特許拒絶査定不服審判
2022-008526
室外機排気冷却装置
- 審判番号
- 2022-008526
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-128525外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年06月06日
- 審決日
- 2023年03月06日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (F24F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-128525「室外機排気冷却装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 2月16日出願公開、特開2023- 23222〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年8月4日の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和3年10月4日付けで拒絶の理由の通知
令和3年12月7日に意見書及び手続補正書の提出
令和4年3月1日付けで拒絶査定
令和4年6月6日に拒絶査定不服審判の請求及びその請求と同時に手続補正書の提出
令和4年11月24日付けで当審における拒絶の理由の通知
令和5年1月25日に意見書提出
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和4年6月6日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
エアコンディショナーの室外機の送風口から送風される温風を冷却して排出する室外機排気冷却装置であって、
室外機の送風口が対向する位置に配置された、気化熱を奪う気化フィルタと、
前記気化フィルタの下方に配した作動水を貯留する貯水タンクと、
気化フィルタの上方に配した、該気化フィルタに作動水を供給する給水配管と、
前記貯水タンク内の作動水を吸い上げる給水ポンプと、
前記給水ポンプの吐出口と前記給水配管とを接続する送水配管と、
水道管に接続されて、貯水タンクに給水する水道配管と、
を備え、
前記水道配管から水道水を、貯水タンクの水位の低下により開放される給水弁を介して貯水タンクに供給させることを特徴とする室外機排気冷却装置。」
第3 令和4年11月24日付けで通知した拒絶の理由
当審において、令和4年11月24日付けで通知した拒絶の理由1(進歩性)における請求項1についての拒絶の理由は、概略以下のとおりである。
本願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、本願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献については引用文献等一覧を参照)
●理由1(進歩性)について
・請求項 1
・引用文献等 1、2
・備考
本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
<引用文献等一覧>
引用文献1:特開2002-257378号公報
引用文献2:特開2013-217518号公報
第4 引用文献に記載された事項及び引用発明
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載
当審において通知した拒絶の理由に引用された引用文献1には、「クーラの排熱風の冷却装置」に関し、次の記載がある。
(なお、下線は理解の一助のために当審において付したものである。以下同様。)。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室内冷房用のエアコンディショナーの屋外ユニット熱交換器の排気側面に配置されて、この熱交換器から放散する排熱風を冷却するための冷却装置に関する。
・・・
【0003】
【発明が解決しようとする課題】屋外ユニットの熱交換器を通過して放出された空気は、吸引された空気よりも高温であり、特に、夏場においては、室内の冷房により快適な居住環境を作るとしても、屋外には、高温の空気(排熱風)が屋外ユニットから排出され、周辺の温度をさらに高めることになる。屋外ユニットを設置した環境との関連から、排熱風が他人の居住や通行に迷惑を及ぼすことがあり、これを回避するために、屋外ユニットの配置が制限を受けることがある。
