2022-005823
包装材料用ポリエチレン積層体及び該積層体からなる包装材料
- 審判番号
- 2022-005823
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-058411外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年04月18日
- 審決日
- 2023年11月08日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (B32B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 15項目
第1 手続の経緯
本願は、平成30年3月26日の出願であって、その手続の経緯の概略は次のとおりである。
(令和4年1月18日 :原査定の謄本の送達)
第2 本願発明
本願の請求項1~7に係る発明(以下「本願発明1」等という。)は、令和5年8月10日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】少なくとも一方の面に印刷が形成されたフィルム(但し、架橋処理された延伸ポリエチレンフィルムを除く)と、ヒートシール層とを少なくとも備え、前記フィルムおよび前記ヒートシール層は、いずれもポリエチレン材料から構成され、前記フィルムは、高密度ポリエチレン(HDPE)及び中密度ポリエチレン(MDPE)のうち少なくとも1つを含む、延伸ポリエチレンフィルムであり、前記ヒートシール層は、低密度ポリエチレン(LDPE)及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のうち少なくとも1つを含み、積層体全体に対するポリエチレンの含有割合が、70質量%以上である、ことを特徴とする、リサイクル可能な包装材料用ポリエチレン積層体。」
第3 拒絶の理由
令和5年6月9日付けで通知した拒絶理由のうちの引用文献2を主引例とした場合の進歩性に係る理由1は、次のとおりのものである。
本件出願の請求項1~7に係る発明は、以下の引用文献2に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 引用文献の記載事項及び引用発明
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1 引用文献2に記載された事項
引用文献2には、次の事項が記載されている(日本語訳は合議体において作成した。)。
「技術分野本発明は、第1ポリエチレンウェブを、第2ポリエチレンウェブに積層することによって調製される印刷された積層構造体に関する。該積層構造体は、スタンドアップパウチの調製に特に適している。背景技術スタンドアップパウチ(「SUP」)包装容器は、消費財用の包装容器として広範囲に商業的に使用されている。これらのパウチは、消費者にとって魅力的であり、適正に設計される場合、最少量のポリマー材料を非常に効率的に使用して、該包装容器を調製する。」(明細書1ページ4~12行)
「本発明により、少なくとも95重量%のPE(SUPを調製するのに使用されるポリマー材料の全重量に基づいて)を用いて調製されるリサイクル可能なSUPを調製することができ、且つ剛性及び光学的特性の所望のバランスをとることができる。」(明細書1ページ32~34行)
「4)シーラントポリエチレン-熱成形シールの調製に適したポリエチレン材料、特に、1)密度約0.88から0.915g/ccを有するポリエチレンコポリマー(「VLDPE」);及び2)高圧低密度ポリエチレン(LD)-高圧法にてフリーラジカル開始剤を用いて調製され、密度約0.91から約0.93g/ccを有するポリエチレンホモポリマー、からなる群から選択されるポリエチレン」(明細書2ページ下から4行~3ページ2行)
「一実施形態では、積層構造体は、2つのウェブの間の境界面に、-即ち、第1ウェブの内側表面上又は第2ウェブの外側表面上のいずれかに印刷される。」(明細書4ページ16~18行)
