2022-006919
エンボスを有する袋
- 審判番号
- 2022-006919
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-512339外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年05月10日
- 審決日
- 2024年03月08日
- 公報発行日
- 2025年01月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】中川製袋化工株式会社
- 【請求人代理人】廣瀬 隆行
- 分類
- P18 .121-WZ (B65D) / P18 .537-WZ (B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 13項目
第1 手続の経緯
折りたたみ中(クリックで表示)
本願は、2020年(令和2年)4月3日を国際出願日とする出願であって、令和3年9月14日付けの拒絶理由の通知に対し、同年11月12日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和4年2月7日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対して同年5月10日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、令和5年8月30日付けの拒絶理由の通知に対し、同年11月6日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1及び7に係る発明(以下「本願発明1」及び「本願発明7」という。)は、令和5年11月6日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1及び7の記載により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】袋(1)であって,前記袋(1)は,その一部又は全面に1つ又は連続した単位エンボス(3)を有し,前記単位エンボス(3)は,複数の凹凸の列を含み,前記単位エンボス(3)は,インクを用いずにロゴマークを表現したものであり,前記複数の凹凸の列は,凹凸の周期が,0.1μm以上1mm以下のストライプ状であり,前記凹凸の高さは,0.1μm以上0.1mm以下である,袋。」
「【請求項7】1つ又は連続した単位エンボス(3)を有するフィルムであって,前記単位エンボス(3)は,複数の凹凸の列を含み,前記単位エンボス(3)は,インクを用いずにロゴマークを表現したものであり,前記複数の凹凸の列は,凹凸の周期が,0.1μm以上1mm以下のストライプ状であり,前記凹凸の高さは,0.1μm以上0.1mm以下である,フィルム。」
第3 拒絶の理由
当審において令和5年8月30日付けで通知した拒絶理由の理由2は、次のとおりである。
この出願の請求項1~7に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2~5に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用例等一覧>
1.特開昭63-19224号公報
2.特開昭55-158925号公報
3.特許第3995701号公報
4.特開2004-284638号公報
5.特開2004-284594号公報
第4 対比、判断
1 引用文献の記載及び引用発明
(1) 引用文献1
ア 引用文献1には以下の記載がある(下線は、参考のため、当審で付与したものである。また、「・・・」は文章の省略を表す。)。
(ア)「2.特許請求の範囲(1) 微小な凹凸を有する梨地加工部位と平滑部位とにより表現された図柄が、表面に施されている梨地図柄付フィルムであって、該フィルムが単層で構成されているか又は積層体である梨地図柄付プラスチックフィルム。(2) 微小な凹凸を有する梨地加工部位と平滑部位とにより表現された図柄が、表面に施されている梨地図柄付フィルムであって、該フィルムが単層で構成されているか又は積層体である梨地図柄付プラスチックフィルムの端部を融着してなる梨地図柄付プラスチック袋。」
