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特許拒絶査定不服審判

2022-006503

インターホンシステム、インターホンシステムの画像出力方法、及びプログラム

審判番号
2022-006503
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-024328外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年04月28日
審決日
2023年07月25日
公報発行日
2023年08月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H04M)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-24328「インターホンシステム、インターホンシステムの画像出力方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和元年8月22日出願公開、特開2019-140617、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 18項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成30年2月14日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和3年7月 5日付け:拒絶理由の通知
令和3年9月13日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年1月31日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和4年4月28日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和5年3月30日付け:拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の 通知
令和5年6月 5日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定の概要は次のとおりである。

本願請求項1~12に係る発明は、以下の引用文献A~Cに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

A.特開2014-20062号公報

B.特開2009-206784号公報

C.特開2010-103618号公報

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

本願請求項1~10に係る発明は、以下の引用文献1及び3又は2及び3に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

1.特開2016-158170号公報(当審において新たに引用した文献)

2.特開2014-20062号公報 (拒絶査定時の引用文献A)

3.特開2010-103618号公報(拒絶査定時の引用文献C)

第4 本願発明

本願の請求項1~6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明6」という。)は、令和5年6月5日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1~6は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
広角レンズを備えたカメラが撮影した元画像に基づき、顔認証用に画像処理された顔認証用の第1画像を出力する第1出力部と、
居住空間の外側に配置される第1通話装置と通信可能であって前記居住空間に配置される第2通話装置に対して、前記元画像に基づく表示用の第2画像を出力する第2出力部と、を有し、
前記居住空間は、集合住宅の複数の住戸の1つであり、
続きを表示(全32行)
前記第1通話装置は、前記集合住宅の共同玄関に配置されており、
前記第1通話装置が、前記第1出力部と、前記第2出力部とを有し、
前記第1出力部は、前記元画像を顔認証用に画像処理した後の画像の部分画像を前記第1画像として出力し、
前記第1通話装置が、前記第2通話装置が備える操作入力部が受け付けた前記部分画像の範囲を設定する操作入力に基づいて、前記部分画像の範囲を設定する設定部を更に備える
インターホンシステム。
【請求項2】
前記元画像において前記第1画像が占める範囲が、前記元画像において前記第2画像が占める範囲よりも狭い
請求項1に記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記元画像において前記第1画像が占める範囲が、前記元画像において前記第2画像が占める範囲よりも広い
請求項1に記載のインターホンシステム。
【請求項4】
前記第1出力部が、前記第1画像を前記第2通話装置に出力する
請求項1~3のいずれか1項に記載のインターホンシステム。
【請求項5】
広角レンズを備えたカメラが撮影した元画像に基づき、顔認証用に画像処理された顔認証用の第1画像を出力する第1出力処理と、
居住空間の外側に配置される第1通話装置と通信可能であって前記居住空間に配置される第2通話装置に対して、前記元画像に基づく表示用の第2画像を出力する第2出力処理と、を含み、
前記居住空間は、集合住宅の複数の住戸の1つであり、
前記第1通話装置は、前記集合住宅の共同玄関に配置されており、
前記第1通話装置が前記第1出力処理と前記第2出力処理とを行い、
前記第1出力処理では、前記元画像を顔認証用に画像処理した後の画像の部分画像を前記第1画像として出力し、
前記第1通話装置が、前記第2通話装置が備える操作入力部が受け付けた前記部分画像の範囲を設定する操作入力に基づいて、前記部分画像の範囲を設定する設定処理を更に行う
インターホンシステムの画像出力方法。
【請求項6】
集合住宅の共同玄関に配置される第1通話装置として動作するコンピュータシステムに、
広角レンズを備えたカメラが撮影した元画像に基づき、前記元画像を顔認証用に画像処理した後の画像の部分画像である顔認証用の第1画像を出力する第1出力処理と、
前記集合住宅の複数の住戸の1つである居住空間の外側に配置される前記第1通話装置と通信可能であって前記居住空間に配置される第2通話装置に対して、前記元画像に基づく表示用の第2画像を出力する第2出力処理と、
前記第2通話装置が備える操作入力部が受け付けた前記部分画像の範囲を設定する操作入力に基づいて、前記部分画像の範囲を設定する設定処理と、を実行させるためのプログラム。」

