特許拒絶査定不服審判
2024-005034
光コネクタおよび光接続構造
- 審判番号
- 2024-005034
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-566414
- 請求日
- 2024年03月25日
- 審決日
- 2025年12月25日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】住友電気工業株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人 東和国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 岡田 吉美
- 審判官 野村 伸雄
- 審判官 東松 修太郎
- 分類
- P18 .121-WZ (G02B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-566414「光コネクタおよび光接続構造」拒絶査定不服審判事件〔令和2年7月23日国際公開、WO2020/149262〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)1月14日を国際出願日とする日本語特許出願であって(優先権主張 平成31年1月15日)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和3年 6月18日 :国内書面の提出
令和5年10月 5日付け:拒絶理由通知書
同年11月27日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 1月18日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月23日 :原査定の謄本の送達)
同年 3月25日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和7年 5月23日付け:拒絶理由通知書
同年 7月15日 :意見書、手続補正書の提出
以下、当審において令和7年5月23日付けで通知した拒絶理由通知書を「当審拒絶理由通知書」といい、単に「意見書」と言うときには、同年7月15日に提出した意見書を指す。
2 本願発明について
(1) 本願発明の認定
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和7年7月15日に提出された手続補正書により補正された請求項1に記載された次に示す事項により特定されるとおりのものである。
「 外側にフランジが設けられて、内側に貫通穴を有し、前記貫通穴内にガラスファイバと、前記ガラスファイバを覆う樹脂被覆とを含む光ファイバの一端部において前記樹脂被覆から露出した前記ガラスファイバを保持可能なフェルールと、
前記フェルールを収容するように構成されたプラグフレームと、
前記フェルールを前記フェルールの中心軸方向に沿って付勢する弾性部材を備えた光コネクタであって、
前記光ファイバは、前記光ファイバどうしを光学的に接続させる際に、中心軸周りの回転角度の調整が必要であり、
前記弾性部材は、前記弾性部材の第一の長さで前記フェルールを前記プラグフレーム内の第一位置に保持可能であり、前記第一の長さより短い第二の長さで前記フェルールを前記プラグフレーム内の第二位置に保持可能であり、
前記フェルールの前記フランジは、前記中心軸方向に沿って延びる平坦面と、前記平坦面よりも前記フェルールの付勢方向側に形成されて前記フェルールの中心軸との距離が前記弾性部材の付勢方向に向けて減少する少なくとも一つのテーパ面と、回転位置の基準を示すマークとを有し、
前記フェルールが前記第一位置にある場合に、前記フェルールと前記プラグフレームとが前記少なくとも一つのテーパ面を介して接触し、前記フェルールの前記プラグフレームに対する回動が規制され、
前記フェルールが前記第二位置にある場合に、前記フェルールと前記プラグフレームとは接触せず前記フェルールは前記プラグフレームに対して回動可能で、前記フェルールが前記プラグフレームに対してフローティング状態になる、
光コネクタ。」
(2) 本願発明の分説
検討の便宜上、本願発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Hまでに分説する。また、参考図として、本願の【図9A】及び【図7】を元に部材名を記入したものを掲載する。なお、【図7】は、フロントハウジングの回動規制部の内壁面にテーパー面を有し、フェルールのフランジにテーパー面を有しないが、本願発明は、これの変形例であり、フロントハウジングの回動規制部の内壁面にはテーパー面を有さず、フェルールのフランジにテーパー面を有するものである。
<本願発明の分説>
A 外側にフランジが設けられて、内側に貫通穴を有し、前記貫通穴内に
ガラスファイバと、前記ガラスファイバを覆う樹脂被覆とを含む光フ
ァイバの一端部において前記樹脂被覆から露出した前記ガラスファイ
バを保持可能なフェルールと、
B 前記フェルールを収容するように構成されたプラグフレームと、
C 前記フェルールを前記フェルールの中心軸方向に沿って付勢する弾性
部材を備えた
X 光コネクタであって、
D 前記光ファイバは、前記光ファイバどうしを光学的に接続させる際に 、中心軸周りの回転角度の調整が必要であり、
E 前記弾性部材は、前記弾性部材の第一の長さで前記フェルールを前記
プラグフレーム内の第一位置に保持可能であり、前記第一の長さより 短い第二の長さで前記フェルールを前記プラグフレーム内の第二位置
に保持可能であり、
F 前記フェルールの前記フランジは、前記中心軸方向に沿って延びる平
坦面と、前記平坦面よりも前記フェルールの付勢方向側に形成されて
前記フェルールの中心軸との距離が前記弾性部材の付勢方向に向けて
減少する少なくとも一つのテーパ面と、回転位置の基準を示すマーク
とを有し、
G 前記フェルールが前記第一位置にある場合に、前記フェルールと前記
プラグフレームとが前記少なくとも一つのテーパ面を介して接触し、
前記フェルールの前記プラグフレームに対する回動が規制され、
H 前記フェルールが前記第二位置にある場合に、前記フェルールと前記 プラグフレームとは接触せず前記フェルールは前記プラグフレームに 対して回動可能で、前記フェルールが前記プラグフレームに対してフ ローティング状態になる、
X’光コネクタ。
<参考図>
【図9A】
[図:0001432505000001.jpg]
【図7】
[図:0001432505000002.jpg]
(3) 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。なお、抜粋した明細書の記載のうち【0004】、【0005】、【0008】及び【0009】は、令和7年7月15日に提出された手続補正書により補正されているものである。
ア 【0001】~【0017】(技術分野、背景技術、課題効果等)
「【技術分野】
【0001】
本開示は、光コネクタおよび光接続構造に関する。
…(中略)…
【背景技術】
【0002】
光コネクタは、光ファイバを保持するフェルールや、フェルールを収容するプラグフレームを有している。プラグフレームに外力が加えられた場合でも、各光ファイバのコア同士の光接続状態を維持することが要求される。非特許文献1は、プラグフレーム(プラグハウジング)に加えられた外力がフェルールに及ばないように、フェルールをプラグフレームに対してフローティングさせる構造が開示されている。この構造はオルダム・カップリング機構を採用している。フェルールに設けられたフランジとプラグフレームとの間に結合部品を介在させ、フェルールが結合部品に対してフェルール中心軸に対して垂直な一方向(左右方向)に移動可能であり、かつ、結合部品がプラグフレームに対してフェルール中心軸および前記一方向に対して垂直な方向(上下方向)に移動可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】境目ほか、「MU形マルチコアファイバコネクタ」、電子情報通信 学会通信ソサイエティ大会、B-13-9、2012年9月
【0004】
本開示の一態様に係る光コネクタは、フェルールと、プラグフレームと、弾性部材とを備える。前記フェルールは、外側にフランジが設けられて、内側に貫通穴を有し、前記貫通穴内にガラスファイバと、前記ガラスファイバを覆う樹脂被覆とを含む光ファイバの一端部において前記樹脂被覆から露出した前記ガラスファイバを保持可能である。前記プラグフレームは、前記フェルールを収容するように構成されている。前記弾性部材は、前記フェルールを前記フェルールの中心軸方向に沿って付勢する。前記光ファイバは、前記光ファイバどうしを光学的に接続させる際に、中心軸周りの回転角度の調整が必要である。前記弾性部材は、前記弾性部材の第一の長さで前記フェルールを前記プラグフレーム内の第一位置に保持可能であり、前記第一の長さより短い第二の長さで前記フェルールを前記プラグフレーム内の第二位置に保持可能である。
【0005】
前記フェルールの前記フランジは、前記中心軸方向に沿って延びる平坦面と、前記平坦面よりも前記フェルールの付勢方向側に形成されて前記フェルールの中心軸との距離が前記弾性部材の付勢方向に向けて減少する少なくとも一つのテーパ面と、回転位置の基準を示すマークとを有する。前記フェルールが前記第一位置にある場合に、前記フェルールと前記プラグフレームとが前記少なくとも一つのテーパ面を介して接触し、前記フェルールの前記プラグフレームに対する回動が規制され、前記フェルールが前記第二位置にある場合に、前記フェルールと前記プラグフレームとは接触せず前記フェルールは前記プラグフレームに対して回動可能で、前記フェルールが前記プラグフレームに対してフローティング状態になる。
…(中略)…
【発明を実施するための形態】
【0007】
[本開示が解決しようとする課題]
非特許文献1の構造では、フランジを複数個に分割して上下方向や左右方向に移動させており、光コネクタの部品点数が多くなり、また構造が複雑になるので、光コネクタの製造コストの低廉化を図り難い。
【0008】
最初に本開示の実施態様の内容を列記して説明する。
(1)本開示の一態様に係る光コネクタは、フェルールと、プラグフレームと、弾性部材とを備える。前記フェルールは、外側にフランジが設けられて、内側に貫通穴を有し、前記貫通穴内にガラスファイバと、前記ガラスファイバを覆う樹脂被覆とを含む光ファイバの一端部において前記樹脂被覆から露出した前記ガラスファイバを保持可能である。前記プラグフレームは、前記フェルールを収容するように構成されている。前記弾性部材は、前記フェルールを前記フェルールの中心軸方向に沿って付勢する。前記光ファイバは、前記光ファイバどうしを光学的に接続させる際に、中心軸周りの回転角度の調整が必要である。前記弾性部材は、前記弾性部材の第一の長さで前記フェルールを前記プラグフレーム内の第一位置に保持可能であり、前記第一の長さより短い第二の長さで前記フェルールを前記プラグフレーム内の第二位置に保持可能である。
【0009】