(イ) 「〔発明が解決しようとする問題点〕・・・また、印刷インクが保存期間中に溶出して内容物に悪影響を与えるおそれがあった。そこで、プラスチックフィルムの製造において、特別に印刷工程を設けなくとも、通常の製膜工程、製袋工程或いは製袋・充填工程に組込める簡易な図柄表現方法が求められていた。〔問題解決の手段〕本発明は上記問題を解決するため、プラスチックフィルムを、その軟化温度において表面に微細な凹凸面を設けた押圧具で押圧することにより、艶消し状の梨地が得られること、及びこの梨地は該プラスチックフィルムの軟化温度において、平滑面で押圧すれば容易に光沢ある平滑面になることを利用して、凹凸面と平滑面とを組合せた押圧具を使用し、プラスチックフィルムをその軟化温度で押圧具により押圧することにより、艶消し梨地部位と光沢ある平滑部位とのコントラストにより図柄を表すものである。本発明におけるプラスチックフィルムとしては、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエステル、ナイロン等特に限定はなく、比較的低温度で軟化し、凹凸面で押圧することにより凹凸面が容易に転写されるものであれば使用できる。・・・また、フィルムは全体として透明なものも、着色したものも使用できる。」(第2頁左上欄第12行~同頁左下欄第11行)
(ウ) 「本発明に係る梨地部位とは、微少な凹凸がプラスチックフィルム表面に施されて光線が乱反射し、半透明、乳白色、艶消し状態に見える部位をいい、具体的には、フィルムの厚さ方向及び平面方向に1μm以上の凹凸があることが好ましい。」(第2頁右下欄第1~5行)
(エ) 「押圧具としては、反対方向に同一周速で回転する一対のロール間をフィルムを加圧下に通過させる形式のものが好ましい。この場合、一方のロールには梨地面と平滑面とによる図柄が表現されていることを要する。」(第2頁右下欄第16~20行)
(オ)「第1図は本発明の1実施例の製造工程を示す説明図である。1、2は一対の回転ロールであり、1は全面平滑面であり、2は局部的に凹凸面3を有する150℃に加熱した加工ロールであり、互いに反対方向に同一周速度で回転している。4は加工ロール2の平滑面である。5はプラスチックフィルムであり、本実施例においては、淡青色に着色した低密度ポリエチレンフィルムと無色透明なポリエステルフィルムとの積層品を用い、低密度ポリエチレン層を加工ロール2で押圧した。6は凹凸面3によりフィルム4に設けられた梨地部位であり、7は平滑部位を示す。第2図は加工ロール2の展開図である。3は図形を表す梨地部位であり、3’は文字を表す梨地部位である。・・・第3図は、このようにして得たフィルムを用いて製造した手提げ袋8を示す。実線で表現した文字部分6’、模様部分6共に梨地部位である。9は手提げ袋の融着部である。本実施例によれば、一対のロールを一回通過させるのみでプラスチックフィルムに梨地図柄を表現することができた。梨地部位と平滑部位との間に充分なコントラストがあるため、図柄は充分に識別することができた。」(第3頁右上欄第17行~同頁右下欄第3行)
(カ)「〔効果〕本発明によれば、特に印刷工程を設けることなく、製袋工程、製膜工程、或いは製袋、充填工程に容易に組込める簡易な手段で必要な図柄をプラスチックフィルムに施すことができる。」(第4頁左上欄第1~5行)
「[図:0001417927000001.jpg]」
「[図:0001417927000002.jpg]」
「[図:0001417927000003.jpg]」
イ 引用文献1の記載事項から以下の事項が記載されていることが分かる。
(ア)第2図は加工ロールの展開図であるものの、同様のデザインのフィルムが製造されることが明らかであるところ、上記アの(イ)及び(オ)並びに第1~3図から、プラスチックフィルム及び該フィルムを用いて製造した手提げ袋8の一部に梨地部位を有し、梨地部位は、印刷インクによる印刷工程を経ずに図形3、文字の組合せ3’及び模様6、文字の組合せ6’を表現したものであるといえる。
(イ)上記アの(ウ)から、梨地部位は、微少な凹凸が施され、その高さは1μm以上であるといえる。
ウ 引用発明1、7
上記ア及びイを総合すると、以下の発明が記載されていると認められる。
「プラスチックフィルム5を用いて製造した手提げ袋8であって、前記手提げ袋8は、その表面に梨地部位を有し、前記梨地部位は、微少な凹凸が施され、前記梨地部位は、印刷インクによる印刷工程を経ずに模様6及び文字の組合せ6’を表現したものであり、前記微少な凹凸の高さは、1μm以上である、手提げ袋8。」(以下「引用発明1」という。)