【0004】本発明は、エアコンディショナーの屋外ユニットから放出される排熱風の弊害防止するのを目的として、屋外ユニットからの排熱風を簡便な装置により冷却してその温度を低下させようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、クーラの屋外ユニット熱交換器の排気側面に配置されて、該熱交換器からの排熱風を冷却する冷却装置を提供するものであり、冷却装置は、多数の吸水シートを間隔を保持して立設した吸水体ユニットと、該吸水体ユニットを受容してその吸水シートを水で湿潤させるための水受け容器と、から構成され、吸水体ユニットの該吸水シートの間隔にクーラ室外機の排熱風を通過させて、排熱風を冷却して放散するようにして、クーラ排熱風を冷却する。
【0006】
【発明の実施の形態】ここに、クーラは、上記の冷媒の冷凍サイクルにより室内その他室内ユニットが配置された空間の空気を冷却するものであるが、クーラの語は、冷媒ないしは熱媒のサイクルを利用した冷房機能を有するエアコンディショナーを広く含むものとする。」
「【0012】
【実施例】図1は、本発明のクーラの排熱風の冷却装置の1例を示すが、冷却装置1が、クーラの屋外ユニット8の熱交換器82の排気側面に添設されている例を示す。この冷却装置1は、吸水体ユニット2と水受け容器4とがケース10に収容されて、ケース10が屋外ユニット8に取着されている。
【0013】吸水体ユニット2は、図3(A、B)に示すように、多数の外形矩形の吸水シート3はシート間に間隔31を保持するように層状に且つ垂直に立設し、枠体11内に配置して固定している。
【0014】枠体11は、前後の両面が通気可能な開口部25を備えた枠状をなしており、枠体11の上面20と下面22と両側の側面21、21との間に吸水シート3の積層体を収容し、主面側に設けた縁部26により、吸水シート3の積層体が逸脱不能に保持されている。
【0015】枠体11は、両方の主面側の開口部25に積層された吸水シート3の端部が露出して、各吸水シート3間の間隔31が開口部25に連通して、開口部25と各吸水シート間隔31を空気が通過するようにされている。
【0016】ケース10内には、さらに、図1及び図2に示すように、下部に水受け容器4を備えて、水を蓄えるようにされており、ケース10に給水管48が貫通して配置され、その管端が、上記の、水受け容器4に給水できるように配置されている、水受け容器4は、ケースの下底部を兼用するようにしてもよいが、この例では、比較的浅い水受け容器4をケース内に配置している。
【0017】上記の吸水体ユニット2は、ケース10内に取外し可能に挿入されており、吸水体ユニットの垂直に積層された各吸水シート3の下端部側が、上記のケース10内の下底側に配置した水受け容器4の水40に浸漬するように配置される。図1の配置は、各吸水シートがその下端部を水40に漬かった状態を示しており、各吸水シート3は、その吸水力により、水を吸い上げて濡らしている。
【0018】図4には、このような吸水体ユニットの吸水シートの配置が示されているが、吸水シート3は、無機質若しくは有機質の吸水性の高い適度の厚みと適度の剛性の繊維シートを、矩形状、特に縦長の長方形状に、成形したシートが使用される。各シートの片面には、セパレータ32として、樹脂の線条突起が、平行に横方向に数条配置され、複数のシートを積層すると、シート間には、セパレータ32を介して隙間31が形成されて、空気の流通路を形成する。
・・・
【0021】以上のように形成した吸水体ユニット2は、水受け容器4と共に、ケース10に収容されて冷却装置1とするが、冷却装置1は、その流通開口部25をクーラの屋外ユニット8の排気側面83に向けて、排熱風90が吸水体ユニット中を流通可能に固定されるが、その固定の方法として、一例を図1と図5に示してある。この例は、屋外ユニット8の脚部89を固定する固定台87、87上に冷却装置1の脚部13を載せて固定する。さらに、金具85を使用してその一端を冷却装置1の上面20側の縁部26に固定し、他端を屋外ユニット8の吸引側の上縁部(不図示)にボルト86により締めつけて、冷却装置1と屋外ユニット8とを固定する。
【0022】使用時には、図1において、クーラの屋外ユニット8のファン81により吸入側から吸引された空気90は、熱交換器82を通過する間に熱交換器82を冷却すると共に加熱されて熱排風9として屋外ユニット8から放出され、このような放出された熱排風9はそのまま、冷却装置1の吸水体ユニット2の吸水シート3間を通過する間に、吸水シートが吸水している水の蒸発潜熱により冷却されて、冷却装置1から放出される。これにより、熱排風9の温度が下げられる。
