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特許拒絶査定不服審判

2022-009379

位置標定システム、位置標定方法及びコンピュータプログラム

審判番号
2022-009379
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-053736外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年06月20日
審決日
2023年02月27日
公報発行日
2023年05月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .575-Z (G01B) / P18 .121-Z (G01B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-53736号「位置標定システム、位置標定方法及びコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月4日出願公開、特開2018-155662号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、平成29年3月17日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。

令和2年11月 4日付け:拒絶理由通知書
令和3年 1月25日 :意見書の提出

同年 7月30日付け:拒絶理由通知書

同年10月 4日 :意見書、手続補正書の提出

令和4年 3月18日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

(同月25日 :原査定の謄本の送達)

同年 6月20日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和4年6月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和4年6月20日にされた手続補正を却下する。

[補正の却下の決定の理由]

1 本件補正の内容

令和4年6月20日にされた特許請求の範囲についての補正(以下「本件補正」という。)は、次の(1)に示す本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を、以下の(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正することを含むものである。下線は補正箇所を示す。

(1) 本件補正前の請求項1

「 【請求項1】
所定のセンサ間隔で配置された複数のセンサと、
前記複数のセンサへ弾性波が到達した時刻差を計測する時間計測部と、
前記時刻差に基づいて、前記弾性波が前記複数のセンサに対して入射した入射角度を算出する角度算出部と、
前記入射角度に基づいて、前記弾性波の発生源を標定する位置標定部と、
を備え、
前記所定のセンサ間隔は、センサの周波数特性と、前記センサから出力される電気信号を処理する電子回路との合成特性で決まる観測対象周波数fと、前記弾性波の伝搬速度vとに基づいて、
d<v/f
の関係を満たす距離である位置標定システム。」

(2) 本件補正後の請求項1

「 【請求項1】
所定のセンサ間隔で配置された複数のセンサと、
前記複数のセンサへ弾性波が到達した時刻差を計測する時間計測部と、
前記時刻差に基づいて、前記弾性波が前記複数のセンサに対して入射した入射角度を算出する角度算出部と、
続きを表示(全12行)
前記入射角度に基づいて、前記弾性波の発生源を標定する位置標定部と、
を備え、
前記所定のセンサ間隔は、センサの周波数特性と、前記センサから出力される電気信号を処理する電子回路との合成特性で決まる観測対象周波数fと、前記弾性波の伝搬速度vとに基づいて、
d<v/f
の関係を満たす距離であり、
少なくとも前記複数のセンサと、前記時間計測部と、前記角度算出部を備えるベクトルセンシングユニットを3つ以上備え、
前記ベクトルセンシングユニットが略正三角形の頂点となる位置に配置され、
前記ベクトルセンシングユニットが、前記角度算出部により算出された前記入射角度の情報を無線で前記位置標定部に送信する、位置標定システム。」

2 本件補正の目的

(1) 本件補正は、本件補正前の請求項1において、次のア~ウの発明特定事項を追加することにより、本件補正前の「複数のセンサ」、「時間計測部」、「角度算出部」及び「位置標定部」に関する事項を限定したものである。

ア 「少なくとも前記複数のセンサと、前記時間計測部と、前記角度算出部を備えるベクトルセンシングユニットを3つ以上備え」ること

イ 「前記ベクトルセンシングユニットが略正三角形の頂点となる位置に配置され」ること

ウ 「前記ベクトルセンシングユニットが、前記角度算出部により算出された前記入射角度の情報を無線で前記位置標定部に送信する」こと

(2) ここで、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。

(3) よって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3 独立特許要件についての当審の判断

本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、本件補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討を行う。

(1) 本件補正発明

本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。

(2) 引用文献等

ア 引用文献8

(ア) 引用文献8の記載事項

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原査定の拒絶の理由において引用された文献である特開2012-150059号公報(以下「引用文献8」という。)には、次の事項が記載されている。下線は合議体が付した。以下同様である。

a 【0015】~【0021】

「【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。
図1は音源推定システムの構成を示す機能ブロック図である。
本発明の音源推定システムは、音・映像採取ユニット10と音採取ユニット20と演算・表示装置30とを備える。音・映像採取ユニット10は第1の観測点P1に設置され、音採取ユニット20は第1の観測点P1とは異なる第2の観測点P2に設置される。
続きを表示(全47行)
音・映像採取ユニット10は、図2にも示すように、第1の音採取手段11と、映像採取手段としてのCCDカメラ(以下、カメラという)12と、マイクロフォン支持台13と、カメラ支持部材14と、回転台15と、基台16とを備える。
第1の音採取手段11は複数のマイクロフォンM1~M5を備える。
マイクロフォンM1~M5は、図示しない音源から伝播される音の音圧信号の大きさである音圧レベルをそれぞれ測定する。
マイクロフォンM1~M5の配置は、図7に示したものと同様で、4個のマイクロフォンM1~M4を、互いに直交する2直線上にそれぞれ所定の間隔で配置された2組のマイクロフォン対(M1,M3)及びマイクロフォン対(M2,M4)を構成するように配置するとともに、第5のマイクロフォンM5を前記マイクロフォンM1~M4の作る平面上にない位置、詳細には、マイクロフォンM1~M4の作る正方形を底面とする四角錐の頂点の位置に配置する。これにより、更に4組のマイクロフォン対(M5,M1)~(M5,M4)が構成される。
以下、マイクロフォンM1~M4は水平面上に設置されるものとし、音・映像採取ユニット10の向きを図2の矢印Dの方向(マイクロフォンM3からマイクロフォンM1に向かう方向)をx方向、矢印Dに直交する方向をy方向という。
【0016】
マイクロフォン支持台13は、第1~第3の支持板131~133と、連結板134と、脚部135,136とを備える。
第1の支持板131は、x方向に延長してマイクロフォン対(M1,M3)を搭載する棒状の部材で、マイクロフォンM1,M3は第1の支持板131の両端部にそれぞれ固定される。第2の支持板132は、y方向に延長してマイクロフォン対(M2,M4)を搭載する棒状の部材で、マイクロフォンM2,M4は第2の支持板132の両端部にそれぞれ固定される。連結板134は、第1及び第2の支持板131,132をその中心にて連結する板状の部材で、第1及び第2の支持板131,132と連結板134とは、マイクロフォンM1~M4が水平面上に設置されるように一体に構成される。
