40心のテープ心線ユニットとすることができる。なお、第2の連結部14により連結する箇所は、本例に限定されるものではない。【0018】図3は、本発明による光ファイバテープ心線ユニットの他の例を示す図である。図中、2bはテープ心線ユニットを示す。すなわち、第1の連結部12を全心同じ位置にして一括したベーステープ心線1b(図1(B))の複数枚を平面上に一列に並べ、隣り合うベーステープ心線1bの端に位置する光ファイバ心線間の長手方向の少なくとも片面を第2の連結部14で間欠的に連結し、テープ心線ユニット2bとした例である。なお、第2の連結部14間の非連結部分を、第2の分離部15とする。図2の例と同様に、例えば、ベーステープ心線1bの10枚を、平面上に一列に並べて第2の連結部14で連結すると40心のテープ心線ユニットとすることができる。【0019】本発明の主たる目的は、複数枚のテープ心線を連結してなるテープ心線ユニットの識別性を改善することにある。このための構成として、図2のテープ心線ユニット2aまたは図3のテープ心線ユニット2bにおいて、全ての第2の連結部14は、同色の着色樹脂で形成されている。着色樹脂としては、例えば、着色された紫外線硬化型樹脂(着色UV樹脂)を用いることができる。このように、隣り合うベーステープ心線間を連結する第2の連結部を全て同じ色にすることで、テープ心線ユニットの識別性を持たせることができる。例えば、図2または図3の40心テープ心線ユニットを5枚作製したときに、1番ユニット~5番ユニットそれぞれの第2の連結部14について、順に、青、黄、緑、赤、紫の5色を割り当てる。これにより、第2の連結部14の色が青色であれば、1番ユニットと容易に識別することができる。」
「【図1】[図:0001404184000001.jpg]」
「【図2】[図:0001404184000002.jpg]」
「【図3】[図:0001404184000003.jpg]」
c 【0021】-【0023】、【図4】-【図5】
「【0021】また、ベーステープ心線は、図1に示したような間欠型に限らず、共通被覆による一体型であってもよい。例えば、図4(A)~(C)に示すテープ心線3a~3c(これらをまとめてテープ心線3ともいう)を用いることができる。テープ心線3a~3cは、複数本の光ファイバ心線21を平面上に一列に並べ、共通被覆22a~22cにより一体化した形態のテープ心線である。図4(A)に示すテープ心線3aは、複数本の光ファイバ心線21を平面上に平行一列に並べ、共通被覆22aにより一体化してテープ状としたもので、共通被覆22aによるテープ面23aの両面が平坦になっている例である。【0022】また、図4(B)に示すテープ心線3bは、複数本の光ファイバ心線21を平面上に平行一列に並べ、共通被覆22bにより一体化してテープ状としたもので、共通被覆22bによるテープ面23bが光ファイバ心線21の外面に倣うように波型形状とした例である。また、図4(C)に示すテープ心線3cは、複数本の光ファイバ心線21を平面上に平行一列に並べ、共通被覆22cを光ファイバ心線21の谷間を埋める程度でテープ片面のみに付与した例で、そのテープ面23cを平坦にした例である。なお、テープ心線の形状は、図4(A)~(C)に例示した形状に限定されるものではなく、また、光ファイバ心線21の心数も、4心以外の2心、6心、8心であってもよい。【0023】図5は、本発明による光ファイバテープ心線ユニットの他の例を示す図である。図中、4はテープ心線ユニットを示す。すなわち、共通被覆により一体化されたベーステープ心線3(図4)の複数枚を平面上に一列に並べ、隣り合うベーステープ心線3の端に位置する光ファイバ心線間の長手方向の少なくとも片面を第2の連結部24で間欠的に連結し、テープ心線ユニット4とした例である。なお、第2の連結部24間の非連結部分を、第2の分離部25とする。図2、図3の例と同様に、例えば、ベーステープ心線3の10枚を、平面上に一列に並べて第2の連結部24で連結すると40心のテープ心線ユニットとすることができる。ここで、図5のテープ心線ユニット4は、上記と同様に、全ての第2の連結部24が同色の着色樹脂で形成されており、テープ心線ユニットの識別を容易にしている。」
「【図4】[図:0001404184000004.jpg]」