「梨地部位を有するプラスチックフィルム5であって,前記梨地部位は、微少な凹凸が施され、前記梨地部位は、印刷インクによる印刷工程を経ずに模様6及び文字の組合せ6’を表現したものであり、前記微少な凹凸の高さは、1μm以上である、プラスチックフィルム5。」(以下「引用発明7」という。)
(2) 引用文献2
ア 引用文献2には以下の記載がある。
(ア) 「本発明の一つの目的はプラスチツクフイルムの波形成形を簡易な装置を用いて高い精度の加工を行なうにある。」(第1頁右下欄第16~18行)
(イ) 「このように加工される前のフィルムは平坦で厚さ200~20ミクロン(通常は前記したような目的には100~25ミクロンていど)のものを上記条件下で成形せしめることにより成形後の波ピツチが0,5~2ミリメートルていどのもので波高さが50ミクロン~200ミクロン(相対誤差±数パーセント以下)ていどのものが得られた。」(第2頁左下欄第15行~同頁右下欄第1行)
(ウ) 「また第6図から極めて容易に、図中の点線表示を実線表示に変更したような、即わちつる巻角ψをもつた切欠き部(5J)《5J》(当審注:二重丸括弧を《》で表記。以下同様。)に交叉する切欠き部(5j)《5j》・・・(図示せず)を更に設けることもでき、このようなブレスロールを(54)で示す。また斑点状に上記円筒ロール(5c)面上に多数の切欠き部(5j)《5j》・・・(ロール縦断面図上では凹面となる)、を設けることもでき、このようなプレスロールを符号(55)で示すこととする。(図示せず。)」(第4頁左上欄第15行~同頁右上欄第4行)
(エ) 「第9各図に各種の本波フイルムを示す。図中太線は谷(v)を細線は山(m)を白地は原のままのシート(s)を示す。第9(A)図に示す本波フイルム(21)はプレスロール(51)を、第9(B)図に示す本波フイルム(22)はプレスロール(52)を、第9(C)図示の本波フイルム(23)はプレスロール(53)を、第9(D)図示本波フイルム(24)はプレスロール(54)を、第9(E)図示本波フィルム(25)はプレスロール(55)を、それぞれ用いて得られる態様の例を示す。」(第4頁右下欄第17行~第5頁左上欄第7行)
「[図:0001417927000004.jpg]」
「[図:0001417927000005.jpg]」
「[図:0001417927000006.jpg]」
イ 引用文献2の記載事項から以下の事項が記載されていることが分かる。
(ア) 引用文献2の「図中太線は谷(v)を細線は山(m)を白地は原のままのシート(s)を示す。」(ア(エ))並びに第9図(D)及び(E)から、プラスチックフィルムは、波形成形による複数の波の列で模様が表現されたものであることが分かる。
(イ) 引用文献2の上記ア(イ)から前記複数の波の列は、波ピッチが、500μm~2mm程度であり、前記波高さが、50μm~0.2mm程度であることが分かる。
ウ 上記ア及びイを総合すると、以下の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「プラスチックフィルムは、複数の波の列を用いて模様が表現されたものであり、前記複数の波の列は、波ピッチが、500μm~2mm程度であり、前記波高さが、50μm~0.2mm程度である、プラスチックフィルム。」
2 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1を、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
引用発明1の「プラスチックフィルム5を用いて製造した手提げ袋8」及び「微少な凹凸」は、本願発明1の「袋(1)」及び「凹凸」に相当する。
引用発明1の「微少な凹凸が施され」た「梨地部位」と、本願発明1の「複数の凹凸の列を含」む「1つ又は連続した単位エンボス(3)」とは、「凹凸部位」の限りにおいて一致する。
また、引用発明1の「手提げ袋8は、その表面に梨地部位を有」することと、本願発明1の「袋(1)は,その一部又は全面に1つ又は連続した単位エンボス(3)を有」することとは、「袋は、その表面に凹凸部位を有」することの限りにおいて一致する。
更に、引用発明1の「梨地部位は、微少な凹凸が施され」ることと、本願発明1の「1つ又は連続した単位エンボス(3)は,複数の凹凸の列を含」むこととは、「凹凸部位は、複数の凹凸を含」むことの限りにおいて一致する。