連結板134の中心、すなわち、マイクロフォンM1~M4の中心点の位置が第1の観測点P1の位置(x1,y1,z1)である(図2(b)参照)。
第3の支持板133は、第2の支持板132上で連結板134の中心から等距離の位置にそれぞれ立設された脚部135,136上に取付けられた板状の部材で、この板状の部材の中心に第5のマイクロフォンM5が搭載される。
第1の観測点P1の位置座標をP1(x1,y1,z1)=(0,0,0)とすると、マイクロフォンM1~M5はそれぞれ、M1=(L/2,0,0)、M2=(0,L/2,0)、M3=(-L/2,0,0)、M4=(0,-L/2,0,0)、M5=(0,0,L/2)となる。Lはマイクロフォン対(M1,M3),(M2,M4)のマイクロフォン間隔で、計測する音の最大波長により決定される値で、本例では、周波数帯域が50Hz~500Hzの範囲のいわゆる低周波数帯域の音を含む音源を計測するため、L=300mmとした。
【0017】
カメラ支持部材14は、第1の支持板131のマイクロフォンM1が搭載されている端部側で、かつ、マイクロフォンM1が搭載されている側とは反対側の面である裏面側に設けられてカメラ12を支持する。本例では、カメラ12の撮影方向を音・映像採取ユニット10の向きである図2の矢印Dの方向とし、カメラ12により、音・映像採取ユニット10の向きに応じた映像を採取する。
回転台15は、図示しないモータを内蔵した固定部151とモータの出力に連結された回転軸152とを備える。回転軸152は連結板134の中心に連結されている。
基台16は3脚から成る支持部材で、この基台16上に回転台15が設置されている。
したがって、回転台15の回転軸152を回転させることにより、音採取手段11とカメラ12とを一体に回転させることができる。
【0018】
音採取ユニット20は、第2の音採取手段21と、マイクロフォン支持台23と、回転台25と、基台26とを備える。
第2の音採取手段21は複数のマイクロフォンM6~M9を備える。
マイクロフォンM6~M9は、図示しない音源から伝播される音の音圧信号の大きさである音圧レベルをそれぞれ測定する。
マイクロフォンM6~M9の配置はマイクロフォンM1~M4の配置と同じで、マイクロフォン対(M1,M3)とマイクロフォン対(M6,M8)とが対応し、マイクロフォン対(M2,M4)とマイクロフォン対(M7,M9)とが対応する。
マイクロフォンM6~M9も水平面上に設置される。音採取ユニット20の向きは音・映像採取ユニット10の向きと同じく、図2の矢印Dの方向である。
音採取ユニット20は、第5のマイクロフォンとカメラとを有しないこと以外は音・映像ユニット10と同構成で、マイクロフォン支持台23は、第1及び第2の支持板231,232と連結板234とを備えている。すなわち、第3の支持板133に相当する部材と脚部135,136に相当する部材とカメラ支持部材14に相当する部材はなく、回転台15に相当する部材が回転台25で、基台16に相当する部材が基台26である。
音採取ユニット20も回転台25の回転軸252を回転させることにより、マイクロフォンM6~M9を一体に回転させることができる。
連結板234の中心、すなわち、マイクロフォンM5~M9の中心点の位置が第2の観測点P2となる(図2(b)参照)。
本例では、第2の観測点P2を、第1の観測点P1から測って、マイクロフォンM4からマイクロフォンM2に向かう方向(y方向)に距離をKだけ離れた箇所に設けている。なお、第1の観測点P1と第2の観測点P2とは同じ水平面上に設けられる。すなわち、第1の観測点P1の位置座標をP1(x1,y1,z1)とすると、第2の観測点P2の位置座標はP2(x2,y2,z2)=(x1,y1+K,z1)である。
【0019】
演算・表示装置30は、増幅器31と、A/D変換器32と、映像入出力手段33と、記憶手段34と、音源方向推定手段35と、音源距離算出手段36と、水平投影画像作成手段37と、音源推定用画像作成手段38と、表示画像作成手段39と、表示手段40とを備える。音源方向推定手段35から表示画像作成手段39までの各手段は、例えば、コンピュータのソフトウェアにより構成され、記憶手段34はコンピュータのハードディスクなどのメモリーが使用される。なお、A/D変換器32及び映像入出力手段33についてもコンピュータに組み込んでもよい。
増幅器31はローパスフィルタを備え、指令信号が入力されると、マイクロフォンM1~M5で採取した音の音圧信号とマイクロフォンM6~M9で採取した音の音圧信号とからそれぞれ高周波ノイズ成分を除去するとともに、前記各音圧信号を増幅してA/D変換器32に出力する。
A/D変換器32は、前記各音圧信号をA/D変換した音圧波形データを作成し、これを所定時間Tp(例えば、Tp=1/30秒)毎に記憶手段34に送る。音圧波形データは、第1の観測点P1で観測された音の音圧波形データA1と第2の観測点P2で観測された音の音圧波形データA2とが記憶手段34の別領域にそれぞれ記憶される。
映像入出力手段33は、カメラ12で撮影された映像信号を入力してA/D変換し、このA/D変換されたデータである画像データG1を前記所定時間Tp毎に記憶手段34に送る。
記憶手段34には、音圧波形データA1,A2と、画像データG1とが前記所定時間Tp毎に順次保存される。なお、第1の観測点P1の位置座標P1(x1,y1,z1)と、第2の観測点P2の位置座標P2(x2,y2,z2)も記憶手段34に保存される。
【0020】
音源方向推定手段35は、記憶手段34から、前記所定時間Tp毎に音源方向の推定演算を行うための音圧波形データA1を取出して各マイクロフォンM1~M5間の位相差を求め、求められた位相差から第1の観測点P1からみた音源方向の水平角θ1と仰角φ1とを演算するとともに、音圧波形データA2を取出して各マイクロフォンM6~M9間の位相差を求め、求められた位相差から第2の観測点P2からみた音源方向の水平角θ2を演算する。
第1の観測点P1からみた音源方向の水平角θ1と仰角φ1と第2の観測点P2からみた音源方向の水平角θ2とが音源距離算出手段36に出力され、前記水平角θ1と仰角φ1とが音源推定用画像作成手段38に出力される。また、前記水平角θ1は水平投影画像作成手段37に出力される。
音源距離算出手段36は水平距離算出部36aと音源距離算出部36bとを備える。
水平距離算出部36aは、第1の観測点P1からみた音源方向の水平角θ1と第2の観測点P2からみた音源方向の水平角θ2とから音源の位置座標の水平成分(xk,yk)を求め、求められた水平成分(xk,yk)と第1の観測点P1の位置座標の水平成分(x1,y1)とから第1の観測点P1と音源との水平距離Lxyを算出する。水平距離Lxyは水平投影画像作成手段37に出力される。
音源距離算出部36bは、前記水平距離Lxyと第1の観測点P1からみた音源方向の仰角φ1とから第1の観測点P1と音源との距離Lを算出する。距離Lは表示画像作成手段39に出力される。
【0021】
水平投影画像作成手段37は、音源方向推定手段35で推定された第1の観測点P1からみた音源方向の水平角θ1と音源距離算出手段36の水平距離算出部36aで算出された第1の観測点P1と音源との水平距離Lxyとから、水平距離Lxyと水平角θ1とを極座標表示した水平投影画像Rkを作成して表示画像作成手段39に出力する。水平投影画像においては、半径方向の長さが水平距離Lxyで回転角が水平角θ1である。
音源推定用画像作成手段38は、記憶手段34に記憶された画像データG1と音源方向推定手段35で推定された第1の観測点P1からみた音源方向の水平角θ1と仰角φ1とから画像中に音源の方向を示す図形が描画された音源推定用画像Gkを作成して表示画像作成手段39に出力する。
表示画像作成手段39は、音源距離算出手段36で算出された第1の観測点P1と音源との距離Lを表示する距離表示画像Lkを作成するとともに、この距離表示画像Lkと水平投影画像Rkと音源推定用画像Gkとを組み合わせた表示画像Mkを表示手段40に出力する。
表示手段40は、ディスプレイなどの表示画面40Mを備え、表示画像作成手段39で作成された表示画像Mkを表示画面40Mに表示する。」