第5 引用文献、引用発明等

1 引用文献1について

(1)引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。以下、同様。)。

ア 「【0013】
図1は、本発明の実施例1に係るインターホンシステム100の構成を示す。インターホンシステム100は、インターホン室外装置10、制御装置12、インターホン室内装置14を含む。インターホン室外装置10は、呼出操作部20、マイク22、スピーカ24、室外用音声処理部26、撮像装置30、画像処理部32、識別用処理部34、データベース36、解錠処理部38、室外用IF42を含む。インターホン室外装置10は、ドア40に接続される。インターホン室内装置14は、室内用IF50、室内用音声処理部52、マイク54、スピーカ56、表示部58、生成部60、応対部62、解錠操作部64を含む。生成部60は、第1取得部70、抽出部72、第2取得部74、分類部76、センサ78、第3取得部80、記憶実行部82を含み、記憶実行部82は、確認部84を含む。応対部62は、特定部90、処理部92を含む。
【0014】
インターホンシステム100は、一例として、マンションに設置されている。インターホン室外装置10は、マンションのロビーに設置されており、ロビーインターホンとも呼ばれる。なお、インターホン室外装置10が、住戸玄関に設置されるドアインターホンであってもよいが、以下ではドアインターホンである場合の説明を省略する。インターホン室内装置14は、住戸内に設置されており、住戸機とも呼ばれる。制御装置12は、機械室や管理人室などの共用スペースに設置され、インターホン室外装置10とインターホン室内装置14との間の信号を中継する。
【0015】
なお、図1では、説明を単純化するため1つの住戸に設置された1台のインターホン室内装置14だけを示す。しかしながら、マンション内には、多数の住戸が存在し、各住戸にはインターホン室内装置14が設置される。複数のインターホン室内装置14のそれぞれは、制御装置12に接続されるとともに、制御装置12を介してインターホン室外装置10に接続される。そのため、制御装置12は、複数のインターホン室内装置14とインターホン室外装置10との間を中継する。このような構成において、来訪者は、インターホン室外装置10に対して部屋番号を入力して、訪問先のインターホン室内装置14を発呼させる。」
イ 「【図1】
[図:0001400029000001.jpg]
」
ウ 「【0019】
撮像装置30は、来訪者を撮影するためのものであり、CMOS(ComplementaryMetalOxideSemiconductor)イメージセンサ、CCD(ChargeCoupledDevice)イメージセンサ等の固体撮像素子を備える。当該固体撮像素子は光電変換した映像信号を画像処理部32に出力する。画像処理部32は、撮像装置30からの映像信号を記憶するためのフレームメモリを有する。画像処理部32は、フレームメモリに記憶した映像信号に対して種々の信号処理を実行する。種々の信号処理は、例えば、映像信号の露出を制御する露出制御処理、映像信号の色バランスを制御する色バランス制御処理、映像信号の階調特性を制御する階調特性制御処理、映像信号の輪郭強調度合いを制御する輪郭強調制御処理を含む。画像処理部32は、信号処理を実行した映像信号(以下、「画像データ」という)を識別用処理部34、室外用IF42に出力する。
【0020】
ドア40は、ロビーに設けられ、図示しない鍵部が設けられる。この鍵部は電子的に施錠/解錠可能であり、通常、鍵部は施錠されている。解錠処理部38は、室外用IF42から、インターホン室内装置14において生成された解錠信号を受けつけた場合に、ドア40の鍵部を解錠する。なお、解錠された鍵部は、一定期間経過後に施錠される。また、来訪者によってドア40の鍵部が解錠された場合、ドア40は、解錠されたことを解錠処理部38に通知する。解錠処理部38は、解錠を通知されると、室外用IF42に解錠信号を出力する。室外用IF42は、呼出信号、音声信号、画像データ、解錠信号を制御装置12と通信するための通信インタフェースである。なお、呼出信号、画像データは、室外用IF42から制御装置12への片方向通信であり、音声信号、解錠信号は、室外用IF42と制御装置12との間の双方向通信である。
【0021】
インターホン室内装置14の室内用IF50は、制御装置12と通信するための通信インタフェースである。室内用IF50は、室外用IF42に対応した処理を実行する。そのため、呼出信号、画像データは、制御装置12から室内用IF50への片方向通信であり、音声信号、解錠信号は、室内用IF50と制御装置12との間の双方向通信である。表示部58は、室内用IF50からの画像データを受けつけ、画像データを再生して画像、特に来訪者が撮像された画像を表示する。」
エ 「【0024】
(2)生成処理
識別用処理部34は、画像処理部32からの画像データを受けつける。識別用処理部34は、画像データから人物の顔画像(顔領域)を抽出する顔画像抽出処理、抽出された顔画像から人物の顔の特徴量(例えば、目、鼻、口などの顔器官形状の特徴に対応した情報)を抽出する特徴量抽出処理を実行する。識別用処理部34は、これらの処理を実行した画像データ(以下、これもまた「画像データ」という)を室外用IF42に出力する。この画像データは、制御装置12、室内用IF50を介して、第1取得部70に入力される。
【0025】
第1取得部70は、来訪者が撮像された画像データであって、かつ識別用処理部34からの画像データを取得する。第1取得部70は、画像データを抽出部72、分類部76、特定部90に出力する。第2取得部74は、第1取得部70において取得した画像データに撮像されている来訪者に対する居住者の応対結果を取得する。応対結果とは、(1)基本処理に示された応対、(3)応対処理に示される応対が居住者によってなされた結果に関する情報である。応対結果は、解錠操作部64および室内用音声処理部52から出力される。具体的に説明すると、解錠操作部64からの応対結果には、解錠操作が実行済であるか、あるいは解錠操作が未実行であるかが示される。一方、室内用音声処理部52からの応対結果には、来訪者との通話操作が実行済であるか、あるいは来訪者との通話操作が未実行であるかが示される。なお、通話操作が実行済である場合、通話内容の音声信号が応対結果に含まれる。第2取得部74は、応対結果を抽出部72、分類部76に出力する。」
オ 「【0039】
記憶実行部82は、分類部76における分類の結果を受けつける。分類の結果には、例えば、画像データ、属性の情報が含まれる。記憶実行部82は、室内用IF50、制御装置12、室外用IF42を介して、分類の結果をデータベース36に記憶させる。図3は、データベース36のデータ構造を示す。図示のごとく、画像データ欄200、名称欄202、属性欄204が含まれる。画像データ欄200には、画像データが示される。なお、画像データには、識別用処理部34において所定の処理がなされているので、画像データ欄200には、所定の処理の結果が含まれていてもよい。属性欄204には、属性の情報が含まれる。属性の情報は、図2(a)~(b)と同様に示される。名称欄202には、来訪者の名称が示される。名称は、事後確認によって登録されてもよく、省略されてもよい。図1に戻る。」
カ 「【図3】
[図:0001400029000002.jpg]
」
キ 「【0045】
(3)応対処理
特定部90は、第1取得部70において取得された画像データを受けつける。特定部90は、室内用IF50、制御装置12、室外用IF42を介して、データベース36を参照する。特定部90は、データベース36に含まれた複数の画像データと、第1取得部70から受けつけた画像データとを比較する。画像データの比較処理には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。特定部90は、比較結果の差異が所定の範囲に含まれた画像データであって、かつデータベース36に含まれた画像データを、第1取得部70から受けつけた画像データに一致する画像データとして選択する。特定部90は、選択した画像データに対応した来訪者の属性をデータベース36から抽出する。これは、第1取得部70において取得した画像データに撮像されている来訪者の属性を特定することに相当する。一方、選択される画像データがない場合、特定部90は、来訪者が含まれる属性がないことを特定する。特定部90は、特定した属性を処理部92に出力する。
【0046】
処理部92は、特定部90から、属性の情報を受けつける。処理部92は、受けつけた属性に応じて、居住者への処理を実行する。例えば、処理部92は、属性に応じて、インターホン室内装置14のスピーカ56から音声出力される呼出音の種類を変更する。なお、ここでの属性には、来訪者が含まれる属性がない場合も含まれる。また、処理部92は、低信頼性に対応した属性である場合、インターホン室内装置14のスピーカ56から呼出音を音声出力させなくてもよい。また、処理部92は、属性の情報を画像データとともに表示部58に表示させてもよい。また、処理部92は、低信頼性に対応した属性である場合、インターホン室外装置10のスピーカ24から、「都合によりお取次ぎできません。御用の場合は管理人…」のような訪問を拒否する旨のメッセージを音声出力してもよい。また、処理部92は、中信頼性に対応した属性である場合、インターホン室外装置10のスピーカ24から、宅配ボックスの使用を許可する旨のメッセージを音声出力してもよい。」

