2022-007694
情報処理方法、プログラム、情報処理装置
- 審判番号
- 2022-007694
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-163194外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年05月23日
- 審決日
- 2022年07月05日
- 公報発行日
- 2022年09月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社アカツキ
- 【請求人代理人】One ip特許業務法人
- 分類
- P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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本願は、令和2年10月29日(以下「分割原出願日」という。)に出願した特願2020-181713号の一部を令和3年7月16日に新たな特許出願とした特願2021-117847号の一部を令和3年10月4日に新たな特許出願としたものであって、同年10月4日に手続補正書が提出され、同年11月26日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、同年12月17日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和4年2月9日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされたのに対し、同年5月23日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1乃至4に係る発明は、令和3年12月17日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1乃至4に記載された事項により特定され、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は以下のとおりである。
「【請求項1】コンピュータにより、ゲームアプリケーションの画面をユーザ入力に従って遷移させる情報処理方法であって、前記画面を表示するタッチパネルへのスワイプ入力の複数の方向と複数の登録画面とを事前のユーザ登録操作に従ってそれぞれ関連付けて記憶するステップと、前記タッチパネルへのユーザ入力により受け付けたスワイプ入力の方向を判定するステップと、前記画面を、前記判定したスワイプ入力の方向に関連付けられた前記登録画面に遷移させるステップと、を含む、情報処理方法。」
第3 原査定の拒絶の理由
拒絶査定の理由である,令和3年11月26日付け拒絶理由通知の理由は,次の理由を含むものである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記(引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項 1-4
・引用文献等 1,2
<引用文献等一覧>
1.特開2018-57869号公報
2.特開2017-151551号公報
第4 当審の判断
1 引用例
(1)引用例1
本願の分割原出願日前の平成30年4月12日に公報が発行され,原査定の拒絶の理由に引用された特開2018-57869号公報(以下「引用例1」という。)には,次の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】【0001】本発明は、プログラム、制御方法、および情報処理装置に関する。」
イ 「【発明が解決しようとする課題】【0007】近年、ゲームは例えばスマートフォン等の携帯端末でプレイされることが多い。携帯端末の表示部は、PCの表示部と比べるとサイズが小さい。そのため、携帯端末でプレイされるゲームでゲーム媒体に対する様々な処理を行う際に、ドラッグアンドドロップをそのまま適用することは現実的ではない。そのため、ゲーム媒体に対する様々な処理を効率的に実行できる新たなユーザインタフェースが求められていた。【0008】かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、ゲーム媒体に対する様々な処理を容易かつ効率的に実行できるユーザインタフェースを実現するプログラム、制御方法、および情報処理装置を提供することにある。」