b 【図1】

「
[図:0001396999000001.jpg]
」

c 【図2】

「
[図:0001396999000002.jpg]
」

d 【0022】~【0028】

「【0022】
次に、本発明による音源推定方法について、図3のフローチャートを参照して説明する。
まず、音・映像採取ユニット10を第1の観測点P1にセットし、音採取ユニット20を第2の観測点P2にセットするとともに、第1の観測点P1の位置座標P1(x1,y1,z1)と第2の観測点P2の位置座標P2(x2,y2,z2)とを演算・表示装置30に入力して記憶手段34に記憶させる(ステップS10)。
このとき、音・映像採取ユニット10と音採取ユニット20とを、所定距離Kだけ離して、同じ水平面上に設置するとともに、音・映像採取ユニット10の向きと音採取ユニット20との向きを一致させることが肝要である。マイクロフォンM1~M4の高さと水平度は基台16の脚の長さを調整して確保し、マイクロフォンM6~M9の高さと水平度は基台26の脚の長さを調整して確保する。また、音・映像採取ユニット10の向きと音採取ユニット20の向きとは回転台15と回転台25とをそれぞれ調整して確保する。マイクロフォン支持台13の第2の支持板132とマイクロフォン支持台23の第2の支持板232とを一直線上にかつ同じ方向に配置するにはレーザー墨出し器を用い、音・映像採取ユニット10と音採取ユニット20との距離Kを確認するにはレーザー距離計を用いると、音・映像採取ユニット10と音採取ユニット20とを精度よく配置することができる。なお、カメラ12はマイクロフォン支持台13の第1の支持板131に取付けられているので、特に調整の必要はない。
続きを表示(全35行)
【0023】
次に、マイクロフォンM1~M5にて第1の観測点P1に到達した音の音圧信号を採取するとともに、カメラ12にて第1の観測点P1から測定場所の映像を採取する。このとき、同時に、マイクロフォンM6~M9にて第2の観測点P2に到達した音の音圧信号を採取する(ステップS11)。
マイクロフォンM1~M5で採取された音圧信号とマイクロフォンM6~M9で採取された音圧信号は、増幅器31で増幅された後、A/D変換器32でA/D変換される。一方、カメラ12で採取された映像信号は映像入出力手段33でA/D変換される(ステップS12)。
A/D変換された音圧信号と映像信号とは、それぞれ、記憶手段34に、音圧波形データA1,A2、及び、画像データG1として保存される(ステップS13)。
次に、音源方向推定手段35にて音圧波形データA1を取出してFFTにて周波数解析し、各マイクロフォンM1~M4間の位相差を求め、求められた位相差から第1の観測点P1からみた音源方向の水平角θ1を演算する(ステップS14)とともに、音圧波形データA2を取出してFFTにて周波数解析し、各マイクロフォンM6~M9間の位相差を求め、求められた位相差から第2の観測点P2からみた音源方向の水平角θ2を演算する(ステップS15)。ステップS16では、各マイクロフォンM1~M5間の位相差から第1の観測点P1からみた音源方向の仰角φ1を演算する。ステップS14~ステップS16の各処理は並列に行ってもよいし、ステップ順に行ってもよい。なお、本例では、位相差に代えて、位相差に比例する物理量である到達時間差Dijを用いて水平角θ及び仰角φを求めている。
このステップS14~ステップS16における水平角θ及び仰角φの計算方法については後述する。
【0024】
次に、ステップS17で、図4に示すように、第1の観測点P1からみた音源方向の水平角θ1と第1の観測点P1の位置座標の水平成分p1(x1,y1)とを用いて、第1の観測点P1を通り傾きが水平角θ1に等しい直線l1の式を求め、ステップS18で、第2の観測点P2からみた音源方向の水平角θ2と第2の観測点P2の位置座標の水平成分p2(x2,y2)とを用いて、第2の観測点P2を通り傾きが水平角θ2に等しい直線l2の式を求める。
ステップS19では、直線l1と直線l2との交点pkの座標を求めて、第1の観測点P1と音源Pkとの水平距離Lxyを算出する。交点pkの座標pk(xk,yk)が音源Pkの位置座標の水平成分であるので、この音源Pkの位置座標の水平成分pk(xk,yk)と第1の観測点P1の位置座標の水平成分p1(x1,y1)とから、第1の観測点P1と音源Pkとの水平距離Lxyを算出することができる。
ステップS20では、図5に示すように、第1の観測点P1と音源Pkとの水平距離LxyとステップS16で推定した第1の観測点P1からみた音源方向の仰角φ1とを用いて、第1の観測点P1と音源Pkとの距離Lを算出する。なお、同図において、P’kは音源PkのマイクロフォンM1~M4の作る平面への正射影である。
【0025】
ステップ21では、図6の右下の円形のグラフに示すような、水平投影画像用の極座標画像を作成し、この極座標画像上に、ステップS19で算出した第1の観測点P1と音源との水平距離LxyとステップS14で推定された第1の観測点P1からみた音源方向の水平角θ1とを成分とする点(r,θ)=(Lxy,θ1)を描画した水平投影画像Rkを作成する。
また、ステップ22では、ステップS14,S16で推定した第1の観測点P1からみた音源方向の水平角θ1と仰角φ1、ステップS13で保存した画像データG1とを合成し、図6の中央上側に示すような、合成された画像中に網目模様の丸印などの周波数毎の音源の方向を示す図形Cが描画された音源推定用画像Gkを作成する。この図形Cの模様は周波数を示し大きさは音圧信号の大きさを表すので、大きな図形Cがある領域で、かつ、図形Cの重なりの重心位置を算出し、この重心位置を音源Pkの位置とし、音源推定用画像Gk上に描画する。図6の映像は、建設現場に導入されたショベルカーを撮影したもので、ショベルカーのエンジン付近での音が最も大きい。なお、図には示していないが、ショベルカーが移動しているときには、キャタピラ近傍の振動音も観測される。
ステップ21とステップ22の処理が終了すると、ステップS23に進み、表示画面40Mの水平投影画像表示欄40aに水平投影画像Rkを表示し、音源推定用画像表示欄40bに音源推定用画像Gkを表示するとともに、音源データ表示欄40cに音源Pkの位置データである水平角θ1と仰角φ1と距離Lとを表示する。
なお、前記処理を保存された音圧波形データA1,A2及び画像データG1について、所定時間Tp毎に行って、水平投影画像Rkと音源推定用画像Gkとを作成して表示するとともに、水平角θ1と仰角φ1と距離Lとを表示するようにすれば、音源Pkが移動している場合や音源Pkが間欠的に音を発する音源である場合でも、音源Pkと観測点との距離をリアルタイムで把握することができる。
【0026】
ステップS14~ステップS16における水平角θ及び仰角φの計算方法は以下の通りである。
各マイクロフォン対(Mi,Mj)のマイクロフォンMiとマイクロフォンMjとの間の到達時間差をDijとすると、音の入射方向の水平角θは以下の式(1)で表わせるので、マイクロフォンM1~M4の出力信号、及び、マイクロフォンM6~M9の出力信号をFFTを用いて周波数分析し、対象となる周波数fにおける各マイクロフォンMi,Mj間の到達時間差Dijを算出することにより、第1の観測点P1からみた音源方向の水平角θ1及び第2の観測点P2からみた音源方向の水平角θ2を推定することができる。
また、音の入射方向の仰角φは以下の式(2)で表わせるので、マイクロフォンM1~M5の出力信号をFFTを用いて周波数分析し、対象となる周波数fにおける各マイクロフォンMi,Mj間の到達時間差Dijを算出することにより、第1の観測点P1からみた音源方向の水平角φ1を推定することができる。
【数1】
[図:0001396999000003.jpg]
すなわち、互いに直交する2直線上にそれぞれ所定の間隔で配置された2組のマイクロフォン対(M1,M3)及びマイクロフォン対(M2,M4)を構成するマイクロフォンM1,M3に入力する音圧信号の到達時間差D13と、前記マイクロフォン対(M2,M4)を構成するマイクロフォンM2,M4に入力する音圧信号の到達時間差D24との比から、第1の観測点P1からみた音源方向の水平角θ1を推定することができる。第2の観測点P2からみた音源方向の水平角θ2の推定も水平角θ1の推定と同様に行うことができる。
また、マイクロフォンM1~M5間の到達時間差Dijから第1の観測点P1からみた音源方向の仰角φ1を推定することができる。
なお、前記到達時間差Dijは、2つのマイクロフォン対(Mi,Mj)に入力される信号のクロススペクトルPij(f)を求め、更に、対象とする前記周波数fの位相角情報Ψ(rad)を用いて、以下の式(3)を用いて算出される。
【数2】
[図:0001396999000004.jpg]
【0027】
このように、本実施の形態では、複数のマイクロフォンM1~M5とカメラ12とを備えた音・映像採取ユニット10を第1の観測点P1に配置して音圧信号と映像信号とを採取するとともに、複数のマイクロフォンM6~M9を備えた音採取ユニット20を第2の観測点P2に配置して音圧信号を採取し、これらの音圧信号をA/D変換した第1及び第2の観測点P1,P2の音圧波形データA1,A2を用いて第1の観測点P1からみた音源Pkの水平角θ1及び仰角φ1と第2の観測点P2からみた音源Pkの水平角θ2を求めた後、水平角θ1,θ2と第1及び第2の観測点P1,P2の位置座標から音源Pkと第1の観測点P1との水平距離Lxyを求め、この水平距離Lxyと水平角θ1とを極座標表示した水平投影画像Rkを作成するとともに、第1の観測点P1で採取した映像信号をA/D変換した画像データG1と水平角θ1及び仰角φ1とから、画像中に音源Pkの方向を示す図形が描画された音源推定用画像Gkを作成し、水平投影画像Rkと音源推定用画像Gkと距離Lのデータとを表示手段40の表示画面40Mに表示するようにしたので、音源Pkを確実に把握できるとともに、音源Pkが移動している場合や音源Pkが間欠的に音を発する音源である場合でも、音源Pk及び音源Pkと観測点との距離をリアルタイムで把握することができる。
【0028】
なお、前記実施の形態では、低周波数帯域の音源を計測する音源推定システムについて説明したが、これに限るものではなく、注目する音の周波数帯域により、マイクロフォンの間隔を変更することで、任意の周波数帯域の音を含む音源を計測することが可能である。
また、前記例では、音・映像採取ユニット10と音採取ユニット20とを用いたが、2台の音・映像採取ユニット10を用いてもよい。この場合には、装置の備品点数は増えるが、音源Pkが中央に映っている方の画像データを用いて音源推定用画像Gkを作成できるという利点がある。また、音源Pkが移動している場合には、音源推定用画像Gkを切換えるなどできるので、音源Pkを確実に把握できる。」

e 【図3】

「
[図:0001396999000005.jpg]
」

f 【図4】

「
[図:0001396999000006.jpg]
」

g 【図5】

「
[図:0001396999000007.jpg]
」

h 【図6】

「
[図:0001396999000008.jpg]
」

(イ) 引用発明8の認定

前記(ア)において摘記した事項を総合すると、引用文献8には次の発明(以下「引用発明8」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明8]