(2)したがって、前記ア~キから、引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「インターホンシステム100は、インターホン室外装置10、制御装置12、インターホン室内装置14を含み(【0013】)、
インターホン室外装置10は、撮像装置30、画像処理部32、識別用処理部34、データベース36、室外用IF42を含み、インターホン室内装置14は、室内用IF50、表示部58、生成部60、応対部62を含み、生成部60は、第1取得部70を含み、応対部62は、特定部90、処理部92を含み(【0013】)、
インターホンシステム100は、一例として、マンションに設置され、インターホン室外装置10は、マンションのロビーに設置されており、インターホン室内装置14は、住戸内に設置されており(【0014】)、
マンション内には、多数の住戸が存在し、各住戸にはインターホン室内装置14が設置され(【0015】)、
続きを表示(全13行)
撮像装置30は、来訪者を撮影するためのものであり、固体撮像素子を備え、当該固体撮像素子は光電変換した映像信号を画像処理部32に出力し、画像処理部32は、映像信号に対して種々の信号処理を実行し、画像処理部32は、信号処理を実行した映像信号(画像データ)を識別用処理部34、室外用IF42に出力し(【0019】)、
室外用IF42は、呼出信号、音声信号、画像データ、解錠信号を制御装置12と通信するための通信インタフェースであり(【0020】)、
インターホン室内装置14の室内用IF50は、制御装置12と通信するための通信インタフェースであり、室内用IF50は、室外用IF42に対応した処理を実行し、表示部58は、室内用IF50からの画像データを受けつけ、画像データを再生して画像、特に来訪者が撮像された画像を表示し(【0021】)、
識別用処理部34は、画像処理部32からの画像データを受けつけ、画像データから人物の顔画像(顔領域)を抽出する顔画像抽出処理を実行し、これらの処理を実行した画像データを室外用IF42に出力し、この画像データは、制御装置12、室内用IF50を介して、第1取得部70に入力され(【0024】)、
第1取得部70は、来訪者が撮像された画像データであって、かつ識別用処理部34からの画像データを取得し、画像データを特定部90に出力し(【0025】)、
データベース36のデータ構造には、画像データ欄200、名称欄202、属性欄204が含まれ(【0039】)、
特定部90は、第1取得部70において取得された画像データを受けつけ、室内用IF50、制御装置12、室外用IF42を介して、データベース36を参照し、第1取得部70において取得した画像データに撮像されている来訪者の属性を特定し、特定した属性を処理部92に出力し(【0045】)、
処理部92は、特定部90から、属性の情報を受けつけ、受けつけた属性に応じて、居住者への処理を実行するものであり、低信頼性に対応した属性である場合、インターホン室外装置10のスピーカ24から、「都合によりお取次ぎできません。御用の場合は管理人…」のような訪問を拒否する旨のメッセージを音声出力し、中信頼性に対応した属性である場合、インターホン室外装置10のスピーカ24から、宅配ボックスの使用を許可する旨のメッセージを音声出力する(【0046】)
インターホンシステム100。」