ウ 「【0021】本実施形態に係る情報処理装置1において、操作部10は表示部12と一体化したタッチパネルである。例えば、情報処理装置1は、操作部10である静電容量の変化を検出する透明なセンサ層を、表示部12であるLCD(Liquid Crystal Display)層の上に重ねた構成(ユーザがセンサ層を介してLCD層を見る構成)を備える。操作部10は、静電容量の変化を検出することで、ユーザによって接触された位置を検出できる。操作部10は、静電容量方式以外の方式のタッチパネルを採用することも可能である。【0022】ユーザは、指またはスタイラス等の器具を用いて操作部10に接触することによって入力操作を行う。本実施形態において、ユーザはタップによってゲーム媒体の選択、および選択されたゲーム媒体の非選択(解除)ができる。タップは、ユーザが指で操作部10に触れて、その後に指を移動させずに指を離す操作である。本実施形態において、ユーザはタップおよび/またはスライド操作によって、連続的なゲーム媒体の選択、解除およびゲーム媒体に対する所望の処理を実行できる。スライド操作は、ユーザが操作部10に触れた指を、操作部10上で移動させる操作である。スライド操作は例えばフリック、スワイプ等を含む。フリックは、ユーザが指等で操作部10に触れて、触れたまま素早く指を移動させつつ指を離す操作である。スワイプは、ユーザが指等で操作部10に触れ、触れたまま指を移動させる操作である。ここで、ユーザが操作部10に指等を接触させて入力操作を開始した点を始点という。また、入力操作を終了する際に、ユーザが操作部10に接触していた指等を離した点を終点という。また、入力操作を開始して終了するまでに、ユーザが操作部10に接触した軌跡上の点を中間点という。ここで、入力操作中に指等が一瞬離れた点を終点とすることがないように、所定時間(例えば0.5秒)以内に再び指等が操作部10に接触した場合には終点でないと扱われることが好ましい。【0023】操作部10は、タップ位置、スライド操作の始点、終点、およびスライド操作の軌跡等を、タッチパネルにおける座標情報と関連付ける。座標情報と関連付けられた始点、終点、軌跡等は入力操作データとして出力される。本実施形態に係る情報処理装置1において、操作部10と一体となった表示部12の画面の横方向をX軸、縦方向をY軸とする直交座標系の座標が用いられる。また、入力操作データは入力操作の開始からの経過時間の情報も含む。」
エ 「【0045】図5(A)および図5(B)はユーザがスライド操作によって一の処理を実行する様子を例示する。図5(A)および図5(B)の例では、表示領域121に表示されているゲーム媒体2a?2iは装備品である。図5(A)の例では、ユーザは選択されたゲーム媒体2d,2e,2g,2iに対して合成を実行する。合成は上向きのスライド操作に対応付けられている。ユーザが指等で上向きにスライド操作をすると、途中で(合成の実行前に)予測123がポップアップされる。予測123は、テーブル111で定められる、途中までのスライド操作の向きに対応する一の処理が、選択されたゲーム媒体に対して実行された場合に期待される結果である。予測123は確定的な内容に限定されない。例えば、一の処理が所定の確率に応じて実施される場合に、予測123は確率を伴った1つまたは複数の結果(例えば70%の確率でX、20%の確率でY、10%の確率でZ等)を表示してもよい。図5(A)の例では、予測123は合成の予測結果を示すものである。予測123は、合成結果が80%の確率で“ABC(レア)”であることをユーザに知らせる。さらにユーザが指等で上向きにスライド操作をすると、選択されたゲーム媒体2d,2e,2g,2iに対する合成が実行される。ここで、合成においては、最初に選択されたゲーム媒体2dが合成元と扱われてもよいし、最後に選択されたゲーム媒体2iが合成元と扱われてもよい。」
オ 「【0052】(フローチャート)図7は、制御部13が実行するゲームの制御方法を示すフローチャートである。制御部13は、図7のフローチャートのように、選択されたゲーム媒体に対してユーザのスライド操作に応じた処理を実行する。【0053】続きを表示(全25行)まず、操作部10が受け付けるユーザの入力操作を3つに分類する。第1の入力操作はユーザがゲーム媒体を選択する入力操作である。第2の入力操作は第1の入力操作により選択されたゲーム媒体に対する処理を指示する入力操作である。そして、第3の入力操作は、第1の入力操作とも第2の入力操作とも異なるユーザの入力操作(例えば長押し)である。操作部10は、第1の入力操作、第2の入力操作および第3の入力操作を受け付けて、座標情報と関連付けて、それぞれ第1の入力操作データ、第2の入力操作データおよび第3の入力操作データとして出力する。