「 音・映像採取ユニット10と音採取ユニット20と演算・表示装置30とを備える音源推定システムであって、
音・映像採取ユニット10は第1の観測点P1に設置され、音採取ユニット20は第1の観測点P1とは異なる第2の観測点P2に設置され、
音・映像採取ユニット10は、第1の音採取手段11と、映像採取手段としてのCCDカメラ12と、マイクロフォン支持台13と、カメラ支持部材14と、回転台15と、基台16とを備え、
第1の音採取手段11は複数のマイクロフォンM1~M5を備え、
続きを表示(全23行)
マイクロフォンM1~M5は、音源から伝播される音の音圧信号の大きさである音圧レベルをそれぞれ測定するものであり、
マイクロフォンM1~M5の配置は、4個のマイクロフォンM1~M4を、互いに直交する2直線上にそれぞれ所定の間隔で配置された2組のマイクロフォン対(M1,M3)及びマイクロフォン対(M2,M4)を構成するように配置するとともに、第5のマイクロフォンM5を前記マイクロフォンM1~M4の作る平面上にない位置、詳細には、マイクロフォンM1~M4の作る正方形を底面とする四角錐の頂点の位置に配置するものであり、これにより、更に4組のマイクロフォン対(M5,M1)~(M5,M4)が構成され、(【0015】)
Lはマイクロフォン対(M1,M3),(M2,M4)のマイクロフォン間隔で、計測する音の最大波長により決定される値で、周波数帯域が50Hz~500Hzの範囲のいわゆる低周波数帯域の音を含む音源を計測するため、L=300mmとしており、(【0016】)
音採取ユニット20は、第2の音採取手段21と、マイクロフォン支持台23と、回転台25と、基台26とを備え、
第2の音採取手段21は複数のマイクロフォンM6~M9を備え、
マイクロフォンM6~M9は、音源から伝播される音の音圧信号の大きさである音圧レベルをそれぞれ測定するものであり、
マイクロフォンM6~M9の配置はマイクロフォンM1~M4の配置と同じで、マイクロフォン対(M1,M3)とマイクロフォン対(M6,M8)とが対応し、マイクロフォン対(M2,M4)とマイクロフォン対(M7,M9)とが対応し、
音採取ユニット20は、第5のマイクロフォンとカメラとを有しないこと以外は音・映像ユニット10と同構成であり、
第2の観測点P2を、第1の観測点P1から測って、マイクロフォンM4からマイクロフォンM2に向かう方向に距離をKだけ離れた箇所に設けてあり、(【0018】)
演算・表示装置30は、増幅器31と、A/D変換器32と、映像入出力手段33と、記憶手段34と、音源方向推定手段35と、音源距離算出手段36と、水平投影画像作成手段37と、音源推定用画像作成手段38と、表示画像作成手段39と、表示手段40とを備え、
増幅器31はローパスフィルタを備え、指令信号が入力されると、マイクロフォンM1~M5で採取した音の音圧信号とマイクロフォンM6~M9で採取した音の音圧信号とからそれぞれ高周波ノイズ成分を除去するとともに、前記各音圧信号を増幅してA/D変換器32に出力するものであり、(【0019】)
音源方向推定手段35は、記憶手段34から、前記所定時間Tp毎に音源方向の推定演算を行うための音圧波形データA1を取出して各マイクロフォンM1~M5間の位相差を求め、求められた位相差から第1の観測点P1からみた音源方向の水平角θ1と仰角φ1とを演算するとともに、音圧波形データA2を取出して各マイクロフォンM6~M9間の位相差を求め、求められた位相差から第2の観測点P2からみた音源方向の水平角θ2を演算するものであり、
第1の観測点P1からみた音源方向の水平角θ1と仰角φ1と第2の観測点P2からみた音源方向の水平角θ2とが音源距離算出手段36に出力され、
音源距離算出手段36は水平距離算出部36aと音源距離算出部36bとを備え、
水平距離算出部36aは、第1の観測点P1からみた音源方向の水平角θ1と第2の観測点P2からみた音源方向の水平角θ2とから音源の位置座標の水平成分(xk,yk)を求め、求められた水平成分(xk,yk)と第1の観測点P1の位置座標の水平成分(x1,y1)とから第1の観測点P1と音源との水平距離Lxyを算出し、
音源距離算出部36bは、前記水平距離Lxyと第1の観測点P1からみた音源方向の仰角φ1とから第1の観測点P1と音源との距離Lを算出し、(【0020】)
水平角θ及び仰角φの計算方法としては、音の入射方向の水平角θを表す(1)式により、マイクロフォンM1,M3に入力する音圧信号の到達時間差D13と、マイクロフォンM2,M4に入力する音圧信号の到達時間差D24との比から、第1の観測点P1からみた音源方向の水平角θ1を推定することができ、第2の観測点P2からみた音源方向の水平角θ2の推定も水平角θ1の推定と同様に行うことができ、音の入射方向の仰角φを表す(2)式により、マイクロフォンM1~M5間の到達時間差Dijから第1の観測点P1からみた音源方向の仰角φ1を推定することができる、(【0026】)
[図:0001396999000009.jpg]
音源推定システム。」

イ 引用文献1

(ア) 引用文献1の記載事項

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原査定の拒絶の理由において引用された文献である特開昭55-78249号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。

a 1頁右欄1行~2頁右上欄2行

「3.発明の詳細な説明
この発明は例えば原子炉圧力容器、石油タンク等の大型構造物の健全性を監視するためのAEモニタ装置に関する。
近年、上記した様な大型構造物の健全性を監視するモニタとしてAE(Acoustic Emission)法が適用されている。材料あるいは構造物に塑性変形が生じたり、クラックが発生したりすると衝撃波が発生するが、この衝撃波を測定することにより、構造物等の健全性を監視することを一般にAEと言っている。
この様にAE法を適用して構造物の準験監視を行なう場合、衝撃波(以下これをAE波という)の発生位置を標定することは最も重要なことである。この位置標定の原理は構造物に数個のセンサ(以下これをAEセンサという)を配置して、AE波がこれらの各AEセンサに到達する時間差に基ずいて方程式を立て、これを解くことにより発生位置(以下これをAE発生位置という)を求めるものである。例えば、大型圧力容器等の大型構造物に対しては第1図に示す如く、多数のAEセンサS1,S2…をある規則を持たせて配置し、これらを幾つかの組に分けて、その組内のAEセンサに対するAE波の到達時間差によりAE発生位置標定を行なっているのが一般的である。第1図において、1は構造物、S1,S2…はこの構造物1に配設されたAEセンサ、2はプリアンプ、3はメイアンプ(当審注:「メインアンプ」の誤記であると認められる。)、4はディスクリミネータ、51,52…は位置標定装置である。上記AEセンサS1,S2…は1組が4個で構成され、その形状は3つのAEセンサ、例えばAEセンサS1~S3が三角形の頂点をなす様に配設され、他の1つのAEセンサ、例えばAEセンサS4がその三角形の中心に位置する様に配設されている。他の組も同様の配列となっている。この様な構成において、例えば今、Pの位置がAE発生位置であるとすると、このPの位置からその組の各AEセンサS1~S4に衝撃波が到達する時間t1~t4はそれぞれ異なるため、その時間差に基ずいて位置標定装置51によりAE発生位置を標定するものである。」

b 第1図

「
[図:0001396999000010.jpg]
」

(イ) 引用発明1の認定

前記(ア)において摘記した事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明1]

「 原子炉圧力容器、石油タンク等の大型構造物の健全性を監視するためのAEモニタ装置であって、
材料あるいは構造物に塑性変形が生じたり、クラックが発生したりすると衝撃波が発生するが、この衝撃波を測定することにより、構造物等の健全性を監視するものであり、
衝撃波(AE波)の発生位置を標定する原理は、構造物に数個のAEセンサを配置して、AE波がこれらの各AEセンサに到達する時間差に基づいて方程式を立て、これを解くことにより発生位置(AE発生位置)を求めるものであり、
一般的には多数のAEセンサS1,S2…をある規則を持たせて配置し、これらを幾つかの組に分けて、その組内のAEセンサに対するAE波の到達時間差によりAE発生位置標定を行ない、
上記AEセンサS1,S2…は1組が4個で構成され、その形状は3つのAEセンサ、例えばAEセンサS1~S3が三角形の頂点をなす様に配設され、他の1つのAEセンサ、例えばAEセンサS4がその三角形の中心に位置する様に配設されており、他の組も同様の配列となっており、
この様な構成において、例えば今、Pの位置がAE発生位置であるとすると、このPの位置からその組の各AEセンサS1~S4に衝撃波が到達する時間t1~t4はそれぞれ異なるため、その時間差に基づいて位置標定装置51によりAE発生位置を標定するものである、
AEモニタ装置。」

ウ 引用文献5

(ア) 引用文献5の記載事項

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原査定の拒絶の理由において引用された文献である米国特許第5544129号明細書(以下「引用文献5」という。)には、次の事項が記載されている。なお、日本語訳は日本語ファミリー文献である特表平10-509793号公報の該当記載をそのまま採用した。

a 第4欄40-45行

「However, basically, as shown in FIG. 1, each transducer 60, 61 and 62 (three being shown in FIG. 1) is mounted on a support 63 (discussed more fully hereinafter). The transducers may be any acoustical transducer capable of generating a signal in response to pressure on the transducer created by the blast wave encountering the transducer.」

<日本語訳>

「しかしながら、基本的に、図1に示されるように、各変換器60,61及び62(三つが図1に示されている)は、(以下により十分に議論される)支持部材63に取り付けられている。変換器は、変換器に遭遇する爆発波により生ぜしめられる変換器への圧力に対応して、信号を生成し得る、任意の音響変換器であり得る。」

b 図1

「
[図:0001396999000011.jpg]
」

c 第6欄53行-第7欄15行

「 In regard to determining from the time relations at least one unit sighting vector from at least one sensor to the origin of the blast wave, or from at least two sensors the distance of the origin of the blast wave, it will be appreciated that, when a blast wave passes a first transducer, the pressure thereof generates a signal in that transducer, e.g. a piezoelectric device. Likewise, a signal will be generated from a second hit transducer by that blast wave, and, likewise, a signal will be generated by a third hit transducer by that blast wave. The time lapse between the hits of the three transducers is proportional to the azimuth and elevation angle of a unit sighting vector pointing in the general direction of the origin of the projectile. When the transducers are in an equilateral triangle configuration, as shown in FIG. 1, the origin of the vector will be at the point 66 of FIG. 1, and, thus, the calculation is considerably simplified. However, the calculation can be made irrespective of the configuration of the transducers for the sensors by geometrical calculations. It should be appreciated that, for example, an automobile may be provided with a plurality of transducers, e.g. 10, 20 or 50, spaced around the automobile and a group of three transducers form a sensor. The three grouped transducers forming a sensor need not be those immediately and sequentially hit by the wave and could be, for example, the first, fifth and tenth, depending on the positions thereof, which are more appropriate to the detected blast wave. The computer can be easily programmed to select a group of three (or groups of three) transducers to form a sensor (or plurality of sensors) by analysis of the blast wave received by all or part of the transducers.」