前記フェルールの前記フランジは、前記中心軸方向に沿って延びる平坦面と、前記平坦面よりも前記フェルールの付勢方向側に形成されて前記フェルールの中心軸との距離が前記弾性部材の付勢方向に向けて減少する少なくとも一つのテーパ面と、回転位置の基準を示すマークとを有する。前記フェルールが前記第一位置にある場合に、前記フェルールと前記プラグフレームとが前記少なくとも一つのテーパ面を介して接触し、前記フェルールの前記プラグフレームに対する回動が規制され、前記フェルールが前記第二位置にある場合に、前記フェルールと前記プラグフレームとは接触せず前記フェルールは前記プラグフレームに対して回動可能で、前記フェルールが前記プラグフレームに対してフローティング状態になる。
(2)本開示の一態様に係る光コネクタは、フェルールと、プラグフレームと、弾性部材とを備える。前記フェルールは、外側に中心軸方向に沿って延びる二対の平坦面を有するフランジが設けられて、内側に貫通穴を有し、前記貫通穴内にガラスファイバと、前記ガラスファイバを覆う樹脂被覆とを含む光ファイバの一端部において前記樹脂被覆から露出した前記ガラスファイバを保持可能である。前記プラグフレームは、前記フェルールを収容するように構成されて、最も後端開口側のクリアランス部と、前記クリアランス部の前方の回動規制部と、前記回動規制部の前方の開口部とを有している。前記弾性部材は、前記フェルールを前記フェルールの中心軸方向に沿って付勢する。前記光ファイバは、前記光ファイバどうしを光学的に接続させる際に、中心軸周りの回転角度の調整が必要である。前記弾性部材は、前記弾性部材の第一の長さで前記フェルールを前記プラグフレーム内の第一位置に保持可能であり、前記第一の長さより短い第二の長さで前記フェルールを前記プラグフレーム内の第二位置に保持可能である。
前記フェルールの前記フランジは、前記中心軸方向に沿って延びる二対の平坦面と、回転位置の基準を示すマークとを有する。前記プラグフレームの回動規制部には、前記フェルールの中心軸との距離が前記弾性部材の付勢方向に向けて減少すると共に互いに対向する一対のテーパ面と、対向する一対の平坦面とが形成される。前記フェルールが前記第一位置にある場合に、前記フェルールの前記二対の平坦面のうち一対の平坦面のそれぞれと前記プラグフレームの前記一対のテーパ面のそれぞれとが接触し、前記フェルールの前記プラグフレームに対する回動が規制され、前記フェルールが前記第二位置にある場合に、前記フェルールと前記プラグフレームとは接触せず前記フェルールは前記プラグフレームに対して回動可能で、前記フェルールが前記プラグフレームに対してフローティング状態になる。
【0010】
このような光コネクタにおいて、フェルールを第一位置から第二位置に移動させるまでは、フェルールとプラグフレームとが接触状態になるので、フェルールがプラグフレームに対して位置決めされ、回動も規制される。一方、フェルールを第一位置から第二位置に移動させた後は、フェルールとプラグフレームとの接触状態が解除され、フェルールをプラグフレームに対してフローティングさせるため、プラグフレームに外力が加えられた場合でもフェルールには伝わらなくなる。このように、プラグフレームに対してフェルールが位置決めされた状態とフローティング状態をテーパ面だけで達成しており、光コネクタの部品点数が少なくて済み、また光コネクタの構造も簡単になる。加えて、フェルールの高さまたはプラグフレームの高さや幅が付勢方向に向けて次第に短くなっているので、フェルールをプラグフレームの後方から挿入をしやすくなる。さらにフェルールを付勢方向に前進させると、フェルールとプラグフレームとの隙間が小さくなるため、プラグフレームに対するフェルールの位置決めが容易になる。
…(中略)…
【0017】
[本開示の効果]
本開示の光コネクタによれば、部品点数が少なくて済み、また、構造も簡単になる。」
イ 【0032】~【0046】(本開示の光接続構造の一例)
「【0032】
[本開示の光接続構造の一例]
次に、光接続構造は、図6に示すように、光コネクタ1と、別の光コネクタ1’とを備えており、割りスリーブ(スリーブ)40を用いて光コネクタ1側の光ファイバFと、光コネクタ1’側の光ファイバF’(図示省略とを光学的に接続させる。光ファイバF’も、複数コアを有するマルチコアファイバであり、フェルール10’の中心軸周りの所定の位置に複数コアが配置された状態で、フェルール10’に固定されている。光コネクタ(接続対象物)1’については断面図で示していないが、光コネクタ1と同様に構成され、プラグフレーム20’内に、光ファイバF’を保持したフェルール10’や、フェルール10’を付勢する弾性部材(図示省略)を有する。」
「【図6】
[図:0001432505000003.jpg]
」
「【0033】
割りスリーブ40は、その内径がフェルール10,10’の直径と略同等、あるいは、フェルール10,10’の直径よりも僅かに小さい。また、割りスリーブ40はスリット(図示省略)を有しており、このスリットを広げて内径を大きくすることが可能である。なお、割りスリーブ40をアダプタ(同種または異種のコネクタ同士を接続する部品、例えば、http://www.optigate.jp/products/connector/adapter.html)に内蔵されていてもよい。
【0034】
図6に示したフェルール10を割りスリーブ40の一端から挿入し、フェルール10’を割りスリーブ40の他端から挿入して、フェルール10側の光ファイバFの端面とフェルール10’側の光ファイバF’の端面と割りスリーブ40内で面接触させる(コネクタ接続ともいう)。図7に示すように、割りスリーブ40がフロントハウジング21内に入り、フェルール10が第一位置P1より後方の第二位置P2に移動した場合(すなわち、コイルばね19が第一の長さL1より短い第二の長さL2になった場合)、フランジ14がコイルばね19の付勢力に抗して後方に移動するので、フロントハウジング21のテーパ面(第1テーパ面26aおよび第2テーパ面26b)とフランジ14の上面15および下面16との接触状態が解除される。このとき、フェルール10は、割りスリーブ40とコイルばね19とにより、プラグフレーム20内の第二位置P2に保持される。
【0035】
そして、フランジ14がクリアランス部25の位置に到達すると、フェルール10は、フロントハウジング21に対して位置決めされていない、フローティング状態になり、X軸、Y軸、Z軸のいずれの方向にも移動可能になり、前記光コネクタ1’側の光ファイバF’とともに光軸回りの回転も可能になる。
【0036】
このように、光コネクタ1と光コネクタ1’を連結するまで(フェルール10を前方から後方に移動させるまで)は、フランジ14の上面15および下面16とフロントハウジング21のテーパ面(第1テーパ面26aおよび第2テーパ面26b)が接触状態になるので、フェルール10がフロントハウジング21に対して位置決めされ、回転も防止される。よって、プラグフレーム20をプラグフレーム20’に対向させることにより、光ファイバFが含む複数のコア各々と光ファイバF’が含む複数のコア各々とを正確に対向させることができる。
【0037】
一方、光コネクタ1と光コネクタ1’を連結した後(フェルール10を後方に移動させた後:コネクタ接続時)は、フランジ14の上面15および下面16とフロントハウジング21のテーパ面(第1テーパ面26aおよび第2テーパ面26b)の接触状態が解除され、フェルール10をフロントハウジング21に対してフローティングさせることから、フロントハウジング21やリアハウジング31に外力が加えられた場合でも外力はフェルール10に伝わらず、2本の光ファイバFと光ファイバF’による光接続状態を維持できる。
【0038】
このように、フロントハウジング21に対してフェルール10が位置決めされた状態とフローティング状態をフランジ14の上面15および下面16とフロントハウジング21のテーパ面(第1テーパ面26aおよび第2テーパ面26b)の設置だけで達成しており、光コネクタ1の部品点数が少なくて済み、また光コネクタ1の構造も簡単になる。この結果、構造が簡単で、光接続状態を維持しやすい光接続構造を提供することができる。
…(中略)…
【0040】
また、前記実施形態では、光コネクタをLCコネクタの例で説明したが、本開示は、例えば、SCコネクタやMUコネクタを含む他の形式の光コネクタにも適用できる。
さらに、光ファイバFをマルチコアファイバの例で説明した。
しかし、本開示の光ファイバは、例えば、シングルモードファイバ、偏波保持ファイバ、あるいはバンドルファイバであってもよい。
マルチコアファイバ、偏波保持ファイバ、バンドルファイバは、光学的に接続させる際に、中心軸周りの回転角度の調整が必要な光ファイバである。
…(中略)…
【0042】
[他の実施形態]
上述した実施形態では、断面視略四角形状であるフランジ14を有するフェルール10とテーパ面を有するフロントハウジング21を有するプラグフレーム20とからなる光コネクタ1の例を挙げて説明した。しかし、本開示の光コネクタは、フェルールにテーパ面を有し、プラグフレームのフロントハウジングの内部が平坦面であるものであってもよく、以下、具体的に説明する。
【0043】
[フェルール]
図9A及び図9Bに示すように、例えば、フェルール10のフランジ14の上面15は、平坦面15aと、この平坦面15aよりも付勢方向側の第1テーパ面15bとを有する。フェルール10のフランジ14の下面16についても上面15と同様に、平坦面16aと、この平坦面16aよりも付勢方向側の第2テーパ面16bとを有する。」
「【図9】
[図:0001432505000004.jpg]
[図:0001432505000005.jpg]
」
「【0044】
平坦面15aと平坦面16aは、光ファイバFの光軸を挟んで対向しており、図示のZ軸方向で所定距離を置いて互いに平行である。第1テーパ面15bと第2テーパ面16bとは、光軸を挟んで対向しており、第1テーパ面15bおよび第2テーパ面16bと光軸との距離は付勢方向に向けて減少している。第1テーパ面15bの後端と第2テーパ面16bの後端との間のZ軸方向の距離は、平坦面15aと平坦面16aとの間のZ軸方向の距離より大きくなっている。
【0045】
[プラグフレーム]
また、上述した実施形態では、フロントハウジング21の回動規制部26にテーパ面(第1テーパ面26aおよび第2テーパ面26b)を有する例で説明したが、本実施形態ではフェルール10側にテーパ面を有しているので、フロントハウジング21は、テーパ面に変えて平坦面を有している。具体的には、回動規制部26には、図10Aおよび図10Bに示すように、上面261a、下面261b、左側面26c、右側面26d有している。上面261aと下面261bは、図示のZ軸方向で所定距離を置いて互いに平行であり、左側面25cと右側面25dは、図示のY軸方向で所定距離を置いて互いに平行である。この上面261aと下面261bとの間のZ軸方向の距離は、第1テーパ面26aの前端と第2テーパ面26bの前端との間のZ軸方向の距離より大きく、第1テーパ面26aの後端と第2テーパ面26bの後端との間のZ軸方向の距離より小さくなっている。」
「【10A】
[図:0001432505000006.jpg]
【図10B】