第1?第3の入力操作データは、入力操作の開始からの経過時間の情報も含む。【0054】制御部13は、操作部10から第1の入力操作データを取得する(ステップS1)。そして、制御部13は、第1の入力操作データに基づいて、選択されたゲーム媒体を特定する(ステップS2)。ステップS2はゲーム媒体特定ステップである。制御部13は、第1の入力操作データから、例えばタップ位置、スライド操作の軌跡等の座標情報を取得する。制御部13は、取得した座標情報と、表示部12に表示させているゲーム媒体の座標とを比較することで、選択されたゲーム媒体を特定する。【0055】制御部13は、操作部10から第3の入力操作データを取得する(ステップS3)。そして、制御部13は、第3の入力操作が長押しであるか否かを判定する(ステップS4)。制御部13は、第3の入力操作データから、例えば入力操作の始点および終点の座標情報、開始から終了までの時間の情報等を取得する。そして、制御部13は、入力操作の開始から終了までの時間が、所定の時間(第1の長押し判定閾値)を超えるか否かを判定する。また、制御部13は、入力操作の始点の座標と終点の座標との距離が、所定の距離(第2の長押し判定閾値)以下であるか否かを判定する。制御部13は、入力操作の開始から終了までの時間が第1の長押し判定閾値を超え、かつ、始点の座標と終点の座標との距離が第2の長押し判定閾値以下である場合に、当該入力操作が長押しであると判定する。第1の長押し判定閾値は例えば1?3秒の範囲に設定されてもよい。また、第2の長押し判定閾値は例えば表示部12で1?10ピクセルに相当する距離に設定されてもよい。制御部13は、第3の入力操作が長押しであると判定した場合に(ステップS4のYes)、ヘルプ情報122を表示部12に表示させる(ステップS5)。ステップS5はヘルプ表示ステップである。本実施形態において、表示部12に表示されたヘルプ情報122は、ユーザが長押しを止めてから所定時間(例えば2秒)が経過すると表示されなくなる。制御部13は、ステップS5の処理を実行した後、および、第3の入力操作が長押しでないと判定した場合に(ステップS4のNo)、ステップS6の処理に進む。【0056】制御部13は、記憶部11からテーブル111を取得する(ステップS6)。上記のように、テーブル111はゲーム媒体に対する処理をスライド操作の向きと対応付けた情報である。【0057】制御部13は、操作部10から第2の入力操作データを取得する(ステップS7)。そして、制御部13は、第2の入力操作データから、例えばスライド操作の始点およびスライド操作の軌跡等の座標情報を取得する。制御部13は、スライド操作の終点が特定されるか否かを判定する(ステップS8)。制御部13は、第2の入力操作データにスライド操作の終点の座標情報が含まれる場合には、スライド操作の終点が特定される(終点が存在する)と判定して(ステップS8のYes)、ステップS11の処理に進む。【0058】制御部13は、スライド操作の終点が特定されない(終点が存在しない)と判定する場合に(ステップS8のNo)、予測123の表示に関する以下の処理を実行する。制御部13は、スライド操作途中の軌跡に、特定中間点が含まれるか否かを判定する(ステップS9)。特定中間点は、スライド操作の始点から一の向きに向かって特定の距離(図6(B)の例では閾値Thの80%に相当する距離)だけ離れた中間点である。制御部13は、スライド操作の軌跡に特定中間点が含まれると判定した場合に(ステップS9のYes)、テーブル111で始点から特定中間点への向きに対応付けられた一の処理が、選択されたゲーム媒体に対して実行されたときの予測123を表示部12に表示させる(ステップS10)。ステップS10は予測表示ステップである。本実施形態において、表示部12に表示された予測123は、表示開始から所定時間(例えば5秒)が経過すると表示されなくなる。制御部13は、ステップS10の処理を実行した後、および、特定中間点が含まれないと判定した場合に(ステップS9のNo)、ステップS7の処理に戻る。そして、制御部13は、更新された第2の入力操作データを取得する。【0059】制御部13は、第2の入力操作データに終点の座標情報が含まれる場合に、始点から終点までの距離を求める。そして、制御部13は、第2の入力操作の始点から終点までの距離が閾値Th(図6(B)参照)を超えるか否かを判定する(ステップS11)。制御部13は、始点から終点までの距離が閾値Th以下であると判定する場合に(ステップS11のNo)、選択されたゲーム媒体に対する処理をキャンセルして一連の処理を終了する。