「1.第1(外側)ウェブ、又は“A”ウェブ第1(外側)ウェブは、積層構造体の外壁を形成する。一実施形態では、本発明の積層構造体は、第1ウェブと第2(内部)ウェブとの間の境界面に印刷される。したがって、これは、印刷を見るために、外側ウェブ「を介して見る」ことが必要であることを意味する。したがって、外側ウェブのヘイズ値が低いことが望ましい。加えて、「光沢」については、多くの消費者が、高光沢仕上げを高品質の指標であると認識しているので、高いのが望ましい。更に、積層構造体から作製されたSUPが自立するように、外側層により、積層構造体に剛性/硬性(stiffness/rigidity)がもたらされることが望ましい。したがって、良好な光学的特性と剛性とのバランスが、外側ウェブに求められる。HDPEは、所望の剛性をもたらすことが知られているが、HDPEは、光学的特性が低いこともまた知られている。本発明は、この問題を以下のように解決する。一実施形態では、HDPEの非常に薄い層が、外側ウェブにて、より低密度のポリエチレンの層と共に使用される;別の実施形態では、外側ウェブには、ウェブのモジュラス(剛性(stiffness))及び光学的特性を改善するのに十分な量にて、縦方向配向(MDO)が施される。」(明細書4ページ21行~5ページ5行)
「多-層外側ウェブ又はウェブA一般に、SUPの外側ウェブを形成するのに用いられる厚い単層HDPEフィルムは、構造体に適切な剛性を付与するのに使用することができる。しかし、HDPEの厚い層には、光学的特性が低いという欠点がある。このことは、SUPを不透明にする外側ウェブの外側(スキン)の側を印刷することによって解決できる。しかし、この設計では、印刷が、SUPの輸送及び取扱いの間に、容易に傷つき且つ損傷する可能性があるので、乱暴な扱い対して余り耐性がない。一実施形態では、本発明は、少なくとも1層(「層A.1」)が、HDPEから調製され、且つ少なくとも1層(「層A.2」)が、より低密度のポリエチレン(例えば、LLDPE、LD又はVLDPE)から調製される同時押出多層フィルムを外側ウェブに対して使用することによって、これらの問題を軽減する。」(明細書5ページ7~17行)
「外側ウェブの縦方向配向(MDO)別の実施形態では、外側ウェブは、少なくとも1層のHDPEと、少なくとも1層のより低密度のポリエチレン、例えば、MDPE又はLLDPEとを含む同時押出フィルムである多層である。この構造体を、縦方向配向(又は、MDO)に供する。続いて、このような構造体及びその構造体の調製を説明する。MDOウェブMDOウェブは、多層フィルムから調製されるが、その層の少なくとも1層が、HDPE組成物から調製され、その層の少なくとも1層が、HDPE組成物よりも、低い密度を有するポリエチレン組成物から調製される。・・・前駆体フィルムは、MDOプロセスにおいて延伸される(又は、換言すれば、歪みが与えられる)。延伸は、主に、一方向、即ち、最初のフィルム成形プロセスから「縦方向」(即ち、横方向とは反対の方向)である。延伸に伴ってフィルムの厚さは、減少する。最初の厚さが10ミルであり、延伸後の最終的な厚さが1ミルである前駆体フィルムは、「延伸比」又は「ドローダウン」比10:1を有すると記載され、最初の厚さが10ミルであり、最終的な厚さが2ミルである前駆体フィルムは、「延伸」又は「ドローダウン」比2:1を有すると記載される。」(明細書7ページ21行~8ページ9行)
「B.3 シーラント層内側ウェブは、2つの外側層、又は「スキン」層、即ち、境界面スキン層(上のB.1の層)及び内側スキン層(本明細書では、シーラント層とも称される)を有する。シーラント層は、「シーラント」ポリエチレン-即ち、シーリング条件に供された場合、容易に融解してシールを形成する、あるタイプのポリエチレン、から調製される。当業者には、シーラントとして使用するのに2つのタイプのポリエチレンが、好ましいことが分かるであろう、即ち:1)密度約0.88から0.915g/ccを有するポリエチレンコポリマー;及び2)LDポリエチレン(前記のような)。より低密度のポリエチレンコポリマーを使用するのが好ましい。一般に、これらのより低密度のポリエチレンコポリマーのコストは、密度が低下するにつれて高くなるので、「最適な」ポリエチレンシーラント樹脂は、典型的に、最高密度のポリエチレンであり、これは、満足のいくシール強度をもたらす。密度約0.900から0.912g/ccを有するポリエチレンは、多くの用途に対して満足のいく結果をもたらすであろう。」(明細書13ページ17~31行)