<日本語訳>

「 時間関係から、少なくとも一つのセンサから爆発波の起点までの少なくとも一つの単位照準ベクトルを、または少なくとも二つのセンサから、爆発波の起点の距離を、決定することに関して、爆発波が第一の変換器を通過するとき、その圧力が、その変換器例えば圧電装置内で信号を生成するということが認識されよう。同様に、爆発波による第二のヒットの変換器から信号が生成され、同様に、その爆発波による第三のヒットの変換器により信号が生成される。三つの変換器のヒットの間の時間経過は、投射物の起点の概略方向を示す単位照準ベクトルの方位及び仰角に比例する。変換器が図1に示すように正三角形の外形にあるとき、ベクトルの起点は、図1の点66に在って、従って計算はかなり単純化される。
しかしながら、計算は、幾何学的計算によるセンサに対する変換器の外形に関係なく、行なわれ得る。例えば、自動車が、複数の変換器例えば自動車の周りに隔置された変換器10,20または50即ち一つのセンサを構成する三つの変換器の一グループを備え得るということが、認識されるべきである。一つのセンサを構成する三つのグループ化された変換器は、波による即時に且つ順次にヒットされる変換器である必要はなく、その位置によって検出された爆発波に対してより適正である例えば第一,第五及び第十であり得る。コンピュータは、変換器のすべてまたは一部によって受けられる爆発波の解析によって、一つのセンサ(または複数個のセンサ)を構成するように、三つ(または三つのグループの)変換器の一グループを選択するために、容易にプログラムされ得る。」

d 第9欄42-55行

「 While the apparatus of the invention may be disposed on any particular piece of equipment, such as an automobile, armored personnel carrier, or the like, it may also be disposed on weapons used for protection, such as those shown in FIGS. 3 and 4. As shown in FIG. 3, three sensors 120, 121 and 122 may be mounted on a rifle (only two are required for distance determination), along with the appropriate data processing unit 123, referred to as an acoustical signal processing unit (ASPU). One of the sensors is mounted on the barrel 124 of the rifle, while one or two (as shown in the drawing) are mounted on retractable sensor arms 125 and 126. This provides sensors for determining both the general direction of the origin of the projectile and the general distance of the origin of the projectile.」

<日本語訳>

「 本発明の装置は、自動車,装甲兵員輸送車等のような車両の任意の特定部品に配設され得るが、図3及び図4に示されるような防御のために使用される武器に配設されてもよい。図3に示されるように、三つのセンサ120,121及び122(二つのみが距離決定のために必要である)が、音響信号処理ユニット(ASPU)と呼ばれる適宜のデータ処理ユニット123と共に、小銃に装着されてもよい。センサの一つは、小銃の銃身124に取り付けられ、一つまたは(図面にしめられているように)二つのセンサが、格納式センサアーム125及び126上に取り付けられる。これは、投射物の起点の概略方向及び投射物の起点の概略距離の双方を決定するためのセンサを備えることになる。」

e 図3

「
[図:0001396999000012.jpg]
」

f 第9欄64-67行

「 FIG. 5 shows another application where a portable unit is provided having sensors 140, 141 and 142 such that, for example, a protecting military person may determine the direction of sniper or assassin fire.」

<日本語訳>

「 図5は、センサ140,141及び142を有するポータブルユニットが、例えば防御軍兵が狙撃者または暗殺者の方位を決定し得るように、備えられている、他の応用例を示している。」

g 図5

「
[図:0001396999000013.jpg]
」

(イ) 周知技術1の認定

a 前記(ア)において摘記した引用文献5の記載事項(特に図1、図3及び図5を参照)から、爆発波により生じる圧力に対応して信号を生成し得る三つの音響変換器を一つのグループとして構成したセンサであって、爆発波が三つの音響変換器を通過するときの時間関係から、爆発波の起点の概略方向を示す単位照準ベクトルを検知するセンサを、三角形の頂点の位置にそれぞれ配置することが読み取れる。

b 前記aを踏まえると、次の事項は当業者にとって周知の技術であったと認められる(以下「周知技術1」という)。

[周知技術1]

「音波の発生源の方向ベクトルを検知する複数のセンサーからなるベクトルセンシングユニットを三つ用意して、三角形の頂点の位置にそれぞれ配置すること。」

エ 引用文献11、12

(ア) 引用文献11の記載事項

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当審において新たに引用する文献である特開2003-315317号公報(以下「引用文献11」という。)には、次の事項が記載されている。

a 【0010】~【0018】

「【0010】なお、上記本発明において言うコンクリート構造物は、緊張材が使用されているプレストレストコンクリート構造物であれば特に限定されるものはないが、道路や鉄道などの橋梁,高層ビル,ダム,トンネルなどが挙げられる。また、上記本発明で言うセンサーとは、固体が変形もしくは破壊する際に開放されるエネルギーによって生じる弾性波を検出するセンサーであって、AEセンサー,超音波センサー,加速度センサー,マイクロフォンなどが挙げられる。更に、上記本発明において行う警告表示は、警告灯の点灯,警告音の発報,モニター画面への警告表示など、その方法は特に限定させるものではない。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、上記した本発明にかかるコンクリート構造物の監視システムの一例を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】図1及び図2は、本発明にかかるコンクリート構造物の監視システムを、高速道路の橋梁の監視に適用した場合の実施の形態を概念的に示した図である。
続きを表示(全11行)
【0013】同図において、1は橋梁全体を示し、2は橋脚、3は橋脚2,2間に差し渡された橋桁、4は橋桁3,3間に充填された間詰めコンクリート、5は舗装コンクリート板、6は高欄である。上記橋桁3は、経時的な繰り返し荷重に耐えられるよう、緊張材7を複数本(図においては1本のみ表示)埋設したプレストレストコンクリート構造物とされている。
【0014】上記橋桁3には、図1及び図2に示したように適当な間隔をあけて複数個の測定ユニット10が設置されている。この測定ユニット10の各々は、緊張材7が埋設された部位近傍に設置されていると共に、図1~図3に示したようにケーブルK、或いは図4に示したようにアンテナAによって遠く離れた位置に設置されたメイン処理装置20と電気的に接続されている。
【0015】上記測定ユニット10の各々には、図5に示したように橋桁3内を伝播する弾性波を検出するAEセンサー11、該AEセンサー11の出力を増幅する増幅器12、該増幅器12からの出力をデジタル化するA/Dコンバータ13、前記デジタル化された弾性波に関するデータを記憶するメモリ(例えば、シフトレジスタ)14、後記する制御を行う制御部(例えば、プログラマブルコントローラ)15、前記制御部15によって制御される警告灯16及び送受信手段17が設けられている。
【0016】
(省略)
【0017】上記測定ユニット10に設けられた制御部15は、上記AEセンサー11が検出した弾性波に関するデータを、常時比較器(図示せず)において基準値(例えば、緊張材の破断に基づく弾性波に関するデータの最小値)と比較し、該基準値を越える弾性波がAEセンサー11によって検出された場合には、上記警告灯16を点灯させる制御を行うと共に、上記送受信手段17を介してその旨をメイン処理装置20に送信する制御を行う。また、上記制御部15は、上記送受信手段17を介してメイン処理装置20からデータ送信指示を受けた場合には、その前後の所定時間内にメモリ14に記憶された弾性波に関するデータを、上記送受信手段17を介してメイン処理装置20に送信する制御を行う。
【0018】一方、上記メイン処理装置20のパーソナルコンピュータ21は、上記送受信手段22を介して上記いずれかの測定ユニット10から基準値を越える弾性波を検出した旨の送信を受けた場合に、該基準値を越える弾性波を検出した測定ユニット10を中心とした所定範囲内にある各測定ユニット10に対して、或いは該メイン処理装置20と電気的に接続された全ての各測定ユニット10に対してメモリ14に記憶されたデータを送信する指示を上記送受信手段22を介して行うと共に、各測定ユニット10から送信されたデータを上記送受信手段22を介して受信し、該受信したデータを解析して橋桁3に埋設された緊張材7の破断位置を特定すると共に、上記メイン警告灯23を点灯させる処理を行う。なお、上記緊張材7の破断位置の特定は、例えば、パーソナルコンピュータ21が、受信したデータから各測定ユニット10の各々が緊張材7の破断に基づく弾性波を検知した時間差を求め、該時間差と各測定ユニット10の設置位置との関係から、どの位置で緊張材7の破断が生じたかを計算する処理を行うことにより特定できる。」

b 【図1】

「
[図:0001396999000014.jpg]
」

c 【図2】

「
[図:0001396999000015.jpg]
」

d 【図3】

「
[図:0001396999000016.jpg]
」

e 【図4】

「
[図:0001396999000017.jpg]
」

f 【図5】

「
[図:0001396999000018.jpg]
」

(イ) 引用文献12の記載事項

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当審において新たに引用する文献である特開2016-61701号公報(以下「引用文献12」という。)には、次の事項が記載されている。

a 【0009】~【0011】

「【0009】
図1はポストテンション方式のプレストレストコンクリート21の説明図である。プレストレストコンクリート21は、コンクリート内部に、鉄筋22及びシース23を備える。シース23内には、PCケーブルがグラウトにより固定されている。このPCケーブルにより、プレストレストコンクリート21に所定の圧縮力が付与される。これによりプレストレストコンクリート21が荷重を受けたときに生じる応力を打ち消すことができるので、プレストレストコンクリート21にひび割れが生じないようにすることができる。
【0010】
ここでグラウトの充填不足等によりシース23内に空隙があると、PCケーブルの腐食や破断等が起こり易くなる。プレストレストコンクリート21の表面にAEセンサを配置することにより、PCケーブルの破断時の音波を検知することができる。具体的には、AEセンサはプレストレストコンクリート21から発生する音波を検知し、検知された音波を電気信号に変換する。以下、この電気信号をAE信号(検知信号)という。
【0011】
またプレストレストコンクリート21の表面にAEセンサを複数置くことにより、信号分析の信頼性を上げたり、音波の到達時刻の差等から、PCケーブルの破断位置を特定したりすることができる。」