[図:0001432505000007.jpg]
」
「【0046】
このように、第1テーパ面26aと第2テーパ面26bとの間のZ軸方向の距離を後端から前端に向けて次第に小さくしているので、フェルール10をフロントハウジング21の後方からに挿入しやすくなっていると共に、フェルール10をフロントハウジング21に位置決めしやすくなっている。」
3 当審拒絶理由通知書における拒絶の理由の概要
当審拒絶理由通知書における拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由1(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由1(進歩性の欠如) 本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特開平8-220381号公報(主たる引用文献)
4 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
(1) 引用文献1に記載された事項
当審拒絶理由通知書における拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である引用文献1(特開平8-220381号公報)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記(3)の引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。また、図面については、本文の参照箇所に適宜挿入して示した。)。
ア 特許請求の範囲
「【請求項1】 フェルール本体とフェルール本体を固定しているスリーブとで形成されるフェルールを軸芯方向に弾性体で付勢し可動状態で筒状のハウジングに内包した光コネクタにおいて、前記スリーブの外周部とハウジングの内壁面とに、互いに係合してフェルールの周方向の回転を止める回転止め手段を設けたことを特徴とする光コネクタ。
【請求項2】 回転止め手段が、スリーブの外周部とハウジングの内壁面との係合部の少なくとも一方に設けられて、軸心方向にフェルールがスライドして当接した状態で周方向の回転を止めるテーパ部であることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ。」
イ 【0001】~【0026】、【図1】~【図4】、【図27】~【図34】(従来の技術、課題、作用等)
「【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、光通信等の信号伝達手段に使用される光コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光コネクタは、図27乃至図30に示すように、光ファイバー用のフェルール1(以下、単にフェルールと言う)と、該フェルール1を筒本体に内包して保持する合成樹脂製のハウジング2とで構成される。
[図:0001432505000008.jpg]
[図:0001432505000009.jpg]
【0003】そして、前記フェルール1は、図27に示すように、光ファイバを埋設したフェルール本体(例えば、ジルコニアセラミック製)3と、該フェルール本体3の後端部を固定して保持し軸芯方向の移動を規制するフランジ4aを有するスリーブ(例えば、ステンレス製)4とによって形成されている。
【0004】フェルール1のフェルール本体3の先端面は研磨されており、ハウジング2内でフェルール1は、スプリング5が前記フランジ4aの端面に当接していて、フェルール1を常にハウジングの先端側の開口部2aに向けて付勢しており、フェルール1の先端部がハウジング2の前記開口部2aから出没自在に維持されている。
【0005】そして、図31に示すように、光コネクタ接続用のアダプタ6の長手方向の両端開口部から光コネクタA,Bを挿入すると、アダプタ6内に包持された金属製の割スリーブ7内で両フェルール本体3の先端面が当接すると共に、前記スプリング5によって突き合わせ状態が維持されて、光を導光接続する。
[図:0001432505000010.jpg]
【0006】また、光コネクタA,Bは、アダプタ6に対して位置決めしてロックされるように、ハウジング2の外周面に係止孔が設けられ、アダプタ6の係止片6aの爪が弾力をもって前記係止孔に係合するようになされている。
【0007】このようにして導光接続された両フェルール1,1の突き合わせ状態を考察すると、前記フェルール1のフランジ4aにはその外周部分に嵌合凹溝8が、例えば対象位置にして2カ所に設けられている。そして、該嵌合凹溝8に対応して嵌合する突起9がハウジング2の内周壁面に設けられている。
【0008】前記嵌合凹溝8と突起9との嵌合によって、フェルール1の位置決め及び周方向の回転止め作用が発揮されるものである。
【0009】そして、図28乃至図30に示すように、前記嵌合凹溝8の幅寸法がWで、溝深さがDであり、突起9の幅寸法がW1で、突出量がD1であり、フランジ4aの外径寸法がLで、該フランジ4aに対応した位置のハウジング2の内径寸法がL1である。
【0010】ここにおいて、前記各寸法は、W>W1、D>D1、L1>Lの関係となっており、また、フェルール本体3の外径と、ハウジング2における前記フェルール本体が貫通している孔の孔径とにおいても隙間が設けられており、フェルール1のフランジ4aの端面とフェルール1の後退を位置規制するストッパー10の先端面との間隙αにおいて、当該フェルール1がスプリング5の押圧力で自由に軸方向に移動できる構造となっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、フェルール1はハウジング2に堅固に固定されているのではなく、軸心方向に垂直面内の周方向に、そして、軸心方向で移動できる空間内において、自由に可動するフロート状態となっている。
【0012】よって、アダプタ6で光コネクタA,Bを接続させると、ハウジング2に外力が加わっても、フェルール1がフロート状態となっていてこれに無理な力が掛かることなく保護されているのであるが、光ファイバー同士の接続状態は光コネクタA,Bをアダプタ6に抜き差しして着脱する毎に、フェルール本体3の周方向の回転位置が変わる可能性があるので、光信号の接続損失が変動すると言う問題がある。
【0013】即ち、フェルール1におけるフランジ4aの嵌合溝8と、ハウジング2の突起9とのクリアランス(W-W1)により、図32(イ),(ロ)に示すように、フェルール1は周方向に2θ動きうる。
[図:0001432505000011.jpg]
【0014】また、図33に示すように、フェルール本体3の外周に対して、フェルール孔3aが完全に中心位置にするのは部品加工精度上で困難を伴って偏心することが免れず、フェルール孔3aの孔径dとクラッド10の直径d1との間にもクリアランスがある。
【0015】更に、光ファイバにおいても、前記クラッド10に対して導光部分となるコア11が完全に中心位置にあるものでもない。
【0016】よって、前記コア11は、前記フェルール本体3の外周に対する中心位置に対してある程度ずれており、更に該コア11は、フェルール本体3と共に周方向に回転してハウジング2に対して2θ動くことになり、光信号の接続損失が生じるのである。
【0017】また、図34に示すように、フェルール本体3の先端部の当接端面を、斜めに研磨した場合において、フェルール1のフランジ4aの嵌合溝8の位置と、前記斜めに研磨した当接端面との位置関係が設計上で合わせてあっても、相手方のフェルールとある角度差をもって接続された場合に、斜めの両当接端面12,13の間に隙間が生じて、接続安定性を失することがある。
[図:0001432505000012.jpg]
【0018】従って、光コネクタA,Bをアダプタ6で接続して、安定した接続状態を得るためには、フェルール1,1が周方向に回転することなく、かつ、ハウジング2からフロート状態で接続していることが必要である。
【0019】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、光コネクタをアダプタ等を介して接続させた場合に、安定した接続状態となって接続損失が少なく接続させる毎に接続損失が変化しないようにした光コネクタの提供を目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題を解決し上記目的を達成するための要旨は、フェルール本体とフェルール本体を固定しているスリーブとで形成されるフェルールを軸芯方向に弾性体で付勢し可動状態で筒状のハウジングに内包した光コネクタにおいて、前記スリーブの外周部とハウジングの内壁面とに、互いに係合してフェルールの周方向の回転を止める回転止め手段を設けたことである。
【0021】そして、前記回転止め手段が、スリーブの外周部とハウジングの内壁面との係合部の少なくとも一方に設けられて、軸心方向にフェルールがスライドして当接した状態で周方向の回転を止めるテーパ部となっていることである。
【0022】
【作用】本発明に係る光コネクタによれば、図1乃至図4を参照して説明すると、フェルール1aのスリーブ4が弾性体で付勢されて、ハウジング2の軸芯方向に移動せしめられ、該スリーブ4のフランジ4aの先端面4cがハウジング2の内周壁面に設けられているフランジ当たり面2aに当接しようとする。その時に、ハウジング2の突起9に、周方向で前記フランジ当たり面2aに向けて設けたテーパ部9a,9aと、フェルール1aの嵌合溝8を形成する壁面の先端面4c側に設けたテーパ部4b,4bとが当接する。
[図:0001432505000013.jpg]
【0023】前記テーパ部9a,4bとが当接するタイミングは、前記フランジ4aの先端面4cがハウジング側のフランジ当たり面2aに当接するタイミングと同じか若しくは当接する前である。設計的には、両タイミングを同時とすることが困難なので、先にテーパ部9a,4bが当接するようになされるものである。
【0024】よって、弾性体の付勢力でテーパ部9a,4bが当接されるので、ハウジング2に対してフェルール1aの周方向の回転が阻止されるのである。
【0025】このように、周方向の回転が阻止されハウジング2に対して一定の回転角度で位置固定された光コネクタが、アダプタに軸芯方向の両側開口部から挿入接続されるので、両フェルール本体3,3の当接状態において相手方と一定の角度差で維持されることになる。
【0026】従って、接続損失が一定となり、フェルール1aをアダプタに抜き差しする毎に前記接続損失が変動すると言う従来の光コネクタの障害が解消されるのである。」
ウ 【0027】~【0047】、【図1】~【図4】、【図5】~【図10】(第1実施例)
「【0027】
【実施例】次に、本発明に係る実施例について図面を参照して詳細に説明する。なお、従来例に対応する部分には同一符号を付けて説明する。
【0028】本発明の第1実施例に係る光コネクタは、図1乃至図4に示すように、ハウジング2の内周壁面の周方向で対称位置に、係合部としての突起9が2カ所に設けられ、その突起9の一端側から当該内周壁面に突設されたフランジ当たり面2aに向けて周方向にテーパ部9a,9aが延設されている。