加えて、引用発明1の「模様6及び文字の組合せ6’」は、引用文献1の第3図の「スーパーAB」の文字の組合せや、その下部に示された特殊な形状の模様6からみて、それらはロゴマークといえるものであるから、引用発明1の「梨地部位は、印刷インクによる印刷工程を経ずに模様6及び文字の組合せ6’を表現したものであ」ることと、本願発明1の「単位エンボスは,インクを用いずにロゴマークを表現したものであ」ることとは、「インクを用いずにロゴマークを表現したもの」であることで両者は相当し、そのものが「凹凸部位」である限りにおいて一致する。
そして、引用発明1の「微少な凹凸の高さは、1μm以上である」ことと、本願発明1の「複数の凹凸の列は,凹凸の周期が,0.1μm以上1mm以下のストライプ状であり,前記凹凸の高さは,0.1μm以上0.1mm以下である」ることとは、「凹凸の高さは、1μm以上である」ことの限りにおいて一致する。
そうすると、本願発明1と引用発明1とは以下の点で一致し、相違する。
<一致点1>
「袋であって、前記袋は、その表面に凹凸部位を有し、前記凹凸部位は、複数の凹凸を含み、前記凹凸部位は、インクを用いずにロゴマークを表現したものであり、前記凹凸の高さは、1μm以上である、袋。」
<相違点1>
本願発明1の袋では、インクを用いずにロゴマークを表現したものが「単位エンボス(3)」であり、
「袋(1)は,その一部又は全面に1つ又は連続した単位エンボス(3)を有し,前記単位エンボス(3)は,複数の凹凸の列を含み,」「前記複数の凹凸の列は,凹凸の周期が,0.1μm以上1mm以下のストライプ状であり,前記凹凸の高さは,0.1μm以上0.1mm以下である」のに対し、
引用発明1の袋では、インクを用いずにロゴマークを表現したものが「梨地部位」であり、
「手提げ袋8は、その表面に梨地部位を有し、前記梨地部位は、微少な凹凸が施され、」「前記微少な凹凸の高さは、1μm以上である」点。
(2)判断
以下、相違点1について検討する。
ア 袋の「一部又は全面」について
引用文献1の第3図を参照すると、模様6及び文字の組合せ6’は、袋の相応の面積に形成されているといえ、また、模様又は文字の組合せの一方は、袋の一部に形成されたものともいえる。そうすると、袋の一部又は全面にロゴマーク等を表現したものとすることは、当業者が適宜なし得る設計事項である。
イ 単位エンボスに関して
(ア)引用発明1と引用文献2記載事項の組み合わせについて
折りたたみ中(クリックで表示)
引用発明1及び引用文献2記載事項は、フィルムに複数の凹凸によって図形を表現する点で技術が共通しており、加えて、両者の凹凸は共に一対のローラで形成されるものでもあるから、両者を組み合わせることの動機付けがあるところ、引用発明1のインクを用いずにロゴマークを表現した凹凸部位を、引用文献2記載事項の複数の波の列すなわちストライプ状の複数の凹凸の列による表現とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(イ)「袋(1)」の「1つ又は連続した単位エンボス」について
本願発明1の「単位エンボス」について、本願明細書を参照すると「1つ又は連続したエンボスを構成する単位エンボスは,ロゴマークを含む,ロゴマークは,特定の記号であったり,イラストを意味する」(【0016】)とされているところ、「単位エンボス」は「ロゴマーク」を含むものであり、「単位エンボス」自体がロゴマークであることを排除していない特定事項であるから、上記のとおり引用発明1に引用文献2記載事項を適用してロゴマークを表現したものは、「ストライプ状」の「複数の凹凸の列」を含む「単位エンボス」といえる。
そして、上記(ア)で述べた引用文献1の第3図に示された模様6及び文字の組合せ6’は、模様6と文字の組合せ6’による表現、連続した図形の繰り返しによる模様6の表現、スーパーという文字の組合せによる表現、ABという文字の組合せによる表現、スーパーABとしての組合せによる表現というように、種々の表現態様があり、これらの表現は「1つ又は連続した単位エンボス」による表現といえるものである。
(ウ)数値限定について
引用文献2記載事項の波形に係る複数の凹凸の列の周期は500μm以上2mm以下程度のストライプ状といえるものである。また、引用発明1の凹凸の高さが1μm以上について、引用文献2記載事項の波形に係る高さは50μm以上0.2mm以下程度であるから、両者の高さ寸法は重複し、且つ、両者の凹凸は共に一対のローラで形成されるものであるから、引用発明1に引用文献2記載事項の各数値を採用することは可能である。