「【図5】[図:0001404184000005.jpg]」
d 【0032】-【0034】、【図8】
「【0032】図8は、本発明による光ファイバテープ心線ユニットを製造する製造方法の一例を説明するための図である。図中、50はUV樹脂供給装置、50aはノズル、50bは着色UV樹脂を示し、5aはベーステープ心線、6はテープ心線ユニットを示す。ベーステープ心線5aは、厚さ250μmの8本の光ファイバ心線51を、テープ樹脂52で覆って、テープ厚約280μm、テープ幅約2mmの8心の間欠テープ心線としたものである。【0033】図8に示すように、複数枚(例えば5枚)のベーステープ心線5aを平行一列に配列させ、ベーステープ心線5aの端に位置する光ファイバ心線51と、隣りのベーステープ心線5aの端に位置する光ファイバ心線51との間に、着色UV樹脂50bをノズル50aにより供給、塗布することで、第2の連結部53を形成する。なお、着色UV樹脂50bは、間欠的に塗布して第2の連結部53を間欠的に形成するようにしてもよいし、あるいは、連続的に塗布して第2の連結部53を連続的に形成するようにしてもよい。【0034】このように、着色UV樹脂50bが塗布され、第2の連結部53(硬化前)が形成された状態の5枚のベーステープ心線5aは、紫外線照射装置に送られ、この紫外線照射装置により紫外線を照射することで、第2の連結部53の着色UV樹脂を硬化させ、さらに、ボビンに巻き取ることで40心のテープ心線ユニット6を製造する。本例では、図6(A)のスロット型光ファイバケーブルの1スロット内に40心のテープ心線ユニット6を5枚ずつ収納する場合について想定する。そして、各スロット内において、40心のテープ心線ユニット毎に識別性を持たせるため、5つのユニットの着色UV樹脂50bの色を、例えば、青、黄、緑、赤、紫の5色とし、それぞれ1番~5番ユニットに対応するようにした。」
「【図8】[図:0001404184000006.jpg]」
(イ) 引用文献1の記載事項から読み取れる事項の認定
a 図4の共通被覆により一体化されたベーステープ心線3を用いる図5の「光ファイバテープ心線ユニットの他の例」について、当該他の例を説明する【0021】-【0023】に特段の記載がない事項については、間欠的に連結された形態の光ファイバテープ心線(図1)を用いる光ファイバテープ心線ユニットについての【0014】-【0020】の記載が妥当することは明らかであるから、引用文献1には、図5の「光ファイバテープ心線ユニットの他の例」について、以下の事項が記載されているものと認められる。
(a) ベーステープ心線間を間欠的に連結する第2の連結部24は、長手方向に所定の間隔で形成され、ベーステープ心線3の端に位置する4番心の光ファイバ心線と、これと隣り合うベーステープ心線3の1番心の光ファイバ心線とを連結すること(【0017】)
(b) 光ファイバ心線21は、外径が125μmのガラスファイバに、被覆径が250μm前後のファイバ被覆を施した光ファイバ素線であること(【0015】)
b 【図4】より、テープ心線3を構成している各光ファイバ心線21は、互いに接していることが見てとれる。
c 【0032】-【0034】【図8】には「本発明による光ファイバテープ心線ユニットを製造する製造方法の一例」が説明されているところ、図4の共通被覆により一体化されたベーステープ心線3を用いる図5の「光ファイバテープ心線ユニットの他の例」についても、当該製造方法により製造することが開示されているといえるから、引用発明には、図4の共通被覆により一体化されたベーステープ心線3を用いる図5の「光ファイバテープ心線ユニットの他の例」の製造方法として、着色UV樹脂は、間欠的に塗布して第2の連結部24を間欠的に形成すること(【0033】)が記載されているものと認められる。
(ウ) 引用発明の認定
上記(ア)で摘記した引用文献1の記載事項及び上記(イ)で認定した事項を総合すると、引用文献1には、図5に係る光ファイバテープ心線ユニットであって、ベーステープ心線3が図4に係るテープ心線3a~3cのいずれかであるものについて、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(摘記の根拠箇所を括弧内に示した。)。