b 【図1】

「
[図:0001396999000019.jpg]
」

c 【0019】~【0020】

「【0019】
センサモジュール10はセンサノード11からAE信号(検知信号)を受信し、AE信号に基づく処理を行う装置である。センサノード11はプレストレストコンクリート21から発生する音波を検知し、検知された音波をAE信号に変換する。センサノード11は、例えばプレストレストコンクリート21の表面に設置される圧電素子センサである。
【0020】
なおセンサモジュール10の数nは任意でよい。またセンサモジュール10に接続されるセンサノード11の数は4つに限られず任意でよい。またセンサモジュール10に接続されるセンサノード11の数は、センサモジュール10毎に異なっていてもよい。」

d 【図3】

「
[図:0001396999000020.jpg]
」

e 【0027】~【0039】

「【0027】
次に実施形態のセンサモジュール10の構成の例について説明する。
【0028】
図5は実施形態のセンサモジュール10の構成の例を示す図である。センサモジュール10は、センサノード11a、センサノード11b、センサノード11c、及び、センサノード11dと接続されている。センサモジュール10は、比較部12、通信部13、AFE(Analog Front End)14a、AFE14b、AFE14c、AFE14d、演算部15及び電源部16を備える。
続きを表示(全12行)
【0029】~【0036】
(省略)
【0037】
通信部13は他の機能ブロック又は他の装置と通信する。例えばセンサモジュール10が第1稼働状態の通信部13は、比較部12から復帰信号の送信を要求された場合、演算部15と、休止状態の他のセンサモジュール10の通信部13と、に復帰信号を送信する。休止状態の他のセンサモジュール10の通信部13は、復帰信号を受信すると、復帰信号を演算部15に入力する。なお通信部13の通信方式は、有線でも無線でもよい。
【0038】
AFE14は、センサモジュール10が第2稼働状態のとき、センサノード11からAE信号を受け付ける。AFE14はAE信号を調整する。AFE14の調整は、例えばAE信号の増幅、及び、AE信号の雑音成分の除去等である。AFE14は調整されたAE信号を演算部15に入力する。以下、本実施形態の説明では、調整されたAE信号と、AE信号との間に本質的な差異はないので、簡単のため、AFE14から出力された信号も単にAE信号という。
【0039】
演算部15は演算等の処理を行う。演算部15は、例えばMPU(Micro Processing Unit)である。演算部15は、例えばセンサモジュール10が第2稼働状態のとき、AFE14からAE信号を受け付ける。演算部15はAE信号に所定の演算を行い、演算結果に基づく所定のパラメータ又は警告を、通信部13を介して後述のサーバ装置に送信する。」

f 【図5】

「
[図:0001396999000021.jpg]
」

(ウ) 技術常識1の認定

前記(ア)に摘記した引用文献11の【0010】の記載に例示されるように、次の技術事項は、技術常識(以下「技術常識1」という。)であると認められる。

[技術常識1]

「AEセンサー、マイクロフォンなどをセンサーとして用いることにより、固体が変形もしくは破壊する際に開放されるエネルギーによって生じる弾性波を検出できること。」

(エ) 技術常識2の認定

前記(イ)に摘記した引用文献12の【0019】、【0020】、【0028】、【0039】の記載に例示されるように、次の技術事項は、技術常識(以下「技術常識2」という。)であると認められる。

[技術常識2]

「AEセンサモジュールが、所定の演算を行い演算結果を出力する演算部を備えること。」

(オ) 技術常識3の認定

前記(ア)に摘記した引用文献11の【0014】、【図3】、【図4】の記載や、前記(イ)に摘記した引用文献12の【0037】の記載に例示されるように、次の技術事項は、技術常識(以下「技術常識3」という。)であると認められる。

[技術常識3]

「AEセンシングユニットの各々から位置標定手段に情報を送信する方式としては、有線又は無線のいずれでもよいこと。」

(3) 引用文献8を主たる引用文献とした場合の対比・判断

ア 対比

本件補正発明と引用発明8を対比する。

(ア) 引用発明8の「複数のマイクロフォンM1~M5」は、「音源から伝播される音の音圧信号の大きさである音圧レベルをそれぞれ測定するもの」であるから、本件補正発明の「複数のセンサ」に相当する。

引用発明8では、「4個のマイクロフォンM1~M4を、互いに直交する2直線上にそれぞれ所定の間隔で配置された2組のマイクロフォン対(M1,M3)及びマイクロフォン対(M2,M4)を構成するように配置するとともに、第5のマイクロフォンM5を前記マイクロフォンM1~M4の作る平面上にない位置、詳細には、マイクロフォンM1~M4の作る正方形を底面とする四角錐の頂点の位置に配置するもの」であるから、マイクロフォンM1~M5は所定のセンサ間隔で配置されているといえる。

したがって、本件補正発明と引用発明8は、「所定のセンサ間隔で配置された複数のセンサ」を備える点で一致する。

(イ) 引用発明8では、「マイクロフォンM1,M3に入力する音圧信号の到達時間差D13」、「マイクロフォンM2,M4に入力する音圧信号の到達時間差D24」、「マイクロフォンM1~M5間の到達時間差Dij」等、二つのマイクロフォンに入力する音圧信号の到達時間差を求めているから、複数のセンサへ音波が到達した時刻差を計測する時間計測部を有していることは明らかといえる。

したがって、本件補正発明と引用発明8は、「前記複数のセンサへ波動が到達した時刻差を計測する時間計測部」を備える点で共通する。

(ウ) 引用発明8では、「音の入射方向の水平角θを表す(1)式」により、「マイクロフォンM1,M3に入力する音圧信号の到達時間差D13と、マイクロフォンM2,M4に入力する音圧信号の到達時間差D24との比から、第1の観測点P1からみた音源方向の水平角θ1を推定」し、「音の入射方向の仰角φを表す(2)式」により、「マイクロフォンM1~M5間の到達時間差Dijから第1の観測点P1からみた音源方向の仰角φ1を推定」するところ、「第1の観測点P1」には、「複数のマイクロフォンM1~M5」を含む「音・映像採取ユニット10」が設置されているから、時刻差に基づいて、音波が複数のセンサに対して入射した入射角度を算出しており、入射角度を算出する角度算出部を有していることは明らかといえる。

したがって、本件補正発明と引用発明8は、「前記時刻差に基づいて、前記波動が前記複数のセンサに対して入射した入射角度を算出する角度算出部」を備える点で共通する。

(エ) 引用発明8では、「第1の観測点P1からみた音源方向の水平角θ1と第2の観測点P2からみた音源方向の水平角θ2とから音源の位置座標の水平成分(xk,yk)を求め、求められた水平成分(xk,yk)と第1の観測点P1の位置座標の水平成分(x1,y1)とから第1の観測点P1と音源との水平距離Lxyを算出し」、「前記水平距離Lxyと第1の観測点P1からみた音源方向の仰角φ1とから第1の観測点P1と音源との距離Lを算出」しているから、入射角度に基づいて音波の発生源を標定しており、入射角度に基づいて音波の発生源を標定する位置標定部を有していることは明らかといえる。

したがって、本件補正発明と引用発明8は、「前記入射角度に基づいて、前記波動の発生源を標定する位置標定部」を備える点で共通する。

(オ) 引用発明8の「第1の観測点P1」には、「複数のマイクロフォンM1~M5」を含む「音・映像採取ユニット10」が設置されており、「第2の観測点P2」には、「第5のマイクロフォンとカメラとを有しないこと以外は音・映像ユニット10と同構成」の「複数のマイクロフォンM6~M9」を含む「音採取ユニット20」が設置されているところ、「音・映像採取ユニット10」及び「音採取ユニット20」は、いずれもセンシングユニットであるといえる。

したがって、本件補正発明と引用発明8は、「少なくとも前記複数のセンサを備えるセンシングユニットを複数備える」点で共通する。

(カ) 引用発明8の「音源推定システム」は、本件補正発明の「位置標定システム」に相当する。

したがって、本件補正発明と引用発明8は、「位置標定システム」の発明である点で一致する。

イ 一致点及び相違点の認定

前記アの対比の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明8は、次の一致点Aにおいて一致し、以下の相違点1A~3Aにおいて相違する。

(ア) 一致点A

「 所定のセンサ間隔で配置された複数のセンサと、
前記複数のセンサへ波動が到達した時刻差を計測する時間計測部と、
前記時刻差に基づいて、前記波動が前記複数のセンサに対して入射した入射角度を算出する角度算出部と、
前記入射角度に基づいて、前記波動の発生源を標定する位置標定部と、
を備え、
少なくとも前記複数のセンサを備えるセンシングユニットを複数備える、
位置標定システム。」

(イ) 相違点

a 相違点1A

本件補正発明においては、「波動」が「弾性波」であるのに対して、

引用発明8においては、「波動」が「音波」である点。

b 相違点2A

本件補正発明においては、「前記所定のセンサ間隔は、センサの周波数特性と、前記センサから出力される電気信号を処理する電子回路との合成特性で決まる観測対象周波数fと、前記弾性波の伝搬速度vとに基づいて、

d<v/f

の関係を満たす距離」であるのに対して、

引用発明8においては、「マイクロフォン対(M1,M3),(M2,M4)のマイクロフォン間隔」であるLが、「計測する音の最大波長により決定される値で、周波数帯域が50Hz~500Hzの範囲のいわゆる低周波数帯域の音を含む音源を計測するため、L=300mm」である点。

c 相違点3A

本件補正発明においては、「センシングユニット」が「少なくとも前記複数のセンサと、前記時間計測部と、前記角度算出部を備えるベクトルセンシングユニット」であり、「ベクトルセンシングユニットを3つ以上備え、前記ベクトルセンシングユニットが略正三角形の頂点となる位置に配置され、前記ベクトルセンシングユニットが、前記角度算出部により算出された前記入射角度の情報を無線で前記位置標定部に送信する」のに対して、