[図:0001432505000014.jpg]
【0029】そして、フェルール1aにおいては、従来例で示した構造のフェルール1に対して、係合部としての嵌合溝8の、前記フランジ当たり面2aに当接する側の先端面4cに至るコーナ部に、テーパ部4b,4bを設けたものである。
【0030】前記嵌合溝8の幅は、前記突起9に遊嵌されるように該突起9の幅よりも大きく、前記フランジ当たり面2aとフランジ4aの先端面4cが当接するよりもわずかに先行してテーパ部9aとテーパ部4bとが当接する。
【0031】前記テーパ部9a,4bの当接のタイミングは、理想的には、フランジ4aの先端面4cがフランジ当たり面2aと当接するタイミングと同時になることである。
【0032】よって、前記フェルール1aをフランジ2に内包せしめてスプリング等の弾性体5で軸芯方向に付勢させるように組み立てると、フェルール1aにおけるフランジ4aの嵌合溝8が軸芯方向に向かって移動して前記突起9に遊嵌され、前記フランジ4aのテーパ部4bと突起9のテーパ部9aとが当接する。
【0033】これにより、ハウジング2の内周壁面に設けた突起9,9の各テーパ部9aにより、フランジ4aの周方向の回転が阻止され、同時にスリーブ4に固定されているフェルール本体3において、その周方向の回転が完全に阻止されるものである。
【0034】こうして、第1実施例に係る光コネクタC,Dを、図5乃至図7に示すように、アダプタ6を介して接続させるには、図5に示すように、まず、光コネクタCを図面の左側からアダプタ6の開口部へ挿入する。
【0035】光コネクタCのフェルール本体3は、割スリーブ7を若干拡開させ挿入による摩擦抵抗に抗しながら弾性体5で付勢されて軸芯方向に挿入される。そして、挿入後も該光コネクタCのテーパ部9a,4bが当接状態に維持されている。
【0036】よって、フェルール本体3は、挿入時も挿入後もハウジング2若しくはアダプタ6に対して、周方向のある回転角度で一定に維持されているものである。
【図5】
[図:0001432505000015.jpg]
【0037】次に、図5乃至図6に示すように、図面の右側からアダプタ6の開口部へ光コネクタDを挿入する。
【0038】光コネクタDのフェルール本体3は、弾性体5で付勢されてテーパ部9a,4bが当接していて、周方向の回転が阻止されて周方向のある回転角度で一定に維持された状態で、割スリーブ3に挿入される。
【0039】そして、図6に示すように、光コネクタDのフェルール本体3の先端面が、先にアダプタ6に挿入された光コネクタCのフェルール本体3の先端面に当接する。
【図6】
[図:0001432505000016.jpg]
【0040】更に、光コネクタDをアダプタ6にロックされるまで軸芯方向に押し込むと、図7に示すように、光コネクタD側のフェルール1aが光コネクタC側のフェルール1aを軸芯方向に押し込み、両光コネクタC,Dの弾性体5の付勢力が釣り合った状態で、両フェルール1a,1aがフロート状態で保持される。
【0041】このフロート状態になると、両光コネクタC,Dのフェルール1a,1aが各々押し戻されることになり、各フランジ4aのテーパ部4bがハウジング2のテーパ部9aから離間される。
【0042】よって、ハウジング2の突起9とフェルール1aの嵌合溝8とが一部分で遊嵌状態となり、周方向ではクリアランスがあるので、フランジ4aが周方向に回転することができる状態になる。
【0043】しかし、フェルール本体3が、既に割スリーブ7に挿入された状態であり、該割スリーブ7の周方向の弾性力で生じる摩擦力によって、割スリーブ7に対してフェルール本体3が周方向に回転することがない。
【0044】よって、両光コネクタC,Dのフェルール本体3,3の当接状態は、常にある一定の周方向の回転角度にて突き合わされた状態となり、かつ、従来の光コネクタの場合と同様にフロートしている状態となっているのである。
【図7】
[図:0001432505000017.jpg]
【0045】なお、前記アダプタ6とハウジング2とにおいて、ハウジング2がアダプタ6に対して周方向に回転しうる回転角度が、突起9と嵌合溝8との周方向の回転角度よりも小さくなるように、クリアランスを設定することが必要である。
【0046】このようにして、光コネクタC,Dのハウジング2に外力が加わっても、フェルール1aは周方向の回転に対してフロート状態になっているので、前記外力の影響を受けずに、接続損失が変動しないものである。また、アダプタ6に光コネクタC,Dを繰り返し着脱しても接続損失が変動しないものである。
【0047】本発明の第1実施例に係る光コネクタによれば、当接するフェルールの周方向の回転角度が、テーパ部によってある位置で一定に保持されるので、フェルール1aの先端面の研磨形状が、図8乃至図10に示すように、球面状であったり、斜め面であったり、球面の中心がフェルールの軸芯上にない球面であっても、光コネクタをアダプタに挿入する前は、フェルールが周方向に回転しないので、フェルールの球面や斜め面同士が隙間無く接続され、その突き合わせ状態が変動せず接続損失がないものである。
【図8】
[図:0001432505000018.jpg]
【図9】
[図:0001432505000019.jpg]
【図10】
[図:0001432505000020.jpg]
」
エ 【0053】~【0061】、【図19】~【図22】(第4実施例ほか)
「【0053】次に、本発明の第4実施例は、図19乃至図22に示すように、フェルール1dにおけるスリーブ4のフランジ4dと、ハウジング2の内周壁面とが矩形状の場合に、それぞれにテーパ部17,4eを設けた実施例である。
[図:0001432505000021.jpg]
…(中略)…
【0061】更に他の実施例として、図示していないが、テーパ部をハウジング2とフェルール1の両方に設けることなく、いずれか一方にテーパ部を設け、他方にはそのテーパ部に当接するコーナー部(角部若しくは半径R部)を設けるようにして本発明を構成しても良い。このようにしても、フェルール1の周方向の回転を阻止することには変わりがないからである。」
オ 【0062】(発明の効果)
「【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る光コネクタは、フェルール本体とフェルール本体を固定しているスリーブとで形成されるフェルールを軸芯方向に弾性体で付勢し可動状態で筒状のハウジングに内包した光コネクタにおいて、前記スリーブの外周部とハウジングの内壁面とに、互いに係合してフェルールの周方向の回転を止める回転止め手段を設けたことであり、また、前記回転止め手段が、スリーブの外周部とハウジングの内壁面との係合部の少なくとも一方に設けられて、軸心方向にフェルールがスライドして当接した状態で周方向の回転を止めるテーパ部であることとしたので、光コネクタのフェルールがハウジングに対してある一定の回転角度で位置固定されることになって、アダプタを介して接続させたときに、常に周方向に両フェルール本体がある一定の回転角度で回転した状態で、かつ、フロート状態で突き合わされることになり、接続作用若しくはハウジングに加わる外力によっても接続損失が変動せず、また、アダプタに光コネクタを繰り返して抜き差ししても接続損失が変動しないと言う優れた効果を奏する。」
(2) 引用文献1の記載から当業者が把握できる事項
ア 認定事項1
第4光コネクタのフェルール1dについて、後掲する【図21】及び【図22】から、当業者は次のこと(以下「認定事項1」)を見て取れる。
<認定事項1>
「フェルール1dは、そのスリーブ4のフランジ4dは、複数区画に分割されて構成された側面を有しており、その複数区画は、4つの第1区画と4つの第2区画からなっており、第1区画は、矩形状かつフェルール1dの軸芯方向に沿って平坦な平坦部とその平坦部に軸芯方向で接続されたテーパ部4eとの組合せからなるものであり、第2区画は、六角形状かつフェルール1dの軸芯方向に沿って平坦な平坦部からなるものであって、前記側面は、第1区間と第2区画とが交互に配置されて構成されていること。」
[図:0001432505000022.jpg]
イ 認定事項2
第4光コネクタのフェルール1dについて、前掲の【図21】及び【図22】から、当業者は次のこと(以下「認定事項2」という。)を見て取れる。
<認定事項2>
「第1区画におけるテーパ部4eは、フェルール本体3の先端方向に向かうにつれてフェルール1dの軸芯との距離が減少するものであること。」
ウ 認定事項3
引用文献1の【0003】の従来技術の記載において「光ファイバを埋設したフェルール本体」と記載されているように、光コネクタ用のフェルールがその内部に光ファイバが挿入保持される光ファイバ挿入孔を有することは技術常識であるから、当業者であれば、次のこと(以下「認定事項3」という。)を認識できる。
<認定事項3>
「第4光コネクタのフェルール1dはその内部に光ファイバが挿入保持される光ファイバ挿入孔を有すること。」
エ 認定事項4
第4光コネクタのハウジング2について、後掲する【図19】及び【図20】から、当業者は次のこと(以下「認定事項4」という。)を見て取れる。
<認定事項4>
「ハウジング2は、断面略正方形の筒状であり、テーパ部17及びフランジ当たり面2aが、ハウジング2の長手方向で中央からややずれたところに、上記断面におおむね沿って、ハウジング2の内周壁面から順に設けられており、フランジ当たり面2aは、ハウジング2の長手方向からみて、外周がおおむね正方形状であって円形の開口が設けられた形状をしており、テーパ部17は、フランジ当たり面2aのおおむね正方形状の外周を構成する4つの辺に沿って分割された4つのテーパ面から構成されており、テーパ面は、フランジ当たり面2aからハウジング2の長手方向に直交する方向に離れるにつれてハウジング2における、上記断面での中心を通る長手方向に沿った軸との距離が増加するものであること。」
[図:0001432505000023.jpg]
オ 認定事項5
引用文献1の後掲する【図6】の記載を踏まえると、次のこと(以下「認定事項5」という。)を当業者は理解できる。
<認定事項5>
引用文献1の【0037】の「図面の右側から」との記載は、「光コネクタCを挿入した方向とは反対の方向から」という意味であること。」
【図6】(再掲)
[図:0001432505000024.jpg]
(3) 引用発明の認定
引用文献1における第4実施例の説明は、【0053】の「フェルール1dにおけるスリーブ4のフランジ4dと、ハウジング2の内周壁面とが矩形状の場合に、それぞれにテーパ部17,4eを設けた実施例である。」の記載と、【図19】~【図22】の記載(【図19】及び【図20】が「ハウジング2」に係るものであり、【図21】及び【図22】が「フェルール4」に係るものである。)のみしかなく、これらの記載に基づいては、光コネクタの具体的内容を理解できないことから、当業者であれば、第4光コネクタを理解するに当たっては、当然に、それより前に記載された第1実施例に係る光コネクタの説明をも踏まえて理解するといえる。