制御部13は、始点から終点までの距離が閾値Thを超えると判定する場合に(ステップS11のYes)、第2の入力操作(スライド操作)の始点から終点への向きを特定する(ステップS12)。【0060】制御部13は、予測123の表示があったか否かを判定する(ステップS13)。制御部13は、予測123を表示部12に表示させていない場合に(ステップS13のNo)、ステップS15の処理に進む。制御部13は、予測123を表示部12に表示させた場合に(ステップS13のYes)、処理のキャンセルを判定するステップS14の処理に進む。【0061】制御部13は、第2の入力操作(スライド操作)の始点から終点への向きが、予測123の表示時、すなわち予測表示ステップにおける始点から特定中間点への向きと同じか否かを判定する(ステップS14)。制御部13は、ステップS14の処理の際に、始点と終点とを結ぶベクトルVeと、始点と特定中間点とを結ぶベクトルVmとが成す角度が所定の値以下であれば向きが同じであると判定する。制御部13は、第2の入力操作の始点から終点への向きが、始点から特定中間点への向きと同じでない場合に(ステップS14のNo)、選択されたゲーム媒体に対する処理をキャンセルして一連の処理を終了する。制御部13は、第2の入力操作の始点から終点への向きが始点から特定中間点への向きと同じである場合に(ステップS14のYes)、ステップS15の処理に進む。【0062】制御部13は、テーブル111で第2の入力操作の始点から終点への向きに対応付けられた一の処理を、選択されたゲーム媒体に対して実行し(ステップS15)、一連の処理を終了する。ステップS15は実行ステップである。【0063】以上述べたように、本実施形態に係る情報処理装置1は、ゲーム媒体に対する処理と向きとを対応付けて、ユーザのスライド操作の向きに応じた一の処理を、選択されたゲーム媒体に対して実行する。本実施形態に係る情報処理装置1は、ゲーム媒体に対する様々な処理を容易かつ効率的に実行できるユーザインタフェースを実現する。」
カ 「【0076】上記の実施形態において、スライド操作の向きに応じてゲーム媒体に対する様々な処理の中から一の処理が実行された。ここで、既にゲーム媒体に対する一の処理を実行することが決定している状況において、スライド操作の向きおよび長さの少なくとも一方に応じて、一の処理における選択事項の決定が行われてもよい。例えば、スライド操作の向きに応じた一の処理をユーザが選択した後に、画面が一の処理を実行するための専用画面に遷移して、専用画面においてユーザがそれまでと同様にスライド操作で選択事項(例えばパラメータ、キャラクタ等)を決定できるようにしてもよい。」
そうすると、上記記載事項ア乃至カより、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「情報処理装置1の表示部12と一体化したタッチパネルに対するユーザのスライド操作により、情報処理装置1は、ゲーム媒体に対する処理とユーザのスライド操作の向きとを対応付けて、ユーザのスライド操作の向きに応じたゲーム媒体に対する一の処理を実行するための専用画面に遷移させる方法。」
(2)引用例2
本願の分割原出願日前の平成29年8月31日に公報が発行され,原査定の拒絶の理由に引用された特開2017-151551号公報(以下「引用例2」という。)には,次の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】指の指紋を読み取る指紋センサと、前記指紋センサに対する前記指の操作パラメータを判別する判別手段と、前記指紋センサで読み取った指紋と、登録してある指紋とを照合する照合手段と、続きを表示(全18行)前記照合手段で照合が合致した場合に、前記判別手段で判別した操作パラメータに基づいて、所定の処理を実行する処理手段と、を備えたことを特徴とする情報処理装置。【請求項2】前記所定の処理は、前記判別手段で判別した操作パラメータに基づいて、登録された複数のユーザ名の中から、対応するユーザ名でのログイン処理であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。【請求項3】前記所定の処理は、前記判別手段で判別した操作パラメータに基づいて、登録されている複数のアプリケーションの中から、対応するアプリケーションを起動させる処理であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。