「請求の範囲1. ポリマー材料から作製される積層構造体であって、前記積層構造体が、A)A.1) HDPE組成物を含む第1-A層;並びに続きを表示(全18行)A.2) LLDPE、MDPE及びHDPEからなる群から選択されるポリエチレンを含む第2-A層を含む外側ウェブ、B)B.1) 前記外側ウェブと接触する第1-B層であって、前記第1-B層が、LLDPE及びMDPEからなる群から選択されるポリエチレンを含む層;B.2) HDPE組成物を含む第2-B層;並びにB.3) シーラント組成物を含む第3-B層を含む内側ウェブ、但し、I) 前記外側ウェブが、前記内側ウェブに積層され、II) 前記積層構造体が、前記外側層と前記内側層との境界面にて印刷され、III) 前記HDPE、MDPE、LLDPE及びシーラントポリエチレンが、全体として、前記積層構造体を調製するのに用いられる前記ポリマー材料の少なくとも95重量%を形成することを含む、積層構造体。・・・3. 前記外側ウェブが、2:1から10:1のドローダウン比を有する縦方向配向に供される、請求項1に記載の構造体。」(請求の範囲19ページ1~23行)
2 引用発明
引用文献2の「B.3 シーラント層・・・シーラント層は、「シーラント」ポリエチレン・・・から調製される。」(明細書13ページ17~21行)の記載を参照すると、「B.3」の層はシーラントポリエチレンを含むものであることが理解できる。
そうすると、上記1のうち特に請求の範囲の1に着目すると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ポリマー材料から作製される積層構造体であって、前記積層構造体が、A)A.1) HDPE組成物を含む第1-A層;並びにA.2) LLDPE、MDPE及びHDPEからなる群から選択されるポリエチレンを含む第2-A層続きを表示(全14行)を含む外側ウェブ、B)B.1) 前記外側ウェブと接触する第1-B層であって、前記第1-B層が、LLDPE及びMDPEからなる群から選択されるポリエチレンを含む層;B.2) HDPE組成物を含む第2-B層;並びにB.3) シーラントポリエチレンを含む第3-B層を含む内側ウェブ、を含む、リサイクル可能なスタンドアップパウチの調製に適した積層構造体。但し、I) 前記外側ウェブが、前記内側ウェブに積層され、II) 前記積層構造体が、前記外側層と前記内側層との境界面にて印刷され、III) 前記HDPE、MDPE、LLDPE及びシーラントポリエチレンが、全体として、前記積層構造体を調製するのに用いられる前記ポリマー材料の少なくとも95重量%を形成する。」
第5 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用文献2の明細書5ページ14~17行を参照すると、引用発明の「外側ウェブ」は、同時押出多層フィルムが使用されるものであるから、引用発明の「外側ウェブ」と、本願発明1の「少なくとも一方の面に印刷が形成されたフィルム(但し、架橋処理された延伸ポリエチレンフィルムを除く)」は、フィルムの限りで一致する。
引用発明の「シーラントポリエチレンを含む第3-B層」は、本願発明1の「ヒートシール層」に相当する。
引用発明において、「外側ウェブ」が「A.1) HDPE組成物を含む第1-A層;並びにA.2) LLDPE、MDPE及びHDPEからなる群から選択されるポリエチレンを含む第2-A層を含」み、「第3-B層」が「シーラントポリエチレンを含む」ことは、本願発明1において、「前記フィルムおよび前記ヒートシール層は、いずれもポリエチレン材料から構成され」ることに相当する。
引用発明の「外側ウェブ」が「HDPE組成物を含む第1-A層」を含むことと、本願発明1の「フィルム」が、「高密度ポリエチレン(HDPE)及び中密度ポリエチレン(MDPE)のうち少なくとも1つを含む、延伸ポリエチレンフィルムであ」ることとは、フィルムが、高密度ポリエチレン(HDPE)及び中密度ポリエチレン(MDPE)のうち少なくとも1つを含む、ポリエチレンフィルムである限りで一致する。