そして、凹凸の上下限値をどの程度とするかは、ロゴマークの視認性向上など、数値範囲の最適化又は好適化といえ、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない。
ウ 以上から、相違点に係る本願発明1の構成は、引用発明1及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易になし得たことである。
(3) 効果の予測性
本願発明1の奏する作用効果は、引用発明1及び引用文献2記載事項の奏する作用効果から予測される範囲のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(4) 小括
よって、本願発明1は、引用発明1及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 本願発明7について
(1)対比
本願発明7と引用発明7を、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
引用発明7の「プラスチックフィルム5」及び「微少な凹凸」は、本願発明7の「フィルム」及び「凹凸」に相当する。
また、引用発明7の「微小な凹凸が施され」た「梨地部位」と、本願発明7の「複数の凹凸の列を含」む「1つ又は連続した単位エンボス(3)」とは、「凹凸部位」の限りにおいて一致する。
更に、引用発明7の「梨地部位は、微少な凹凸が施され」ることと、本願発明7の「単位エンボス(3)は,複数の凹凸の列を含」むこととは、「凹凸部位は、複数の凹凸を含」む限りにおいて一致する。
加えて、引用発明7の「模様6及び文字の組合せ6’」は、引用文献1の第3図の「スーパーAB」の文字の組合せや、その下部に示された特殊な形状の模様からみて、それらはロゴマークといえるものであるから、引用発明7の「梨地部位は、印刷インクによる印刷工程を経ずに模様6及び文字の組合せ6’を表現したものであ」ることと、本願発明7の「単位エンボス(3)は,インクを用いずにロゴマークを表現したものであ」ることとは、「インクを用いずにロゴマークを表現したもの」であることで両者は相当し、そのものが「凹凸部位」である限りにおいて一致する。
そして、引用発明7の「微少な凹凸の高さは、1μm以上である」ことと、本願発明7の「複数の凹凸の列は,凹凸の周期が,0.1μm以上1mm以下のストライプ状であり,前記凹凸の高さは,0.1μm以上0.1mm以下である」ることとは、「凹凸の高さは、1μm以上である」ことの限りにおいて一致する。
そうすると、本願発明7と引用発明7とは以下の点で一致し、相違する。
<一致点2>
「凹凸部位を有するフィルムであって、前記凹凸部位は、複数の凹凸を含み、前記凹凸部位は、インクを用いずにロゴマークを表現したものであり、前記凹凸の高さは、1μm以上である、フィルム。」
<相違点2>
本願発明7のフィルムでは、インクを用いずにロゴマークを表現したものが「単位エンボス(3)」であり、
「1つ又は連続した単位エンボス(3)を有」し、
「前記単位エンボス(3)は,複数の凹凸の列を含み,」「前記複数の凹凸の列は,凹凸の周期が,0.1μm以上1mm以下のストライプ状であり,前記凹凸の高さは,0.1μm以上0.1mm以下である」のに対し、
引用発明1のフィルムでは、インクを用いずにロゴマークを表現したものが「梨地部位」であり、
「前記梨地部位は、微少な凹凸が施され、」「前記微少な凹凸の高さは、1μm以上である」点。
(2)判断
相違点2については、上記2の(1)で述べた相違点1と実質的に同一であることから、上記2の(2)で述べた理由と同様の理由により、相違点2に係る本願発明7の構成は、引用発明7及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易になし得たことである。
(3) 効果の予測性
本願発明7の奏する作用効果は、引用発明7及び引用文献2記載事項の奏する作用効果から予測される範囲のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(4) 小括
したがって、本願発明7は、引用発明7及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明1及び7は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2022-006919