【請求項4】前記所定の処理は、前記判別手段で判別した操作パラメータに基づいて、登録されている複数のWebサイトの中から、対応するWebサイトへの接続処理であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。【請求項5】前記指紋センサはエリア型の指紋センサであり、前記操作パラメータは、前記エリア型の指紋センサに対してタッチされた指の角度又は圧力であることを特徴とする請求項1?4のいずれか1つに記載の情報処理装置。【請求項6】前記指紋センサはライン型の指紋センサであり、前記操作パラメータは、前記ライン型の指紋センサに対する指のスライド方向又は指のスライド速度であることを特徴とする請求項1?4のいずれか1つに記載の情報処理装置。」
イ 「【技術分野】【0001】本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びコンピュータが実行可能なプログラムに関する。」
ウ 「【発明が解決しようとする課題】【0006】本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、指紋センサを用いて、単に個人を識別するだけでなく、他の便利な機能をユーザに提供することが可能な情報処理装置、情報処理方法、及びコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。」
エ 「【0049】(実施例2)上記図1のように構成される情報処理装置1の実施例2を説明する。実施例2では、上記指紋センサ11としてライン型の指紋センサ11Bを使用し、上記操作パラメータをライン型の指紋センサ11Aに対する指のスライド方向、上記所定の処理を、対応するアプリの起動処理とした場合について説明する。【0050】続きを表示(全35行)図7は、実施例2に係る情報処理装置1の外観構成を示す模式的な斜視図である。図7において、図2と同等の機能を有する部位には同一の符号を付し、異なる点についてのみ説明する。図7において、第1の筐体20の表面には、タッチパッド22の側方にライン型の指紋センサ11Bが配置されている。ユーザは、指紋認証を行う場合に、ライン型の指紋センサ11Bに対して、指を前方(Y軸の上方向)又は後方(Y軸の下方向)にスライドさせて指紋認証を行うことができる。【0051】図8は、ライン型の指紋センサ11Bにおいて、指のスライド方向と指紋画像との関係の一例を説明するための説明図である。同図において、図8(A)は、ライン型の指紋センサ11Bに対して、前方に指をスライドさせた場合、図8(B)は、ライン型の指紋センサ11Bに対して、後方に指をスライドさせた場合を示している。【0052】図8(A)に示すように、ライン型の指紋センサ11Bに指を押しつけて前方にスライドさせると、例えば、ライン型の指紋センサ11Bの読み取り順に、指紋の先端部の部分画像101と指紋の中間部の部分画像102と後端部の部分画像103の3枚が読み取られる。この場合は、指紋の接続関係が部分画像101、102、103となるので、スライド方向を前方と判断し、例えば、部分画像101、102、103の順に合成して指紋画像100を生成することができる。【0053】また、図8(B)に示すように、ライン型の指紋センサ11Bに指を押しつけて後方にスライドさせると、例えば、ライン型の指紋センサ11Bの読み取り順に、指紋の後端部の部分画像111と指紋の中間部の部分画像112と先端部の部分画像113の3枚が読み取られる。この場合は、指紋の接続関係が部分画像113、112、111となるので、スライド方向を後方と判断し、例えば、部分画像113、112、111の順に合成して指紋画像100を生成することができる。【0054】ライン型の指紋センサ11Bは、一方向にスライドする指の指紋を一定間隔で複数読み取り、読み取った指紋の複数の部分画像を読み取り順に判別手段12に出力する。判別手段12は、ライン型の指紋センサ11Bから読み取り順に入力される複数の指紋の部分画像の指紋の線の接続関係を判断して、接続関係から指のスライド方向を判断すると共に、正しい接続関係で複数の指紋の部分画像を合成して指紋画像を生成する。【0055】指紋関連情報格納部15は、ユーザ名と、ユーザの登録指紋画像と、ライン型の指紋センサ11Bに対する指のスライド方向と、起動させるアプリとを関連づけて格納している。ユーザは、UIの操作により、ユーザ名、指紋画像、スライド方向に対応させるアプリを登録又は変更することが可能となっている。【0056】図9は、ライン型の指紋センサ11Bに対する指のスライド方向に応じて、対応するアプリを起動させる処理の一例を説明するためのフローチャートである。