引用発明の「前記HDPE、MDPE、LLDPE及びシーラントポリエチレンが、全体として、前記積層構造体を調製するのに用いられる前記ポリマー材料の少なくとも95重量%を形成する」ことは、本願発明1の「積層体全体に対するポリエチレンの含有割合が、70質量%以上である」ことに相当する。
引用発明の「リサイクル可能なスタンドアップパウチの調製に適した積層構造体」は、「前記HDPE、MDPE、LLDPE及びシーラントポリエチレンが、全体として、前記積層構造体を調製するのに用いられる前記ポリマー材料の少なくとも95重量%を形成」されているから、本願発明1の「リサイクル可能な包装材料用ポリエチレン積層体」に相当する。
以上のことから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「フィルムと、ヒートシール層とを少なくとも備え、前記フィルムおよび前記ヒートシール層は、いずれもポリエチレン材料から構成され、前記フィルムは、高密度ポリエチレン(HDPE)及び中密度ポリエチレン(MDPE)のうち少なくとも1つを含む、ポリエチレンフィルムであり、積層体全体に対するポリエチレンの含有割合が、70質量%以上である、リサイクル可能な包装材料用ポリエチレン積層体。」
[相違点1]
フィルムに関して、本願発明1は、「少なくとも一方の面に印刷が形成されたフィルム(但し、架橋処理された延伸ポリエチレンフィルムを除く)」であるのに対して、引用発明は、「外側ウェブ」である点。
[相違点2]
フィルムが、高密度ポリエチレン(HDPE)及び中密度ポリエチレン(MDPE)のうち少なくとも1つを含む、ポリエチレンフィルムであることに関して、本願発明1の「フィルム」は、「高密度ポリエチレン(HDPE)及び中密度ポリエチレン(MDPE)のうち少なくとも1つを含む、延伸ポリエチレンフィルムであ」るのに対して、引用発明の「外側ウェブ」は、「HDPE組成物を含む第1-A層」を含むが、延伸ポリエチレンフィルムであるか不明である点。
[相違点3]
本願発明1の「ヒートシール層」は、「低密度ポリエチレン(LDPE)及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のうち少なくとも1つを含」むのに対して、引用発明の「シーラントポリエチレンを含む第3-B層」は、そのようなものであるか不明である点。
第6 判断
1 相違点1について
引用発明は、「前記外側層と前記内側層との境界面にて印刷され」るものである。
そして、引用文献2には、「積層構造体は、2つのウェブの間の境界面に、-即ち、第1ウェブの内側表面上又は第2ウェブの外側表面上のいずれかに印刷される。」(明細書4ページ16~18行)と記載されている。
そうすると、印刷を外側ウェブと内側ウェブのいずれに形成するかは、二者択一で当業者が適宜決め得ることであり、引用発明において、外側ウェブの一方の面に印刷が形成される構成とすることに格別の困難性はない。
また、引用文献2には、外側ウェブを架橋処理することは記載されていないから、「但し、架橋処理された延伸ポリエチレンフィルムを除く」点は実質的な相違点ではない。
仮に、実質的な相違点であるとしても、架橋処理されていない延伸ポリエチレンフィルムは例示するまでもなく周知であり、引用発明においてそのような周知のものを採用することに格別の困難性はない。
2 相違点2について
引用文献2には、「外側ウェブは、少なくとも1層のHDPEと、少なくとも1層のより低密度のポリエチレン、例えば、MDPE又はLLDPEとを含む同時押出フィルムである多層である。この構造体を、縦方向配向(又は、MDO)に供する。」(明細書7ページ21~25行)、「前記外側ウェブが、2:1から10:1のドローダウン比を有する縦方向配向に供される、請求項1に記載の構造体。」(請求の範囲19ページ22~23行)と記載されている。
引用発明において、引用文献2の上記記載を参考にして、「外側ウェブ」を「縦方向配向に供し」て、延伸ポリエチレンフィルムとし、相違点2に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
3 相違点3について
引用文献2には、