<引用発明>
「光ファイバテープ心線ユニットであって、(【0023】)共通被覆により一体化されたベーステープ心線3の複数枚を平面上に一列に並べ、隣り合うベーステープ心線3の端に位置する光ファイバ心線間の長手方向の少なくとも片面を第2の連結部24で間欠的に連結し、テープ心線ユニット4とし、(【0023】)第2の連結部24間の非連結部分を、第2の分離部25とし、(【0023】)例えば、ベーステープ心線3の10枚を、平面上に一列に並べて第2の連結部24で間欠的に連結した40心のテープ心線ユニットとし、(【0023】)続きを表示(全13行)全ての第2の連結部24が同色の着色樹脂で形成されており、(【0023】)ベーステープ心線3は、共通被覆による一体型であり、複数本の光ファイバ心線21を平面上に一列に並べ、共通被覆22a~22cにより一体化した形態のテープ心線であり、(【0021】)ベーステープ心線の光ファイバ心線21の心数は4心であり、(【0022】)テープ心線3を構成している各光ファイバ心線21は、互いに接しており、(上記(イ)b)ベーステープ心線間を間欠的に連結する第2の連結部24は、長手方向に所定の間隔で形成され、ベーステープ心線3の端に位置する4番心の光ファイバ心線と、これと隣り合うベーステープ心線3の1番心の光ファイバ心線とを連結し、(上記(イ)a(a))着色樹脂としては、着色された紫外線硬化型樹脂(着色UV樹脂)を用いることができ、(【0019】)着色UV樹脂は、間欠的に塗布して第2の連結部24を間欠的に形成し、(上記(イ)c)光ファイバ心線21は、外径が125μmのガラスファイバに、被覆径が250μm前後のファイバ被覆を施した光ファイバ素線である、(上記(イ)a(b))光ファイバテープ心線ユニット。」
イ 引用文献2の記載事項及び引用文献2に記載された技術的事項の認定 (ア) 引用文献2の記載事項
同じく原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開平2-154210号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。
a 第1頁左下欄第13行~右下欄第11行
「「産業上の利用分野」この発明は、複数本の光ファイバ単心線を並列して一括被覆した光ファイバテープ心線に関する。「従来技術とその課題」近年、通信用光ファイバケーブルにおいては情報伝送量の増大に伴って高密度化が図られており、ケーブルに用いられる光ファイバテープ心線もその多心化が進められている。ところで、このような光ファイバテープ心線(以下、テープ心線と略称する)にあっては、一定以上に多心化を進めた場合テープ幅が増大することにより、ケーブルに組み込まれた後このケーブルに一定の曲率以下の曲げが加えられた際、テープ心線の両端のファイバに大きな歪みを生じるといった問題がある。したがって、一つのテープ心線においてはその多心化に自ずと決まる限界があり、十分な多心化が行えないのが実状である。また、多心化を図るため細径の光ファイバ単心線を用いたテープ心線も知られている。」
b 第2頁右上欄第13行~左下欄第5行
「「実施例」以下、この発明のテープ心線を図面を用いて詳細に説明する。第1図はこの発明のテープ心線の一実施例を示すもので、第1図中符号10はテープ心線である。このテープ心線10は、4本の光ファイバ単心線11…を並列して配置し、一括被覆層12によりこれらを被覆して一体に構成したものである。光ファイバ単心線11は、ガラスファイバ13に一次被覆層14を被覆形成したものである。ガラスファイバ13は80~150μm程度の径の石英ガラスなどからなるものであり、また一次被覆層14はラダー型シリコーン樹脂からなるものである。」
c 第2頁右下欄第7~9行
「一括被覆層14は、紫外線硬化型樹脂によって形成されたもので、光ファイバ単心線11…を並列させて一体化せしめるためのものである。」
d 第3頁左下欄第6~13行及び第1図
「(実験例1)第1図に示したテープ心線における光ファイバ単心線11と、第5図に示したテープ心線における細径光ファイバ単心線1とを用い、これらの破断強度の経時変化を調べてその結果を第3図に示した。ここで、これら光ファイバ単心線の径は、いずれも第1図および第5図中の符号l1、で示される径が125μm、符号l2で示される径が150μmである。」