図9において、ライン型の指紋センサ11Bは、一方向にスライドする指の指紋を一定間隔で複数読み取り、読み取った指紋の複数の部分画像を読み取り順に判別手段12に出力する(ステップS11)。判別手段12は、ライン型の指紋センサ11Bから読み取り順に入力される複数の指紋の部分画像の指紋の線の接続関係を判断して、接続関係から指のスライド方向を判断すると共に、正しい接続関係で複数の指紋の部分画像を合成して指紋画像を生成する(ステップS12)。判別手段12は、合成した指紋画像を照合手段13に出力し、判別したスライド方向を処理手段14に出力する。照合手段13は、判別手段12から入力される指紋画像と、指紋関連情報格納部15に格納されている登録指紋画像とを照合して、一致するか否かを判断する(ステップS13)。【0057】判別手段12から入力される指紋画像と、指紋関連情報格納部15に格納されている登録指紋画像が一致する場合は、処理手段14は、登録指紋画像に対応するユーザ名でのログイン処理を行うと共に、指紋関連情報格納部15を参照して、判別手段12で判別したスライド方向に対応するアプリを起動させる(ステップS14)。なお、照合手段13は、ライン型の指紋センサ11Bから入力される指紋画像と、指紋関連情報格納部15に格納されている登録指紋画像が一致しない場合は、エラーメッセージを表示してもよい。【0058】なお、ここでは、ログイン処理とアプリを起動させる処理を行っているが、ログインされている状態で、ライン型の指紋センサ11Bに対して指をスライドさせて、スライド方向に応じて、対応するアプリを起動させてもよい。【0059】図10は、ライン型の指紋センサ11Bに対する指のスライド方向に応じて、対応するアプリを起動させる処理の具体例を説明するための図である。図10では、Aさんが、ユーライン型の指紋センサ11Bに対するスライド方向が前方の場合は、メールアプリの起動、スライド方向が後方の場合は、ブラウザアプリの起動を設定(登録)している場合を例示して説明する。同図において、(A)は、Aさんが、ライン型の指紋センサ11Bを前方にスライドさせた場合、(B)は、Aさんが、ライン型の指紋センサ11Bを後方にスライドさせた場合を示している。【0060】図10において、指紋関連情報格納部15は、ユーザ名Aと、Aさんの登録指紋画像と、スライド方向(前方、後方)と、起動させるアプリ(メールアプリ、ブラウザアプリ)を関連づけて格納している。図10に示す例では、スライド方向の前方には、メールアプリ、スライド方向の後方には、ブラウザアプリが登録されている。なお、アプリを起動させずに、ホーム画面を表示してもよい。例えば、図10に示す例では、Bさんについては、スライド方向が前方の場合はメールアプリの起動、スライド方向が後方の場合はアプリを起動せず(ホーム画面を表示)が登録されている。【0061】Aさんが、ライン型の指紋センサ11Bに対して、指を前方にスライドさせると、ライン型の指紋センサ11Bは、一定間隔で複数の指紋を読み取り、読み取った指紋の複数の部分画像を読み取り順に判別手段12に出力する。判別手段12は、読み取り順に入力される複数の指紋の部分画像の指紋の線の接続関係を判断して、接続関係から指のスライド方向を前方と判断し、また、正しい接続関係で複数の指紋の部分画像を合成して指紋画像を生成する。照合手段13は、判別手段12から入力される指紋画像と、指紋関連情報格納部15に格納されているAさんの登録指紋画像とを照合する。処理手段14は、照合が一致した場合はユーザ名Aでログイン処理を行うと共に、ログイン後、判別手段12で判別したスライド方向=前方であるので、指紋関連情報格納部15を参照して、前方方向に対応するメールアプリを起動させる。例えば、処理手段14は、表示部31にログイン中の画面とメールアプリの画面を表示する。【0062】同様に、Aさんが、ライン型の指紋センサ11Bに対して指を後方にスライドさせると、ライン型の指紋センサ11Bは、一定間隔で複数指紋を読み取り、読み取った指紋の複数の部分画像を読み取り順に判別手段12に出力する。判別手段12は、読み取り順に入力される複数の指紋の部分画像の指紋の線の接続関係を判断して、接続関係から指のスライド方向を後方と判断し、また、正しい接続関係で複数の指紋の部分画像を合成して指紋画像を生成する。照合手段13は、判別手段12から入力される指紋画像と、指紋関連情報格納部15に格納されているAさんの登録指紋画像とを照合する。処理手段14は、照合が一致した場合はユーザ名Aでログイン処理を行うと共に、判別手段12で判別したスライド方向=後方であるので、指紋関連情報格納部15を参照して、後方方向に対応するブラウザアプリを起動させる。