そうすると、前記(2)において認定した事項及び前記(1)に摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、前記第4光コネクタに係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。
<引用発明>
「フェルール本体3とフェルール本体3を固定しているスリーブ4とで形成されるフェルール1dを軸芯方向に弾性体5で付勢し可動状態で筒状のハウジング2に内包した光コネクタにおいて、前記スリーブの外周部とハウジング2の内壁面とに、互いに係合してフェルール1dの周方向の回転を止める回転止め手段を設けた光コネクタであって、(【請求項1】・【0053】)
回転止め手段が、スリーブ4の外周部とハウジング2の内壁面との係合部の少なくとも一方に設けられて、軸心方向にフェルール1dがスライドして当接した状態で周方向の回転を止めるテーパ部17,4eであり、(【請求項2】・【0053】)
テーパ部17は、ハウジング2の内周壁面に設けられるものであり、テーパ部4eは、フェルール1dにおけるスリーブ4のフランジ4dに設けられるものであり、(【0053】)
光コネクタC、Dをアダプタ6を介して接続させるには、まず、光コネクタCをアダプタ6の開口部へ挿入し、光コネクタCのフェルール本体3は、割スリーブ7を若干拡開させ挿入による摩擦抵抗に抗しながら弾性体5で付勢されて軸芯方向に挿入され、挿入後も該光コネクタCのテーパ部17、4eが当接状態に維持され、よって、フェルール本体3は、挿入時も挿入後もハウジング2若しくはアダプタ6に対して、周方向のある回転角度で一定に維持され、(【0034】~【0036】)
次に、アダプタ6の光コネクタCを挿入した方向とは反対の方向からアダプタ6の開口部へ光コネクタDを挿入し、光コネクタDのフェルール本体3は、弾性体5で付勢されてテーパ部17,4eが当接していて、周方向の回転が阻止されて周方向のある回転角度で一定に維持された状態で、割スリーブ3に挿入され、光コネクタDのフェルール本体3の先端面が、先にアダプタ6に挿入された光コネクタCのフェルール本体3の先端面に当接し、(【0037】~【0039】、認定事項6)
更に、光コネクタDをアダプタ6にロックされるまで軸芯方向に押し込むと、光コネクタD側のフェルール1dが光コネクタC側のフェルール1dを軸芯方向に押し込み、両光コネクタC,Dの弾性体5の付勢力が釣り合った状態で、両フェルール1d,1dがフロート状態で保持され、このフロート状態になると、両光コネクタC,Dのフェルール1d,1dが各々押し戻されることになり、各フランジ4dのテーパ部4eがハウジング2のテーパ部17から離間され、よって、フランジ4dが周方向に回転することができる状態になり、しかし、フェルール本体3が、既に割スリーブ7に挿入された状態であり、該割スリーブ7の周方向の弾性力で生じる摩擦力によって、割スリーブ7に対してフェルール本体3が周方向に回転することがなく、よって、両光コネクタC,Dのフェルール本体3,3の当接状態は、常にある一定の周方向の回転角度にて突き合わされた状態となり、フロートしている状態となっており、(【0040】~【0044】)
このようにして、光コネクタC,Dのハウジング2に外力が加わっても、フェルール1dは周方向の回転に対してフロート状態になっているので、前記外力の影響を受けずに、接続損失が変動しないものであり、(【0046】)
フェルール1dはその内部に光ファイバが挿入保持される光ファイバ挿入孔を有し、(認定事項4)
フェルール1dのスリーブ4のフランジ4dは、複数区画に分割されて構成された側面を有しており、その複数区画は、4つの第1区画と4つの第2区画からなっており、第1区画は、矩形状かつフェルール1dの軸芯方向に沿って平坦な平坦部とその平坦部に軸芯方向で接続されたテーパ部4eとの組合せからなるものであり、第2区画は、六角形状かつフェルール1dの軸芯方向に沿って平坦な平坦部からなるものであって、前記側面は、第1区間と第2区画とが交互に配置されて構成されており、(認定事項2)
第1区画におけるテーパ部4eは、フェルール本体3の先端方向に向かうにつれてフェルール1dの軸芯との距離が減少するものであり、(認定事項3)
ハウジング2は、断面略正方形の筒状であり、テーパ部17及びフランジ当たり面2aが、ハウジング2の長手方向で中央からややずれたところに、上記断面におおむね沿って、ハウジング2の内周壁面から順に設けられており、フランジ当たり面2aは、ハウジング2の長手方向からみて、外周がおおむね正方形状であって円形の開口が設けられた形状をしており、テーパ部17は、フランジ当たり面2aのおおむね正方形状の外周を構成する4つの辺に沿って分割された4つのテーパ面から構成されており、テーパ面は、フランジ当たり面2aからハウジング2の長手方向に直交する方向に離れるにつれてハウジング2における、上記断面での中心を通る長手方向に沿った軸との距離が増加するものである、(認定事項5)
光コネクタ。」
<参考図>
[図:0001432505000025.jpg]
[図:0001432505000026.jpg]
5 引用文献2~7の記載事項及び技術常識等の認定
(1) 引用文献2、3に記載された事項と周知技術Aの認定
ア 引用文献2に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2015-187697号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下、引用文献2~7について同様である。
「【0001】
本発明は、光ファイバどうしを光接続させる光コネクタプラグに関する。」
「【0022】
一例として示す光コネクタプラグ10Aの分解斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる光コネクタプラグの詳細を説明すると、以下のとおりである。…(中略)…
【図1】
[図:0001432505000027.jpg]
【0023】
光コネクタプラグ10Aは、LC形光コネクタ(JIS C 5964-20、または、IEC 61754-20)の寸法規格を満たすものであり、光ファイバどうしの光接続に使用される。光コネクタプラグ10Aは、フェルール11およびプラグフレーム12Aと、ストップリング13およびばね14(コイルスプリング)と、ブーツ59とから形成されている。フェルール11は、その軸方向へ延びるキャピラリ15と、キャピラリ15の軸方向後方に位置するスリーブ16と、スリーブ16の軸方向後方(キャピラリ15の軸方向後方)に位置するフランジ17とを有する。
【0024】
キャピラリ15は、軸方向へ長い略円柱状に成形されている。キャピラリ15(フェルール11)の内部には軸方向へ延びる光ファイバ挿入孔18が穿孔され、その光ファイバ挿入孔18に少なくとも1本の光ファイバ19が挿入保持されている。キャピラリ15は、その軸方向先端に光ファイバ19が露出する先端面20を有するとともに、先端面20の端面外径域に面取り部21を有する。なお、面取り形状には、角面や丸面等の形状があるが、いずれの形状であってもよい。先端面20は、縦方向へ垂直に延びている。面取り部21は、先端面20から軸方向後方に向かうにつれて径方向外方へ次第に傾斜している。
…(中略)…
【0031】
プラグフレーム12Aは、その軸方向後方に位置してフェルール11を挿入する挿入口35と、挿入口35から軸方向前方に延びる第1収容スペース36と、第1収容スペース36から軸方向前方に延びる第2収容スペース37と、第2収容スペース37の軸方向前方に位置する円形の開口38とを有する。挿入口35は、頂底壁30,31および両側壁32の後端39(プラグフレーム12Aの後端39)に囲繞されて略四角形(多角形)に成形され、上方の両角部40が面取された面取り形状を有する。なお、面取り形状には、角面や丸面等の形状があるが、いずれの形状であってもよい。
【図8】
[図:0001432505000028.jpg]
【0032】
第1収容スペース36は、頂底壁30,31および両側壁32に囲繞されて軸方向へ延びている。第1収容スペース36は、その軸方向の断面形状が挿入口35の断面形状と略同形同大の略四角形(多角形)に成形され、上方の両角部40が面取された面取り形状を有する。挿入口35と第1収容スペース36とは、その大きさがフランジ17の軸方向の平面形状の大きさよりもわずかに大きく、フランジ17を含むフェルール11が挿入口35から第1収容スペース36に進入可能かつフランジ17を含むフェルール11が第1収容スペース36において軸方向へ移動可能である。第1収容スペース36には、フェルール11のフランジ17およびばね14が収容される。
…(中略)…
【0037】
第2収容スペース37の係合空間41はその大きさがスリーブ16の軸方向の断面形状の大きさよりもわずかに大きい。第2収容スペース37の係合空間41には、フェルール11のスリーブ16が挿入保持される。第2収容スペース37の挿入空間42にはフェルール11のキャピラリ15が位置し、キャピラリ15の先端面20が挿入空間42から第2収容スペース37の前方へ露出している。第2収容スペース37の係合空間41の軸方向の断面形状や挿入空間42の軸方向の断面形状は円筒状に限定されず、軸方向へ長い角筒状であってもよい。」
イ 引用文献3に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である、Tetsu Morishima et.al, "Ultra-High-Density MCF Connector Technology", 2018 Optical Fiber Communications Conference and Exposition (OFC), March 2018(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある(括弧内に当合議体が作成した日本語訳を示す。)。
「1. Introduction
…(中略)…, In order to address these future requirements for the high channel count optical connectivity, multi-core fibers (MCFs) can play an important role, since it offers a large scalability of the channel count. However, since the MCF has outer cores located in non-center part of the cladding, there are two major challenges for realizing MCF optical connectors, which are 1) rotational fiber alignment for low insertion loss (IL) and 2) suppression of mating force for physical-contact (PC) for achieving low reflection.…(後略)…」
(1.イントロダクション