「第1図[図:0001404184000007.jpg]」
(イ) 引用文献2の記載事項から読み取れる事項の認定
第1図より、符号l1で示される径がガラスファイバ13の径で、符号l2で示される径がガラスファイバ13に一次被覆層14を被覆形成した径であることが読み取れるから、ガラスファイバ13に一次被覆層14を被覆形成したものである光ファイバ単心線11(上記b)の径は、符号l2で示される径で表されることが理解できる。
(ウ) 引用文献2に記載された技術的事項の認定
上記(ア)で摘記した引用文献2の記載事項及び上記(イ)で認定した事項を総合すると、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献2に記載された技術的事項>
「テープ心線10であって、テープ心線10は、4本の光ファイバ単心線11を並列して配置し、一括被覆層12によりこれらを被覆したものであり、光ファイバ単心線11は、ガラスファイバ13に一次被覆層14を被覆形成したものであり、(上記(ア)b)光ファイバ単心線11の径は150μmである、(上記(ア)d、(イ))テープ心線10。」
ウ 引用文献4の記載事項及び周知技術1の認定
(ア) 引用文献4の記載事項
本審決において新たに引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-75746号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。
a 【0005】-【0006】
「【0005】また、特許文献4には、隣り合う光ファイバ単心線同士を長手方向に間欠的に連結したテープ心線(以下、間欠型テープ心線とも言う)が開示されている。このような間欠型テープ心線は、光ケーブルへの収納性や単心分離性を向上させることができる。【0006】また、特許文献4に記載のような間欠型テープ心線の製造方法としては、次の3つの方法が挙げられる。第1の方法は、隣り合う光ファイバ心線間の長手方向に所定長だけ接着性樹脂又は被覆樹脂が付与された連結部と、所定長だけ接着性樹脂又は被覆樹脂が付与されていない非連結部とを交互に形成する方法である。接着性樹脂又は被覆樹脂の付与は塗布により行われる。第2の方法は、複数本の光ファイバ心線の全長に紫外線硬化樹脂を塗布した後、長手方向に間欠的に紫外線(UV)照射を行い、紫外線硬化樹脂の硬化部分(連結部)と未硬化部分(非連結部)とを交互に形成する方法である。第3の方法は、まずテープ心線を形成し、そのテープ心線の共通被覆の長手方向にカッター刃等の樹脂取り除き用部材で切込みを形成し、連結部と非連結部とを交互に形成する方法である。」
b 【0057】-【0060】
「【0057】図6で例示する間欠型テープ心線60は、図1Aの間欠型テープ心線1と同様に上記(a)の光ファイバ心線を適用したものであるが、その製造方法が異なり、それ故に連結部及び非連結部の形状も異なってくる。間欠型テープ心線60では、間欠型テープ心線1と比較して被覆用樹脂12が施された2心テープ心線を2枚形成するところまでは同じであるが、2枚並列させた状態でさらに全体に上記第2の紫外線硬化樹脂である連結用樹脂63が施されている。この連結用樹脂63は2次被覆を形成していると言える。実際、2心テープ心線を2本並列し、図2を参照して説明したものと同様の方法で連結用樹脂を施せば(無論、ニップルとダイスの形状は図3A,図3Bとは異なる)、間欠加工前の共通被覆が施されたテープ心線を製造することができる。…(中略)…【0059】その後は、カッター刃65等が外周面に設けられた回転刃などにより連結用樹脂63に長手方向に間欠的に切込みを入れることで、非連結部14を形成し、切込みが入れられていない部分を連結部とする。これにより、間欠型テープ心線60を製造することができる。【0060】つまり、本構成例における連結部は、被覆用樹脂12が施された2心テープ心線等の上記(a)の光ファイバ心線を全て並列し、その周囲に上記(a)の光ファイバ心線全てを一体化するように連結用樹脂63を施すことで形成されている。そして、本構成例における非連結部14は、隣り合う被覆用樹脂12が施された2心テープ心線等の上記(a)の光ファイバ心線の間において、連結用樹脂63に切込みを入れることで形成されている。このような構造により、2心テープ心線間の距離を離し易いため切込み時に光ファイバ単心線11を傷つけ難くなる。」