・・・
【0024】
【発明の効果】本発明の冷却装置は、多数の吸水シートを間隔を保持して立設した吸水体ユニットと、該ユニットを受容して吸水シートの下部を水で湿潤させるための水受け容器と、から成る簡単な構造で、吸水体ユニットの該吸水シートを間隔にクーラ室外機の排熱風を通過させて、排熱風を冷却して放散するようにしたので、屋外ユニットからの排熱風の温度下げることができ、屋外ユニットの周辺環境への排熱風の悪影響を低減するのに有効であり、冷却に際して、電力などの特段のエネルギーを使用せずに、簡便になし得る利点がある。」
「
[図:0001396981000001.jpg]
[図:0001396981000002.jpg]
[図:0001396981000003.jpg]
[図:0001396981000004.jpg]
[図:0001396981000005.jpg]
」
(2)上記(1)の記載から認められる事項
上記(1)の記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア 段落【0021】及び【0022】並びに図1の記載によれば、冷却装置1は、クーラの屋外ユニット8の排気側面83から送風される排熱風9を冷却して排出することが認められる。
イ 段落【0021】並びに図1及び図5の記載によれば、吸水体ユニット2は、屋外ユニット8の排気側面83が対向する位置に配置されていることが認められる。
(3)引用発明
上記(1)及び(2)から、本願発明に倣って整理すると、引用文献1には、次の事項からなる発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「クーラの屋外ユニット8の排気側面83から送風される熱排風9を冷却して排出する冷却装置1であって、
屋外ユニット8の排気側面83が対向する位置に配置された、前記熱排風9を吸水シート3が吸水している水の蒸発潜熱により冷却する吸水体ユニット2と、
前記吸水体ユニット2の垂直に積層された各吸水シート3の下端部が浸漬する水40を蓄える水受け容器4と、
を備えた、冷却装置1。」
2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載
当審において通知した拒絶の理由に引用された引用文献2には、「凝縮器の補助冷却装置」に関し、次の記載がある。
「【0001】
本発明は、空調、冷凍、冷蔵装置等に用いられている空冷式の凝縮器の補助冷却装置に関するものであり、より詳しくは夏場等の外気温が高い時に空気調和機の凝縮器の吸い込み空気の温度を冷却するための凝縮器の補助冷却装置に関するものである。」
「【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は室外機1の吸い込み空気の上流側に補助冷却装置10を設置した場合の概略構成図を示しており、また、図2は図1のA方向から見た概略正面図を示している。
室外機1は、周知の構成であるため、詳細は説明は省略するが、室外機1のケース2の一方には凝縮器3が配置され、ケース2の上部には冷却ファン4が設けられている。なお、本実施形態では冷却ファン4をケース2の上部に設けているが、凝縮器3に対向した位置に冷却ファン4が設けられている場合もある。
【0030】
補助冷却装置10は、詳しくは後述する気化式空気冷却装置11と、この気化式空気冷却装置11から排水管12を介して排水される水を回収する水回収装置13と、この水回収装置13に貯溜している水をポンプ14を介して前記気化式空気冷却装置11側に送る給水管15と、この給水管15からの水を気化式空気冷却装置11の上面に給水する給水装置16等で構成されている。
・・・
【0032】
気化式空気冷却装置11は、図2に示すように、凝縮器3の大きさとほぼ同じか、若干大きめの大きさとしており、気化式空気冷却装置11にて凝縮器3の空気の吸い込み面を覆う大きさである。
【0033】
図3は、周知な冷凍サイクルを示し、冷凍サイクルは、凝縮器3、圧縮器5、室内に設置される室内機内の蒸発器6、膨張弁7等で構成されており、それぞれ冷媒管8にて接続されている。
冷房運転時では、圧縮器5で冷媒管8内の冷媒が圧縮されて、冷媒は高温ガスになり、凝縮器3内を冷却ファン4にて気化する際の水の潜熱にて一定の温度に下げられ冷媒ガスは液化する。膨張弁7にて冷媒の圧力は急激に下げられ、冷媒ガスの潜熱で冷たくなり、蒸発器6で部屋の温度を熱交換を行ない、室内機から冷風が部屋内に送られて冷房が行なわれる。