2 引用文献2について

(1)引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0025】
まず、本実施例1に係るインターホンシステムの特徴及び構成について説明する。図1は、実施例1に係るインターホンシステムの構成を示す図である。図1に示すインターホンシステムは、集合住宅のエントランスにドア40と集合玄関機10とを設けている。また、各住居にはインターホン端末20を設け、管理人室にサーバ30を設けている。」
イ 「【図1】
[図:0001400029000003.jpg]
」
ウ 「【0038】
次に、インターホンシステムに含まれる各装置の内部構成について説明する。図3は、インターホンシステムに含まれる各装置の内部構成を説明するための説明図である。図3に示すように、集合玄関機10は、操作部11と、カメラ12と、マイク13と、スピーカ14と、施錠機構15と、通信部16と、制御部17とを有する。」
エ 「【図3】
[図:0001400029000004.jpg]
」
オ 「【0040】
制御部17は、集合玄関機10を全体制御する制御部であり、呼出処理部17a、画像送信部17b及び解錠処理部17cを有する。呼出処理部17aは、インターホン端末20に対する呼出を行なう処理部である。具体的には、呼出処理部17aは、操作部11が住居番号の入力並びに呼出ボタンの押下を受け付けた場合に、入力された住居番号に対応するインターホン端末20に対する呼出を行い、インターホン端末20に対して通話操作が行なわれたならば訪問者と居住者との間で通話を行なわせる処理を行なう。
【0041】
画像送信部17bは、カメラ12が撮像した画像をサーバ30及びインターホン端末20に送信する処理部である。なお、サーバ30に対する画像の送信は常時行なわれ、インターホン端末20に対する画像の送信は、呼出先のインターホン端末20に対して選択的に行なわれる。」
カ 「【0043】
インターホン端末20は、操作部21と、表示部22と、マイク23と、スピーカ24と、通信部25と、制御部26とを有する。操作部21は、集合玄関機10から呼出を受けた場合に通話を開始するための通話ボタンと、登録を行なうための登録ボタンとを含み、居住者からの操作受付に使用される。表示部22は、液晶パネル等であり、集合玄関機10が撮像した画像の表示や、登録可否の確認メッセージの表示に使用される。マイク23及びスピーカ24は、集合玄関機10との通話のために使用される。通信部25は、集合住宅内のネットワークを介して集合玄関機10及びサーバ30と通信するためのインタフェース部である。
【0044】
制御部26は、インターホン端末20を全体制御する制御部であり、呼出応答部26a、解錠要求部26b及び登録要求部26cを有する。呼出応答部26aは、集合玄関機10から呼出を受けた場合に呼出音をスピーカ24から出力するとともに、集合玄関機10のカメラ12により撮像された画像を表示部22に表示制御する。そして、居住者が操作部21に対して応答操作を行なった場合には、訪問者と居住者との間で通話を行なわせる処理を行なう。」
キ 「【0072】
まず、サーバ30の認証処理部33bは、集合玄関機10から受信した画像に人物の画像が含まれているか否かを検知する(ステップS301)。この人物の検知には、パターンマッチング等、任意の画像処理技術を用いることができる。
【0073】
画像内に人物を検知したならば(ステップS301;Yes)、検知した人物の顔画像を抽出し、該顔画像と登録人物画像とを照合して、認証処理を行なう(ステップS302)。この認証処理が成功した、すなわち、検知した人物の顔画像と登録人物画像とが一致したならば(ステップS303;Yes)、認証処理部33bは、記憶部32の認証履歴を更新し(ステップS304)、解錠要求部33cは、集合玄関機10に対して解錠要求を送信する(ステップS305)。」