引用発明8においては、「演算・表示装置30」の「音源方向推定手段35」が、「第1の観測点P1からみた音源方向の水平角θ1と仰角φ1」、「第2の観測点P2からみた音源方向の水平角θ2」を演算し、二つのユニットである「音・映像ユニット10」及び「音採取ユニット20」が、「距離をKだけ離れた」「第1の観測点P1」及び「第2の観測点P2」にそれぞれ設けられている点。

ウ 判断

(ア) 相違点1Aについての判断

a 本願の明細書の段落【0002】には、背景技術の説明として「例えば、内部亀裂の発生、又は、内部亀裂の進展に伴い発生する弾性波を、高感度センサにより検出するAE(Acoustic Emission:アコースティック・エミッション)方式により、構造物の損傷を検出する技術が提案されている。AEは、材料の疲労亀裂の進展に伴い発生する弾性波である。」と記載されているから、本件補正発明の「弾性波」とは、材料の疲労亀裂の進展に伴い発生する波動であると解するのが相当である。

b ここで、引用発明1では、材料あるいは構造物に塑性変形が生じたりクラックが発生したりすると発生する衝撃波(AE波)を測定することにより、構造物等の健全性を監視しており(前記引用発明1を参照。以下同様である。)、上記衝撃波(AE波)は、材料の疲労亀裂の進展に伴い発生する波動であるといえるから、引用発明1の「衝撃波(AE波)」は、本件補正発明の「弾性波」に相当する。

c また、引用発明1では、AE波の発生位置を標定する原理として、構造物に数個のAEセンサを配置して、AE波がこれらの各AEセンサーに到達する時間差に基づいて方程式を立て、これを解くことにより発生位置(AE発生位置)を求めており、音波かAE波かという波動の分類上の違いはあるにせよ、波の発生源(波源)から各センサーに到達する波動の時間差に基づいて波源の位置標定を行う点においては、引用発明8と引用発明1との間に原理上の差異は認められない。

d さらに、「AEセンサー、マイクロフォンなどをセンサーとして用いることにより、固体が変形もしくは破壊する際に開放されるエネルギーによって生じる弾性波を検出できること」は技術常識であるから(前記技術常識1を参照)、引用発明8の「マイクロフォン」を弾性波(AE波)の検出に用いることも可能である。

e そうすると、引用発明8の測定システムを、引用発明1のAE波の発生位置の標定に適用することに格別の困難性はなく、引用発明8をAE波の発生源の位置を標定するシステムとして構成することにより、前記相違点1Aに係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(イ) 相違点2Aについての判断

a 引用発明8においては、「マイクロフォン対(M1,M3),(M2,M4)のマイクロフォン間隔」が「計測する音の最大波長により決定される値」であるとしており、計測する音波の波長を考慮してマイクロフォン間隔を設定しているといえる。

b ここで、引用発明8の複数のマイクロフォンの間隔が大きければ、各マイクロフォンと音源の距離の差が大きくなって、振幅の減衰度合いが異なる異質の音波を検出してしまい、マイクロフォン間の到達時間差を正しく測定できなくなる可能性があることは明らかであるから、引用発明8においても、近接配置する複数のマイクロフォンに可能な限り同質の音波が入力されるように、マイクロフォン間隔Lを、計測する音波の波長λよりも小さい間隔(L<λ)とすることは、当業者にとって自明な設計事項である。

c また、引用発明8においては、「増幅器31はローパスフィルタを備え、指令信号が入力されると、マイクロフォンM1~M5で採取した音の音圧信号とマイクロフォンM6~M9で採取した音の音圧信号とからそれぞれ高周波ノイズ成分を除去」しているところ、観測される周波数は、マイクロフォンの周波数特性と、上記ローパスフィルタを含む演算・表示装置30の周波数特性により規定されるから、マイクロフォン間隔Lを設定する際に考慮すべき波長λを、これらの測定系全体の周波数特性により規定された周波数fと伝搬速度vにより、λ=v/fとして算出することは、当業者ならば当然なすべき設計事項である。

d 以上より、前記相違点2Aに係る本件補正発明の構成とすることは、当業者にとって自明な設計事項の範囲内のものにすぎず、格別のものではない。

(ウ) 相違点3Aについての判断

a 「音波の発生源の方向ベクトルを検知する複数のセンサーからなるベクトルセンシングユニットを三つ用意して、三角形の頂点の位置にそれぞれ配置すること」は、当業者にとって周知技術である(前記周知技術1を参照)。

b 引用発明8においては、二つのセンシングユニットである「音・映像ユニット10」及び「音採取ユニット20」が「距離をKだけ離れた」「第1の観測点P1」及び「第2の観測点P2」にそれぞれ設けられているところ、前記周知技術1を引用発明8に適用して、これらのセンシングユニットを音源の方向ベクトルを検知するベクトルセンシングユニットとして構成した上で三つ用意し、正三角形の頂点の位置にそれぞれ配置することは、当業者が容易になし得た設計変更にすぎない。

c また、「AEセンサモジュールが、所定の演算を行い演算結果を出力する演算部を備えること」は、当業者にとって技術常識であるから(前記技術常識2を参照)、かかる技術常識を踏まえると、ベクトルセンシングユニットのそれぞれが、時間計測部及び角度算出部を備えるように構成することは、当業者にとって自明な設計変更にすぎない。

d さらに、「AEセンシングユニットの各々から位置標定手段に情報を送信する方式としては、有線又は無線のいずれでもよいこと」は、当業者にとって技術常識であるから(前記技術常識3を参照)、ベクトルセンシングユニットが、角度算出部により算出された入射角度の情報を無線で位置標定部に送信することは、格別の事項ではない。

e 以上より、前記相違点3Aに係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(エ) 総合評価

前記相違点1A~3Aを総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する効果としては、引用発明8、引用発明1、周知技術1及び技術常識1~3から当業者が予測困難で、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。

したがって、本件補正発明は、引用発明8、引用発明1、周知技術1及び技術常識1~3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4) 引用文献1を主たる引用文献とした場合の対比・判断

ア 対比

本件補正発明と引用発明1を対比する。

(ア) 引用発明1の「1組が4個で構成され」る「AEセンサS1~S4」は、本件補正発明の「複数のセンサ」に相当する。

引用発明1の「AEセンサS1~S4」は、「AEセンサS1~S3が三角形の頂点をなす様に配設され」、「AEセンサS4がその三角形の中心に位置する様に配設されており」、所定のセンサ間隔で配置されているといえる。

したがって、本件補正発明と引用発明1は、「所定のセンサ間隔で配置された複数のセンサ」を備える点で一致する。

(イ) 引用発明1は、「Pの位置がAE発生位置であるとすると、このPの位置からその組の各AEセンサS1~S4に衝撃波が到達する時間t1~t4はそれぞれ異なるため、その時間差に基づいて位置標定装置51によりAE発生位置を標定するもの」であるところ、上記「衝撃波」は、「材料あるいは構造物に塑性変形が生じたり、クラックが発生したりすると」「発生する」ものであり、本件補正発明の「弾性波」に相当するから、引用発明1でも、複数のセンサへ弾性波が到達した時刻差を計測しており、時間計測部を有していることは明らかといえる。

したがって、本件補正発明と引用発明1は、「前記複数のセンサへ弾性波が到達した時刻差を計測する時間計測部」を備える点で一致する。

(ウ) 引用発明1の「AE発生位置」は、本件補正発明の「前記弾性波の発生源」の位置に相当するから、「AE発生位置を標定する」「位置標定装置51」は、本件補正発明の「前記弾性波の発生源を標定する位置標定部」に相当する。

したがって、本件補正発明と引用発明1は、「前記弾性波の発生源を標定する位置標定部」を備える点で共通する。

(エ) 引用発明1の「AEモニタ装置」は、本件補正発明の「位置標定システム」に相当するから、本件補正発明と引用発明1は、「位置標定システム」の発明である点で一致する。

イ 一致点及び相違点の認定

前記アの対比の検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明1は、次の一致点Bにおいて一致し、以下の相違点1B~3Bにおいて相違する。

(ア) 一致点B

「 所定のセンサ間隔で配置された複数のセンサと、
前記複数のセンサへ弾性波が到達した時刻差を計測する時間計測部と、
前記弾性波の発生源を標定する位置標定部と、
を備えた、位置標定システム。」

(イ) 相違点

a 相違点1B

本件補正発明は、「前記時刻差に基づいて、前記弾性波が前記複数のセンサに対して入射した入射角度を算出する角度算出部」を備えており、「前記入射角度に基づいて」、前記弾性波の発生源を標定しているのに対して、