c 「【図6】[図:0001404184000008.jpg]」
(イ) 周知技術1の認定
上記(ア)で摘記した引用文献4の記載事項からみて、次の技術的事項は優先日時点の周知技術(以下「周知技術1」という。)であると認められる。
<周知技術1>
「間欠型テープ心線60の製造方法として、隣り合う光ファイバ心線間の長手方向に所定長だけ接着性樹脂又は被覆樹脂が付与された連結部と、所定長だけ接着性樹脂又は被覆樹脂が付与されていない非連結部を交互に形成する方法、また、まずテープ心線を形成し、そのテープ心線の共通被覆の長手方向にカッター刃等の樹脂取り除き用部材で切込みを形成し、連結部と非連結部を交互に形成する方法。(【0006】)」
エ 周知技術2の認定
上記イ(ア)で摘記した引用文献2の記載事項及び上記ウ(ア)で摘記した引用文献4の記載事項から、次の技術的事項は優先日時点の周知技術(以下「周知技術2」という。)であると認められる。
<周知技術2>
「隣合う光ファイバ心線の連結を樹脂で行うこと。(イ(ア)c及びウ(ア)b)」
(3) 対比並びに一致点及び相違点の認定
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア) 本件補正発明の「並列に配置された状態のN本の光ファイバ心線を有し、前記N本の前記光ファイバ心線の少なくとも一部が互いに接触して樹脂で連結されている光ファイバテープ心線であって、」との特定事項について
a 引用発明の「光ファイバ心線21」は、本件補正発明の「光ファイバ心線」に相当する。
b 引用発明の「テープ心線ユニット4」を構成する「ベーステープ心線3」は、「複数本の光ファイバ心線21を平面上に一列に並べ、共通被覆22a~22cにより一体化した形態のテープ心線」であり、「ベーステープ心線3の10枚を、平面上に一列に並べて第2の連結部24で間欠的に連結した40心のテープ心線ユニットとし」ているから、引用発明の「テープ心線ユニット4」は本件補正発明の「光ファイバテープ心線」に相当する。更に、引用発明は「テープ心線3を構成している各光ファイバ心線21は、互いに接して」いるから、本件補正発明と引用発明は、「並列に配置された状態のN本の光ファイバ心線を有し、前記N本の光ファイバ心線の少なくとも一部が互いに接触して」「連結されている光ファイバテープ心線」である点で共通する。
c 一方、本件補正発明は、光ファイバ心線の少なくとも一部が「樹脂で」連結されているのに対し、引用発明は、ベーステープ心線3においてファイバ心線11を一体化するのは「共通被覆22a~22c」であり、「共通被覆22a~22c」が樹脂であるかは不明である。
(イ) 本件補正発明の「前記光ファイバ心線の外径が0.135mm以上0.180mm以下であり、」との特定事項について
引用発明の「光ファイバ心線」は、「外径が125μmのガラスファイバに、被覆径が250μm前後のファイバ被覆を施した」ものであるから、「前記光ファイバ心線の外径」が、本件補正発明は「0.135mm以上0.180mm以下」であるのに対し、引用発明は「外径が125μmのガラスファイバに、被覆径が250μm前後のファイバ被覆を施した」ものである点で相違している。
(ウ) 本件補正発明の「前記N本の前記光ファイバ心線のうちM番目に配置された光ファイバ心線とM+1番目に配置された光ファイバ心線との間欠接続心線間は、前記樹脂で連結された連結部と、切り込みを入れることによって前記樹脂で連結されなくなる非連結部とが長手方向に間欠的に設けられており、」との特定事項について
a 引用発明の「テープ心線ユニット4」は、「ベーステープ心線3の10枚を、平面上に一列に並べて第2の連結部24で間欠的に連結した40心のテープ心線ユニット」であり、「第2の連結部24」は、「長手方向に所定の間隔で形成され、ベーステープ心線3の端に位置する4番心の光ファイバ心線と、これと隣り合うベーステープ心線3の1番心の光ファイバ心線とを連結し」ているから、引用発明の「4番心の光ファイバ心線と、これと隣り合うベーステープ心線3の1番心の光ファイバ心線」の間が、本件補正発明の「前記N本の前記光ファイバ心線のうちM番目に配置された光ファイバ心線とM+1番目に配置された光ファイバ心線との間欠接続心線間」に相当する。