(2)したがって、ア~キから、引用文献2には次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「集合住宅のエントランスに集合玄関機10を設け、各住居にはインターホン端末20を設け(【0025】)、
集合玄関機10は、カメラ12と、通信部16と、制御部17とを有し(【0038】)、制御部17は、集合玄関機10を全体制御する制御部であり、画像送信部17bを有し(【0040】)、
画像送信部17bは、カメラ12が撮像した画像をサーバ30及びインターホン端末20に送信する処理部であり、サーバ30に対する画像の送信は常時行なわれ、インターホン端末20に対する画像の送信は、呼出先のインターホン端末20に対して選択的に行なわれ(【0041】)、
インターホン端末20は、通信部25と制御部26とを有し、通信部25は、集合住宅内のネットワークを介して集合玄関機10及びサーバ30と通信するためのインタフェース部であり(【0043】)、
制御部26は、インターホン端末20を全体制御する制御部であり、呼出応答部26aを有し、呼出応答部26aは、集合玄関機10のカメラ12により撮像された画像を表示部22に表示制御し(【0044】)、
サーバ30の認証処理部33bは、集合玄関機10から受信した画像に人物の画像が含まれているか否かを検知し(【0072】)、
画像内に人物を検知したならば、検知した人物の顔画像を抽出し、該顔画像と登録人物画像とを照合して、認証処理を行なう(【0073】)、
インターホンシステム。」

3 引用文献3について

(1)引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0010】
本発明によれば、広角なデジタルカメラよって得られた画像から画像の切出しを行うことができる画像切出装置を提供することができる。」
イ 「【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1による顔認証システム100に搭載される画像切出装置(画像切出手段)20の構成図である。」
ウ 「【図1】
[図:0001400029000005.jpg]
」
エ 「【0014】
被写体の画像を撮像するためのカメラとしてのデジタルカメラ10は、カメラレンズ10a及びカメラ本体10bを有して構成される。カメラレンズ10aには、顔認証システム100に要求される被写体(人物)の検知範囲Lを撮像可能な画角θを有する広角レンズが使用される。」

(2)したがって、前記ア~エから、引用文献3には次の技術的事項が記載されていると認められる。

「顔認証システム100に搭載される画像切出装置であって(【0012】)、
デジタルカメラ10は、カメラレンズ10a及びカメラ本体10bを有して構成され、カメラレンズ10aには、顔認証システム100に要求される被写体(人物)の検知範囲Lを撮像可能な画角θを有する広角レンズが使用され(【0014】)、
広角なデジタルカメラよって得られた画像から画像の切出しを行うことができる画像切出装置(【0010】)。」

第6 対比・判断

1 本願発明1について

(1)引用発明1に基づく本願発明1の進歩性について

ア 本願発明1と引用発明1との対比

本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のとおりである。

(ア)「広角レンズを備えたカメラが撮影した元画像に基づき、顔認証用に画像処理された顔認証用の第1画像を出力する第1出力部と、」について

a 引用発明1の「撮像装置30」(【0019】)は、「来訪者を撮影するためのもの」であるから、(【0019】)本願発明1の「広角レンズを備えたカメラ」とは、「カメラ」である点で共通する。

b 引用発明1の「撮像装置30」の「個体撮像素子」により「光電変換」された「映像信号」」(【0019】)は、「来訪者を撮影」した画像といえるから、本願発明1の「カメラが撮影した元画像」に相当する。

c 引用発明1の「顔画像抽出処理」(【0024】)は、「人物の顔画像(顔領域)を抽出する顔画像抽出処理を実行」する(【0024】)ことであり、該「顔画像抽出処理」等を実行した「画像データ」(【0024】)は、「第1取得部70」(【0024】)から「特定部90」(【0025】)に送信され、「特定部90」では「撮像されている来訪者の属性を特定」し(【0045】)、「特定部92」は該「属性に応じて、居住者への処理」を実行するものであり、例えば、来訪者が「低信頼性に対応した属性である場合」には「訪問を拒否する旨」を、「中信頼性に対応した属性である場合」には「宅配ボックスの使用を許可する旨」を「音声出力する」処理が実行される(【0046】)から、前記「画像データ」は顔認証に用いられるものといえる。