【0034】
本実施形態では、水回収装置13内の水をポンプ14、給水管15を介して気化式空気冷却装置11へ循環させ、気化式空気冷却装置11内では水が気化する際の潜熱を利用して気化式空気冷却装置11内で吸気された空気の温度を低下させ、この低下させた空気にて凝縮器3を冷却させるものである。
気化式空気冷却装置11内を流下した水は排水管12を介して水回収装置13に回収される。
【0035】
水回収装置13へは、水道水等の補給水が補給水管20から供給されるようになっており、補給水管20にはフロート弁21が介装されている。このフロート弁21は、液面に浮かぶフロート22が液面の高さに応じて上下方向に移動することにより開閉する弁である。
水回収装置13の液面が所定の高さ以下になると、フロート22が下降してフロート弁21が開いて補給水管20から水が供給される。また、補給水が供給されていって液面が所定の高さ以上になると、フロート22が上昇してフロート弁21が閉じられ、補給水管20からの水の供給が停止される。
【0036】
気化式空気冷却装置11へ水回収装置13からの水を循環させて給水する給水装置16は、気化式空気冷却装置11の幅方向と略同じ長さとし、例えばパイプに複数の穴を穿孔しておき、これらの穴から水を気化式空気冷却装置11の上面に滴下ないし散水するものである。
【0037】
なお、図2に示すように気化式空気冷却装置11の下部には排水樋25が設けられており、この排水樋25の端部に排水管12が接続されて、気化式空気冷却装置11から流下した水は水回収装置13へ回収されるようになっている。
【0038】
次に、気化式空気冷却装置11の構成について説明する。気化式空気冷却装置11は、図1に示すように、外気が矢印に示すように吸い込まれて吐出される保水材30にて構成されている。なお、この保水材30は、一般に通称クーリングパッド( Cooling Pad )と呼ばれ、木材のチップを加工した紙質と、ポリエチレンと、ガラス繊維で構成され従来より市販されている。
また、このクーリングパッドは、主に畜舎並びに園芸用施設の温度を下げるために用いられるものであり、日本では、無窓畜舎、施設園芸用温室で広く使用されているものである。
・・・
【0042】
図8は上記のようにして製作された保水材30の要部拡大断面図を示し、保水材30の右方に凝縮器3が位置し、左方から矢印に示すように空気が保水材30の溝52(以後、この溝を「空気流通路」と称する。)を通過する。
この実線で示している空気流通路52は例えば、30°の傾きで上昇し、この実線で示されている空気流通路52と幅方向で隣接し、破線で示している空気流通路52は、例えば、30°の傾きで下降している構成となっている。これらの空気流通路52が保水材30の上下方向及び左右方向に連続して形成されている。
【0043】
この保水材30に給水装置16からの水が滴下され、保水材30自体に水が吸水されて湿潤状態となり、同時に保水材30の表面、つまり各空気流通路52の表裏の面を水が流下していき、保水材30に吸収されなかった水は保水材30の表面を伝って水回収装置13へと流れて回収される。」
「
[図:0001396981000006.jpg]
[図:0001396981000007.jpg]
」
「
[図:0001396981000008.jpg]
[図:0001396981000009.jpg]
」
(2)上記(1)の記載から認められる事項
ア 段落【0030】、【0037】及び【0043】並びに図1及び2の記載によれば、気化式空気冷却装置11の下方に配した水を貯溜する水回収装置13が認められる。
イ 段落【0036】並びに図1及び2の記載によれば、気化式空気冷却装置11の上方に配した、該気化式空気冷却装置11に水を供給する複数の孔を穿孔したパイプからなる給水装置16が認められる。
ウ ポンプ14が吐出口を有していることは明らかであり、段落【0030】及び図1の記載によれば、水回収装置13内の水を送るポンプ14と、前記ポンプ14の吐出口と給水装置16とを接続する給水管15が認められる。
(3)引用文献2の記載事項
上記(1)及び(2)から、引用文献2には次の事項(以下、「引用文献2の記載事項」)が記載されていると認める。
「空気調和機の室外機1における凝縮器3の吸い込み空気を冷却する補助冷却装置10であって、