b(a) 引用発明の「第2の連結部24」は、「着色樹脂で形成されて」いるから、本件補正発明の「前記樹脂で連結された連結部」に相当する。
(b) 引用発明の「第2の分離部25」は「第2の連結部24間の非連結部分」であるから、本件補正発明の「非連結部」に相当する。
(c) 上記(a)及び(b)を踏まえると、引用発明の「第2の連結部24」と「第2の分離部25」が、「ベーステープ心線間を間欠的に連結する第2の連結部24は、長手方向に所定の間隔で形成され」、「第2の連結部24間の非連結部分を、第2の分離部25とし」ていることは、本件補正発明と「前記樹脂で連結された連結部と、」「非連結部とが長手方向に間欠的に設けられて」いる点で共通している。
c 以上a及びbをまとめると、本件補正発明と引用発明は、「前記N本の前記光ファイバ心線のうちM番目に配置された光ファイバ心線とM+1番目に配置された光ファイバ心線との間欠接続心線間は、前記樹脂で連結された連結部と、」「非連結部とが長手方向に間欠的に設けられて」いる点で共通するが、「非連結部」が、本件補正発明では「切り込みを入れることによって」「前記樹脂で連結されなくなる」のに対し、引用発明では「着色UV樹脂は、間欠的に塗布して第2の連結部24を間欠的に形成」する点で相違している。
(エ) 本件補正発明の「前記間欠接続心線間以外の隣接する光ファイバ心線同士は、前記樹脂で連続して連結されており、」との特定事項について a 引用発明の、「40心のテープ心線ユニット」のうち、「ベーステープ心線3の端に位置する4番心の光ファイバ心線と、これと隣り合うベーステープ心線3の1番心の光ファイバ心線」以外の光ファイバ心線同士は、「共通被覆22a~22cにより一体化した」ものであるから、本件補正発明と引用発明は、「前記間欠接続心線間以外の隣接する光ファイバ心線同士は、」「連続して連結されて」いる点で共通する。
b 一方、上記(ア)cと同様に、本件補正発明は、「前記樹脂で」連結されているのに対し、引用発明は、「共通被覆22a~22c」が樹脂であるかは不明である。
(オ) 本件補正発明の「前記Nは12の倍数であり、前記Mは4の倍数である、光ファイバテープ心線。」との特定事項について
上記(ア)及び(ウ)より、引用発明は、Nが40、Mが4であるから、本件補正発明と引用発明は、「前記Mは4の倍数である、光ファイバテープ心線」である点で共通するが、「N」が、本件補正発明は「12の倍数」であるのに対し、引用発明では「40」である点で相違している。
イ 一致点及び相違点の認定
上記アの対比分析の結果によれば、本件補正発明と引用発明は、以下の一致点において一致し、相違点1~4において相違する。
<一致点>
「並列に配置された状態のN本の光ファイバ心線を有し、前記N本の光ファイバ心線の少なくとも一部が互いに接触して連結されている光ファイバテープ心線であって、前記N本の前記光ファイバ心線のうちM番目に配置された光ファイバ心線とM+1番目に配置された光ファイバ心線との間欠接続心線間は、樹脂で連結された連結部と、非連結部とが長手方向に間欠的に設けられており、前記間欠接続心線間以外の隣接する光ファイバ心線同士は、連続して連結されており、前記Mは4の倍数である、光ファイバテープ心線。」である点。
<相違点1>
「N」が、本件補正発明は「12の倍数」であるのに対し、引用発明は「40」である点。
<相違点2>
N本の光ファイバ心線同士の少なくとも一部を互いに接触して連結し、間欠接続心線間以外の隣接する光ファイバ心線同士を連続して連結するのが、本件補正発明では「樹脂」であるのに対し、引用発明では「共通被覆22a~22c」であり、「共通被覆22a~22c」が樹脂であるかは不明である点。
<相違点3>
「前記光ファイバ心線の外径」が、本件補正発明は「0.135mm以上0.180mm以下」であるのに対し、引用発明は「外径が125μmのガラスファイバに、被覆径が250μm前後のファイバ被覆を施した」ものである点。
<相違点4>