したがって、引用発明1の「顔画像抽出処理」(【0024】)は、本願発明1の「顔認証用」の「画像処理」に相当する。

d 前記cを踏まえると、引用発明1の「顔画像抽出処理」等を実行した「画像データ」(【0024】)は、顔認証のために用いられるから、本願発明1の「顔認証用に画像処理された顔認証用の第1画像」に相当する。

e 引用発明1の「識別用処理部34」(【0024】)は、前記「顔画像抽出処理」等を実行した「画像データ」を「室外用IFに出力する」(【0024】)から、本願発明1の「第1出力部」に相当する。

f したがって、前記a~eを踏まえると、

引用発明1の「撮像装置30からの映像信号」から「顔画像抽出処理」を実行した「画像データ」を出力する「識別用処理部34」は、本願発明1の「広角レンズを備えたカメラが撮影した元画像に基づき、顔認証用に画像処理された顔認証用の第1画像を出力する第1出力部」とは、「カメラが撮影した元画像に基づき、顔認証用に画像処理された顔認証用の第1画像を出力する第1出力部」である点で共通する。

(イ)「居住空間の外側に配置される第1通話装置と通信可能であって前記居住空間に配置される第2通話装置に対して、前記元画像に基づく表示用の第2画像を出力する第2出力部と、」について

a 引用発明1の「インターホン室外装置10」(【0014】)は、「マンションのロビーに設置される」装置(【0014】)であるから、居住空間の外側に配置されているものといえるので、本願発明1の「居住空間の外側に配置される第1通話装置」に相当する。

b 引用発明1の「インターホン室内装置14」(【0014】)は、「マンション」の「住戸内に設置され」る装置(【0014】【0015】)であり、「インターホン室外装置」の「室外用IF42」(【0013】)と、「インターホン室内装置14」の「室内用IF50」(【0013】)は「制御装置12」を介して通信が行われる(【0013】)から、本願発明1の「第1通話装置と通信可能であって前記居住空間に配置される第2通話装置」に相当する。

c 引用発明1の「信号処理を実行した映像信号」(【0019】)は、「撮像装置30からの映像信号」に対して「種々の信号処理を実行」した(【0019】)映像信号であり、当該映像信号は、「画像データ」として「インターホン室内装置14」の「表示部58」に送信されて表示される(【0021】)から、本願発明1の「表示用の第2画像」に相当する。

d 引用発明1の「映像処理部32」(【0019】)は、前記「種々の信号処理を実行」した「映像信号」を「室外用IF42に出力する」(【0019】)から、本願発明1の「第2出力部」に相当する。

e したがって、前記a~dを踏まえると、

引用発明1の「インターホン室外装置10」と通信が行われる「インターホン室内装置14」に対して「信号処理を実行した映像信号」を出力する「映像処理部32」は、本願発明1の「居住空間の外側に配置される第1通話装置と通信可能であって前記居住空間に配置される第2通話装置に対して、前記元画像に基づく表示用の第2画像を出力する第2出力部」に相当する。

(ウ)「前記居住空間は、集合住宅の複数の住戸の1つであり、」について

a 引用発明1の「マンション」(【0014】)は、本願発明1の「集合住宅」に相当する。

b 引用発明1の「マンション内」の「住戸」(【0015】)は、「マンション内には、多数の住戸が存在し、各住戸にはインターホン室内装置14が設置される」(【0015】)ことから、本願発明1の「集合住宅の複数の住戸の1つである」「居住空間」に相当する。

(エ)「前記第1通話装置は、前記集合住宅の共同玄関に配置されており、」について

引用発明1の「インターホン室外装置10」(【0014】)は、前記イ(ア)を踏まえると、「マンションのロビーに設置され」る装置(【0014】)であるから、本願発明1の「前記集合住宅の共同玄関に配置されている」「第1通話装置」に相当する。

(オ)「前記第1通話装置が、前記第1出力部と、前記第2出力部とを有し、」について

引用発明1の「識別用処理部34」と、「映像処理部32」を有する「インターホン室外装置10」は、前記(ア)e及び(イ)dを踏まえると、本願発明1の「前記第1出力部と、前記第2出力部とを有する」「第1通話装置」に相当する。