…(中略)…これらの高チャネル数光接続に関する将来の要件に対応するために、マルチコアファイバ(MCF)は重要な役割を果たすことができる。なぜなら、MCFはチャネル数の大きなスケーラビリティを提供するからである。しかし、MCFはクラッドの中心部以外に外側コアが配置されているため、MCF光コネクタを実現するには二つの主要な課題がある。それは、1)低挿入損失(IL)のためのファイバの回転アライメントと2)低反射を達成するための物理接触(PC)における嵌合力の抑制である。…(後略)…)
「2. Single MCF Connector
To realize an IL less than 0.5 dB in a single-MCF connector, the rotational misalignment less than ±1 degree and ferrule floating structure have to be simultaneously realized. Table 1 shows our design approaches for suppressing rotational misalignment for SC and MU/LC type single connectors. The conventional SC connector have clearance between flange and plug frame and this results in ±3 degree rotational misalignment at most. We optimized the clearance while keeping ferrule floating structure, thus rotational misalignment become less than ±0.5 degrees. On the other hand, the conventional MU/LC connector dimensions have a larger misalignment of ±10 degree at most, because MU/LC’s flange outer diameter is about two-third of SC’s, and the clearance causes larger rotational misalignment. Suppressing the misalignment by clearance optimization cannot achieve ferrule floating structure, therefore we employed an Oldham coupling mechanism to MU/LC connectors …(中略)…, as shown in Fig. 1. The Oldham structure enables the vertical and horizontal floating movement of ferrules with less than ±0.5 degree misalignment.」
(2.単一MCFコネクタ
単一MCFコネクタにおいて挿入損失(IL)を0.5 dB未満に実現するためには、±1度未満の回転ずれとフェルールのフローティング構造を同時に実現する必要がある。Table 1は、SC及びMU/LCタイプの単一コネクタにおける回転ずれを抑制するための我々の設計アプローチを示している。従来のSCコネクタはフランジとプラグフレームの間にクリアランスがあり、その結果、最大で±3度の回転ずれが生じる。我々はフェルールのフローティング構造を維持しつつクリアランスを最適化し、回転ずれを±0.5度未満にした。一方、従来のMU/LCコネクタの寸法では、最大で±10度のより大きなずれが生じる。これはMU/LCのフランジ外径がSCの約3分の2であり、クリアランスがより大きな回転ずれを引き起こすためである。クリアランスの最適化によるずれの抑制ではフェルールのフローティング構造を実現できないため、我々はMU/LCコネクタにオルダムカップリング機構を採用した…(中略)…。Fig.1に示すように、オルダム構造はフェルールの垂直及び水平方向のフローティング動作を可能にし、回転ずれを±0.5度未満に抑える。)
「Table 1
[図:0001432505000029.jpg]
Fig.1
[図:0001432505000030.jpg]
」
「The PC is achieved by the deformation of fiber end faces caused by compressive force. Hence, the shape of the connector end face is important. If an MCF connector end face is polished in spherical shape as well as the conventional single-core fiber connectors, the glass deformation required to achieve the PC of outer cores becomes very large, and very high mating force would be necessary. To reduce the mating force to the IEC standard-7.8 to 12.8 N (SC type) or 5 to 6 N (MU/LC type), we numerically investigated the PC conditions for the 150-μm-cladding 7-core fiber with 45-μm core pitch …(中略)… using a finite element method (FEM). In this calculation, we modeled the ferrule end shape with the following parameters: fiber withdrawal U, mating force F, curvature radius R, apex offset of MCF end faces d, as shown in Fig. 2. We assumed that the parameters basically take the typical values in the standard SMF connectors, and investigated the requirements on R and d.…(後略)…」
(PCは圧縮力によって引き起こされるファイバ端面の変形によって達成される。したがって、コネクタ端面の形状は重要である。もしMCFコネクタ端面が従来の単芯ファイバコネクタと同様に球面形状に研磨される場合、外側コアのPCを達成するために必要なガラスの変形は非常に大きくなり、非常に高い嵌合力が必要となる。嵌合力をIEC規格である7.8~12.8 N(SCタイプ)または5~6 N(MU/LCタイプ)に低減するために、我々は有限要素法(FEM)を用いて、クラッド径150 μm、コアピッチ45 μmの7コアファイバ…(中略)…に対するPC条件を数値的に調査した。計算において、フェルール端面形状を以下のパラメータでモデル化した:Fig.2 に示すような、ファイバ引き込み量U、嵌合力F、曲率半径R、MCF端面の頂点オフセットdである。パラメータは基本的に標準SMFコネクタにおける典型値を取ると仮定し、R及びdに関する要件を調査した。…(後略)…)
ウ 周知技術Aの認定
前記アで摘記した引用文献2の【0022】~【0023】、【0031】~【0032】、【図1】のプラグフレーム12Aについての記載及び前記イで摘記した引用文献3のLCコネクタの記載に例示されるように、以下の技術事項は周知技術(以下「周知技術A」という。)であると認められる。
<周知技術A>
「光コネクタにおいて、フェルールをプラグフレームに収容すること。」
(2) 引用文献3~5に記載された事項と周知技術Bの認定
ア 引用文献3に記載された事項
前記(1)イで摘記した引用文献3の「1.Introduction」のMCFに関する記載を参照。
イ 引用文献4に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2014-106296号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。
「【0041】
本実施形態のようにマルチコアファイバ同士を接続する場合は、接続損失を抑えるためには複数のコア同士をずれなく突き合わせる必要がある。そのためには2本の光ファイバの中心軸同士を一致させるのと同時に、中心軸周りの回転角も一致させる必要がある。
【0042】
本実施形態の光コネクタでは、フェルールの中心軸と光ファイバの中心軸が一致しているので、スリーブに光コネクタを差し込んで先端面を突き合わせるだけで2つの光ファイバの中心軸を一致させることができる。さらに光コネクタにおいて、たとえばコア24の正六角形配置の一つの頂点と光ファイバ中心とを結ぶ線とフェルール外面との交点部分にマークを記しておけば、2つの光コネクタをスリーブに入れるときにそのマーク同士が一致するようにするだけで、回転角も一致させることができる。このように本実施形態では、2本のマルチコアファイバの接続を、すべてのコアにおいて接続損失を小さく抑えつつ簡単に行うことができる。」
ウ 引用文献5に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2014-48645号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。
「【0022】
なお、回転調芯に際しては、マルチコア光ファイバの調芯する端面は、フェルールに挿入して固定しておくと、ガラスファイバ単体での回転に比して、対応しやすくなる。フェルールには、特定コアの位置に相当する部分にマーキングを施しておくと、大まかな回転位置合わせの際に便利である。
【0023】
このように、本実施形態のマルチコア光ファイバは、ファイバ端面のマーカー等を用いなくても、コアの対照・調芯を容易に行うことができる。ファイバ敷設の現地においてマルチコア光ファイバを回転させながら受光パワーをモニタすることで対照・調芯を容易に行うことができる。」
エ 周知技術Bの認定
前記ア~ウで摘記した引用文献3~5の記載に例示されるように、次の技術事項は周知の技術(以下「周知技術B」という。)であると認められる。
<周知技術B>
「ファイバ同士の中心軸周りの回転角度を一致させるために、それが接続されるフェルールにマーキングを施すこと。」
(3) 引用文献6に記載された事項と技術常識Cの認定
ア 引用文献6に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2012-203326号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の記載がある。
「【0039】