例えば、処理手段12は、表示部31にログイン中の画面とブラウザアプリの画面を表示する。【0063】なお、ライン型の指紋センサ11B及び/又は判別手段12にライン型の指紋センサ11に対する指のスライド速度を検出する機能を設け、上述の操作パラメータを指のスライド速度としてもよい。例えば、所定のスライド方向(例えば、前方方向)のスライド速度Vが0<V≦V1の場合は、メールアプリを起動させ、所定のスライド方向(例えば、前方方向)のスライド速度VがV1<Vの場合は、ブラウザアプリを起動させてもよい。【0064】また、上述の所定の処理は、ライン型の指紋センサ11に対するスライド方向又はスライド速度に基づいて、登録された複数のユーザ名の中から、対応するユーザ名でのログイン処理であることにしてもよい。例えば、指紋関連情報格納部15に、登録指紋画像と、スライド方向又はスライド速度と、対応するユーザ名とを関連づけて記憶しておき、ライン型の指紋センサ11に対するスライド方向又はスライド速度に基づいて、対応するユーザ名でのログイン処理を行ってもよい。【0065】また、上述の所定の処理は、ライン型の指紋センサ11Bに対するスライド方向又はスライド速度に基づいて、登録されている複数のWebサイトの中から、対応するWebサイトへの接続処理であることにしてもよい。指紋関連情報格納部15に、ユーザ名と、登録指紋画像と、スライド方向又はスライド速度と、接続するWebサイトを関連づけて記憶しておき、スライド方向又はスライド速度に対応するWebサイトに接続してもよい。」
オ 上記エより、所定の処理には、アプリの起動とともに、Webサイトへの接続があることから、起動するアプリのみならず、接続するWebサイトも登録可能であることは明らかであると認める。
そうすると、上記記載事項ア乃至エより、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「 指の指紋を読み取る指紋センサと、前記指紋センサに対する前記指の操作パラメータを判別する判別手段と、前記指紋センサで読み取った指紋と、登録してある指紋とを照合する照合手段と、前記照合手段で照合が合致した場合に、前記判別手段で判別した操作パラメータに基づいて、所定の処理を実行する処理手段と、を備え,前記所定の処理は、前記判別手段で判別した操作パラメータに基づいて、登録されている複数のWebサイトの中から、対応するWebサイトへの接続処理であり、前記指紋センサはライン型の指紋センサであり、前記操作パラメータは、前記ライン型の指紋センサに対する指のスライド方向であり、ユーザは、UIの操作により、ユーザ名、指紋画像、スライド方向に対応させる接続するWebサイトを登録又は変更することが可能となっている情報処理装置。」
2 対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
(1)後者の「情報処理装置1」、「タッチパネル」及び「ユーザのスライド操作」は、それぞれ、前者の「コンピュータ」、「タッチパネル」及び「スワイプ入力」に相当する。
(2)後者の「方法」は、「ユーザのスライド操作」により、「ゲーム媒体に対する一の処理を実行するための専用画面に遷移」させる方法であるから、前者の「ゲームアプリケーションの画面をユーザ入力に従って遷移させる情報処理方法」に相当する。
(3)後者の「情報処理装置1」は、「ユーザのスライド操作の向き」に対して「ゲーム媒体に対する一の処理を実行するための専用画面に遷移させる」ものであるから、「タッチパネルへのユーザ入力により受け付けたスワイプ入力の方向を判定」し、「判定したスワイプ入力の方向に関連付けられた前記登録画面に遷移させ」ているといえる。
本願発明と引用発明1とは、以下の一致点で一致し、以下の各相違点で相違する。
[一致点]
コンピュータにより、ゲームアプリケーションの画面をユーザ入力に従って遷移させる情報処理方法であって、
前記タッチパネルへのユーザ入力により受け付けたスワイプ入力の方向を判定するステップと、
前記画面を、前記判定したスワイプ入力の方向に関連付けられた登録画面に遷移させるステップと、
を含む、情報処理方法。
[相違点]
本願発明が、画面を表示するタッチパネルへのスワイプ入力の複数の方向と複数の登録画面とを「事前のユーザ登録操作に従ってそれぞれ関連付けて記憶するステップ」を含む情報処理方法であるのに対し、引用発明1は、「ユーザのスライド操作の向きに応じたゲーム媒体に対する一の処理を実行するための専用画面」を事前のユーザ登録操作に従ってそれぞれ関連付けて記憶できるのか否か定かでない点。