前記凝縮器3の吸い込み空気の上流側に前記室外機1に近接して配置された、水が気化する際の潜熱を利用して前記凝縮器3を冷却させる保水材30にて構成された気化式空気冷却装置11と、
前記気化式空気冷却装置11の下方に配した水を貯溜する水回収装置13と、
気化式空気冷却装置11の上方に配した、該気化式空気冷却装置11に水を供給する複数の孔を穿孔したパイプからなる給水装置16と、
前記水回収装置13内の水を送るポンプ14と、
前記ポンプ14の吐出口と前記給水装置16とを接続する給水管15と、
水道管に接続されて、水回収装置13に補給水を補給する補給水管20と、
を備え、
前記補給水管20から補給水を、水回収装置13の液面が所定の高さ以下になると開かれるフロート弁21を介して水回収装置13に供給させる補助冷却装置10。」
第5 対比
本願発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・後者の「屋外ユニット8」は、前者の「室外機」に相当し、以下同様に、「熱排風9」は「温風」に、「冷却装置1」は「室外機排気冷却装置」に、「吸水体ユニット2」は「気化フィルタ」に、「水40」は「作動水」に、「水受け容器4」は「貯水タンク」に、それぞれ相当する。
・後者の「クーラ」は、引用文献1の段落【0006】の記載によれば、エアコンディショナーを含むから、前者の「エアコンディショナー」に相当する。
また、後者の「屋外ユニット8の排気側面83」は、熱排風9を送風する送風口を有するとが明らかであるから、「室外機の送風口」に相当する。
そして、後者の「クーラの屋外ユニット8の排気側面83から送風される熱排風9を冷却して排出する冷却装置1」は、前者の「エアコンディショナーの室外機の送風口から送風される温風を冷却して排出する室外機排気冷却装置」に相当する。
・後者の「吸水体ユニット2」が「前記熱排風9を吸水シート3が吸水している水の蒸発潜熱により冷却する」ことは、熱排風9から気化熱を奪うことといえるから、前者の「気化フィルタ」が「気化熱を奪う」ことに相当する。
そして、後者の「屋外ユニット8の排気側面83が対向する位置に配置された、前記熱排風9を吸水シート3が吸水している水の蒸発潜熱により冷却する吸水体ユニット2」は、前者の「室外機の送風口が対向する位置に配置された、気化熱を奪う気化フィルタ」に相当する。
・後者の「前記吸水体ユニット2の垂直に積層された各吸水シート3の下端部が浸漬する水40を蓄える水受け容器4」は、各吸水シート3の下端部は吸水体ユニット2の下方であり、水受け容器4は吸水体ユニット2の下方に配したものといえるから、前者の「前記気化フィルタの下方に配した作動水を貯留する貯水タンク」に相当する。
以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「エアコンディショナーの室外機の送風口から送風される温風を冷却して排出する室外機排気冷却装置であって、
室外機の送風口が対向する位置に配置された、気化熱を奪う気化フィルタと、
前記気化フィルタの下方に配した作動水を貯留する貯水タンクと、
を備えた室外機排気冷却装置。」
[相違点1]
本願発明では、「気化フィルタの上方に配した、該気化フィルタに作動水を供給する給水配管と、
前記貯水タンク内の作動水を吸い上げる給水ポンプと、
前記給水ポンプの吐出口と前記給水配管とを接続する送水配管と、
水道管に接続されて、貯水タンクに給水する水道配管と、
を備え、
前記水道配管から水道水を、貯水タンクの水位の低下により開放される給水弁を介して貯水タンクに供給させる」のに対して、引用発明では、そのような構成を有していない点。
第6 判断
1 相違点1について
引用文献2の記載事項における補助冷却装置10と引用発明における冷却装置1とは、室外機と別体で近接して設けられ、室外機に吸い込まれ、室外機から排出される空気から、水の蒸発により蒸発潜熱分の熱量を取り除く、すなわち、気化熱を奪うことで冷却する冷却装置の点で作用機能が共通する(引用文献1の段落【0022】及び引用文献2の段落【0034】を参照。)ものと認められ、さらに、気化式空気冷却装置11に上方から水を絶えず供給することで、十分な冷却を維持できることも期待できるから、引用発明における冷却装置1の構成に代えて、引用文献2の記載事項における補助冷却装置10の構成を採用し、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。
2 請求人の主張について
請求人は、令和5年1月25日に提出された意見書の「3.2. 引用文献2(特開2013-217518号公報)」において、