光電気変換モジュール用部品30を回路基板51に実装してなる光電気変換モジュール31には、図8に示すように、フェルール12の後端23a側に、光ファイバテープ心線48の複数本の光ファイバ心線49が接続された光コネクタ50が接続される。この光コネクタ50は、ポリエステル樹脂、PPS樹脂及びエポキシ樹脂の何れかを含む材料で形成されたコネクタフェルール44を有している。
【0040】
光ファイバ心線49は、コア及びクラッドを有するガラスファイバ(光ファイバ)45を樹脂によって被覆したものであり、光ファイバ心線49の端部で被覆から露出されたガラスファイバ45がコネクタフェルール44に保持されている。そして、コネクタフェルール44におけるフェルール12との対向面である光入出面44aで、それぞれのガラスファイバ45の端面が露出されている。」
【図8】
[図:0001432505000031.jpg]
」
イ 技術常識Cの認定
前記アで摘記した引用文献6の記載に例示されるように、次の技術事項は技術常識(以下「技術常識C」という。)であると認められる。
<技術常識C>
「ガラスファイバを樹脂によって被覆した光ファイバ心線について、その端部で被覆から露出されたガラスファイバをコネクタフェルールに保持すること。」
6 本願発明と引用発明の対比
(1) 対比分析
本願発明と引用発明を対比する。
ア 構成Xの観点(光コネクタ)
「光コネクタ」の発明である本願発明と「光コネクタ」の発明である引用発明は、「光コネクタ」の発明である点において一致する。
イ 構成Aの観点(フェルール)
(ア) 構成Aは、次の構成を備えたことを特定するものである。
「外側にフランジが設けられて、内側に貫通穴を有し、前記貫通穴内にガラスファイバと、前記ガラスファイバを覆う樹脂被覆とを含む光ファイバの一端部において前記樹脂被覆から露出した前記ガラスファイバを保持可能なフェルール」
(イ) 引用発明における「フェルール1d」は、本願発明における「フェルール」に相当する。
(ウ) 引用発明における「フランジ4d」は、本願発明における「フランジ」に相当する。また、引用発明における「フランジ4d」は、フェルール本体3を固定する部材であるから、本願発明でいう、「フェルール」の「外側に」「設けられる」といえる。
(エ) 引用発明における「光ファイバ挿入孔」は、本願発明における「貫通孔」に相当する。また、引用発明における「光ファイバ挿入孔」は、フェルール1dがその内部に有するものであるから、本願発明でいう、「フェルール」の「内側に」「有[する]」ものであるといえる。
また、引用発明における「光ファイバ挿入孔」は、光ファイバが挿入保持されるものであるから、本願発明における「フェルール」と引用発明における「フェルール1d」は、「前記貫通穴内に」ファイバ「を保持可能」である点で共通する。しかし、貫通穴内に保持可能な「ファイバ」が、本願発明では「ガラスファイバと、前記ガラスファイバを覆う樹脂被覆とを含む光ファイバの一端部において前記樹脂被覆から露出した前記ガラスファイバ」に限定されているのに対して、引用発明においてはこのような限定がない点で相違する。
(オ) 以上の検討結果を踏まえると、本願発明と引用発明の構成Aの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。
a 構成Aの観点における一致点
「外側にフランジが設けられて、内側に貫通穴を有し、前記貫通穴内に」「ファイバを保持可能なフェルール」を備えた点。
b 構成Aの観点における相違点
フェルールの貫通穴内に保持可能な「ファイバ」が、
本願発明においては「ガラスファイバと、前記ガラスファイバを覆う樹脂被覆とを含む光ファイバの一端部において前記樹脂被覆から露出した前記ガラスファイバ」に限定されているのに対して、
引用発明においてはこのような限定がない点。
ウ 構成Bの観点(プラグフレーム)
(ア) 構成Bは、次の構成を備えたことを特定するものである。
「前記フェルールを収容するように構成されたプラグフレーム」
(イ) 本願発明の「プラグフレーム」と引用発明の「ハウジング2」は、フェルールを収容するように構成されたフェルール収容部材である点において共通する。
その一方、フェルールを収容するように構成されたフェルール収容部材が、本願発明では「プラグフレーム」であるのに対して、引用発明では「筒状のハウジング2」である点において相違する。
(ウ) そうすると、本願発明と引用発明の構成Bの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。
a 構成Bの観点における一致点
フェルールを収容するように構成されたフェルール収容部材を備えた点。
b 構成Bの観点における相違点
フェルールを収容するように構成されたフェルール収容部材が、
本願発明においては「プラグフレーム」であるのに対して、
引用発明においては「筒状のハウジング2」である点。
エ 構成Cの観点(弾性部材)
(ア) 構成Cは、次の構成を備えたことを特定するものである。
「光コネクタ」が「前記フェルールを前記フェルールの中心軸方向に沿って付勢する弾性部材」
(イ) 引用発明における「弾性体5」は、本願発明における「弾性部材」に相当する。そして、引用発明における「弾性体5」は、フェルール1dを軸芯方向に付勢するものであるから、本願発明でいう「前記フェルールを前記フェルールの中心軸方向に沿って付勢する」ものといえる。
(ウ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Cの点である次の点において一致する。
「前記フェルールを前記フェルールの中心軸方向に沿って付勢する弾性部材」を備えた点。
オ 構成Dの観点(光ファイバの回転角度の調整)
(ア) 構成Dは、次のことを特定するものである。
「前記光ファイバは、前記光ファイバどうしを光学的に接続させる際に、中心軸周りの回転角度の調整が必要であ[る]」こと。
(イ) 引用発明では、フェルール1dの光ファイバ挿入孔にどのような光ファイバを挿入するか特定されていない。
(ウ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Dの点である次の点において相違する。
「前記光ファイバ」について、
本願発明においては「前記光ファイバどうしを光学的に接続させる際に、中心軸周りの回転角度の調整が必要であ[る]」との限定があるのに対して、
引用発明においてはこのような限定がない点。
カ 構成Eの観点(フェルールの第一位置と第二位置)
(ア) 構成Eは、次のことを特定するものである。
「前記弾性部材は、前記弾性部材の第一の長さで前記フェルールを前記プラグフレーム内の第一位置に保持可能であり、前記第一の長さより短い第二の長さで前記フェルールを前記プラグフレーム内の第二位置に保持可能であ[る]」こと。
(イ)a 引用発明において「弾性体5」がどのようになっているかを整理すると、次の(i)及び(ii)に示す二つの状態が存在するといえる。
(i) 「光コネクタCのフェルール本体3」が「弾性体5で付勢されて」、「光コネクタCのテーパ部17、4eが当接状態に維持され、よって、フェルール本体3は、挿入時も挿入後もハウジング2若しくはアダプタ6に対して、周方向のある回転角度で一定に維持され」るとともに、「光コネクタDのフェルール本体3は、弾性体5で付勢されてテーパ部17,4eが当接していて、周方向の回転が阻止されて周方向のある回転角度で一定に維持された」状態(以下、この状態を「回転阻止状態」という。)
(ii) 「光コネクタD側のフェルール1dが光コネクタC側のフェルール1aを軸芯方向に押し込み、両光コネクタC,Dの弾性体5の付勢力が釣り合った状態で、両フェルール1d,1dがフロート状態で保持され、このフロート状態になると、両光コネクタC,Dのフェルール1d,1dが各々押し戻されることになり、各フランジ4dのテーパ部4eがハウジング2のテーパ部17から離間され、よって、フランジ4dが周方向に回転することができる状態」(以下、この状態を「回転可能状態」という。)
b そして、光コネクタC及びDは、回転阻止状態では突き合わされておらず、回転可能状態では突き合わされていると解されることにも照らせば、「弾性体5」の長さは、回転可能状態のときのものが回転阻止状態のときのものよりも短くなっていると解される。
そして、引用発明における回転阻止状態でのフェルール1d、1dの位置は本願発明における「第一位置」に、引用発明における回転阻止状態でのフェルール1d、1dの位置は本願発明における「第二位置」に、それぞれ相当する。
(ウ) 以上の検討結果を踏まえると、本願発明と引用発明の構成Eの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。なお、bに示す構成Eの観点における相違点は、構成Bの観点における相違点に吸収されるものである。
a 構成Eの観点における一致点
「前記弾性部材は、前記弾性部材の第一の長さで前記フェルールを」フェルール収容部材「内の第一位置に保持可能であり、前記第一の長さより短い第二の長さで前記フェルールを」フェルール収容部材「内の第二位置に保持可能であ」る点。
b 構成Eの観点における相違点
フェルール収容部材が、
本願発明においては「プラグフレーム」であるのに対して、
引用発明においては「筒状のハウジング2」である点。
キ 構成Fの観点(フランジ)
(ア) 構成Fは、次のことを特定するものである。
「前記フェルールの前記フランジは、前記中心軸方向に沿って延びる平坦面と、前記平坦面よりも前記フェルールの付勢方向側に形成されて前記フェルールの中心軸との距離が前記弾性部材の付勢方向に向けて減少する少なくとも一つのテーパ面と、回転位置の基準を示すマーク」を有すること。
(イ) 引用発明における「フェルール1dのスリーブ4のフランジ4d」は、「複数区画に分割されて構成された側面を有しており、その複数区画は、4つの第1区画と4つの第2区画からなっており、第1区画は、矩形状かつフェルール1dの軸芯方向に沿って平坦な平坦部とその平坦部に軸芯方向で接続されたテーパ部4eとの組合せからなるものであり、第2区画は、六角形状かつフェルール1dの軸芯方向に沿って平坦な平坦部からなるものであって、前記側面は、第1区間と第2区画とが交互に配置されて構成されて」いるものである。
そうすると、当該「フェルール1dのスリーブ4のフランジ4d」は、その側面を構成する第1区画に、矩形状かつフェルール1dの軸芯方向に沿って平坦な平坦部を具備することになるから、当該「平坦部」は、本願発明の「平坦面」に相当し、本願発明でいう「前記中心軸方向に沿って延びる」ものといえる。
さらに、当該「フェルール1dのスリーブ4のフランジ4d」は、その側面を構成する第1区画に、前記平坦部に軸芯方向で接続されたテーパ部4eを具備することになるから、当該「テーパ部4e」は、本願発明の「テーパ面」に相当し、本願発明でいう「前記平坦面よりも前記フェルールの付勢方向側に形成されて前記フェルールの中心軸との距離が前記弾性部材の付勢方向に向けて減少する」ものといえる。
(ウ) 一方、「前記フェルールの前記フランジ」が、本願発明においては「回転位置の基準を示すマーク」を有するのに対して、引用発明においては、回転位置の基準を示すマークを有しない点において相違する。