3 判断
引用発明2の「指のスライド方向」、「Webサイト」は、それぞれ、本願発明の「スワイプ入力の方向」、「登録画面」に相当する。
引用発明2は、スライド方向に対応させる接続するWebサイトを登録又は変更することが可能であるところ、登録するのは、事前であることは明らかといえるから、引用発明2には、上記相違点2に係る「事前のユーザ登録操作に従ってそれぞれ関連付けて記憶するステップ」が記載されているといえる。
引用発明1も、引用発明2も、情報処理装置という技術分野である点で共通する。
そして、引用発明1も引用発明2も、センサに対するスライド操作の向きに対して、画面を遷移させるという機能により、様々な便利な処理をユーザに提供する点で課題が共通する。
してみると、引用発明1に、引用発明2を適用することは、当業者が容易になし得るものである。
ここで、引用発明1において、「ユーザのスライド操作の向き」と「前記向きに応じたゲーム媒体に対する一の処理を実行するための専用画面」とは、対応付けて登録されている情報であることは明らかである。
そうすると、引用発明1において、引用発明2を適用し、スライド方向とゲーム媒体に対する一の処理を実行するための専用画面を登録可能とし、上記相違点の構成とすることは、当業者が容易になし得るものである。
そして、本願発明の発明特定事項によって奏される効果も、引用発明1及び引用発明2から、当業者が予測し得る範囲内のものである。
したがって、本願発明は、引用発明1及び引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 請求人の主張について
請求人は、“引用文献2に記載された発明は、例えば特許請求の範囲の請求項1に「指の指紋を読み取る指紋センサと、前記指紋センサに対する前記指の操作パラメータを判別する判別手段と、前記指紋センサで読み取った指紋と、登録してある指紋とを照合する照合手段と、前記照合手段で照合が合致した場合に、前記判別手段で判別した操作パラメータに基づいて、所定の処理を実行する処理手段と、を備えたことを特徴とする情報処理装置。」(下線は説明のため追記)と明記され、背景技術としても「指紋認証」、「指紋センサ」に関する説明があり、課題としても「本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、指紋センサを用いて、単に個人を識別するだけでなく、他の便利な機能をユーザに提供することが可能な情報処理装置、情報処理方法、及びコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。」と明記されるように、引用文献2に記載された発明は「照合する指紋を読み込ませるために指を擦るようにスライドする指紋センサ」というハードウェア構成が前提となっている一体不可分な特異な発明であるところ、審査官殿の「所定ユーザを認証(識別)するための作用・機能を有する指紋照合機能は、引用文献2において認定した上記技術的特徴とは、何ら関係のない事項である」とのご判断は、本願発明を見ずして当業者が「指紋センサ」から切り離して到達する発想ではありません。 そして、引用文献1の「スマートフォン等のタッチパネルなどに対する指の接触により検出されるスワイプ」に関する発明とは明らかにハードウェア構成から技術的に異なるものであり、これらの発想を互いに上位概念化して「スライド操作の向きを判別する」ものとして共通化して組み合わせることは、当業者であっても動機づけが無く、本願発明を見て審査官殿が恣意的に上位概念化をして組み合わせたと言わざるを得ません。”旨、主張する。
しかし、引用発明2「ライン型の指紋センサ」は、指のスライド方向を検出できるものであることから、引用発明1の「タッチパネル」と、スライド操作を検出できるセンサを備えた情報処理装置である点で共通するものである。
してみると、引用発明1と引用発明2とは、技術分野が共通するといえることはもとより、引用発明1に引用発明2を適用する阻害要因が存在することは認められない。
よって、上記請求人の主張は採用できない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、本願出願の出願前に出願公開された引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項については検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-007694