(カ)「前記第1出力部は、前記元画像を顔認証用に画像処理した後の画像の部分画像を前記第1画像として出力し、
前記第1通話装置が、前記第2通話装置が備える操作入力部が受け付けた前記部分画像の範囲を設定する操作入力に基づいて、前記部分画像の範囲を設定する設定部を更に備える」(以下「発明特定事項A」という。)について

引用発明1には、前記発明特定事項Aについては特定されていない。

(キ)「インターホンシステム」について

引用発明1の「インターホンシステム100」は、後述する相違点を除き、本願発明1の「インターホンシステム」に相当する。

以上(ア)~(キ)から、本願発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)

「カメラが撮影した元画像に基づき、顔認証用に画像処理された顔認証用の第1画像を出力する第1出力部と、
居住空間の外側に配置される第1通話装置と通信可能であって前記居住空間に配置される第2通話装置に対して、前記元画像に基づく表示用の第2画像を出力する第2出力部と、を有し、
前記居住空間は、集合住宅の複数の住戸の1つであり、
前記第1通話装置は、前記集合住宅の共同玄関に配置されており、
前記第1通話装置が、前記第1出力部と、前記第2出力部とを有する
インターホンシステム。」

(相違点)

(相違点1)

本願発明1は「広角レンズ」を備えるのに対し、引用発明1には、そのような構成が特定されていない点。

(相違点2)

本願発明1は、前記発明特定事項Aを備えるのに対し、引用発明1には、そのような構成が特定されていない点。

イ 本願発明1と引用発明1との相違点についての判断

事案に鑑みて、前記相違点2について先に検討すると、前記相違点2に係る本願発明1の前記発明特定事項Aに係る構成は、引用文献1、引用文献2及び引用文献3のいずれにも記載も示唆もされておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。

したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明1、引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(2)引用発明2に基づく本願発明1の進歩性について

ア 本願発明1と引用発明2との対比

本願発明1と引用発明2とを対比すると、次のとおりである。

(ア)「広角レンズを備えたカメラが撮影した元画像に基づき、顔認証用に画像処理された顔認証用の第1画像を出力する第1出力部と、」について

a 引用発明2の「カメラ12」(【0041】)は、本願発明1の「広角レンズを備えたカメラ」とは、「カメラ」である点で共通する。

b 引用発明2の「カメラ12が撮像した画像」(【0041】)は、本願発明1の「広角レンズを備えたカメラが撮影した元画像」とは、「カメラが撮影した元画像」である点で共通する。

c また、引用発明2の「カメラ12が撮像した画像」(【0041】)は、「サーバ30」に「送信」され(【0041】)、「サーバ30の認証処理部33b」は、「受信」した「画像内に人物を検知したならば」、「検知した人物の顔画像を抽出し」、「認証処理を行なう」から(【0073】)、本願発明1の「顔認証用に画像処理された顔認証用の第1画像」とは、「顔認証用の第1画像」である点で共通する。

d 引用発明2の「画像送信部17b」(【0041】)は、「カメラ12が撮像した画像をサーバ30」に「送信する処理部」(【0041】)であるから、本願発明1の「第1出力部」に相当する。

e したがって、前記a~dを踏まえると、

引用発明2の「カメラ12が撮像した画像」を認証のための「サーバ30」に送信する「画像送信部17b」は、本願発明1の「広角レンズを備えたカメラが撮影した元画像に基づき、顔認証用に画像処理された顔認証用の第1画像を出力する第1出力部」とは、「カメラが撮影した元画像に基づき、顔認証用の第1画像を出力する第1出力部」である点で共通する。

(イ)「居住空間の外側に配置される第1通話装置と通信可能であって前記居住空間に配置される第2通話装置に対して、前記元画像に基づく表示用の第2画像を出力する第2出力部と、」について

a 引用発明2の「集合玄関機10」(【0025】)は、「集合住宅のエントランス」に設けられる(【0025】)から、居住空間(各住居)の外側に配置されるものということができ、本願発明1の「居住空間の外側に配置される第1通話装置」に相当する。

b 引用発明2の「インターホン端末20」(【0025】、【0043】)は、「各住居」に設けられ(【0025】)ており、「集合玄関機10」とは「通信部25」を介して通信を行う(【0043】)から、本願発明1の「第1通話装置と通信可能であって居住空間に配置される第2通話装置」に相当する。

c 引用発明2の「カメラ12が撮像した画像」(【0041】)は、「インターホン端末20」に「送信」され(【0041】)、「インターホン端末20」の「制御部26」は、「受信」した「画像を表示部22に表示制御」するから(【0044】)、本願発明1の「表示用の第2画像」に相当する。

d 引用発明2の「画像送信部17b」(【0041】)は、「カメラ12が撮像した画像」を「インターホン端末20」に「送信する処理部」(【0041】)であるから、本願発明1の「第2出力部」に相当する。

e したがって、前記a~dを踏まえると、

引用発明2の「集合玄関機10」と通信を行う「インターホン端末20」の「表示部22に表示制御」する「画像」を送信する「画像送信部17b」は、本願発明1の「居住空間の外側に配置される第1通話装置と通信可能であって前記居住空間に配置される第2通話装置に対して、前記元画像に基づく表示用の第2画像を出力する第2出力部」に相当する。