(エ) 以上の検討結果を踏まえると、本願発明と引用発明の構成Fの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。
a 構成Fの観点における一致点
「前記フェルールの前記フランジは、前記中心軸方向に沿って延びる平坦面と、前記平坦面よりも前記フェルールの付勢方向側に形成されて前記フェルールの中心軸との距離が前記弾性部材の付勢方向に向けて減少する少なくとも一つのテーパ面と」を有する点。
b 構成Fの観点における相違点
「前記フェルールの前記フランジ」が、
本願発明においては「回転位置の基準を示すマーク」を有するのに対して、
引用発明においては回転位置の基準を示すマークを有しない点。
ク 構成Gの観点(第一位置にある場合の回動規制状態)
(ア) 構成Gは、次のことを特定するものである。
「前記フェルールが前記第一位置にある場合に、前記フェルールと前記プラグフレームとが前記少なくとも一つのテーパ面を介して接触し、前記フェルールの前記プラグフレームに対する回動が規制され[る]」こと。
(イ)a 前記カ(イ)において検討したとおり、引用発明においては、回転阻止状態でのハウジング2内のフェルール1d、1dの位置(本願発明でいう「第一位置」)において、「光コネクタCのテーパ部17、4eが当接状態に維持され、よって、フェルール本体3は、挿入時も挿入後もハウジング2若しくはアダプタ6に対して、周方向のある回転角度で一定に維持され」るところ、「テーパ部17」は、「ハウジング2の内周壁面に設けられる」ものであり、「テーパ部4e」は、「フェルール1dにおけるスリーブ4のフランジ4dに設けられる」ものである。
b このように、引用発明においては、回転阻止状態において、ハウジング2の内周壁面に設けられるテーパ部17とフェルール1dにおけるスリーブ4のフランジ4dに設けられるテーパ部4eが当接しており、フェルール本体3がハウジング2に対して周方向のある回転角度で一定に維持されることになるから、本願発明と引用発明は、次の点において共通する。
「前記フェルールが前記第一位置にある場合」に、「前記フェルール」フェルール収容部材とが「前記少なくとも一つのテーパ面を介して接触し、前記フェルールの」フェルール収容部材「に対する回動が規制され」る点。
c 一方、フェルール収容部材が、本願発明においては「プラグフレーム」であるのに対して、引用発明においては「筒状のハウジング2」である点において相違する。
(ウ) そうすると、本願発明と引用発明の構成Gの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。なお、bに示す構成Gの観点における相違点は、構成Bの観点における相違点に吸収されるものである。
a 構成Gの観点における一致点
「前記フェルールが前記第一位置にある場合に、前記フェルールと」フェルール収容部材「とが前記少なくとも一つのテーパ面を介して接触し、前記フェルールの」フェルール収容部材「に対する回動が規制され」る点。
b 構成Gの観点における相違点
フェルール収容部材が、
本願発明において「プラグフレーム」であるのに対して、
引用発明においては「筒状のハウジング2」である点。
ケ 構成Hの観点(第二位置にある場合の回動可能状態及びフローティング状態)
(ア) 構成Hは、次のことを特定するものである。
「前記フェルールが前記第二位置にある場合に、前記フェルールと前記プラグフレームとは接触せず前記フェルールは前記プラグフレームに対して回動可能で、前記フェルールが前記プラグフレームに対してフローティング状態になる」こと。
(イ)a 前記カ(イ)において検討したとおり、引用発明において、回転可能状態でのハウジング2内のフェルール1d、1dの位置(本願発明でいう「第二位置」)において、「各フランジ4dのテーパ部4eがハウジング2のテーパ部17から離間され、よって、フランジ4dが周方向に回転することができる状態になる」ことから、本願発明と引用発明は、「前記フェルールが前記第二位置にある場合に、前記フェルールと」フェルール収容部材「とは接触せず前記フェルールは」フェルール収容部材「に対して回動可能で、前記フェルールが」フェルール収容部材「に対してフローティング状態になる」点で共通する。
b しかし、「フェルール収容部材」が、本願発明においては「プラグフレーム」であるのに対して、引用発明においては「筒状のハウジング2」である点において相違する。
(ウ) そうすると、本願発明と引用発明の構成Hの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。なお、bに示す構成Hの観点における相違点は、構成Bの観点における相違点に吸収されるものである。
a 構成Hの観点における一致点
「前記フェルールが前記第二位置にある場合に、前記フェルールと」フェルール収容部材「とは接触せず前記フェルールは」フェルール収容部材「に対して回動可能で、前記フェルールが」フェルール収容部材「に対してフローティング状態になる」点。
b 構成Hの観点における相違点
フェルール収容部材が、
本願発明において「プラグフレーム」であるのに対して、
引用発明においては「筒状のハウジング2」である点。
(2) 一致点及び相違点
前記(1)の対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明は、次のアに示す一致点において一致し、後記イに示す相違点において相違すると認められる。
ア 一致点
「外側にフランジが設けられて、内側に貫通穴を有し、前記貫通穴内にファイバを保持可能なフェルールと、
前記フェルールを収容するように構成されたフェルール収容部材と、
前記フェルールを前記フェルールの中心軸方向に沿って付勢する弾性部材を備えた光コネクタであって、
前記弾性部材は、前記弾性部材の第一の長さで前記フェルールを前記フェルール収容部材内の第一位置に保持可能であり、前記第一の長さより短い第二の長さで前記フェルールを前記フェルール収容部材内の第二位置に保持可能であり、
前記フェルールの前記フランジは、前記中心軸方向に沿って延びる平坦面と、前記平坦面よりも前記フェルールの付勢方向側に形成されて前記フェルールの中心軸との距離が前記弾性部材の付勢方向に向けて減少する少なくとも一つのテーパ面とを有し、
前記フェルールが前記第一位置にある場合に、前記フェルールと前記フェルール収容部材とが前記少なくとも一つのテーパ面を介して接触し、前記フェルールの前記フェル-ル収容部材に対する回動が規制され、
前記フェルールが前記第二位置にある場合に、前記フェルールと前記フェルール収容部材とは接触せず前記フェルールは前記フェルール収容部材に対して回動可能で、前記フェルールが前記フェルール収容部材に対してフローティング状態になる、
光コネクタ」の発明である点。
イ 相違点
(ア) 相違点1(構成Aの観点における相違点)
フェルールの貫通穴内に保持可能な「ファイバ」が、
本願発明においては「ガラスファイバと、前記ガラスファイバを覆う樹脂被覆とを含む光ファイバの一端部において前記樹脂被覆から露出した前記ガラスファイバ」に限定されているのに対して、
引用発明においてはこのような限定がない点。
(イ) 相違点2(構成Dの観点における相違点)
光ファイバについて、
本願発明においては「前記光ファイバどうしを光学的に接続させる際に、中心軸周りの回転角度の調整が必要であ[る]」との限定があるのに対して、
引用発明においてはこのような限定がない点。
(ウ) 相違点3(構成Fの観点における相違点)
フェルールのフランジが、
本願発明においては「回転位置の基準を示すマーク」を有するのに対して、
引用発明においては回転位置の基準を示すマークを有しない点。
(エ) 相違点4(構成Bの観点における相違点)
フェルールを収容するように構成されたフェルール収容部材が、
本願発明においては「プラグフレーム」であるのに対して、
引用発明においては「筒状のハウジング2」である点。
7 判断
(1) 相違点1及び相違点2(構成AとDの観点の相違点)について
前記5(3)イにおいて技術常識Cとして認定したように、「ガラスファイバを樹脂によって被覆した光ファイバ心線について、その端部で被覆から露出されたガラスファイバをコネクタフェルールに保持すること」は、技術常識であるから、引用発明におけるファイバとしてこのようなファイバを選択・限定することに、実質的な相違点があるとはいえない。
また、本願明細書の【0040】の記載によると、「光学的に接続させる際に、中心軸周りの回転角度の調整が必要な光ファイバ」には、マルチコアファイバ、偏波保持ファイバ、バンドルファイバが包摂されるところ、引用発明において、フェルール1dに挿入される光ファイバの種類は、発明の実施にあたり当業者が適宜選択し得る事項であるから、引用発明におけるファイバとしてこれらの公知のマルチコアファイバ、偏波保持ファイバ又はバンドルファイバを選択することに進歩性は認められない。
(2) 相違点3(構成Fの観点の相違点)について
前記5(2)エにおいて周知技術Bとして認定したように、「ファイバ同士の中心軸周りの回転角度を一致させるために、それが接続されるフェルールにマーキングを施すこと」は、周知の技術であるから、引用発明において周知技術Bを採用して本願発明の相違点3に係る構成を備えるようにすることには、当業者が容易に想到し得た設計上の事項である
(3) 相違点4(構成Bの観点の相違点)について
前記5(1)アにおいて周知技術Aとして認定したように、「光コネクタにおいて、フェルールをプラグフレームに収容すること」は周知の技術であるから、引用発明におけるハウジング2を、フェルールを収容する部材である点において共通するプラグフレームに置換することにより、本願発明の相違点4に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得た設計変更である。
(4) 総合評価
前記(1)~(3)において検討したとおり、引用発明において、前記相違点1~4に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、相違点1~4を総合的に勘案しても、本願発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
8 請求人の主張について
(1) 請求人の主張内容
請求人は、意見書において、引用文献1には、次の技術事項が記載も示唆もされていないから、本願発明は進歩性を有する旨主張している。
(ア) フェルールに保持可能な光ファイバが、光ファイバどうしを光学的に接続させる際に、中心軸周りの回転角度の調整が必要であること。
(イ) フェルール1dのフランジ4dに回転位置の基準を示すマークが形成されること。
(2) 請求人の主張についての検討
請求人の主張は、相違点2、3に係るものであるところ、これらの点が、当業者が容易に想到し得たものであることは、前記7(1)及び(2)において検討したとおりであるから、請求人の主張は、前記7(4)の結論を左右するものではない。
9 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-005034