「非連結部」が、本件補正発明は「切り込みを入れることによって」「前記樹脂で連結されなくなる」ものであるのに対し、引用発明は「着色UV樹脂は、間欠的に塗布して第2の連結部24を間欠的に形成」するものである点。
(4) 判断
ア 相違点についての判断
(ア) 相違点1について
引用発明は「光ファイバ心線21の心数は4心」である「ベーステープ心線」を用いて、「例えば、ベーステープ心線3の10枚を、平面上に一列に並べて第2の連結部24で連結する」ことにより、40心のテープ心線ユニットを形成しているが、「例えば」との記載のとおり、ベーステープ心線3が10枚でベーステープ心線ユニットが40心であることはあくまでも例示に過ぎず、更に、引用文献1には、「テープ心線としては、通常、4心のテープ心線が多用されているが、8心のテープ心線もある。また、4心のテープ心線を2枚連結して8心テープ心線とし、さらに、16心、24心テープ心線とすることも可能とされている。」(【0003】)との記載のとおり、「24心テープ心線」も示唆されていることから、引用発明のテープ心線ユニット4について、上記【0003】の示唆に従い4心のベーステープ心線を6枚連結して24心とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(イ) 相違点2について
まず、光ファイバテープ心線を形成する際に、隣合う光ファイバ心線の連結を樹脂で行うことは、上記(2)エで周知技術2として認定したとおり、優先日時点における周知技術である。
してみると、引用発明の「共通被覆22a~22c」を樹脂とすることは、当業者が容易に想到し得る事項である。
したがって、上記2(1)で説示した事項を考慮すると、引用発明に上記周知技術2を適用した構成においては、樹脂とされた「共通被覆22a~22c」及び着色樹脂で形成される「第2の連結部24」の両者が、本件補正発明の「樹脂」に相当することとなる。
(ウ) 相違点3について
引用文献1の【0002】には「光ファイバケーブルのより細径・高密度化が望まれる」と記載されており、【0003】には「光ファイバケーブルに、複数本の光ファイバ心線を平面上に一列に並べ、共通被覆で一括してテープ状にした光ファイバテープ心線(以下、テープ心線という)を用いる」と記載されていることから、【0002】の「光ファイバケーブルのより細径・高密度化」のためには、それを構成する「光ファイバ心線」の「細径・高密度化」も必要であることは自明である。
一方、引用文献2の第1頁右下第10~11行には、「多心化を図るため細径の光ファイバ単心線を用いたテープ心線も知られている」と記載されており、引用文献2に記載された技術的事項として、「光ファイバ単心線11の径は150μmである」ことが記載されている。
よって、引用文献1と引用文献2は共に「光ファイバの心線の細径化」という共通の課題を有するので、引用発明の「光ファイバ心線21」に、引用文献2に記載された「光ファイバ単心線11の径は150μmである」事項を適用し、相違点3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
(エ) 相違点4について
上記(2)ウ(イ)で周知技術1として認定したとおり、「間欠型テープ心線60の製造方法」として、引用発明と同様に「隣り合う光ファイバ心線間の長手方向に所定長だけ接着性樹脂又は被覆樹脂が付与された連結部と、所定長だけ接着性樹脂又は被覆樹脂が付与されていない非連結部を交互に形成する方法」と、相違点4に係る本件補正発明と同様に「まずテープ心線を形成し、そのテープ心線の共通被覆の長手方向にカッター刃等の樹脂取り除き用部材で切込みを形成し、連結部と非連結部を交互に形成する方法」は、いずれも優先日時点における周知技術である。
してみると、引用発明において、「第2の連結部24」及び「第2の分離部25」の製造方法として、「着色UV樹脂は、間欠的に塗布して第2の連結部24を間欠的に形成」する方法に代えて、着色UV樹脂に切り込みを形成することで連結部と非連結部を交互に形成する方法を採用して、相違点4に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。
イ 本件補正発明の効果について