「4)シーラントポリエチレン-熱成形シールの調製に適したポリエチレン材料、特に、1)密度約0.88から0.915g/ccを有するポリエチレンコポリマー(「VLDPE」);及び2)高圧低密度ポリエチレン(LD)-高圧法にてフリーラジカル開始剤を用いて調製され、密度約0.91から約0.93g/ccを有するポリエチレンホモポリマー、からなる群から選択されるポリエチレン」(明細書2ページ下から4行~3ページ2行)、
「シーラント層は、「シーラント」ポリエチレン-即ち、シーリング条件に供された場合、容易に融解してシールを形成する、あるタイプのポリエチレン、から調製される。当業者には、シーラントとして使用するのに2つのタイプのポリエチレンが、好ましいことが分かるであろう、即ち:1)密度約0.88から0.915g/ccを有するポリエチレンコポリマー;及び2)LDポリエチレン(前記のような)。より低密度のポリエチレンコポリマーを使用するのが好ましい。・・・」(明細書13ページ20~26行)
と記載されている。
引用発明のシーラント層である「シーラントポリエチレンを含む第3-B層」に用いられるポリエチレンとして、引用文献2の上記記載で例示されているLDポリエチレン(高圧低密度ポリエチレン(LD)-高圧法にてフリーラジカル開始剤を用いて調製され、密度約0.91から約0.93g/ccを有するポリエチレンホモポリマー)を採用して、相違点3に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
4 効果の予測性
そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明1の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
5 請求人の主張について
請求人は、令和5年8月10日提出の意見書において、(a)引用文献2には、印刷適性、強度及び耐熱性を向上させながらも、延伸適性の問題が改善するため、高密度ポリエチレン(HDPE)及び中密度ポリエチレン(MDPE)のうち少なくとも1つを含むポリエチレンフィルムとすることが教示も示唆もない旨、(b)引用発明の外側ウェブをA/B/A(当審注:HDPE/LLDPE組成物/HDPE)の同時押出フィルムとすることや、HDPEからなる層とMDPEからなる層を含む共押出多層フィルムとすることはあっても、本願発明のように、高密度ポリエチレン(HDPE)及び中密度ポリエチレン(MDPE)のうち少なくとも1つを含む延伸ポリエチレンフィルムとすることは容易に想到できるものではない旨を主張をしている。
主張(a)について
引用文献2の明細書4ページ21行~5ページ5行には、「所望の剛性をもたらす」「外側ウェブ」において、「良好な光学的特性と剛性とのバランス」が求められており、「光学的特性を改善する」ため、「縦方向配向(MDO)が施される」ことが記載されており、また、HDPEが耐熱性に優れること、シートの剛性が高い方が印刷に適していることは技術常識である。
そうすると、引用文献2には、「HDPE組成物を含む第1-A層」を含む、すなわち、剛性及び耐熱性に優れた高密度ポリエチレン(HDPE)を含む「外側ウェブ」を縦方向配向(延伸)することで、印刷に適したものとなることが理解できる。
主張(b)について
引用発明における「外側ウェブ」を「縦方向配向に供し」て、延伸ポリエチレンフィルムとすることについては、上記「2 相違点2について」で述べたとおりである。
なお、引用文献2に記載された「A/B/A(当審注:HDPE/LLDPE組成物/HDPE)の同時押出フィルム」や「HDPEからなる層とMDPEからなる層を含む共押出多層フィルム」は「高密度ポリエチレン(HDPE)」を含むものであり、そのようなフィルムを「縦方向配向」したものは、「高密度ポリエチレン(HDPE)及び中密度ポリエチレン(MDPE)のうち少なくとも1つを含む延伸ポリエチレンフィルム」にほかならない。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
6 小括
よって、本願発明1は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用文献2に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-005823