引用発明1は、時間差に基づいてAE波が複数のAEセンサS1~S4に対して入射した入射角度を算出しておらず、入射角度に基づいてAE発生位置を標定していない点。

b 相違点2B

本件補正発明では、「前記所定のセンサ間隔は、センサの周波数特性と、前記センサから出力される電気信号を処理する電子回路との合成特性で決まる観測対象周波数fと、前記弾性波の伝搬速度vとに基づいて、

d<v/f

の関係を満たす距離」であるのに対して、

引用発明1では、「AEセンサS1~S4」のセンサ間隔が、そのような関係を満たすように設定されたものであるか不明である点。

c 相違点3B

本件補正発明では、「少なくとも前記複数のセンサと、前記時間計測部と、前記角度算出部を備えるベクトルセンシングユニットを3つ以上備え、前記ベクトルセンシングユニットが略正三角形の頂点となる位置に配置され、前記ベクトルセンシングユニットが、前記角度算出部により算出された前記入射角度の情報を無線で前記位置標定部に送信する」のに対して、

引用発明1では、4個の「AEセンサS1~S4」を「1組」として構成しているものの、組ごとに時間計測部や角度算出部を備えるものではなく、各組の配置も正三角形の頂点にあるとはいえない点。

ウ 判断

(ア) 相違点1Bについての判断

a 引用発明8では、音源からの音波が各マイクロフォンに到達する時間差に基づいて、音源方向の水平角θ及び仰角φを計算し、これらの角度に基づいて、音源を推定しており(前記引用発明8を参照。以下同様である。)、AE波か音波かという波動の分類上の違いはあるにせよ、波の発生源(波源)から各センサーに到達する波動の時間差に基づいて波源の位置標定を行う点においては、引用発明1と引用発明8との間に原理上の差異は認められない。

b そして、「AEセンサー、マイクロフォンなどをセンサーとして用いることにより、固体が変形もしくは破壊する際に開放されるエネルギーによって生じる弾性波を検出できること」は技術常識であるから(前記技術常識1を参照)、引用発明8の「マイクロフォン」を弾性波(AE波)の検出に用いることも可能である。

c そうすると、引用発明1において、引用発明8を適用して、AE発生位置の標定を、AE波の到達時間差に基づいて算出された複数のAEセンサに対するAE波の入射角度に基づいて行うために角度算出部を設けることにより、前記相違点1Bに係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(イ) 相違点2Bについての判断

a 引用発明1の複数のAEセンサの間隔が大きければ、各AEセンサとAE波の発生位置との距離の差が大きくなって、振幅の減衰度合いが異なる異質のAE波を検出してしまい、AEセンサ間の到達時間差を正しく測定できなくなる可能性があることは明らかであるから、引用発明1においても、近接配置する複数のAEセンサに可能な限り同質のAE波が入力されるように、AEセンサ間隔Lを、計測するAE波の波長λよりも小さい間隔(L<λ)とすることは、当業者にとって自明な設計事項である。

b また、引用発明1の「AEモニタ装置」が観測する周波数は、測定系全体の周波数特性により規定されるから、AEセンサ間隔Lを設定する際に考慮すべき波長λを、測定系全体の周波数特性により規定された周波数fと伝搬速度vにより、λ=v/fとして算出することは、当業者ならば当然なすべき設計事項である。

c 以上より、前記相違点2Bに係る本件補正発明の構成とすることは、当業者にとって自明な設計事項の範囲内のものにすぎず、格別のものではない。

(ウ) 相違点3Bについての判断

a 「音波の発生源の方向ベクトルを検知する複数のセンサーからなるベクトルセンシングユニットを三つ用意して、三角形の頂点の位置にそれぞれ配置すること」は、当業者にとって周知技術である(前記周知技術1を参照)。

b 引用発明1においては、4個の「AEセンサS1~S4」を「1組」のセンシングユニットとして構成しているところ、前記周知技術1を引用発明1に適用して、1組のセンシングユニットをAE波の方向ベクトルを検知するベクトルセンシングユニットとして構成した上で三組用意し、正三角形の頂点の位置にそれぞれ配置することは、当業者が容易になし得た設計変更にすぎない。

c また、「AEセンサモジュールが、所定の演算を行い演算結果を出力する演算部を備えること」は、当業者にとって技術常識であるから(前記技術常識2を参照)、かかる技術常識を踏まえると、ベクトルセンシングユニットのそれぞれが、時間計測部及び角度算出部を備えるように構成することは、当業者にとって自明な設計変更にすぎない。

d さらに、「AEセンシングユニットの各々から位置標定手段に情報を送信する方式としては、有線又は無線のいずれでもよいこと」は、当業者にとって技術常識であるから(前記技術常識3を参照)、ベクトルセンシングユニットが、角度算出部により算出された入射角度の情報を無線で位置標定部に送信することは、格別の事項ではない。

e 以上より、前記相違点3Bに係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(エ) 総合評価

前記相違点1B~3Bを総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する効果としては、引用発明1、引用発明8、周知技術1及び技術常識1~3から当業者が予測困難で、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。

したがって、本件補正発明は、引用発明1、引用発明8、周知技術1及び技術常識1~3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5) 請求人の主張について

ア 審判請求書の主張内容

請求人の主張は、概略次のとおりである。

(ア) 構成の相違点について

引用発明1及び8は、少なくとも複数のセンサと、時間計測部と、角度算出部を備えるベクトルセンシングユニットを備えず、当該ベクトルセンシングユニットが略正三角形の頂点となる位置に配置されておらず、各ベクトルセンシングユニットが、角度算出部により算出された入射角度の情報を無線で位置標定部に送信しない。

引用発明1では、そもそも角度算出部に関する構成はない。

引用発明8では、図1に示すように1つの演算表示装置に音源の方向を推定する構成(「角度算出部」に相当)が備えられ、各装置(例えば、音・映像採取ユニットと音採取ユニット)により収集された音の音圧信号に基づいて音源方向を推定しているが、弾性波を収集する構成(複数のセンサ)と、弾性波がセンサに対して入射した入射角度を算出する構成(角度算出部)とが1つのユニットとして構成されていない。

(イ) 効果について

本件補正発明では、「ベクトルセンシングユニット10間の時刻精度が位置標定精度に依存しないため、時刻同期精度を大幅に緩和することができる。その結果必要時刻同期精度が緩和されることで、ベクトルセンシングユニット10単位での無線化が容易になる」との効果を奏するが(段落0041)、引用発明1及び8では、センサ間の厳密な時刻同期が必要であるため、センサからセンサ信号を処理する信号処理部までは有線接続しなければならない。

イ 請求人の主張に対する当審の判断

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本件補正発明と引用発明1、8の相違点については、それぞれ相違点1B~3B、相違点1A~3Aとして検討したとおり、上記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるから、請求人の主張(ア)を採用することはできない。

また、本件補正発明の奏する効果についても、総合評価として検討したとおり、当業者が予測困難で、かつ、格別顕著な効果を認めることはできないから、請求人の主張(イ)も採用することはできない。

(6) 小括

以上検討のとおり、本件補正発明は、引用文献8、引用文献1のいずれを主たる引用文献としても、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

よって、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

したがって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明について

本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~7に係る発明は、令和3年10月4日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は前記第2の1(1)に摘記した請求項1に記載された事項により特定されるとおりである。

2 原査定における拒絶の理由の概要

原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての進歩性欠如の理由は、次のとおりである。

なお、原査定においては、引用文献1を主たる引用文献とする進歩性欠如の理由と、引用文献8を主たる引用文献とする進歩性欠如の理由の二つの理由が示されている。

本願発明は、下記の引用文献1、8に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

記

引用文献1:特開昭55-78249号公報
引用文献8:特開2012-150059号公報

3 引用文献に記載された事項

上記引用文献8には、第2の3(2)ア(イ)において認定したとおりの引用発明8が記載されていると認められる。

上記引用文献1には、第2の3(2)イ(イ)において認定したとおりの引用発明1が記載されていると認められる。

また、技術常識1は、第2の3(2)エ(ウ)において認定したとおりである。

4 対比・判断

(1) 本願発明は、本件補正発明における次のア~ウの発明特定事項を省いたものである(前記第2の2(1)参照)。

ア 「 少なくとも前記複数のセンサと、前記時間計測部と、前記角度算出部を備えるベクトルセンシングユニットを3つ以上備え」ること

イ 「前記ベクトルセンシングユニットが略正三角形の頂点となる位置に配置され」ること

ウ 「前記ベクトルセンシングユニットが、前記角度算出部により算出された前記入射角度の情報を無線で前記位置標定部に送信する」こと

(2) 本願発明と引用発明8の相違点は、前記の相違点1A及び相違点2Aの点である(前記第2の3(3)イ(イ)参照)。

ここで、前記相違点1A及び相違点2Aについての判断は、前記第2の3(3)ウ(ア)及び(イ)において説示したとおりであるところ、本願発明についても同様に、前記相違点1A及び2Aに係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明の奏する作用効果としては、引用発明8、引用発明1及び技術常識1からは予測困難で、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。

したがって、本願発明は、引用発明8、引用発明1及び技術常識1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3) 本願発明と引用発明1の相違点は、前記の相違点1B及び相違点2Bの点である(前記第2の3(4)イ(イ)参照)。

ここで、前記相違点1B及び相違点2Bについての判断は、前記第2の3(4)ウ(ア)及び(イ)において説示したとおりであるところ、本願発明についても同様に、前記相違点1B及び2Bに係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明の奏する作用効果としては、引用発明1、引用発明8及び技術常識1からは予測困難で、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。

したがって、本願発明は、引用発明1、引用発明8及び技術常識1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上検討のとおりであるから、本願発明は、引用文献8、引用文献1のいずれを主たる引用文献としても、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-009379

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