本件補正発明の効果は、その構成が奏するものとして引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて当業者が予測し得たことにすぎないものである。
ウ 請求人の主張について
(ア) 請求人の主張内容
折りたたみ中(クリックで表示)
請求人は、本件補正発明の進歩性について、以下の旨を主張している。
a 本件補正発明の特有の課題である「多心の光ファイバテープ心線において光ファイバ心線を接続する際の作業効率の向上」という課題は引用文献1~2、4には開示されておらず、「細径で高密度な光ファイバを採用すると、光ファイバ1本1本の腰が弱くなるため曲がりやすくあり、まとまりが悪くなるので、光ファイバケーブルの接続効率が悪化する」という本件補正発明の特有の課題に想到するには至らない。
b 上記aのような本件補正発明特有の課題から、本件補正発明は、「細径の光ファイバを有する光ファイバテープ心線における4心毎の間欠構造」という構成を採用するに至ったものであり、引用文献1~2、4から本件補正発明の課題が想起されない以上、引用文献1~2、4を組み合わせることは、本件補正発明の課題を見た上での後知恵にすぎない。
(イ) 請求人の主張についての検討
折りたたみ中(クリックで表示)
請求人が、上記本件補正発明の特有の課題と主張している「多心の光ファイバテープ心線において光ファイバ心線を接続する際の作業効率の向上」の課題解決手段である「4心毎の間欠構造」については、引用発明も「4心毎の間欠構造」を有しているため、当該課題解決手段を有している。
そして、「多心の光ファイバテープ心線において光ファイバ心線を接続する際の作業効率の向上」という課題は、本件補正発明のように「光ファイバ心線の外径が0.135mm以上0.180mm以下」である場合に限らず、引用発明のように「被覆径が250μm前後のファイバ被覆を施した光ファイバ素線」の場合についても、程度の差こそあれ同様に生じる課題であることは明らかであるし、また、「4心毎の間欠構造」を採用することにより当該課題を解決できることもまた明らかである。
そうすると、引用発明は、請求人の主張する本件補正発明の特有の課題及びその解決手段を内在しているものといえ、また、引用発明において、光ファイバの心線の細径化のために、引用文献2に記載された技術的事項を適用することは当業者が容易になし得たことであることは上記ア(ウ)で説示したとおりであるから、引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を適用することが後知恵であるとはいえない。
よって、請求人の上記主張は採用できない。
(5) 小括
したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法第126条7項の規定に違反するので、同法第159条1項の規定において読み替えて準用する同法第53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和4年6月20日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年1月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1の記載は、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、2の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)のア及びイに記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、(i)「間欠接続部」に係る「非連結部は切れ込みを入れることによって」樹脂で連結されなくなるとの限定事項を削除し、(ii)「連結部」について「別の樹脂」で連結されたとの選択肢を追加し、(iii)「非連結部」について「別の樹脂」で連結されていないとの選択肢を追加し、及び、(iv)「前記間欠接続心線間以外の隣接する光ファイバ心線同士」について、「別の樹脂」で連続して連結するとの選択肢を追加したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-009415