(ウ)「前記居住空間は、集合住宅の複数の住戸の1つであり、」について

a 引用発明2の「集合住宅」(【0025】)は、本願発明1の「集合住宅」に相当する。

b したがって、引用発明2の「各住居」(【0025】)は、「集合住宅」におけるそれぞれの住戸のことであるから、本願発明1の「集合住宅の複数の住戸の1つである」「居住空間」に相当する。

(エ)「前記第1通話装置は、前記集合住宅の共同玄関に配置されており、」について

引用発明2の「集合玄関機10」(【0025】)は、前記(イ)aを踏まえると、本願発明1の「前記集合住宅の共同玄関に配置されている」「第1通話装置」に相当する。

(オ)「前記第1通話装置が、前記第1出力部と、前記第2出力部とを有する」について

引用発明2の「画像送信部17b」を有する「集合玄関機10」は、前記(ア)d及び(イ)dを踏まえると、本願発明1の「前記第1出力部と、前記第2出力部とを有する」「第1通話装置」に相当する。

(カ)「前記第1出力部は、前記元画像を顔認証用に画像処理した後の画像の部分画像を前記第1画像として出力し、
前記第1通話装置が、前記第2通話装置が備える操作入力部が受け付けた前記部分画像の範囲を設定する操作入力に基づいて、前記部分画像の範囲を設定する設定部を更に備える」(発明特定事項A)について

引用発明2には、前記発明特定事項Aに係る構成については特定されていない。

(キ)「インターホンシステム」

引用発明2のインターホンシステムは、後述する相違点を除き、本願発明1の「インターホンシステム」に相当する。

以上(ア)~(キ)から、本願発明1と引用発明2との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)

「カメラが撮影した元画像に基づき、顔認証用の第1画像を出力する第1出力部と、
居住空間の外側に配置される第1通話装置と通信可能であって前記居住空間に配置される第2通話装置に対して、前記元画像に基づく表示用の第2画像を出力する第2出力部と、を有し、
前記居住空間は、集合住宅の複数の住戸の1つであり、
前記第1通話装置は、前記集合住宅の共同玄関に配置されており、
前記第1通話装置が、前記第1出力部と、前記第2出力部とを有する
インターホンシステム。」

(相違点3)

本願発明1は「広角レンズ」を備えるのに対し、引用発明2には、そのような構成が特定されていない点。

(相違点4)

本願発明1では、カメラが撮影した元画像について、「顔認証用」の「画像処理」が行われるのに対し、引用発明2には、そのような構成が特定されていない点。

(相違点5)

本願発明1は前記発明特定事項Aを備えるのに対し、引用発明2には、そのような構成が特定されていない点。

イ 本願発明1と引用発明2との相違点についての判断

事案に鑑みて、前記相違点5について先に検討すると、前記相違点5に係る本願発明1の前記発明特定事項Aに係る構成は、引用文献2、引用文献1及び引用文献3のいずれにも記載も示唆もされておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。

したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明2、引用文献1及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2~4について

本願発明2~4も、本願発明1を引用する発明であって、本願発明1の前記発明特定事項Aと同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1、引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて又は引用発明2、引用文献1及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明5について

本願発明5も、本願発明1の前記発明特定事項Aと同様の手順及び処理を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1、引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて又は引用発明2、引用文献1及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

4 本願発明6について

本願発明6も、本願発明1の前記発明特定事項Aと同様の処理を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1、引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて又は引用発明2、引用文献1及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定についての判断

令和5年6月5日に提出された手続補正書による補正により、補正後の請求項1~4は、本願発明1の前記発明特定事項Aという技術的事項を有し、また、請求項5、6も、本願発明1の前記発明特定事項Aと同様の処理に係る技術的事項を有するものとなった。

当該発明特定事項Aは、原査定における引用文献A、引用文献B(当審拒絶理由における引用文献2)及び引用文献C(当審拒絶理由における引用文献3)には記載されておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明1~6は、当業者であっても、原査定における引用文献A~Cに基づいて容易に発明できたものではない。

したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび

以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。

他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-006503

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