「引用文献2に開示された凝縮器の補助冷却装置は、
「室外に設置される室外機(1)の凝縮器(3)の風上側に保水材(30)にて構成した気化式空気冷却装置(11)を前記凝縮器(3)に近接して配置し、前記気化式空気冷却装置(11)の保水材(30)に水を流下させ、前記保水材(30)により前記水が気化する際の潜熱を利用して気化式空気冷却装置(11)に吸い込んだ空気を冷却し、この冷却された吸い込み空気にて前記凝縮器(3)を冷却させる凝縮器の補助冷却装置において、
前記気化式空気冷却装置(11)を前記室外機(1)の上部にヒンジ部(33)を介して回動自在に配設し、
前記ヒンジ部(33)を介して前記気化式空気冷却装置(11)を前記室外機(1)に対して所定の角度(θ)で傾斜させて保持する保持手段を備えている」
構成とされています。」(3頁1行~同頁12行)と主張した上で、
同意見書の「4.4」において、
「引用文献2に開示された凝縮器の補助冷却装置は、夏季には凝縮器60に冷却風を供給して熱媒を冷却できるように室外機1の空気の吸い込め面側に対向して配され、冬季には積雪等の影響を受けることがないように、吸い込め面側から退かせて蒸発器(60)への外気の流入を確保して空気の供給に支障が生じないようにするものです。しかも、ヒンジ部33を介して配設することにより、退かせた状態で凝縮器60の上方に跳ね上げられて、補助冷却装置の充填材61に雪が付着することが防止されます。
このため、空気冷却装置11は室外機1の空気の吸い込め面側に配されることで、夏季には凝縮器へ冷風を供給でき、冬季には雪の付着を防止して蒸発器への空気の供給が確保できるように構成されたものです。」(6頁15行~同頁23行)との説明をしている。
その上で、同意見書の「5. むすび」において、
「引用文献2に開示された発明は、室外機の空気の吸い込め面側にヒンジ部を介して回動自在に補助冷却装置を設置することで、夏季と冬季のいずれにおいてもこの補助冷却装置の機能を確実に発揮できる構成とされたもので、室外機排気冷却装置を室外機の送風口に対向して設置する本願発明の特徴とする構成を採用するものではありません。」(7頁14行~同頁17行)と主張すると共に、
「室外機の空気の吸い込め面側に補助冷却装置を設置する構成を開示する引用文献2の内容を、室外機の送風口に対向する位置に室外機排気冷却装置を設置する構成を前提とする本願発明に想到するに際して参酌することはあり得ません。」(7頁22行~同頁24行)と主張する。
上記主張について検討すると、引用文献2には、室外機の空気の吸い込め面側にヒンジ部33を介して回動自在に補助冷却装置10を設置することで、冬季には積雪等の影響を受けることがないように、吸い込め面側から退かせて蒸発器への外気の流入を確保して空気の供給に支障が生じないようにすることが記載されているとしても、引用文献2の記載された補助冷却装置10を、引用発明の冷却装置1のように屋外ユニット8(室外機)の風下側に配置する場合は、補助冷却装置10から風が吹き出すこととなり積雪等の影響を受けることがないから、屋外ユニット8(室外機)の排気側面83が有する送風口に対向して補助冷却装置10を設置するのに、ヒンジ部33を介して回動自在に補助冷却装置10を設置する構造は、必要のないものである。
そうすると、引用文献2において、上述のヒンジ部33を介して回動自在に補助冷却装置10を設置する構造が記載されていたとしても、引用発明における冷却装置1の構成に代えて、気化熱を奪うことで冷却する冷却装置の点で作用機能が共通する引用文献2の記載事項の補助冷却装置10の構成を採用することを阻害する要因になるとはいえない。
また、引用発明と引用文献2の記載事項との間に、室外機排気冷却装置の配置位置が、室外機の送風口に対向する位置であるか、室外機の空気の吸い込め面側であるかの違いがあるにしても、その違いによって、補助冷却装置10の構成や機能に変更が生じるものではないから、引用発明における冷却装置1の構成に代えて、引用文献2の記載事項における補助冷却装置10の構成を採用することが困難であるとする理由にはならない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
3 効果について
そして、本願発明を全体としてみても、その奏する効果は、引用発明及び引用文献2の記載事項から、当業者が予測し得る範囲のものである。
4 まとめ
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-008526